(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090608
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08B 15/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
C08B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206590
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592029256
【氏名又は名称】福井県
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 啓仁
(72)【発明者】
【氏名】中屋 亮二
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090AA04
4C090BA24
4C090BC01
4C090BD19
4C090CA04
4C090CA06
4C090CA11
4C090DA26
4C090DA28
(57)【要約】
【課題】 製造コストを低廉に抑えることができ、更に合成樹脂の添加剤として使用した際に樹脂中における繊維の分散性に優れたセルロースナノファイバーの製造方法を提供すること。
【解決手段】 第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維を加え、それらの混合物をそのまま或いはアルコールを添加して加熱することで繊維をナノオーダーのサイズに解繊処理する方法を採用することにより解繊処理にかかる時間を短縮した。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維を加え、それらの混合物をそのまま或いはアルコールを添加して加熱することで繊維をナノオーダーのサイズに解繊処理する、セルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項2】
前記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩が、アミンとハロゲン化物を加熱により化学反応させて得られたアンモニウム塩である、請求項1記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項3】
前記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩が、ピリジンとベンジルクロライドを加熱により化学反応させて得られた1-ベンジルピリジニウムクロライドである、請求項2記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項4】
前記アミンとベンジルハライドを125℃以上の温度で加熱して化学反応させる、請求項2記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項5】
前記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩と、綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維との混合物を、120℃~160℃の温度で5分~60分加熱して解繊処理する、請求項1記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項6】
前記解繊処理を行った後、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に溶解し、かつ、解繊繊維を溶解しない溶剤を加えることで解繊繊維を分離回収する、請求項1記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項7】
前記溶剤としてアルコール系溶剤を使用する、請求項6記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルロースナノファイバー(CNF)は、植物繊維をナノオーダーまで解繊したものであり、軽量、高強度、高弾性率、低線膨張率などの機械特性、吸着性、ガスバリア性、保水性、撥水性、生分解性などの化学/生物特性、透明性、紫外吸収性、寸法安定性(低線膨張率性)、高熱伝導性/電気絶縁性などの光学特性や熱特性、電気特性を有していることから、合成樹脂の物性を向上させたり機能を付加できる添加剤として注目されている。
【0003】
また上記セルロースナノファイバーの解繊処理に関しては、大きく分けて機械的(物理的)処理(例えば、特許文献1~3参照)と、化学的処理(例えば、特許文献4参照)の2種類に分けられるが、石臼型や超高圧水衝突式の機械的処理に関しては、解繊処理されたセルロースナノファイバーの品質に限界があり、セルロース繊維を数十nm程度に解繊した時点で透明性が失われ白濁してしまう問題がある。
【0004】
一方、TEMPO酸化法などの化学反応を利用した化学的処理については、セルロース繊維を3nm程度に細かく解繊することができ、透明なセルロースナノファイバーが得られるものの、化学的処理に使用する薬剤のコストや反応時間の長さによって処理コストが嵩み、解繊処理したセルロースナノファイバーが高価になる問題がある。
【0005】
またセルロース繊維は親水性であるため、上記セルロースナノファイバーを粉体のまま合成樹脂と混錬しても繊維が分散し難く品質が安定しない問題がある。同様に多くのセルロースナノファイバーは水分散液として提供されているが、水分散液は輸送コストが嵩むだけでなく水分散液中のセルロースナノファイバーは樹脂となじみ難いため、樹脂と混錬した際の分散性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-1728号公報
【特許文献2】特開2019-48924号公報
【特許文献3】特開2020-79420号公報
【特許文献4】特開2021-175799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約すると製造コストを低廉に抑えることができ、更に合成樹脂の添加剤として使用した際に樹脂中における繊維の分散性に優れたセルロースナノファイバーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決する手段として、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維を加え、それらの混合物をそのまま或いはアルコールを添加して加熱することで繊維をナノオーダーのサイズに解繊処理する方法を採用した(効果は後述する)。
【0009】
なお本明細書中の「セルロースナノファイバー(CNF)」とは、セルロースミクロフィブリル(シングルナノファイバー)単独、または縦に引き裂かれたもの、もつれたもの、または網目状の構造を持つそれらの集合体からなり、ナノオーダーサイズとは、繊維径100nm~100nm・アスペクト比10以上、長さ100nm~100μmまでのものをいい、好ましくは1μm以下のものをいう)。
【0010】
上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩としては、アミンとハロゲン化物を加熱により化学反応させて得られたアンモニウム塩を好適に使用できる。
【0011】
その中でも上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩としては、ピリジンとベンジルクロライドを加熱により化学反応させて得られた1-ベンジルピリジニウムクロライドを好適に使用できる。
【0012】
上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩の原料としてアミンとベンジルハライドを使用する場合には125℃以上の温度で加熱して化学反応させるのが好ましい。
【0013】
また上記解繊処理においては、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩と、綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維との混合物を、120℃~160℃の温度で5分~60分加熱して解繊処理するのが好ましい。
【0014】
更に上記解繊処理を行った後、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に溶解し、かつ、解繊繊維を溶解しない溶剤を加えることで解繊繊維を分離回収するのが好ましい。
【0015】
上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に溶解し、かつ、解繊繊維を溶解しない溶剤としてはアルコール系溶剤を好適に使用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維を加え、それらの混合物をそのまま或いはアルコールを添加して加熱することで繊維を効率良く短時間でナノオーダーのサイズに解繊処理することができるため、セルロースナノファイバーの製造コストを低廉に抑えることができる。
【0017】
また本発明の製造方法では、セルロースナノファイバーを非水系の溶媒中に分散させて使用することにより、合成樹脂の添加剤として用いた際の樹脂中における繊維の分散性を改善させることができる。またセルロースナノファイバーを機能性材料として添加することによって合成樹脂の物性の向上や機能付加を行うこともできる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「セルロースナノファイバーの製造方法」
[1]基本工程
本発明の実施形態について以下に説明する。まず基本的な製造工程としては、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維を加え、これをそのまま或いはアルコールを添加して加熱することによって化学的に解繊処理を行う。これにより綿繊維をナノオーダー(繊維径:3nm~100nm・アスペクト比:10以上、繊維長:100μm未満)のサイズに解繊処理できる。更に解繊処理を行った後、アンモニウム塩に溶解し、かつ、解繊繊維を溶解しない溶剤を加えることで解繊繊維をセルロースナノファイバーとして分離回収できる。なお解繊時の加熱処理は、第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に繊維を加えて低温から加熱する方法を採用することもできるが、所定温度まで加熱した第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩に繊維を加える方が解繊処理速度の点で好ましい。
【0019】
上記の製法により短時間でセルロースナノファイバーの解繊処理を行えるため、製造効率の向上によって製造コストの低減を図ることができる。また上記セルロースナノファイバーは、非水系のイオン液体や溶媒を用いた化学処理によって解繊処理されるため、樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂など熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂など)となじみが良く、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂と混練して成形した際に樹脂中におけるナノファイバーの分散性が良好となる。
【0020】
[2]綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維
上記綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維としては、木綿やコットンリンター、コットンリンターを原料とするキュプラ等を使用することができる。また上記セルロースナノファイバーの主原料は、綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維であるが、綿繊維以外の植物繊維が原料に含まれていてもよく、廃棄された衣服やタオルなどの綿製品を原料として使用することもできる。
【0021】
[3]第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩
上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩の原料としては、アミンとハロゲン化物を使用でき、アミンとしては、特許第6295495号や特開2015-20954号の実施形態に示される下記の[化1]~[化4]で示される化合物、ハロゲン化物としては下記の[化5]で示されるベンジルハライドを好適に使用できる。例えば、その中でも、ピリジンとベンジルクロライドを加熱により化学反応させて得られた1-ベンジルピリジニウムクロライドの使用が好ましい。その他、アンモニウム塩の原料には、[化6]~[化15]で示される骨格をもったものを適宜選択して、或いは組み合わせて使用できる。アンモニウム塩におけるアミンとハロゲン化物の比率としては、特に限定されないがモル比で1~650:1(好ましくは1:1)の範囲で調製するのが好ましい。
【化1】
(式中、R1は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化2】
【化3】
(式中、R2、R3、R4は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化4】
【化5】
(式中、Xは独立にハロゲンを意味する。)
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化8】
(式中、R1、R2、R3は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化9】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化10】
(式中、R1、R2、R3、R4は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化11】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化12】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化13】
(式中、R1、R2、R4は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化14】
(式中、R1、R2、R3は独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【化15】
(式中、Rは独立に水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、芳香族を意味する。)
【0022】
なお上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩としては、ベンジルクロライドと4-ジメチルアミノピリジンを加熱反応させて得られる1-ベンジル-4-(ジメチルアミノ)ピリジニウムクロライドや、ベンジルクロライドとトリエチルアミンを加熱反応させて得られるN,N,N-トリエチルベンゼンアミニウムクロライド、ベンジルクロライドとピロリジンを加熱反応させて得られる1-ベンジルピロリジンハイドロクロライド、ベンジルクロライドとイミダゾールを加熱反応させて得られる1-ベンジルイミダゾリウムクロライドなどを使用することもできる。
【0023】
上記アンモニウム塩を合成する際には、溶媒を使用せずに合成を行うこともできるが、非水系のアルコールやエーテル、アセトニトリルなどを溶媒として使用することもできる。上記アンモニウム塩を合成する際の加熱に関しては、アミンの種類によって異なるが、反応温度を高くすれば反応時間を短くすることができる。ピリジンとベンジルクロライドの場合には、120℃~150℃(好ましくは125℃以上)の温度で1分~10分加熱して反応させるのが好ましい。
【0024】
[4]解繊工程における加熱処理
上記第四級アンモニウム塩を含むアンモニウム塩と、綿繊維または綿繊維を原料とする化学繊維との混合物の加熱処理に関しては、120℃~160℃の温度で5分~60分(好ましくは5分~40分)加熱して解繊処理を行うのが好ましい。アンモニウム塩や綿繊維の種類によって加熱温度や反応時間は異なるが1-ベンジルピリジニウムクロライドと綿繊維を使用する場合には30分程度の加熱で解繊処理を行うことができる。
【0025】
[5]セルロースナノファイバーの分離回収
上記アンモニウム塩に溶解し、かつ、解繊繊維を溶解しない溶剤としては、特に限定されないがアンモニウム塩に1-ベンジルピリジニウムクロライドを使用する場合には、溶剤にアルコール系溶剤(より好ましくはメタノール)の使用が好ましく、解繊繊維を含有するアンモニウム塩にメタノールを加えることでセルロースナノファイバーを析出させ、ろ過により回収することができる。
【0026】
[6]セルロースナノファイバーの用途
上記セルロースナノファイバーの用途としては、高強度、高弾性率、軽量性、寸法安定性(低線膨張率性)、チキソ性、増粘制御性、吸着性、ガスバリア性、保温、保水性、保湿性、撥水性、細孔制御性、生分解性、表面積増大、低熱膨張率、網目状構造、透明性、紫外吸収性、、高熱伝導性/電気絶縁性などの特性を利用したものに好適に使用できる。具体的には、スラリー状にしたセルロースナノファイバーは、チキソ性や保湿性を活かしてボールペンや化粧品などに好適に利用できる。またシート状にしたセルロースナノファイバーは、高強度を活かして卓球ラケットやスピーカーに好適に利用できる。またセルロースナノファイバーを合成樹脂(例えばPPやPE等)と混錬して樹脂の弾性率を向上させることにより自動車部品などに好適に利用できる。またセルロースナノファイバーの整泡作用を利用してシューズのソール等の発泡体としても好適に利用できる。
【実施例0027】
[効果の実証試験]
【0028】
「実施例1」
乾燥重量2gのコットン板紙を、加熱した135℃の1-ベンジルピリジニウムクロリド170mLに入れ、加熱を続けながらマグネティックスターラーバーを用いて攪拌、解繊を促した。加熱中、5分毎に前記コットン板紙を加えた1-ベンジルピリジニウムクロリドの一部を抽出してプレパラートを作成し光学顕微鏡で観察した結果、25分後、光学顕微鏡で繊維が視認できない状態となり解繊処理を終了した。
【0029】
「実施例2」
乾燥重量2.9gのキュプラ繊維を、加熱した135℃の1-ベンジルピリジニウムクロリド170mLに入れ、加熱を続けながらマグネティックスターラーバーを用いて攪拌、解繊を促した。加熱中、5分毎に前記キュプラ繊維を加えた1-ベンジルピリジニウムクロリドの一部を抽出してプレパラートを作成し光学顕微鏡で観察した結果、5分後、光学顕微鏡で繊維が視認できない状態となり解繊処理を終了した。
【0030】
「比較例1」
乾燥重量2gの木材パルプ(LBKP)板紙を、加熱した135℃の1-ベンジルピリジニウムクロリド170mLに入れ、加熱を続けながらマグネティックスターラーバーを用いて攪拌、解繊を促した。加熱中、5分毎に前記木材パルプ板紙を加えた1-ベンジルピリジニウムクロリドの一部を抽出してプレパラートを作成し光学顕微鏡で観察した結果、60分後、光学顕微鏡で繊維が視認できない状態となり解繊処理を終了した。
【0031】
「効果の検証結果」
木材パルプ板紙を原料とした比較例1では解繊処理が完了するまで60分かかったが、コットン板紙を使用した実施例1及び2は25分、5分の短時間で解繊処理を完了することができ、解繊処理の時間短縮効果を確認できた。