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特開2024-90530取引処理システム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090530
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】取引処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20240627BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20240627BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240627BHJP
【FI】
G07G1/00 301D
G07G1/12 321Z
G07G1/12 331E
G06Q30/06
G07G1/00 331B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206499
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】五反田 剛
【テーマコード(参考)】
3E142
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142BA01
3E142DA08
3E142EA04
3E142EA25
3E142FA42
3E142GA16
3E142GA22
3E142GA41
3E142JA01
3E142KA01
5L030BB44
5L049BB44
(57)【要約】
【課題】 取引の対象となる商品の登録のための操作が客により行われる状況において、操作の誤りが放置されることを防止可能とする。
【解決手段】 実施形態の取引処理システムは、登録手段及び判定手段を備える。登録手段は、指定された商品を取引の対象となる取引商品として登録する。判定手段は、登録手段により登録済みの取引商品が、当該取引商品を収容するための容器の収容空間において占める度合いを判定する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された商品を取引の対象となる取引商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により登録済みの取引商品が、当該取引商品を収容するための容器の収容空間において占める度合いを判定する判定手段と、
を具備する取引処理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記登録手段により登録済みの取引商品のうちで予め除外対象として定められた商品に関しては度合いの判定に考慮しない、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記判定手段により判定された度合いを表す情報を出力する第1の出力手段、
をさらに備える請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項4】
前記判定手段により判定された度合いが予め定められた条件に合致する場合に予め定められた情報を出力する第2の出力手段、
をさらに備える請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項5】
前記登録手段により登録済みの取引商品に関する代金を決済する決済手段、
をさらに備え、
前記第2の出力手段は、監視者に確認を促すとともに、前記監視者による中断指示を受けるための操作画面を表示デバイスで表示させるべく出力し、
前記決済手段は、前記第2の出力手段により出力された操作画面における中断指示がなされたことに応じて決済を実行しない、
請求項4に記載の取引処理システム。
【請求項6】
取引処理装置に備えられたコンピュータを、
指定された商品を取引の対象となる取引商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により登録済みの取引商品が、当該取引商品を収容するための容器の収容空間において占める度合いを判定する判定手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどのような客が所有する情報通信端末、あるいは客に店舗等から貸し出される情報通信端末をユーザインタフェースとして用いて取引処理を行うシステムが知られている。あるいは、店舗に備えられたショッピングカートに取り付けられた情報通信端末を客とのユーザインタフェースとして用いて取引処理を行う取引処理システムが知られている。
【0003】
これらの取引処理システムでは、商品を取引の対象として登録するための操作が店内の至る場所で客により行われるため、誤った操作により商品の登録が適正に行われなかったとしても、それを客又は店員が気づくことができない場合があった。
このような事情から、取引の対象となる商品の登録のための操作が客により行われる状況において、操作の誤りが放置されることを防止できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-85274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、取引の対象となる商品の登録のための操作が客により行われる状況において、操作の誤りが放置されることを防止できる取引処理システム及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の取引処理システムは、登録手段及び判定手段を備える。登録手段は、指定された商品を取引の対象となる取引商品として登録する。判定手段は、登録手段により登録済みの取引商品が、当該取引商品を収容するための容器の収容空間において占める度合いを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る取引処理システムの概略構成を表すブロック図。
図2図1中の取引処理装置の要部回路構成を表すブロック図。
図3図2中の属性データベースに含まれる1つのデータレコードの構造を模式的に表す図。
図4図2中の取引データの構成を模式的に表す図。
図5図1中のアテンダント端末の要部回路構成を表すブロック図。
図6図1中のカート端末の要部回路構成を表すブロック図。
図7】取引処理のフローチャート。
図8】取引処理のフローチャート。
図9】一例としての監視画面の全体の概略を表す図。
図10図9中の表示領域の1つの詳細を表す図。
図11】案内画面の一例を表す図。
図12】中断画面の一例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る取引処理システム1の概略構成を表すブロック図である。
取引処理システム1は、取引処理装置100、会計機200、アテンダント端末300及びカート端末400を、通信ネットワーク2を介して通信可能として構成されている。
なお、取引処理装置100、会計機200、アテンダント端末300及びカート端末400は、それぞれ任意の数が取引処理システム1に含まれてよいが、図1では1台ずつのみを表している。
【0009】
通信ネットワーク2は、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ネットワーク2としては、一例として、インターネット及び移動体通信網が組み合わせて用いられる。
【0010】
取引処理装置100は、会計機200及びカート端末400をユーザインタフェース端末として用いて店舗にて当該店舗の客により行われる操作に従って、当該客と店舗とでの商品の売買取引を処理する取引処理サービスを提供するための情報処理を行う情報処理装置である。取引処理装置100は、例えばクラウドサーバとして実現され、複数の店舗で取引処理サービスを提供する。取引処理装置100は、例えばローカルサーバとして実現され、1つの店舗のみで取引処理サービスを提供するのでもよい。
【0011】
会計機200は、店舗に設置され、取引処理装置100により処理される取引の会計に関わる会計処理を実行する。会計機200は、会計処理に際して、操作者による操作を受ける。会計機200の操作者は、主として客である。店員が会計機200の操作者となる場合もある。
【0012】
アテンダント端末300は、取引処理システム1の利用状況を監視する監視者としての店員により操作される情報処理端末である。上記の店員はアテンダントと称される。アテンダント端末300は、取引処理システム1により処理される取引に関するアテンダントの作業をサポートするための情報処理に関するユーザインタフェースのための端末装置である。アテンダントの作業は例えば、処理中である取引の実施状況を監視し、適宜に客をサポートする作業である。
【0013】
カート端末400は、店舗に備え付けのショッピングカート(以下、カートと称する)に取り付けられる情報処理端末である。カート端末400は、カートとともに客に貸し出される。カート端末400は、取引処理装置100での取引処理のための客による操作を受ける端末装置である。カート端末400には、客に店舗から貸し出され、客により持ち運ばれて利用される情報通信端末が含まれてもよい。
【0014】
図2は取引処理装置100の要部回路構成を表すブロック図である。
取引処理装置100は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、通信ユニット104及び伝送路105等を備える。プロセッサ101と、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103及び通信ユニット104とは、伝送路105を介して通信可能とされている。
【0015】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103を伝送路105で接続することによって、取引処理装置100を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、取引処理装置100としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0016】
メイン記憶ユニット102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット102は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ101によるワークエリアとして使用する。
【0017】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ101での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット103は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つである取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引の対象となる商品(以下、取引商品と称する)の登録と、登録済みの取引商品の代金の決済とのための情報処理(以下、取引処理と称する)の手順について記述されたアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット103の記憶領域の一部は、属性データベースDBA及び取引データDAAを記憶する領域として利用される。属性データベースDBAは、取引商品として登録され得る商品のそれぞれに関して、その属性を表したデータベースである。取引データDAAは、一取引の内容を表すデータである。
【0018】
通信ユニット104は、通信ネットワーク2を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット104としては、例えばインターネット用の既存の有線通信デバイスを用いることができる。なお、通信ユニット104としては、有線通信デバイスに代えて、あるいは加えて、通信ネットワーク2に無線通信により接続される無線通信デバイスが用いられてもよい。
伝送路105は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0019】
図3は属性データベースDBAに含まれる1つのデータレコードREAの構成を模式的に表す図である。
属性データベースDBAは、多数の商品のそれぞれに関連付けられたデータレコードREAの集合である。データレコードREAは、フィールドFAA,FAB、FAC,FAD,FAE,FAF,FAG,FAHを含む。フィールドFAAには、関連付けられた商品の識別子としての商品コードがセットされる。フィールドFABには、関連付けられた商品の商品名がセットされる。フィールドFACには、関連付けられた商品に関する幅の長さがセットされる。フィールドFADには、関連付けられた商品に関する奥行きの長さがセットされる。フィールドFAEには、関連付けられた商品に関する高さの長さがセットされる。フィールドFAC,FAD,FAEにセットされるデータは、一例としては単位をmmとする数値である。関連付けられた商品のどの箇所の長さを幅、奥行き及び高さとするかは、例えば当該のデータレコードの作成者などにより適宜に定められてよい。また、大きさにばらつきのある商品の場合は、例えばそのばらつきの範囲内で定められた代表値がフィールドFAC,FAD,FAEにセットされる。代表値は、例えば平均値又は最大値であるが、どのような代表値を採用するかは、例えば当該のデータレコードの作成者などにより適宜に定められてよい。フィールドFAFには、関連付けられた商品に関する温度帯がセットされる。フィールドFAFにセットされるデータは、一例としては「常温」「冷蔵」「冷凍」及び「高温」を識別するデータである。フィールドFAGには、関連付けられた商品が、「硬い」「柔らかい」、あるいはそれ以外のいずれであるかを表すデータがセットされる。フィールドFAGには、関連付けられた商品を後述する占有容積計算の対象から除害するか否かを表す除外フラグがセットされる。除外フラグは、例えば大型商品などのように通常は買物カゴに投入されないような商品に関しては、除外を表す状態とされる。かくして、フィールドFAC,FAD,FAE,FAF,FAG,FAHにセットされる各データは、フィールドFAA,FABで識別される商品に関する属性を表す。
なおデータレコードREAは、上述するフィールドの一部を含まなくてもよい。あるいはデータレコードREAは、例えば重量などのような属性に関する別のデータがセットされたフィールドが追加されてもよい。
【0020】
取引処理装置100が、複数の店舗で取引処理サービスを提供するのであれば、それら複数の店舗のそれぞれに関連付けた複数の属性データベースDBAが補助記憶ユニット103に記憶されてもよい。また、複数の店舗に複数の企業に属する店舗が混在するならば、それら複数の企業のそれぞれに関連付けた複数の属性データベースDBAが補助記憶ユニット103に記憶されてもよい。属性データベースDBAは、取引処理サービスの提供開始前に、適宜の作成者により作成された上で、適宜の作業者による指示に応じて補助記憶ユニット103に書き込まれる。属性データベースDBAは、取引商品とされ得る商品の変更に従って、適宜の作業者による指示に応じて更新される。
【0021】
図4は取引データDAAの構成を模式的に表す図である。
取引データDAAは、取引処理装置100にて処理中の取引のそれぞれに関して生成されて補助記憶ユニット103に記憶される。かくして取引データDAAは、補助記憶ユニット103に1つも記憶されない場合もあれば、複数の取引データDAAは、補助記憶ユニット103に同時に記憶される場合もある。
【0022】
取引データDAAは、フィールドFBA,FBB,FBCを含む。取引データDAAは、フィールドFBD以降に任意の数のフィールドを含み得る。フィールドFBAには、該当の取引の識別子としての取引コードがセットされる。フィールドFBBには、該当の取引を行う客が利用するカート端末400の識別子としての端末コードがセットされる。フィールドFBCには、該当の取引を行う客の識別子としての客コードがセットされる。取引商品として登録済みの商品がある場合には、当該の取引商品のそれぞれに関連付けたフィールドFBD,FBE,…が取引データDAAに追加される。フィールドFBD,FBE,…には、それぞれ別々の取引商品に関する商品データがセットされる。商品データには、該当の取引商品の商品コード及び数量が含まれる。商品データには、例えば商品名、単価、割引情報などの別の様々な情報が含まれていてもよい。
【0023】
さて、取引処理装置100のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そして取引処理装置100の譲渡は一般に、補助記憶ユニット103に取引処理プログラムPRAが記憶され、属性データベースDBA及び取引データDAAが記憶されない状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット103に記憶された状態のハードウェアと、取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット103に取引処理プログラムPRAが書き込まれることによって、取引処理装置100が構成されてもよい。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0024】
図5はアテンダント端末300の要部回路構成を表すブロック図である。
アテンダント端末300は、プロセッサ301、メイン記憶ユニット302、補助記憶ユニット303、タッチパネル304、通信ユニット305及び伝送路306等を備える。
【0025】
プロセッサ301、メイン記憶ユニット302、補助記憶ユニット303、通信ユニット305及び伝送路306の機能の概略は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103及び伝送路105と同等であるので、その説明は省略する。ただし補助記憶ユニット303は、取引処理プログラムPRAに代えて、アテンダント端末プログラムPRBを記憶する。アテンダント端末プログラムPRBは、アテンダント端末300を、取引処理装置100により処理され取引のサポートする店員のためのユーザインタフェースとして動作させるためのプロセッサ301の情報処理の手順を記述したアプリケーションプログラムである。
【0026】
タッチパネル304は、アテンダント端末300の操作者に対する情報提示のための画面を表示する。またタッチパネル304は、操作者による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
【0027】
アテンダント端末300のハードウェアとしては、例えば据え置き型のコンピュータ装置が用いられる。アテンダント端末300のハードウェアとしては、タブレット型の情報処理装置、あるいはスマートフォンなどの携帯型の情報処理装置を用いられてもよい。
【0028】
図6はカート端末400の要部回路構成を表すブロック図である。
カート端末400は、プロセッサ401、メイン記憶ユニット402、補助記憶ユニット403、タッチパネル404、カメラ405、インタフェースユニット406、無線通信ユニット407及び伝送路408等を備える。
【0029】
プロセッサ401、メイン記憶ユニット402、補助記憶ユニット403及び伝送路408の機能の概略は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103及び伝送路105と同等である。またタッチパネル404の機能の概略は、タッチパネル304と同等である。ただし補助記憶ユニット403は、取引処理プログラムPRAに代えて、カート端末プログラムPRCを記憶する。カート端末プログラムPRCは、カート端末400を、取引処理装置100による取引処理のためのユーザインタフェースとして動作させるためのプロセッサ401の情報処理の手順を記述したアプリケーションプログラムである。
カメラ405は、カートに載置される買物カゴの内部空間の全体を包含する撮影範囲を撮影して画像を得る。
【0030】
インタフェースユニット406は、スキャナなどの外付け装置が接続される。インタフェースユニット406は、接続された外付け装置とのデータの授受をインタフェースする。インタフェースユニット406としては、既存のUSB(universal serial bus)コントローラ等を利用できる。なおスキャナは、カートに取り付けられており、1次元バーコード及び2次元バーコードなどを光学的にスキャンする。
【0031】
無線通信ユニット407は、通信ネットワーク2を介したデータ通信を無線で行うための通信処理を実行する。無線通信ユニット407としては、例えば無線LAN用の既存の無線通信デバイスを用いることができる。なお、無線通信ユニット407に代えて、あるいは加えて、通信ネットワーク2に有線接続される通信ユニットが用いられてもよい。
カート端末400の基本ハードウェアとしては、例えばタブレット型の情報処理装置のハードウェアを用いることが想定される。
【0032】
次に以上のように構成された取引処理システム1の動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。例えば、以下の説明では、本実施形態の特徴的な動作を分かり易く説明するために、一部の処理についての説明を省略している。例えば、何らかのエラーが発生した場合に、そのエラーに対処するための処理が行われる場合があるが、そのような処理については記載を省略している。
【0033】
客は、未使用状態となっているカート端末400で、利用開始のための予め定められた操作を行う。客は、利用開始のための操作の一環として、客コードをカート端末400に入力するための予め定められた操作を行うこともできる。このような操作を受けたカート端末400にてプロセッサ401は、取引処理装置100にチェックインを要求する。つまりプロセッサ401は例えば、チェックインの要求のための要求データを、取引処理装置100に宛てて無線通信ユニット407から通信ネットワーク2へと送出する。プロセッサ401は、補助記憶ユニット403に記憶されているチェックインデータと、カート端末400の端末コードとを上記の要求データに含める。なお端末コードは、該当のカート端末400に対し、他のカート端末400と識別可能に予め割り振られて、例えば補助記憶ユニット403に記憶されている。プロセッサ401は、客コードが入力された場合には、当該の客コードも要求データに含める。チェックインデータは、カート端末400が利用される店舗を識別するための情報を少なくとも含む。当該の情報は、例えば店舗の識別子として定められた店舗コードである。当該の情報は、同じ企業により運営される複数の店舗を区別する必要がなければ、例えば企業を識別するための企業コードであってもよい。また当該の情報は、異なる企業で同じ店舗コードが用いられ得るのであれば、例えば企業コードと店舗コードとを含む。
【0034】
チェックインデータが通信ネットワーク2により取引処理装置100へと伝送されると、取引処理装置100では当該のチェックインデータを通信ユニット104が受信し、メイン記憶ユニット102又は補助記憶ユニット103に一時保存する。
このようにして、カート端末400から送出されたチェックインデータが取引処理装置100により受信されると、プロセッサ101は、一取引に関する取引処理を取引処理プログラムPRAに従って開始する。
【0035】
プロセッサ101は、異なる客に関する別の取引を対象とした取引処理を既に実行しているならば、その取引処理とは別スレッドの処理として新たな取引処理を開始する。つまりプロセッサ101は、取引処理を、複数並列して実行することもある。しかしながら以下の説明は、一の客に関する取引の処理に関してのみ着目する。かくして以下の説明における「カート端末400」は、着目している取引処理のために客により利用されている一のカート端末400を指す。また以下の説明における「取引」は、着目している処理の対象となっている取引を指す。
【0036】
図7及び図8はプロセッサ101による取引処理のフローチャートである。
図7中のACT11としてプロセッサ101は、チェックイン処理を行う。プロセッサ101は例えば、上記のように受信されたチェックインデータに基づいて、開始すべき取引が行われる条件を確認した上で、当該の取引を処理し、管理するための予め定められた処理を実行する。このチェックイン処理は、例えば既存のカートPOSサービスにより行われているのと同様な処理であってよい。なおプロセッサ101は、当該のチェックイン処理において、対象の取引に関する新たな取引データDAAを生成する。つまりプロセッサ101は例えば、他の取引を識別するための取引コードとは異なる新たな取引コードを予め定められたルールに従って決定し、この取引コードをフィールドFBAにセットするとともに、要求データに含まれた端末コードをフィールドFBBにセットした新たな取引データDAAを生成し、補助記憶ユニット103に記憶させる。なおプロセッサ101は、要求データに客コードが含まれるならば、当該の客コードを上記の新たに生成する取引データDAAのフィールドFBCにセットする。プロセッサ101は、要求データに客コードが含まれないならば、上記の新たに生成する取引データDAAのフィールドFBCは、例えばnull状態としておく。プロセッサ101は、取引商品の登録前であるから、上記の新たに生成する取引データDAAには商品データを含めない。
【0037】
客は、店舗内で取引の対象とする商品を探す。そして客は、商品を新たに取引商品として登録する場合は、当該の商品を指定するための予め定められた操作をカート端末400にて行う。当該の操作は、例えばJAN(Japanese article number)コードなどの商品コードを表したバーコードをスキャナにスキャンさせるための操作である。当該の操作は、例えばタッチパネル404による表示画面に表されて商品が関連付けられたプリセットボタンをタップする操作である。当該の操作は、例えば商品コードをタッチパネル404にて直接入力する操作である。客は、登録済みの取引商品の購入数を増加又は減少するならば、該当の取引商品に関する数量変更の指示のための予め定められた操作をカート端末400にて行う。客は、登録済みの取引商品の購入を取りやめるならば、該当の取引商品の取り消しを指示するための予め定められた操作をカート端末400にて行う。これらの操作に応じて、カート端末400にてプロセッサ401は、商品コードと、商品登録、数量変更又は取消の区分の通知とを伴って取引内容の変更を取引処理装置100に対して要求する。
【0038】
取引処理装置100にてプロセッサ101は、上記のチェックイン処理を終えると、ACT12へと進む。
ACT12としてプロセッサ101は、取引内容の変更が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ101は、会計開始が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT12へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT12及びACT13としては、変更又は会計開始が要求されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、上述のようにカート端末400から変更が要求されたならば、ACT12にてYESと判定し、ACT14へと進む。
【0039】
ACT14としてプロセッサ101は、取引データDAAを要求に応じて更新する。つまりプロセッサ101は例えば、商品登録の要求であれば、新たに登録すべき商品に関する商品データをセットしたフィールドを取引データDAAに追加する。プロセッサ101は例えば、数量変更の要求であれば、対象となる取引商品に関する商品データを、取引データDAAに既に含まれる商品データのうちから見つけ出し、当該商品データに表される数量を書き換える。プロセッサ101は例えば、取消の要求であれば、対象となる取引商品に関する商品データを、取引データDAAに既に含まれる商品データのうちから見つけ出し、当該商品データを削除する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは登録手段として機能する。
【0040】
ACT15としてプロセッサ101は、仮想投入状況を計算する。仮想投入状況とは、登録済みの取引商品についての買物カゴへの投入状況を仮想したものである。プロセッサ101は、例えば次のようなルールに従って、登録済みの取引商品が買物カゴ内にどのような状況で投入されているかを仮想する。なお、買物カゴについては、その収容空間の形状及び大きさが予め定められる。使用される買物カゴは、店舗毎で異なってもよく、この場合には買物カゴの収容空間の形状及び大きさが店舗毎に予め定められる。
【0041】
1) 各取引商品の登録順で、各取引商品に関して属性データベースに表されたサイズの仮想オブジェクトを、予め定められた配置パターンで買物カゴ内に配置する。
2) 配置パターンは、積み上げ優先パターン及び平面優先パターンを選択的に適用可能とする。積み上げ優先パターンは、既に買物カゴ内に配置されている仮想オブジェクトの上に新たな仮想オブジェクトを積み重ねて行き、予め定められた上限高さまで仮想オブジェクトを積み重ねたならば次は、既に底面に配置されている仮想オブジェクトに対して水平方向に並べて新たな仮想オブジェクトを配置する。平面優先パターンは、既に買物カゴ内の底面に配置されている仮想オブジェクトに対して水平方向に並べて新たな仮想オブジェクトを配置して行き、新たなオブジェクトを配置するスペースが無くなったら、以降はより低い位置を優先して既に配置されている仮想オブジェクトの上に新たな仮想オブジェクトを配置する。
【0042】
3) 次に配置する仮想オブジェクトが対応する取引商品についての属性と、その仮想オブジェクトについて上記の配置パターンで決まる配置位置の周辺に既に配置されている仮想オブジェクトが対応する取引商品についての属性と、を考慮して、次のように配置位置を調整する。なお、「仮想オブジェクトが対応する取引商品についての属性」を、以下においては「仮想オブジェクトの属性」と略記する。また、以下の説明において、新たに配置する仮想オブジェクトと配置済みの仮想オブジェクトとを区別する必要がある場合には、それぞれ「追加オブジェクト」及び「既存オブジェクト」と称する場合がある。
【0043】
3-1) 属性が「柔らかい」ではない追加オブジェクトに対して配置パターンで決まる配置位置の下に配置されている既存オブジェクトの属性が「柔らかい」であるならば、当該の既存オブジェクトと追加オブジェクトとを入れ替える。
3-2) 属性が「硬い」である仮想オブジェクトはカゴ底面に配置する。
3-3) 属性が「硬い」である追加オブジェクトに対して配置パターンで決まる配置位置の下に配置されている既存オブジェクトの属性が「硬い」以外であるならば、当該の既存オブジェクトと追加オブジェクトとを入れ替える。
【0044】
3-4) 追加オブジェクトに対して配置パターンで決まる配置位置の周辺に位置する既存オブジェクトの属性が「冷蔵」又は「冷凍」であり、追加オブジェクトの属性が「高温」である場合、あるいはその逆の場合、追加オブジェクトの配置位置を変更する。
3-5) 属性が「除外」である取引商品に関する仮想オブジェクトは配置対象外とする。つまり、予め除外対象として定められた商品に関しては後述する占有率の算出に考慮されないことになる。
【0045】
ACT16としてプロセッサ101は、上記のように計算した仮想投入状況で取引商品が買物カゴの収容空間において占める割合として占有率を算出する。プロセッサ101は例えば、仮想投入状況での取引商品群の輪郭を抽出し、当該輪郭内の容積を算出する。そしてプロセッサ101は例えば、買物カゴの収容空間の容積に対する上記の算出した容積の比率として占有率を算出する。かくしてここで算出される占有率は、登録済みの取引商品が、容器としての買物カゴの収容空間において占める度合いの一例である。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは判定手段として機能する。
【0046】
ACT17としてプロセッサ101は、アテンダント端末300でタッチパネル304に表示させている監視画面を更新させる。そしてプロセッサ101はこののち、ACT12及びACT13の待ち受け状態に戻り、以降、変更要求が行われるごとにACT14~ACT17を繰り返す。なお、プロセッサ101は、ACT15における仮想投入状況の計算においては、直前に更新された取引データDAAに基づく計算を最初からやり直してもよいし、前回に計算した仮想投入状況を保存しておき、当該の仮想投入状況を取引データDAAの直前の更新内容に応じて修正することによって、直前に更新された取引データDAAに基づく仮想投入状況を計算するのでもよい。
【0047】
図9は一例としての監視画面SCAの全体の概略を表す図である。
監視画面SCAは、チェックイン中であるカート端末400のそれぞれに関連付けた表示領域ARAを含む。表示領域ARAは、関連付けられたカート端末400を対象として実行中の取引のステータスを表す。監視画面SCAは、15台までのカート端末400の動作状況を一度に表すことが可能であるが、稼働中のカート端末400のそれぞれに関連付けた表示領域ARAを表す。従って、監視画面SCAに含まれる表示領域ARAの数は、図9に表す状態よりも少ない場合もある。
【0048】
図10図9中の表示領域ARAの1つの詳細を表す図である。
図10では、1つの表示領域ARAにおける表示の変遷の一例を表している。図10中の上段及び中断は、関連付けられたカート端末400にて商品登録中である場合である。図10中の下段は、後述のように会計処理に移行済みの場合である。
商品登録中のカート端末400に関連付けた表示領域ARAには、文字列CSD、枠線FRA及び表示オブジェクトOBA,OBB,OBCが図示のように配置されている。文字列CSDは、カート端末400の端末コードを表す。枠線FRAで囲われる領域は、買物カゴの取引商品による占有率を表す領域である。表示オブジェクトOBA,OBB,OBCは、それぞれ「待機」「登録中」及び「会計中」の各状態に関連付けられている。そして表示オブジェクトOBA,OBB,OBCは、いずれか1つがアクティブ状態とされ、残り2つがノンアクティブ状態とされる。図10では、アクティブ状態である表示オブジェクトの枠線を実線で表し、ノンアクティブ状態である表示オブジェクトの枠線を破線で表している。ノンアクティブ状態は、例えばグレイアウト表示とすることが想定される。表示オブジェクトOBAは、該当する取引に関する商品登録が開始される前であるときにアクティブ状態とされる。表示オブジェクトOBBは、該当する取引に関する商品登録が行われている最中にアクティブ状態とされる。表示オブジェクトOBCは、該当する取引の対象となる商品についての会計中にアクティブ状態とされる。
【0049】
アテンダント端末300にてプロセッサ301は、例えば占有率が50%とされているカート端末400に関連付けられている表示領域ARAの枠線FRA内には、例えば図10の上段のように「容量:50%」なる文字列を表す。またプロセッサ301は、例えば占有率が予め定められた閾値を超えているカート端末400に関連付けられている表示領域ARAの枠線FRA内は、例えば図10の中段のようにハイライト表示とする。なお図10の中段は、枠線FRA内の背景色を図10の上段とは異ならせることによるハイライト表示を行う例を表している。ハイライト表示は、枠線FRAの色、太さ、線種などを変化させるか、あるいは枠線FRA内に表す文字列の色、大きさ、フォントなどを変化させるのでも構わない。
【0050】
なお、監視画面SCAは、取引処理装置100にてプロセッサ101により生成されてアテンダント端末300へ送信されてプロセッサ301の制御の下にタッチパネル304に表示されてもよい。あるいは、アテンダント端末300にてプロセッサ301が、取引処理装置100から各種の情報を取得した上で監視画面SCAを生成するのでもよい。
プロセッサ101は、監視画面SCAをアテンダント端末300で表示させるために、占有率を表す情報をアテンダント端末300へと出力していることになる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第1の出力手段として機能する。
【0051】
またプロセッサ101は、「占有率が予め定められた閾値を超えている」という条件が成立するか否かで上記のように背景色を異ならせていることにより、上記の条件が成立する場合に予め定められた背景色の画面に関する情報を出力するのである。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第2の出力手段として機能する。
【0052】
図10の上段に表す表示領域ARAでの表示に基づきアテンダントは、関連付けられたカート端末400により商品登録が行われる状態にあり、かつ登録済みの取引商品により買物カゴの半分程度が占有されている状態であることを認識できる。
図10の中段に表す表示領域ARAでの表示に基づきアテンダントは、関連付けられたカート端末400により、商品登録が行われる状態にあり、かつ登録済みの取引商品が買物カゴからはみ出す状態になっているために注意を要することを認識できる。例えばこのような認識に基づきアテンダントは、該当の状況にある買物カゴを持っている客を探し出し、新たな買物カゴを渡すなどして顧客サービスを図ることもできる。
【0053】
なおプロセッサ101は、占有率が例えば120%などとして予め定められた閾値を超える場合に、カート端末400に指示して、タッチパネル404に、買物カゴの追加を客に促すための案内画面を表示させてもよい。
図11は案内画面SCBの一例を表す図である。
案内画面SCBは、取引商品の登録状況を表す登録画面SCCにウィンドウWIAを重ねて表した画面である。ウィンドウWIAは、買物カゴの追加を客に促すための文字メッセージを表す。
【0054】
このようにプロセッサ101は、案内画面SCBの表示をカート端末400に指示するに当たって、「予め定められた閾値を超える場合」のように予め定められた条件に合致する場合に、「買物カゴの追加を客に促すための文字メッセージ」のような予め定められた情報を出力しているのである。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第1の出力手段として機能する。
【0055】
客は、取引商品の登録を終えたならば、会計の開始を指示するための予め定められた操作をカート端末400にて行う。これに応じてカート端末400にてプロセッサ401は、会計の開始を取引処理装置100に対して要求する。
この要求に応じて取引処理装置100にてプロセッサ101は、図7中のACT13にてYESと判定し、図8中のACT21へと進む。
【0056】
ACT21としてプロセッサ101は、会計用画面の表示をカート端末400に対して指示する。会計用画面は、取引に関する会計処理を会計機200に引き継ぐための画面である。会計用画面には、該当の取引に関する問い合わせを会計機200が取引処理装置100に対して行うための情報を表したバーコードが表される。
カート端末400にてプロセッサ401は、会計用画面の表示が指示されると、タッチパネル404の表示画面を会計用画面に更新する。
【0057】
客は、店舗に会計機200が複数台設置されているならば、それらのうちから使用されていない会計機200を任意に選択し、その会計機200が備えるバーコードスキャナに、会計用画面に表されたバーコードを読み取らせる。これに応じて会計機200は、バーコードスキャナにより読み取られたバーコードが表す情報に基づいて取引処理装置100に会計データを要求する。
【0058】
取引処理装置100にてプロセッサ101は、ACT21として会計用画面の表示を指示したのちには、ACT22へと進む。
ACT22としてプロセッサ101は、会計データが要求されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、上記のように会計機200から要求されたのが、処理対象としている取引に関する会計データであるならばYESと判定し、ACT23へと進む。
ACT23としてプロセッサ101は、要求された取引の決済を会計機200に行わせるための会計データを要求元の会計機200に対して送信する。
【0059】
このように取引処理装置100から送信された会計データに応じて会計機200は、適宜に画面を表示しながら、会計に関する客の操作を受けつつ、会計データに基づいて取引を会計するための処理を実行する。この会計機200の処理は、例えば既存のPOSシステムの会計機で行われている処理と同様な処理であってよい。なお、会計とは、代金を算出して、当該の代金を決済することである。つまり会計機200は、決済手段としての機能を備える。
なお、カート端末400から会計機200への取引に関する会計処理の引き継ぎに関しては、上記以外に例えば、カート端末400が特定の会計機200に近づいた場合、無線通信により会計データを転送することにより実現してもよい。また、ゲートの形態である会計機200である場合、カート端末400が当該ゲートに近づくと取引に関する会計データが転送されるなどであってもよい。
【0060】
取引処理装置100にてプロセッサ101は、ACT23として会計データを送信し終えると、ACT24へと進む。
ACT24としてプロセッサ101は、アテンダント端末300でタッチパネル304に表示させている監視画面を更新させる。つまりプロセッサ101は、対象としている取引に関連付けられた表示領域ARAでの表示を、例えば図10中の下段に表す状態とするように監視画面を更新させる。
【0061】
図10の下段に表す表示領域ARAは、関連付けられたカート端末400により、「No.2」なる番号により特定される会計機200を利用しての会計処理が行われる状態にあることを表している。かつ当該の表示領域ARAは、会計開始が指示される前に最後に図7中のACT16を実行した際に算出された占有率が140%であることを表している。また当該の表示領域ARAには、ボタンBUAが表される。ボタンBUAは、アテンダントによる会計処理の中断指示を受けるためのソフトキーである。
【0062】
そこでアテンダントは、例えば図10の下段に表す表示領域ARAのような表示により会計機200での会計処理に移行したことを認識したならば、該当の会計機200に客が持ち込んだ買物カゴを目視により確認する。そしてアテンダントは、監視画面に表されている占有率を参考に買物カゴへの商品投入状況の誤りが疑われる場合には、ボタンBUAをタップするなどの予め定められた操作により会計処理の中断を指示する。そうするとアテンダント端末300にてプロセッサ301は、取引処理装置100に対して会計処理の中断を要求する。
【0063】
取引処理装置100にてプロセッサ101は、図8中のACT24として監視画面を更新させたのちには、ACT25へと進む。
ACT25としてプロセッサ101は、取引処理の中断が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT26へと進む。
ACT26としてプロセッサ101は、確認の完了が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT25へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT25及びACT26としては、中断要求又は完了通知を待ち受ける。そしてプロセッサ101は、対象となっている取引に関して上述のようにアテンダント端末300から中断が要求されたならばACT25にてYESと判定し、ACT27へと進む。
【0064】
ACT27としてプロセッサ101は、ACT23にて会計データを送信した先の会計機200に対して会計処理の中断を指示する。
会計機200は、このように取引処理装置100から中断が指示されたならば、会計処理を中断する。そして会計機200は、会計機200に備えられた表示デバイスに中断画面を表示する。
【0065】
図12は中断画面SCDの一例を表す図である。
中断画面SCDは、代金の支払い方法を客に選択させるための画面SCEにウィンドウWIBを重ねて表した画面である。ウィンドウWIBは、従業員による確認が行われるのを待つように客に案内する文字メッセージを表す。
【0066】
アテンダントは、上述のように会計処理の中断を指示した上で、該当の会計機200まで出向き、客が持ち込んだ買物カゴの中身を確認する。そしてアテンダントは、問題の無いことを確認したならば、予め定められた解除操作を会計機200にて行う。この解除操作は例えば、従業員証に表示されたバーコードを、会計機200に備えられたバーコードスキャナに読み取らせる操作である。会計機200は、解除操作が行われたならば、取引処理装置100に対して解除を要求する。
なお、このようなアテンダントによる確認作業は、客に不快感を与えてしまう恐れがある。そこでカート端末400の利用開始時などにおいて、タッチパネル404にて、店員による確認が発生することがある旨を案内するための画面を表示することが好ましい。この画面表示は、プロセッサ401が自律的に行ってもよいし、取引処理装置100のプロセッサ101による指示に応じて行われてもよい。
【0067】
プロセッサ101は、図8中のACT27として中断を指示したのちには、ACT28へと進む。
ACT28としてプロセッサ101は、解除が要求されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、上述のように会計機200から解除が要求されたならばYESと判定し、ACT29へと進む。そしてプロセッサ101は、要求元の会計機200に対して会計処理の再開を指示する。プロセッサ101はこののち、ACT25及びACT26の待ち受け状態に戻る。
会計機200は、会計処理を終えると、取引処理装置100に対して完了を通知する。これに応じて取引処理装置100にてプロセッサ101は、ACT26にてYESと判定し、取引処理を終了する。
【0068】
以上のように取引処理システム1は取引処理装置100にて、取引商品の登録を行うとともに、登録済みの取引商品による買物カゴの収容空間の占有率を算出する。そして取引処理装置100は、この占有率をアテンダント端末300で表示させることにより、アテンダントに認識させる。これによりアテンダントは、目視により確認できる占有率とアテンダント端末300での表示より認識した占有率との乖離がある場合に、取引商品の登録が適正に行えていない疑いがあることを判定することができる。そしてアテンダントが確認作業を行うことにより、取引商品の登録に係る操作の誤りが放置されることを防止できる。
【0069】
また取引処理装置100は、監視画面SCAを、ボタンBUAを表すことにより中断指示を受けるための操作画面としておき、中断指示がなされたことに応じて、会計機200における会計処理を中断させて決済を行わせない。これにより、アテンダントにより確認作業が行われるまでの間に決済が行われてしまうことを確実に防止できる。
【0070】
また取引処理システム1は取引処理装置100からの指示によりカート端末400にて案内画面SCBを表示させる。この案内に従って、客が新たなカゴを追加して利用すれば、買物カゴにおける取引商品による実際の占有率が高い状況のままで商品登録が継続される可能性の低減を図ることが可能となる。買物カゴに取引商品が山盛りの状態であると、正しく登録が済んでいる取引商品が買物カゴに入れられなくなる恐れが高くなることや、アテンダントによる目視での占有率の判断が難しくなるといった不都合が考えられるが、こういった事態を回避できる可能性を高めることが可能となる。
【0071】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
取引商品が容器の収容空間において占める度合いは、前記実施形態のように算出した占有率には限らない。例えば、取引商品が正しく容器に収容されている場合の容器内の空き状況に応じた別の数値としても構わない。例えば、図7中のACT15における仮想投入状況の計算は行わずに、取引商品の個々の容積の総和として取引商品が占める容積を算出してもよい。
【0072】
プロセッサ101は、図8中のACT23にて会計データを送信した先の会計機200に対して会計処理の中断の指示を、予め定められた中断条件が成立した場合に、アテンダントによる指示を受けること無しに行うようにしてもよい。プロセッサ101は例えば、会計機200に備えたTOF(time of flight)センサ付きのカメラからの出力データに基づいて買物カゴにおける商品の占有状況を認識し、当該の占有状況が占有率と整合しない場合に中断の指示を行ってもよい。
【0073】
取引データDAAを、カート端末400の補助記憶ユニット403に保存しておき、この取引データDAAの更新をプロセッサ401が行ってもよい。この場合は、プロセッサ401を中枢とするコンピュータが登録手段としての機能を持つことになる。そして第1の出力手段及び第2の出力手段のいずれか一方としての機能を実現するための処理も、プロセッサ401を中枢とするコンピュータにより実行してもよい。
【0074】
カート端末400に代えて、客が所有するスマートフォンを用いるようにしてもよい。
【0075】
情報処理によりプロセッサ101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…取引処理システム、2…通信ネットワーク、100…取引処理装置、101,301,401…プロセッサ、102,302,402…メイン記憶ユニット、103,303,403…補助記憶ユニット、104,305…通信ユニット、105,306,408…伝送路、200…会計機、300…アテンダント端末、304,404…タッチパネル、405…カメラ、400…カート端末、406…インタフェースユニット、407…無線通信ユニット。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12