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特開2024-90548情報処理装置、情報処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090548
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240627BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240627BHJP
   A63B 60/46 20150101ALI20240627BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
A63B71/06 U
A63B60/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206523
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓雄
(57)【要約】
【課題】対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの選択をより適切に支援することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る情報処理装置300は、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するスイング特性データ取得部3001と、スイング特性データ取得部3001により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得するスイング特性指標演算部3003と、スイング特性データ取得部3001により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得するスイング特性指標演算部3004と、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値に基づき、対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力する推奨クラブ特性値決定部3006と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得部と、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のスイング特性値を前記特定の種類のクラブ特性値に換算した換算値を演算する換算値演算部を備え、
前記クラブ特性値出力部は、前記第2のスイング特性値に基づき、前記換算値を前記特定の種類のクラブ特性値として出力する場合と、前記換算値を修正して前記特定の種類のクラブ特性値として出力する場合とを切り換える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2のスイング特性値は、スイング中にゴルフクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定の種類のクラブ特性値は、所定の範囲内で規定され、
前記クラブ特性値出力部は、前記回数が1回増えるごとに、前記所定の範囲内の所定値を基準にして、前記換算値を反転させる修正を行い、前記特定の種類のクラブ特性値を出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値であって、スイング中にゴルフのクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を表す第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得部と、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値に基づき、前記対象者のスイングに対応するゴルフクラブの構成部品に関する情報を出力する構成部品情報出力部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の領域は、ゴルフボールの仮想の飛球線に沿って後方から前記対象者を見たときに、スイングのアドレス時におけるゴルフクラブのシャフトの延長線、及びスイングのアドレス時における前記対象者の首の箇所とゴルフボール、シャフトの先端、ヘッド、又はティーとを結ぶ直線の間に規定されるV字型の領域である、
請求項3乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2のスイング特性値取得部は、前記対象者のスイング中のトップ、ハーフウェイダウン、及びインパクトの3つのタイミングのそれぞれでのゴルフクラブのヘッドと前記所定の領域との位置関係の組み合わせに応じて、前記回数を取得する、
請求項3乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1のスイング特性値は、スイングのタメに関する特性値であり、
前記特定の種類のクラブ特性値は、ゴルフクラブのシャフトの調子に関する特性値である、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力ステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得ステップと、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力ステップと、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、対象者のゴルフのスイングに合ったゴルフクラブを選択する技術が知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6173776号公報
【特許文献2】特許第5407658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2では、対象者のスイング特性からゴルフクラブを選択する際に、ある種類のスイング特性に対して、ある種類のクラブ特性を一対一で対応付けることによって、一義的に対象者のスイング特性に合ったクラブが選択されている。そのため、例えば、ある種類のクラブ特性と相関のあるスイング特性が複数種類存在する場合に、そのうちの対象者の一の種類のスイング特性のみが考慮される一方で、他の種類のスイング特性が考慮されなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの選択をより適切に支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得部と、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力部と、を備える、
情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得部と、
前記データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値であって、スイング中にゴルフのクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を表す第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得部と、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値に基づき、前記対象者のスイングに対応するゴルフクラブの構成部品に関する情報を出力する構成部品出力部と、を備える、
情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示の更に他の実施形態では、
情報処理装置が、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力ステップと、を含む、
情報処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示の更に他の実施形態では、
情報処理装置に、
対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する第1のスイング特性値取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、前記第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する第2のスイング特性値取得ステップと、
前記第1のスイング特性値及び前記第2のスイング特性値の基づき、前記対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力するクラブ特性値出力ステップと、を実行させる、
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上述の実施形態によれば、対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの選択をより適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ゴルフクラブ提案システムの一例を示す図である。
図2】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】ゴルフクラブ提案システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】スイングのタメに関するスイング特性値の第1例を説明する図である。
図6】スイングのタメに関するスイング特性値の第2例を説明する図である。
図7】スイングにおけるヘッドの軌道に関するスイング特性の一例を説明する図である。
図8】スイングにおけるヘッドの軌道に関するスイング特性の一例を説明する図である。
図9】スイングにおけるヘッドの軌道の理想領域からの逸脱回数の決定方法の一例を説明する図である。
図10】シャフトの調子に関する特性値の一例を説明する図である。
図11】シャフトの調子に関する特性値の推奨値の決定方法の一例を説明する図である。
図12】ゴルフクラブ提案システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0013】
[ゴルフクラブ提案システムの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るゴルフクラブ提案システム1の概要について説明をする。
【0014】
図1は、ゴルフクラブ提案システム1の一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、ゴルフクラブ提案システム1は、スイング特性データ取得装置100と、ユーザ端末200と、情報処理装置300とを含む。
【0016】
ゴルフクラブ提案システム1は、スイング特性データ取得装置100で取得される、対象者のゴルフのスイング特性に関するデータに基づき、対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの構成部品(以下、「推奨構成部品」)を提案する。ゴルフのクラブの構成部品は、例えば、ヘッドやシャフト等である。
【0017】
ゴルフクラブ提案システム1のユーザは、例えば、ゴルフのスイングを行う、上述の対象者本人である。また、ゴルフクラブ提案システム1のユーザは、対象者に対して推奨構成部品を提示する、ゴルフショップの店員等であってもよい。
【0018】
スイング特性データ取得装置100は、対象者によるゴルフのスイング動作中のスイング特性に関するデータ(以下、「スイング特性データ」)を取得する。
【0019】
ゴルフクラブ提案システム1に含まれるスイング特性データ取得装置100は、単数(1つ)であってもよいし、複数(2以上)であってもよい。
【0020】
例えば、スイング特性データ取得装置100は、対象者によるゴルフのスイング動作を撮像するカメラである。カメラは、スイング特性に関するデータとして、対象者によるゴルフのスイングの様子を表す動画像データを取得する。カメラは、例えば、単眼カメラである。また、カメラは、ステレオカメラ、TOF(Time Of Flight)カメラ等、2次元の動画像データに加えて、各フレームの静止画像に対応する、距離(深度)に関するデータを取得可能な3Dカメラを含んでもよい。
【0021】
例えば、カメラは、対象者と正対する形で、対象者の正面からゴルフのスイング動作を撮像する(例えば、後述の図5図6参照)。また、カメラは、対象者の後方からゴルフのスイング動作を撮像してもよい(例えば、図7図8参照)。対象者の後方とは、対象者が想定する飛球線(以下、「仮想の飛球線」)の方向を「前」としたときの対象者の後方を意味する。また、スイング特性データ取得装置100は、ユーザの正面からのゴルフのスイング動作を表す動画像、及びユーザの後方からのゴルフのスイング動作の動画像の双方を取得してもよい。この場合、例えば、複数のスイング特性データ取得装置100によって、同じタイミングで、ユーザの正面からのゴルフのスイング動作を表す動画像、及びユーザの後方からのゴルフのスイング動作の動画像の双方の画像が取得される。また、1つのカメラの位置を変化させることによって、ユーザの正面からのゴルフのスイング動作を表す動画像、及びユーザの後方からのゴルフのスイング動作の動画像の双方の画像が順次取得されてもよい。
【0022】
また、スイング特性データ取得装置100は、対象者が使用するゴルフのクラブに取り付けられる慣性センサであってもよい。慣性センサは、スイング特性に関するデータとして、対象者によるスイングの挙動を表す測定データ(以下、「スイング挙動データ」)を取得する。慣性センサは、例えば、直交座標系の3軸の加速度、3軸回りの角速度、及び3軸の方位を測定する9軸センサである。
【0023】
また、ゴルフクラブ提案システム1は、スイング特性データ取得装置100として、カメラ及び慣性センサの双方を含んでもよい。
【0024】
また、図1では、便宜上、スイング特性データ取得装置100とユーザ端末200とは別に描画されるが、スイング特性データ取得装置100としてのカメラは、ユーザ端末200に内蔵されてもよいし、ユーザ端末200と別に設けられてもよい。後者の場合、カメラの出力(動画像データ)は、通信によりユーザ端末200に取り込まれてもよいし、後述の記録媒体201Aを通じてユーザ端末200に取り込まれてもよい。また、カメラの出力は、ユーザ端末200を介さずに、情報処理装置300に直接取り込まれてもよい。
【0025】
ユーザ端末200は、ゴルフクラブ提案システム1のユーザが利用する端末装置である。ユーザ端末200は、例えば、ゴルフショップ等に配置される端末装置であってもよいし、ユーザが所持する端末装置であってもよい。
【0026】
ユーザ端末200は、例えば、可搬型の端末装置、即ち、携帯端末である。携帯端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC(Personal Computer)等である。また、ユーザ端末200は、例えば、デスクトップ型のPC等の定置型の端末装置であってもよい。
【0027】
ユーザ端末200は、所定の通信回線を通じて、情報処理装置300と通信可能に接続される。所定の通信回線は、例えば、ローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。また、所定の通信回線は、広域ネットワークを含んでもよい。広域ネットワークは、例えば、インターネット網を含む。また、広域ネットワークは、基地局を末端とする移動体通信網や通信衛星を利用する衛星通信網を含んでもよい。また、所定の通信回線は、例えば、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、ローカル5G(5th Generation)等の所定の無線通信規格を用いる近距離通信回線であってもよい。
【0028】
ユーザ端末200は、対象者のスイング特性データをスイング特性データ取得装置100から取り込み、情報処理装置300に送信する。そして、ユーザ端末200は、情報処理装置300から返信される推奨構成部品情報を、後述の表示装置208を通じてユーザに提示する。推奨構成部品情報は、スイング特性データに基づき推奨される、ゴルフクラブの構成部品に関する情報である。
【0029】
情報処理装置300は、ユーザ端末200から受信される、対象者のスイング特性データに基づき、予め登録される、推奨候補の複数の構成部品の中から対象者のスイング特性に対して推奨される構成部品に関する情報(推奨構成部品情報)をユーザ端末200に返信する。
【0030】
情報処理装置300は、例えば、比較的処理能力が高いサーバ装置である。サーバ装置は、クラウドサーバやオンプレミスサーバであってもよいし、エッジサーバであってもよい。また、情報処理装置300は、後述の各種機能を実現する処理能力を有する限り、サーバ装置よりも相対的に処理能力が低い端末装置であってもよい。端末装置は、定置型の端末装置であってもよいし、可搬型の端末装置であってもよい。
【0031】
[ゴルフクラブ提案システムのハードウェア構成]
次に、図1に加えて、図2図3を参照して、ゴルフクラブ提案システム1(ユーザ端末200、情報処理装置300)のハードウェア構成について説明する。
【0032】
<ユーザ端末のハードウェア構成>
図2は、ユーザ端末200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
ユーザ端末200の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、図2に示すように、ユーザ端末200は、バスB2で接続される、外部インタフェース201、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、通信インタフェース206、入力装置207、表示装置208、及び音出力装置209を含む。また、上述の如く、スイング特性データ取得装置100(カメラ)がユーザ端末200に内蔵される場合、スイング特性データ取得装置100は、他の構成要素と同様に、バスB2に接続されてよい。
【0034】
外部インタフェース201は、記録媒体201Aからデータの読み取りや記録媒体201Aへのデータの書き込みのためのインタフェースとして機能する。記録媒体201Aには、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、SDメモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。これにより、ユーザ端末200は、記録媒体201Aを通じて、処理で利用する各種データを読み込み、補助記憶装置202に格納したり、各種機能を実現するプログラムをインストールしたりすることができる。
【0035】
尚、ユーザ端末200は、通信インタフェース206を通じて、外部装置(例えば、情報処理装置300)から処理で利用する各種データやプログラムを取得してもよい。
【0036】
補助記憶装置202は、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置202は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Disc)やフラッシュメモリ等を含む。
【0037】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。メモリ装置203は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を含む。
【0038】
CPU204は、補助記憶装置202からメモリ装置203にロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従ってユーザ端末200に関する各種機能を実現する。
【0039】
通信インタフェース206は、外部機器と通信可能に接続するためのインタフェースとして用いられる。これにより、ユーザ端末200は、通信インタフェース206を通じて、スイング特性データ取得装置100から動画像のデータを取得することができる。ユーザ端末200は、通信インタフェース206を通じて、例えば、情報処理装置300等の外部機器と通信することができる。また、通信インタフェース206は、接続される機器との間の通信方式等によって、複数の種類の通信インタフェースを有してもよい。
【0040】
入力装置207は、ユーザから各種入力を受け付ける。
【0041】
入力装置207は、例えば、ユーザからの機械的な操作入力を受け付ける形態の入力装置(以下、「操作入力装置」)を含む。遠隔操作用の操作装置は、操作入力装置であってよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、表示装置208に実装されるタッチパネル、表示装置208とは別に設けられるタッチパッド、キーボード、マウス等を含む。
【0042】
また、入力装置207は、ユーザからの音声入力を受付可能な音声入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、ユーザの音声を集音可能なマイクロフォンを含む。
【0043】
また、入力装置207は、ユーザからのジェスチャ入力を受付可能なジェスチャ入力装置を含んでもよい。ジェスチャ入力装置は、例えば、ユーザのジェスチャの様子を撮像可能なカメラを含む。
【0044】
また、入力装置207は、ユーザからの生体入力を受付可能な生体入力装置を含んでもよい。生体入力装置は、例えば、ユーザの指紋や虹彩に関する情報を内包する画像データを取得可能なカメラを含む。
【0045】
表示装置208は、ユーザに向けて、情報画面や操作画面を表示する。表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0046】
音出力装置209は、ユーザ端末200のユーザに向けて、音によって各種情報を伝える。音出力装置209は、例えば、ブザー、アラーム、スピーカ等である。
【0047】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図3は、情報処理装置300のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
情報処理装置300の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、図3に示すように、情報処理装置300は、バスB3で接続される、外部インタフェース301、補助記憶装置302、メモリ装置303、CPU304、高速演算装置305、通信インタフェース306、入力装置307、表示装置308、及び音出力装置309を含む。
【0049】
外部インタフェース301は、記録媒体201Aからデータの読み取りや記録媒体201Aへのデータの書き込みのためのインタフェースとして機能する。記録媒体201Aには、例えば、フレキシブルディスク、CD、DVD、BD、SDメモリカード、USBメモリ等が含まれる。これにより、情報処理装置300は、記録媒体201Aを通じて、処理で利用する各種データを読み込み、補助記憶装置302に格納したり、各種機能を実現するプログラムをインストールしたりすることができる。
【0050】
尚、情報処理装置300は、通信インタフェース306を通じて、外部装置から処理で利用する各種データやプログラムを取得してもよい。
【0051】
補助記憶装置302は、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置302は、例えば、HDDやSSDやフラッシュメモリ等を含む。
【0052】
メモリ装置303は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置302からプログラムを読み出して格納する。メモリ装置303は、例えば、DRAMやSRAMを含む。
【0053】
CPU304は、補助記憶装置302からメモリ装置303にロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従って情報処理装置300に関する各種機能を実現する。
【0054】
高速演算装置305は、CPU304と連動し、相対的に高い速度で演算処理を行う。高速演算装置305は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含む。
【0055】
尚、高速演算装置305は、必要な演算処理の速度に応じて、省略されてもよい。
【0056】
通信インタフェース306は、外部機器と通信可能に接続するためのインタフェースとして用いられる。これにより、情報処理装置300は、通信インタフェース306を通じて、例えば、ユーザ端末200等の外部機器と通信することができる。また、通信インタフェース306は、接続される機器との間の通信方式等によって、複数の種類の通信インタフェースを有してもよい。
【0057】
入力装置307は、ユーザから各種入力を受け付ける。
【0058】
入力装置307は、例えば、ユーザからの機械的な操作入力を受け付ける形態の操作入力装置を含む。遠隔操作用の操作装置は、操作入力装置であってよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、表示装置308に実装されるタッチパネル、表示装置308とは別に設けられるタッチパッド、キーボード、マウス等を含む。
【0059】
また、入力装置307は、例えば、ユーザからの音声入力を受付可能な音声入力装置を含む。音声入力装置は、例えば、ユーザの音声を集音可能なマイクロフォンを含む。
【0060】
また、入力装置307は、例えば、ユーザからのジェスチャ入力を受付可能なジェスチャ入力装置を含む。ジェスチャ入力装置は、例えば、ユーザのジェスチャの様子を撮像可能なカメラを含む。
【0061】
また、入力装置307は、例えば、ユーザからの生体入力を受付可能な生体入力装置を含む。生体入力装置は、例えば、ユーザの指紋や虹彩に関する情報を内包する画像データを取得可能なカメラを含む。
【0062】
表示装置308は、ユーザに向けて、情報画面や操作画面を表示する。表示装置308は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。
【0063】
音出力装置309は、情報処理装置300のユーザに向けて、音によって各種情報を伝える。音出力装置309は、例えば、ブザー、アラーム、スピーカ等である。
【0064】
[ゴルフクラブ提案システムの機能構成]
次に、図4を参照して、ゴルフクラブ提案システム1の機能構成について説明する。
【0065】
図4は、ゴルフクラブ提案システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0066】
図4に示すように、ユーザ端末200は、アプリ画面表示処理部2001と、スイング特性データ取得部2002と、スイング特性データ送信部2003と、推奨構成部品情報取得部2004とを含む。これらの機能は、例えば、補助記憶装置202にインストールされるアプリケーションプログラム(以下、便宜的に「クラブ提案アプリ」)をメモリ装置203にロードしCPU204で実行することにより実現される。
【0067】
アプリ画面表示処理部2001は、クラブ診断アプリに関する画面(以下、「アプリ画面」)を表示装置208に表示させる。
【0068】
スイング特性データ取得部2002は、スイング特性データ取得装置100から対象者のスイング特性データを取得する。例えば、スイング特性データ取得部2002は、入力装置207を用いた所定のアプリ画面上でのユーザからの入力に応じて、スイング特性データ取得装置100から対象者のスイング特性データを取得する。この際、スイング特性データ取得部2002は、スイング特性データ取得装置100で既に取得済みのスイング特性データを取得してもよいし、スイング特性データ取得装置100により取得される最新のスイング特性データをリアルタイムに取得してもよい。
【0069】
スイング特性データ送信部2003は、スイング特性データ取得部2002により取得される、対象者のスイング特性データを、通信インタフェース206を通じて情報処理装置300に送信する。例えば、スイング特性データ送信部2003は、入力装置207を用いた所定のアプリ画面上でのユーザからの入力に応じて、スイング特性データ取得装置100から取得したスイング特性データを情報処理装置300に送信する。
【0070】
推奨構成部品情報取得部2004は、情報処理装置300から受信される、推奨構成部品情報を含む返信データを取得する。推奨構成部品情報を含む返信データの内容は、アプリ画面表示処理部2001によって、表示装置208に表示される。これにより、ユーザは、推奨構成部品情報を含む返信データの内容を確認することができる。
【0071】
図4に示すように、情報処理装置300は、スイング特性データ取得部3001と、スイング特性データ記憶部3002と、スイング特性指標演算部3003と、スイング特性指標演算部3004と、クラブ特性換算値演算部3005と、推奨クラブ特性値決定部3006と、推奨構成部品選択部3007と、構成部品情報記憶部3008と、推奨構成部品情報送信部3009とを含む。これらの機能は、例えば、補助記憶装置302にインストールされるプログラムをメモリ装置303にロードしCPU304で実行することにより実現される。また、スイング特性データ記憶部3002の機能は、例えば、補助記憶装置302やメモリ装置303に規定される記憶領域により実現される。
【0072】
スイング特性データ取得部3001は、ユーザ端末200から受信される、対象者のスイング特性データを取得する。スイング特性データ取得部3001により取得されたデータは、スイング特性データ記憶部3002に格納される。
【0073】
スイング特性指標演算部3003は、対象者のスイング特性データに基づき、対象者の第1の種類のスイング特性の指標値(以下、「第1のスイング特性値」)を演算する。
【0074】
スイング特性指標演算部3004は、対象者のスイング特性データに基づき、第2の種類のスイング特性の指標値(以下、「第2のスイング特性値」)を演算する。
【0075】
第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値は、互いに種類が異なり、且つ、互いに同じ種類の、ゴルフクラブ(構成部品)の特性(以下、「クラブ特性」)と相関を有するスイング特性の指標値である。
【0076】
クラブ特性換算値演算部3005は、第1のスイング特性値の、第1のスイング特性値と相関を有する特定の種類のクラブ特性値への換算値(以下、「以下、クラブ特性換算値」)を演算する。
【0077】
例えば、第1のスイング特性値と特定の種類のクラブ特性値との間の相関関係を表す換算式や換算テーブル等の情報は、補助記憶装置302に予め登録される。これにより、クラブ特性換算値演算部3005は、これらの情報を利用して、第1のスイング特性値からクラブ特性換算値を演算することができる。
【0078】
推奨クラブ特性値決定部3006は、対象者の第1のスイング特性値に基づくクラブ特性換算値と、対象者の第2のクラブ特性値とに基づき、対象者のゴルフのスイングに対して推奨される、特定の種類のクラブ特性値(以下、「推奨クラブ特性値」)を決定する。具体的には、推奨クラブ特性値決定部3006は、第1のスイング特性値に対応するクラブ特性換算値を基準として、第2のスイング特性値に基づき、特定の種類のクラブ特性値を決定する。
【0079】
例えば、推奨クラブ特性値決定部3006は、推奨クラブ特性値として、クラブ特性換算値を採用する前提の下で、対象者の第2のスイング特性値に基づき、クラブ特性換算値を修正すべきかどうかを判定する。具体的には、推奨クラブ特性値決定部3006は、対象者の第2のスイング特性値が所定の条件に該当する場合、推奨クラブ特性値として、クラブ特性換算値を採用してよい。一方、推奨クラブ特性値決定部3006は、対象者の第2のスイング特性値が所定の条件に該当しない場合、対象者の第2のスイング特性値に基づき、クラブ特性換算値を修正し、推奨クラブ特性値として、修正後のクラブ特性換算値を採用する。第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値のうち、第2のスイング特性値の条件によっては、第1のスイング特性値に基づくクラブ特性換算値をそのまま用いると、第2のスイング特性値に対して適合しない推奨クラブ特性値となる可能性があるからである。これにより、推奨クラブ特性値決定部3006は、対象者のゴルフのスイングのより合った、推奨クラブ特性値を決定することができる。
【0080】
推奨構成部品選択部3007は、推奨クラブ特性値に基づき、推奨クラブ特性値に対応する種類の構成部品について、予め登録される複数の構成部品の中から対象者のスイングに合った構成部品(以下、「推奨構成部品」)を選択する。具体的には、推奨クラブ特性値決定部3006によりクラブのヘッドに関する推奨クラブ特性値が決定される場合、推奨構成部品選択部3007は、推奨クラブ特性値に基づき、複数のヘッドの中から対象者のスイングに合った推奨構成部品としてのヘッドを選択する。また、推奨クラブ特性値決定部3006によりクラブのシャフトに関する推奨クラブ特性値が決定される場合、推奨構成部品選択部3007は、推奨クラブ特性値に基づき、複数のシャフトの中から対象者のスイングに合った推奨構成部品としてのシャフトを選択する。選択される構成部品は、1つであってもよいし複数であってもよい。
【0081】
登録済みの複数の構成部品のそれぞれに対応する、構成部品に関する情報(以下、「構成部品情報」)は、構成部品情報記憶部3008に記憶されている。例えば、構成部品情報には、対象の構成部品のID(Identification)等の識別情報、対象の構成部品の名称、対象の構成部品の1又は複数の種類のクラブ特性値等が含まれる。
【0082】
例えば、推奨構成部品選択部3007は、構成部品情報記憶部3008に登録される、選択候補の複数の構成部品のそれぞれに対応する構成部品情報に基づき、推奨クラブ特性値と同じ或いは推奨クラブ特性値に近いクラブ特性値を有する構成部品を選択する。推奨クラブ特性値に近いクラブ特性値とは、選択候補の複数の構成部品の中での相対的に近いクラブ特性値であってもよいし、推奨クラブ特性値に対して近いと判断可能な所定範囲内のクラブ特性値であってもよい。
【0083】
推奨構成部品情報送信部3009は、通信インタフェース306を通じて、推奨構成部品選択部3007により選択された推奨構成部品に関する情報(推奨構成部品情報)をユーザ端末200に送信する。推奨構成部品情報には、選択された推奨構成部品の画像、名称、仕様(スペック)等の情報が含まれる。これにより、ユーザ端末200のアプリ画面表示処理部2001は、情報処理装置300から受信される推奨構成部品情報の内容を表示装置208に表示し、ユーザに推奨構成部品情報の内容を視覚的に提供することができる。
【0084】
[推奨クラブ特性値の決定方法及び推奨構成部品の選択方法の具体例]
次に、図5図11を参照して、推奨クラブ特性値の決定方法及び推奨構成部品の選択方法の具体例について説明する。
【0085】
<概要>
本例では、情報処理装置300により、クラブのシャフトの調子に関する特性値(以下、「調子値」)についての推奨クラブ特性値(以下、「推奨調子値」)が決定される。
【0086】
シャフトの調子は、シャフトの最も撓る箇所を表す。例えば、シャフトの先端(ヘッド)寄りの位置が最も撓る場合、「先調子」と称され、シャフトの基端(グリップ)寄りの位置が最も撓る場合、「元調子」と称され、シャフトのヘッド側の端部とグリップ側の端部との間の中央付近が最も撓る場合、「中調子」称される。
【0087】
例えば、シャフトの調子は、シャフトの長手方向における所定の位置の曲げ剛性、シャフトの長手方向での曲げ剛性の分布、シャフトの長手方向でのキックポイントの位置、シャフトの先端側及び基端側の2か所の曲げ剛性の比等に基づき規定される。
【0088】
<第1のスイング特性値>
図5は、スイングのタメに関するスイング特性値の第1例を説明する図である。図6は、スイングのタメに関するスイング特性値の第2例を説明する図である。
【0089】
本例では、調子値と相関を有する第1のスイング特性値として、スイングのタメに関するスイング特性値(以下、「タメ特性値」)を採用する。
【0090】
スイングのタメは、ダウンスイングにおいて、クラブのヘッドよりもグリップがより先行して動作する状態を意味する。
【0091】
例えば、図5に示すように、タメ特性値は、軌道差TDである。
【0092】
軌道差TDは、対象者を正面からみたときのバックスイングにおけるヘッドの軌道BSとダウンスイングにおけるヘッドの軌道DSとの前後方向(水平方向)の相違(距離)に対応する指標値である。換言すれば、軌道差TDは、地面に鉛直且つ仮想の飛球線に平行な平面に投影されたバックスイングの軌道BSとダウンスイングの軌道DSとの前後方向(水平方向)の相違(距離)に対応する指標値である。
【0093】
例えば、軌道差TDは、バックスイングの軌道BSとダウンスイングの軌道DSとの前後方向の相違(距離)の最大値である。また、軌道差TDは、地面から所定の高さ(例えば、1メートル)における、バックスイングの軌道BSとダウンスイングの軌道DSとの前後方向の相違(距離)であってもよい。
【0094】
軌道差TDが大きくなるほど、スイングのタメが大きくなる。スイングのタメが大きくなると、ダウンスイングのヘッドの軌道が水平方向(前後方向)で対象者に近くなり、その結果、軌道差TDが相対的に大きくなるからである。
【0095】
スイング特性指標演算部3003は、対象者のスイング特性データに基づき、対象者のスイングの軌道を取得し、軌道差TDを演算する。
【0096】
例えば、スイング特性指標演算部3003は、カメラにより取得される動画像データに基づき、既知の画像認識技術を用いて、各フレームのヘッドの位置等を認識することにより、スイングの軌道を取得し、軌道差TDを演算する。
【0097】
また、スイング特性指標演算部3003は、慣性センサにより取得されるスイング挙動データに基づき、スイングにおけるヘッドの軌道を取得し、軌道差TDを演算してもよい。
【0098】
また、図6に示すように、タメ特性値は、コック度合いθであってもよい。
【0099】
コック度合いθは、対象者を正面からみたときの、スイングのハーフウェイダウン時の飛球方向側の肩P1及び手首P2(本例では、左肩及び左首)を結ぶ直線と、手首P2及びヘッドP3を結ぶ直線とが成す角度である。換言すれば、コック度合いθは、地面に鉛直且つ仮想の飛球線に平行な平面に投影された、スイングのハーフウェイダウン時の飛球側(本例では、左側)の肩P1及び手首P2を結ぶ直線と、手首P2及びヘッドP3を結ぶ直線とが成す角度である。
【0100】
ハーフウェイダウンは、トップからインパクトまでのダウンスイング中において、対象者の両手首の位置がアドレス時の対象者の肘の高さと一致するタイミングに相当する。
【0101】
例えば、スイング特性指標演算部3003は、カメラにより取得される動画像データに基づき、ボーン検出等の既知の画像認識技術を用いて、対象者の身体部位(例えば、骨格の関節位置)を表す点(以下、「身体的特徴点」)を抽出し、コック度合いθを演算する。
【0102】
<第2のスイング特性値>
図7図8は、スイングにおけるヘッドの軌道に関するスイング特性の一例を説明する図である。図9は、スイングにおけるヘッドの軌道の理想領域からの逸脱回数の決定方法の一例を説明する図である。
【0103】
本例では、調子値と相関を有する第2のスイング特性値として、アドレス~トップ~インパクトに至るスイング区間におけるヘッドの軌道が理想のスイングに相当する理想領域R1からエラー領域R2に逸脱した回数(以下、「逸脱回数」)を採用する。
【0104】
図7に示すように、理想領域R1は、アドレス時の対象者を後方から見たときのクラブのヘッドP4と対象者の首P5とを通過する直線L1と、クラブのシャフトの延長線に相当する直線L2との間の角度範囲に相当する領域である。換言すれば、理想領域R1は、地面に鉛直且つ仮想の飛球線に垂直な平面に投影された、アドレス時のヘッドP4と対象者の首P5とを通過する直線L1と、アドレス時のシャフトの延長線に相当する直線L2との間の角度範囲に相当する領域である。また、直線L1を規定する、クラブのヘッドP4は、クラブのシャフトの先端やゴルフボールやティーの根元等に置換されてもよい。
【0105】
エラー領域R2は、理想領域R1よりも下方のエラー領域R2Lと、理想領域R1よりも上方のエラー領域R2Uとを含む。
【0106】
例えば、スイング特性指標演算部3004は、カメラにより取得される動画像データの中から、既知の画像認識技術を用いて、スイング動作のアドレス時に対応する静止画像を抽出する。続いて、スイング特性指標演算部3004は、スイング動作のアドレス時に対応する静止画像からクラブのシャフト、ヘッド、身体的特徴点を抽出し、直線L1,L2並びに理想領域R1及びエラー領域R2を設定する。続いて、スイング特性指標演算部3004は、既知の画像認識技術を用いて、動画像データの各フレームからクラブのヘッドを抽出することにより、テイクバックの開始からトップを経由してインパクトに至るまでのスイング区間でのヘッドの軌道を取得する。そして、スイング特性指標演算部3004は、取得したヘッドの軌道と、理想領域R1及びエラー領域R2との位置関係に基づき、逸脱回数を演算する。
【0107】
また、スイング特性指標演算部3004は、慣性センサにより取得されるスイング挙動データに基づき、スイング動作のアドレス時に対応する測定データからシャフトの姿勢状態を取得することにより、直線L1を規定してもよい。続いて、スイング特性指標演算部3004は、シャフトの先端或いはヘッドを基準として、直線L1を予め規定された角度だけ回転させることにより、直線L2を規定(推定)し、理想領域R1及びエラー領域R2を設定してもよい。続いて、スイング特性指標演算部3004は、スイング挙動データに基づき、スイングにおけるヘッドの軌道を取得してもよい。そして、スイング特性指標演算部3004は、取得したヘッドの軌道と、理想領域R1及びエラー領域R2との位置関係に基づき、逸脱回数を演算してもよい。
【0108】
例えば、直線L1,L2は、地面に鉛直且つ仮想の飛球線に垂直な平面上に規定される、水平方向及び鉛直方向のそれぞれに対応するx軸及びy軸の2次元直交座標系における閾値、即ち、上限値及び下限値として規定される。そして、x座標に対して可変する上限値及び下限値が数式やテーブル等によって予め規定され、ヘッドのx座標に対応する上限値及び下限値を用いて、ヘッドのy座標が上限値以下且つ下限値以上の範囲にあるかを判定することにより逸脱回数が演算されてよい。
【0109】
逸脱回数は、理想領域R1からエラー領域R2に逸脱した回数であり、スイング動作中において、エラー領域R2に逸脱した状態が継続する区間では、逸脱回数は、増加しない。
【0110】
例えば、図8に示すように、バックスイングのヘッドの軌道BSは、理想領域R1の中にあり、ダウンスイングのヘッドの軌道DSは、途中で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱し、エラー領域R2を通過しながらインパクトまで到達している。この場合、逸脱回数は、1回である。
【0111】
また、スイング特性指標演算部3004は、テイクバックの開始からトップを経由しインパクトに至るスイング動作のうち、トップ、ハーフウェイダウン、及びインパクトのそれぞれのタイミングでの理想領域R1とヘッドとの位置関係に基づき、逸脱回数を演算してもよい。
【0112】
例えば、図9に示すように、パターン1の場合、ヘッドの位置は、トップのタイミングでは、エラー領域R2Lにあり、ハーフウェイダウン及びインパクトのそれぞれのタイミングでは、理想領域R1にある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱し、トップからハーフウェイダウンまでの区間でエラー領域R2Lから理想領域R1に戻り、インパクトのタイミングまで理想領域R1にある状態を維持したと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、ヘッドがテイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱したときの1回のみである。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が1回であると判断することができる。
【0113】
また、パターン2の場合、ヘッドの位置は、トップ及びハーフウェイダウンのそれぞれのタイミングでは、エラー領域R2Lにあり、インパクトのタイミングでは、理想領域R1にある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱し、その状態を維持した後、ハーフウェイダウンからインパクトまでの区間でエラー領域R2Lから理想領域R1に戻ったと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、パターン1の場合と同様、ヘッドがテイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱したときの1回のみである。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が1回であると判断することができる。
【0114】
また、パターン3の場合、ヘッドの位置は、トップ、ハーフウェイダウン、及びインパクトのそれぞれのタイミングでエラー領域R2Lにある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱し、インパクトのタイミングまでエラー領域R2Lにある状態を維持したと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、パターン1,2の場合と同様、ヘッドがテイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱したときの1回のみである。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が1回であると判断することができる。
【0115】
また、パターン4の場合、ヘッドの位置は、トップのタイミングでは、エラー領域R2Uにあり、ハーフウェイダウン及びインパクトのそれぞれのタイミングでは、理想領域R1にある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱し、トップからハーフウェイダウンまでの区間でエラー領域R2Uから理想領域R1に戻り、インパクトのタイミングまで理想領域R1にある状態を維持したと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、ヘッドがテイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱したときの1回のみである。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が1回であると判断することができる。
【0116】
また、パターン5の場合、ヘッドの位置は、トップのタイミングでは、エラー領域R2Uにあり、ハーフウェイダウンのタイミングでは、エラー領域R2Lにあり、インパクトのタイミングでは、理想領域R1にある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱し、トップからハーフウェイダウンまでの区間でエラー領域R2Uから理想領域R1に戻った後、エラー領域R2Lに逸脱し、ハーフウェイダウンからインパクトの区間でエラー領域R2Lから理想領域R1に戻って、インパクトのタイミングまで理想領域R1にある状態を維持したと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、ヘッドがテイクバックの開始からトップの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱したときと、トップからハーフウェイダウンまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱したときの2回である。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が2回であると判断することができる。
【0117】
また、パターン6の場合、ヘッドの位置は、トップのタイミングでは、エラー領域R2Uにあり、ハーフウェイダウンのタイミングでは、エラー領域R2Lにあり、インパクトのタイミングでは、エラー領域R2Uにある。この場合、ヘッドは、テイクバックの開始からトップまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱し、トップからハーフウェイダウンまでの区間でエラー領域R2Uから理想領域R1に戻った後、エラー領域R2Lに逸脱し、ハーフウェイダウンからインパクトの区間でエラー領域R2Lから理想領域R1に戻った後、エラー領域R2Uに逸脱し、インパクトのタイミングまでエラー領域R2Uに逸脱した状態を維持したと考えられる。つまり、ヘッドの位置が理想領域R1からエラー領域R2に逸脱したのは、ヘッドがテイクバックの開始からトップの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱したとき、トップからハーフウェイダウンまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Lに逸脱したとき、及びハーフウェイダウンからインパクトまでの区間で理想領域R1からエラー領域R2Uに逸脱したときの3回である。そのため、スイング特性指標演算部3004は、逸脱回数が3回であると判断することができる。
【0118】
<スイング特性換算値>
図10は、クラブのシャフトの調子に関する特性値(調子値)の一例を示す図である。
【0119】
例えば、図10に示すように、調子値は、最小値が"1"で、最大値が"5"の範囲で規定される。
【0120】
調子値は、中央値("3")の中調子を基準として、小さくなるほどシャフトのより基端(グリップ)側が撓る元調子の傾向を表し、大きくなるほどシャフトのより先端(ヘッド)側が撓る先調子の傾向を表す。
【0121】
例えば、クラブ特性換算値演算部3005は、タメ特性値に基づき、以下の式(1)を用いて、調子値に相当するクラブ特性換算値(以下、「調子換算値」)を演算する。
【0122】
(調子換算値)=α×(タメ特性値)+β ・・・(1)
【0123】
定数α,βは、例えば、複数の被験者のスイングを活用した実験等を通じて予め規定される。
【0124】
尚、調子換算値は、実際の調子値の範囲を逸脱する1より小さい値や5より大きい値が算出されてもよい。推奨構成部品に相当するシャフト(以下、「推奨シャフト」)の選択の際に、調子換算値に対して、調子値が相対的に近いシャフトが選択されることによって問題が生じないからである。
【0125】
<推奨クラブ特性値>
図10は、シャフトの調子に関する特性値の一例を説明する図である。図11は、シャフトの調子に関する特性値の推奨値の決定方法の一例を説明する図である。
【0126】
本例では、推奨クラブ特性値決定部3006は、逸脱回数が0回の場合、調子換算値をそのまま推奨調子値に決定(採用)する。一方、推奨クラブ特性値決定部3006は、逸脱回数が0回でない場合、即ち、1回以上である場合、逸脱回数に基づき、調子換算値を修正し、修正済みの調子換算値を推奨調子値に決定(採用)する。テイクバックの開始からトップを経由しインパクトに至るスイングの区間でのヘッドの軌道が理想領域R1から逸脱するスイング(以下、「エラースイング」)の場合、ミスショットの可能性が高く、推奨調子値によってそれを補うことが望ましいからである。
【0127】
例えば、体の回転でクラブを振り下ろす傾向のボディターンタイプのスイングでは、タメが相対的に小さくなる。そのため、テイクバックの開始からトップを経由しインパクトに至るスイングの区間でのヘッドの軌道が理想領域R1から逸脱しない理想スイングの場合、対象者は、元調子のシャフトによってタメを補うことで、タイミング良くインパクトし易くなる。
【0128】
しかし、ダウンスイングにおけるヘッドの軌道がエラー領域R2Uを通過する場合、いわゆるアウトサイドインの軌道となり、シャフトの撓り戻りが遅くなる。そのため、ボディターンタイプのスイングの対象者の場合、元調子のシャフトでは、ヘッドの撓りが相対的に大きくなり、インパクトのタイミングでの撓り戻りが不十分になる可能性がある。その結果、この対象者の場合、シャフトの撓りが小さい先調子のシャフトを使用した方が好ましい。よって、元調子に対応する調子換算値であっても、ダウンスイングにおけるヘッドの軌道がエラー領域R2Uにあるようなエラースイングの場合、先調子に対応する形に修正されることにより推奨調子値が決定されることが好ましい。
【0129】
また、ダウンスイングでクラブを下に振り下ろす傾向があるリストターンタイプのスイングでは、タメが相対的に大きくなる。そのため、テイクバックの開始からトップを経由しインパクトに至るスイングの区間でのヘッドの軌道が理想領域R1から逸脱しない理想スイングの場合、対象者は、先調子のシャフトによって余計な撓りが発生しないようにした方がタイミング良くインパクトし易くなる。
【0130】
しかし、ダウンスイングにおけるヘッドの軌道がエラー領域R2Uを通過する場合、いわゆるアウトサイドインの軌道となり、シャフトの撓り戻りが遅くなる。そのため、リストターンタイプのスイングの対象者の場合、スイングのタメが相対的に大きいことから、ヘッドの撓りが相対的に大きい元調子の方が遅くなった撓り戻りのタイミングとインパクトのタイミングとを合わせやすくなる。一方、先調子のシャフトでは、インパクトのタイミングでの撓り戻りが不十分となり、クラブフェースが開いてゴルフボールにインパクトするエラーショットになり易い。その結果、この対象者の場合、シャフトの撓りが大きい元調子のシャフトを使用した方が好ましい。よって、先調子に対応する調子換算値であっても、ダウンスイングにおけるヘッドの軌道がエラー領域R2Uにあるようなエラースイングの場合、元調子に対応する形に修正されることにより推奨調子値が決定されることが望ましい。
【0131】
具体的には、推奨クラブ特性値決定部3006は、逸脱回数が1回増えるごとに、中調子に対応する調子値("3")を基準として、調子換算値を反転させる形で修正することにより推奨調子値を決定する。
【0132】
例えば、図11に示すように、逸脱回数が1回である場合、推奨クラブ特性値決定部3006は、調子換算値"4"を中調子に対応する調子値"3"を基準として1回反転させることで"2"に修正する("4"→"2")。そして、推奨クラブ特性値決定部3006は、推奨調子値を"2"に決定する。
【0133】
また、逸脱回数が2回である場合、推奨クラブ特性値決定部3006は、調子換算値"4"を中調子に対応する調子値"3"を基準として2回反転させることで"4"に戻る("4"→"2"→"4")。そして、推奨クラブ特性値決定部3006は、推奨調子値を"4"に決定する。
【0134】
また、逸脱回数が3回である場合、推奨クラブ特性値決定部3006は、調子換算値"4"を中調子に対応する調子値"3"を基準として3回反転させることで"2"に修正する("4"→"2"→"4"→"2")。そして、推奨クラブ特性値決定部3006は、推奨調子値を"2"に決定する。
【0135】
このように、情報処理装置300は、タメ特性値及び逸脱回数の双方に基づき、推奨調子値を決定する。具体的には、情報処理装置300は、タメ特性値に対応する調子換算値を前提として、逸脱回数に基づき、調子換算値を推奨調子値に決定する場合と、逸脱回数に基づき調子換算値を修正することにより、修正後の調子換算値を推奨調子値に決定する場合とを切り換える。これにより、情報処理装置300は、対象者のスイングに合ったより適切な推奨調子値を決定することができる。
【0136】
<推奨構成部品>
例えば、図10に示すように、調子値"1","2","3","4","5"のそれぞれが付与される、5種類のシャフトA~シャフトEが規定される。シャフトA~Eのそれぞれの構成部品情報は、構成部品情報記憶部3008に予め登録される。
【0137】
本例では、推奨構成部品選択部3007は、構成部品情報記憶部3008に基づき、シャフトA~Eの中から推奨調子値と同じ或いは最も近い調子値を有する一のシャフトを選択する。
【0138】
例えば、図11に示すように、推奨構成部品選択部3007は、推奨調子値が"4"である場合、調子値"4"を有するシャフトDを選択する。また、推奨構成部品選択部3007は、推奨調子値が"2"である場合、調子値"2"を有するシャフトBを選択する。
【0139】
このように、情報処理装置300は、タメ特性値及び逸脱回数の双方に基づき、推奨構成部品を選択する。これにより、情報処理装置300は、対象者のスイングに合ったより適切な推奨構成部品を選択することができる。
【0140】
[ゴルフクラブ提案システムの動作の具体例]
次に、図12を参照して、ゴルフクラブ提案システム1の動作の具体例について説明する。
【0141】
図12は、ゴルフクラブ提案システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0142】
図12に示すように、ユーザ端末200は、入力装置207を用いたユーザからの所定の入力に応じて、クラブ提案アプリを起動させる(ステップS102)。
【0143】
ステップS102の処理の完了後、スイング特性データ取得部2002は、入力装置207を用いた所定のアプリ画面上でのユーザからの所定の入力に応じて、対象者のスイング特性データをスイング特性データ取得装置100から取得する(ステップS104)。
【0144】
ステップS104の処理の完了後、スイング特性データ送信部2003は、通信インタフェース206を通じて、対象者のスイング特性データを情報処理装置300に送信する(ステップS106)。
【0145】
スイング特性データ取得部3001は、ステップS106の処理でユーザ端末200から送信(アップロード)された、対象者のスイング特性データを取得する(ステップS108)。
【0146】
ステップS108の処理の完了後、スイング特性指標演算部3003は、ステップS108で取得された、対象者のスイング特性データに基づき、第1のスイング特性値を演算し取得する(ステップS110)。
【0147】
ステップS110の処理の完了後、クラブ特性換算値演算部3005は、ステップS110で取得された第1のスイング特性値のクラブ特性換算値を演算し取得する(ステップS112
【0148】
ステップS112の処理の完了後、スイング特性指標演算部3004は、ステップS108で取得された、対象者のスイング特性データに基づき、第2のスイング特性値を演算し取得する(ステップS114)。
【0149】
尚、ステップS114の処理は、ステップS110,S112の少なくとも一方より前に行われてもよいし、ステップS110,S112の少なくとも一方と並列的に行われてもよい。
【0150】
ステップS114の処理の完了後、推奨クラブ特性値決定部3006は、ステップS112,S114で取得される、クラブ特性換算値及び第2のスイング特性値に基づき、推奨クラブ特性値を決定する(ステップS116)。
【0151】
ステップS116の処理の完了後、推奨構成部品選択部3007は、ステップS116で決定される、推奨クラブ特性値に基づき、構成部品情報記憶部3008に登録される、選択候補の複数の構成部品の中から推奨構成部品を選択する(ステップS116)。
【0152】
ステップS118の処理の完了後、推奨構成部品情報送信部3009は、推奨構成部品情報を含む返信データをユーザ端末200に送信する(ステップS120)。
【0153】
推奨構成部品情報取得部2004は、ステップS120の処理で情報処理装置300から送信された、推奨構成部品情報を含む返信データを取得(受信)する(ステップS122)。
【0154】
ステップS122の処理の完了後、アプリ画面表示処理部2001は、推奨構成部品情報の内容を表示装置208に表示させる(ステップS124)。
【0155】
このように、ゴルフクラブ提案システム1は、ユーザ端末200から情報処理装置300に取り込まれるスイング特性データに基づき、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値を取得し、その双方に基づき、推奨構成部品を選択することができる。これにより、ゴルフクラブ提案システム1は、対象者のスイングに対してより適切な推奨構成部品を選択し提案することができる。
【0156】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
【0157】
上述の実施形態には、適宜、変形や変更が加えられてもよい。
【0158】
例えば、上述の実施形態では、ユーザ端末200及び情報処理装置300の機能は、1つの情報処理装置によって実現されてもよい。例えば、情報処理装置300の機能は、上述の各種機能を実現する処理能力を有するならば、ユーザ端末200に内蔵されてもよい。また、ユーザ端末200及び情報処理装置300の機能は、3以上の情報処理装置により分散して実現されてもよい。
【0159】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、スイング特性データ取得装置100は、例えば、LIDAR(Light Detecting and Ranging)等の距離センサであってもよい。
【0160】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、第1のスイング特性値として、タメ特性値とは異なる種類のスイング特性値が採用され、その種類のスイング特性値に基づくクラブ特性換算値と、逸脱回数とに基づき、同様の方法で、推奨クラブ特性値が決定されてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、第2のスイング特性値の種類によっては、第2のスイング特性値に対応する、特定の種類のクラブ特性に関するクラブ特性換算値が演算されもてよい。そして、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値のそれぞれに対応する、2つのクラブ特性換算値に基づき、推奨クラブ特性値を決定してもよい。例えば、所定の変換式を用いて、2つのクラブ特性換算値から推奨クラブ特性値が決定されてもよい。
【0162】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、クラブ特性換算値に対応する推奨構成部品の候補が選択された後に、第2のクラブ特性値に基づき、最終的な推奨構成部品が選択されてもよい。つまり、クラブ特性換算値に対応する推奨構成部品を選択する前提の下で、第2のクラブ特性値に基づき、その推奨構成部品をそのまま選択する場合と、第2のクラブ特性値に基づき推奨構成部品を修正する場合とを切り換えてもよい。
【0163】
[作用]
次に、本実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムの作用について説明する。
【0164】
本実施形態では、情報処理装置は、データ取得部と、第1のスイング特性値取得部と、第2のスイング特性値取得部と、クラブ特性値出力部と、を備える。情報処理装置は、例えば、上述の情報処理装置300である。データ取得部は、例えば、スイング特性データ取得部3001である。第1のスイング特性値取得部は、例えば、上述のスイング特性指標演算部3003である。第2のスイング特性値取得部は、例えば、上述のスイング特性指標演算部3004である。クラブ特性値出力部は、例えば、上述の推奨クラブ特性値決定部3006である。具体的には、データ取得部は、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得する。また、第1のスイング特性値取得部は、データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する。また、第2のスイング特性値取得部は、データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する。そして、クラブ特性値取得部は、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値の基づき、対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力する。
【0165】
本実施形態では、情報処理方法は、データ取得ステップと、第1のスイング特性値取得ステップと、第2のスイング特性値取得ステップと、クラブ特性値出力ステップと、を含む。データ取得ステップは、例えば、上述のステップS108である。第1のスイング特性値取得ステップは、例えば、上述のステップS110である。第2のスイング特性値取得ステップは、例えば、上述のステップS114である。クラブ特性値出力ステップは、例えば、上述のステップS116である。具体的には、データ取得ステップでは、情報処理装置が、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得する。また、第1のスイング特性値取得ステップでは、情報処理装置が、データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得する。また、第2のスイング特性値取得ステップでは、情報処理装置が、データ取得ステップで取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値を取得する。そして、クラブ特性値出力ステップでは、情報処理装置が、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値の基づき、対象者のスイングに対応する、ゴルフクラブの構成部品に関する特定の種類のクラブ特性値を出力する。
【0166】
また、本実施形態では、プログラムは、情報処理装置に、データ取得ステップと、第1のスイング特性値取得ステップと、第2のスイング特性値取得ステップと、クラブ特性値出力ステップと、を実行させてもよい。
【0167】
これにより、情報処理装置は、対象者のゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値の双方を考慮して、対象者のゴルフのスイングに合った、特定の種類のクラブ特性値を決定し出力することができる。そのため、情報処理装置は、対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの選択をより適切に支援することができる。
【0168】
また、本実施形態では、情報処理装置は、換算値演算部を備えてもよい。換算値演算部は、例えば、上述のクラブ特性換算値演算部3005である。具体的には、換算値演算部は、第1のスイング特性値を特定の種類のクラブ特性値に換算した換算値を演算する。そして、クラブ特性値出力部は、第2のスイング特性値に基づき、換算値を特定の種類のクラブ特性値として出力する場合と、換算値を修正して特定の種類のクラブ特性値として出力する場合とを切り換えてもよい。
【0169】
これにより、情報処理装置は、第1のスイング特性値から特定の種類のクラブ特性値を決定する前提の下で、第2のスイング特性値を考慮して、第1のスイング特性値から決定されるクラブ特性値を修正しない場合と修正する場合とを切り換えることができる。そのため、情報処理装置は、第1のスイング特定値に加えて、第2のスイング特性値を考慮する形で、特性の種類のクラブ特性値を決定することができる。
【0170】
また、本実施形態では、第2のスイング特性値は、スイング中にゴルフクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数であってもよい。
【0171】
これにより、情報処理装置は、例えば、第2のスイング特性値として、スイング中にゴルフクラブのヘッドの軌道が理想的なスイング(以下、「理想スイング」)に対応する所定の領域から逸脱した回数を考慮して、特定の種類のクラブ特性値を決定することができる。
【0172】
また、本実施形態では、特定の種類のクラブ特性値は、所定の範囲内で規定されてもよい。所定の範囲は、例えば、一端の固定値と他端の固定値との間で規定される。そして、クラブ特性値出力部は、スイング中にゴルフクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数が1回増えるごとに、所定の範囲内の所定値を基準にして、上記の換算値を反転させる修正を行い、特定の種類のクラブ特性値を出力してもよい。所定値は、例えば、所定範囲を規定する一端の固定値と他端の固定値との間の中央値である。
【0173】
これにより、情報処理装置は、対象者のスイングのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を利用して、特定の種類のクラブ特性値に対応する、第1のクラブ特性値の換算値を修正することができる。
【0174】
また、本実施形態では、情報処理装置は、データ取得部と、第1のスイング特性値取得部と、第2のスイング特性値取得部と、構成部品情報出力部と、を備えてもよい。構成部品情報出力部は、例えば、上述の推奨構成部品選択部3007である。具体的には、データ取得部は、対象者によるゴルフのスイングの特性に関するデータを取得してもよい。また、第1のスイング特性値取得部データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する第1のスイング特性値を取得してもよい。第2のスイング特性値取得部は、データ取得部により取得されるデータに基づき、ゴルフのスイングに関する、第1のスイング特性値と異なる種類の第2のスイング特性値であって、スイング中にゴルフのクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を表す第2のスイング特性値を取得してもよい。そして、構成部品情報出力部は、第1のスイング特性値及び第2のスイング特性値に基づき、対象者のスイングに対応するゴルフクラブの構成部品に関する情報を出力してもよい。
【0175】
これにより、情報処理装置は、第1のスイング特性値に加えて、対象者のスイングにおけるヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を表す第2のスイング特性値を考慮して、対象者のスイングに合った、ゴルフクラブの構成部品に関する情報を出力することができる。そのため、情報処理装置は、対象者のゴルフのスイング特性に合ったクラブの選択をより適切に支援することができる。
【0176】
また、本実施形態では、所定の領域は、ゴルフボールの仮想の飛球線に沿って後方から対象者を見たときに、スイングのアドレス時におけるゴルフクラブのシャフトの延長線、及びスイングのアドレス時における対象者の首の箇所とゴルフボール、シャフトの先端、ヘッド、又はティーとを結ぶ直線の間に規定されるV字型の領域であってもよい。
【0177】
これにより、情報処理装置は、理想的なスイングに相当するV字型の領域を前提として、第2のスイング特性値(即ち、対象者のスイングにおけるヘッドの軌道がV字型の領域を逸脱した回数)を取得することができる。
【0178】
また、本実施形態では、第2のスイング特性値取得部は、対象者のスイング中のトップ、ハーフウェイダウン、及びインパクトの3つのタイミングのそれぞれでのゴルフクラブのヘッドと所定の領域との位置関係の組み合わせに応じて、スイング中にゴルフクラブのヘッドの軌道が所定の領域から逸脱した回数を取得してもよい。
【0179】
これにより、情報処理装置は、例えば、対象者のスイングの軌道の全体と所定の領域との関係を探索する必要がなくなる。また、情報処理装置は、例えば、対象者のスイングの軌道の全体のデータを取得できない場合であっても、対象者のスイングにおけるヘッドの軌道が所定の領域を逸脱した回数を取得することができる。そのため、情報処理装置は、対象者のスイングにおけるヘッドの軌道が所定の領域を逸脱した回数をより容易に取得することができる。
【0180】
また、本実施形態では、第1のスイング特性値は、スイングのタメに関する特性値であってもよい。そして、特定の種類のクラブ特性値は、ゴルフクラブのシャフトの調子に関する特性値であってもよい。
【0181】
これにより、情報処理装置は、スイングのタメに関する特性値を前提として、第2のスイング特性値を考慮しながら、対象者のスイングに合った、シャフトの調子に関する特性値を決定することができる。
【0182】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0183】
1 ゴルフクラブ提案システム
100 スイング特性データ取得装置
200 ユーザ端末
300 情報処理装置
2001 アプリ画面表示処理部
2002 スイング特性データ取得部
2003 スイング特性データ送信部
2004 推奨構成部品情報取得部
3001 スイング特性データ取得部
3002 スイング特性データ記憶部
3003 スイング特性指標演算部
3004 スイング特性指標演算部
3005 クラブ特性換算値演算部
3006 推奨クラブ特性値決定部
3007 推奨構成部品選択部
3008 構成部品情報記憶部
3009 推奨構成部品情報送信部
BS,DS 軌道
L1,L2 直線
P1 肩
P2 手首
P3 ヘッド
P4 ヘッド
P5 首
R1 理想領域
R2 エラー領域
R2L,R2U エラー領域
S102 ステップ
S104 ステップ
S106 ステップ
S108 ステップ
S110 ステップ
S112 ステップ
S114 ステップ
S116 ステップ
S118 ステップ
S120 ステップ
S122 ステップ
S124 ステップ
TD 軌道差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12