(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090536
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240627BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/526 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/526
H01M50/522
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206508
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀夫
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA05
5H043CA22
5H043FA04
5H043GA23
5H043GA25
5H043GA30
5H043JA02F
5H043JA22F
(57)【要約】
【課題】低背化しやすい配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、バスバー30と、バスバー30を収容するバスバー収容部41を備えるプロテクタと、を備え、バスバー30は、電極端子に接続される電極接続部31と、第1方向に隣接する電極接続部31の間に配され、弾性変形可能とされる柔軟部32と、を備え、バスバー収容部41は、第1方向に直交する第2方向についてバスバー30と蓄電素子11との間に配される底壁43と、バスバー収容部41の第1方向における少なくとも一方の端部に配され、第2方向について底壁43と反対側から電極接続部31に対向して配される押さえ壁44と、を備え、底壁43と押さえ壁44とは、バスバー30の第1方向における端部を差し込み可能な差し込み口45を構成している。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
バスバーと、
前記バスバーを収容するバスバー収容部を備えるプロテクタと、を備え、
前記バスバーは、前記電極端子に接続される電極接続部と、第1方向に隣接する前記電極接続部の間に配され、弾性変形可能とされる柔軟部と、を備え、
前記バスバー収容部は、前記第1方向に直交する第2方向について前記バスバーと前記蓄電素子との間に配される底壁と、前記バスバー収容部の前記第1方向における少なくとも一方の端部に配され、前記第2方向について前記底壁と反対側から前記電極接続部に対向して配される押さえ壁と、を備え、
前記底壁と前記押さえ壁とは、前記バスバーの前記第1方向における端部を差し込み可能な差し込み口を構成している、配線モジュール。
【請求項2】
前記押さえ壁は、前記バスバー収容部の前記第1方向における両端部に配されている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記バスバー収容部には、前記底壁を前記第2方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記第2方向から見て、前記押さえ壁は前記貫通孔と重畳する位置に配されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記バスバー収容部は、前記バスバーの前記第1方向における端部と前記第1方向に対向して配される当接壁を備える、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記柔軟部は、複数の金属箔を積層して構成されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極端子を有する複数の蓄電素子が並べられた蓄電素子群に配設される配線モジュールとして、特開2019-207825号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この配線モジュールは、電極端子と接続される接続バスバーと、接続バスバーを収容する接続バスバー収容部を有する絶縁プロテクタと、を備えている。接続バスバー収容部は、接続バスバーの周囲に配される複数の周壁を有している。複数の周壁は互いに対向する一対の対向壁を含んでいる。一対の対向壁の少なくとも一つの内面には、接続バスバーに係止する係止部が設けられている。係止部は、対向壁に連結される上端を基端として、下方に延びて形成されている。係止部の下端部は自由端であり、接続バスバーに上方から弾性的に当接するようになっている。これにより、接続バスバーが接続バスバー収容部から上方に外れることが抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、上下方向における係止部の長さを、係止部の弾性変形が可能な長さにする必要がある。そのため、係止部を設けることにより接続バスバー収容部の高さ寸法が大きくなることが考えられる。よって、配線モジュールの低背化が困難になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、バスバーと、前記バスバーを収容するバスバー収容部を備えるプロテクタと、を備え、前記バスバーは、前記電極端子に接続される電極接続部と、第1方向に隣接する前記電極接続部の間に配され、弾性変形可能とされる柔軟部と、を備え、前記バスバー収容部は、前記第1方向に直交する第2方向について前記バスバーと前記蓄電素子との間に配される底壁と、前記バスバー収容部の前記第1方向における少なくとも一方の端部に配され、前記第2方向について前記底壁と反対側から前記電極接続部に対向して配される押さえ壁と、を備え、前記底壁と前記押さえ壁とは、前記バスバーの前記第1方向における端部を差し込み可能な差し込み口を構成している、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、低背化しやすい配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、配線モジュール及び蓄電素子の平面図である。
【
図5】
図5は、柔軟部が弾性変形した状態のバスバーの斜視図である。
【
図7】
図7は、バスバーが収容されたバスバー収容部の斜視図である。
【
図8】
図8は、バスバーが収容されたバスバー収容部の平面図である。
【
図10】
図10は、バスバーがバスバー収容部に収容される様子を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図8のA-A断面においてバスバーがバスバー収容部に収容される様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、バスバーと、前記バスバーを収容するバスバー収容部を備えるプロテクタと、を備え、前記バスバーは、前記電極端子に接続される電極接続部と、第1方向に隣接する前記電極接続部の間に配され、弾性変形可能とされる柔軟部と、を備え、前記バスバー収容部は、前記第1方向に直交する第2方向について前記バスバーと前記蓄電素子との間に配される底壁と、前記バスバー収容部の前記第1方向における少なくとも一方の端部に配され、前記第2方向について前記底壁と反対側から前記電極接続部に対向して配される押さえ壁と、を備え、前記底壁と前記押さえ壁とは、前記バスバーの前記第1方向における端部を差し込み可能な差し込み口を構成している、配線モジュールである。
【0010】
このような構成によると、バスバーの柔軟部を弾性変形させた状態で、バスバーの第1方向における端部を差し込み口に差し込み、柔軟部を復帰変形させることにより、バスバーをバスバー収容部に収容することができる。押さえ壁は第2方向について底壁と反対側から電極接続部に対向して配されるから、第2方向についてバスバーをバスバー収容部に抜け止めすることができる。押さえ壁は第2方向に扁平に形成可能であるから、バスバー収容部、ひいては配線モジュールを第2方向に低背化しやすい。
【0011】
(2)前記押さえ壁は、前記バスバー収容部の前記第1方向における両端部に配されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、バスバーをバスバー収容部により一層抜け止めしやすくなる。
【0013】
(3)前記バスバー収容部には、前記底壁を前記第2方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記第2方向から見て、前記押さえ壁は前記貫通孔と重畳する位置に配されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、バスバーの第1方向における端部を差し込み口に差し込みやすくなる。また、貫通孔を設けることで、スライド金型を用いなくても、抜き方向を第2方向とする金型によって、押さえ壁を有するバスバー収容部を形成することができる。よって、貫通孔が設けられない構成と比較して、バスバー収容部の形成が容易になる。
【0015】
(4)前記バスバー収容部は、前記バスバーの前記第1方向における端部と前記第1方向に対向して配される当接壁を備えることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、差し込み口にバスバーの第1方向における端部を差し込む際、当接壁がバスバーの第1方向における端部に当接する。これにより、バスバーの第1方向における端部が差し込み口内に過剰に差し込まれることを規制することができる。
【0017】
(5)前記柔軟部は、複数の金属箔を積層して構成されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、簡便に柔軟部を構成することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態>
本開示の実施形態について、
図1から
図11を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、
図1に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0021】
図1に示すように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。以下では、
図1を除き、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、本実施形態では、前後方向は第1方向の一例であり、上下方向は第2方向の一例である。
【0022】
蓄電モジュール10は、
図2に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える。蓄電素子11は、内部に図示しない蓄電要素が収容された扁平な直方体状をなしている。蓄電素子11は、上面に正極および負極の電極端子12A,12Bを有する。
【0023】
[配線モジュール]
配線モジュール20は、蓄電素子11に接続されるバスバー30と、バスバー30に接続されるフレキシブル基板21と、バスバー30及びフレキシブル基板21を保持するプロテクタ40と、を備える。蓄電モジュール10は、複数の蓄電素子11の右側に配される電極端子12A,12Bに接続される配線モジュール20と、複数の蓄電素子11の左側に配される電極端子12A,12Bに接続される配線モジュール20と、を備えて構成され、両者は同等の構成を有している。以下、バスバー収容部41にかかる構成については、複数の蓄電素子11の左側に配される電極端子12A,12Bに接続される配線モジュール20における各部材の配置に基づいて、各部材の構成を説明する。
【0024】
[フレキシブル基板]
フレキシブル基板21は、全体として前後方向に細長い短冊状をなす。フレキシブル基板21は、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により複数の電圧検知線(図示せず)が形成されて構成されている。フレキシブル基板21は、基板本体22と、基板本体22から延出される延出部23と、延出部23の端部に配される基板側接続部24と、を備える。
【0025】
基板本体22は後述するプロテクタ40の基板収容部46に固定されている。詳細に図示しないものの、例えば、基板本体22には挿通孔が設けられており、この挿通孔に基板収容部46の底壁48から突出する突起が挿通されるようになっている。延出部23は前後方向に長く形成されている。延出部23には切り欠きが設けられ、伸縮可能に構成されている。延出部23が設けられることにより、基板本体22に対して基板側接続部24が所定寸法変位することが許容されるようになっている。基板側接続部24は、金属小片15と接続される部分であり、図示しない電圧検知線の一端が配されている。
【0026】
フレキシブル基板21は前後方向における端部において図示しないフレキシブル基板用のコネクタと接続されている。コネクタの内部には端子が収容されている。この端子は、フレキシブル基板21の電圧検知線の他端(図示せず)に電気的に接続されている。
【0027】
コネクタは、外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されるようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0028】
[バスバー、電極接続部]
バスバー30は、前後方向に隣接する2つの蓄電素子11の電極端子12A,12Bを接続している。
図4に示すように、バスバー30は、2つの電極接続部31と、電極接続部31の間に配される柔軟部32と、を備える。
【0029】
[電極接続部]
電極接続部31は1枚の金属板材から構成され、剛性を有している。電極接続部31には、電極接続部31を構成する金属板材を上下方向に貫通する貫通孔31Aが設けられている。貫通孔31Aは、例えば電極接続部31が電極端子12A,12Bに対して適切に接触しているか確認するために用いることができる。他の態様として、電極端子12A,12Bに突起が設けられており、この突起を貫通孔31Aに挿通することにより、電極端子12A,12Bと電極接続部31との位置決めを行ってもよい。電極接続部31と電極端子12A,12Bとは溶接等により接続されるようになっている。また、電極接続部31と電極端子12A.12Bとはボルト締結等により接続されてもよい。
【0030】
図3に示すように、電極接続部31は、本体部31Bと、電極接続部31の柔軟部32側の端部に配される柔軟部接続部31Cと、を備える。柔軟部接続部31Cは本体部31Bと段差を介して接続されている。柔軟部接続部31Cは、本体部31Bと略平行とされ、本体部31Bよりも上方に配されている。柔軟部接続部31Cは、柔軟部32の基部32Aの上側に重ねられ、基部32Aに接続されるようになっている。柔軟部接続部31Cと基部32Aとの接続は、例えば溶接等により行われる。
【0031】
図4に示すように、本体部31Bには、一対の係合凹部31Dが本体部31Bの左右両端縁から凹んで形成されている。係合凹部31Dは、後述するバスバー収容部41の係合凸部42Cと係合するようになっている。
【0032】
[柔軟部]
柔軟部32は複数の金属箔を積層して構成されている。
図3に示すように、柔軟部32は、基部32Aと、基部32Aから側面視略逆U字状をなして上方に突出する突出部32Bと、を備える。基部32Aは突出部32Bの前後両側に配され、電極接続部31の柔軟部接続部31Cの下側に重ねられている。柔軟部32は柔軟性を有し、弾性変形が可能とされている。
図4に示すように、柔軟部32には、突出部32Bを貫通する複数(本実施形態では3つ)のスリット32Cが設けられている。各スリット32Cは前後方向に延びている。複数のスリット32Cが設けられることにより、柔軟部32が左右方向に変形しやすくなっている。柔軟部32が設けられることにより、バスバー30、プロテクタ40、及び電極端子12A,12Bの製造公差や組付公差等を吸収することができる。また、これらの部材が温度変化により膨張・収縮した場合に、それぞれの膨張・伸縮による寸法変化を許容することが容易になる。
【0033】
柔軟部32が自然状態にある状態では、
図3及び
図4に示すように、バスバー30の2つの本体部31Bは略平行に配されている。また、柔軟部32を弾性変形させることで、
図5に示すように、2つの本体部31Bが互いに交差するような配置をとらせることができる。換言すると、柔軟部32を略中心として、2つの本体部31Bが互いに近づくように、バスバー30を屈曲させることができる。
【0034】
本実施形態では、
図3に示すように、突出部32Bは基部32Aから上方に突出するとともに、柔軟部接続部31Cは基部32Aよりも上側に配されている。このような構成によると、バスバー30の上下方向の寸法を小さくしやすい。よって、配線モジュール20を低背化しやすい。
【0035】
図2に示すように、複数の蓄電素子11の前端部または後端部の電極端子12A,12Bと外部機器とは、端部バスバー33によって接続されるようになっている。端部バスバー33は、前述したバスバー30とは異なり、柔軟部32を備えず、1枚の金属板材から構成されている。端部バスバー33はプロテクタ40の前後方向の端部に固定されている。
【0036】
[プロテクタ]
プロテクタ40は絶縁性の合成樹脂から構成されている。プロテクタ40は、バスバー30が収容されるバスバー収容部41と、フレキシブル基板21が収容される基板収容部46と、を備える。バスバー収容部41は枠状をなし、前後方向に並んで配置されている。
【0037】
[バスバー収容部]
以下、バスバー収容部41にかかる構成については、
図6から
図11に示すように、複数の蓄電素子11の左側に配される配線モジュール20における各部材の配置に基づいて、各部材の構成を説明する。
図6に示すように、バスバー収容部41は、周壁42と、周壁42の下端部から周壁42の内方に向かって水平方向に延びる底壁43と、周壁42の前後方向の両端部の上側部分からバスバー収容部41の内方に向かって前後方向に延びる押さえ壁44と、を備える。
【0038】
[底壁、貫通孔]
図9に示すように、底壁43は、バスバー30の下面に対向するようになっている。バスバー収容部41には、底壁43を上下方向に貫通する接続孔43Aが設けられている。接続孔43Aはバスバー収容部41の中央部の大部分を占める位置に配されている。接続孔43Aを介してバスバー収容部41内に配されたバスバー30の電極接続部31と蓄電素子11の電極端子12A,12Bとが接続されるようになっている。バスバー収容部41の前後方向の両端部には、底壁43を上下方向に貫通する貫通孔43Bが設けられている。
【0039】
[当接壁]
周壁42は、貫通孔43Bの孔縁部に配される当接壁42Aを備える。当接壁42Aは、バスバー収容部41の前後方向の両端部に配されている。当接壁42Aの下面と底壁43の下面とは同一の高さ位置に配されている。
【0040】
図6に示すように、周壁42の前後方向に延びる部分には、切り欠き部42Bが設けられている。切り欠き部42Bは、バスバー収容部41の右側に配される周壁42の前端部寄りの位置、及び後端部寄りの位置に配されている。
【0041】
バスバー収容部41は、周壁42からバスバー収容部41の内方に向かって突出する係合凸部42Cを備える。本実施形態では、係合凸部42Cは、左右の周壁42から突出して設けられている。バスバー30がバスバー収容部41内に配された状態では、
図7及び
図8に示すように、係合凸部42Cは係合凹部31Dと係合する。これにより、バスバー収容部41内において、バスバー30が前後方向について位置決めされる。
【0042】
[押さえ壁、差し込み口]
図9に示すように、押さえ壁44は底壁43と上下方向に離間して配置されている。上下方向における押さえ壁44と底壁43との間の間隔は、電極接続部31の厚さ(上下方向の寸法)よりもやや大きく設定されている。押さえ壁44と底壁43とは、前後方向に開口する差し込み口45を構成している。差し込み口45はバスバー収容部41における前端部及び後端部寄りの位置に配されている。差し込み口45は、後述するように、バスバー30の前端部または後端部が差し込まれる開口である。
【0043】
バスバー収容部41の前後両端に配される2つの押さえ壁44の前後方向における間隔は、自然状態にあるバスバー30の前後方向の寸法より小さくなっている。バスバー30がバスバー収容部41内に配された状態では、押さえ壁44は電極接続部31の上方に配されている。これにより、バスバー30がバスバー収容部41内に抜け止めされるようになっている。
【0044】
押さえ壁44は、上下方向から見て、貫通孔43Bと重畳する位置に配されている。このような構成によれば、上下方向に金型を抜くことにより押さえ壁44を容易に形成することができる。
【0045】
図2に示すように、基板収容部46は前後方向に延び、溝状をなして形成されている。基板収容部46は、左右一対の側壁47と、一対の側壁47の下端部を接続する底壁48と、を備える。一対の側壁47のうちバスバー収容部41寄りの側壁47には、バスバー収容部41の切り欠き部42Bと対応する位置に切り欠き部47Aが設けられている。
【0046】
切り欠き部42B,47Aには、バスバー30とフレキシブル基板21の電圧検知線とを電気的に接続するための金属小片15が配されるようになっている。金属小片15の一端は基板側接続部24に電気的に接続され、金属小片15の他端はバスバー30に電気的に接続されている。金属小片15と基板側接続部24との接続は、例えば半田付けにより行われる。金属小片15とバスバー30との接続は、例えば溶接により行われる。
【0047】
[バスバーのバスバー収容部への収容]
以下、バスバー30をバスバー収容部41に収容する手順について説明する。
まず、
図5に示すように、バスバー30の柔軟部32を弾性変形させ、バスバー30を柔軟部32において折り曲げる。これにより、2つの本体部31Bが交差するような配置となる。また、バスバー30が自然状態にある場合と比較して、バスバー30の前後方向の長さが小さくなる。
【0048】
図10及び
図11に示すように、弾性変形させたバスバー30の前端縁及び後端縁をそれぞれ、バスバー収容部41の前端部及び後端部の押さえ壁44の下側に挿入し、差し込み口45へと差し込む。ここで、
図11に示すように、押さえ壁44は平面視で貫通孔43Bに重なる位置にあるから、差し込み口45に挿入されたバスバー30の前後方向の端縁は貫通孔43Bに進入可能であり、底壁43と干渉することがない。よって、バスバー30の前後方向の端縁をそれぞれ差し込み口45へと挿入しやすくなっている。また、バスバー収容部41の周壁42の前後両端部には当接壁42Aが設けられているから、差し込み口45の内部に挿入されたバスバー30の前後方向の端縁は当接壁42Aに当接することにより、バスバー収容部41の前端部より前方、または後端部より後方に配されることが抑制されるようになっている。
【0049】
弾性変形させたバスバー30の前端縁及び後端縁をそれぞれ、バスバー収容部41の前後両端の差し込み口45内に挿入した状態で、柔軟部32を弾性復帰させる。これにより、バスバー30は自然状態となる(
図9参照)。2つの本体部31Bが略平行に配され、弾性変形時と比較してバスバー30の前後方向の長さが大きくなる。底壁43はバスバー30の下面に対して下方から当接可能に配される。押さえ壁44は、バスバー30の前端部または後端部に対して上方から当接可能に配される。したがって、バスバー30がバスバー収容部41から外れることを抑制することができる。
【0050】
また、バスバー30を弾性復帰させる際、係合凹部31Dの内壁に係合凸部42Cを係合させる(
図7及び
図10参照)。係合凹部31Dの内壁と係合凸部42Cとが係合することにより、バスバー収容部41内において、バスバー30の前後方向の位置決めが可能となる。
以上により、バスバー30のバスバー収容部41への収容が完了する。
【0051】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態にかかる配線モジュール20は、電極端子12A,12Bを有する複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、バスバー30と、バスバー30を収容するバスバー収容部41を備えるプロテクタ40と、を備え、バスバー30は、電極端子12A,12Bに接続される電極接続部31と、第1方向(前後方向)に隣接する電極接続部31の間に配され、弾性変形可能とされる柔軟部32と、を備え、バスバー収容部41は、第1方向に直交する第2方向(上下方向)についてバスバー30と蓄電素子11との間に配される底壁43と、バスバー収容部41の第1方向における少なくとも一方の端部に配され、第2方向について底壁43と反対側から電極接続部31に対向して配される押さえ壁44と、を備え、底壁43と押さえ壁44とは、バスバー30の第1方向における端部を差し込み可能な差し込み口45を構成している。
【0052】
このような構成によると、バスバー30の柔軟部32を弾性変形させた状態で、バスバー30の第1方向における端部を差し込み口45に差し込み、柔軟部32を復帰変形させることにより、バスバー30をバスバー収容部41に収容することができる。押さえ壁44は第2方向について底壁43と反対側から電極接続部31に対向して配されるから、第2方向についてバスバー30をバスバー収容部41に抜け止めすることができる。押さえ壁44は第2方向に扁平に形成可能であるから、バスバー収容部41、ひいては配線モジュール20を第2方向に低背化しやすい。
【0053】
実施形態では、押さえ壁44は、バスバー収容部41の第1方向における両端部に配されている。
【0054】
このような構成によると、バスバー30をバスバー収容部41により一層抜け止めしやすくなる。
【0055】
実施形態では、バスバー収容部41には、底壁43を第2方向に貫通する貫通孔43Bが設けられ、第2方向から見て、押さえ壁44は貫通孔43Bと重畳する位置に配されている。
【0056】
このような構成によると、バスバー30の第1方向における端部を差し込み口45に差し込みやすくなる。また、貫通孔43Bを設けることで、スライド金型を用いなくても、抜き方向を第2方向とする金型によって、押さえ壁44を有するバスバー収容部41を形成することができる。よって、貫通孔43Bが設けられない構成と比較して、バスバー収容部41の形成が容易になる。
【0057】
実施形態では、バスバー収容部41は、バスバー30の第1方向における端部と第1方向に対向して配される当接壁42Aを備える。
【0058】
このような構成によると、差し込み口45にバスバー30の第1方向における端部を差し込む際、当接壁42Aがバスバー30の第1方向における端部に当接する。これにより、バスバー30の第1方向における端部が差し込み口45内に過剰に差し込まれることを規制することができる。
【0059】
実施形態では、柔軟部32は、複数の金属箔を積層して構成されている。
【0060】
このような構成によると、簡便に柔軟部32を構成することができる。
【0061】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、バスバー30は2つの本体部31Bが交差するような配置に曲げられ、差し込み口45に対して斜めに挿入される構成であったが、これに限られることはなく、バスバーは2つの電極接続部が平行な姿勢を保った状態で前後方向に弾性変形可能とされ、差し込み口に対して前後方向に差し込まれる構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、バスバー収容部41は前後方向における両端部に押さえ壁44を備えていたが、これに限られることはなく、押さえ壁はバスバー収容部の前後方向における1つの端部にのみ設けられてもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、電極接続部31及び柔軟部32は別体であり、これらを接続することでバスバー30が構成されていたが、これに限られることはなく、電極接続部及び柔軟部は同一部材から一体に構成されていてもよい。
(4)上記実施形態では、バスバー30は2つの電極接続部31と1つの柔軟部32とを備えていたが、これに限られることはない。例えば、バスバーが蓄電素子を並列に接続する場合、nを3以上の整数として、バスバーはn個の電極接続部と(n-1)個の柔軟部とを備えていてもよい。
(5)上記実施形態では、柔軟部32は複数の金属箔を積層して構成され、前後方向に延びるスリット32Cを有していたが、柔軟部は弾性変形に構成されていれば、その態様は限定されない。例えば、柔軟部はスリットを有さなくてもよい。また、柔軟部は電線や編組線等により構成してもよい。
【0063】
(6)上記実施形態では、電圧検知線としてフレキシブル基板21が用いられていたが、これに限られることはない。例えば、電圧検知線として電線が用いられてもよいし、電線及びフレキシブル基板が用いられてもよい。
(7)上記実施形態では、バスバー30とフレキシブル基板21とは金属小片15を介して電気的に接続されていたが、これに限られることはなく、バスバーとフレキシブル基板とは溶接や半田付け等により直接接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極端子
15: 金属小片
20: 配線モジュール
21: フレキシブル基板
22: 基板本体
23: 延出部
24: 基板側接続部
30: バスバー
31: 電極接続部
31A: 貫通孔
31B: 本体部
31C: 柔軟部接続部
31D: 係合凹部
32: 柔軟部
32A: 基部
32B: 突出部
32C: スリット
33: 端部バスバー
40: プロテクタ
41: バスバー収容部
42: 周壁
42A: 当接壁
42B: 切り欠き部
42C: 係合凸部
43: 底壁
43A: 接続孔
43B: 貫通孔
44: 押さえ壁
45: 差し込み口
46: 基板収容部
47: 側壁
47A: 切り欠き部
48: 底壁