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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090526
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】球体回収装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 47/02 20060101AFI20240627BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20240627BHJP
   A63B 69/38 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A63B47/02 B
A63B69/36 522Q
A63B69/38 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206488
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】李 根浩
(72)【発明者】
【氏名】砥上 真久
(72)【発明者】
【氏名】早川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】帖佐 悦男
(57)【要約】
【課題】様々な球体を回収することができる球体回収装置を提供すること。
【解決手段】床面Gに対して前方側に傾斜する第1回転軸11を中心として回転される第1搬送部材12と、床面Gに対して略鉛直方向を向く第2回転軸21を中心として回転される第2搬送部材22と、を備え、第1搬送部材12の下端から搬送側に向けた部位が第2搬送部材22と対向配置されることで、第1搬送部材12と第2搬送部材22とが協働して、大きさ、重量、硬さ表面材質等が異なる様々なボールBを床面Gから第1搬送部材12の上方まで送り出して回収することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面上を走行する走行装置を有する球体回収装置であって、
前記面に対して前方側に傾斜する回転軸を中心として回転される第1搬送部材と、
前記面に対して略鉛直方向を向く回転軸を中心として回転される第2搬送部材と、を備え、
前記第1搬送部材の下端から搬送側に向けた部位が前記第2搬送部材と対向配置されることを特徴とする球体回収装置。
【請求項2】
前記第2搬送部材は、該第2搬送部材が回転されて成される回転体が上方に向けて先細る形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の球体回収装置。
【請求項3】
前記第1搬送部材の下方には前記面に対して傾斜するスロープが形成されており、
前記第2搬送部材は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材により構成されており、
前記スロープには、複数の前記羽根部材がそれぞれ通過可能な複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の球体回収装置。
【請求項4】
前記第2搬送部材は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材により構成されており、
複数の前記羽根部材各々の前記回転軸から先端までの距離は、上方に行くに従い短くなっていることを特徴とする請求項2に記載の球体回収装置。
【請求項5】
複数の前記羽根部材は、回転方向にずれて配設されて螺旋状を成していることを特徴とする請求項3に記載の球体回収装置。
【請求項6】
前記第1搬送部材の前記第2搬送部材側の側部にサイドガイドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の球体回収装置。
【請求項7】
前記第1搬送部材は、放射状に延びる複数の所定羽根部材により構成されており、
複数の前記所定羽根部材は可撓性を有していることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の球体回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体を回収可能な球体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、テニスやゴルフなどボール(球体)を使用するスポーツの練習場や競技場などにおいて、練習で床面や地面等面上に散乱した多数のボールを人手で回収するには多大な労力と時間を要することから、これらボールを効率よく回収するための球体回収装置が提案されている。
【0003】
また、障害者スポーツには、ボッチャ、サウンドテーブルテニス、ゴールボールといったボールを扱う種目が存在するが、これら各種目においても、練習場や競技場で多数のボールを回収することによる障害者や介護者の身体的、精神的、時間的負担を軽減するために球体回収装置の導入が切望されている。
【0004】
この種の球体回収装置として、例えば、球体を上方に向けて搬送する搬送路に沿って複数の駆動ローラを配置するとともに、これら複数の駆動ローラの対向面に、各駆動ローラの周面に沿う円弧型固定壁を配置し、最下方の駆動ローラと円弧型固定壁とで床面上にある球体を挟圧しながら上方に向けて搬送させ、その後順次一つ上方の駆動ロータと円弧型固定壁で球体を挟圧しながらさらに上方に搬送させ、最終的に最上方の駆動ローラによって回収室に落下させて回収するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-244218号公報(第7頁~第9頁、図5図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記障害者スポーツの各種目で使用されるボールはそれぞれ性質(例えば、大きさ、硬さ、重量、材質など)が異なるため、各種目の練習が同場所で同時に開催される場合や、ボッチャのように、ゲーム中において戦術の一環として硬さや材質が異なるボールが使用される場合には、性質が異なるボールが混在した状態で床面や地面上に散乱することがある。
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の球体回収装置は、駆動ローラと円弧型固定壁とで球体を挟圧して搬送する構造であり、回収するボールの大きさや硬さに応じて駆動ローラと円弧型固定壁との隙間の大きさを決定・調整する必要があるので、大きさや硬さが同じボールしか回収することができず、性質が異なるボールを回収するには、各ボールの性質に対応した球体回収装置を個別に用意する必要があるため、汎用性が低いという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、様々な球体を回収することができる球体回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の球体回収装置は、
面上を走行する走行装置を有する球体回収装置であって、
前記面に対して前方側に傾斜する回転軸を中心として回転される第1搬送部材と、
前記面に対して略鉛直方向を向く回転軸を中心として回転される第2搬送部材と、を備え、
前記第1搬送部材の下端から搬送側に向けた部位が前記第2搬送部材と対向配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、第1搬送部材と第2搬送部材とから球体に作用する力の向きが異なることから、第1搬送部材と第2搬送部材とが協働して、大きさ、重量、硬さ表面材質等性質の異なる様々な球体を面から第1搬送部材の上方まで送り出して回収することができる。
【0010】
前記第2搬送部材は、該第2搬送部材が回転されて成される回転体が上方に向けて先細る形状となるように形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1搬送部材から第2搬送部材に向けて送り出された球体を上方に向けて押し上げ、第1搬送部材と第2搬送部材とを円滑に協働させることができる。
【0011】
前記第1搬送部材の下方には前記面に対して傾斜するスロープが形成されており、
前記第2搬送部材は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材により構成されており、
前記スロープには、複数の前記羽根部材がそれぞれ通過可能な複数のスリットが形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1搬送部材と第2搬送部材とを近づけて配置できることで、第1搬送部材と第2搬送部材との間に球体が滞留してしまうことを回避できる。
【0012】
前記第2搬送部材は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材により構成されており、
複数の前記羽根部材各々の前記回転軸から先端までの距離は、上方に行くに従い短くなっていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の羽根部材を用いて滑らかな傾斜面を構成し、球体を上方に向けて円滑に持ち上げることができる。
【0013】
複数の前記羽根部材は、回転方向にずれて配設されて螺旋状を成していることを特徴としている。
この特徴によれば、球体を上方に向けて円滑に持ち上げることができる。
【0014】
前記第1搬送部材の前記第2搬送部材側の側部にサイドガイドが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1搬送部材と第2搬送部材とが協働して球体を上方、かつ、後方に送り出した後に、第1搬送部材とサイドガイドとが協働して球体を後方に送り出すことができる。
【0015】
前記第1搬送部材は、放射状に延びる複数の所定羽根部材により構成されており、
複数の前記所定羽根部材は可撓性を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、所定羽根部材が撓むことで、性質が異なる様々な球体を上方に送り出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例における球体回収装置を示す斜視図である。
図2】(a)は第1搬送部材の要部を特定するための説明図、(b)は図1の球体回収装置の搬送ユニットを示す左側面図、(c)は正面図、(d)は平面図である。
図3】(a)~(d)は第2搬送部材の構造を示す図である。
図4】ゴルフボールの回収態様を説明するための図である。
図5】ボッチャボールの回収態様を説明するための図である。
図6】本発明の変形例としての搬送ユニットを示す概略斜視図である。
図7】(a)~(c)は、図6の搬送ユニットによる様々な球体の搬送態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る球体回収装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
以下、本発明の実施例に係る球体回収装置について、図1図5に基づいて説明する。尚、図1の左下側を球体回収装置の正面側(前方側)、左上側を球体回収装置の左側面側、右下側を球体回収装置の右側面側、右上側を球体回収装置の後面側(後方側)として説明する。
【0019】
図1に示されるように、球体回収装置1は、球体としてのボールBを上方に向けて送り出すための搬送ユニット2と、搬送ユニット2の後側に配置され、該搬送ユニット2により上方に送り出された複数のボールBを貯留可能な貯留部3aを有する貯留ユニット3と、貯留ユニット3の下部における前後左右位置に各々設けられる4個の車輪4(図1において右後側の車輪4は図示略)と、車輪4を駆動して球体回収装置1を走行させる走行装置(図示略)と、搬送ユニット2の各種部材を駆動する搬送装置(図示略)と、走行装置や搬送装置の制御を行う制御装置(図示略)と、から主に構成され、床面G(または地面など面)上に散乱しているボールBを貯留部3aまで搬送することで回収できるようになっている。
【0020】
尚、球体回収装置1は、前進、後進、左折、右折可能とされている。また、自走可能であってもよいし、遠隔操作により走行可能であってもよい。また、車輪4を用いて走行可能とされているが、車輪以外の走行手段により走行可能とされていてもよい。
【0021】
図1及び図2に示されるように、搬送ユニット2は、第1ベース部2aと、第1ベース部2aの右側に連設される第2ベース部2bと、第1ベース部2aに配設され、床面Gに対して上部が前方側に傾斜する第1回転軸11を中心として回転可能な第1搬送部材12と、第2ベース部2bに配設され、床面Gに対して略鉛直方向を向く第2回転軸21を中心として回転される第2搬送部材22と、第1ベース部2aと第2ベース部2bとを区画するように前後方向に向けて立設されるガイド壁31と、から主に構成され、第1ベース部2a及び第2ベース部2b内部には前記搬送装置(図示略)が設けられている。
【0022】
第1ベース部2aは、上方に向けて後側に傾斜するように床面Gに対し傾斜する傾斜面13aと、傾斜面13aの上端から後側に延びる水平面13bと、を有する。傾斜面13aの床面Gに対する傾斜角度θは約60度とされている。尚、傾斜角度θは任意であるが、例えば、約40度~70度の範囲の任意の角度であることが好ましい。
【0023】
第1回転軸11は、傾斜面13aの上部位置にて該傾斜面13aに対し略直交するように、つまり、床面Gに対して上部が前方側に傾斜するように回転可能に配設されている。第1回転軸11の周面からは、複数(本実施例では12枚)の第1羽根部材14が外径方向に向けて放射状に延設されており、隣り合う第1羽根部材14,14間にボールが進入可能とされている。また、これら第1羽根部材14は、可撓性を有する合成樹脂板により略長方形状に形成され、回転方向に向けて湾曲変形可能とされている。
【0024】
尚、第1羽根部材14の枚数、形状、硬さ、材質等は任意であり、種々に変形可能である。また、必ずしも可撓性を有していなくてもよい。
【0025】
このように第1搬送部材12は、第1回転軸11の周面から放射状に延びる複数の第1羽根部材14により構成されており、第1搬送部材12の周面下部、つまり、各第1羽根部材14の先端における傾斜面13a側の角部14cが通過する円の最下位置が床面Gに近接するように配置されている。そして、第1回転軸11を中心として複数の第1羽根部材14が下方の傾斜面13aに沿うように回転することで、床面G上のボールBを回転方向に移送可能とされている。
【0026】
第2ベース部2bは、傾斜面13aの右側辺から前方に向けて延設され、床面Gに対し略垂直に立設されるガイド面23aと、ガイド面23aの前端から右斜め前方に延設され、床面Gに対し略垂直に立設される傾斜ガイド面23bと、を有する。ガイド面23a及び傾斜ガイド面23bは、床面Gから第1回転軸11付近までの上下寸法を有しており、傾斜面13aの上下寸法の約半分の長さ寸法とされている。また、第1搬送部材12の右側に配置され、第2ベース部2b側のボールBを第1ベース部2a側に向けて案内できるようになっている。
【0027】
第2回転軸21は、第2ベース部2b内において床面Gに対し略直交するように回転可能に配設されている。また、図3に示されるように、第2回転軸21の周面下部には、該第2回転軸21に対し略直交する複数(本実施例では4枚)のガイド円盤24a~24dが互いに上下に離間して固定されている。ガイド円盤24a~24dは、外径寸法がガイド円盤24a,24b,24c,24dの順に短寸となっており、正面視において上方に向けて先細る略円錐台形状をなすように配置されている。
【0028】
また、各ガイド円盤24a~24dの外周縁所定箇所には、外径方向に延設される羽根部25a~25dが突設されているとともに、第2回転軸21の周面におけるガイド円盤24dの上方には、外径方向に延設される複数(本実施例では4枚)の羽根部25e~25hが突設されている。つまり、羽根部25a~25dはガイド円盤24a~24dとともに羽根部材を構成し、羽根部25e~25hは単独で羽根部材を構成している。また、これら羽根部25a~25d,25e~25hは、約180度の範囲において回転方向(周方向)かつ上下方向にずれて配設されて螺旋状をなしている。
【0029】
また、羽根部25a~25d,25e~25hは、羽根部25a,25b,25c・・・の順に径方向の長さ寸法が短寸となっているため、第2回転軸21から各羽根部25a~25d,25e~25hの先端までの長さ寸法La~Lhは、長さ寸法La,Lb,Lc・・・の順に短寸となっている(La>Lb>Lc>Ld>Le>Lf>Lg>Lh)。このように長さ寸法La~Lhが上方に行くに従い短寸となることで、第1搬送部材12の周面に接触しないように該周面に沿って近接配置することができる。
【0030】
尚、図3においては、第2回転軸21から羽根部25aの先端までの長さ寸法La及び第2回転軸21から羽根部25hの先端までの長さ寸法Lhのみ図示し、第2回転軸21から各羽根部25b~25gの先端までの長さ寸法Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lgの図示は省略している。
【0031】
このように羽根部25a~25d,25e~25hは、下方から上方に向けて第2回転軸21に漸次近づくように螺旋状に配置されているとともに、各羽根部25a~25d,25e~25hの回転方向(平面視時計回り)の前側には、上方に向けて後側に傾斜する傾斜面26が形成されている。また、これらガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hは、第1羽根部材14よりも硬質の合成樹脂材にて構成されている。よって、図3(a),(b)に示されるように、第2回転軸21が黒矢印方向(平面視時計回り)に回転することで、羽根部25a~25d,25e~25hにより、ボールBが2点鎖線で示すように上方に持ち上げられながら第2回転軸21に近づいていくようになっている。
【0032】
尚、羽根部25a~25d,25e~25hの枚数、形状、硬さ、材質等は任意であり、種々に変形可能である。また、羽根部25a~25d,25e~25hは約180度の範囲に螺旋状に配設されていたが、360度内に任意の範囲で螺旋状に配設されていてもよい。また、約180度の範囲各々に螺旋状の羽根部25a~25d,25e~25hが個別に設けられていてもよい。さらに、羽根部25a~25d,25e~25hは、上下方向にずれていなくてもよい。また、第2回転軸21から各羽根部25a~25hの先端までの長さ寸法La~Lhが上記のように長さ寸法La,Lb,Lc・・・の順に短寸となっていれば、必ずしもガイド円盤24a~24dを設けなくてもよく、羽根部25a~25hのみで第2搬送部材22が構成されていてもよい。
【0033】
図2に戻って、第1ベース部2aにおける傾斜面13aの右側下部位置には、水平方向に延びるスリット27aが上下に離間して複数(本実施例では8個)形成されているとともに、第2ベース部2bにおけるガイド面23a及び傾斜ガイド面23bには、水平方向に延びるスリット27bが上下に離間して複数(本実施例では8個)形成されている。これら第1ベース部2aの各スリット27aと第2ベース部2bの各スリット27bとは連通しており、水平方向に連続するスリットとして構成されている。これら各スリット27a,27bは、ガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hが挿通可能な大きさを有している。
【0034】
このように第2搬送部材22は、第2回転軸21の周面に設けられたガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hにより構成されており、最下方のガイド円盤24a及び羽根部25aが床面Gの上方近傍位置にて該床面Gに沿うように配置され、配置された状態において、第1搬送部材12の下端から搬送側(右側)に向けた部位12eと対向して配置される。より詳しくは、第1搬送部材12の部位12eは、該第1搬送部材12の周面における右側下部、つまり、周面の最下位置から反時計回りの回転角約45度の範囲(図2(a)にて斜線で示される領域を参照)の部位であり、この第1搬送部材12の部位12eと向き合うように第2搬送部材22が配置されている。また、ガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hの回転方向の一部が第2ベース部2bの内部に収容され、他の部分が第2ベース部2bの外部に露呈されるようになっている。
【0035】
より詳しくは、図2に示されるように、第2搬送部材22は、第1搬送部材12の周面右側下部とガイド面23aと床面Gとの間に生じる正面視三角形状の隙間をガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hが通過するように、第1搬送部材12の周面右側下部に対向するように近接して配置される。
【0036】
図2に示されるように、ガイド壁31は、ガイド面23aの上辺から傾斜面13aの右側辺及び水平面13bの右側辺に沿うように立設されており、第1搬送部材12により上方に向けて搬送されるボールBが傾斜面13aの右側辺から落下しないように、上方に向けて案内する。そして、傾斜面13aから水平面13bまで搬送されたボールBは、送り出された勢いで水平面13bから貯留部3a(図1参照)内に落下するようになっている。
【0037】
このように構成された搬送ユニット2は、図2に示されるように、ボールBを後上方に向けて搬送して回収できるように、第1搬送部材12と第2搬送部材22とが左右方向に互いに近接した状態で並設されている。また、第1搬送部材12は略円柱形状をなす回転体とされ、第2搬送部材22は略円錐台形状をなす回転体とされており、互いに形状が異なる回転体とされている。
【0038】
また、第1搬送部材12は、上部が前側に傾斜する第1回転軸11を中心として正面視反時計回りに回転可能な一方で、第2搬送部材22は、略鉛直方向を向く第2回転軸21を中心として平面視時計回りに回転可能であり、互いの回転軸は前後方向に交差している。よって、第1搬送部材12は、ボールBを第1方向(回転方向)に向けて送り出す力を付与するとともに、第2搬送部材22は、ボールBを第1方向とは異なる第2方向(回転方向)に向けて送り出す力を付与する。
【0039】
このように搬送ユニット2は、形状及び回転軸の向き(姿勢)が異なる2つの回転体(第1搬送部材12と第2搬送部材22)により、ボールBに対し2つの方向から力を同時に付与することで、第1搬送部材12と第2搬送部材22とが協働して、大きさ、固さ、重量等が異なる様々なボールBを、床面Gから第1搬送部材12の上方まで傾斜面13aに沿って送り出して回収することができるようになっている。
【0040】
また、2つの回転体(第1搬送部材12と第2搬送部材22)は、形状及び回転軸の向き(姿勢)が異なることで、第1搬送部材12と第2搬送部材22との間に生じる隙間が小さくなるように近接して配置できるため、第1搬送部材12と第2搬送部材22との間に生じる隙間に小さいボールBが滞留することが防止されている。
【0041】
次に、球体を回収する態様の具体例として、まず、床面G上に散乱している球体としての複数のゴルフボールBgを球体回収装置1により回収する態様について、図4に基づいて説明する。
【0042】
まず、球体回収装置1を、第1搬送部材12及び第2搬送部材22を回転させた状態で床面G上を走行させる。そして、図4(a)に示されるように、いずれかのゴルフボールBg(例えば、図4(a)の2点鎖線参照)に接近すると、該ゴルフボールBgが第1搬送部材12の第1羽根部材14,14間に進入し、第1羽根部材14により第2搬送部材22側に向けて送り出されることで、床面G上を傾斜面13aに沿って右側に移動する。
【0043】
ゴルフボールBgが第1搬送部材12の右方に送り出されたとき、ゴルフボールBgは第1搬送部材12と第2搬送部材22との間の隙間に配置され、ガイド円盤24a~24dの周縁に接触し、該ガイド円盤24a~24dの回転力により傾斜面13aの右側下部に押し付けられた状態で滞留する。また、これらガイド円盤24a~24dは正面視上方に向けて先細る形状となるように形成されていることで、ゴルフボールBgを上方に向けて押し上げ、第1搬送部材12と第2搬送部材22とを円滑に協働させることができる。
【0044】
そして、羽根部25a~25d,25e~25hがスリット27bを通過して第2ベース部2b外に移動してくると、羽根部25a~25d,25e~25hによりゴルフボールBgが下側から掬い上げられ、上方に持ち上げられていく(図4(b)参照)。
【0045】
次いで、上昇しながら第1搬送部材12の第1羽根部材14に近接していき、上昇途中で第1羽根部材14により下方から上方に向けて送り出され、第2搬送部材22から離れていく(図4(c)参照)。また、ゴルフボールBgは、第1回転軸11の右側にて第1羽根部材14により上方に送り出されながら傾斜面13a上を移動している間、右側方のガイド壁31により傾斜面13aの右側辺からの落下が規制されるので、上方に向けて安定して送り出される。
【0046】
そして、ゴルフボールBgは、第1回転軸11より上方まで送り出された後、第1羽根部材14から離れて傾斜面13aから水平面13bに乗り上がり、勢いにより水平面13b上を後方に向けて移動して水平面13bの後辺から貯留部3a内に落下して回収される(図4(d)参照)。
【0047】
次に、床面G上に散乱している球体として、ゴルフボールBgよりも外径、また重量が大きい複数のボッチャボールBbを球体回収装置1により回収する態様について、図5に基づいて説明する。
【0048】
まず、球体回収装置1を、第1搬送部材12及び第2搬送部材22を回転させた状態で床面G上を走行させる。そして、図5(a)に示されるように、いずれかのボッチャボールBb(例えば、図5(a)の2点鎖線参照)に接近すると、該ボッチャボールBbが第1搬送部材12の第1羽根部材14,14間に進入し、第1羽根部材14により第2搬送部材22側に向けて送り出されることで、床面G上を傾斜面13aに沿って右側に移動する。尚、ボッチャボールBbは第1羽根部材14,14間に収まらない大きさであるが、第1羽根部材14が変形することで進入が許容される。このように、第1羽根部材14が変形可能であることで、サイズが異なるボールの搬送が可能となる。
【0049】
ボッチャボールBbが第1搬送部材12の右方に送り出されたとき、ガイド円盤24a~24dの周縁に接触し、該ガイド円盤24a~24dの回転力により傾斜面13aの右側下部に押し付けられた状態で滞留する。また、これらガイド円盤24a~24dは正面視上方に向けて先細る形状となるように形成されていることで、ボッチャボールBbを上方に向けて押し上げ、第1搬送部材12と第2搬送部材22とを円滑に協働させることができる。
【0050】
そして、羽根部25a~25d,25e~25hがスリット27bを通過して第2ベース部2b外に移動してくると、羽根部25a~25d,25e~25hによりボッチャボールBbが下側から掬い上げられ、上方に持ち上げられていく(図5(b)参照)。
【0051】
次いで、上昇しながら第1搬送部材12の第1羽根部材14に近接していき、上昇途中で第1羽根部材14により下方から上方に向けて送り出され、第2搬送部材22から離れていく(図5(c)参照)。また、ボッチャボールBbは、第1回転軸11の右側にて、複数の変形した第1羽根部材14により上方に送り出されながら傾斜面13a上を移動している間、右側方のガイド壁31により傾斜面13aの右側辺からの落下が規制されるので、上方に向けて安定して送り出される。
【0052】
そして、ボッチャボールBbは、第1回転軸11より上方まで送り出された後、第1羽根部材14から離れて傾斜面13aから水平面13bに乗り上がり、勢いにより水平面13b上を後方に向けて移動して水平面13bの後辺から貯留部3a内に落下して回収される(図5(d)参照)。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施例としての球体回収装置1にあっては、床面Gに対して前方側に傾斜する第1回転軸11を中心として回転される第1搬送部材12と、床面Gに対して略鉛直方向を向く第2回転軸21を中心として回転される第2搬送部材22と、を備え、第1搬送部材12の下端から搬送側に向けた部位が第2搬送部材22と対向配置される。これによれば、第1搬送部材12と第2搬送部材22とからボールBに作用する力の向きが異なることから、第1搬送部材12と第2搬送部材22とが協働して、大きさ、重量、硬さ表面材質等の性質が異なる様々なボールBを床面Gから第1搬送部材12の上方まで送り出して回収することができる。
【0054】
また、第2搬送部材22は、該第2搬送部材22が回転されて成される回転体が上方に向けて先細る円錐台形状となるように形成されていることで、第1搬送部材12から第2搬送部材22に向けて送り出されたボールBを上方に向けて押し上げ、第1搬送部材12と第2搬送部材22とを円滑に協働させることができる。また、第2回転軸21から各羽根部25a~25d,25e~25hの先端までの長さ寸法La~Lhが上方に行くに従い短寸となることで、第1搬送部材12の周面に接触しないように該周面に沿って第2搬送部材22を第1搬送部材12に対し近接配置することができる。
【0055】
また、第1搬送部材12の下方には床面Gに対して傾斜する傾斜面13a(スロープ)が形成されており、第2搬送部材22は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材(羽根部25a~25d,25e~25h)により構成されており、傾斜面13aには、複数の羽根部材がそれぞれ通過可能な複数のスリット27aが形成されている。これによれば、第1搬送部材12と第2搬送部材22とを近づけて配置できることで、第1搬送部材12と第2搬送部材22との間にボールBが滞留してしまうことを回避できる。
【0056】
また、第2搬送部材22は、上下に離間して設けられた複数の羽根部材(羽根部25a~25d,25e~25h)により構成されており、複数の前記羽根部材各々の第2回転軸21から先端までの距離としての寸法La~Lhは、上方に行くに従い短くなっていることで、複数の羽根部材を用いて滑らかな傾斜面を構成し、ボールBを上方に向けて円滑に持ち上げることができる。
【0057】
また、複数の羽根部材(羽根部25a~25d,25e~25h)は、回転方向にずれて配設されて螺旋状を成していることで、ボールBを上方に向けて円滑に持ち上げることができる。
【0058】
また、第1搬送部材12の第2搬送部材22側の側部にガイド壁31(サイドガイド)が設けられていることで、第1搬送部材12と第2搬送部材22とが協働してボールBを上方に持ち上げた後に、第1搬送部材12とガイド壁31とが協働してボールBを後方に送り出すことができる。
【0059】
また、第1搬送部材12は、放射状に延びる複数の第1羽根部材14(所定羽根部材)により構成されており、第1羽根部材14は可撓性を有していることで、第1羽根部材14が撓むことで、大きさや硬さ等の性質が異なる様々なボールBを上方に送り出しやすくなる。
【0060】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0061】
例えば、前記実施例では、第1搬送部材12は、第1回転軸11から放射状に延びる複数の第1羽根部材14から構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、円柱状などの回転体にて構成されていれば、必ずしも複数の羽根部を有していなくてもよい。また、前記実施例では、第2搬送部材22は、第2回転軸21に設けられたガイド円盤24a~24d及び羽根部25a~25d,25e~25hにて構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、円錐台などの回転体にて構成されていれば、必ずしも複数の羽根部を有していなくてもよい。
【0062】
ここで、本発明の変形例としての搬送ユニット2Aによる球体搬送の仕組みについて、図6及び図7に基づいて説明する。本変形例としての搬送ユニット2Aは、主に、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aの構造が上述した実施例の構造とは異なっている。尚、図6及び図7においては、前記実施例の搬送ユニット2と同様の構成部位については同様の符号を付すことで説明は省略する。
【0063】
図6に示されるように、搬送ユニット2Aは、ボールBをY軸方向の後側に向けて回収するように、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22AとがX軸方向に互いに近接した状態で並設されている。また、第1搬送部材12は略円柱形状をなす回転体とされ、第2搬送部材22は略円錐台形状をなす回転体とされており、互いに形状が異なる回転体とされている。
【0064】
また、第1搬送部材12Aは、Z軸に対し上部が前側に傾斜する第1回転軸11を中心として正面視反時計回りに回転可能な一方で、第2搬送部材22Aは、Z軸方向を向く第2回転軸21を中心として平面視時計回りに回転可能であり、互いの回転軸は前後方向に交差している。よって、第1搬送部材12Aは、ボールBを第1方向(回転方向)に向けて送り出す力を付与するとともに、第2搬送部材22Aは、ボールBを第1方向とは異なる第2方向(回転方向)に向けて送り出す力を付与する。
【0065】
このように搬送ユニット2Aは、形状及び回転軸の向き(姿勢)が異なる2つの回転体(第1搬送部材12Aと第2搬送部材22A)により、ボールBに対し2つの方向から力を同時に付与することで、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aとが協働して、性質が異なるボールBを床面Gから第1搬送部材12Aの上方まで、傾斜面13aに沿って送り出して回収することができるようになっている。
【0066】
また、2つの回転体(第1搬送部材12Aと第2搬送部材22A)は、形状及び回転軸の向き(姿勢)が異なることで、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aとの間に生じる隙間が小さくなるように近接して配置できるため、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aとの間に生じる隙間に小さいボールBが滞留することが防止されている。
【0067】
具体的には、図7(a)に示されるように、所定の性質を有するボールB1の場合でも、図7(b)に示されるように、ボールB1よりもサイズが小さいボールB2の場合でも、図7(c)に示されるように、ボールB1とサイズは略同じだがボールB1よりも重量が大きいボールB3の場合でも、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aが回転することで、大きさ等が異なる各々のボールB1,B2,B3に対し、第1搬送部材12A及び第2搬送部材22A各々から異なる方向の力(図中白矢印参照)が付与されるため、大きさ等が異なる様々なボールB1,B2,B3を搬送可能となる。
【0068】
尚、第1搬送部材12Aと第2搬送部材22Aは、例えば、合成樹脂材等、種々の素材により構成されていてもよい。また、周面は硬質の合成樹脂材で構成されていてもよいし、ゴム材等の弾性変形可能な部材で構成されていてもよい。
【0069】
また、前記実施例では、搬送ユニット2には、傾斜面13a、水平面13b、ガイド壁31、ガイド面23a、傾斜ガイド面23bを有する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも第1搬送部材12と第2搬送部材22を有していれば、必ずしもこれら傾斜面13a、水平面13b、ガイド壁31、ガイド面23a、傾斜ガイド面23bを有していなくてもよい。
【0070】
また、前記実施例では、第1搬送部材12の右方に第2搬送部材22が配置される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1搬送部材12の左方に第2搬送部材22が配置されていてもよい。
【0071】
また、前記実施例では、球体の一例として、ゴルフボールBg、ボッチャボールBbを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記以外の種々のスポーツで使用されるボール、あるいは、スポーツ以外で使用される球体(例えば、玩具等の球体)も適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 球体回収装置
2,2A 搬送ユニット
2a 第1ベース部
2b 第2ベース部
3 貯留ユニット
3a 貯留部
4 車輪
11 第1回転軸(回転軸)
12,12A 第1搬送部材
13a 傾斜面(スロープ)
13b 水平面
14 第1羽根部材(所定羽根部材)
14c 角部
21 第2回転軸(回転軸)
22,22A 第2搬送部材
23a ガイド面
23b 傾斜ガイド面
24a~24d ガイド円盤(羽根部材)
25a~25h 羽根部(羽根部材)
27a,27b スリット
31 ガイド壁(サイドガイド)
B,Bg,Bb ボール(球体)
G 床面(面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7