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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090627
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206632
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 展行
(57)【要約】
【課題】既設または新設の開閉装置において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸2と、前記巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3と、前記巻取軸3を回転自在に支持するとともに、その後方側が前記躯体の柱材6aに固定される左右一対のブラケット4と、前記巻取軸2を正逆回転させる開閉機20と、前記巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部100と、を備え、前記脱落防止部100は、前記ブラケット4の上部前方側と、前記柱材6aとは異なる前記躯体の他の柱材6bとの間に配置される連結部材を有し、前記連結部材の一端部を前記ブラケット4の前記上部前方側に連結するとともに、前記連結部材の他端部を前記他の柱材6bに連結する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置される開閉装置であって、
巻取軸と、
前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、
前記巻取軸を回転自在に支持するとともに、その後方側が前記躯体の柱材に固定される左右一対のブラケットと、
前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、
前記巻取軸の脱落を防止する脱落防止部と、
を備え、
前記脱落防止部は、前記ブラケットの上部前方側と、前記柱材とは異なる前記躯体の他の柱材との間に配置される連結部材を有し、
前記連結部材の一端部を前記ブラケットの前記上部前方側に連結するとともに、前記連結部材の他端部を前記他の柱材に連結する
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記連結部材は、複数の索体と、これら索体の張力を調整する張力調整部を有することを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記他の柱材は、前記ブラケットが固定された前記柱材と隣接する第1柱材と、当該第1柱材と隣接する第2柱材とを含み、
前記連結部材は、前記ブラケットの前記上部前方側と前記第1柱材との間、及び、前記ブラケットの前記上部前方側と前記第2柱材との間にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記他の柱材は、前記ブラケットが固定された前記柱材と隣接する第1柱材と、当該第1柱材と隣接する第2柱材とを含み、
前記第1柱材には、前記巻取軸を越えて水平に延びる延設部材が設けられ、
前記連結部材は、前記ブラケットの前記上部前方側と前記延設部材との間、及び、前記延設部材と前記第2柱材との間にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、天井部材で仕切られている天井裏空間に、左右のブラケットが配置され、これらのブラケットに巻取軸の軸方向の両端部が回転自在に支持されているシャッター装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-189913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシャッター装置は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸を備え、この巻取軸の軸方向の両端部に設けられた軸部は、軸受け部材を介して左右のブラケットに回転自在に支持されている。
ところで、このような構造を有するシャッター装置においては、例えば、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合、シャッター装置が振動し、ブラケットと巻取軸とが相対変位(相対移動)することで、巻取軸の軸部がブラケット側の軸受け部材から脱落することも考えられ、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持するとともに、その後方側が前記躯体の柱材に固定される左右一対のブラケットと、前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、前記巻取軸の脱落を防止する脱落防止部と、を備え、前記脱落防止部は、前記ブラケットの上部前方側と、前記柱材とは異なる前記躯体の他の柱材との間に配置される連結部材を有し、前記連結部材の一端部を前記ブラケットの前記上部前方側に連結するとともに、前記連結部材の他端部を前記他の柱材に連結することを特徴とする開閉装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図である。
図2】同シャッター装置における脱落防止部の配置の例を示す概略斜視図である。
図3】第1索体とブラケットとを連結する連結構造の例を示す概略図である。
図4】第1索体とブラケットとを連結する連結構造の例を示す概略図である。
図5】同シャッター装置における脱落防止部の他の配置の例を示す概略斜視図である。
図6】同シャッター装置における脱落防止部の他の配置の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本明細書中、「左右方向」とは、開閉装置(シャッター装置1)の横幅方向(図1の左右方向)を意味し、「前後方向」とは、「左右方向」に略直交する水平方向(図1の手前側が「前方」、図2の奥側が「後方」)を意味する。
【0009】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図であり、図2は、同シャッター装置における脱落防止部の配置の例を示す概略斜視図である。本発明の実施形態は、例えば、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置1として構成される。
【0010】
(シャッター装置の全体構成)
シャッター装置1は、巻取軸2、巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3、巻取軸2を回転自在に支持する左右一対のブラケット4、巻取軸2を正逆回転させる開閉機20を含み構成されている。
巻取軸2は、図1に示すように、天井材Aで形成される天井によって仕切られる天井裏空間T1に配置されている。この巻取軸2には、通常時、シャッターカーテン3が巻き取られており、火災等の非常事態発生時にシャッターカーテン3が巻取軸2から繰り出されて閉じ移動することにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
【0011】
巻取軸2の軸方向の両端部は、左右一対のブラケット4により回転自在に支持される。これらのブラケット4は、防災用のシャッター装置1が設置される建物等の構造物(躯体)を構成する柱や間柱等の柱材6(6a)にアンカー部材等の固定手段により取り付けられる。構造物(躯体)を構成する柱材6(6a,6b,6c・・・)は、例えば金属製の角形鋼管等からなる柱材、あるいは、非金属(木材等)の素材からなる柱材を含み構成され、これら柱材6は、所定間毎に複数設けられている。
なお、構造物(躯体)は、複数の柱材6(6a,6b,6c・・・)に、例えば、不燃材として、無機材料からなる、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)、ALC板、フレキシブルボード等からなる下地材(不図示)が取り付けられて構成されてもよい。
【0012】
シャッターカーテン3は、多数のスラットを上下に連設することによって形成されたカーテン本体部3aと、このカーテン本体部3aの下端部に取り付けられた座板3bを含み構成されている。シャッターカーテン3は、室内空間T2に配置される壁等の躯体Bに取り付けられた左右一対のガイドレール10に案内されて上下方向に移動する。
【0013】
左右一対のブラケット4は、図2に示すように、平板状の本体部4aと、本体部4aの上縁部から左右方向外方に向けて折曲された上側フランジ部4bと、本体部4aの下縁部から左右方向外方に向けて折曲された下側フランジ部4cとを備えて構成されており、その後方側が躯体の柱材6(6a)に固定される。
また、ブラケット4には、巻取軸2の軸部2aを挿入するための孔部(不図示)が形成されている。この孔部に、例えばビス等の止着具でブラケット4に止着されている軸受け部材5を介して巻取軸2の軸部2aがブラケット4に回転自在に支持される。また、この軸部2aの先端部には軸部2aと一体回転する従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)が外嵌されている。
なお、ブラケット4における軸部2aを挿入する孔部は、ブラケット4の前方に向かって開口するスリット(凹部)として形成してもよい。
【0014】
また、左右一対のブラケット4同士の下端部における対向間には、躯体B側に位置してまぐさ部8が左右方向長尺状に設けられている。このまぐさ部8は、前後方向に対向する前後一対のまぐさを備えて構成され、これらのまぐさによって、シャッターカーテン3が出入りする出入口スリットが形成されるとともに、天井材Aの端縁が覆われる。
【0015】
開閉機20は、巻取軸2を回転駆動するためのものであり、図2に示すように、左右一対のブラケット4のうち、一方のブラケット4に取り付けられる。例えば、ブラケット4の前端縁に、ネジやビス等の一体化手段により連結した支持板21に開閉機20を設置することができる。
【0016】
開閉機20は、例えば電動モータ等からなる開閉機本体20a、出力軸20b及び駆動回転体20c(例えば、駆動スプロケット)を含み構成されており、支持板21の内面に開閉機本体20aが固定支持される。この開閉機本体20aの出力軸20bは、支持板21に形成された貫通孔(不図示)から外方に突出し、その先端部に出力軸20bと一体回転する駆動回転体20cが外嵌されている。
【0017】
開閉機20の駆動回転体20c(例えば、駆動スプロケット)と、巻取軸2の軸部2aに外嵌された従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)との間には、例えば、伝動チェーンや伝動ベルト等からなる伝動連結体22が懸回され、開閉機20の正逆回転に伴い巻取軸2が正逆回転されるように構成されている。
この開閉機20の回転駆動は、不図示の自動閉鎖装置、手動閉鎖装置、操作部、検知器(煙感知器、熱感知器またはヒューズ装置)、リミットスイッチ等に接続される制御装置によって制御される。
【0018】
通常時のシャッターカーテン3は、このシャッターカーテン3の略全体が巻取軸2に巻き取られていることにより、シャッターカーテン3の下端部の座板3bがまぐさ部8の出入口スリットの高さ位置に達する全開状態となっている。
火災が発生すると、煙等を検知した検知器からの信号により、制御装置が開閉機20を作動させてシャッターカーテン3を下方へ閉じ移動させる。シャッターカーテン3は、図1に示すように、室内空間T2に配置される壁等の躯体Bに取り付けられた左右一対のガイドレール10に案内されながら下方へ閉じ移動し、これにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
なお、上述した実施形態は、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置の例として説明したが、本発明の実施形態に係るシャッター装置は、出入口等の開口部をシャッターカーテンが開閉する各種シャッター装置にも適用可能である。
【0019】
(巻取軸の脱落防止部)
次に、シャッター装置1における巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部100の構成について説明する。この脱落防止部100は、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)すること防ぎ(左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限)、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止するためのものである。
【0020】
図1には、シャッター装置1における脱落防止部100の配置の例として、左右の脱落防止部100を、左右のブラケット4と、躯体を構成する柱材6bとの間に配置した例が示されている。これらの脱落防止部100は、図2に示すように、例えば金属製のワイヤロープ等からなる複数の索体200,300と、これら索体200,300の張力を調整する張力調整部としてのターンバックル400を含む連結部材を有する。
【0021】
索体200,300は、ブラケット4側に連結される第1索体200と、柱材6b側に連結される第2索体300を有し、これら索体200,300の各端部にターンバックル400が連結されている。
第1索体200は、その一端部が後述する連結構造Iによりブラケット4側に取り付けられるとともに、他端部がターンバックル400に取り付けられる。
【0022】
第2索体300は、その一端部がターンバックル400に取り付けられるともに、その他端部が連結具310を介して柱材6(6b)に取り付けられる。この連結具310は、例えば、図2に示すように、柱材6(6b)への取付部位をなす垂直部310aと、この垂直部310aの下端縁から前方へ略水平に延びる部位であって、索体300の端部の取付部位をなす水平部310bとを有し、断面略L字状に形成されている。
この連結具310は、例えば、略矩形状の金属製の平板材を、折り曲げ加工することで形成することができる。
【0023】
連結具310の垂直部310aには、複数の取付孔(不図示)が形成されおり、この取付孔にボルト、ネジ等の固定手段311が挿通され、連結具310は、柱材6(6b)に締め付け固定される。
また、連結具310の水平部310bには、複数の連結孔310b1が形成されており、この連結孔310b1に第2索体300の他端部が連結される。なお、この連結構造は、後述する連結構造I(図3図4参照)と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0024】
ターンバックル400は、第1索体200の他端部及び第2索体300の一端部に取り付けられており、このターンバックル400により第1索体200及び第2索体300の張力が所定の張力に調整できるように構成されている。
なお、第1索体200及び第2索体300と、ターンバックル400とは、公知の連結構造により連結されている。
また、本実施形態においては、張力調整部としてターンバックル400を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、張力調整部として、公知のラチェット機構を備えた緊張機等を使用してもよい。
【0025】
この脱落防止部100の連結部材は、シャッター装置1の左右のブラケット4の上部前方側と柱材6(6b)に取り付けられた連結具310との間に取り付けられるとともに、ターンバックル400により第1索体200と第2索体200とに張力が付与されて配設されていることから、地震等の揺れでシャッター装置1が振動しても、巻取軸2の巻取軸2がブラケットに対して軸方向(図1の左右方向)に相対的に移動(変形)すること抑制し、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止することができる。
【0026】
次に、第1索体200とブラケット4とを連結する連結構造Iの具体的な構成の例を説明する。
【0027】
(連結構造I)
図3(a)~(d)には、連結構造Iとして、第1索体200をブラケット4に対して直接的に取り付ける連結構造IAの各例が示されており、また、図4(a)~(d)には、連結構造Iとして、第1索体200をブラケット4に対して係止具を介して取り付ける連結構造IBの各例が示されている。
なお、図3及び図4に示す連結構造IA,IBは、図2に示す左右方向右側に配設された脱落防止部100の第1索体200とブラケット4との連結構造IAを示すが、図1に示す左右方向左側に配設された脱落防止部100の第1索体200とブラケット4との連結構造IAも同様である。
【0028】
<連結構造210>
図3(a)には、連結構造IAの一例としての連結構造210が示されている。この連結構造210は、同図(a)に示すように、第1索体200の一端部を、ブラケット4の本体部4aの上部前方側に形成された貫通孔4a1に挿通するとともに、挿通した部位をブラケット4の上側フランジ部4bを囲むループ211を構成するように折り返し、この折り返した部分を、金属管等のカシメ止め用の固定部212でカシメ止めすることにより構成したものである。かくして、第1索体200の一端部がブラケット4に連結される。
【0029】
<連結構造220>
図3(b)には、連結構造IAの一例としての連結構造220が示されている。この連結構造220は、同図(b)に示すように、第1索体200の一端部を、ブラケット4の上側フランジ部4bの前方側に形成された貫通孔4b1に挿通するとともに、その一端部(先端部分221)を金属管等のカシメ止め用の固定部222でカシメ止めすることにより構成したものである。かくして、第1索体200の一端部がブラケット4に連結される。
【0030】
<連結構造230>
図3(c)には、連結構造IAの一例としての連結構造230が示されている。この連結構造230は、同図(c)に示すように、止めボルト232を、ワッシャー234を介して第1索体200の一端部に予め形成したループ部分231に挿通させた後、当該止めボルト232を、ブラケット4の上側フランジ部4bの前方側に形成した貫通孔4b1に挿通させてナット235で締め付け固定して構成したものである。かくして、第1索体200の一端部がブラケット4に連結される。
【0031】
<連結構造240>
図3(d)には、連結構造IAの一例としての連結構造240が示されている。この連結構造240は、同図(d)に示すように、止めボルト242を、ワッシャー243を介して第1索体200の一端部に予め形成したループ部分241に挿通させた後、ワッシャー245及びナット246で締め付け、その後、当該止めボルト242をブラケット4の上側フランジ部4bの前方側に形成した貫通孔4b1に挿通させてナット247で締め付け固定して構成したものである。かくして、第1索体200の一端部がブラケット4に連結される。
【0032】
以上の連結構造IAによれば、第1索体200の一端部を、簡便な構造で直接的にブラケット4に連結することができ、脱落防止部100の配設作業を円滑に行うことができる。
【0033】
次に、第1索体200をブラケット4に対して係止具を介して取り付ける連結構造IBの例を説明する。
【0034】
<連結構造250>
図4(a)には、連結構造IBの一例としての連結構造250が示されている。この連結構造250は、同図(a)に示すように、第1索体200の一端部を、係止具253を介してブラケット4に連結するものである。
係止具253は、平板状の本体部253aと、本体部253aの一端縁に連接されて下方に延びる鉛直部253bと、鉛直部253bの下端縁に連接されて本体部253aと略平行状態で対向するように延びる水平部253cとを有する。
また、本体部253aの他端側(同図(a)の左側)には、第1索体200の一端部(先端部分)を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されるとともに、水平部253cには、止めボルト254と螺合するネジ孔(不図示)が形成されている。
この係止具253は、例えば、平面視略矩形状の金属製の平板材を、その一端側を折り曲げ加工することで形成される。なお、この係止具253は、例えば、合成樹脂材料等から一体成形してもよい。
【0035】
この連結構造250は、係止具253の他端側(同図(a)の左側)に形成された貫通孔(不図示)に第1の索体200を連結するとともに、係止具253の一端側(同図(a)の右側)を、ブラケット4の上側フランジ部4bに係止し、止めボルト254を用いて連結するように構成したものである。
【0036】
第1索体200の一端部(先端部分)は、係止具253に形成された貫通孔(不図示)に挿通されてループ251を構成するように折り返され、この折り返された部分を金属管等のカシメ止め用の固定部252でカシメ止めすることにより、第1索体200と係止具253とが連結される。
また、係止具253における本体部253aの下面、及び鉛直部253bの内面を、それぞれ、ブラケット4における上側フランジ部4bの上面、及び上側フランジ部4bの端面に当接させた状態で、係止具253の水平部253cに形成されたネジ孔(不図示)に止めボルト254を螺合させることにより、係止具253をブラケット4に連結することができる。かくして、第1索体200の一端部が係止具253を介してブラケット4に連結される。
【0037】
<連結構造260>
図4(b)には、連結構造IBの一例としての連結構造260が示されている。この連結構造260は、同図(b)に示すように、第1索体200の一端部を、係止具263を介して第1索体200の一端部をブラケット4に連結するものである。
係止具263は、平板状の本体部263aと、本体部263aの一端縁に連接されて下方に延びる鉛直部263bと、鉛直部263bの下端縁に連接されて本体部263aと略平行状態で対向するように延びる水平部263cとを有する。
また、本体部263aの他端側(同図(b)の左側)には、第1索体200の一端部(先端部分)を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されるとともに、本体部263aの一端側(同図(b)の右側)には、止めボルト264と螺合するネジ孔(不図示)が形成されている。
この係止具263は、例えば、平面視略矩形状の金属製の平板材を、その一端側を折り曲げ加工することで形成される。なお、この係止具263は、例えば、合成樹脂材料等から一体成形してもよい。
【0038】
この連結構造260は、係止具263の他端側(同図(b)の左側)に形成された貫通孔(不図示)に第1の索体200を連結するとともに、係止具263の一端側(同図(b)の右側)を、ブラケット4の上側フランジ部4bに係止し、止めボルト264を用いて連結するように構成したものである。
【0039】
第1索体200と係止具263の連結態様(ループ261、固定部262)は、上述した連結構造250における第1索体200と係止具253の連結態様と同様であるので、その説明を省略する。
また、係止具263における水平部263cの上面、及び鉛直部263bの内面を、それぞれ、ブラケット4における上側フランジ部4bの下面、及び上側フランジ部4bの端面に当接させた状態で、係止具263の本体部263aの一端側に形成されたネジ孔(不図示)に止めボルト264を螺合させることにより、係止具263をブラケット4に連結することができる。かくして、第1索体200の一端部が係止具263を介してブラケット4に連結される。
【0040】
<連結構造270>
図4(c)には、連結構造IBの一例としての連結構造270が示されている。この連結構造270は、同図(c)に示すように、第1索体200の一端部を、係止具273を介してブラケット4に連結するものである。
係止具273は、平板状の本体部273aと、本体部273aの一端縁に連接されて下方に延びる鉛直部273bと、鉛直部273bの下端縁に連接されて本体部273aと略平行状態で対向するように延びる水平部273cとを有する。
また、本体部273aの他端側(同図(c)の左側)には、第1索体200の一端部(先端部分)を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されるとともに、本体部273aの略中央には、止めボルト274を左右方向(同図(c)の左右方向)に案内可能な長孔(不図示)が形成されている。
この係止具273は、例えば、平面視略矩形状の金属製の平板材を、その一端側を折り曲げ加工することで形成される。なお、この係止具273は、例えば、合成樹脂材料等から一体成形してもよい。
【0041】
この連結構造270は、係止具273の他端側(同図(c)の左側)に形成された貫通孔(不図示)に第1の索体200を連結するとともに、一端側(同図(c)の右側)を、ブラケット4の上側フランジ部4bに係止し、止めボルト274を用いて連結するように構成したものである。
【0042】
第1索体200と係止具273の連結態様(ループ271、固定部272)は、上述した連結構造250における第1索体200と係止具253の連結態様と同様であるので、その説明を省略する。
また、係止具273における本体部273aの下面、及び鉛直部273bの内面を、それぞれ、ブラケット4における上側フランジ部4bの上面、及び上側フランジ部4bの端面に当接させた状態で、係止具273の本体部273aに形成されたその長手方向(同図(c)の左右方向)に延びる長孔(不図示)に止めボルト274のネジ部274aを挿通し、このネジ部274aに第1ナット275及び第2ナット276を螺合させることにより、係止具273をブラケット4に連結することができる。
この場合、止めボルト274のネジ部274aは、本体部273aに形成された長孔に左右方向に位置調整可能(移動可能)に挿通されているため、第1ナット275及び第2ナット276がブラケット4の内面に当接した状態で止めボルト274を締め付けることで、係止具273をブラケット4に容易かつ確実に連結することができる。かくして、第1索体200の一端部が係止具273を介してブラケット4に連結される。
【0043】
<連結構造280>
図4(d)には、連結構造IBの一例としての連結構造280が示されている。この連結構造280は、同図(d)に示すように、第1索体200の一端部を、係止具283を介してブラケット4に連結するものである。
係止具283は、平板状の本体部283aと、本体部283aの一端縁に連接されて下方に延びる鉛直部283bとを有する。
また、本体部283aの他端側(同図(b)の左側)には、第1索体200の一端部(先端部分)を挿通するための貫通孔(不図示)が形成されるとともに、鉛直部283bには、止めボルト284と螺合するネジ孔(不図示)が形成されている。
この係止具283は、例えば、平面視略矩形状の金属製の平板材を、その一端側を折り曲げ加工することで形成される。なお、この係止具283は、例えば、合成樹脂材料等から一体成形してもよい。
【0044】
この連結構造280は、係止具283の他端側(同図(d)の左側)に形成された貫通孔(不図示)に第1の索体200を連結するとともに、係止具283の一端側(同図(d)の右側)を、ブラケット4の上側フランジ部4bに係止し、止めボルト284を用いて連結するように構成したものである。
【0045】
第1索体200と係止具283の連結態様(ループ281、固定部282)は、上述した連結構造250における第1索体200と係止具253の連結態様と同様であるので、その説明を省略する。
また、係止具283における鉛直部283bの内面をブラケット4における上側フランジ部4bの端面に当接させるとともに、係止具283の鉛直部283bに形成されたネジ孔(不図示)に止めボルト284のネジ部284aを螺合させて、このネジ部284aの先端部をブラケット4の本体部4aの外面に当接させることで、係止具283をブラケット4に連結することができる。
この場合、ブラケット4の上側フランジ部4bは、係止具283の本体部283a及び鉛直部283bと、止めボルト284とによって、正面視略コの字に囲われることになるので、第1索体200及び第2索体300に張力を付与した状態で、係止具283がブラケット4から離脱することを防ぐことができ、係止具283をブラケット4に連結した状態で保持することができる。かくして、第1索体200の一端部が係止具283を介してブラケット4に連結される。
【0046】
以上の連結構造IBによれば、第1索体200の一端部を、係止具を介した簡便な構造でブラケット4に連結することができ、脱落防止部100の配設作業を円滑に行うことができる。
【0047】
以上のとおり、左右の脱落防止部100を、ブラケット4の上部前方側と、ブラケット4を固定する柱材6aと隣接して配置された柱材6bとの間に連結することで、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)することを抑制することができる。したがって、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止することができる。
【0048】
次に、本発明における脱落防止部の他の配置の例について説明する。
【0049】
[実施形態2]
図5には、本発明に係る開閉装置(シャッター装置)の脱落防止部の他の配置例(実施形態2)が示されている。この実施形態2は、上述した図2に示すシャッター装置1に配設した脱落防止部100に加え、新たな脱落防止部500を付加して構成したものである。
【0050】
具体的には、左右のブラケット4の上部前方側と、各ブラケット4を固定する柱材6aと隣接する柱材6bとの間に脱落防止部100を配置するとともに、左右のブラケット4の上部前方側と、柱材6bと隣接する柱材6cとの間にも脱落防止部100と同様に構成された脱落防止部500を配置したものである。
なお、この脱落防止部500の連結部材も上述した脱落防止部100の連結部材と同様に、金属製のワイヤロープからなる複数の索体と、これら索体の張力を調整する張力調整部としてのターンバックルとを含み構成されており、上述した連結構造と同様の連結構造により、左右のブラケット4の上部前方側及び柱材6cに連結されている。
【0051】
このように、実施形態2においては、ブラケット4に、それぞれ複数の脱落防止部100,500を配設するものであるから、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)することをより効果的に抑制することができる。
【0052】
[実施形態2]
図6には、本発明に係る開閉装置(シャッター装置)の脱落防止部の他の配置例(実施形態3)が示されている。この実施形態3は、ブラケット4を固定する柱材6aに隣接する柱材6bに開閉装置(シャッター装置)の巻取軸2を越えて水平方向に延びる延設部材600を設け、この延設部材600を介して脱落防止部700及び脱落防止部800を配設したものである。
【0053】
具体的には、左右のブラケット4の上部前方側と、柱材6bに取り付け固定された延設部材600の前方側との間に脱落防止部700を配置するとともに、延設部材600の前方側と柱材6bに隣接する柱材6cとの間に脱落防止部800を配置したものである。
【0054】
延設部材600は、シャッター装置1の上方位置に水平に延びる第1部材600aと、この第1部材600aの一端側から鉛直に延びる第2部材600bを含み構成され、この第2部材600bは、ボルト、ネジ、ビス等の結合具又は溶接(柱材6bが金属の場合)により柱材6bに連結固定される。
また、延設部材600の前方側には、各脱落防止部700,800の端部を連結固定するための1又は複数の取付孔(不図示)が形成されている。
この延設部材600は、例えば、金属製のアングル材、角筒材、平板材等の材料により構成することができる。
【0055】
脱落防止部700及び脱落防止部800のそれぞれは、上述した脱落防止部100と同様に、金属製のワイヤロープからなる複数の索体と、これら索体の張力を調整する張力調整部としてのターンバックルとを含み構成されており、上述した連結構造と同様に左右のブラケット4の上部前方側及び柱材6cに連結される。
また、各脱落防止部700,800と延設部材600とは、延設部材600の前端側に設けられた取付孔(不図示)を用い、例えば上述した連結構造IA(図3(a)~(d)参照)と同様の連結構造により連結される。
【0056】
このように、実施形態3においては、ブラケット4を固定する柱材6aに隣接する柱材6bに取り付け固定された延設部材600を介して脱落防止部700及び脱落防止部800を配設したものである。したがって、例えば、ブラケット4の上部前方側と柱材6bとの間で直接的に脱落防止部を配置できない場合(例えば、シャッター装置1の上部に脱落防止部の配置を妨げるたり、干渉するような構造体が存在する場合)であっても、延設部材600を用いることで、脱落防止部700,800が設置可能となり、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1の左右のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(図1の左右方向)に相対変位(相対移動)することを抑制することができる。
【0057】
[その他の変形例]
上述した実施形態では、脱落防止部の連結部材は、複数の索体(第1索体200,第2索体300)と、これら索体の張力を調整する張力調整部(ターンバックル400)を含み構成されているが、このような脱落防止部の構成に限定されない。
脱落防止部における連結部材の他の例として、例えば、ブラケット4の上部前側に連結固定あるいは係合する第1ボルト部材と、柱材6bに取り付けられた連結具310の水平部310bに連結固定あるいは係合する第2ボルト部材と、第1ボルト部材と第2ボルト部材を互いに連結するターンバックルを含み構成されるものとしてもよい。
【0058】
また、脱落防止部における連結部材は、ブラケット4の上部前側と、柱材6bに取り付けられた連結具310の水平部310bにかけ渡されて連結固定される、例えば金属製のL型アングル材や平板材等からなる長尺材として構成することもできる。
【0059】
また、シャッター装置1における脱落防止部100の配置の態様は、次のように変更して構成することも可能である。
図1及び図2には、連結具310を、ブラケット4が取り付けられた柱材6aと隣接して配置された柱材6bとの間に配置した例が示されているが、この配置の例に限定されるものではない。例えば、連結部材31の他端側を、柱材6b以外の他の柱材6cに連結固定するように構成してもよい。
【0060】
また、本発明の脱落防止部は、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)に適用できる。本発明における脱落防止部の配置態様は、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持するとともに、その後方側が前記躯体の柱材に固定される左右一対のブラケットと、前記巻取軸を正逆回転させる開閉機と、前記巻取軸の脱落を防止する脱落防止部と、を備え、前記脱落防止部は、前記ブラケットの上部前方側と、前記柱材とは異なる前記躯体の他の柱材との間に配置される連結部材を有し、前記連結部材の一端部を前記ブラケットの前記上部前方側に連結するとともに、前記連結部材の他端部を前記他の柱材に連結することを特徴とする開閉装置(図1図2図5図6参照)。
(2)
前記連結部材は、複数の索体と、これら索体の張力を調整する張力調整部を有することを特徴とする上記(1)記載の開閉装置(図2参照)。
(3)
前記他の柱材は、前記ブラケットが固定された前記柱材と隣接する第1柱材と、当該第1柱材と隣接する第2柱材とを含み、前記連結部材は、前記ブラケットの前記上部前方側と前記第1柱材との間、及び、前記ブラケットの前記上部前方側と前記第2柱材との間にそれぞれ配置されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の開閉装置(図5参照)。
(4)
前記他の柱材は、前記ブラケットが固定された前記柱材と隣接する第1柱材と、当該第1柱材と隣接する第2柱材とを含み、前記第1柱材には、前記巻取軸を越えて水平に延びる延設部材が設けられ、前記連結部材は、前記ブラケットの前記上部前方側と前記延設部材との間、及び、前記延設部材と前記第2柱材との間にそれぞれ配置されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の開閉装置(図6参照)。
【符号の説明】
【0062】
2:巻取軸
3:シャッターカーテン
4:ブラケット
6(6a,6b,6c・・・):柱材
20:開閉機
100:脱落防止部
200、300:索体(連結部材)
400:ターンバックル(連結部材、張力調整部)
500:脱落防止部
600:延設部材
700:脱落防止部
800:脱落防止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6