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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090612
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】バイス装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 1/24 20060101AFI20240627BHJP
   B25B 1/10 20060101ALI20240627BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20240627BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
B25B1/24 Z
B25B1/10 Z
F16B2/12 B
B23Q17/00 B
B23Q17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206598
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】599059760
【氏名又は名称】協威機械工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 逸博
【テーマコード(参考)】
3C020
3C029
3J022
【Fターム(参考)】
3C020BB03
3C020CC06
3C029EE06
3C029FF00
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB24
3J022GA06
3J022GA12
3J022GB32
(57)【要約】
【課題】クランプ力のデジタル表示メカニズムを有するバイス装置を提供する。
【解決手段】バイス装置は、螺杆支持座にセンサ素子と数字表示装置とが設けられ、操作者がハンドルを回転する動作を持続的に行うことを通じて、ワークを可動ジョーで挟み付けた時に、螺杆に対して反作用力を生じさせ、その反作用力が螺杆を経由してバイスの後端の螺杆支持座に伝達されてから、センサ素子によって螺杆支持座の変形量または変位量を感知することで信号を生成すると共に、数字表示装置にフィードバックすることにより、処理演算後に、数字表示装置に挟持力の数値を表示させる構成である。これにより、クランプ力を精密に表示すること、バイス装置によるワークの強固な挟持を確保すること、及びクランプ力の過大または過小を防止することなどの目的を達成し得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイスと、センサ素子と、数字表示装置とを備えるクランプ力のデジタル表示メカニズムを有するバイス装置であって、
前記バイスは、バイス本体と、前記バイス本体上に設置されてワークを挟持するための両クランプジョーと、前記バイス本体の後端に結合される螺杆支持座と、前記螺杆支持座に回転可能に貫設される螺杆とを有し、前記螺杆の回転時に、少なくとも1つの前記クランプジョーが前記バイス本体上に移動するように駆動され、
前記バイスの前記螺杆支持座に設置される前記センサ素子は、前記螺杆によって前記クランプジョーを駆動して前記ワークを挟み付けた時に、前記螺杆からの反作用力を前記螺杆支持座に伝達し戻すことにより発生する変形量または変位量を感知するために用いられると共に、連続的に検知を行い、及び信号を生成し、
前記センサ素子に信号線を介して接続される前記数字表示装置は、前記センサ素子の信号を連続的に受信するために用いられると共に、前記信号の処理演算を経由した後に、前記バイスの検出した挟持力の数値を表示させることを特徴とする、バイス装置。
【請求項2】
前記センサ素子は、圧力を検知する圧力センサであることを特徴とする、請求項1に記載のバイス装置。
【請求項3】
前記数字表示装置は、制御ユニットと、前記制御ユニットに接続される表示ユニットと、前記制御ユニットに接続される給電ユニットと、前記制御ユニットに接続される制御インターフェースとを含むことを特徴とする、請求項2に記載のバイス装置。
【請求項4】
前記数字表示装置は、前記バイス本体または前記螺杆支持座に固定されるハウジングを有し、及び前記制御ユニット、前記表示ユニット、前記給電ユニット及び前記制御インターフェースは、前記ハウジング内に設置されることを特徴とする、請求項3に記載のバイス装置。
【請求項5】
前記表示ユニットは、LCD表示器、LED表示器またはOLED表示器であることを特徴とする、請求項4に記載のバイス装置。
【請求項6】
前記数字表示装置の前記ハウジングは、防水防塵ハウジングであることを特徴とする、請求項4に記載のバイス装置。
【請求項7】
前記給電ユニットは、電池を有することを特徴とする、請求項5に記載のバイス装置。
【請求項8】
前記給電ユニットは、外部電源と接続するための電源コネクタを有することを特徴とする、請求項5に記載のバイス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイスの技術分野に係り、特に、即時感知可能、さらにバイスの挟持力の数値を表示可能なクランプ力のデジタル表示メカニズムを有するバイス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバイス構造及び操作方法は、図1に示すように、ワーク200をバイス100のバイス本体101上の口開き範囲内に置くと共に、操作者がバイス100の後端のハンドル102を回動する時に、螺杆103が回転するように同期連動させることが可能となり、螺杆103を介してナット座104及び可動ジョー105がワーク200の方向に向かって移動するように駆動される。可動ジョー105と固定ジョー106の挟持面とが当接することでワーク200を挟み付けた時に、操作者が再びそのハンドル102を継続的に回転すると、螺杆103の後端に連結される増圧機構107を起動することができ、増圧機構107としては、一般的に、油圧増圧機構、機械による倍力増圧機構、空圧増圧機構やスクリュー増圧機構、またはその他の構造などの形式の機構などであってもよく、螺杆103を継続的に押動すると、可動ジョー105は、固定ジョー106の方向に向けて増圧されてワークを挟持する作用を生じさせることができる。
【0003】
以下に記された従来のバイス技術の文献を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2771803号明細書
【特許文献2】米国特許第9095958(B2)号明細書
【特許文献3】米国特許第6773003(B2)号明細書
【特許文献4】米国特許第6053490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のバイス100のワーク200に対する挟持力が十分であるか否かは、一般的に、操作者よりその実務経験に基づくか、あるいはハンドル102を回転する時の手触りに頼るといったことにより挟持力の大小を判断する。しかしながら、バイス100のワーク200に対する挟持力の大小は、加工切削量、刃具送り速度、ワークの構造強度及び材質などの要因に応じて決定する必要があり、単に実務経験や手触りに頼って挟持力の大小の判断を操作するので、人為的ミスまたは誤判断が不可避的に発生し、経験と手触りは、個人的主観的かつ抽象的な感覚である上、さらに人によって異なるものである。このため、バイスの挟み付け力の度合いの大小が不適当な場合が発生し易く、その後の加工過程においてワークの振動、偏位や緩み脱落などの状況が発生する可能性がある、また、バイスの挟持力が大き過ぎると、ワーク200に弾性変形の発生を招くことになり、ワーク200が加工を経てから、バイス上から卸された時に、その弾性変形の状態から原状に復帰した後に、寸法誤差及び形状誤差などの加工誤差が直接発生してしまい、ワークの品質に影響を与える。
それ故、如何にして従来のバイスの操作時に挟持力の大小を知ることができない欠点を改善するかが、本発明の積極的に克服すべき課題となっている。
【0006】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は、バイスに設置されるセンサ素子及び数字表示装置を通じて、バイスでワークを挟み付ける挟持力の数値を即時感知、表示することができ操作者がバイスの挟持力の数値の大小を即時目視確認できることから、挟持力を精密な数値で表示すること、バイスによるワークの強固な挟持を確保すること、及びクランプ力の過大または過小を防止することなどの効果を達成することができる、クランプ力のデジタル表示メカニズムを有するバイス装置を提供することにある。これは従来のバイスの挟持力を表示できない欠点を改善する。
【0007】
本発明の副次的な目的は、数字表示装置の設計を通じて、それを従来のバイスの螺杆支持座に取り付けることが可能となり、より容易に観察可能な位置にバイスの挟持力の数値を表示させ、さらに従来のバイスに取り付けて応用することができる、バイス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のバイス装置において、その好適な技術方案は、バイスと、センサ素子と、数字表示装置とを備え、バイスは、バイス本体と、前記バイス本体上に設置されてワークを挟持するための両クランプジョーと、前記バイス本体の後端に結合される螺杆支持座と、前記螺杆支持座に回転可能に貫設される螺杆とを有し、前記螺杆の回転時に、クランプジョーが前記バイス本体上に移動するように駆動され、センサ素子は、前記バイスの螺杆支持座に設置され、前記螺杆によって前記クランプジョーを駆動して前記ワークを挟み付けた時に、前記螺杆からの反作用力を前記螺杆支持座に伝達し戻すことにより発生する変形量または変位量を感知するために用いられると共に、連続的に検知を行い、及び信号を生成し、数字表示装置は、前記センサ素子に信号線を介して接続され、それは前記センサ素子の信号を連続的に受信するために用いられると共に、前記信号の処理演算を経由した後に、前記バイスの検出した挟持力の数値を表示させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバイス装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(一)バイスの挟持力の大小の数字の表示:本発明によれば、操作者がバイスを使用してワークを挟持するように提供される時に、センサ素子を通じて、螺杆によって両クランプジョーあるいはそのうちの1つのクランプジョーを駆動してワークを挟み付けた時に、螺杆からの反作用力を螺杆支持座に伝達し戻すことにより発生する変形量または変位量を感知することで、センサ素子に信号を生成させて数字表示装置にフィードバックする。また、数字表示装置の制御ユニットを通じて処理演算を行い、バイスの挟持力の数値の大小を得ることができると共に、LCD表示器、LED表示器、またはOLED表示器、あるいはその他の表示器から構成される表示ユニットを介して、バイスの当時の挟持力の数値を表示させる。
(二)数値をより容易に観察可能:本発明によれば、数字表示装置は、そのハウジングを介して螺杆支持座に結合される構造であることで、数字表示装置を操作者に近隣の位置及び方向に位置させ、操作者がバイスのハンドルを回転する時に、バイスの挟持力の大小の数値をより容易に同時観察することができる。
(三)従来のバイスに取り付けて応用可能:本発明によれば、独立した数字表示装置と、センサ素子とを従来のバイス上に取り付けることで、従来のバイスに挟持力の数字化表示機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来のバイス構造及び操作方法を示す側面断面図である。
図2】本発明のバイス装置の好適な実施例を示す斜視図である。
図3】本発明のバイス装置の好適な実施例を示す側面断面図である。
図4】本発明のバイス装置の好適な実施例を示す平面図である。
図5】本発明のバイス装置の好適な実施例を示す背面図である。
図6】本発明のバイス装置の数字表示装置の各ユニットを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態によるバイス装置を図面に基づいて説明する。
図2図6に示すように、本発明のバイス装置において、その好適な具体的実施例は、バイス10と、センサ素子20と、数字表示装置30とを備える。
【0012】
その内、バイス10の好適な実施例の一つは、バイス本体11と、ナット座12と、螺杆支持座13と、螺杆14と、両クランプジョー15、16とを有する。バイス本体11の上端には、前後両端に平行に延設される両スライドレール111を有し、両スライドレール111の間には、前後両端に延伸する収容溝112が形成されている。ナット座12は、バイス本体11の収容溝112中に設置されることで、ナット座12を、収容溝112中にクランプジョー16が前後に移動するように連動させることが可能となる。螺杆支持座13は、ネジ締結構造を介してバイス本体11の後端に結合され、螺杆14を支持して回転させる支点として作用する。螺杆14は、螺杆支持座13に貫設されることで、螺杆14の前端の杆身をナット座12に螺合させ、そして螺杆14の後端は、螺杆支持座13の後面から突出し、螺杆14の回転時に、ナット座12が前後に移動するように連動可能に構成してなる。
【0013】
両クランプジョー15、16のうちの1つのクランプジョー15は、バイス本体11の前端の両スライドレール111上に固定結合されて固定ジョーとして作動し、他の1つのクランプジョー16は、ナット座12上にネジにより締められることを通じて可動ジョーとして作動する。さらに、バイス10には、増圧装置17を有するように実施してもよく、増圧装置17としては、従来の物品であり、油圧増圧機構、機械による倍力増圧機構、空圧増圧機構やスクリュー増圧機構、またはその他の構造などの形式の機構などであってもよく、増圧装置17を螺杆14の後端に結合し、操作者がハンドル18を増圧装置17の後端に結合するための工具孔は、増圧装置17と螺杆14とを同期回転させるために用いられることで、螺杆14の回転時に、そのうちの1つのクランプジョー16がバイス本体11上に移動するように駆動され、これにより両クランプジョー15、16の間の開き代は、ワークを挟持可能な程度とされる。
【0014】
センサ素子20は、バイス10の螺杆支持座13に設置され、具体的には、圧力センサ、電磁誘導式センサ及び静電容量式センサのうちのいずれか1つであってもよく、螺杆14によってクランプジョー16を駆動してワークを挟み付けた時に、螺杆14から螺杆支持座13に伝達し戻す反作用力を感知するために用いられ、これによりセンサ素子20に信号を生成させる。そして、数字表示装置30は、信号線40を介してセンサ素子20に接続され、センサ素子20の信号を受信するために用いられると共に、信号の処理演算を経由した後に、バイス10の検出した挟持力の数値を表示させる。
【0015】
再び図4及び図6を参照すると、上記の数字表示装置30の好適な実施例は、ハウジング31と、ハウジング31内に設置される制御ユニット32、表示ユニット33、給電ユニット34及び制御インターフェース35とを含む。ハウジング31は、バイス本体11の後端に固定されるか、あるいは螺杆支持座13に固定されることで(図4を参照)、操作者に好適な観察効果を与える。制御ユニット32は、信号の処理演算を行うための核心の構成とされ、主に電気回路基板と、プロセッサ(IC)とを有する。表示ユニット33は、LCD表示器、LED表示器及びOLED表示器のうちのいずれか1つ、あるいはその他の表示器であり、バイス10の挟持力の数値を表示させるために用いられる。給電ユニット34は、電池と、外部電源と接続するための電源コネクタとを有し、センサ素子20及び数字表示装置30に所要の電力を供給する。そして、制御インターフェース35は、キーボードインタフェースやタッチパネルインターフェースであってもよく、本発明のバイスの数字表示装置30の開・起動、閉・停止及び設定の操作のために提供され、例えば、圧力表示の数値を切り替えることなどが挙げられる。
【0016】
本発明のバイス装置の使用時に、バイス10に設置されるセンサ素子20及び数字表示装置30を通じて、操作者がバイス10を使用してワークを挟持するように提供される時に、センサ素子20を通じて、螺杆14によってクランプジョー16を駆動してワークを挟み付けた時に、螺杆14からの反作用力を螺杆支持座13に伝達し戻すことにより、螺杆支持座13に発生させる変形量または変位量L1(図4を参照)を感知すると同時に、センサ素子20によってその変形量または変位量L1を連続的に感知して信号を生成すると共に、数字表示装置30にフィードバックする。
【0017】
数字表示装置30は、センサ素子20の信号を取得し、即時にその制御ユニット32のプロセッサ(IC)を通じて処理演算を行い、バイス10の挟持力の数値を取得すると共に、LCD表示器、LED表示器またはOLED表示器から構成される表示ユニット33を介して、バイス10が検出した挟持力の数値を表示させる。このため、本発明によれば、操作者が数字表示装置30を直接観察してハンドル18を回転する動作を行い、設定の挟持力の数値に達した後、即座に回転を停止することができ、このことにより本発明は、従来のバイスでは単に操作者の経験や手触りに頼って挟持力を制御する欠点を改善できることで、本発明のバイス10は、精密かつ適当な挟持力でワークを固定できると共に、クランプ力の過大に起因するワークの変形、またはクランプ力の過小に起因するワークの緩み脱落及び偏位を防止する。
【0018】
本発明のバイス10は、増圧装置17を有する上記のバイスに限られず、作用力及び反作用力を受ける構造を有するクランプ力部品の従来のバイスであれば実施可能であり、本発明の数字表示装置30は、ハウジング31と、制御ユニット32と、表示ユニット33と、給電ユニット34と、制御インターフェース35とを有する設計を通じて、数字表示装置30をバイス10の上に固定してから、上記のセンサ素子20をバイス10の螺杆支持座13に取り付けることが可能となり、従来のバイスに挟持力の数字化表示機能を実現させることが可能になり、従来のバイスにおいて操作者の実務経験や手触りのみに頼ってバイスの挟持力を制御する欠点を改善できる。
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0019】
10:バイス
11:バイス本体
111:スライドレール
112:収容溝
12:ナット座
13:螺杆支持座
14:螺杆
15、16:クランプジョー
17:増圧装置
18:ハンドル
20:センサ素子
30:数字表示装置
31:ハウジング
32:制御ユニット
33:表示ユニット
34:給電ユニット
35:制御インターフェース
40:信号線
L1:変位量
図1
図2
図3
図4
図5
図6