(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090522
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】LiDAR装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240627BHJP
G01S 17/42 20060101ALI20240627BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/42
G02B26/10 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206482
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴寛
【テーマコード(参考)】
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AF12
2H045BA14
5J084AA04
5J084AA13
5J084AB17
5J084AD01
5J084AD08
5J084BA03
5J084BA50
5J084BB01
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB13
5J084BB14
5J084BB24
5J084BB31
5J084CA03
5J084CA08
5J084CA49
5J084EA04
5J084EA31
(57)【要約】
【課題】ウェッジプリズムの安定した回転を実現する技術を提供する。
【解決手段】LiDAR装置100は、レーザ光源101、前記レーザ光源からの出射光の光路を制御する少なくとも1つのレンズ102、前記レーザ光源からの出射光の光路を制御するコニカルスキャン機構103、を含む。前記コニカルスキャン機構103は、少なくとも1つのウェッジプリズムと、前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動する駆動源と、を含む。前記駆動源が前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動することにより前記少なくとも1つのウェッジプリズムは前記レーザ光源101からの出射光を円錐状に偏角させる。そして、前記少なくとも1つのレンズ102と前記少なくとも1つのウェッジプリズムは一体化している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源からの出射光の光路を制御する少なくとも1つのレンズ及びコニカルスキャン機構と、
を含み、
前記コニカルスキャン機構は、少なくとも1つのウェッジプリズムと、前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動する駆動源と、を含み、前記駆動源が前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動することにより前記少なくとも1つのウェッジプリズムは前記レーザ光源からの出射光を円錐状に偏角させ、
前記少なくとも1つのレンズと前記少なくとも1つのウェッジプリズムは一体化している、
LiDAR装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、前記レーザ光源からの出射光が入射する、前記少なくとも1つのウェッジプリズムの入射面、又は、前記レーザ光源からの出射光が出射する、前記少なくとも1つのウェッジプリズムの出射面に配置されている、
LiDAR装置。
【請求項3】
請求項2に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、コリメータレンズ、又は、ビームエキスパンダを構成する2つのレンズの少なくとも何れか一方を含む、
LiDAR装置。
【請求項4】
請求項1に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのウェッジプリズムは、第1のウェッジプリズムと第2のウェッジプリズムを含み、
前記第1のウェッジプリズム及び前記第2のウェッジプリズムは、前記レーザ光源から見てこの記載順に配置されており、
前記駆動源は、前記第1のウェッジプリズム及び前記第2のウェッジプリズムを個別に回転駆動する、
LiDAR装置。
【請求項5】
請求項4に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、前記レーザ光源からの出射光が入射する、前記第1のウェッジプリズムの入射面、又は、前記レーザ光源からの出射光が出射する、前記第1のウェッジプリズムの出射面、又は、前記レーザ光源からの出射光が入射する、前記第2のウェッジプリズムの入射面、又は、前記レーザ光源からの出射光が出射する、前記第2のウェッジプリズムの出射面に配置されている、
LiDAR装置。
【請求項6】
請求項5に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、コリメータレンズ、又は、ビームエキスパンダを構成する2つのレンズの少なくとも何れか一方を含む、
LiDAR装置。
【請求項7】
請求項6に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、前記コリメータレンズ、及び、前記ビームエキスパンダを構成する前記2つのレンズを含み、
前記コリメータレンズは、前記第1のウェッジプリズムの前記入射面又は前記出射面に配置され、
前記2つのレンズは、前記第2のウェッジプリズムの前記入射面及び前記出射面にそれぞれ配置されている、
LiDAR装置。
【請求項8】
請求項6に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのレンズは、前記ビームエキスパンダを構成する前記2つのレンズを含み、
前記2つのレンズは、前記第1のウェッジプリズムの前記入射面及び前記出射面、及び、前記第2のウェッジプリズムの前記入射面及び前記出射面のうち何れか2つの面にそれぞれ配置されている、
LiDAR装置。
【請求項9】
請求項1に記載のLiDAR装置であって、
前記少なくとも1つのウェッジプリズムの回転速度が一定となるように前記駆動源を制御する制御部を更に含む、
LiDAR装置。
【請求項10】
請求項9に記載のLiDAR装置であって、
測距対象からの反射光を受光する受光手段と、
前記出射光及び前記反射光に基づいて測距点までの距離を算出する測距手段と、
前記測距手段による算出結果に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段と、
を更に含む、
LiDAR装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDAR装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、光計測ドップラーライダーによる能動型風計測システムを開示している。このシステムは、ウェッジプリズムを用いたコニカルスキャン機構を備えており、DBS(Doppler Beam Swinging)計測法によって風の鉛直分布を数秒毎に得ることができるとしている。
【0003】
その他、レーザ光の光路制御に関する文献として、例えば、特許文献1及び2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-009843号公報
【特許文献2】特開2006-148711号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】青柳曉典、泉敏治、酒井哲、永井智広著、「ドップラーライダーDBS 計測による都市域の粗度長とゼロ面変位高の推定」、第23回 風工学シンポジウム論文集、https://www.jstage.jst.go.jp/article/kazekosymp/23/0/23_43/_pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、上記非特許文献1に開示のコニカルスキャン機構をLiDAR装置に応用しようとしたところ、ウェッジプリズムの回転速度に関して新たな課題を発見した。即ち、例えば外部から与えられる振動などの外乱によってウェッジプリズムの回転速度は変動し易い。ウェッジプリズムの回転速度が変動すると、LiDAR装置から出力される点群データの点群密度が安定しない。詳しくは、ウェッジプリズムの回転速度が一時的に高くなったとき点群データの点群密度は局所的に粗となり、ウェッジプリズムの回転速度が一時的に低くなったとき点群データの点群密度は局所的に密となる。
【0007】
上記の問題は、上記のLiDAR装置を異物検出に応答しようとするときに特に顕在化する。というのも、数キロメートル離れた地点において数センチメートルオーダーの異物を検出するには、点群密度の安定化が必要不可欠だからである。
【0008】
そこで、本開示の目的は、ウェッジプリズムの安定した回転を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、
レーザ光源と、
前記レーザ光源からの出射光の光路を制御する少なくとも1つのレンズ及びコニカルスキャン機構と、
を含み、
前記コニカルスキャン機構は、少なくとも1つのウェッジプリズムと、前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動する駆動源と、を含み、前記駆動源が前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動することにより前記少なくとも1つのウェッジプリズムは前記レーザ光源からの出射光を円錐状に偏角させ、
前記少なくとも1つのレンズと前記少なくとも1つのウェッジプリズムは一体化している、
LiDAR装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】LiDAR装置の機能ブロック図である。(第1実施形態)
【
図3】光路制御部の光路図である。(第1実施形態)
【
図4】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図5】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図6】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図7】光路制御部の光路図である。(第2実施形態)
【
図8】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図9】光路制御部の光路図である。(第3実施形態)
【
図10】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図11】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図12】光路制御部を構成する光学系の構成例を示す図である。(変形例)
【
図13】光路制御部の光路図である。(第4実施形態)
【
図14】光路制御部の光路図である。(第5実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の概要)
以下、
図1を参照して、本開示の概要を説明する。
【0013】
図1に示すように、LiDAR装置100は、レーザ光源101、前記レーザ光源からの出射光の光路を制御する少なくとも1つのレンズ102、前記レーザ光源からの出射光の光路を制御するコニカルスキャン機構103、を含む。
【0014】
前記コニカルスキャン機構103は、少なくとも1つのウェッジプリズムと、前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動する駆動源と、を含む。前記駆動源が前記少なくとも1つのウェッジプリズムを回転駆動することにより前記少なくとも1つのウェッジプリズムは前記レーザ光源101からの出射光を円錐状に偏角させる。
【0015】
そして、前記少なくとも1つのレンズ102と前記少なくとも1つのウェッジプリズムは一体化している。
【0016】
以上の構成によれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。これに加えて、LiDAR装置100の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0017】
(第1実施形態)
次に、
図2及び
図3を参照して、第1実施形態を説明する。
図2には、異物検出システム1を示している。本実施形態の異物検出システム1は、例えば、空港の滑走路や誘導路、駐機場などの舗装路面に取り残された数センチメートルオーダーの微小異物を数キロメートル離れた場所から検出するのに用いられる。このため、異物検出システム1は、三次元LiDARスキャナ2と異物検出装置3を含む。三次元LiDARスキャナ2は、監視対象の点群データを生成する。異物検出装置3は、三次元LiDARスキャナ2が生成した点群データに基づいて、舗装路面に取り残された微小異物を検出する。
【0018】
三次元LiDARスキャナ2は、LiDAR装置の一具体例である。三次元LiDARスキャナ2は、測距方式として、ToF(Time Of Flight)方式を採用している。しかし、これに代えて、三次元LiDARスキャナ2は、測距方式として、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式やAMCW(Amplitude-modulated continuous wave)方式を採用してもよい。
【0019】
三次元LiDARスキャナ2は、出射部5、光学機構系6、計測部7を含む。
【0020】
出射部5は、制御部11、発振器12、光源ドライバ13、レーザ光源14、スキャンドライバ15を含む。
【0021】
光学機構系6は、照射光学系6aと受光光学系6bを含む。照射光学系6aは、第1光学素子20、光路制御部22を含む。受光光学系6bは、第2光学素子21、光路制御部22を含む。即ち、照射光学系6aと受光光学系6bは、光路制御部22を共有している。
【0022】
計測部7は、受光素子30、受光素子31(受光手段)、測距部32(測距手段)、点群データ生成部33(点群データ生成手段)を含む。
【0023】
制御部11は、発振器12を制御する。光源ドライバ13は、発振器12が生成したパルス信号に基づいてレーザ光源14を駆動する。レーザ光源14は、例えば、光ファイバを用いたファイバレーザである。レーザ光源14は、光源ドライバ13により駆動されることにより、レーザ光L1を間欠的に出射する。レーザ光源14から出射されるレーザ光L1は、出射光とも言う。
【0024】
照射光学系6aの光軸O1上には、レーザ光源14、第1光学素子20、第2光学素子21、光路制御部22がこの記載順に直列に配置されている。
【0025】
第1光学素子20は、典型的には、ビームスプリッタである。レーザ光L1は、第1光学素子20を透過すると共に第1光学素子20で反射して光軸O3に沿って進んで受光素子30に入射する。光軸O3には、図示しない集光レンズが設けられており、この集光レンズによりレーザ光L1は受光素子30に集光する。
【0026】
第2光学素子21は、典型的には、ハーフミラーである。レーザ光L1は、第2光学素子21を透過して光路制御部22に入射する。
【0027】
光路制御部22は、レーザ光源14から出射されたレーザ光L1の光路を制御する。即ち、光路制御部22は、レーザ光源14から間欠的に出射されるレーザ光L1を円錐状に偏角させる。即ち、光路制御部22は、コニカルスキャン方式を実現している。光路制御部22の構成については後述する。
【0028】
制御部11は、光路制御部22が所望の光路制御を実行するように、スキャンドライバ15に駆動信号を出力する。スキャンドライバ15は、制御部11から入力された駆動信号に基づいて、光路制御部22を制御する。即ち、制御部11は、スキャンドライバ15を駆動することにより、レーザ光L1の照射方向を制御する。
【0029】
受光光学系6bの光軸O2上には、反射光L2が入射する順に、光路制御部22、第2光学素子21、受光素子31が配置されている。光軸O2には、図示しない集光レンズが設けられており、この集光レンズによって反射光L2は受光素子31に集光する。受光素子31は、測距対象からの反射光L2を受光する。
【0030】
なお、
図2では、明確化のためにレーザ光L1の光路と反射光L2の光路が離れている。しかし、実際にはこれらは重なっていてもよい。
【0031】
計測部7は、反射光L2を信号化した電気信号をアナログデジタル変換した時系列輝度信号に基づいて三次元LiDARスキャナ2から監視対象までの距離を計測する。具体的には、以下の通りである。
【0032】
測距部32は、受光素子31が出力する電気信号を所定のサンプリング間隔で時系列輝度信号に変換する。時系列輝度信号は、反射光L2の輝度の時間的変化を所定のサンプリング間隔でサンプリングして得た輝度値の系列である。
【0033】
測距部32は、レーザ光源14からレーザ光L1が出射されてから受光素子31が反射光L2を受光するまでに要した時間に基づいて測距点までの距離を算出する。即ち、測距部32は、時系列輝度信号に基づいて、受光素子30がレーザ光L1を検出するタイミングと、受光素子31が反射光L2を検出するタイミングとの時間差に基づき、三次元LiDARスキャナ2から監視対象までの距離を計測して距離データを生成する(ToF方式)。
【0034】
ただし、上記のとおり、測距部32による距離データの生成方法(すなわち測距方法)は、ToF方式に限定されるものではない。例えば、ToF方式に変えて、FMCW方式が用いられるものであってもよい。
【0035】
点群データ生成部33は、測距部32による算出結果に基づいて点群データを生成する。即ち、点群データ生成部33は、制御部11から出力されたレーザ光L1の出射方向情報と、測距部32から出力された距離データと、に基づいて、測距点毎に点データを生成する。そして、点群データ生成部33は、点データの集合である点群データを生成し、生成した点群データを異物検出装置3に出力する。
【0036】
異物検出装置3は、三次元LiDARスキャナ2から取得した点群データに基づいて、舗装路面上に取り残された微小異物を検出する。そして、異物検出装置3は、検出結果をオペレータに通知する。
【0037】
なお、上記のとおり、光路制御部22は、照射光学系6a及び受光光学系6bにより共有されるものであってもよい。この場合、例えば、
図2に示す如く、第1光学素子20と光路制御部22間に第2光学素子21が配置される。これにより、レーザ光L1及び反射光L2の両方が光路制御部22を通過する。ただし、
図3を参照して後述するとおり、光路制御部22は、コニカルスキャンを実現する観点から、主にレーザ光L1の光路を制御するための部材である。このため、レーザ光L1及び反射光L2のうちのレーザ光L1のみが光路制御部22を通過するものであってもよい。これは、例えば、第1光学素子20と第2光学素子21間に光路制御部22が配置されることにより実現される。なお、
図3以降の図面において例示される光路は、原則、レーザ光L1の光路を示している。
【0038】
次に、
図3を参照して、光路制御部22を詳細に説明する。
【0039】
図3に示すように、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ41を備える。
【0040】
コニカルスキャン機構40は、第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43、駆動源44を含む。第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43は、レーザ光源14から離れる方向においてこの記載順に配置されている。駆動源44は、モータ44a及びモータ44bを含む。モータ44a及びモータ44bは、
図2に示すスキャンドライバ15によって駆動される。モータ44a及びモータ44bは、第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43をそれぞれ個別に回転駆動する。即ち、駆動源44は、第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43を個別に回転駆動する。第1のウェッジプリズム42の回転速度と第2のウェッジプリズム43の回転速度は異なっている。典型的には、第1のウェッジプリズム42の回転速度は、第2のウェッジプリズム43の回転速度よりも低い。
図2の制御部11は、第1のウェッジプリズム42の回転速度が一定となるようにモータ44aをフィードバック制御する。同様に、制御部11は、第2のウェッジプリズム43の回転速度が一定となるようにモータ44bをフィードバック制御する。第1のウェッジプリズム42は、レーザ光L1を円錐状に偏角する。同様に、第2のウェッジプリズム43は、レーザ光L1を円錐状に偏角する。以上の構成でコニカルスキャン機構40は、三次元LiDARスキャナ2から見た測距点の分布がディスク状となるコニカルスキャンを実現している。かかるコニカルスキャンには、公知の種々の技術を用いることができる。例えば、以下の参考文献1に記載されたものと同様の技術を用いることができる。
【0041】
[参考文献1]Thorlabs, Inc., Application Note "Risley Prism Scanner", https://www.thorlabs.co.jp/images/tabimages/Risley_Prism_Scanner_App_Note.pdf
【0042】
第1のウェッジプリズム42は、レーザ光L1が入射する入射面42aと、レーザ光L1が出射する出射面42bと、を有する。入射面42aは、出射面42bに対して傾斜している。同様に、第2のウェッジプリズム43は、レーザ光L1が入射する入射面43aと、レーザ光L1が出射する出射面43bと、を有する。入射面43aは、出射面43bに対して傾斜している。
【0043】
コリメータレンズ41は、レーザ光源14から出射されたレーザ光L1の光路を制御する。詳しくは、コリメータレンズ41は、レーザ光源14から出射したレーザ光L1を平行光とするものであって、平凸球面レンズ状に形成されている。例えば、レーザ光源14にファイバレーザを用いた場合、光路制御部22に入射するレーザ光L1は、十分にコリメートされていない可能性がある。コリメータレンズ41は、かかるレーザ光L1をコリメートするために設けられる。
【0044】
ここで、コリメータレンズ41は、第1のウェッジプリズム42と一体化している。即ち、コリメータレンズ41は、第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられている。これによれば、第1のウェッジプリズム42の安定した回転を実現することができる。これに加えて、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0045】
即ち、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42間の空間を不要とすることにより、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0046】
また、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、レーザ光L1がコリメータレンズ41及び第1のウェッジプリズム42を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0047】
更に、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、第1のウェッジプリズム42のイナーシャが大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によって第1のウェッジプリズム42の回転速度が変動し難く、三次元LiDARスキャナ2から出力される点群データの点群密度が広範囲にわたって均一化される。これにより、数キロメートル離れた地点において数センチメートルオーダーの異物を高い確度で検出できるようになる。
【0048】
本明細書において、「2つの光学素子が一体化している」とは、「2つの光学素子が1つの光学材料から一体的に形成されている」ことと「同一の屈折率を有する2つの光学素子が互いに接合されている」ことを含む。後者の場合、2つの光学素子は、例えば、同じ材料により構成されていることにより、同一の屈折率を有する。
【0049】
以下、
図4から
図6を参照して、上記第1実施形態の変形例を説明する。例えば
図3に示すように、上記第1実施形態において、コリメータレンズ41は、第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられている。しかし、これに代えて、
図4に示すように、コリメータレンズ41は第1のウェッジプリズム42の出射面42bに設けられてもよい。
図5に示すように、コリメータレンズ41は第2のウェッジプリズム43の入射面43aに設けられてもよい。
図6に示すように、コリメータレンズ41は第2のウェッジプリズム43の出射面43bに設けられてもよい。何れの場合においても、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制と共に、第1のウェッジプリズム42の安定した回転を実現することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、
図7を参照して、本開示の第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0051】
例えば、
図3に示すように、上記第1実施形態において、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ41を備える。
【0052】
これに対し、本実施形態では、
図7に示すように、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ41、ビームエキスパンダ用の2つのレンズ45を備える。2つのレンズ45は、平凹レンズ45aと平凸レンズ45bを含む。平凹レンズ45aと平凸レンズ45bは、レーザ光源14から離れる方向においてこの記載順に配置されている。ビームエキスパンダ用の2つのレンズ45は、レーザ光源14から出射されたレーザ光L1の光路を制御する。詳しくは、ビームエキスパンダ用の2つのレンズ45は、レーザ光源14から出射されたレーザ光L1のビーム径を拡大する。
【0053】
そして、コリメータレンズ41は、第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられて、第1のウェッジプリズム42と一体化している。平凹レンズ45aは、第2のウェッジプリズム43の入射面43aに設けられて、第2のウェッジプリズム43と一体化している。平凸レンズ45bは、第2のウェッジプリズム43の出射面43bに設けられて、第2のウェッジプリズム43と一体化している。これによれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。また、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0054】
即ち、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42間の空間を不要とすることにより、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0055】
また、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、レーザ光L1がコリメータレンズ41及び第1のウェッジプリズム42を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0056】
更に、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が一体化していることで、コリメータレンズ41と第1のウェッジプリズム42が互いに離れて配置されている場合と比較して、第1のウェッジプリズム42のイナーシャが大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によって第1のウェッジプリズム42の回転速度が変動し難く、三次元LiDARスキャナ2から出力される点群データの点群密度が広範囲にわたって均一化される。これにより、数キロメートル離れた地点において数センチメートルオーダーの異物を高い確度で検出できるようになる。
【0057】
また、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が互いに離れて配置されている場合と比較して、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43間の空間を不要とすることにより、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0058】
また、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が互いに離れて配置されている場合と比較して、レーザ光L1が2つのレンズ45及び第2のウェッジプリズム43を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0059】
更に、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、2つのレンズ45と第2のウェッジプリズム43が互いに離れて配置されている場合と比較して、第2のウェッジプリズム43のイナーシャが大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によって第2のウェッジプリズム43の回転速度が変動し難く、三次元LiDARスキャナ2から出力される点群データの点群密度が広範囲にわたって均一化される。これにより、数キロメートル離れた地点において数センチメートルオーダーの異物を高い確度で検出できるようになる。
【0060】
以下、
図8を参照して、上記第2実施形態の変形例を説明する。例えば
図7に示すように、上記第2実施形態において、コリメータレンズ41は、第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられている。しかし、これに代えて、
図8に示すように、コリメータレンズ41は第1のウェッジプリズム42の出射面42bに設けられてもよい。この場合においても、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制と共に、第1のウェッジプリズム42の安定した回転を実現することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、
図9を参照して、本開示の第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0062】
例えば、
図3に示すように、上記第1実施形態において、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ41を備える。
【0063】
これに対し、本実施形態では、
図9に示すように、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とビームエキスパンダ用の2つのレンズ45を備える。2つのレンズ45は、平凹レンズ45aと平凸レンズ45bを含む。平凹レンズ45aと平凸レンズ45bは、レーザ光源14から離れる方向においてこの記載順に配置されている。
【0064】
そして、平凹レンズ45aは、第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられて、第1のウェッジプリズム42と一体化している。平凸レンズ45bは、第2のウェッジプリズム43の入射面43aに設けられ、第2のウェッジプリズム43と一体化している。これによれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。また、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0065】
即ち、平凹レンズ45aと第1のウェッジプリズム42が一体化すると共に平凸レンズ45bと第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、一体化していない場合と比較して、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0066】
また、平凹レンズ45aと第1のウェッジプリズム42が一体化すると共に平凸レンズ45bと第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、一体化していない場合と比較して、レーザ光L1が2つのレンズ45、第1のウェッジプリズム42、第2のウェッジプリズム43を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0067】
更に、平凹レンズ45aと第1のウェッジプリズム42が一体化すると共に平凸レンズ45bと第2のウェッジプリズム43が一体化していることで、一体化していない場合と比較して、第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43のイナーシャがそれぞれ大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によって第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43の回転速度がそれぞれ変動し難く、三次元LiDARスキャナ2から出力される点群データの点群密度が広範囲にわたって均一化される。これにより、数キロメートル離れた地点において数センチメートルオーダーの異物を高い確度で検出できるようになる。
【0068】
以下、
図10から
図12を参照して、上記第3実施形態の変形例を説明する。例えば
図9に示すように、上記第3実施形態において、平凹レンズ45aは第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられ、平凸レンズ45bは第2のウェッジプリズム43の入射面43aに設けられている。しかし、これに代えて、
図10に示すように、平凹レンズ45aは第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられ、平凸レンズ45bは第2のウェッジプリズム43の出射面43bに設けられてもよい。また、
図11に示すように、平凹レンズ45aは第1のウェッジプリズム42の入射面42aに設けられ、平凸レンズ45bは第1のウェッジプリズム42の出射面42bに設けられてもよい。また、
図12に示すように、平凹レンズ45aは第2のウェッジプリズム43の入射面43aに設けられ、平凸レンズ45bは第2のウェッジプリズム43の出射面43bに設けられてもよい。何れの場合においても、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制と共に、第1のウェッジプリズム42の安定した回転を実現することができる。
【0069】
(第4実施形態)
次に、
図13を参照して、本開示の第4実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0070】
上記第1実施形態では、例えば
図3に示すように、コニカルスキャン機構40は、第1のウェッジプリズム42及び第2のウェッジプリズム43を備えている。これにより、コニカルスキャン機構40は、三次元LiDARスキャナ2から見た測距点の分布がディスク状となるコニカルスキャンを実現している。
【0071】
これに対し、本実施形態では、
図13に示すように、コニカルスキャン機構40は、1つのウェッジプリズム50と、ウェッジプリズム50を回転駆動するモータ51(駆動源)を含む。そして、モータ51がウェッジプリズム50を回転駆動することによりレーザ光L1を円錐状に偏角させる。これにより、コニカルスキャン機構40は、三次元LiDARスキャナ2から見た測距点の分布が円弧状となるコニカルスキャンを実現する。ウェッジプリズム50は、レーザ光L1が入射する入射面50aと、レーザ光L1が出射する出射面50bと、を有する。入射面50aは、出射面50bに対して傾斜している。
【0072】
そして、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ52を備える。コリメータレンズ52は、レーザ光源14から出射したレーザ光L1を平行光とするものであって、平凸球面レンズ状に形成されている。そして、コリメータレンズ52は、ウェッジプリズム50と一体化している。即ち、コリメータレンズ52は、ウェッジプリズム50の入射面50aに設けられている。これによれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。また、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0073】
即ち、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が一体化していることで、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50間の空間を不要とすることにより、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0074】
また、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が一体化していることで、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、レーザ光L1がコリメータレンズ52及びウェッジプリズム50を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0075】
更に、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が一体化していることで、コリメータレンズ52とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、ウェッジプリズム50のイナーシャが大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によってウェッジプリズム50の回転速度が変動し難い。
【0076】
上記のコリメータレンズ52は、ウェッジプリズム50の入射面50aに設けることに代えて、ウェッジプリズム50の出射面50bに設けてもよい。この場合でも、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制と共に、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、
図14を参照して、本開示の第5実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0078】
上記第4実施形態では、例えば
図13に示すように、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とコリメータレンズ52を備えている。コリメータレンズ52は、コニカルスキャン機構40を構成するウェッジプリズム50の入射面50aに設けられている。
【0079】
これに対し、本実施形態では、
図14に示すように、光路制御部22は、コニカルスキャン機構40とビームエキスパンダ用の2つのレンズ55を備える。2つのレンズ55は、平凹レンズ55aと平凸レンズ55bを含む。平凹レンズ55aは、ウェッジプリズム50の入射面50aに設けられ、ウェッジプリズム50と一体化している。平凸レンズ55bは、ウェッジプリズム50の出射面50bに設けられ、ウェッジプリズム50と一体化している。これによれば、ウェッジプリズムの安定した回転を実現することができる。また、三次元LiDARスキャナ2の小型化、出射光のパワーロス抑制に寄与することができる。
【0080】
即ち、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が一体化していることで、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、2つのレンズ55とウェッジプリズム50間の空間を不要とすることにより、三次元LiDARスキャナ2の小型化に寄与する。
【0081】
また、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が一体化していることで、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、レーザ光L1が2つのレンズ55及びウェッジプリズム50を通過する際の界面数が削減される。従って、レーザ光L1のパワーロスが抑制され、三次元LiDARスキャナ2の測距可能な距離が延びる。
【0082】
更に、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が一体化していることで、2つのレンズ55とウェッジプリズム50が互いに離れて配置されている場合と比較して、ウェッジプリズム50のイナーシャが大きくなる。従って、例えば外部から与えられる振動などの外乱によってウェッジプリズム50の回転速度が変動し難い。
【符号の説明】
【0083】
1 異物検出システム
2 三次元LiDARスキャナ
3 異物検出装置
5 出射部
6 光学機構系
6a 照射光学系
6b 受光光学系
7 計測部
11 制御部
12 発振器
13 光源ドライバ
14 レーザ光源
15 スキャンドライバ
20 第1光学素子
21 第2光学素子
22 光路制御部
30 受光素子
31 受光素子
32 測距部
33 点群データ生成部
40 コニカルスキャン機構
41 コリメータレンズ
42 第1のウェッジプリズム
42a 入射面
42b 出射面
43 第2のウェッジプリズム
43a 入射面
43b 出射面
44 駆動源
44a モータ
44b モータ
45 レンズ
45a 平凹レンズ
45b 平凸レンズ
50 ウェッジプリズム
50a 入射面
50b 出射面
51 モータ
52 コリメータレンズ
55 レンズ
55a 平凹レンズ
55b 平凸レンズ