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特開2024-90610電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両
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  • 特開-電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090610
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/00 20060101AFI20240627BHJP
   B60R 25/102 20130101ALI20240627BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20240627BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20240627BHJP
【FI】
B62H5/00 Z
B60R25/102
B62J43/13
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206594
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛
(57)【要約】
【課題】電動アシスト自転車のバッテリの盗難防止に有効な車両用バッテリの認証方法を提供する。
【解決手段】電動車両用バッテリと、電動車両用バッテリを制御するために電動車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置における電動車両用バッテリの認証方法であって、電動車両用バッテリのバッテリ情報を管理サーバに送信するバッテリ情報送信工程1と、コントローラのコントローラ情報を前記管理サーバに送信するコントローラ情報送信工程2と、管理サーバが受信したバッテリ情報が、管理サーバに登録されていない場合、電動車両用バッテリとコントローラとをペアリング相手として管理サーバに登録し、それぞれにペアリング相手を認識させるペアリング工程3と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリを制御するために電動車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置における電動車両用バッテリの認証方法であって、
前記電動車両用バッテリのバッテリ情報を管理サーバに送信するバッテリ情報送信工程と、
前記コントローラのコントローラ情報を前記管理サーバに送信するコントローラ情報送信工程と、
前記管理サーバが受信した前記バッテリ情報が、前記管理サーバに登録されていない場合、前記電動車両用バッテリと前記コントローラとをペアリング相手として前記管理サーバに登録し、前記電動車両用バッテリおよび前記コントローラのうちいずれか一方に、他方をペアリング相手として認識させる、または前記電動車両用バッテリおよび前記コントローラの両方に、それぞれペアリング相手として認識させるペアリング工程と、
を有することを特徴とする電動車両用バッテリの認証方法。
【請求項2】
さらに、前記電動車両の使用者が、前記管理サーバにユーザ情報を送信し、前記管理サーバに前記ユーザ情報を登録するユーザ情報登録工程を含む請求項1記載の電動車両用バッテリの認証方法。
【請求項3】
電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリを制御するために電動車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置を備えた電動車両であって、請求項1または2記載の電動車両用バッテリの認証方法が実施可能であることを特徴とする電動車両。
【請求項4】
電動車両が電動アシスト自転車である請求項3記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両に関し、詳しくは、特に、電動アシスト自転車のバッテリの盗難防止に有効な電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車は、通常、バッテリと、このバッテリの動作を制御するためのコントローラと、を車体に搭載している。このコントローラはバッテリと電気的に接続可能とされている。そして、バッテリは1日から1週間程度の利用ごとに充電する必要があるため、バッテリは、電動アシスト自転車との脱着や運搬が容易に行えるように設計されている。しかしながら、このような設計の結果、電動アシスト自転車のバッテリは、盗難に遭うリスクがある。
【0003】
バッテリの盗難対策としては、物理的な鍵を使ってバッテリを車体に固定する方法が考えられるが、鍵が破壊されてバッテリが盗難されるという被害も報告されている。このような中、特許文献1では、バッテリが、使用開始時に搭載されたフレーム装置(コントローラ)の認証情報を記憶して、その認証情報を保持しているフレーム装置以外には電力を供給しない構成を提案している。これにより、例えばバッテリが盗難に遭った場合でも、バッテリ装置は、最初に搭載されたフレーム装置以外の他のフレーム装置では使用できなくなるので、安全性の高い盗難防止機能を発揮することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-250552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されているバッテリ装置では、バッテリは、フレーム装置との1回目の接続により、認証情報を記憶してしまうため、新たに購入した予備のバッテリの使用や、別の電動アシスト自転車へのバッテリの転用、複数の電動アシスト自転車間でのバッテリの共用について詳細な検討がなされていない。そのため、バッテリの盗難を防止しつつ、予備のバッテリの使用やバッテリの転用、共用にも応用が利く、新たなバッテリの認証方法を確立する必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解消した、特に、電動アシスト自転車のバッテリの盗難防止に有効な電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、電動車両用バッテリとコントローラとを管理サーバを介してペアリングすることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の電動車両用バッテリの認証方法は、電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリを制御するために電動車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置における電動車両用バッテリの認証方法であって、
前記電動車両用バッテリのバッテリ情報を管理サーバに送信するバッテリ情報送信工程と、
前記コントローラのコントローラ情報を前記管理サーバに送信するコントローラ情報送信工程と、
前記管理サーバが受信した前記バッテリ情報が、前記管理サーバに登録されていない場合、前記電動車両用バッテリと前記コントローラとをペアリング相手として前記管理サーバに登録し、前記電動車両用バッテリおよび前記コントローラのうちいずれか一方に、他方をペアリング相手として認識させる、または前記電動車両用バッテリおよび前記コントローラの両方に、それぞれペアリング相手として認識させるペアリング工程と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の電動車両用バッテリの認証方法は、さらに、前記電動車両の使用者が、前記管理サーバにユーザ情報を送信し、前記管理サーバに前記ユーザ情報を登録するユーザ情報登録工程を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の電動車両は、電動車両用バッテリと、前記電動車両用バッテリを制御するために電動車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置を備えた電動車両であって、本発明の電動車両用バッテリの認証方法が実施可能であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の電動車両としては、特に、電動アシスト自転車が好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバッテリの認証方法によれば、電動車両、特に、電動アシスト自転車のバッテリの盗難防止に有効な電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両を提供することができる。本発明の電動車両用バッテリの認証方法は、予備のバッテリを使用する場合、異なる電動車両へバッテリを転用する場合、さらには複数の電動車両でバッテリを共用する場合であっても、優れた盗難防止効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のバッテリの認証方法の概念を示す説明図である。
図2】本発明のバッテリの認証方法を用いてバッテリを起動させるまでのフロー図である。
図3】本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の一例を示した説明図である。
図4】本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の他の例を示す説明図である。
図5】本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の別の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の電動車両用バッテリの認証方法、およびこれを用いた電動車両について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の電動車両用バッテリの認証方法(以下、単に「バッテリの認証方法」とも称す)は、電動アシスト自転車に好適に適用できるバッテリの認証方法である。本発明のバッテリの認証方法では、電動車両に電力を供給する電動車両用バッテリ(以下、それぞれ単に「車両」および「バッテリ」とも称す)と、バッテリを制御するために車両に搭載するコントローラと、を有する電動車両用バッテリ装置(以下、それぞれ単に「バッテリ装置」とも称す)を用いる。
【0015】
図1に、本発明のバッテリの認証方法の概念を示す説明図を示す。本発明のバッテリの認証方法では、バッテリとコントローラとを、バッテリ装置や電動車両の製造者等が管理する管理サーバを介してペアリングを行う。この際、ペアリングの条件を、バッテリ情報が重複しないこととする。このように、管理サーバを介してペアリングを行うことで、バッテリ装置の正規の使用者によって、バッテリとコントローラ(車体)とがペアリングされていれば、例え、バッテリが盗難に遭い、窃盗者がこのバッテリと自己のコントローラ(車両)とをペアリングしようとしても、管理サーバで拒絶されることになり、窃盗者によるバッテリの不正使用を防止することができる。その結果、窃盗者の窃盗意欲を失わせてバッテリの盗難を間接的に防止することができる。
【0016】
図2は、本発明のバッテリの認証方法を用いてバッテリを起動させるまでのフロー図である。図2に示すように、本発明のバッテリの認証方法では、電動車両用バッテリのバッテリ情報を管理サーバに送信するバッテリ情報送信工程1と、コントローラのコントローラ情報を管理サーバに送信するコントローラ情報送信工程2と、管理サーバが受信したバッテリ情報が、すでに管理サーバに登録されていない場合、それぞれをペアリング相手として管理サーバに登録し、電動車両用バッテリとコントローラとにペアリング相手を認識させるペアリング工程3と、を有する。
【0017】
図3は、本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の一例を示した説明図である。図3では、使用者Aが所有するバッテリAとコントローラAとを、バッテリ情報送信工程1と、コントローラ情報送信工程2と、ペアリング工程3と、を経てペアリングが完了した状態であり、また、使用者Bが所有するバッテリBとコントローラBとを、バッテリ情報送信工程1と、コントローラ情報送信工程2と、ペアリング工程3と、を経てペアリングが完了した状態である。図3に示すように、コントローラAは、ペアリング相手であるバッテリAが搭載された場合にバッテリAの起動を許可する。同様に、コントローラBは、ペアリング相手であるバッテリBが搭載された場合にバッテリBの起動を許可する。しかしながら、コントローラBは、ペアリング相手ではないバッテリAを搭載しても、バッテリAは起動しない。そして、バッテリAはコントローラAとすでにペアリングがなされているため、バッテリAのバッテリ情報Aは管理サーバに登録されており、バッテリAはコントローラBとペアリングすることもできない。すなわち、使用者Bは、バッテリAを利用することができない。以下、本発明のバッテリの認証方法の各工程を詳細に説明する。
【0018】
(バッテリ情報送信工程)
バッテリ情報送信工程1は、車両のバッテリ装置に使用するバッテリのバッテリ情報を管理サーバに送信する工程である。本発明のバッテリの認証方法においては、バッテリ情報としては、バッテリのシリアル番号やMACアドレス等を例として挙げることができるが、本発明のバッテリの認証方法においては、使用するバッテリを特定できる情報であれば特に制限はない。
【0019】
バッテリ情報を管理サーバに送信する方法としては、例えば、バッテリに赤外線通信やブルートゥース(登録商標)通信等が可能な近距離通信ユニットを設け、かつ、バッテリ装置の使用者が所持する情報端末に、この近距離通信ユニットと連携可能なアプリケーションをインストールし、このアプリケーションを操作してバッテリ情報をインターネットに代表される通信回線を介して、管理サーバに送信することが一例として挙げられる。情報端末としては、例えば、スマートフォン、タブレットおよびウェアラブル端末(例えば、腕時計状の端末)等を挙げることができるが、本発明のバッテリの認証方法においては、上記機能を奏するものであれば、これらに限られるものではない。なお、バッテリ情報送信工程1の例として、情報端末を介してバッテリ情報を間接的に管理サーバに送信する例を挙げたが、バッテリ情報を、バッテリが通信回線を通じて直接管理サーバに送信する態様であってもよい。
【0020】
なお、本発明のバッテリの認証方法においては、バッテリ情報を管理サーバに送信する際に使用する通信回線は、無線通信でも有線通信でもよく、無線通信と有線通信とが混在した通信、すなわち、ある区間では無線通信が行われ、他の区間では有線通信が行われるようなものであってもよい。
【0021】
(コントローラ情報送信工程)
コントローラ情報送信工程2は、バッテリを搭載するコントローラのコントローラ情報を管理サーバに送信する工程である。本発明のバッテリの認証方法においては、コントローラ情報としては、使用するコントローラのシリアル番号やMACアドレス等を例として挙げることができるが、本発明のバッテリの認証方法においては、使用するコントローラを特定できる情報であれば特に制限はない。
【0022】
コントローラ情報を管理サーバに送信する方法としては、バッテリ情報登録工程1と同様に、コントローラに赤外線通信やブルートゥース(登録商標)通信等が可能な近距離通信ユニットを設け、かつ、バッテリ装置の使用者が所持する情報端末に、この近距離通信ユニットと連携可能なアプリケーションをインストールし、このアプリケーションを操作して、コントローラ情報をインターネットに代表される通信回線を介して、管理サーバに送信することが一例として挙げられる。情報端末についても、バッテリ情報登録工程1と同様に、スマートフォン、タブレットおよびウェアラブル端末等を挙げることができるが、本発明のバッテリの認証方法においては、これらに限られるものではない。なお、コントローラ情報送信工程2の例として、情報端末を介してコントローラ情報を間接的に管理サーバに送信する例を挙げたが、バッテリ情報送信工程1と同様に、コントローラ情報送信工程2においても、コントローラ情報を、コントローラが通信回線を通じて直接管理サーバに送信してもよい。また、バッテリ情報登録工程1と同様に、コントローラ情報を管理サーバに送信する際に使用する通信回線は、無線通信でも有線通信でもよく、無線通信と有線通信とが混在した通信、すなわち、ある区間では無線通信が行われ、他の区間では有線通信が行われるようなものであってもよい。なお、近距離通信ユニットを用いず、情報端末にインストールしたアプリケーションに、使用者がバッテリ情報とコントローラ情報とを入力して、これを管理サーバに送信してもよい。
【0023】
本発明のバッテリの認証方法においては、バッテリをコントローラに接続した状態でバッテリ情報送信工程1とコントローラ情報送信工程2とを同時に行ってもよい。バッテリ情報送信工程1とコントローラ情報送信工程2とを同時に行うには、例えば、バッテリをコントローラに接続し、バッテリ情報をコントローラに送信し、コントローラがバッテリ情報とコントローラ情報とを管理サーバに同時に送信する構成が挙げられる。この場合、バッテリ情報は直接コントローラに送信されるため、バッテリには近距離通信ユニットを設ける必要はない。
【0024】
(ペアリング工程)
ペアリング工程3では、まず、管理サーバが受信したバッテリ情報が、すでに管理サーバに登録されたバッテリ情報と重複しない場合、受信したバッテリ情報とコントローラ情報とをもとに、それぞれがペアリング相手として管理サーバに登録される。受信したバッテリ情報と同一のバッテリ情報が、すでに管理サーバに登録されている場合、第3者によるバッテリの不正な使用が考えられる。すなわち、このバッテリは盗難被害に遭った可能性が高いことがわかる。この場合、管理サーバの管理者は、正規の使用者に対して、バッテリが盗難被害に遭った可能性があることを連絡することができる。
【0025】
また、ペアリング工程3は、電動車両用バッテリとコントローラとにペアリング相手を認識させる工程を含む。ペアリング工程3では、バッテリおよびコントローラのいずれか一方が、他方をペアリング相手として認識すればよいが、バッテリとコントローラとの両方が、それぞれをペアリング相手として認識してもよい。この際、管理サーバからバッテリやコントローラにペアリングが完了した情報(ペアリング情報)を送信する必要があるが、この際の送信手段についても特に限定はない。例えば、管理サーバは、ペアリング情報をインターネット等の通信回線を介して使用者の有する情報端末に送信し、さらに、この情報端末から、バッテリおよびコントローラにペアリング完了の情報を送信することで行うことができる。情報端末からバッテリおよびコントローラへペアリング情報を送信する場合にも、上述の近距離通信ユニットを用いて行うことができるが、これに限られるものではない。
【0026】
(バッテリの起動)
コントローラは、ペアリング相手であるバッテリが搭載された場合、バッテリの起動を許可する。すなわち、コントローラが、搭載されたバッテリをペアリング相手であると認識した場合、バッテリからの電力の供給が行われ、コントローラが、搭載されたバッテリをペアリング相手ではないと認識した場合、バッテリからの電力の供給は行われないことになる。または、バッテリが、コントローラをペアリング相手であると認識した場合、バッテリは電力の供給を許可し、バッテリが、コントローラをペアリング相手ではないと認識した場合、バッテリは電力の供給を行わないことになる。
【0027】
本発明のバッテリの認証方法は、バッテリ情報送信工程1からペアリング工程3までの全ての工程を電動車両の使用者が行ってもよいが、これらの工程をバッテリ装置や電動車両のメーカーまたは販売者(販売店)が行ってもよい。すなわち、バッテリ情報送信工程1からペアリング工程3までの工程が、バッテリ装置や電動車両のメーカーによりなされた状態で出荷、販売され、使用者は購入した電動車両を使用するだけでよく、使用者は、本発明のバッテリの認証方法を意識しなくても電動車両の使用が可能である。
【0028】
本発明のバッテリの認証方法においては、1つのコントローラに対して複数のバッテリをペアリングしてもよい。すなわち、使用者が所有するコントローラ(車両)と新たなバッテリとをペアリングすれば、1つのコントローラ(車両)に複数のバッテリが使用できることになる。例えば、新たに購入したバッテリを予備バッテリとして使用する場合等が想定できる。図4は、本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の他の例を示す説明図である。
【0029】
図4は、使用者Aは、バッテリAとコントローラAとがペアリングしたバッテリ装置を所有しており、新たにバッテリA2を購入した場合の一例である。この場合、新たなバッテリA2は管理サーバにバッテリ情報が登録されていないので、使用者Aは、バッテリA2とコントローラAとを本発明のバッテリの認証方法に従ってペアリングすることができ、コントローラAは、バッテリAに加えてバッテリA2も起動できるようになる。そして、新たなバッテリA2についても、本発明のバッテリの認証方法が採用されているため、盗難抑制効果を発揮することになる。
【0030】
また、本発明のバッテリの認証方法は、一度ペアリングが完了したバッテリとコントローラとのペアリングを解除して、このバッテリを、他のコントローラとペアリングする際に利用してもよい。例えば、使用者がコントローラ(車両)を変更する場合や、他の使用者からバッテリを譲り受けた場合が想定できる。この場合、以前のペアリングを解除し、このバッテリと新たなコントローラとのペアリングを行うことにより、1つのバッテリを新たな車両に転用することが可能となる。なお、このペアリングの解除は、例えば、バッテリ情報送信工程1やコントローラ情報送信工程2と同様に、情報端末にインストールしたアプリケーションを操作し、インターネット等の情報回線を介して行う構成とすることができる。
【0031】
(ユーザ情報登録工程)
上述のとおり、本発明のバッテリの認証方法でペアリングが完了したバッテリとコントローラは、これらの組み合わせでしか使用することができない。例えば、正規の使用者によってバッテリとコントローラがペアリングされて、この内容が管理サーバに登録されていれば、バッテリが盗難被害に遭っても、窃盗者は、このバッテリと自己が所有するコントローラ(車両)とをペアリングすることができないため、使用することができない。しかしながら、その反面、使用者が1つのバッテリを2以上のコントローラ(車両)で使用する場合等は、そのたびにペアリングを解除しなくてならないという煩わしさが生じることになる。そこで、本発明のバッテリの認証方法においては、図2に示すように、電動車両の使用者が、管理サーバにユーザ情報を送信し、管理サーバにユーザ情報を登録するユーザ情報登録工程4を有することが好ましい。
【0032】
図5は、本発明の電動車両用バッテリの認証方法を利用したバッテリ装置の使用の別の他の例を示す説明図であり、ユーザ情報を用いて、1つのバッテリを複数のコントローラとペアリングを行う場合の例である。図5では、使用者Aは、バッテリAとコントローラAとがペアリングしたバッテリ装置を所有しており、新たにコントローラA2を搭載した車両を購入した場合の一例である。本来であれば、バッテリAはコントローラAとペアリングされているので、コントローラA2はバッテリAとペアリングを行うことができない。しかしながら、本発明のバッテリの認証方法では、1つのバッテリが、同一のユーザ情報を有するコントローラであれば、複数であっても登録可能な構成としてもよい。
【0033】
例えば、図示するように、コントローラAもコントローラA2も同一のユーザ情報Aを管理サーバに登録しておき、同一のユーザ情報Aを有するコントローラである場合は例外的にペアリングを許可するという構成とすることができる。このように、ユーザ情報をバッテリとコントローラのペアリングの際に登録しておけば、使用者が所有するバッテリと追加購入した新たなコントローラとの組み合わせであっても、これらのペアリングを可能となる構成とすることができ、上述のわずらわしさを回避し、1つのバッテリを複数の車両で共用できることになる。
【0034】
本発明のバッテリの認証方法は、電動アシスト自転車におけるバッテリ装置に好適に採用することができるが、本発明のバッテリの認証方法の利用は、これに限られるものではない、例えば、自転車であれば、電装品に電力を供給するバッテリ装置にも利用することができる。電装品としては、競技用自転車であれば、変速装置、サスペンション、表示装置等の電気的に制御可能な電装品や、これらの制御装置等を挙げることができる。これら以外の電装品としては、照明機器、バックモニター、サイクルコンピュータ、ナビゲーション、方向指示器等を挙げることができる。また、本発明のバッテリの認証方法は、自転車以外にも電動ユニット付きキックボード(登録商標)、セグウェイ(登録商標)、電動ユニット付きスケートボード等にも適用することができる。また、本発明のバッテリの認証方法は、バッテリとコントローラとの認証方法であるが、電装品同士の認証にも利用することができる。例えば、無線で操作できる変速装置の操作レバーと変速機との認証等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 バッテリ情報登録工程
2 コントローラ情報登録工程
3 ペアリング工程
4 ユーザ情報登録工程
図1
図2
図3
図4
図5