(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009058
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ラッサワクチン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/40 20060101AFI20240112BHJP
C12N 15/45 20060101ALI20240112BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240112BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240112BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240112BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240112BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240112BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240112BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240112BHJP
A61K 39/165 20060101ALI20240112BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
C12N15/45
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N7/01
C12N5/10
A61P31/14
A61P37/04
A61K31/711
A61K39/165
A61K9/14
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192505
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2020534373の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,155
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508029653
【氏名又は名称】アンスティテュ・パストゥール
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・マテオ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・ベーズ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・タンギー
(57)【要約】
【課題】本発明は、ラッサウイルスポリペプチドを発現する組換え麻疹ウイルスに関し、特にラッサウイルスのタンパク質を含有する麻疹ウイルス及び/又はウイルス様粒子(VLP)によって発現される免疫原性LASV粒子に関する。これらの粒子は、投与後宿主において複製できる組換え感染性粒子である。
【解決手段】本発明は、手段、特に核酸構築物、ベクター、細胞、及びこれらの感染性粒子を産生するレスキューシステムを提供する。本発明はまた、ラッサウイルスによる感染の処置又は防止のための、特に組成物の形態での、より詳細にはワクチン形態でのこれらの組換え感染性粒子の使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)麻疹ウイルス(MeV)の全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子;
(2) 核タンパク質(NP)、変異核タンパク質(mNP)、糖タンパク質前駆体(GPC)、及び亜鉛結合タンパク質(Z)からなる群から選択される、ラッサウイルス(LASV)の少なくとも1つのポリペプチド、又はその抗原性断片をコードする第1の異種ポリヌクレオチド
を含み、
ここで、第1の異種ポリヌクレオチドが、アンチゲノム(+)RNAのcDNA内に挿入された追加転写単位(ATU)内、特にMeVのP遺伝子とM遺伝子の間に位置するATU、特にMeVのP遺伝子とM遺伝子の間に挿入されたATU2に操作可能にクローニングされている、核酸構築物。
【請求項2】
GPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質及びZタンパク質からなる群から選択される、LASVの少なくとも1つのポリペプチド、又はその抗原性断片をコードする第2の異種ポリヌクレオチドであって、第2の異種ポリヌクレオチドが、第1のクローニングされた異種ポリヌクレオチドの位置とは異なる位置の、好ましくはMeVのN遺伝子の上流の別のATU内に操作可能にクローニングされており、特に前記別のATUが、MeVのN遺伝子の上流に挿入されたATU1であり、第2の異種ポリヌクレオチドが、特に第1の異種ポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1つのポリペプチドとは異なる少なくとも1つのポリペプチド又はその抗原性断片をコードする、第2の異種ポリヌクレオチドを更に含む、請求項1に記載の核酸構築物。
【請求項3】
GPCタンパク質、NPタンパク質、mNP及び/又はZタンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド、又はその抗原性断片がLASV株Josiahからであり、又はLASV株Josiah由来であり、特に異種ポリヌクレオチドが、GenBank J04324.1及び/又はU73034.2の配列から生じる、又は由来である、請求項1又は2に記載の核酸構築物。
【請求項4】
第1及び/又は第2の異種ポリヌクレオチドがmNPタンパク質、又はその抗原性断片をコードし、ここでmNPタンパク質が変異したエキソヌクレアーゼドメインを有し、特にコードされるmNPタンパク質のアミノ酸配列がアミノ酸残基389及び/又は392で、好ましくは配列番号3のアミノ酸残基389及び392の置換によって変異し、特にコードされるmNPタンパク質が配列番号5の配列であり、特に、mNPタンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドが配列番号6を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項5】
GPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質及び/又はZタンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド、又はその抗原性断片が、コドン最適化オープンリーディングフレーム(ORF)を有し、特に異種ポリヌクレオチドが以下の配列:
- GPCタンパク質をコードする配列番号2;及び/又は
- NPタンパク質をコードする配列番号4;及び/又は
- mNPタンパク質をコードする配列番号6;及び/又は
- Zタンパク質をコードする配列番号8
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項6】
異種ポリヌクレオチドが、
- 配列番号1のGPCタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号3のNPタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号5のmNPタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号7のZタンパク質又はその抗原性断片
をコードする、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項7】
5'端から3'端に以下のポリヌクレオチド:
(a)MeVのNタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(b)MeVのPタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド、又はその抗原性断片をコードする、特にGPCタンパク質である単一のポリペプチド又はその抗原性断片をコードする、又はGPCタンパク質若しくはその抗原性断片、及びNPタンパク質若しくはmNPタンパク質のいずれか又はその抗原性断片である少なくとも2つのポリペプチドをコードする、特に、GPCタンパク質及びmNPタンパク質をコードする第1の異種ポリヌクレオチドであって、特にATU内、特にATU2内に操作可能にクローニングされている第1の異種ポリヌクレオチド;
(d)MeVのMタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)MeVのFタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)MeVのHタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(g)MeVのLタンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含み、ここで、前記ポリヌクレオチドが核酸構築物内に操作可能に結合され、ウイルス複製及び転写制御エレメント、例えばMeVリーダー及びトレーラー配列のコントロール下にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項8】
5'端から3'端に以下のポリヌクレオチド:
(a)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド又はその抗原性断片をコードする、特にZタンパク質又はその抗原性断片をコードする第2の異種ポリヌクレオチドであって、MeVのN遺伝子の上流に位置するATU内、特にATU1内に操作可能にクローニングされている第2の異種ポリヌクレオチド;
(b)MeVのNタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)MeVのPタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド又はその抗原性断片をコードする、特にGPCタンパク質である単一のポリペプチド又はその抗原性断片をコードする、又はGPCタンパク質若しくはその抗原性断片、及びNPタンパク質若しくはmNPタンパク質のいずれか又はその抗原性断片である少なくとも2つのポリペプチドをコードする第1の異種ポリヌクレオチドであって、特に、GPCタンパク質及びmNPタンパク質をコードする、特にATU内、特にATU2内に操作可能にクローニングされている第1の異種ポリヌクレオチド;
(e)MeVのMタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)MeVのFタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(g)MeVのHタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(h)MeVのLタンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含み、ここで、前記ポリヌクレオチドが核酸構築物内に操作可能に結合され、ウイルス複製及び転写制御エレメント、例えばMeVリーダー及びトレーラー配列のコントロール下にある、請求項2から6のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項9】
第1の異種ポリヌクレオチドが、5'端から3'端に:
(a)特にその核酸がNPタンパク質については配列番号4又はmNPタンパク質については配列番号6である、LASVのNPタンパク質又はmNPタンパク質をコードする核酸、又はその抗原性断片;及び
(b)特にその核酸が配列番号2である、LASVのGPCタンパク質をコードする核酸、又はその抗原性断片
を含み、ここで第1の異種ポリヌクレオチドがMeVのP遺伝子とM遺伝子の間に、特にATU内、特にATU2内に操作可能にクローニングされている、請求項1から8のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項10】
第1の異種ポリヌクレオチドが、5'端から3'端に:
(a)mNPタンパク質をコードする配列番号6の核酸;及び
(b)GPCタンパク質をコードする配列番号2の核酸
を含み、ここで第1の異種ポリヌクレオチド配列がMeVの遺伝子P及び遺伝子Mの間に、特にATU内、特にATU2内に操作可能にクローニングされている、請求項1から9のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項11】
第2の異種ポリヌクレオチドが、LASVのZタンパク質、又はその抗原性断片をコードし、第1の異種ポリヌクレオチドがLASVのGPCタンパク質、又はその抗原性断片をコードし、特に第2の異種ポリヌクレオチドの配列が配列番号8の配列を含み、第1の異種ポリヌクレオチドが配列番号2の配列を含む、請求項2から10のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項12】
第1の異種ポリヌクレオチド及び第2の異種ポリヌクレオチドが、MeVのcDNA分子の異なる位置に位置するATU内に操作可能にクローニングされ、特に第1の異種ポリヌクレオチドがATU2内に操作可能にクローニングされ、第2の異種ポリヌクレオチドがATU1内に操作可能にクローニングされている、請求項11に記載の核酸構築物。
【請求項13】
麻疹ウイルスが、Schwarz株、Zagreb株、AIK-C株、Moraten株、Philips株、Beckenham 4A株、Beckenham 16株、Edmonston seed A株、Edmonston seed B株、CAM-70株、TD 97株、Leningrad-16株、Shanghai 191株、及びBelgrade株からなる群から選択される弱毒化ウイルス株であり、特にSchwarz株である、請求項1から12のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項14】
第1の異種ポリヌクレオチドの配列が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び/又は配列番号8のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも配列番号2、特に配列番号2及び配列番号6を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項15】
組換えcDNA配列が、
- 配列番号9(構築物MeV-GPC);
- 配列番号10(構築物MeV-NP-GPC);
- 配列番号11(構築物MeV-mNP-GPC);
- 配列番号12(構築物Z-MeV-GPC);
- 配列番号13(構築物Z-MeV-NP-GPC);及び
- 配列番号14(構築物Z-MeV-mNP-GPC)
からなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【請求項16】
特に、
- 配列番号9(Plasm MeV-GPC);
- 配列番号10(Plasm MeV-NP-GPC);
- 配列番号11(Plasm MeV-mNP-GPC);
- 配列番号12(Plasm Z-MeV-GPC);
- 配列番号13(Plasm Z-MeV-NP-GPC);及び
- 配列番号14(Plasm Z-MeV-mNP-GPC)
からなる群から選択される配列を含む又はからなる、請求項1から15のいずれか一項に記載の核酸構築物を含む導入プラスミドベクター。
【請求項17】
そのゲノム中に請求項1から15のいずれか一項に記載の核酸構築物、若しくは請求項16に記載の導入プラスミドベクターを含み、又はそのゲノムが請求項16の導入プラスミドベクターからなる組換え麻疹ウイルス。
【請求項18】
LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド、又はその抗原性断片を発現する、特にLASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも2つのポリペプチド、又はその抗原性断片を発現する、請求項17に記載の記載の組換え麻疹ウイルス。
【請求項19】
LASVのGPCタンパク質及びmNPタンパク質、又はその抗原性断片を発現する、請求項17又は18に記載の組換え麻疹ウイルス。
【請求項20】
LASVのGPCタンパク質及びZタンパク質、又はその抗原性断片を発現する、請求項17又は18に記載の組換え麻疹ウイルス。
【請求項21】
MeVのNタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、Hタンパク質、及びLタンパク質のうちの少なくとも1つを更に発現する、請求項17から20のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルス。
【請求項22】
特に単回免疫後、LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及び/又はZタンパク質の抗原性断片に対する、特にMeVのNタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、Hタンパク質、及び/又はLタンパク質の抗原性断片に対する、細胞性応答並びに/又は体液性及び細胞性応答、特にT細胞応答、特にCD4+及びCD8+ T細胞応答を誘発する、請求項17から21のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルス。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載の核酸構築物を、若しくは請求項16に記載の導入プラスミドベクターをトランスフェクトした、又は請求項17から22のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルスによって感染させた宿主細胞、特に哺乳動物細胞、VERO NK細胞、CEF細胞、ヒト胚腎臓細胞系293又はMRC5細胞。
【請求項24】
LASVのZタンパク質、及び任意選択によりGPCタンパク質及び/又はNPタンパク質及び/又はmNPタンパク質、又はその抗原性断片を含み、特に少なくともZタンパク質及びGPCタンパク質、又はその抗原性断片を発現する組換えウイルス様粒子(VLP)であって、タンパク質又はその抗原性断片が、請求項1から15に記載の核酸構築物の、若しくは請求項16の導入プラスミドベクターの、若しくは請求項17から22のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルスの第1及び/若しくは第2の異種ポリヌクレオチドによってコードされる、又は請求項23の宿主細胞内で産生される組換えウイルス様粒子。
【請求項25】
請求項24に記載の組換えVLP、又は請求項17から22のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルス、又は請求項24に記載の組換えVLP及び請求項17から22のいずれか一項に記載の組換え麻疹ウイルス、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む免疫原性組成物、特にウイルスワクチン組成物。
【請求項26】
それを必要とする宿主、特にヒト宿主、特に子供において、LASVタンパク質若しくはその抗原性断片に対する抗体の誘発によるラッサウイルスに対する保護的、好ましくは予防的な免疫応答、並びに/又はラッサウイルスに対する細胞性応答並びに/若しくは体液性及び細胞性応答の誘発における使用のための請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
それを必要とする宿主、特にヒト宿主、特に子供において、麻疹ウイルスタンパク質に対する抗体の誘発による麻疹ウイルスに対する保護的、好ましくは予防的な免疫応答、並びに/又は麻疹ウイルスに対する細胞性応答並びに/若しくは体液性及び細胞性応答の誘発における使用のための請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
(a)請求項1から15のいずれか一項に記載の核酸構築物を又は請求項16に記載の導入プラスミドベクターを、細胞、特にヘルパー細胞、特にHEK293ヘルパー細胞にトランスフェクトし、T7 RNAポリメラーゼ並びに麻疹ウイルスN及びPタンパク質を安定に発現させる工程;
(b)組換え麻疹ウイルス及び/又はLASV VLPの産生に好適な条件でトランスフェクト細胞を維持する工程;
(c)細胞を感染させ、工程(b)のトランスフェクト細胞とそれらを共培養する工程によって組換え麻疹ウイルス及び/又はLASV VLPの繁殖を可能にする工程;
(d)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質及び/又はZタンパク質のうちの少なくとも1つを発現する、特に少なくともGPCタンパク質及び別のLASVタンパク質を発現する、特にGPCタンパク質及びmNPタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルス、並びに/又は少なくともZタンパク質、及び任意選択によりLASVのGPCタンパク質、NPタンパク質及び/又はmNPタンパク質のうちの少なくとも1つを発現する、特にZタンパク質及びGPCタンパク質を発現するLASV VLPを回収する工程
を含む、LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質、又はその抗原性断片からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを発現する組換えラッサウイルス様粒子(VLP)及び/又は組換え麻疹ウイルスをレスキューする方法。
【請求項29】
請求項24に記載の組換えラッサウイルスVLP、及び/又は請求項17から22のいずれか一項に記載の麻疹ウイルスの注射による、特に皮下注射による、哺乳動物、特にヒト、特に子供の免疫を含む、ラッサウイルス関連疾患を防止する方法。
【請求項30】
請求項24に記載の組換えラッサウイルスVLP、及び/又は請求項17から22のいずれか一項に記載の麻疹ウイルスの注射による、特に皮下注射による、哺乳動物、特にヒト、特に子供の免疫を含む、ラッサウイルス関連疾患を処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、組換え麻疹ウイルスを含み、少なくとも1つのラッサウイルスポリペプチド、タンパク質、抗原、又はその抗原性断片を発現する組換え遺伝子構築物に関する。本出願は、遺伝子構築物又はウイルスの使用、並びにより詳細には、ラッサウイルス(LASV)、及び/又は麻疹ウイルス(MV又はMeV)に対する保護を誘導するためのそれらの適用にも関する。
【0002】
本発明の手段は、より詳細には、LASVの以下のポリペプチド、又はそのトランケートバージョン、又はその抗原性断片のうちの少なくとも1つの発現を可能にする組換え核酸構築物を提供する:核タンパク質(NP)、糖タンパク質前駆体(GPC)、亜鉛結合タンパク質(Z)、又はNPタンパク質のエキソヌクレアーゼ活性がノックダウンされた天然NPタンパク質の変異バージョン(変異NP又はmNP)。
【0003】
本発明は、前述のLASVポリペプチド、その抗原性断片若しくはその抗原、又はそのトランケートバージョン、すなわちNP、mNP、GCP、及び/又はZのうちの少なくとも1つを発現する組換えMeV-LASVウイルスにも関する。本発明は、麻疹ウイルスによって発現され、LASVポリペプチド、特に、少なくともGCPポリペプチド、又はタンパク質、又はその抗原性断片を含む免疫原性粒子、及び/又は少なくともZポリペプチド、又はタンパク質、又はその抗原性断片を含有する感染性ウイルス様粒子(VLP)にも関し、前記免疫原性粒子及び/又はVLPはLASVに対する細胞性及び/又は体液性応答、特にT細胞応答、特にCD4+及び/又はCD8+ T細胞応答を誘発することができる。
【0004】
特に、本発明は、これらの遺伝子構築物、組換え核酸構築物、発現ベクター様プラスミドベクター等、宿主内で免疫原性又は抗原性応答を誘導するための組換えウイルス感染性粒子、VLPの使用に関する。
【背景技術】
【0005】
ラッサウイルス(LASV)は、アレナウイルス(Arenaviridae)科の旧世界アレナウイルスである。LASVは、エンベロープのある、一本鎖の、二セグメント型アンビセンスRNAウイルスである。それらのゲノムは、それぞれのRNAセグメントが、各鎖に1つずつ、2つのタンパク質、合計4つのウイルスタンパク質をコードする2つのRNAセグメントを含有する。大きいセグメント(およそ7kb)は、亜鉛結合タンパク質Zをコードする。Zタンパク質は、複製及び転写を制御する。大きいセグメントは、RNAポリメラーゼLもコードする。小さいセグメント(およそ3.4kb)は、核タンパク質(NP)並びに翻訳後、エンベロープ糖タンパク質GP1とGP2及び安定なシグナルペプチドSSPに切断される糖タンパク質前駆体(GCP)をコードする。これらの2つの糖タンパク質は宿主細胞侵入を媒介する。アレナウイルスの合成能力は、Lポリメラーゼタンパク質内に含有される。このタンパク質は、NPタンパク質及びウイルスリボヌクレオタンパク質によってカプセル化されたゲノムRNAで構成されるウイルスRNA鋳型を使用する。感染時、ウイルスは宿主細胞の細胞質に送達され、Lポリメラーゼタンパク質は、各ゲノムRNAセグメントの3'端に位置するゲノムプロモーターから転写を開始する。一次転写は、アンチゲノム方向でコードされたウイルス遺伝子、すなわちNP及びL遺伝子のmRNAの合成をもたらす。転写は、ゲノム間領域内のステムループ構造の遠位端で終結する。次いで、Lポリメラーゼはゲノム間領域を越えて動き、相補的なアンチゲノムRNAを生成する。このRNAは、ウイルス遺伝子GPC及びZのmRNAの合成のため、並びに全長ゲノムRNAの合成のための鋳型として寄与する。
【0006】
LASVは、ヒトのラッサ熱、重度の出血熱の病原体である。ウイルスの自然宿主は、アフリカ原産の齧歯動物マストミス(Mastomys natalensis)である。ラッサウイルスは、齧歯動物からヒトへ伝染するが、ウイルスはヒトからヒトへも伝染し、地域的な発生を生じ得る。
【0007】
100.000から300.000人の間の患者、及び時には最大500.000人の患者が、西アフリカ、特にギニア、リベリア、ナイジェリア及びシエラレオネの流行地において、毎年ラッサ熱を有すると報告されている。したがって、ラッサ熱は、これらの地域で重大な公衆衛生上の懸念である。疾患の重症度は、無症候性感染から致命的な出血熱をもたらす重度の合併症まで多様である。臨床徴候及び症状は、熱、咳、胸痛、排尿障害、頭痛、嘔吐、下痢、咽頭炎、結膜炎、出血及び顔面浮腫を含む。LASVに感染した患者の死亡率は高く、LASVが分布したいくつかの地域では、およそ10%の死亡率である。死亡率は、若い子供で50%と高い。更に、およそ20%の生存者は、聴覚障害を含む長期の合併症を示す。したがって、ラッサ熱は、これらの領域の集団に深刻な影響を及ぼし、主な健康上の問題である。近頃、ラッサ熱感染の分布は、ここ10年の間にマリ、ガーナ、コートジボアール及びブルキナファソで症例が報告されているため、他の西アフリカの国々に広がっているようである。
【0008】
ナイジェリアでの1969年のその発見にもかかわらず、現在、ラッサ熱に対する防止又は予防処置はない。ほとんどの患者は、リバビリン、抗ウイルス薬によって処置される。残念ながら、薬物による処置は、病気の経過の初期に投与された場合にのみ最も有効なようであり、完全に有効ではない。処置は、血圧及び酸素化の維持、体液及び電解質平衡、並びに任意の他の感染症の処置のような支持療法によっても完了される。したがって、ラッサ熱が広がった西アフリカの流行地での患者を効果的に処置することは困難であり得る。
【0009】
感染が深刻な病気又は死をもたらすかどうかは、宿主免疫応答によるようである。ほとんどの重症な症例は、欠損した細胞応答を含み、樹状細胞及びマクロファージは大量にLASVを放出するが、活性化されず、したがってサイトカインを産生しない、又は十分でない。新しい地理的領域へのウイルスの進化及び広がりと同様に、疾患重症度は、解決される必要がある深刻な公衆衛生問題である。
【0010】
この文脈において、防止ワクチンのような防止処置の開発は、これらの個体群の必要性を満たす重大な優先事項である。したがって、LASVの一次感染の転帰の防止、特にラッサ熱の防止を含む、LASV感染を処置又は防止することができる完全に有効な処置の必要性がある。
【0011】
LASV感染を防止するための最も有望な治療の1つは、予防ワクチンであるが、そのようなワクチンは現在入手できない。予防は、LASV感染をコントロールするための最も簡単で安全な方法であり、地域個体群を保護する。この切迫した必要性にもかかわらず、ワクチン候補はまだ臨床試験に成功していない
【0012】
したがって、ワクチンを調製するための有効成分等のワクチン及び産物、並びにこれらの産物及びワクチンを産生するための方法の必要性がある。ワクチン候補は、それを必要とする人々を免疫する場合に著しい有害作用なく安全及び有効でなければならず、LASVを中和する抗体、並びにおそらくT細胞様Tヘルパー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞の産生を誘導する。言い換えると、ワクチンは、強い細胞性及び/又は体液性応答を誘発するべきである。有利には、ワクチンは、単回免疫後に殺菌免疫を与えなければならない。このため、LASVタンパク質及び/又はLASV VLPを感染細胞、特に宿主の感染細胞においてin vivoで生成することを可能にし、したがって有効な、持続免疫、特に単回のみ、又は2回の投与工程後に生涯免疫を誘導するであろうワクチンの必要性がある。
【0013】
別の必要性は、医療センター等に行くことが難しい個体群のワクチン接種を容易にすることである。2つの疾患要因に対する免疫を誘発するワクチン候補は、これらの個体群の全体的な健康を増強し得る。単回のワクチン接種は、したがって、上記の領域に存在するいくつかの疾患要因に対する免疫を可能にし得る。特に、麻疹ウイルス(MeV)を完全に根絶するため、MeVとLASVの両方に対するワクチン免疫は、これら2つの重大な脅威に対して、特に西アフリカでこれらの集団を確実に保護し得る。
【0014】
麻疹ウイルスは、1954年に単離された(Enders, J. F., and T. C. Peebles. 1954年. Propagation in tissue cultures of cytopathogenic agents from patients with measles. Proc. Soc. Exp. Biol. Med.86:277~286頁)。麻疹ウイルスは、モノネガウイルス目(order mononegavirus)、すなわち非セグメント型マイナス鎖RNAゲノムを有するウイルスのメンバーである。MeVの非セグメント型ゲノムは、アンチメッセージ・ポラリティを有し、in vivo若しくはin vitroのどちらでも翻訳されない、又は精製された場合に感染性ではないゲノムRNAを生じる。非セグメント型(-)鎖RNAウイルスの転写及び複製、並びにそれらのウイルス粒子へのアセンブリーは研究されており、特にFields virology (第3版, vol. 1, 1996年, Lippincott - Raven publishers - Fields BNら)で報告された。麻疹ウイルスの転写及び複製は、感染細胞の核の関与を伴わず、ちょうどLASVのようにむしろ宿主細胞の細胞質において起こる。MeVのゲノムは、N、P、M、F、H及びLと名付けられた6種の主要な構造タンパク質をコードする遺伝子、並びにP遺伝子、C及びV由来の更に2つの非構造タンパク質を含む。遺伝子の順番は以下である:ゲノムRNAの3'端から;N、P(C及びVを含む)、M、F、H及び5'端のLラージポリメラーゼ。ゲノムは、遺伝子間領域M/Fに非コード領域を更に含む。この非コード領域は、非翻訳RNAのおよそ100ヌクレオチドを含有する。言及した遺伝子は、それぞれウイルスのヌクレオキャプシドのタンパク質又は核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、大型タンパク質(L)をコードし、これらはゲノムRNAの周りにアセンブルし、ヌクレオキャプシド、ヘマグルチニン(H)、融合タンパク質(F)、及びマトリックスタンパク質(M)を提供する。
【0015】
弱毒化ウイルスは、MeVウイルスに由来してワクチン株を提供し、特にSchwarz株に由来する。Schwarz麻疹ワクチンは、現在麻疹を防止するために利用可能な安全及び有効なワクチンである。ワクチンを提供する他に、麻疹ウイルスを弱毒化した株、例えばSchawarz株は、安定であり、ジカウイルス又はチクングニアウイルスのような他のウイルスに対する免疫のための有効な送達ベクターの設計に好適であることが示された。麻疹ワクチンは、過去30年に渡り、何億人もの子供に投与されており、その有効性及び安全性が証明されている。これは多くの国で大規模で生産され、低コストで分配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第97/06270号
【特許文献2】国際公開第2004/000876号
【特許文献3】国際公開第2008/078198号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Enders, J. F., and T. C. Peebles. 1954年. Propagation in tissue cultures of cytopathogenic agents from patients with measles. Proc. Soc. Exp. Biol. Med.86:277~286頁
【非特許文献2】Fields virology (第3版, vol. 1, 1996年, Lippincott - Raven publishers - Fields BNら)
【非特許文献3】Horikami S.M. and Moyer S.A. (Curr. Top. Microbiol. Immunol. (1995年) 191, 35~50頁
【非特許文献4】Combredet C.ら(Journal of Virology, Nov 2003年, 11546~11554頁) for the Schwarz vaccination strain of the virus or for broadly considered negative-sense RNA viruses
【非特許文献5】Neumann G.ら(Journal of General Virology (2002年) 83, 2635~2662頁)
【非特許文献6】Clinical Sequencing Uncovers Origins and Evolution of Lassa Virus (Andersen Kristian Gら; 2015年; Cell. 2015年8月13; 162(4): 738~750頁. doi:10.1016/j.cell.2015.07.020)
【非特許文献7】Cattaneo Rら、Cell. 1989年Mar 10;56(5):759~64頁
【非特許文献8】Radecke, F.ら, Rescue of measles viruses from cloned DNA. Embo J, 1995年. 14(23): 5773~84頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
少なくとも部分的に、従来技術の欠点に対処するため、本発明者らは、組換え遺伝子構築物に基づく、特に、ラッサウイルスポリペプチド、タンパク質若しくは抗原、又はその抗原性断片をコードするクローニングしたポリヌクレオチドを、感染性複製可能麻疹ウイルス内に含む組換え核酸構築物に基づくワクチンのための有効成分(又は成分)の産生を達成する。ワクチンは、投与後に宿主において組換え麻疹ウイルスが複製するときに回収され得る。したがって、本発明は、LASVワクチン、特に小児用ワクチンに関し、公知の市販のワクチン株等の弱毒化麻疹ウイルス株、特に広く使用されるSchwarz麻疹ワクチンに基づく有効成分に関する。これらの全ての理由のため、本発明者らは弱毒化麻疹ウイルスを使用し、LASVの構造抗原を安定に発現する組換え麻疹ウイルス粒子、特にその免疫原性粒子及び/又はVLPを生成する。本発明の麻疹手法は、将来のLASVワクチンの関連基準の全てを満たす。
【0019】
本発明の1つの目的は、核酸構築物から感染性ウイルス、特にLASV粒子を発現する麻疹ウイルス、及び任意選択によりLASVウイルス様粒子(VLP)も回収するための遺伝子構築物、特に組換え遺伝子構築物、特に核酸構築物を提供する事である。
【0020】
したがって本発明は、麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNA鎖、及び、核タンパク質(NP)、変異核タンパク質(mNP)、亜鉛結合タンパク質(Z)、及び糖タンパク質前駆体(GPC)からなる群から選択される、ラッサウイルスの少なくとも1つのポリペプチドをコードする第1の異種ポリヌクレオチド、又は少なくとも1つのタンパク質、又は少なくとも1つの抗原、又は少なくとも1つのその抗原性断片をコードするcDNA分子を含む核酸構築物に関する。第1の異種ポリヌクレオチドは、MeVのアンチゲノム(+)RNA鎖のcDNA内に挿入された追加転写単位(ATU)内に操作可能にクローニングされている。この実施形態に記載の特定の核酸構築物は、
図1及び
図31から
図36及び実施例に示される。
【0021】
上記の表現「コードする」は、全長アンチゲノム(+)RNAの転写を可能にするcDNAの能力を包含し、前記cDNAは特に転写、及び細胞又は細胞系への産物発現のための適切な翻訳の鋳型として寄与する。したがって、cDNAが二本鎖分子である場合、1つの鎖は、cDNAでは「T」ヌクレオチドによって置換された「U」ヌクレオチド以外、第1の異種ポリヌクレオチドがクローニングされた麻疹ウイルスのアンチゲノム(+)RNAと同じヌクレオチド配列を有する。本発明の核酸構築物は、コード配列の転写をコントロールする制御エレメント、特にプロモーター及び転写の終止配列、おそらくエンハンサー及び他のシス活性化エレメントを含み得る。これらの制御エレメントは、LASV遺伝子から起こった又は由来の異種ポリヌクレオチドに関して異種性であってよく、特に麻疹ウイルス株の制御エレメントであってよい。
【0022】
表現「操作可能に結合された」によって置換され得る表現「操作可能にクローニングされた」は、前記ポリヌクレオチド及び核酸構築物が効果的に、又は十分に転写され、特に、LASVの少なくとも1つのポリペプチド、又は少なくとも1つのタンパク質、又は少なくとも1つの抗原、又は少なくともその抗原性断片を発現する組換え感染性MeV粒子又はMeVの産生のためのレスキューシステムの一部として使用される細胞、細胞系、宿主細胞において適切に翻訳されるような、本発明の核酸構築物内への異種ポリヌクレオチドの機能性クローニング、又は挿入を指す。言い換えると、本発明の核酸構築物は、適切な条件に置かれた場合、LASVの少なくとも1つのポリペプチド、又は少なくとも1つのタンパク質、又は少なくとも1つの抗原、又は少なくともその抗原性断片を産生することができる感染性アンチゲノム(+)RNAの産生を可能にする。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、MeVの全長感染性アンチゲノム(+)RNA鎖のヌクレオチドをコードするcDNAを含むが、操作可能にクローニングされた異種ポリヌクレオチドを含まない核酸構築物は、麻疹ウイルスゲノムの6の規則に従う。言い換えると、MeVの全長、感染性アンチゲノム(+)RNA鎖のヌクレオチドをコードするcDNAはポリ6量体cDNAである。
【0024】
麻疹ウイルスのゲノムの構成並びにそれらの複製及び転写方法は、先行技術で完全に同定されており、特にHorikami S.M. and Moyer S.A. (Curr. Top. Microbiol. Immunol. (1995年) 191, 35~50頁又はCombredet C.ら(Journal of Virology, Nov 2003年, 11546~11554頁) for the Schwarz vaccination strain of the virus or for broadly considered negative-sense RNA viruses、Neumann G.ら(Journal of General Virology (2002年) 83, 2635~2662頁)に開示されている。
【0025】
「6の規則」は、MeV(+)鎖RNAゲノムを表す核酸又は同じものを含む核酸構築物に存在するヌクレオチドの総数が6の倍数であるという事実で表現される。「6の規則」は、MeVゲノムRNAの効果的又は最適な複製を可能にする麻疹ウイルスのゲノムにおけるヌクレオチドの総数に関する必要条件として当技術分野において認識されている。6の規則を満たす核酸構築物を定義する本発明の実施形態では、前記規則は、全長MV(+)鎖RNAゲノムをコードするcDNAを特定する核酸構築物に適用する。その際、6の規則は、麻疹ウイルスの全長感染性アンチゲノム(+)RNA鎖のヌクレオチド配列をコードするcDNAに個々に適用するが、必ずしも前記cDNAにクローニングされ、LASVの少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドには適用しない。
【0026】
本発明の核酸構築物は、特に、互いに操作可能にクローニング又は結合されたMeVの少なくとも1つのポリヌクレオチド、及びLASVの少なくとも1つ、又はいくつかのポリヌクレオチドの組換えによって得られた、又は得ることができる精製されたDNA分子である。
【0027】
本発明により、核酸構築物は、麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNAをコードするcDNAに、LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド、又はタンパク質、又は抗原、又はその抗原性断片をコードする1つのポリヌクレオチド、又はいくつかのポリヌクレオチドをクローニングする工程によって調製される。MeVゲノムは、
図1Aに示されるが、本発明に記載のいくつかの核酸構築物は
図1B及び
図31から
図36に示される。或いは、本発明の核酸構築物は、核酸断片の合成又はPCRを含む鋳型からの重合の工程を使用して調製され得る。本発明のポリヌクレオチド及び核酸構築物は、むしろ当技術分野で公知の任意の方法に従って調製、特にクローニングされ、特にPCR法を使用する重合によって得られ、又は合成され得る。
【0028】
異種ポリヌクレオチドは、それぞれLASVの特定のポリペプチド、又は特定のタンパク質、抗原、又はその抗原性断片をコードするいくつかの他のポリヌクレオチドの融合から生じ得る。例えば、異種ポリヌクレオチドは、それぞれ単一のタンパク質、GPCタンパク質及びNPタンパク質又はmNPタンパク質をコードするポリヌクレオチドの融合から生じ、例えば、これら2つのポリヌクレオチドはリンカー配列によって核酸構築物内に結合される。リンカー配列は、当技術分野で周知であり、麻疹ウイルスの制御配列に含まれる又はで構成される短いヌクレオチド配列であり得る。
【0029】
したがって、異種ポリヌクレオチドは、単一のポリペプチド、2つの異なるポリペプチド、2つの同一のポリペプチド、3つの異なるポリペプチド、2つの同一のポリペプチドと別のポリペプチド、4つの異なるポリペプチド、2つの同一のポリペプチドと2つの他の同一のポリペプチド、2つの同一のポリペプチドと2つの他の異なるポリペプチド、3つの同一のポリペプチドと別の異なるポリペプチドをコードし得る。少なくとも2つ(同一又は異なる)ポリペプチドをコードするこれらのポリヌクレオチドのいずれか1つは、いくつかのポリヌクレオチドの融合から生じ、又はPCRを含む、核酸断片の合成又は鋳型からの重合工程を使用して調製される。或いは、これらのポリヌクレオチドのいずれか1つは、逆転写後にラッサウイルスのゲノムRNAから生じるcDNAであってよく、前記cDNAは全ゲノムcDNA又はその断片のいずれかであり、LASVのポリペプチドをコードする。
【0030】
異種ポリヌクレオチド、特にLASV遺伝子は、MeVのcDNAに挿入された追加転写ユニット(ATU)内にクローニングされている。ATU配列は当業者に公知であり、MeVのcDNAにクローニングする工程での使用のために、導入遺伝子のMeV依存的発現に必要なシス作用性配列、例えばMeV cDNAにおいて、複数のクローニング部位カセットに挿入されたLASVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによって表されるインサートに先行する遺伝子のプロモーターを含む。ATUは、Billeterらによって国際公開第97/06270号に開示されたように更に定義され得る。3つのATUは、
図1Aに示す。ATUは、MeVのcDNA内、特にMeVゲノムのN-P遺伝子間領域の間、及び/又はMeVゲノムの遺伝子間H-L領域の間に挿入された複数のクローニングカセットとしても定義され得る。ATUは、MeVのP遺伝子の転写に必要なシス作用性配列を含有し得る。異なるATU、特にATU1及びATU2はそれらの核酸配列に関して同定され得る。ATUは一般に、それぞれポリメラーゼの開始コドン及び終止コドンに相当する2つのCTT遺伝子の間に位置する。ATUは、それぞれATU内にクローニングされた異種ポリヌクレオチドの翻訳のための開始コドン及び終止コドンに相当するATG及びTAGコドンを更に含み得る。或いは、ATUは、それぞれATU内にクローニングされた異種ポリヌクレオチドの翻訳のための開始コドン及び終止コドンに相当するATG及びTAG遺伝子の間に位置する。ATUは、それぞれATU内にクローニングされた異種ポリヌクレオチドの翻訳のための開始コドン及び終止コドンに相当するATG及びTAGコドンを更に含み得る。本発明の好ましい実施形態では、ATUは配列番号16を含む又はからなるポリヌクレオチドである。
【0031】
配列番号16
配列番号16は、麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子内に位置するATU配列である。それぞれポリメラーゼの開始コドン及び終止コドンに相当するCTTコドンは太字である。ATU内にクローニングされた異種ポリヌクレオチドの翻訳のための開始コドン及び終止コドンに相当するATG及びTAGコドンは下線が引かれる。
CTTAGGAACCAGGTCCACACAGCCGCCAGCCCATCAacgcgtacgATG
*TAGgcgcgcagcgcttagacgtctcgcgaTCGATACTAGTACAACCTAAATCCATTATAAAAAACTT
ここで、*は少なくとも1つのLASVポリペプチドをコードする異種コドン最適化配列ポリヌクレオチドに相当する。
【0032】
GPCポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを有するATUは、例えば配列番号9のアミノ酸残基3487と5071の間に位置する。配列番号17は、クローニングされたインサートとしてGPCタンパク質をコードするコドン最適化異種ポリヌクレオチドを含むATUに相当する。
【0033】
ATU(参照ATU2で公知)は、MeVのP遺伝子とM遺伝子の間に位置する。別のATU(参照ATU1で公知)は、MeVの遺伝子Nの上流に位置する。別のATU(参照ATU3で公知)は、MeVの遺伝子Hと遺伝子Lの間に位置する。MeVのウイルスRNAの転写は5'端から3'端への勾配に従うことが観察されている。これは、異種ポリヌクレオチドがどこに挿入されるかによって、その発現レベルが変わり、ATU1、ATU2、又はATU3内に挿入された場合に多少有効であることを説明する。
【0034】
用語「ポリペプチド」は、用語「抗原」又は「タンパク質」又は「抗原性断片」と交換可能に使用され、アミノ酸残基の連続から生じる分子を定義する。特に、本出願に開示されるポリペプチドはLASVに基づき、抗原、タンパク質、構造タンパク質、又はその抗原性断片であり、天然のタンパク質と同一であってよく、或いは置換(特に保存アミノ酸残基による)、又はアミノ酸残基の追加、又は翻訳後の二次修飾、又は参照の天然タンパク質に関して短くなったサイズを有する断片を生じる天然タンパク質の部分の欠失を含む変異によるそれらの誘導体であってよい。断片は、それらが宿主、特に子供の宿主を含む、ヒト宿主において免疫応答、好ましくは、LASV感染に対する、又はLASV関連疾患に対する保護を可能にする応答の誘発に好適な天然のタンパク質のエピトープを持つ限り、本発明内に包含される。エピトープは、特に、細胞性免疫応答(CMI応答)の誘発に関与するTエピトープのタイプである。Tエピトープは、MHCクラスII分子に結合することができるT細胞エピトープのいくつかの部分の提示によるT細胞の刺激に関与し、T細胞の活性化をもたらす。或いは、エピトープは、タンパク質が投与された、又はそれが本発明の感染性複製可能粒子の投与後に発現される宿主における抗体の産生の活性化に関与するBタイプであってよい。断片は、LASV株Josiahの天然タンパク質のアミノ酸配列サイズの50%より大きい、好ましくは少なくとも90%又は95%を示すサイズを有してよい。ポリペプチドは、LASV株Josiahの天然タンパク質と少なくとも50%同一性、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、又は少なくとも95%を有してよい。
【0035】
本発明の特定の実施形態では、アンチゲノム(+)RNAのcDNA内に操作可能にクローニングされた各ポリヌクレオチドは、LASVポリペプチドのいずれか1つ内に位置するエピトープを含むポリペプチドをコードする。この実施形態により、エピトープ配列は、天然のLASVタンパク質のエピトープ配列と100%同一性を共有する。そのようなエピトープは、免疫エピトープデータベース及び分析リソース(www.iedb.org)に列挙される。ポリヌクレオチドによってコードされ、本明細書に定義したようにエピトープ配列を有するLASVのポリペプチド内で、いずれのエピトープにも属さないアミノ酸残基は、天然のLASVタンパク質の配列とは異なり得る。
【0036】
「LASVのポリペプチド」は、本明細書に定義したように「ポリペプチド」を意味し(ポリペプチド、抗原、タンパク質、又はその抗原性断片)、そのアミノ酸配列は、LASVのタンパク質の自然成熟又は前駆体である、又は本明細書に定義したようにその抗原性断片若しくはその変異体、特に自然発生のLASV GPC、NP又はZタンパク質に対して少なくとも50%、少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%又は好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する抗原性断片又は変異体であるポリペプチドを含むLASVの株、特にLASV株Josiahの対応物と同一である。アミノ酸配列同一性は、手動のアライメントを使用して、又は多くの利用可能なアライメントプログラム(例えば、BLASTP- http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)を使用して、当業者によるアライメントによって決定され得る。本発明のLASVポリペプチドの断片又は変異体は、本明細書に示した特定のアミノ酸配列、特に配列番号1、配列番号3、配列番号5及び配列番号7からなる群からのアミノ酸配列に関して定義され得る。本発明の特定の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも50%、少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%、又は好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を、LASV株Josiahのそれらの天然タンパク質と、又は配列番号1;配列番号3;配列番号5;又は配列番号7のポリペプチドと共有する。
【0037】
本発明の一態様により、LASVの少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、そのゲノムが完全に又は部分的にシーケンスされたいずれかのラッサ株を含む、LASVの単離及び精製された野生株のゲノムから生じる又は由来する。少なくともこれらの配列のいくつかは、NCBIヌクレオチドデータベースで見出さすことができる。特に、少なくとも1つのLASVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、シーケンスされ、Clinical Sequencing Uncovers Origins and Evolution of Lassa Virus (Andersen Kristian Gら; 2015年; Cell. 2015年8月13; 162(4): 738~750頁. doi:10.1016/j.cell.2015.07.020)、特に、株の名前及び配列の相当する受託参照が列挙される論文の補遺データにおいて参照されたいずれかのラッサ株に由来する、又は生じ得る。好ましくは、ポリヌクレオチドは、2つのRNAセグメントのゲノム配列が、NPタンパク質及びGPCタンパク質をコードする短いゲノムRNAについてはGenBank受託番号J04324.1、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする長いゲノムRNAについてはEuropean Nucleotide Archive受託番号U73034.2で見出され得る株Josiahから生じる又は由来する。LASV株Josiahの天然タンパク質は、NPタンパク質及びGPCタンパク質をコードする短いゲノムRNAについてはGenBank受託番号J04324.1、長いゲノムRNAについてはEuropean Nucleotide Archive受託番号U73034.2で見出されるRNAセグメントから生じる配列を有するとして定義され得る。ポリヌクレオチドの定義に見られる用語「由来する(derive)」は、前記ポリヌクレオチドの配列がLASV株の相当する配列と同一であり得る、又は本発明に記載の「ポリペプチド」の定義を満たすLASVのポリペプチド、抗原、タンパク質、若しくはその断片をそれがコードする限り変わり得ることを単に明示する。特に、ポリヌクレオチドは、そのような配列に関してそれがコドン最適化されている場合、LASV株の核酸に由来する。したがって、用語はポリヌクレオチドの産生様式を制限しない。
【0038】
或いは、断片は、免疫エピトープデータベース及び分析リソース(www.iedb.org)に列挙される天然タンパク質のエピトープを担持する少なくとも10個のアミノ酸残基を有する短いポリペプチドであってよい。これに関して断片は、ポリペプチドも含む。
【0039】
本発明の別の実施形態により、核酸構築物は、GPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質及びZタンパク質からなる群から選択される、LASVの少なくとも1つのポリペプチド、又はその抗原性断片をコードする第2の異種ポリヌクレオチドであって、第2の異種ヌクレオチドが、第1のクローニングされた異種ポリヌクレオチドの位置とは異なる位置の、好ましくはMeVのN遺伝子の上流の別のATU内に操作可能にクローニングされており、特に前記別のATU が、MeVのN遺伝子の上流に挿入されたATU1である、第2の異種ヌクレオチドを更に含む。第2の異種ポリヌクレオチド又はその抗原性断片は、特に、第1の異種ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとは異なる少なくとも1つのポリペプチド又はその抗原性断片をコードする。
【0040】
この実施形態により、別のATU(参照ATU1で公知)は、有利には、MeVのN遺伝子の上流、MeVのアンチゲノムの全長(+)RNA鎖をコードするcDNA分子のN末端配列に位置するが、他のATU(ATU2)は、好ましくはウイルスのP遺伝子とM遺伝子の間に位置する。MeVのウイルスRNAの転写は、5'端から3'端への勾配に従うため、本発明者らは、麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNAをコードするcDNA内の異なる位置での2つのポリヌクレオチドのクローニングは、Zタンパク質が少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドによってコードされる場合より高収率の抗原性粒子及び/又はLASVウイルス様粒子(VLP)の産生をもたらすことができるが、この産生は、ポリヌクレオチドが全て単一の及び同じ位置内にクローニングされる場合に重要ではないことがあることを見出した。更に、異なる位置での異種ポリヌクレオチドのクローニングは、コードされたポリペプチドの発現の減少を低減し得る。実際、いくつかの遺伝子が単一のATU内にクローニングされる場合、それはコードされたポリペプチドの発現の低減をもたらし得る。この実施形態に記載の特定の核酸構築物は、
図1b及び実施例に示される。
【0041】
他のATU内では、第2のポリヌクレオチドは先に列挙したLASVのポリペプチド、又はその抗原性断片のいずれか1つをコードし得る。したがって、他のATU内に位置した第2のポリヌクレオチドは、第1のATU内に挿入された第1のポリヌクレオチドと同じポリペプチドをコードし、第2のポリヌクレオチドは第1のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと少なくとも1つの共通のポリペプチドをコードし得る。本発明の好ましい実施形態では、第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの異なるポリペプチド又はその抗原性断片をコードする。
【0042】
MeVの全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子は、MeVの弱毒化株特有又はMeVの弱毒化株から得られる。MeVの「弱毒化株」は、同じ宿主の親株よりも無毒性又は毒性が少ないが、免疫原性、及び免疫優性のT及びB細胞エピトープを保存するため宿主に投与された場合、おそらくアジュバント活性、及びT細胞共刺激タンパク質又はサイトカインIL-12の誘導等おそらくアジュバント活性を維持する株として定義される。
【0043】
麻疹ウイルスの弱毒化株は、したがって、選択された細胞で段階的に継代され、おそらくヒトワクチン株の調製に好適な種株を産生するために他の細胞に適応される、病原性への復帰も宿主染色体への組込みも起こさない安定なゲノムを持つ株を指す。特定の「弱毒化株」として、ワクチンのために認可された株は、それがFDA(米国食品医薬品局)によって定義された基準を満たす;すなわち、研究所及び臨床データの厳しい検討後、それが安全性、有効性、質及び再現性基準を満たす(www.fda.gov/cber/vaccine/vacappr.htm)場合、本発明に好適な弱毒化株である。
【0044】
特に、MeVの全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子は、Schwarz株、Zagreb株、AIK-C株、Moraten株、Philips株、Beckenham 4A株、Beckenham 16株、Edmonston seed A株、Edmonston seed B株、CAM-70株、TD 97株、Leningrad-16株、Shanghai 191株及びBelgrade株を含む又はからなる群から選択される弱毒化ウイルス株から得られる。これらの全ての株は、先行技術に記載された。本発明は、特に、市販のワクチンとしての使用を可能にする特定の株を使用する。特に、MeVの全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子は、Schwarz株から得られる。
【0045】
本発明の特定の実施形態により、cDNA分子は、異種発現コントロール配列のコントロール下に置かれる。
【0046】
cDNAの発現のためのそのようなコントロールの挿入は、その天然のコントロール配列ではcDNAの完全な転写ができない細胞型においてこのcDNAの発現が探索される場合、好ましい。
【0047】
本発明の特定の実施形態により、異種発現コントロール配列は、T7プロモーター及びT7ターミネーター配列を含む。これらの配列は、それぞれMeVの全長アンチゲノム(+)RNA鎖のコード配列の5'及び3'に位置し、このコード配列の周りに隣接する配列からである。
【0048】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に上記で定義されるcDNA分子は改変され、すなわち更なるヌクレオチド配列又はモチーフを含む。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用するcDNA分子は、その5'端に、MeV認可ワクチン株の全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするヌクレオチド配列の第1のヌクレオチドに隣接して、GGGモチーフの後にハンマーヘッドリボザイム配列を更に含み、その3'端に、全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードする前記ヌクレオチド配列の最後のヌクレオチドに隣接して、リボザイムの配列を含む。デルタ型肝炎ウイルスリボザイム(δ)は、この好ましい実施形態を実行するのに適切である。
【0050】
5'端に、上記のコード配列の第1のヌクレオチドに隣接して置かれたGGGモチーフは、前記cDNAコード配列の転写の効率を改善する。麻疹ウイルス粒子の正確なアセンブリーの必要要件としては、アンチゲノム(+)RNAをコードするcDNAは、GGGモチーフが追加される場合、6の規則に従うことであり、MeVの全長アンチゲノム(+)RNA鎖の第1のコードヌクレオチドで転写物の切断を可能にするため、リボザイムもcDNAのコード配列の5'端、GGGモチーフの3'端に追加される。
【0051】
本発明の核酸構築物を調製するため、先行技術に開示された麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNAをコードするcDNA分子の調製は、公知の方法によって達成される。得られたcDNAは、特に、プラスミド等のベクターに挿入される場合、組換え麻疹ウイルス粒子のレスキューに関与するゲノムベクターの基礎を提供する。
【0052】
本発明の核酸構築物の調製に好適な特定のcDNA分子は、麻疹ウイルスのSchwarz株を使用して得られるものである。Schwarz MVワクチン株のアンチゲノムに相当する感染性MeV cDNAを含有し、本発明の異種ポリヌクレオチドを包含する組換えベクターの調製に使用されるプラスミドpTM-MVSchwは、他に記載されている(Combredet, C.ら, A molecularly cloned Schwarz strain of measles virus vaccine induces strong immune responses in macaques and transgenic mice. J Virol, 2003年. 77(21): 11546~54頁)。したがって、本発明内で使用するcDNAは、国際公開第2004/000876号に開示のように得ることができ、又は2002年、6月12日にCNCM番号1-2889でパスツール研究所に寄託されたプラスミドpTM-MVSchwから得ることができ、その配列は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/000876号に開示される。プラスミドpTM-MVSchwは、Bluescriptプラスミドから得られ、T7 RNAポリメラーゼのプロモーターのコントロール下に置かれたSchawarz株の全長麻疹ウイルス(+)RNA鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。それは18967ヌクレオチドを有し、配列は配列番号15として示される。他のMeV株由来のcDNA分子(便宜上、麻疹ウイルスのcDNA又はMeV cDNAとも示される)は、同様に本明細書に記載のもの等弱毒化MeVのウイルス粒子から精製された核酸から開始して得ることができる。追加転写ユニットは、Combredetら、2003年に説明されたように、前もってベクターに挿入された複数のクローニング部位カセットであり得る。ATUは、挿入されたLASV遺伝子の転写に必要なシス作用性配列を含み得る。異種ポリヌクレオチドは、クローニングされ、又は本明細書に上記で定義したように追加転写ユニット(ATU)内に挿入される。
【0053】
異種ポリヌクレオチドも、クローニングされ、又は別のATU内に挿入され得る。例として、第3のATUは、MeVのH遺伝子とL遺伝子の間に挿入され、第1若しくは第2の異種ポリヌクレオチドはクローニングされ、又はこの第3のATU内に挿入され得る。本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1のATU内に挿入された第1の異種ポリヌクレオチド、第1のATUとは異なる位置で第2のATUに挿入された第2の異種ポリヌクレオチド配列、並びに第1及び第2のATUとは異なる位置で第3のATU内に挿入された第3の異種ポリヌクレオチドを含み得る。
【0054】
好ましい実施形態では、核酸構築物は、特定の変異NPタンパク質、又はその抗原性断片をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。天然のNPタンパク質は、NPタンパク質のエキソヌクレアーゼ活性をノックダウンするように変異され得る。そのエキソヌクレアーゼ活性をノックダウンしたNPタンパク質は、PMID:21085117に記載したようにIRF3依存性プロモーターの制御下に置かれたレポータールシフェラーゼ遺伝子を使用するルシフェラーゼアッセイによって決定することができ、
図29に示される。NPは、I型IFNシグナル伝達のウイルス誘導性阻害に関与する(Martinez-Sobrido, 2006)。この活性は、天然のNPタンパク質のC末端ドメインに結合される。機能性分析は、LASV NPのエキソヌクレアーゼ活性を確認し、そのI型IFNの相殺機能の重要な工程であることが分かっている(Qi, 2010)。したがって、本発明者らは、NPタンパク質のエキソヌクレアーゼドメイン内に2つの変異を導入した。NPタンパク質のエキソヌクレアーゼドメインは、NPタンパク質のC末端ドメイン内、特に配列番号3のアミノ酸残基341と569の間に位置する。したがって、変異NPタンパク質は、特に本明細書に上記で定義したようにエキソヌクレアーゼドメイン内で(任意のアミノ酸残基の欠失及び/又は追加及び/又は置換により)変異した天然のNPタンパク質から生じ、上記のルシフェラーゼアッセイによると、そのエキソヌクレアーゼ活性はノックダウンされている。特に、配列番号3の少なくとも1つのアミノ酸残基D389、E391、D466、D533及びH528の置換は、エキソヌクレアーゼ活性を持たない変異NPタンパク質をもたらし得る。特に、配列番号3の位置389のアミノ酸残基は、例えばアスパラギン酸のアラニンによる置換によって変異され得る。或いは、配列番号3の位置392のアミノ酸残基は、例えばグリシンのアラニンによる置換によって変異され得る。好ましい実施形態では、配列番号3の位置389と392の両方のアミノ酸残基は、置換によって変異される。より好ましい実施形態では、mNPタンパク質は、配列番号5の配列を有する。
【0055】
この実施形態により、ポリヌクレオチドによってコードされたmNPポリペプチドは、I型IFNを誘導する。言い換えると、天然のNPの免疫抑制機能は、mNPにおいてシャットダウンされる。したがって、それは、キメラ組換えMeV-LASV感染性粒子の免疫原性の効率を増加するポリヌクレオチドを含む核酸構築物を提供する。
【0056】
好ましい実施形態により、本発明は、宿主細胞におけるLASVポリペプチド、タンパク質、抗原、又はその断片の効果的な発現を可能にする改変、特にポリヌクレオチドの最適化にも関する。
【0057】
したがって、ポリヌクレオチド配列の最適化は、核酸分子のシス作用性ドメインを避けて操作され得る:内部TATAボックス、chi部位及びリボソーム進入部位;ATリッチ又はGCリッチ配列ストレッチ;ARE、INS、CRS配列エレメント;繰り返し配列及びRNA二次構造;潜在的スプライスドナー及びアクセプター部位、分岐点。
【0058】
最適化ポリヌクレオチドは、特定の細胞型での発現のためにコドン最適化されてもよく、特に、Maccacaコドン利用又はヒトコドン利用のために改変されてよい。この最適化は、発現されたタンパク質のアミノ酸組成に影響することなく細胞においてキメラ感染性粒子産生の効率を増加することを可能にする。
【0059】
特に、LASVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの最適化は、オリジナルのものに関して前記コドンから翻訳されたアミノ酸残基の同一性に影響せずにコドンの不安定位置の改変によって実施され得る。
【0060】
最適化は、麻疹ウイルス由来の編集様配列を避けても実施される。麻疹ウイルスの転写産物の編集は、特に麻疹ウイルスのP遺伝子によってコードされる転写産物で生じる方法である。この編集は、P転写産物内の特定の部位での余分なG残基の挿入により、Pタンパク質と比較してトランケートした新しいタンパク質を生じる。単一のG残基のみの追加は、特有のカルボキシル末端を含有するVタンパク質の発現を生じる(Cattaneo Rら、Cell. 1989年Mar 10;56(5):759~64頁)。
【0061】
本発明のこの特定の実施形態に記載のポリヌクレオチドでは、麻疹ウイルス由来の以下の編集様配列は変異され得る: AAAGGG、AAAAGG、GGGAAA、GGGGAA、並びにそれらの相補配列: TTTCCC、TTTTCC、CCCTTT、CCCCTT。例えば、AAAGGGはAAAGGCに、AAAAGGはAGAAGG又はTAAAGG又はGAAAGGに、及びGGGAAAはGCGAAAに変異され得る。
【0062】
したがって、異種ポリヌクレオチドは、以下の配列のうちのいずれか1つ、又は複数の以下の配列、又は少なくとも2つの以下の配列、又は少なくとも3つの以下の配列、又は4つの以下の配列を含み得る:
- GPCタンパク質をコードする配列番号2;及び/又は
- NPタンパク質をコードする配列番号4;及び/又は
- mNPタンパク質をコードする配列番号6;及び/又は
- Zタンパク質をコードする配列番号8。
【0063】
異種ポリヌクレオチド内で、本明細書に上記で定義した各配列は、単回又は複数回存在し得る。本発明の好ましい実施形態では、各配列は単一の異種ポリヌクレオチド内に単回存在し、又は異種ヌクレオチド内にまとめて単回存在する。
【0064】
本発明の特定の実施形態のいずれか1つにより、キメラ組換えMeV-LASV感染性粒子産生の効率を増加するポリヌクレオチドを含む核酸構築物を提供する。
【0065】
或いは、又は相補的に、異種ポリヌクレオチドは、以下のポリペプチドのうちのいずれか1つ、又はその抗原性断片、又は少なくとも2つの以下のポリペプチド、又は少なくとも3つの以下のポリペプチド、又は4つの以下のポリペプチドをコードし得る:
- 配列番号1のGPCタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号3のNPタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号5のmNPタンパク質又はその抗原性断片;及び/又は
- 配列番号7のZタンパク質又はその抗原性断片。
【0066】
ポリヌクレオチドが、本明細書に上記で定義したように単回又は複数回ポリペプチドをコードし得ることに注意すべきである。好ましい実施形態では、各ポリペプチドは、単一の異種ポリヌクレオチド内に単回コードされ、より好ましくは、各ポリペプチドは複数のポリペプチド内に単回コードされる。本発明の特定の実施形態により、各ポリヌクレオチドが少なくとも1つのLASVタンパク質をコードするいくつかのポリペプチドは、組み合わされ又は融合され、LASVのいくつかのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを形成する。これらのポリヌクレオチドは、それらがLASVの様々な株のタンパク質、又はLASV株の異なるタンパク質をコードするという事実により互いに区別し得る。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の核酸構築物は、5'端から3'端に以下のポリヌクレオチド:
(a)MeVのNタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(b)MeVのPタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質、又はその抗原性断片からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドをコードする、特にGPCタンパク質若しくはその抗原性断片である単一のポリペプチドをコードする、又はGPCタンパク質若しくはその抗原性断片、及びNPタンパク質若しくはmNPタンパク質のいずれか又はその抗原性断片である少なくとも2つのポリペプチドをコードする、特に、GPCタンパク質及びmNPタンパク質をコードする第1の異種ポリヌクレオチドであって、特にATU、特にATU2内に操作可能にクローニングされている第1のポリヌクレオチド;
(d)MeVのMタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)MeVのFタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)MeVのHタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(g)MeVのLタンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含み、ここで、前記ポリヌクレオチドは核酸構築物内に操作可能に結合され、ウイルス複製及び転写制御エレメント、例えばMeVリーダー及びトレーラー配列のコントロール下にある。
【0068】
本発明によって得られたこの実施形態のいくつかの例は、
図1Bに模式的に示され: MeV-GPC
LASV; MeV-NP+GPC
LASV; MeV-NP
ExoN+GPC
LASVと名付けられた構築物は、この特定の実施形態に属すが、
図1Bに示されない他の構築物も、例えばMeV-GPC
LASV+NP; MeV-GPC
LASV+NP
ExoN; MeV-Z+GPC
LASV; MeV-GPC
LASV+Z; MeV-Z+NP; MeV-Z+NP
ExoN; MeV-NP+Z; MeV-NP
ExoN+Z; MeV-Z+GPC
LASV+NP; MeV-Z+GPC
LASV+NP
ExoN; MeV-Z-NP-GPC
LASV; MeV-Z-NP
ExoN-GPC
LASV; MeV-GPC
LASV+NP+Z; MeV-GPC
LASV+NP
ExoN+Z; MeV-GPC
LASV+Z+NP; MeV-GPC
LASV+Z+NP
ExoN; MeV-NP+GPC
LASV+Z; MeV-NP-Z+GPC
LASV; MeV-NP
ExoN+GPC
LASV+Z; MeV-NP
ExoN-Z+GPC
LASV;のように含まれ、
ここで、
MeVは麻疹ウイルス(MeV)の全長アンチゲノム(+)RNA鎖をコードするcDNA分子に相当し;
GPC
LASVは、GPCタンパク質のポリペプチド、又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドに相当し;
NPは、NPタンパク質のポリペプチド、又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドに相当し;
NP
ExoNは、mNPタンパク質のポリペプチド、又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドに相当し;
Zは、Zタンパク質のポリペプチド、又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドに相当する。
【0069】
表現「Nタンパク質」、「Pタンパク質」、「Mタンパク質」、「Fタンパク質」、「Hタンパク質」及び「Lタンパク質」は、それぞれ麻疹ウイルスの核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、融合タンパク質(F)、ヘマグルチニンタンパク質(H)及びRNAポリメラーゼラージタンパク質(L)を指し、それぞれのポリペプチド又はその抗原性断片への参照を包含する。これらの成分は、先行技術で同定され、特にFields, Virology (Knipe & Howley, 2001年)に開示される。
【0070】
本発明の別の特定の実施形態では、核酸構築物は、5'端から3'端に以下のポリヌクレオチド:
(a)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質、又はその抗原性断片からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドをコードする、特にZタンパク質又はその抗原性断片コードする第2の異種ポリヌクレオチドであって、MeVのN遺伝子の上流に位置するATU内、特にATU1内に操作可能にクローニングされている第2のポリヌクレオチド;
(b)MeVのNタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)MeVのPタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)LASVのGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質、及びZタンパク質、又はその抗原性断片からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドをコードする、特にGPCタンパク質又はその抗原性断片である単一のポリペプチドをコードする、又はGPCタンパク質若しくはその抗原性断片、及びNPタンパク質若しくはmNPタンパク質のいずれか又はその抗原性断片である少なくとも2つのポリペプチドをコードする、特に、GPCタンパク質及びmNPタンパク質をコードする第1の異種ポリヌクレオチドであって、特にATU、特にATU2内に操作可能にクローニングされている第1のポリヌクレオチド;
(e)MeVのMタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)MeVのFタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(g)MeVのHタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(h)MeVのLタンパク質をコードするポリヌクレオチド
を含み、ここで、前記ポリヌクレオチドは核酸構築物内に操作可能に結合され、ウイルス複製及び転写制御エレメント、例えばMeVリーダー及びトレーラー配列のコントロール下にある。
【0071】
この実施形態のいくつかの例は、
図1Bに模式的に示され: Z-MeV-GPC
LASV; Z-MeV-NP+GPC
LASV; Z-MeV-NP
ExoN+GPC
LASVと名付けられた構築物は、この特定の実施形態内に包含される。LASVのタンパク質がMeVの前に名付けられる場合、前記タンパク質は、MeVのN遺伝子上流に位置する追加転写ユニット内にクローニングされている。いくつかの非表示の構築物もこの実施形態によって包含されることに注意すべきである。例として、異種ポリヌクレオチドは第3のATU内にクローニングされていてもよい。Z-MeV-GPC
LASV(ATU2)+NP(ATU3)、又はZ-MeV- NP(ATU2)- GPC
LASV(ATU3)、又はZ-MeV-GPC
LASV(ATU2)+mNP(ATU3)、又はZ-MeV- mNP(ATU2)- GPC
LASV(ATU3)に相当する核酸構築物も、本発明に包含される。Zポリペプチド、GPCポリペプチド、及び/又はNP若しくはmNPポリペプチドのうちの少なくとも1つ又はいずれか1つをコードする異種ポリヌクレオチドはATU3内に挿入され得ることに注意すべきである。本明細書で使用する様々な用語は、先の特定の実施形態で使用したものと同じ意味を有する。
【0072】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド内に、NPタンパク質、好ましくは配列番号3のNPタンパク質、又はその抗原性断片をコードする核酸;並びに、GPCタンパク質、好ましくは配列番号1のGPCタンパク質をコードする核酸を含む。好ましい実施形態では、この第1の異種ポリヌクレオチドはMeVのP遺伝子とM遺伝子の間、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU2内にクローニングされている。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド内に、NPタンパク質をコードする配列番号4の核酸、及びGPCタンパク質をコードする配列番号2の核酸を含み、好ましくは、これら2つの核酸はリンカー配列によって分けられている。好ましい実施形態では、配列番号4の核酸は、配列番号2の核酸の上流に位置する。これは、例えばMeV-NP+GPC
LASVと名付けられた構築物により、
図1Bに示される。
【0074】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド内に、mNPタンパク質、好ましくは配列番号5のmNPタンパク質、又はその抗原性断片をコードする核酸;並びにGPCタンパク質、好ましくは配列番号1のGPCタンパク質をコードする核酸を含む。
【0075】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド内に、mNPタンパク質をコードする配列番号6の核酸、及びGPCタンパク質をコードする配列番号2の核酸を含み、好ましくは、これら2つの核酸はリンカー配列によって分けられている。好ましい実施形態では、MeV-NP
ExoN +GPC
LASVと名付けられた構築物によって
図1Bに示したように、配列番号6の核酸は配列番号2の核酸の上流に位置する(構築物の5'端の方)。好ましい実施形態では、この第1の異種ポリヌクレオチドはMeVのP遺伝子とM遺伝子の間、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU2内にクローニングされている。
【0076】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド及び第2の異種ポリヌクレオチドを含み:
- 第2の異種ポリヌクレオチドは、Zタンパク質、又はその抗原性断片、好ましくは配列番号7のZタンパク質をコードする核酸を含み;第2の異種ポリヌクレオチドは、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU1内にクローニングされ、及び
- 第1の異種ポリヌクレオチドは、GPCタンパク質、又はその抗原性断片、好ましくは配列番号1のGPCタンパク質をコードする核酸を含み、第1の異種ポリヌクレオチドは、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU2内にクローニングされている。
【0077】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、第1の異種ポリヌクレオチド及び第2の異種ポリヌクレオチドを含み:
- 第2の異種ポリヌクレオチドは、Zタンパク質をコードする配列番号8の核酸を含み、第2の異種ポリヌクレオチドは、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU1内にクローニングされ、及び
- 第1の異種ポリヌクレオチドは、GPCタンパク質をコードする配列番号2の核酸を含み、第1の異種ポリヌクレオチドは、好ましくは本明細書に上記で定義したようにATU2内にクローニングされている。
【0078】
本発明の特定の実施形態では、核酸構築物は、配列が、
- 配列番号9(MeV-GPC);
- 配列番号10 (MeV-NP-GPC);
- 配列番号11 (MeV-mNP-GPC);
- 配列番号12 (Z-MeV-GPC);
- 配列番号13 (Z-MeV-NP-GPC);及び
- 配列番号14 (Z-MeV-mNP-GPC)、
からなる群から選択される組換えcDNAを含み、ここで、前記配列は以下のように記載される:
配列番号9
配列番号9は、本発明の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされている。
配列番号10
配列番号10は、本発明の別の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株JosiahのNPタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされている。
配列番号11
配列番号11は、本発明の別の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株Josiahの変異NPタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされている。
配列番号12
配列番号12は、本発明の別の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株JosiahのZタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット1内にクローニングされている。
配列番号13
配列番号13は、本発明の別の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株JosiahのNPタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株JosiahのZタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット1内にクローニングされている。
配列番号14
配列番号14は、本発明の別の特定の実施形態に記載の核酸構築物の配列であり、ここで前記構築物はpTM1-MVSchwarzベクターを含有し、ここでLASV株JosiahのGPCタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株Josiahの変異NPタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット2内にクローニングされ、LASV株JosiahのZタンパク質をコードする配列は追加転写ユニット1内にクローニングされている。
【0079】
本発明は、導入ベクターにも関し、それはヘルパー細胞又は産生細胞からレスキューされた場合に組換えMeV-LASV粒子の調製のために使用され得る。いくつかの導入ベクターは、
図31から
図36に示される。本発明の好ましい実施形態では、導入ベクターは、ヘルパー細胞又は産生細胞のトランスフェクションに好適な導入ベクタープラスミドであり、本発明に記載の核酸構築物を含む。導入ベクタープラスミドはBluescriptプラスミドから得ることができ、本発明の異種ポリヌクレオチドを本明細書に上記のpTM-MVSchwプラスミドにクローニングすることによって得ることができる。本発明の特定の実施形態では、導入プラスミドベクターは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13又は配列番号14の配列を有する。
【0080】
本発明は、組換えウイルスMeV-LASV粒子のレスキューに好適な細胞を形質転換し、特に、そのような細胞にそれぞれ本発明の核酸構築物を持つプラスミド又はウイルスベクターをトランスフェクト又は形質導入する、本発明に記載の導入プラスミドベクターの使用又は核酸構築物の使用にも関し、前記細胞は、組換え、感染性、複製可能組換えMeV-LASV粒子における本発明の核酸構築物に相当するウイルスの組換えゲノムの適切な複製、転写及びキャプシド形成に必要な麻疹ウイルスタンパク質を発現するそれらの能力によって選択される。
【0081】
本発明の核酸構築物及び導入プラスミドベクターは、組換え感染性複製可能組換え麻疹-ラッサウイルス(MeV-LASV)の調製に好適及び向いており、したがって前記核酸構築物及び導入プラスミドベクターは導入ゲノムベクターへの挿入に向いており、結果として、Zタンパク質が少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドによってコードされる場合、前記組換えMeV-LASVウイルスの産生及びLASVポリペプチドの、おそらくLASV VLPとしての発現のため、麻疹ウイルス、特にSchwarz株のcDNA分子を含む。pTM-MVSchwプラスミドは、本明細書に記載のように異種ポリヌクレオチドの挿入による、LASVポリペプチド、タンパク質、抗原、又はその抗原性断片の発現に必要な導入ベクターの調製に好適である。本明細書で使用する場合、用語「ウイルス様粒子」(VLP)は、ウイルスに似ている少なくとも1つの性状であるが、それ自体感染性であることが実証されていない構造体を指す。本発明によるウイルス様粒子は、ウイルス様粒子のタンパク質をコードする遺伝情報を持たず、一般に、ウイルス様粒子はウイルスゲノムを欠如し、したがって、非感染性及び複製不可能である。本発明により、ウイルス様粒子は大量に産生され、MeV-LASV組換え粒子と一緒に発現され得る。
【0082】
本発明は、本発明の導入ベクターによって、並びに更にヘルパー機能及びタンパク質を提供するポリヌクレオチドによって形質転換された細胞又は細胞系にも関する。したがって、ポリヌクレオチドは前記細胞に存在し、特に麻疹ウイルスのN、P及びLタンパク質(すなわち、天然のMeVタンパク質又はリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成することができるその機能性変異体)を含むタンパク質を、好ましくは少なくとも組換えウイルスMeV-LASV粒子の転写及び複製に機能性のN及びPタンパク質を安定に発現されたタンパク質としてコードする。N及びPタンパク質は、それらのコード配列を含むプラスミドから細胞において発現されてよく、又は細胞のゲノムに挿入されたDNA分子から発現されてよい。Lタンパク質は異なるプラスミドから発現されてよい。それは一過的に発現されてよい。ヘルパー細胞は、本発明の核酸構築物由来の組換えRNAの合成を可能にするのに好適なRNAポリメラーゼを、おそらく安定に発現されたRNAポリメラーゼとして発現することもできる。RNAポリメラーゼは、T7ファージポリメラーゼ又はその核形態(nlsT7)であってよい。
【0083】
実施形態では、麻疹ウイルスのcDNAクローンは、Nタンパク質及び/又はPタンパク質及び/又はLタンパク質と同じ麻疹ウイルス株由来である。別の実施形態では、麻疹ウイルスのcDNAクローンは、Nタンパク質及び/又はPタンパク質及び/又はLタンパク質と異なる株のウイルス由来である。
【0084】
本発明に記載の核酸構築物によって形質転換又はトランスフェクトされた細胞は、Zタンパク質が少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドによってコードされる場合、組換え麻疹ウイルス及び/又はLASV VLPを産生することができる。したがって、組換え麻疹ウイルスはそのゲノムに本発明の核酸構築物を含み、LASVの少なくとも1つのポリペプチド、タンパク質又はその抗原性断片を発現することができる。したがって、本発明の麻疹ウイルスはGPCタンパク質、又はGPCポリペプチド、又はその抗原性断片;及び/又はNPタンパク質、又はNPポリペプチド、又はその抗原性断片;及び/又はmNPタンパク質、又はmNPポリペプチド、又はその抗原性断片;及び/又はZタンパク質、又はZポリペプチド、又はその抗原性断片を発現することができる。LASV VLPは、少なくともZタンパク質、又はその抗原性断片を含み、更にLASVの他のポリペプチドの1つを更に含み得る;GPCタンパク質、GPCタンパク質様GP1又はGP2の断片、NPタンパク質及び/又はmNPタンパク質。好ましい実施形態では、LASV VLPは、Zタンパク質、又はその抗原性断片、及びGPCタンパク質、又はその抗原性断片、又はGPCタンパク質様GP1及び/又はGP2の断片を含む。別の好ましい実施形態では、LASV VLPは、Zタンパク質、又はその抗原性断片、GPCタンパク質、又はその抗原性断片、及びmNPタンパク質又はNPタンパク質、又はその抗原性断片を含む。
【0085】
本発明の好ましい実施形態では、組換え麻疹ウイルスは、LASVのGPCタンパク質及びmNPタンパク質を発現する。本発明の別の好ましい実施形態では、組換え麻疹ウイルスは、LASVのGPCタンパク質及びZタンパク質を発現する。
【0086】
更に、本発明のいくつかの実施形態により、組換え麻疹ウイルスは、麻疹ウイルスの少なくとも1つのポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片も発現する。言い換えると、組換え麻疹ウイルスは少なくとも1つの以下のポリペプチドを発現する:MeVのNタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、Hタンパク質、及びLタンパク質。
【0087】
この実施形態により、組換えウイルスは、麻疹ウイルス及びラッサウイルスの組換え抗原性粒子を発現し、LASVのポリペプチドに対する及びMeVのポリペプチドに対する細胞性応答、又は体液性応答、又は細胞性及び体液性応答の誘発を可能にする。本発明の特定の実施形態では、細胞性応答の誘発はT細胞応答、特にCD4+及び/又はCD8+T細胞応答の誘発を含む。
【0088】
したがって、本発明は:
(a)本発明に記載の核酸構築物を又は本発明に記載の導入プラスミドベクターを、細胞、特にヘルパー細胞、特にHEK293ヘルパー細胞にトランスフェクトし、T7 RNAポリメラーゼ並びに麻疹N及びPタンパク質を安定に発現させる工程;
(b)組換え麻疹ウイルス及び/又はLASV VLPの産生に好適な条件でトランスフェクト細胞を維持する工程;
(c)細胞を感染させ、工程(b)のトランスフェクト細胞とそれらを共培養する工程によって組換え麻疹ウイルス及び/又はLASV VLPの繁殖を可能にする工程;
(d)少なくとも1つのLASVタンパク質、好ましくは少なくともGPCタンパク質及び任意選択によりNPタンパク質、mNPタンパク質及び/又はZタンパク質を発現する、好ましくはGPCタンパク質及びmNPタンパク質を発現する組換え麻疹ウイルス、並びに/又は少なくともZタンパク質、及びおそらくGPCタンパク質、NPタンパク質及び/又はmNPタンパク質からなる群から選択される別のLASVタンパク質を発現するLASV VLPを回収する工程
を含む組換え感染性麻疹ウイルス粒子の調製のための方法に関する。
【0089】
特定の実施形態により、本発明は:
a)本発明の核酸構築物又はそのcDNA由来のMeVのアンチゲノム(+)RNA配列の転写、複製、及びカプセル化に必要なタンパク質も発現するヘルパー細胞系におけるそのような核酸構築物を含有する導入ベクターを、ウイルス粒子のアセンブリーを可能にする条件下で導入する工程、特にトランスフェクトする工程、及び
b)LASVの少なくとも1つのポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片を発現する組換え感染性MeV-LASVウイルスを回収する工程
を含む組換え感染性麻疹ウイルス粒子の調製のための方法に関する。
【0090】
本発明の特定の実施形態により、方法は:
a)本発明に記載の核酸構築物を、導入プラスミドベクターをヘルパー細胞にトランスフェクトする工程であって、ここで前記ヘルパー細胞は、RNAポリメラーゼを発現する、及びMeVウイルスのN、P及びLタンパク質を発現するヘルパー機能を発現することができる工程;
b)工程a)の前記トランスフェクトヘルパー細胞を、そこからcDNAが生じるMeV弱毒化株の継代に好適な継代細胞と共培養する工程;
c)LASVの少なくとも1つのポリペプチドを発現する組換え感染性MeV-LASVウイルスを回収する工程
を含む。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態により、組換え感染性MeV-LASVの産生のための方法は:
a)RNAポリメラーゼ、麻疹ウイルスの核タンパク質(N)及び麻疹ウイルスのポリメラーゼ共因子リンタンパク質(P)を安定に産生する細胞又は細胞の培養を、本発明の核酸構築物と、及び麻疹ウイルスのRNAポリメラーゼラージタンパク質(L)をコードする核酸を含むベクターと組み換える工程、及び
b)前記組換え細胞又は組換え細胞の培養から、感染性MeV-LASVウイルスを回収する工程
を含む。
【0092】
方法の特定の実施形態により、少なくともGPCタンパク質を含むLASVタンパク質、及び/又は少なくともZタンパク質を含むLASV VLPを発現する組換えMeVが産生され、ここで組換えMeV及び/又はVLPは少なくとも1つの他のLASVタンパク質、又は抗原、又はその抗原性断片、例えばLASVのGPC又はその断片、特にGP1及び/又はGP2、並びに任意選択によりmNPを発現し得る。他の実施形態では、LASV VLPは、Zタンパク質又はその断片、及び任意選択によりGPCタンパク質、及びおそらくGP1及び/又はGP2を含む。本発明の好ましい実施形態では、LASV VLPは、Zタンパク質、又はその抗原性断片、及びGPCタンパク質、又はその抗原性断片を含む。図面のように、LASVタンパク質、特にLASV VLPを発現する組換えMeVをレスキューする方法は:
1)T7 RNAポリメラーゼ、及び麻疹N及びPタンパク質を安定に発現するヘルパー細胞、特にHEK293ヘルパー細胞に、(i)少なくとも1つのLASVタンパク質をコードする、例えばGPCタンパク質、NPタンパク質、mNPタンパク質及び/又はZタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドと組換えた麻疹ウイルスの全長アンチゲノム(+)RNAをコードするcDNAを含む導入ベクター、特にプラスミド、並びに(ii)MeV LポリメラーゼcDNAをコードするベクター、特にプラスミドをコトランスフェクトする工程;
2)MV-LASV組換えウイルスの産生を可能にする条件で前記コトランスフェクトしたヘルパー細胞を培養する工程;
3)工程2)の前記ヘルパー細胞を、増殖を可能にする細胞、例えばVero細胞と共培養する工程によってそのように産生された組換えウイルスを増殖させる工程;
4)複製するMeV-LASV組換えウイルス及びLASVタンパク質、特にLASVウイルス様粒子を回収する工程
の工程を含む。
【0093】
本明細書で使用する場合、「組み換える」は、例えばベクターの形態で、少なくとも1つのポリヌクレオチドを細胞に導入し、前記ポリヌクレオチドが細胞にインテグレートする(全体又は部分的に)又はインテグレートしない工程を意味する。特定の実施形態により、組換えは第1のポリヌクレオチドによって得られ、本発明の核酸構築物である。組換えは、また又は或いは、ポリヌクレオチドを導入する工程を包含する事ができ、麻疹ウイルスのRNAポリメラーゼラージタンパク質(L)をコードするベクターであり、その定義、性質及び発現の安定性は本明細書に記載される。
【0094】
本発明にしたがって、RNAポリメラーゼ、麻疹ウイルスの核タンパク質(N)、及び麻疹ウイルスのポリメラーゼ共因子リンタンパク質(P)を安定に発現する細胞又は細胞系又は細胞の培養は、本明細書に定義した細胞若しくは細胞系、又は本明細書に定義した細胞の培養であり、すなわち、それらが上記のように1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドの導入によって形質転換される限り、組換え細胞である。本発明の特定の実施形態では、RNAポリメラーゼ、N及びPタンパク質を安定に産生する細胞又は細胞系又は細胞の培養は、麻疹ウイルスのLタンパク質を産生せず、又は麻疹ウイルスのLタンパク質を安定に産生せず、例えばその一過的な発現又は産生を可能にする。本発明の組換えMeV-LASVウイルスの産生は、本明細書に記載のように形質転換された細胞の導入を含み得る。本明細書で使用する場合、「導入」は、組換え細胞の異なる型の細胞上、特に異なる型の細胞の単層上にプレートする工程を指す。これらの後者の細胞は、感染性組換えMeV-LASVウイルスの複製と産生の両方、すなわちそれぞれ細胞内の感染性ウイルスの形成及びおそらくLASV免疫原性粒子及び/又はLASV VLPの放出により細胞外へのこれらの感染性ウイルスの放出を維持する能力がある。この導入は、本発明の組換え細胞の前文で定義した受容能力のある細胞との共培養をもたらす。上記の導入は、組換え細胞が効果的なウイルス産生培養ではない場合、すなわち感染性組換えMeV-LASVウイルスがこれらの組換え細胞から効果的に回収できない場合、追加の、すなわち任意選択の工程であり得る。この工程は、本発明の組換え細胞の更なる組換え後に、本発明の任意の核酸構築物、及び任意選択により麻疹ウイルスのRNAポリメラーゼラージタンパク質(L)をコードする核酸を含むベクターによって導入される。
【0095】
本発明の特定の実施形態では、導入工程は、通常容易に組み換えられるそれらの能力で選択される組換え細胞が、組換え感染性MeV-LASVウイルスの維持及び産生に十分有効ではないため、必要である。前記実施形態では、上記方法の工程1)の細胞又は細胞系又は細胞の培養は、本発明に記載の組換え細胞又は細胞系又は組換え細胞の培養である。
【0096】
本発明の組換え細胞の調製に好適な細胞は、原核又は真核細胞、特に動物又は植物細胞、及びより詳細には哺乳動物細胞、例えばヒト細胞若しくは非ヒト哺乳動物細胞又はトリ細胞又は酵母細胞である。特定の実施形態では、そのゲノムの組換え前に、細胞は初代培養又は細胞系のいずれかから単離される。本発明の細胞は、分裂細胞又は非分裂細胞であり得る。
【0097】
好ましい実施形態により、ヘルパー細胞は、ヒト胚腎臓細胞系293由来であり、その細胞系293はATCC番号CRL-1573で寄託されている。特定の細胞系293は国際公開第2008/078198号に開示の細胞系であり、以下の実施例では293T7/N/Pと呼ばれる。したがって、本発明は、本発明のいずれかの実施形態に記載の核酸構築物をトランスフェクト又は形質転換され、又は導入プラスミドベクターをトランスフェクトされた宿主細胞、特にトリ細胞又は哺乳動物細胞にも関する。好適な細胞は、VERO NK細胞(アフリカミドリザル腎臓細胞)及びMRC5細胞(医学研究審議会細胞株5)である。この方法の別の態様により、継代に好適な細胞はCEF細胞(ニワトリ胚線維芽細胞)である。CEF細胞は、EARL Morizeau(8 rue Moulin, 28190 Dangers, France)から、又は受精したトリの卵の任意の他の生産者から得られた受精したトリの卵から調製することができる。
【0098】
本発明に従って開示される方法は、免疫化組成物としての使用に適切な感染性の複製可能組換えMeV-LASVウイルスの産生に有利に使用される。したがって、本発明は組成物、特に抗原性組成物に関し、その有効成分は、本発明の核酸構築物からレスキューされた感染性の複製可能組換えMeV-LASVウイルスを含み、特に開示された方法によって得られる。組成物は、それを必要とするヒト、特に子供への投与のためのワクチン組成物であってよい。前記組成物は、LASV感染に対する処置に使用され得る。前記組成物は、LASVに対する保護のために使用され得る。したがって、組成物は、LASV感染に対する保護又は予防処置のための免疫原性又は抗原性組成物であり得る。特に、組成物内の活性成分又は有効成分は組換えMeV-LASV粒子を含み、前記組換えMeV-LASV粒子は、本発明に記載の導入プラスミドベクターからレスキューされ、任意選択により、Zタンパク質及び任意選択によりLASVの他のタンパク質、又はその抗原性断片を含むVLPと会合する。本発明の文脈では、用語「会合した」又は「会合して」は、単一の組成物内での、特にVLPとして、通常物理的に離れた実体として、MeV-LASV組換えウイルス粒子とLASVポリペプチド又はタンパク質の両方の存在を指す。本発明の特定の実施形態では、組成物はワクチンである。
【0099】
本発明は、対象、特にヒト対象、特に子供におけるラッサウイルスによる感染の処置又は防止での使用のための、LASVポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片と会合する組換えMeV-LASV感染性複製ウイルス粒子、おそらく会合したLASV VLP、又は本発明に記載の任意の組成物にも関する。
【0100】
本発明は、投与スキームでの、及び特にヒト対象、特に子供において、LASVウイルス感染又は誘導疾患に対して免疫応答、有利には保護免疫応答を誘発する投与レジメンによる使用のための、組換えMeV-LASV感染性、複製可能ウイルス及び会合したLASVポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片、並びに会合する可能性のあるLASV VLPにも関する。
【0101】
本発明の特定の実施形態では、組成物又は組成物の使用は、単回注射後、対象、特にヒト対象、特に子供の免疫を誘発することができる。言い換えると、組成物又は組成物の使用は、組換えMeV-LASV感染性複製可能ウイルスの選択された用量の単回投与を必要とし得る。或いは、プライム-ブーストレジメンでの複数用量投与を必要とし得る。プライミング及びブースティングは、組換えMeV-LASV感染性、複製可能ウイルス及び会合したLASVポリペプチド及びタンパク質、又はその抗原性断片、及び/又はLASV VLPからなる同一の活性成分によって達成され得る。
【0102】
本発明は、これらの成分の1つとして、組換えMeV-LASV感染性、複製可能ウイルス及び会合したLASVポリペプチド又はタンパク質、及び/又はLASV VLPを含む異なる活性成分のアセンブリーにも関する。活性成分のアセンブリーは、宿主、特にヒト宿主の免疫での使用のために有利である。
【0103】
本発明者らは、組換えMeV-LASV感染性、複製可能ウイルスの投与が、免疫応答を誘発し、特にLASV関連ポリペプチドに対する中和抗体の産生を誘発することを示した。したがって、本発明に記載の活性成分の投与は、宿主の免疫を誘発することが示された。本発明に記載のワクチンは安全であり、宿主内で免疫応答をもたらし、それは特にCD4+及びCD8+T細胞応答を包含する。実施例に示すように、本発明に記載のワクチンは、抗原特異的T細胞応答を誘導する。免疫したサル宿主は、LASVの致死量の負荷を生存することも示された。
【0104】
宿主の免疫、及びLASV負荷後、肝臓酵素(ALT及びAST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、C反応性タンパク質(CRP)及びアルブミンのレベルは、免疫したサル宿主で正常のまま又はわずかに増加するが、これらのレベルは、非免疫宿主では数倍増加する。
【0105】
本発明に記載の組成物は、組換えLASV特異的免疫グロブリン、特にIgM及びIgG、並びに中和抗体の産生を誘発することができる。本発明に記載の組成物は、安全なワクチンであり、宿主において免疫原性及び有効である。組成物及びそれらの使用は、ワクチン接種した宿主において、少なくともT細胞応答を付与し、ラッサウイルス感染に対して免疫を付与する。
【0106】
本発明に記載の組成物は、MeV特異的免疫グロブリン、特にIgM及びIgG、並びに中和抗体の産生も誘発することができる。本発明に記載の組成物は、安全なワクチンであり、宿主において免疫原性及び有効である。組成物及びそれらの使用は、ワクチン接種した宿主において、少なくともT細胞応答を付与し、麻疹ウイルス感染に対して免疫を付与し得る。
【0107】
本発明に記載の組成物は、投与スキームでの、及び特にヒト対象、特に子供において、麻疹ウイルス感染又は誘導疾患に対して免疫応答、有利には保護免疫応答を誘発する投与レジメンによる使用のための、組換えMeV-LASV感染性、複製可能ウイルス及び会合したLASVポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片、並びに会合する可能性のあるLASV VLPにも関する。
【0108】
本発明は、対象、特にヒト対象、特に子供における麻疹ウイルスによる感染の処置又は防止での使用のための、LASVポリペプチド若しくはタンパク質、又はその抗原性断片、及び/又はLASV VLP、又は本発明に記載の任意の組成物と会合する、組換えMeV-LASV感染性複製ウイルス粒子にも関する。
【0109】
本発明は、GPCタンパク質、Zタンパク質、NPタンパク質及び/又はmNPタンパク質をコードするコドン最適化配列のいずれか1つを含む異種ポリヌクレオチドにも関する。したがって、本発明は、配列番号2;配列番号4、配列番号6及び/又は配列番号8を含む、又はからなるコドン最適化ポリヌクレオチドにも関する。
【0110】
本出願が参照するいくつかの図面は、カラーである。提出された本出願は、図面のカラーのプリントアウトを含み、したがって特許庁での本出願のファイルの検索によってアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】
図1は、核酸構築物の略図である。A:MeVベクター。B:本発明に記載の核酸構築物。MeV遺伝子はグレーで示され、LASV遺伝子は緑、青及び赤で示される。MV遺伝子については:N(核タンパク質);P/V/C(リンタンパク質及びV/Cタンパク質);M(マトリックス);F(融合タンパク質);H(ヘマグルチニン):L(ポリメラーゼ)。LASV遺伝子については:NP(核タンパク質);NP
ExoN (いくつかの図ではNP
KOも参照する;そのエキソヌクレアーゼ活性をノックダウンした変異NPをコードする変異配列);GPC(糖タンパク質前駆体);Z(亜鉛結合タンパク質)。ATUは、黒い矢印によって示される。ATU1は、左、MeVのN遺伝子の上流に位置するが、ATU2は、中心、P MeV遺伝子とM MeV遺伝子の間に位置する。
【
図2】
図2は、Vero E6細胞でのウイルスの増殖キネティクスを示す図である。MeV-GFPは、緑色蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチドがATU2内に挿入された構築物に相当する。MeV-GFP
LASVは、LASVのGPCタンパク質をコードするポリヌクレオチドがATU2内に挿入された構築物に相当する。MeV-NP+GPC
LASVは、LASVのGPCタンパク質及びNPタンパク質をコードする遺伝子がATU2内に挿入された構築物に相当する。MeV-NP
ExoN +GPC
LASVは、LASVのGPCタンパク質及び変異NPタンパク質(エキソヌクレアーゼ活性をノックダウンした)をコードするポリヌクレオチドがATU2内に挿入された構築物に相当する。MeV-Z+GPC
LASVは、GPCタンパク質をコードするポリヌクレオチドがATU2内に挿入された構築物に相当し、ここでZタンパク質をコードするポリヌクレオチドはATU1内に挿入される。力価は典型的な実験で得られ、3回の独立した実験からのTCID
50によって測定された。平均値及び標準誤差が示される。
【
図3】
図3は、感染Vero E6細胞及び感染Vero E6細胞の上清におけるLASVタンパク質(GPC、NP及びZ)及びMeVタンパク質(F)の発現を示す図である。各構築物の効果は、材料と方法に詳述したようにウェスタンブロットによって評価された。NI:非感染細胞。ns:非特異的。
【
図4】
図4は、ヒト末梢血単核細胞由来の免疫抗原提示細胞でのMeV-GFP侵入及び複製を示す図である。
【
図5】
図5は、異なるMeV-LASVベクターによって感染させたヒト初代マクロファージにおけるI型IFNの発現を示す図である。I型IFN応答のqPCR分析による定量的RNA分析(IFNa1、IFNa2、及びIFNbの定量的発現)。感染24時間後の発現。全ての結果は、GAPDH遺伝子に対してノーマライズされ、GAPDHと比較した誘導倍率として表される。
【
図6】
図6は、異なるMeV-LASVベクターによって感染させたマクロファージにおける異なるマーカーCD80、CD86及びCD83 CD40のクラスターの細胞表面発現を示す図である。感染48時間後の同時活性化分子の細胞表面発現のフローサイトメトリー。
【
図7】
図7は、異なるMeV-LASVベクターによって感染させたヒト初代樹状細胞におけるI型IFNの発現を示す図である。I型IFN応答のqPCR分析による定量的RNA分析(IFNa1、IFNa2、及びIFNbの定量的発現)。感染24時間後の発現。全ての結果は、GAPDHに対してノーマライズされ、GAPDHと比較した誘導倍率として表される。
【
図8】
図8は、異なるMeV-LASVベクターによって感染させたヒト初代樹状細胞における異なるマーカーCD80、CD86、CD83、及びCD40のクラスターの細胞表面発現を示す図である。感染48時間後の同時活性化分子の細胞表面発現のフローサイトメトリー。
【
図9】
図9は、免疫後30日の期間中の、カニクイザル(Macaca fascicularis)の体温を示す図である。3、4、及び4匹のサルは、それぞれ組換えMeV株Schwarzワクチン、組換えMeV-NP
ExoN-GPCワクチン及び組換えZ-MeV-GPCワクチンの50%組織培養感染価(TCID
50)2.10
6で皮下に免疫された。
【
図10】
図10は、ワクチン接種したカニクイザル(Macaca fascicularis)におけるLASV抗原特異的CD4及びCD8 T細胞応答を示す図である。GPC、NP、及びZに特異的なオーバーラップペプチドによる全血の刺激後のフローサイトメトリー。
【
図11】
図11は、致死量のLASV株Josiahによる負荷後のカニクイザル(Macaca fascicularis)の臨床スコアを示す図である。臨床スコアは、体温、体重、普通に食事及び水分補給する能力、挙動、臨床徴候に基づく。スコア15は、屠殺のエンドポイントである。LASV株の致死量は、動物の皮下に注射されるLASV株Josiahの1.500FFUで構成される。
【
図12】
図12は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザル(Macaca fascicularis)の体温を示す図である。
【
図13】
図13は、免疫したカニクイザルの血漿の肝臓酵素(AST及びALT)レベルを示す図である。
【
図14】
図14は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザル(Macaca fascicularis)のLDH(A)、CRP(B)、及びアルブミン(C)の血漿レベルを示す図である。
【
図15】
図15は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザルのウイルス血症(RNA(A)及び力価(B))を示す図である。qPCRによるRNA定量。当技術分野で公知の方法による力価測定。
【
図16】
図16は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザルの鼻汁(A)及び口内分泌液(B)及び尿(C)におけるウイルスRNA定量を示す図である。qPCRによるRNA定量。
【
図17】
図17は、異なるMeV-LASVによって事前に免疫された負荷したカニクイザルの臓器において検出されたLASV RNAレベルを示す図である。
【
図18】
図18は、異なるMeV-LASVによって事前に免疫された負荷したカニクイザルの臓器において検出されたLASV感染性力価を示す図である。
【
図19】
図19は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザルにおけるLASVに対するIgM及びIgG応答を示す図である。A. IgM LASV特異的。B: IgG LASV特異的。ELISAによって測定された免疫グロブリンレベル。450nMでの吸光度によって算出された光学濃度。
【
図20】
図20は、免疫後のLASV GP-及びNP-特異的CD8+及びCD4+T細胞応答を示す図である。LASV GP及びNP全体をカバーするオーバーラップペプチドによる刺激後、IFNg、TNFa、及び/又はIL-2を産生するCD8+及びCD4+ T細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーを使用して決定された。
【
図21】
図21は、致死量のLASV株Josiahによって負荷された免疫されたカニクイザルのLASV抗原特異的CD4及びCD8 T細胞応答を示す図である。GPC及びNPに特異的なオーバーラップペプチドによる全血の刺激後のフローサイトメトリー。
【
図22】
図22は、致死量のLASV株Josiahによって負荷された免疫されたカニクイザルのCD4及びCD8 T細胞の増殖及び活性化を示す図である。Ki67染色によって評価されたCD8増殖(A)。グランザイムB発現の定量によって評価されたCD4(B)及びCD8(C)活性化。
【
図23】
図23は、LASV負荷後のLASV GP-及びNP-特異的CD8+T細胞応答を示す図である。LASV GP(23A)及びNP(23B)全体をカバーするオーバーラップペプチドによるLASV負荷後、IFNg、TNFa、及び/又はIL-2を産生するCD8+ T細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定された。応答するT細胞の異なる亜集団の割合は、円グラフを使用して表される。
【
図24】
図24は、LASV負荷後のLASV GP-及びNP-特異的CD4+T細胞応答を示す図である。LASV GP(23A)及びNP(23B)全体をカバーするオーバーラップペプチドによるLASV負荷後、IFNg、TNFa、及び/又はIL-2を産生するCD4+ T細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定された。応答するT細胞の異なる亜集団の割合は、円グラフを使用して表される。
【
図25】
図25は、MeV-NP
ExoN-GPC
LASVによる免疫後の異なる時点で回収されたカニクイザルPBMCから得られたトランスクリプトームのデータで実施されたKEGG経路分析を示す図である。
【
図26】
図26は、MeV-Z-GPC
LASVによる免疫後の異なる時点で回収されたカニクイザルPBMCから得られたトランスクリプトームのデータで実施されたKEGG経路分析を示す図である。
【
図27】
図27は、LASV負荷後、免疫したサルの血漿におけるサイトカインの定量を示す図である。LASV負荷後、MeV-、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV、及びMeV-Z+GPC
LASV免疫したカニクイザルの血漿において異なるサイトカインが定量された。異なる条件間での顕著な差(p<0.05)が示される: n-c (MeV-NP
ExoN-GPC
LASV及びMeV)、n-z (MeV-NP
ExoN-GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASV)及びn-cz (MeV-NP
ExoN-GPC
LASV及びMeV; MeV-NP
ExoN-GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASV)。
【
図28】
図28は、致死量のLASV株Josiahによって負荷されたカニクイザルにおけるMeVに対するIgM及びIgG応答を示す図である。A: IgM MeV特異的。B: IgG MeV特異的。IgG及びIGM MeV特異性は、MeV構築物によって免疫されたサルの7日目及び14日目に測定されなかった。
【
図29】
図29は、天然及び変異NPタンパク質のエキソヌクレアーゼ活性の決定を示す図である。ウイルス誘導性ルシフェラーゼ活性及び免疫刺激RNA誘導インターフェロンベータ活性化の誘導倍率。CT:コントロール。NP
LASV:天然NPタンパク質。NP
ExoNLASV:配列番号5の変異NPタンパク質。SeV:moi=1のセンダイウイルス。
【
図30】
図30は、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV向性の分析を示す図である。CHO細胞系は、LASV GPCと、又はMeV-NP
ExoN-GPC
LASVとシュードタイプ化したいずれかのモペイアウイルスによって感染させた。GPCの発現は、抗GP1抗体による染色によって分析された。核は青であるが、染色された抗GP1は緑であった。
【
図31】
図31は、本発明の第1の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号9の配列を有する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド189と1767の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド1889と3412の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3532と5007の間に位置する。ATU2は、ヌクレオチド3487と5071マイナス異種ポリヌクレオチドインサートの間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド5104と6111の間に位置する。
【
図32】
図32は、本発明の第2の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号10の配列を有する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド190と1767の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド1889と3412の間に位置する。NPタンパク質をコードする配列番号4のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3532と5241の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド5386と6861の間に位置する。麻疹ウイルスの制御配列を含むリンカー配列は、ヌクレオチド5242と5385の間に位置する。ATU2は、ヌクレオチド3487と6925マイナス異種ポリヌクレオチドインサート及びリンカー配列の間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド6958と7965の間に位置する。
【
図33】
図33は、本発明の第3の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号11の配列を有する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド190と1767の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド1889と3412の間に位置する。変異NPタンパク質をコードする配列番号6のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3532と5241の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド5386と6861の間に位置する。麻疹ウイルスの制御配列を含むリンカー配列は、ヌクレオチド5242と5385の間に位置する。ATU2は、異種ポリヌクレオチドインサートとリンカー配列マイナスヌクレオチド3487と6925の間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド6958と7965の間に位置する。
【
図34】
図34は、本発明の第4の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号12の配列を有する。Zタンパク質をコードする配列番号8のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド193と504の間に位置する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド646と2223の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド2345と3868の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3988と5463の間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド5560と6567の間に位置する。
【
図35】
図35は、本発明の第5の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号13の配列を有する。Zタンパク質をコードする配列番号8のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド193と504の間に位置する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド646と2223の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド2345と3868の間に位置する。NPタンパク質をコードする配列番号4のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3988と5697の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド5842と7317の間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド7414と8421の間に位置する。
【
図36】
図36は、本発明の第6の実施形態に記載の導入ベクタープラスミドの略図である。導入ベクターは、配列番号14の配列を有する。Zタンパク質をコードする配列番号8のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド193と504の間に位置する。Nタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド646と2223の間に位置する。Pタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド2345と3868の間に位置する。変異NPタンパク質をコードする配列番号6のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド3988と5697の間に位置する。GPCをコードする配列番号2のコドン最適化異種ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド5842と7317の間に位置する。Mタンパク質をコードする麻疹遺伝子は、ヌクレオチド7414と8421の間に位置する。
【発明を実施するための形態】
【実施例0112】
材料及び方法
細胞及びウイルス
T7ポリメラーゼ及び麻疹N及びPタンパク質を安定に発現する293T7/N/P細胞は、組換え麻疹ウイルスをレスキューするために使用し、前述のように維持する{Combredet, 2003 #76}。Vero NK細胞は、5% FCS、及び0.5%ペニシリン-ストレプトマイシンを補足したGlutamax Dulbecco Modified Eagle's Medium (DMEM, Life Technologies社)中で増殖させた。血液試料はEtablissement Francais du Sang (EFS, Lyon, France)から得た。単核細胞は、Ficol密度勾配遠心分離(GE Healthcare社)によって精製した。単球は、まず、PBS中50% Percoll(GE Healthcare社, Velizy, France)のクッション上での遠心分離により末梢血単核細胞から分離し、次いで製造業者の指示(Miltenyi Biotec社, Paris, France)に従って単球単離キットIIを使用して精製した。マクロファージは、単球を6日間、50ng/mLのM-CSFを補足したRPMI、10% SVF、10%自家血清中でインキュベートする工程によって得た。M-CSFは、2日毎に添加され、40%の培養培地が置き換えられた。
【0113】
プラスミド構築物
LASV GPC、NP及びZ (LASV株Josiah)のコドン最適化ORFは、前述のように、核タンパク質(N)の上流(ZにはATU1)又はSchwarz MVゲノムのリンタンパク質(P)とマトリックス(M)遺伝子の間(ATU2、GPC単独又はNP+GPC)に位置する追加転写単位(ATU)においてpTM1-MVSchwarzベクターにクローニングした(Combredet, C.ら, A molecularly cloned Schwarz strain of measles virus vaccine induces strong immune responses in macaques and transgenic mice. J Virol, 2003年. 77(21): 11546~54頁)。全てのプラスミド構築物は、シーケンシングによって確認した。
【0114】
ウェスタンブロット及び抗体
組換えMeV-GFP、MeV- GPCLASV、MeV-NP+GPCLASV、MeV-NPExoN+GPCLASV又はMeV-Z+GPCLASVを感染させたVero NK細胞は、Co-IP緩衝液で溶解し、遠心分離によって透明にした。ライセート及び培養上清は、次いで、変性条件下で4~12%プレキャストゲル(Biorad社)上で分離し、PVDF膜に移した。膜は、GP1(インハウスのマウスモノクローナル製品)、NP(マウス抗LASV血清)、Z(インハウスのウサギポリクローナル製品)、又はF(ウサギポリクローナルFcyt、R.Cattaneoからの親切な贈り物)に対する一次抗体によって染色した。細胞ライセートは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)と結合した抗アクチン抗体によっても染色した。HRPに結合した二次抗体による染色後、膜はWest Dura基質(Pierce社)を使用して確認し、LAS4000 imager(GE Healthcare社)を使用して撮影した。
【0115】
ウイルスレスキュー及び力価測定
LASV抗原を発現する組換え麻疹ウイルスは、前述のようにレスキューした(Combredet, 2003年; Radecke, F.ら, Rescue of measles viruses from cloned DNA. Embo J, 1995年. 14(23): 5773~84頁;国際公開第2008/078198号)。簡潔に言うと、293T7/N/P細胞に、麻疹Lポリメラーゼ及び所望のMeVベクターの抗原性断片をコードするプラスミドをトランスフェクトした。クローンシンシチウムを採り、6ウェルプレート中でVero NK細胞の感染に使用した。シンシチウムが、ウェル領域の約50%に達すると、細胞をはがし、10cmディッシュ中のVero NK細胞上に置き、継代1(P1)ストックを産生した。高継代数のウイルスストックを調製するため、Vero NK細胞は、0.01の感染多重度(MOI)で感染させ、次いで32℃で2~3日間インキュベートした。ウイルスを回収するため、細胞をOpti-MEM I低血清培地中にスクレープし、2回凍結融解した。力価は、Vero NK細胞での50%組織培養感染価(TCID50)によって決定された。
【0116】
定量的RNA分析
RT-qPCR実験のため、製造業者の指示に従ってRneasy Mini Kit(Qiagen社, Courtaboeuf, France)、及びTurbo DNA free kit Ambion (Thermo Fisher Scientific社)を使用して加えられた補足のDNase工程を使用して全RNAをモック又は感染細胞から単離した。cDNAの合成はSuperScript IIIを使用して実施し、増幅はGene Expression Master Mix kit (Applied Biosystems社, Thermo Fisher Scientific)を使用して実施した。I型IFNについては、プライマー/プローブミックスをインハウスで開発した。qPCRアッセイのランは、LightCycler 480 (Roche Diagnostics社, Meylan, France)で実行した。全ての遺伝子の発現は、GAPDH遺伝子のものに標準化し、GAPDHと比較する誘導倍率として表した。ウイルスRNA定量のため、NP ORFの771-934bp領域のRNAプローブはpGEMベクター(Promega社)にクローニングし、T7プロモーター駆動転写産物を生成した。RNAプローブはDNAse処置、精製、及び定量した(Dropsense96, Trinean社, Gent, Belgium)。ウイルスRNAの定量的PCRは、LASV特異的プライマーを使用して、EuroBioGreen qPCR Mix Lo-ROX (Eurobio社, Les Ulis, France)によって実施した。
【0117】
MP活性化、T細胞活性化及び増殖のためのフローサイトメトリー
モック及びMOI 1-感染MPは、感染48時間後にはがし、ヒトIgGで飽和し、PBS/1%PFA中での最終固定の前にCD40、CD83、CD80、及びCD86(BD Biosciences社, Le-Pont-de-Claix, France)に対する抗体で表面染色した。LASV抗原特異的T細胞は、新しい全血から分析した。細胞を、37℃で6時間、CD28及びCD49d抗体(2μg/ml)及びBrefeldin A(10μg/ml)の存在下で、GPC、NP、又はZオーバーラッピングペプチドのプールとインキュベートした。SEA(1μg/ml)又はPBSは、それぞれ活性化の陽性又は陰性コントロールとして使用した。ペプチドは、11残基のオーバーラップを有する15merのアミノ酸長(各1μg/ml)であり、LASV株Josiahの完全GPC、NP又はZ ORFに渡る。PBS-EDTA 20mMを、CD3、CD4及びCD8(BD Biosciences社)に対する細胞表面染色の前に試料に添加した。次いで、PharmLyse (BD Biosciences社)を使用して赤血球を溶解した。次いで、細胞を固定し、IFNγ(Biolegend社)に対する抗体による細胞内染色のために透過処理した。増殖及び活性化のため、ウェルはKi67又はGranzyme Bに対する抗体を使用して染色した。細胞は、LSR Fortessa cytometer (BD Biosciences社) 又は10-color Gallios cytometer (Beckman Coulter社)を使用するフローサイトメトリーによって分析した。データは、 Kaluza software (Beckman Coulter社)を使用して分析した。
【0118】
LASVによるカニクイザル負荷
4匹の雄のカニクイザルの群(Macaca Fascicularis、32~39月齢、3~4kg)は、それぞれ2.106 TCID50のMeV-NPExoN+GPCLASV又はMeV-Z+GPCLASVの皮下注射によって、A2施設(SILABE社, France)で免疫した。3匹のサルの別のコントロール群は、MeVワクチン株Schwarzで免疫した。採血、口腔スワブ及び鼻腔スワブ、並びに尿サンプリングは、ワクチン複製及び排出、LASV GPC、NP又はZに対するIgM及びIgG応答並びにT細胞応答を評価するため、最初の2週間は2~3日毎に、次いで37日目までは週に1回実施した。37日後、サルは、BSL-4施設(Laboratoire P4-Inserm Jean Merieux)に移送し、ここで1.500FFUのLASV株Josiahを皮下に使用して負荷した。動物は、疾患の臨床徴候を追跡し、体温、体重、食事、水分補給、挙動及び臨床徴候に基づいて作製されたスコアリングによって安楽死させた。実験エンドポイントは、負荷の28日後におき、この時点まで生存した全ての動物は検証した実験手順に従って安楽死させた。採血、口腔スワブ及び鼻腔スワブ、並びに尿サンプリングは、LASVウイルス複製及び排出、LASV GPC、NP又はZに対するIgM及びIgG応答並びにT細胞応答を評価するため、最初の2週間は2~3日毎に、次いで28日目までは週に1回実施した。この研究は、Comite Regional d'Ethique en Matiere d'Experimentation Animale de Strasbourg (APAFIS#6543-20160826144775)により、及びComite Regional d'Ethique pour l'Experimentation Animale Rhone Alpes (CECCAPP 20161110143954)により認可された。
【0119】
天然及び変異NPタンパク質のエキソヌクレアーゼ活性の決定(
図29):
293T細胞に、リン酸カルシウムを使用して、IFN-ベータ遺伝子の公知の機能性プロモーター配列からホタルルシフェラーゼ(Fluc)レポーター遺伝子を発現する100ngのベクター、可変量の天然(野生型)又は変異LASV NPベクターのいずれか、及びトランスフェクションのノーマライゼーションのための50ngのβ-gal発現プラスミドをコトランスフェクトした。トランスフェクション後24時間で、IFN-β発現を誘導するため、細胞はセンダイウイルス(moi=1)を感染させた。感染24時間後、細胞ライセートをルシフェラーゼ及びβ-galアッセイのために調製した。Fluc活性は、β-gal値によってノーマライズした。NPがエキソヌクレアーゼ活性を持つかどうか決定するため、免疫刺激RNA誘導IFN産生の抑制へのその効果を分析し、HEK293細胞に、pIFNベータ-LUC、可変量の天然(WT)又は変異LASV NPベクター、及びトランスフェクションのノーマライゼーションのためのベータ-gal-発現プラスミドをトランスフェクトした。18時間後、細胞に、リポフェクタミン2000によって、1μgのPoly(I:C)又は250ngのPichindeビリオンRNAのいずれかをトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性は、免疫刺激RNAトランスフェクションの18時間後に決定し、ベータ-gal活性によってノーマライズした。そのエキソヌクレアーゼ活性がノックダウンした変異NPタンパク質は、免疫刺激RNA誘導IFN産生を抑制しない。
【0120】
(実施例1)
LASV抗原を発現する組換えMeVウイルスの生成
最良の免疫原性を得るためにMeVベクターに導入するLASV抗原の最良の組合せを決定するため、本発明者らは、in vivoで抗原性LASVウイルス様粒子(VLP)を産生するため、GPC単独又はNP(LASV NPに含有された免疫抑制機能を排除するために変異又はエキソヌクレアーゼドメインにない)と組み合わせて、又はGPC及びZを発現するSchwarz MeVワクチンプラットフォーム(
図1A)を使用していくつかのMeV/LASVワクチン候補を生成した。本発明者らはまた、Z、GPC及びエキソヌクレアーゼドメイン内に変異がある又はないNPを発現する構築物を作製した。GPC及びNP遺伝子は、追加転写ユニット2(ATU2)のMeV PとM遺伝子の間にクローニングした。Z遺伝子はATU1のN遺伝子の上流にクローニングした(
図1B)。
【0121】
すべてのウイルスをレスキューし、他の構築物と比較して約1 log弱毒化されたMeV/LASV-Z+GPCを除き、Vero E6細胞でATU2からGFPを発現するコントロールMeV GFPと同様の力価に増殖させた(
図2)。異なるLASV抗原の発現は、LASV GPC、NP又はZに対する、又は麻疹融合タンパク質Fに対する特異的抗体を使用するウェスタンブロットによってコントロールした(
図3)。GPCの発現は、MeV-GPC
LASV、MeV-NP+GPC
LASV、MeV-NP
ExoN+GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASV感染Vero E6細胞で検出され; MeV-NP+GPC
LASV, MeV-NP
ExoN+GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASV感染Vero E6細胞におけるNPの発現;MeV-Z+GPC
LASV感染細胞におけるZのみの発現が検出された。MeV F発現は、全てのMeV感染細胞で検出された。予想通り、GPCも、Zと共にMeV-Z-GPC
LASV感染細胞の上清中で検出され、VLPの形態下でZと共にGPCの放出を支持した。全てのベクターは、LASV抗原発現の欠失なく、10回継代された。
【0122】
(実施例2)
ヒト初代抗原提示細胞におけるLASV抗原を発現するMeVウイルスの免疫原性
ヒト免疫細胞における異なるMeVベクターの免疫原性を特徴づけるため、本発明者らは単球由来マクロファージ及び樹状細胞を感染させた。
図4でGFPの発現によって示されるように、MeVはこれらの細胞に侵入し、複製する。しかしながら、感染力価が感染後1日目にわずかに検出可能であり、経時的に増加しなかったので、ウイルスはこれらの細胞で効果的に複製せず、先天的抗ウイルス応答の誘導によるようである。
【0123】
本発明者らは、活性化マーカーのフローサイトメトリー分析と1型IFN応答のqPCR分析の組合せによって異なる組換えウイルスに対するマクロファージ及び樹状細胞の免疫応答を分析した。本発明者らは、感染24時間後にqPCRにより異なるベクターによって誘導された1型IFN応答を分析した(
図5)。マクロファージでは、MeV-GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVは、コントロールMeV-GFPと同じレベルのIFNアルファ-1、アルファ-2及びベータを誘導した。しかしながら、LASV NPの追加はI型IFNの誘導をほぼ3 log低減するが(MeV-NP+GPC
LASV)、LASV NPのExoNドメインの変異(MeV-NP
ExoN +GPC
LASV)は、I型IFNの誘導をMEV-GFP及び-GPC
LASVに匹敵するレベルに回復した。この結果は、LASV NPがそのExoN活性により、おそらくMeV複製中に発現されたdsRNA分子を消化することによってI型IFNの誘導をコントロールできることを実証する(Son, 2015)。本発明者らは、次いで、マクロファージにおける感染48時間後の異なるベクターによる同時活性化分子の誘導を調べた(
図6)。重要なことに、同時活性化分子の細胞表面発現は、T細胞応答の活性化に不可欠である。
図6に示すように、全てのベクターは、CD80、CD86、及びCD83の強い細胞表面発現を誘導した。特に、他のベクターによって感染させたマクロファージでの発現と比較してMeV-NP+GPC
LASV感染マクロファージでは発現が低減するが、LASV NPのExoNドメインが変異した場合回復した。
【0124】
同様の実験を樹状細胞で実施した(
図7及び
図8)。マクロファージで観察されたように、MeV-GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVは、コントロールMeV-GFPと同じレベルのIFNアルファ-1、アルファ-2及びベータを誘導した(
図7)。LASV NPの追加は、I型IFNの誘導も低減するが、LASV NPのExoNドメインの変異は、I型IFNの誘導をMEV-GFP、MEV-Z+GPC
LASV及びMeV-GPC
LASVに匹敵するレベルに回復した。同時活性化分子CD80、CD86、CD83及びCD40の発現は、MEV-GFP、MEV-Z+GPC
LASV及びMeV-GPC
LASVによって感染させた樹状細胞においても同様に誘導された(
図8)。
【0125】
MeV-LASVのワクチン株は、I型IFN応答及び同時活性化分子の細胞表面発現を誘導する;野生型NPの存在は、これらの効果を誘導するワクチンの能力を強く低減するが、ExoNドメイン内の変異はこれらの効果を誘導するワクチンの能力を回復する。
【0126】
(実施例3)
カニクイザルにおける2つのワクチンの安全性、免疫原性、及び有効性
ヒトマクロファージで得られた結果に基づき、本発明者らは、LASV病原性を研究するためのゴールドスタンダードモデル、カニクイザルで2つのワクチン候補を試験することを決めた。3匹のコントロール動物は、2.10
6 TCID50の組換えMeV株Schwarzワクチンによって皮下に免疫され、4匹の動物の2つの群は、それぞれ2.10
6 TCID50のMeV-NP
ExoN+GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVによって皮下に免疫した。次いで、動物の健康を、免疫後37日間追跡し(体温、体重、呼吸数)、有害事象は記録されなかった。明らかに、腹腔内の装置のおかげで継続的にモニターされた動物の体温は、免疫によって変更されなかった(
図9)。
【0127】
本発明者らは、免疫後2週間の間2~3日毎に、次いで週に1回免疫した動物のウイルス血症も評価し、血漿でもPBMC中でも、ウイルスRNAのいずれの痕跡も検出できなかった。同様に、本発明者らは、ワクチン接種した動物の鼻腔及び口腔分泌物中又は尿中にいずれのウイルスRNAも検出できなかった。したがって、ワクチン候補はサルにおいて安全であり、免疫後のいずれの瞬間でも排出しないようである。
【0128】
ベクターの免疫原性を評価するため、本発明者らはELISAを実施し、LASV特異的IgM及びIgGを検出した。本発明者らは、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物では、特異的IgM及びIgGは検出できず、本発明者らは、免疫後37日目に4匹のMeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物のうち3匹で低レベルのLASV特異的IgGのみ検出した。更に、1匹のMeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物は、プラーク減少中和試験(1:100力価)によって実証されたように中和抗体を有した。本発明者らは、また、GPC、NP又はZに特異的なオーバーラップペプチドによる全血の刺激後のフローサイトメトリーによってLASV特異的T細胞応答も評価した。MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物では、本発明者らは、免疫後7日目に開始し14日目までに減少するGPに対するCD4及びCD8 T細胞応答の両方を検出した(
図10A及び
図10C、オレンジの棒)。これらの動物では、本発明者らは、また免疫後10日目と21日目の間にNPに対するCD4及びCD8 T細胞応答の両方も検出した(
図10B及び
図10D、オレンジの棒)。MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物では、GPCに対するCD4 T細胞応答は、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物と比較して遅れ、免疫後10日目までに開始するが、摂取後21日目まで続く(
図10A、緑の棒)。GPC特異的CD8 T細胞応答は、免疫後7日目に低レベルで開始したが、21日目にピークに達した(
図10C、緑の棒)。CD4及びCD8 Z特異的T細胞応答の両方も、免疫後7日目に開始し、30日目まで検出され、21日目にピークに達した(
図10B及び10D、緑の棒)。重要なことに、LASV抗原に対するT細胞応答は、MeVワクチン接種コントロール動物において検出されなかった。従って、両方のワクチン候補が、LASV抗原特異的T細胞応答を誘導し、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVは、MeV-Z+GPC
LASVより早い応答を誘導する。
【0129】
(実施例4)
ワクチンの有効性
ワクチン候補の有効性を試験するため、免疫した動物は、致死量(1.500ffu、皮下)のLASV株Josiahにより免疫後37日目に負荷した。次いで、動物を最高30日間モニターし、それらの体温、体重、普通に食事及び水分補給する能力、挙動、臨床徴候に基づく臨床スコアに帰属させ、スコア15は屠殺のエンドポイントである。3匹のコントロール動物は、3日目から増加するスコアを有し、それぞれ負荷後12日目、14日目及び15日目に安楽死させなければならなかった(
図11A)
【0130】
反対に、全てのワクチン接種した動物は、LASV感染を生き延びたが、ワクチンによって臨床転帰は異なった。実際、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物は、主に体温の上昇により(
図12、中央グラフ)、5日目までに臨床スコアのわずかな増加を示した(最大スコア3、
図11B)。反対に、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物は、3日目と12日目の間に高熱等の重度な症状を経験したが(
図12参照、下のグラフ)、2匹の動物は12日目までに全体的に回復し、他の2匹の動物は食事及び水分補給の困難、疲労を示し、1匹の動物はバランス問題及び30日目までに体重の7.5%を超える減少を示し、スコア14に達した(
図11C)。
【0131】
本発明者らは、他のパラメーターの中でも肝臓酵素レベル(ALT及びAST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、C反応性タンパク質(CRP)及びアルブミン等、感染の経過にわたり、血漿中のいくつかの生物学的なパラメーターも追跡した。コントロール動物では、肝臓酵素のレベルは6日目に開始して動物の死まで継続的に増加した(
図13、左のパネル)。反対に、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物では、いずれの時点でも肝臓酵素レベルは正常のままであり(
図13、中央のパネル)、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物では6日目と15日目の間にわずかにのみ増加した(
図13、右のパネル)。
【0132】
LDHの血漿レベルは、組織損傷のマーカーである。コントロール動物では、負荷後6日目にLDHレベルが増加し始め、動物が死ぬまでであった(
図14A、左のパネル)。MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物では、感染の経過に渡り増加は見られなかった(
図14A、中央のパネル)。しかしながら、LDHレベルは、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物では6日目と15日目の間に上昇し、特に9日目にコントロール動物に類似のLDH値を有する2匹の動物は(
図14A、右のパネル)、これらの動物におけるいくらかの組織損傷を示している。CRP、炎症マーカーのレベルも死ぬまでにコントロール動物で急速に増加した(
図14B、左のパネル)。CRP値は、6日目までにCRPレベルの一過的な増加を示した1匹の動物を除きMeV-NP
ExoN+GPC
LASV群では低いままであった(
図14B、中央のパネル)。反対に、MeV-Z+GPC
LASV群からの全ての動物は3日目と15日目の間にCRPレベルが増加した(
図14B、右のパネル)。この群では、1匹の動物が15日目と30日目の間にCRP合成の第二波を示し、LASVウイルスがまだこの動物で複製していたことを示した(
図14B、右のパネル、明るい緑)。本発明者らは、免疫したサルで、アルブミン、腎臓及び肝臓機能不全のマーカーの血漿レベルも追跡した。コントロール動物では、アルブミンレベルは、3日目に開始して一定に減少したが(
図14C、左のパネル)、これらのレベルはMeV-NP
ExoN+GPC
LASV免疫した動物では一定なままであった(
図14C、中央のパネル)。MeV-Z+GPC
LASV群では、全ての動物が3日目と12日目の間にアルブミン血漿レベルの減少を経験したが、これらのレベルは結局15日目までに正常に戻った(
図14C、右のパネル)。
【0133】
負荷した動物でのウイルス血症も、qRT-PCRと力価測定の両方によって負荷後にモニターした。
図15Aに示すように、感染したコントロールの血液中のRNAレベルのレベルは、3日目から屠殺の日まで、容赦なく増加し、1匹の動物で15日目にmLあたり10
9RNAコピーでピークに達した(左のパネル)。感染力価もこれらの動物で検出した(
図15B、左のパネル)。MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物では、ウイルスRNAは負荷後6日目にのみ検出され、コントロール動物と比較して低レベルであり(
図15A、中央のパネル)、関連ウイルス血症は検出されなかった(
図15B、中央のパネル)。ウイルスRNAのレベルは、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物でより高く、6日目にmLあたりおよそ10
6RNAコピーでピークに達し、15日目まで減少した(
図15A、右のパネル)。明らかに、1匹の動物は、15日目までに血液中のRNAコピー数が回復し(
図15A、右のパネル、明るい緑)、同じ動物で観察されたCRPの回復と相関し得る(
図14B、右のパネル)。更に、感染力価は、6日目に全ての動物で、最高15日目に血液中の延長したRNAレベルを示す動物で検出した(
図15B、右のパネル)
【0134】
ウイルス血症に加えて、本発明者らは、負荷した動物の鼻腔スワブ及び口腔スワブ中のウイルスRNAの存在を評価した。
図16に示すように、ウイルスRNAのレベルは、コントロール動物の鼻腔及び口腔分泌物中で9日目にピークに達し(
図16A及び
図16B、左のパネル)、減少したが、死の時点でまだ検出可能であった。同様に、ウイルスRNAのレベルは、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物のこれらの分泌物中では9日目にピークに達し、1又は2匹の動物で15日目までに回復した(
図16A及び
図16B、右のパネル)。反対に、1匹の動物では3日目、別の動物では6日目の鼻腔スワブ中で、少量のLASV RNAのみが検出され (
図16A及び
図16B、中央のパネル)、感染ウイルスの存在と関係しなかった(データは示さない)。更に、本発明者らは、負荷した動物の尿中のウイルスRNAの排出を追跡した。LASV RNAレベルは、コントロール及びMeV-Z+GPC
LASV免疫した動物でのみ検出され、それぞれ負荷後9日目又は15日目に開始した(
図16C)。
【0135】
LASV RNAの量(
図17)、並びにLASV感染力価(
図18)は、MeV、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV、及びMeV-Z-GPC
LASVによって免疫した動物の剖検の時に回収された異なる臓器で分析した。全てのMeVコントロール動物は、膀胱を除く試験した各臓器において検出可能な量のLASV RNA及び高いウイルス力価を示し、単一の動物のみが検出可能な量のLASV RNAを提示した。最も高い感染力価は、脾臓、肝臓、及び肺で見出された。MeV-Z-GPC
LASVによって免疫した全ての動物では、検出可能な量のLASV RNAは、鼠経リンパ節、腸間膜リンパ節及び脾臓において見出され、検出可能な量のLASV RNAは全ての臓器で検出されるが、この群内の単一の動物では見出されなかった。2匹の動物は、鼠経リンパ節においてラッサウイルスの感染力価を示すが、1匹の動物は脾臓においてラッサウイルスの感染力価を示し、他の臓器は感染ウイルスが無かった。MeV-NP
ExoN-GPC
LASVによって免疫した動物の群では、検出可能な量のLASV RNAはリンパ器官で、及び1~3匹の動物の肺で見出されたが、RNAの存在は、感染性ラッサウイルスの存在と関連しなかった。
【0136】
(実施例5)
LASVに対する免疫応答
感染に対する免疫応答を決定するため、本発明者らはまず、LASVによる負荷後に産生されたLASV特異的免疫グロブリンのレベルを測定した。IgM応答は全ての動物で9日目に開始し、12日目にピークに達した(
図19A)。興味深いことに、IgMレベルは、コントロール群から、及びMeV-Z+GPC
LASV群からの動物で12日目により高く、IgM応答レベルは、保護と正に相関しないが、むしろウイルス負荷と相関する。IgG応答に関して、本発明者らは、9日目までに全てのMeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物におけるLASV-IgGの強い誘導に気づいたが、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物のIgG応答は、15日目に同様のレベルに達しただけであった(
図19B)。コントロール動物におけるLASV特異的IgGのレべルはいずれの時点でも非常に低いままであった。更に、血清中和力価が、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV、MeV-Z+GPC
LASV及びMeVによって免疫したサルの血漿中で、免疫後の異なる時点で決定された(結果はTable1(表1)に示す)。負荷の時点では(すなわち免疫後37日、Table1(表1)のJ0)、群あたり少なくとも1匹の動物が1/100eの中和力価を有した。負荷後15日目、及び剖検の日まで、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVによってワクチン接種された全ての動物は、1/100eと1/500eの間の中和抗体を有し、MeVによってワクチン接種した動物とは反対であった。MeV-Z+GPC
LASVによってワクチン接種したサルは、30日目に最も高い力価を有した。中和抗体はコントロール動物を除く全ての動物で検出された。
【0137】
【0138】
LASV抗原に特異的なCD8+及びCD4+ T細胞の誘導も、免疫後、全LASV、GP、NP、及びZタンパク質をカバーするオーバーラップペプチドに応答するIFNg、TNFa、及び/又はIL-2を産生するT細胞のパーセンテージを定量することによってモニターされた(
図20)。T細胞はZペプチドに応答できなかった(データは示さない)。GP及びNPペプチドに応答するサイトカイン産生T細胞の数は、ベースラインレベル(0日目)及びMeV-コントロール動物と比較して中程度にのみ増加し、TNFaはこの応答に関与する主なサイトカインであった。にもかかわらず、MeV-NP
ExoN-GPC
LASVによる免疫後だが、MeV-Z+GPC
LASVによる免疫後ではない、21日目にGP特異的サイトカイン産生CD8+及びCD4+ T細胞のパーセンテージの顕著ではない増加が観察された。更に、NP特異的サイトカイン産生CD4+及びCD8+ T細胞は、免疫した動物において14日後に現れ、22日後にまだ存在した。
【0139】
同様に、本発明者らは、オーバーラップペプチドを使用するT細胞活性化アッセイにおける負荷後にLASV GPC、NP、又はZに対するT細胞応答を追跡した。GPC及びNPに対するCD8及びCD4応答は、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVワクチン接種した動物において速く強力であり、9日目にピークに達し、次いでゆっくりと減少した(
図21、オレンジの棒)。GPCに対するCD8及びCD4応答は、MeV-Z+GPC
LASV免疫した動物において遅く、また弱く、12日目にピークに達した(
図21、緑の棒)。これらの動物は、LASV-Z特異的細胞応答を示さなかった。コントロール動物は、6日目と12日目の間にGPC及びNPに対して非常に弱く、一過的なCD8及びCD4応答のみ経験した(
図21、赤い棒)。
【0140】
CD8応答の強度は、Ki67染色によって評価されたようにこれらの細胞の増殖と相関し(
図22A)、コントロール動物及び15日目だけピークに達する軽度の増殖を示すMeV-Z-GPC
LASV免疫した動物と比較して、9日目までMeV-NP
ExoN+GPC
LASV免疫した動物におけるCD8 T細胞の強い増殖を示した(それぞれオレンジの棒を赤及び緑の棒と比較する)。この増殖は、MeV-NP
ExoN+GPC
LASV免疫した動物におけるグランザイムBの速く強力な発現、並びにコントロール動物及びMeV-Z+GPC
LASV免疫した動物における遅れた応答によって示されたように(
図22B及び
図22C、オレンジの棒と緑の棒を比較)、CD8及びCD4 T細胞応答の細胞傷害性表現型とも関連した。
【0141】
LASVによって負荷した動物におけるLASV GP-及びNP-特異的T細胞の誘導をモニターした。負荷後、LASV ZペプチドによるPBMCの刺激後に、サイトカインの産生は観察されなかった(データは示さない)。負荷した動物においてサイトカインを産生するCD8+及びCD4+T細胞に関するデータは、それぞれ
図23及び
図24に示す。MeVによって免疫した動物では、著しい量の応答細胞は見出されなかった。MeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物におけるLASV GPCペプチドへの応答において、GPCペプチドに応答してサイトカインを産生するCD8+及びCD4+ T細胞のパーセンテージは、負荷後12日目にそれぞれ2%及び0.6%に登り、次いで22日目までに基底レベルに戻った。T細胞の主な部分はIFNgのみを産生するが、少なくとも2つのサイトカインを産生する多機能CD8+及びCD4+ T細胞(Pf-T)の割合は、12日目から30日目に増加した。CD4+ T細胞群内で、IFNg産生細胞のパーセンテージは負荷後30日目まで減少したが、Pf-Tでは反対が観察され、59%に増加した。MeV-Z+GPC
LASVによって免疫した動物では、中程度の数のサイトカイン産生CD4+及びCD8+ T細胞が、それぞれ15日目と12日目から観察された。ほとんどのT細胞はIFNgのみを産生し、Pf-Tの比はCD8+ T細胞ではおよそ20%のままであるが、CD4+ T細胞では40%まで上昇した。負荷後30日目に、全ての免疫した動物では、T細胞の目立つ部分はTNFaのみを産生した。
【0142】
LASV NPペプチドに対する応答において、MeVによって免疫した動物からの微量のサイトカイン産生T細胞は、負荷後15日目にのみ検出された。MeV-Z+GPCLASVによって免疫した動物からの応答T細胞は、負荷後6日目には検出され、12日目にピーク応答に達した。T細胞の表現型は6日後様々であるが、9日目には主にTNFa分泌T細胞が存在した。12日目に、IFNg産生T細胞が優勢であったが、Pf-T割合は30日目まで増加した。
【0143】
MeV-NP
ExoN+GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVによって免疫したサルのPBMCの総細胞RNA含量も、免疫後異なる時点で抽出し、RNAseqを実施し、異なる時点でのPBMCにおける遺伝子の異なる発現を分析した。それらの遺伝子と関連する経路を同定するため、差次的に発現される遺伝子の濃縮分析はClusterProfiler(KEGG analysis)を使用して実施した。MeV-NP
ExoN+GPC
LASV及びMeV-Z+GPC
LASVによる免疫後の時間を通して差次的に調節される経路は、それぞれ
図25及び
図26に示す。MeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物では、免疫応答に関与する経路は、免疫後第1週目に活性化される(D2対D0、D4対D0、及びD7対D0)。造血細胞系列及びホスホリパーゼD経路の活性化は、食作用機能(FCガンマR媒介食作用)及びケモカインシグナル伝達と関連して最初の4日間免疫細胞の強い増殖を示す。7日目までのTh1、Th2、及びTh17の応答の増加は、T細胞増殖を示す。免疫後第2週目の間、免疫応答の調整に関与する経路、特にユビキチン媒介タンパク質分解、NF-κBシグナル伝達、及びIL-17シグナル伝達経路が活性化される。MeV-Z+GPC
LASVによる免疫は、免疫後4日目のTh1、Th2、及びTh17の弱く、一過的な活性化、及びMeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物で観察された結果と比較して、NF-κB及びIL-17シグナル伝達経路の遅い活性化(14日目)により、弱い免疫応答を誘導するようである。これらを合わせると、異なる経路の活性化は、免疫に対する活性及び有効な細胞応答を支持する。
【0144】
免疫後及びLASV負荷後の動物の血漿中への可溶性メディエーターの放出が観察された。Luminexアッセイを使用して定量した29個の分析物の中では、免疫後の動物間で、可溶性メディエーターのレベルの差は見出されなかった(データは示さない)。負荷した動物では(
図27)、IFNgの一過的な放出は、それぞれ免疫した動物及びMeV-コントロールで、感染後6日目及び9日目にピークに達するレベルで全ての動物の血漿中で検出された。にもかかわらず、より低濃度が、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫したサルの血漿中で観察された。パーフォリンの濃度は、全ての動物で9日目又は12日目まで上昇し、次いで22日目まで低レベルに減少した。もう一度、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫したサルで観察されたレベルは低かった。可溶性CD137(sCD137)レベルの上昇は、MeV及びMeV-Z+GPC
LASVによって免疫したサルで、感染後9日目に観察されたが、中程度の濃度のsCD137のみがMeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物で観察された。IL-6は、MeV及びMeV-Z+GPC
LASVによってワクチン接種した動物で、6日目までに全ての動物の血漿中に見られ、9日目にまだ存在したが、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物の血漿中に検出されなかった。IL-6レベルは、MeV-動物の血漿中で依然として上昇したが、MeV-Z+GPC
LASVによって免疫した動物の血漿では増加は中程度であった。上昇した量のIL-8は、6日目からMeV及びMeV-Z+GPC
LASVによって免疫した動物の血漿中で観察されたが、低濃度のみがMeV-NP
ExoN+GPC
LASVサルで、9日目と12日目の間に検出された。IL-18は、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVサルの血漿中で検出されなかったが、高レベル及び低レベルが、それぞれMeV及びMeV-Z+GPC
LASVによって免疫した動物で検出された。MCP1は、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVサルで規定レベルのままである。反対に、高濃度が、それぞれ6日目及び9日目から開始して、MeV及びMeV-Z+GPC
LASV動物で見出された。IL-10及びIL-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)のレベルは、MeV-Z+GPC
LASVサルで9日目まで増加し、次いで減少し、22日目に低レベルに達した。IL-10及びIL-1RAレベルはMeV動物で依然として上昇したが、6日後に検出された少量を除き、IL-10及びIL-1RAはMeV-NP
ExoN+GPC
LASVによって免疫した動物の血漿中に放出されなかった。
【0145】
(実施例6)
MeVに対する免疫応答
MeV特異的免疫グロブリンに対して産生されたMeV特異的免疫グロブリンのレベルも、ELISAにより負荷後に評価した(
図28A:IgM及び
図28B:IgG)。IgM及びIgG MeV特異的は、全ての動物で産生される(MeV群、MeV-NP
ExoN+GPC
LASV群; MeV-Z+GPC
LASV群)。同様のMeV特異的IgM及びIgG応答は、MeV-NP
ExoN-GPC
LASV、MeV-Z+GPC
LASV、及びMeVワクチンによって誘導され(
図28)、MeV-NP
ExoN+GPC
LASV又はMeV-Z+GPC
LASVによって免疫した動物は、LASV(
図15参照)及びMeV(
図28)に対してワクチン接種した(
図28)
【0146】
(実施例7)
MeV-LASVのワクチン株の向性
MeV-LASVの向性を分析した。ラッサウイルスは、受容体としてα-デヒドロゲナーゼ(α-DG)を使用する。MeVのワクチン株は、受容体としてCD46、SLAM、及びネクチン-4を使用する。MeVベクターへのラッサ抗原の導入がMeVのワクチン株の向性に影響を持つか否かを分析するために、モペイアウイルスをコントロールとして使用した。モペイアウイルスは、ラッサウイルスに近いアレナウイルスであり、同じ受容体を使用する。ラッサウイルスGPCによりシュードタイプ化したモペイアウイルスは、
図30に示すように、α-DGを発現するCHO-K1細胞内、並びにα-DG及びヒトCD46を発現するCHO-hCD46細胞内で複製し、抗GP1による染色は両細胞系で陽性である。反対に、MeV-NP
ExoN+GPC
LASVはCHO-K1細胞内で複製できないが、CHO-hCD46細胞系で複製する(
図30、下の写真)。したがって、MeVベクターへのラッサ抗原の導入は、MeVの向性を拡大しない。
【0147】
結論
結論として、MeV-NPExoN+GPCLASV及びMeV-Z+GPCLASVワクチンは、非ヒト霊長類で安全、免疫原性及び有効である。両方とも、単回免疫後のLASV株Josiahによる致死的な負荷に対してカニクイザルを保護した。しかしながら、MeV-NPExoN-GPCLASVは、全てのワクチン接種したサルにおいて強いT細胞応答及びほぼ殺菌免疫によって最良の保護を与えた。したがって、このベクターは、ヒトにおける臨床試験に進む選択の候補である。負荷前のこのベクターの免疫原性はプライム/ブースト戦略によって間違いなく改善され得る。にもかかわらず、本発明者らはここで、単回免疫が100%の負荷動物を保護し得る原理の証明を示す。更に、これらのベクターは、麻疹に対してサルを保護するはずであり、したがって、LASV及びMeVが重大な公衆衛生問題である流行国で二価のワクチンとして、緊急ワクチンに加えて使用され得る。
【0148】
配列番号1
配列番号1は、配列番号2のコドン最適化配列によってコードされるラッサウイルス株Josiahの組換えGPCタンパク質に相当する。
MGQIVTFFQEVPHVIEEVMNIVLIALSVLAVLKGLYNFATCGLVGLVTFLLLCGRSCTTSLYKGVYELQTLELNMETLNMTMPLSCTKNNSHHYIMVGNETGLELTLTNTSIINHKFCNLSDAHKKNLYDHALMSIISTFHLSIPNFNQYEAMSCDFNGGKISVQYNLSHSYAGDAANHCGTVANGVLQTFMRMAWGGSYIALDSGRGNWDCIMTSYQYLIIQNTTWEDHCQFSRPSPIGYLGLLSQRTRDIYISRRLLGTFTWTLSDSEGKDTPGGYCLTRWMLIEAELKCFGNTAVAKCNEKHDEEFCDMLRLFDFN
KQAIQRLKAEAQMSIQLINKAVNALINDQLIMKNHLRDIMGIPYCNYSKYWYLNHTTTGRTSLPKCWLVSNGSYLNETHFSDDIEQQADNMITEMLQKEYMERQGKTPLGLVDLFVFSTSFYLISIFLHLVKIPTHRHIVGKSCPKPHRLNHMGICSCGLYKQPGVPVKWKR*
【0149】
配列番号2
配列番号2は、配列番号1のGPCタンパク質をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列に相当する。
1 ATGGGCCAGA TTGTCACATT CTTTCAGGAA GTGCCACACG TCATTGAGGA GGTCATGAAC
61 ATCGTGCTGA TTGCTCTGTC AGTGCTGGCA GTGCTGAAAG GACTGTACAA CTTCGCTACC
121 TGTGGACTGG TGGGACTGGT CACATTCCTG CTGCTGTGCG GCAGAAGTTG CACTACCTCA
181 CTGTACAAAG GAGTGTACGA GCTGCAGACT CTGGAACTGA ACATGGAGAC ACTGAATATG
241 ACAATGCCTC TGAGCTGCAC CAAGAATAAT AGCCACCACT ATATCATGGT CGGGAACGAA
301 ACCGGCCTGG AACTGACCCT GACAAACACC AGCATCATTA ACCACAAGTT CTGCAATCTG
361 AGCGACGCTC ACAAGAAGAA CCTGTATGAC CACGCTCTGA TGTCCATCAT CAGTACCTTT
421 CACCTGTCCA TCCCCAATTT CAACCAGTAC GAGGCAATGT CATGCGACTT CAACGGGGGC
481 AAGATCAGTG TCCAGTACAA CCTGAGCCAC TCCTACGCCG GCGACGCAGC CAACCACTGC
541 GGAACTGTCG CCAATGGCGT GCTGCAGACA TTCATGAGGA TGGCATGGGG GGGATCTTAC
601 ATCGCACTGG ATAGCGGCAG GGGCAATTGG GATTGCATCA TGACTTCCTA TCAGTATCTG
661 ATTATCCAGA ATACTACATG GGAGGATCAT TGCCAGTTCA GTCGGCCCAG CCCTATTGGA
721 TATCTGGGGC TGCTGTCACA GAGAACACGG GATATCTATA TTTCAAGACG CCTGCTGGGC
781 ACATTCACTT GGACACTGTC AGACAGTGAG GGCAAGGATA CTCCAGGGGG CTACTGCCTG
841 ACACGATGGA TGCTGATCGA AGCAGAGCTG AAATGCTTCG GCAATACCGC AGTGGCCAAG
901 TGCAACGAGA AACACGACGA GGAGTTCTGC GACATGCTGA GGCTGTTCGA CTTCAACAAA
961 CAGGCTATCC AGAGACTGAA GGCAGAAGCC CAGATGTCAA TCCAGCTGAT CAACAAGGCA
1021 GTGAACGCCC TGATCAACGA CCAGCTGATC ATGAAGAACC ACCTGAGAGA CATTATGGGC
1081 ATCCCCTACT GTAATTACAG CAAGTATTGG TACCTGAACC ACACTACAAC CGGGAGAACA
1141 TCCCTGCCCA AGTGCTGGCT GGTCAGCAAT GGGAGTTATC TGAATGAAAC CCATTTCAGC
1201 GACGATATCG AACAGCAGGC TGACAACATG ATCACAGAGA TGCTGCAGAA AGAGTACATG
1261 GAAAGACAGG GCAAGACACC ACTGGGACTG GTCGATCTGT TCGTCTTCTC CACTAGCTTC
1321 TATCTGATTT CCATCTTCCT GCACCTGGTG AAGATCCCCA CTCATAGGCA CATTGTCGGC
1381 AAGAGTTGCC CTAAACCCCA TAGGCTGAAT CACATGGGGA TTTGTAGTTG CGGCCTGTAT
1441 AAGCAGCCTG GCGTGCCTGT GAAATGGAAG AGATGA
【0150】
配列番号3
配列番号3は、配列番号4のコドン最適化配列によってコードされるラッサウイルス株Josiahの組換えNPタンパク質に相当する。
MSASKEIKSFLWTQSLRRELSGYCSNIKLQVVKDAQALLHGLDFSEVSNVQRLMRKERRDDNDLKRLRDLNQAVNNLVELKSTQQKSILRVGTLTSDDLLILAADLEKLKSKVIRTERPLSAGVYMGNLSSQQLDQRRALLNMIGMSGGNQGARAGRDGVVRVWDVKNAELLNNQFGTMPSLTLACLTKQGQVDLNDAVQALTDLGLIYTAKYPNTSDLDRLTQSHPILNMIDTKKSSLNISGYNFSLGAAVKAGACMLDGGNMLETIKVSPQTMDGILKSILKVKKALGMFISDTPGERNPYENILYKICLSGDGWPYIASRTSITGRAWENTVVDLESDGKPQKADSNNSSKSLQSAGFTAGLTYSQLMTLKDAMLQLDPNAKTWMDIEGRPEDPVEIALYQPSSGCYIHFFREPTDLKQFKQDAKYSHGIDVTDLFATQPGLTSAVIDALPRNMVITCQGSDDIRKLLESQGRKDIKLIDIALSKTDSRKYENAVWDQYKDLCHMHTGVVVEKKKRGGKEEITPHCALMDCIMFDAAVSGGLNTSVLRAVLPRDMVFRTSTPRVVL*
【0151】
配列番号4
配列番号4は、配列番号3のNPタンパク質をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列に相当する。
1 ATGAGTGCCA GCAAAGAAAT CAAGAGCTTC CTGTGGACCC AGAGTCTGCG GAGGGAACTG
61 AGCGGATACT GTAGCAACAT CAAACTGCAG GTGGTCAAGG ACGCTCAGGC ACTGCTGCAT
121 GGGCTGGACT TCTCCGAGGT GTCTAATGTG CAGCGGCTGA TGCGGAAAGA ACGGAGGGAC
181 GATAATGACC TGAAGCGACT GCGCGACCTG AACCAGGCAG TGAACAATCT GGTCGAGCTG
241 AAGAGCACCC AGCAGAAATC AATCCTGCGG GTCGGGACAC TGACATCTGA CGACCTGCTG
301 ATCCTGGCTG CAGACCTGGA GAAGCTGAAA TCGAAAGTGA TCCGCACCGA AAGGCCACTG
361 TCCGCCGGGG TCTACATGGG CAATCTGTCT TCCCAGCAGC TGGACCAGAG GCGGGCTCTG
421 CTGAACATGA TTGGGATGTC CGGAGGAAAT CAGGGAGCTA GAGCCGGGAG GGACGGAGTC
481 GTGCGGGTCT GGGACGTGAA GAATGCCGAA CTGCTGAACA ACCAGTTCGG GACCATGCCA
541 AGTCTGACAC TGGCATGCCT GACTAAACAG GGCCAGGTGG ATCTGAATGA TGCAGTCCAG
601 GCTCTGACCG ACCTGGGCCT GATCTACACC GCCAAGTACC CCAATACTAG CGACCTGGAT
661 AGACTGACCC AGAGCCACCC CATCCTGAAC ATGATCGACA CTAAGAAGTC CTCACTGAAC
721 ATCAGTGGCT ATAATTTCTC CCTGGGGGCA GCAGTCAAGG CTGGCGCATG CATGCTGGAC
781 GGCGGGAATA TGCTGGAAAC CATCAAAGTG TCTCCCCAGA CCATGGATGG CATCCTGAAA
841 TCTATTCTGA AAGTCAAGAA GGCCCTGGGA ATGTTTATTT CAGACACCCC CGGCGAGAGG
901 AATCCATATG AGAACATTCT GTATAAGATT TGCCTGAGTG GCGACGGGTG GCCATACATT
961 GCAAGCCGGA CATCAATTAC CGGAAGAGCT TGGGAGAATA CAGTCGTGGA CCTGGAAAGC
1021 GACGGCAAGC CCCAGAAGGC CGACTCAAAC AACTCCTCAA AGAGTCTGCA GTCAGCTGGC
1081 TTCACAGCAG GGCTGACTTA CTCCCAGCTG ATGACACTGA AGGACGCAAT GCTGCAGCTG
1141 GACCCAAACG CTAAGACATG GATGGACATC GAGGGACGGC CAGAAGATCC AGTGGAAATC
1201 GCACTGTATC AGCCATCATC CGGATGCTAT ATCCATTTCT TCCGGGAACC AACTGATCTG
1261 AAGCAGTTCA AGCAGGATGC AAAGTACTCC CACGGAATCG ATGTCACCGA TCTGTTCGCA
1321 ACCCAGCCAG GACTGACATC AGCCGTCATC GATGCCCTGC CTAGGAACAT GGTCATTACT
1381 TGCCAGGGCT CCGACGATAT TAGGAAGCTG CTGGAGAGCC AGGGACGGAA GGATATCAAA
1441 CTGATCGATA TTGCCCTGTC TAAGACTGAT AGCCGGAAAT ATGAGAATGC AGTCTGGGAT
1501 CAGTACAAGG ACCTGTGCCA TATGCATACC GGAGTGGTCG TCGAGAAGAA GAAGAGGGGC
1561 GGAAAGGAAG AGATCACACC CCACTGTGCC CTGATGGATT GCATCATGTT CGACGCAGCC
1621 GTGTCCGGGG GCCTGAACAC CTCAGTCCTG AGGGCTGTCC TGCCAAGAGA TATGGTGTTT
1681 AGAACTTCAA CCCCAAGAGT CGTCCTGTAA
【0152】
配列番号5
配列番号5は、配列番号6のコドン最適化配列によってコードされるラッサウイルス株Josiahの組換え変異NPタンパク質に相当し、ここでNPタンパク質のエキソヌクレアーゼ活性はノックダウンされる。アミノ酸388及びアミノ酸391は変異される(M388D及びE391G)。
MSASKEIKSFLWTQSLRRELSGYCSNIKLQVVKDAQALLHGLDFSEVSNVQRLMRKERRDDNDLKRLRDLNQAVNNLVELKSTQQKSILRVGTLTSDDLLILAADLEKLKSKVIRTERPLSAGVYMGNLSSQQLDQRRALLNMIGMSGGNQGARAGRDGVVRVWDVKNAELLNNQFGTMPSLTLACLTKQGQVDLNDAVQALTDLGLIYTAKYPNTSDLDRLTQSHPILNMIDTKKSSLNISGYNFSLGAAVKAGACMLDGGNMLETIKVSPQTMDGILKSILKVKKALGMFISDTPGERNPYENILYKICLSGDGWPYIASRTSITGRAWENTVVDLESDGKPQKADSNNSSKSLQSAGFTAGLTYSQLMTLKDAMLQLDPNAKTWMAIEARPEDPVEIALYQPSSGCYIHFFREPTDLKQFKQDAKYSHGIDVTDLFATQPGLTSAVIDALPRNMVITCQGSDDIRKLLESQGRKDIKLIDIALSKTDSRKYENAVWDQYKDLCHMHTGVVVEKKKRGGKEEITPHCALMDCIMFDAAVSGGLNTSVLRAVLPRDMVFRTSTPRVVL*
【0153】
配列番号6
配列番号6は、配列番号5の変異NPタンパク質をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列に相当する。ヌクレオチド1166、1175及び1176は変異された(C1166A、C1175G、及びC1176A)。
1 ATGAGTGCCA GCAAAGAAAT CAAGAGCTTC CTGTGGACCC AGAGTCTGCG GAGGGAACTG
61 AGCGGATACT GTAGCAACAT CAAACTGCAG GTGGTCAAGG ACGCTCAGGC ACTGCTGCAT
121 GGGCTGGACT TCTCCGAGGT GTCTAATGTG CAGCGGCTGA TGCGGAAAGA ACGGAGGGAC
181 GATAATGACC TGAAGCGACT GCGCGACCTG AACCAGGCAG TGAACAATCT GGTCGAGCTG
241 AAGAGCACCC AGCAGAAATC AATCCTGCGG GTCGGGACAC TGACATCTGA CGACCTGCTG
301 ATCCTGGCTG CAGACCTGGA GAAGCTGAAA TCGAAAGTGA TCCGCACCGA AAGGCCACTG
361 TCCGCCGGGG TCTACATGGG CAATCTGTCT TCCCAGCAGC TGGACCAGAG GCGGGCTCTG
421 CTGAACATGA TTGGGATGTC CGGAGGAAAT CAGGGAGCTA GAGCCGGGAG GGACGGAGTC
481 GTGCGGGTCT GGGACGTGAA GAATGCCGAA CTGCTGAACA ACCAGTTCGG GACCATGCCA
541 AGTCTGACAC TGGCATGCCT GACTAAACAG GGCCAGGTGG ATCTGAATGA TGCAGTCCAG
601 GCTCTGACCG ACCTGGGCCT GATCTACACC GCCAAGTACC CCAATACTAG CGACCTGGAT
661 AGACTGACCC AGAGCCACCC CATCCTGAAC ATGATCGACA CTAAGAAGTC CTCACTGAAC
721 ATCAGTGGCT ATAATTTCTC CCTGGGGGCA GCAGTCAAGG CTGGCGCATG CATGCTGGAC
781 GGCGGGAATA TGCTGGAAAC CATCAAAGTG TCTCCCCAGA CCATGGATGG CATCCTGAAA
841 TCTATTCTGA AAGTCAAGAA GGCCCTGGGA ATGTTTATTT CAGACACCCC CGGCGAGAGG
901 AATCCATATG AGAACATTCT GTATAAGATT TGCCTGAGTG GCGACGGGTG GCCATACATT
961 GCAAGCCGGA CATCAATTAC CGGAAGAGCT TGGGAGAATA CAGTCGTGGA CCTGGAAAGC
1021 GACGGCAAGC CCCAGAAGGC CGACTCAAAC AACTCCTCAA AGAGTCTGCA GTCAGCTGGC
1081 TTCACAGCAG GGCTGACTTA CTCCCAGCTG ATGACACTGA AGGACGCAAT GCTGCAGCTG
1141 GACCCAAACG CTAAGACATG GATGGCCATC GAGGCCCGGC CAGAAGATCC AGTGGAAATC
1201 GCACTGTATC AGCCATCATC CGGATGCTAT ATCCATTTCT TCCGGGAACC AACTGATCTG
1261 AAGCAGTTCA AGCAGGATGC AAAGTACTCC CACGGAATCG ATGTCACCGA TCTGTTCGCA
1321 ACCCAGCCAG GACTGACATC AGCCGTCATC GATGCCCTGC CTAGGAACAT GGTCATTACT
1381 TGCCAGGGCT CCGACGATAT TAGGAAGCTG CTGGAGAGCC AGGGACGGAA GGATATCAAA
1441 CTGATCGATA TTGCCCTGTC TAAGACTGAT AGCCGGAAAT ATGAGAATGC AGTCTGGGAT
1501 CAGTACAAGG ACCTGTGCCA TATGCATACC GGAGTGGTCG TCGAGAAGAA GAAGAGGGGC
1561 GGAAAGGAAG AGATCACACC CCACTGTGCC CTGATGGATT GCATCATGTT CGACGCAGCC
1621 GTGTCCGGGG GCCTGAACAC CTCAGTCCTG AGGGCTGTCC TGCCAAGAGA TATGGTGTTT
1681 AGAACTTCAA CCCCAAGAGT CGTCCTGTAA
【0154】
配列番号7
配列番号7は、配列番号8のコドン最適化配列によってコードされるラッサウイルス株Josiahの組換えZタンパク質に相当する。
MGNKQAKAPESKDSPRASLIPDATHLGPQFCKSCWFENKGLVECNNHYLCLNCLTLLLSVSNRCPICKMPLPTKLRPSAAPTAPPTGAADSIRPPPYSP*
【0155】
配列番号8
配列番号8は、配列番号7のZタンパク質をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列に相当する。
1 ATGGGCAATA AGCAGGCAAA GGCACCCGAA AGCAAGGATT CACCTAGAGC ATCACTGATT
61 CCCGACGCAA CTCATCTGGG GCCACAGTTC TGCAAATCCT GTTGGTTCGA GAACAAAGGC
121 CTGGTGGAGT GCAATAACCA CTACCTGTGC CTGAACTGTC TGACACTGCT GCTGAGTGTG
181 AGCAACAGAT GCCCAATCTG CAAGATGCCT CTGCCAACAA AGCTGAGGCC TTCTGCTGCA
241 CCCACCGCAC CACCAACTGG AGCCGCAGAC AGCATTAGAC CCCCCCCATA CTCACCATAA
【0156】