(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090523
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】平台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/06 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B62B5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206484
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】507181073
【氏名又は名称】祖峰企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】田中 征三
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軽量で強度が高い、かつハンドルが積載物と接触干渉することがなく着脱可能な平台車を提供する。
【解決手段】平台車100は、前後フレーム材11a、11bと左右フレーム材12a,12bが4つの連結部材13を介して連結されて四角形に形成された台車本体10と、台車本体の四隅の下面にそれぞれ設けられた4つのキャスター20と、前後フレーム材のいずれか又は両方の下面中間部に設けられた係合凹部を有する結合フック30と、一端部に握持部41を設け、他端部に係合凹部に係脱可能な係合金具を設けたロッド状のハンドル40とを備え、4つの接続部材は、矩形又は多辺形の板材であり、台車本体の四隅の下面に設けられ、4つのキャスターは、連結部材の下面に装着されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後フレーム材と左右フレーム材が4つの連結部材を介して連結されて四角形に形成された台車本体と、
前記台車本体の四隅の下面にそれぞれ設けられた4つのキャスターと、
前記前後フレーム材のいずれか又は両方の下面中間部に設けられた係合凹部を有する結合フックと、
一端部に握持部を設け、他端部に前記係合凹部に係脱可能な係合金具を設けたロッド状のハンドルとを備え、
前記4つの接続部材は、矩形又は多辺形の板材であり、前記台車本体の四隅の下面に設けられ、
前記4つのキャスターは、前記連結部材の下面に装着されていることを特徴とする平台車。
【請求項2】
前記結合フックは、金属製板材からなる長方形のベース部の片方の長辺に所定間隔をあけて立設される1対のコ字状の係合凹部を有し、前記ベース部は前記前後フレーム材のいずれかの下面中間部に固着され、
前記ハンドルの前記係合金具は、T字状をなす板材からなり、先端部に折り曲げ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平台車。
【請求項3】
前後フレーム材と左右フレーム材は、それぞれの端部においてネジ止めで前記連結部材の上面に固着され、互いに連結されており、
前記4つのキャスターは、ネジ止めで前記連結部材の下面に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の平台車。
【請求項4】
前記前後フレーム材及び左右フレーム材は、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の平台車。
【請求項5】
前記左右フレーム材の垂直辺には、前記台車本体に載置される積載物を固定するための紐を挿通する複数の穴が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の平台車。
【請求項6】
前記アルミ押し出し材の断面視の上端部及び角部には、補強が施されていることを特徴とする請求項4に記載の平台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を上に載せて運搬するのに用いる平台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物搬送用の台車は、工場や工事現場における荷物の運搬から宅配に至る様々な分野で広く用いられている。このような荷物搬送用の台車は、矩形状の台盤の下面側の4隅部に走行用のキャスターを装着して形成されており、台車の台盤の上に荷物を載せ、作業者が押したり引いたりすることによって運搬できるようになっている。
【0003】
また、組立式平台車として、フレームの組合せで容易に組立てられる平台車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された平台車は、二組の長短尺フレームと4脚のキャスターとからなり、該長尺フレームの両端の部分が平面視で内側へ直角に曲がり、さらに最先端が直角に外側に曲がりカギ形状を形成し、該先端のカギ形状部分に取付け孔を加工し、該短尺フレームの両端を長尺フレームの両先端の凸形のカギ形状が噛み合うように刳り貫き凹形のカギ形状に加工し、この凸凹のカギ形状は、4本の各長短フレームがそれらの両端で直角な井桁に噛み合わさるように形成され、該噛み合わされた井桁の各4角はキャスターに備わっている台座の上にビスとナットによって組み付けられる。
【0004】
また、スーパーマーケット等において箱詰めされた商品を運搬したり、運搬した商品をそのまま陳列して販売したりする場合等に使用され、空台車時に持ち運ぶための取っ手穴を台板の周縁に設けてなる平台車を引いたり、押したりする際に用いる取っ手穴に係脱可能な平台車用ハンドルが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載された平台車用ハンドルは、平台車における矩形の台板の少なくとも前後の辺縁の中間部に穿設した辺縁に沿う矩形の取っ手穴の周辺に係脱される平台車用ハンドルであって、取っ手穴の長さより小幅の帯板を、取っ手穴の周辺における台板の側面、上面、取っ手穴の外側上縁から内側下縁に至る平面及び台板の下面に順次沿うように折曲した係合金具と、一端部に握持部を設けたロッド状を呈する所要長さのハンドル本体とを備え、ハンドル本体の他端部を水平な連結ピンを介して係合金具における台板の側面に沿う部分の外側に回動可能に連結したことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5950229号公報
【特許文献2】特許第3498286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているごとき従来の平台車は、4本の各長短フレームの先端部に互いに噛み合わせるための凸凹のカギ形状が形成されるため、構造が複雑で、加工コストが高いという問題点があった。
【0008】
また、特許文献2に記載されているごとき従来の平台車用ハンドルは、平台車の積載面に設けられた取っ手穴(取り付け穴)にハンドルの係合金具を挿入して係合する構造となっているため、台車として使用時に積載物とハンドルの係合金具が接触干渉することにより、積載物への保全に不安があるという問題点があった。また、ハンドルの係合金具の上に積載物がある場合、ハンドルが台車本体から取り外すことができないという問題点もあった。
【0009】
従って、本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、軽量で強度が高い、かつハンドルが積載物と接触干渉することがなく着脱可能な平台車を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、平台車の一部が破損しても簡単に交換し、再利用可能な平台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、平台車は、前後フレーム材と左右フレーム材が4つの連結部材を介して連結されて四角形に形成された台車本体と、台車本体の四隅の下面にそれぞれ設けられた4つのキャスターと、前後フレーム材のいずれか又は両方の下面中間部に設けられた係合凹部を有する結合フックと、一端部に握持部を設け、他端部に係合凹部に係脱可能な係合金具を設けたロッド状のハンドルとを備え、4つの接続部材は、矩形又は多辺形の板材であり、台車本体の四隅の下面に設けられ、4つのキャスターは、連結部材の下面に装着されている。
【0012】
平台車において、前後フレーム材と左右フレーム材が4つの連結部材を介して連結されて四角形に形成された台車本体の四隅の下面にそれぞれキャスターが設けられ、前後フレーム材のいずれか又は両方の下面中間部に係合凹部を有する結合フックが設けられ、ロッド状のハンドルに係合凹部に係脱可能な係合金具が設けられたことにより、作業者が押したり引いたりすることができ、軽量、構造簡単で、かつハンドルが積載物(荷物)と接触干渉することがなく着脱可能となる。また、加工コストを大幅に削減することができる。
【0013】
結合フックは、金属製板材からなる長方形のベース部の片方の長辺に所定間隔をあけて立設される1対のコ字状の係合凹部を有し、ベース部は前後フレーム材のいずれかの下面中間部に固着され、ハンドルの係合金具は、T字状をなす板材からなり、先端部に折り曲げ部が設けられていることが好ましい。これにより、ハンドルが積載物と接触干渉することがなく、ハンドルの取り付け、取り外しが簡単にできる。
【0014】
前後フレーム材と左右フレーム材は、それぞれの端部においてネジ止めで連結部材の上面に固着され、互いに連結されており、4つのキャスターは、ネジ止めで連結部材の下面に取り付けられていることも好ましい。これにより、一部の部品が破損した場合、簡単に交換し、再利用できる。
【0015】
前後フレーム材及び左右フレーム材は、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されていることも好ましい。これにより、軽量で作業能率を向上させられながら十分な強度が保てるうえ、リサイクル性に優れている。
【0016】
左右フレーム材の垂直辺には、台車本体に載置される積載物を固定するための紐を挿通する複数の穴が設けられていることが好ましい。これにより、荷崩れを防止することができる。
【0017】
アルミ押し出し材の断面視の上端部及び角部には、補強が施されていることが好ましい。これにより、台車本体の強度を向上することができる。従来のアルミ台車に比べて強度に優れる台車を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、平台車は、前後フレーム材と左右フレーム材が4つの連結部材を介して連結されて四角形に形成された台車本体の四隅の下面にそれぞれキャスターが設けられ、前後フレーム材のいずれか又は両方の下面中間部に係合凹部を有する結合フックが設けられ、ロッド状のハンドルに係合凹部に係脱可能な係合金具が設けられたことにより、作業者が押したり引いたりすることができ、軽量で強度が高い、かつハンドルが積載物と接触干渉することがなく着脱可能となる。また、加工コストを大幅に削減することができる。
【0019】
また、前後フレーム材と左右フレーム材は、それぞれの端部においてネジ止めで連結部材の上面に固着され、互いに連結されており、4つのキャスターは、ネジ止めで連結部材の下面に取り付けられていることで、一部の部品が破損した場合、簡単に交換し、再利用できる。
【0020】
さらに、前後フレーム材及び左右フレーム材は、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されていることで、より軽量で作業能率を向上させられながら十分な強度が保てるうえ、リサイクル性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態の平台車の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の平台車の構成を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図1の平台車の構成を概略的に示す上面図である。
【
図4】
図1の平台車の構成を概略的に示す底面図である。
【
図5】
図1の平台車の構成を概略的に示す背面図である。
【
図6】
図1の平台車の前後フレーム材及び左右フレーム材の断面図である。
【
図7】
図1の平台車の結合フックの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図8】
図1の平台車の係合金具の構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る平台車の実施形態を、図を参照して説明する。本発明に係る平台車は、荷物をその上に載置して搬送するためのものである。即ち、荷物を上に載せて、作業者が押したり引いたりすることによって運搬できる荷物搬送用の台車である。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態の平台車100の構成を概略的に示しており、
図2はこの平台車100の側面状態を示している。
図3は平台車100の上から見た状態を示している。
図4は平台車100の下から見た状態を示している。
図5は平台車100の背面側(ハンドル側)から見た状態を示している。
図6は
図1中のA-A線断面図である。
図7は結合フックの構成を概略的に示す斜視図である。
図8は係合金具の構成を概略的に示す斜視図である。
【0024】
図1から
図5に示すように、本実施形態の平台車100は、荷物を載置するための台車本体10と、台車本体10の四隅の下面にそれぞれ設けられた4つのキャスター20と、前後フレーム材のいずれかの下面中間部に設けられた係合凹部32を有する結合フック30と、係合凹部32に係脱可能な係合金具42を設けたロッド状のハンドル40とを備えている。
【0025】
台車本体10は、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bが4つの連結部材13を介して連結されて四角形に形成されている。前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bの各々は、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されている(
図6参照)。また、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bは、それぞれの端部においてネジ止めで連結部材13の上面に固着され、互いに連結されている。4つの接続部材13は、矩形の板材であり、台車本体10の四隅の下面に設けられている。また、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bのアルミ押し出し材の断面視の上端部及び角部には、補強が施されている。
図6に示すように、上端部の内側に断面視略半円形突起の補強部Tが形成されており、角部に補強部Rが形成されている。また、左右フレーム材12a及び12bの垂直辺には、台車本体に載置される積載物を固定するための紐を挿通する複数の穴14が設けられている。なお、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bの取り付けネジには、例えば、極低頭六角穴付きボルトを用いる。
【0026】
4つのキャスター20は、市販の自在キャスターであり、ネジ止めで連結部材13の下面に取り付けられている。キャスター20は、回転式のものでも、固定式のものでも良い。また、キャスター20の取り付けネジ21は、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bを連結部材13に固定するためのネジと共通することになっており、即ち、取り付けネジ21は、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bを連結部材13に固定すると共に、キャスター20を連結部材13に固定するようになっている。キャスター20の取り付けネジ22は、キャスター20のみを連結部材13に固定するようになっている。これにより、部品数が少なくなり、加工コストを削減することができる。なお、取り付けネジ21及び22には、例えば、極低頭六角穴付きボルトを用いる。
【0027】
結合フック30は、
図7に示すように、金属製板材からなる長方形のベース部31の片方の長辺に所定間隔をあけて立設される1対のコ字状の係合凹部32を有し、ベース部31は前後フレーム材11a及び11bのいずれか(例えば、後フレーム材11b)の下面中間部に固着されている。
【0028】
ハンドル40は、一端部に握持部41を設け、他端部に係合凹部32に係脱可能な係合金具42を設けたロッド状のものである。係合金具42は、
図8に示すように、T字状をなす板材からなり、先端部に折り曲げ部42aが設けられている。また、取り付け部には取り付け用の貫通穴42bが設けられている。係合金具42は、これらの取り付け用の貫通穴42bを介してロッドに取り付けられている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態における平台車100は、荷物を載置するための台車本体10と、台車本体10の四隅の下面にそれぞれ設けられた4つのキャスター20と、前後フレーム材のいずれかの下面中間部に設けられた係合凹部32を有する結合フック30と、係合凹部32に係脱可能な係合金具42を設けたロッド状のハンドル40とを備えていることで、作業者が押したり引いたりすることができ、軽量で強度が高い、かつハンドル40が積載物と接触干渉することがなく着脱可能となる。また、加工コストを大幅に削減することができる。また、作業者が平台車100を取り扱う際の身体的負担を低減することができる。さらに、係合凹部32は後フレーム材11bの下面に設けられているため、荷物を載置した状態でハンドル40を装着、使用でき、かつ台車本体10の平面面積が増えないので、収納時邪魔にならない。
【0030】
また、ハンドル40が積載物(荷物)と接触干渉することがなく、ハンドル40の取り付け、取り外しが簡単にできる。
【0031】
また、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bは、それぞれの端部においてネジ止めで連結部材13の上面に固着され、互いに連結されており、4つのキャスター20は、ネジ止めで連結部材13の下面に取り付けられているため、一部の部品が破損した場合、簡単に交換し、再利用できる。
【0032】
また、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bは、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されているため、より軽量で作業能率を向上させられながら十分な強度が保てるうえ、リサイクル性に優れている。
【0033】
また、左右フレーム材12a及び12bの垂直辺には、台車本体10に載置される積載物を固定するための紐を挿通する複数の穴14が設けられているため、荷崩れを防止することができる。
【0034】
また、アルミ押し出し材の断面視の上端部及び角部には、補強が施されているため、台車本体10の強度を向上することができる。
【0035】
なお、上述した実施形態の平台車100において、前後フレーム材11a及び11bと左右フレーム材12a及び12bは、L字形横断面のアルミ押出形材から形成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の横断面形状(角パイプ等)のアルミ押出形材から形成されても良い。
【0036】
また、上述した実施形態の平台車100において、結合フック30は、後フレーム材11bのみに設けている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。前フレーム材11aにも設けるようにしても良い。この場合、ハンドル40を前後フレーム材11a及び11bのいずれかに係合させ、平台車100を押したり引いたりすることができる。
【0037】
さらに、上述した実施形態の平台車100において、上述した実施形態の平台車100において、接続部材13は矩形の板材である例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、接続部材13に多辺形の板材を用いても良い。
【0038】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0039】
10 台車本体
11a 前フレーム材
11b 後フレーム材
12a、12b 左右フレーム材
13 接続部材
14 穴
20 キャスター
21、22 取り付けネジ
30 結合フック
31 ベース部
32 係合凹部
40 ハンドル
41 握持部
42 係合金具
42a 折り曲げ部
42b 貫通穴
100 平台車
R,T 補強部