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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090655
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】波力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/14 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F03B13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206690
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】593143913
【氏名又は名称】シンワオートマチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】冨田 孝彦
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB11
3H074CC03
(57)【要約】
【課題】海面の波の起伏運動を十分に利用することができ、発電装置によって電気エネルギーを確実に発生させることができる波力発電システムを提供する。
【解決手段】波力発電システム10Aは、海上における海面の波の起伏運動によって第1~第4昇降機構が上昇及び下降し、それら昇降機構の上昇又は下降によって第1~第4垂直ローラーチェーンが垂直方向へ移動し、それら垂直ローラーチェーンの移動によって第1~第4上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって第1~第4上部水平ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、それら上部水平ローラーチェーンの移動によって垂直方向へ延びる回転軸が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転するとともに、回転軸の時計周り方向又は反時計回り方向への回転によって発電装置の発電軸が時計周り方向又は反時計回り方向への回転し、発電装置が電気エネルギーを発生する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上における波力を利用して発電する波力発電システムにおいて、
前記波力発電システムが、前記海上における海面の波の起伏運動によって上昇及び下降する昇降機構と、前記昇降機構の上昇又は下降によって垂直方向の一方及び他方へ移動する垂直ローラーチェーンと、前記垂直ローラーチェーンの移動によって時計周り方向及び反時計回り方向へ回転する上部スプロケットと、前記上部スプロケットの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限するラチェット機構と、前記ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって水平方向の一方へ移動する上部水平ローラーチェーンと、前記上部水平ローラーチェーンの移動によって時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転する回転軸と、前記回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転を利用して電気エネルギーを発生させる発電装置とを有することを特徴とする波力発電システム。
【請求項2】
前記波力発電システムが、前記海面に浮揚して前記昇降機構、前記垂直ローラーチェーン、前記上部スプロケット、前記ラチェット機構、前記上部水平ローラーチェーン、前記回転軸、前記発電装置を設置するハウジングと、前記ハウジングの下方であって該ハウジングに第1連結チェーンを介して連結されて海中に位置する姿勢安定板と、前記姿勢安定板の下方であって該姿勢安定板に第2連結チェーンを介して連結されて海底に位置するアンカーとを含む請求項1に記載の波力発電システム。
【請求項3】
前記波力発電システムが、前記回転軸に取り付けられたフライホイールを含み、前記フライホイールの慣性モーメントを利用して前記回転軸の回転を円滑かつ安定させる請求項1又は請求項2に記載の波力発電システム。
【請求項4】
前記昇降機構が、前記ハウジングの頂壁の中央上方に位置する基端部と前記基端部から水平方向外方へ離間して前記海上に位置する先端部と前記基端部及び前記先端部の間に位置する中間部とを有して水平方向へ延在する旋回ロッドと、前記旋回ロッドの中間部に設置されて該旋回ロッドから垂直方向下方へ延びる上下動ロッドと、前記旋回ロッドの先端部に連結されて該先端部の垂直方向下方に位置して前記海面に浮上するフロートとから形成され、前記昇降機構では、前記波の起伏運動によって前記フロートが海面を上昇及び下降し、前記海面における前記フロートの上昇及び下降によって前記旋回ロッドが前記基端部を中心として垂直方向上方及び下方へ旋回し、前記旋回ロッドの旋回によって前記上下動ロッドが上下動する請求項2又は請求項3に記載の波力発電システム。
【請求項5】
前記波力発電システムが、前記上部スプロケットの垂直方向下方に位置する下部スプロケットと、前記上部スプロケットの垂直方向上方に位置する側方上部スプロケットと、前記側方上部スプロケットから水平方向内方へ離間対向して前記回転軸の上部に設置された中央上部スプロケットと、前記ラチェット機構を有して前記上部スプロケットの回転を前記側方上部スプロケットに伝えるギアとを含み、前記下部スプロケット、前記側方上部スプロケット、前記中央上部スプロケット、前記ギアが前記ハウジングに設置され、前記垂直ローラーチェーンが、前記上部スプロケットと前記下部スプロケットとに掛け渡され、前記水平上部ローラーチェーンが、前記側方上部スプロケットと前記中央上部スプロケットとに掛け渡され、前記上下動ロッドの下端部が、前記上部及び下部スプロケットの間に位置する前記垂直ローラーチェーンに連結され、前記波力発電システムでは、前記上下動ロッドの上下動によって前記垂直ローラーチェーンが垂直方向の一方及び他方へ移動するとともに、前記ラチェット機構によって前記上部1スプロケットの時計周り方向及び反時計回り方向への回転がいずれか一方向の回転に制限され、前記ギアによって前記上部スプロケットの一方向の回転が前記側方上部スプロケットに伝達され、前記側方上部スプロケットの回転によって前記水平上部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、前記中央上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転し、前記中央上部スプロケットの回転によって前記回転軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転する請求項4に記載の波力発電システム。
【請求項6】
前記波力発電システムが、前記回転軸の下部に設置されて該回転軸とともに回転する中央下部スプロケットと、前記中央下部スプロケット及び前記発電装置の発電軸に掛け渡された水平下部ローラーチェーンとを含み、前記中央下部スプロケット、前記水平下部ローラーチェーンが前記ハウジングに設置され、前記波力発電システムでは、前記回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって中央下部スプロケットが回転し、前記中央下部スプロケットの回転によって前記水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、前記発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して該発電装置が電気エネルギーを発生させる請求項5に記載の波力発電システム。
【請求項7】
前記昇降機構が、前記ハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第1及び第3旋回ロッドと、前記第1及び第3旋回ロッドと直交するとともに前記ハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第2及び第4旋回ロッドと、前記第1~第4旋回ロッドの中間部に設置された第1~第4上下動ロッドと、前記第1~第4旋回ロッドの先端部に連結された前記第1~第4フロートとを備え、前記垂直ローラーチェーンが、前記第1~第4上下動ロッドの下端部に連結された第1~第4垂直ローラーチェーンからなり、前記上部スプロケット及び前記下部スプロケットが、前記第1~第4ローラーチェーンが掛け渡された第1~第4上部スプロケット及び第1~第4下部スプロケットからなり、前記側方上部スプロケット及び前記中央上部スプロケットが、前記第1~第4上部スプロケットの垂直方向上方に位置する第1~第4側方上部スプロケット及び前記回転軸の上部に設置された第1~第4中央上部スプロケットからなるとともに、前記上部水平ローラーチェーンが、前記第1~第4側方上部スプロケット及び前記第1~第4中央上部スプロケットに掛け渡された第1~第4上部水平ローラーチェーンからなり、前記ギアが、前記ラチェット機構によって前記第1~第4上部スプロケットの回転を一方向に制限するとともに前記一方向の回転を前記第1~第4側方上部スプロケットに伝える第1~第4ギアとからなる請求項6に記載の波力発電システム。
【請求項8】
前記中央下部スプロケットが、前記回転軸の下部に設置された第1及び第2中央下部スプロケットからなり、前記発電装置が、前記ハウジングの径方向へ離間対向する第1及び第2発電装置からなり、前記水平下部ローラーチェーンが、前記第1及び第2中央下部スプロケット及び前記第1及び第2発電装置の発電軸に掛け渡された第1及び第2水平下部ローラーチェーンからなり、前記波力発電システムでは、前記回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって前記第1中央下部スプロケットが回転し、前記第1中央下部スプロケットの回転によって前記第1水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、前記第1発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して該第1発電装置が電気エネルギーを発生させ、前記回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって前記第2中央下部スプロケットが回転し、前記第2中央下部スプロケットの回転によって前記第2水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、前記第2発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して該第2発電装置が電気エネルギーを発生させる請求項7に記載の波力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上における波力を利用して発電する波力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波を受ける波受け部材と、波受け部材の前面に設けられていて波の力で昇降可能なフロートと、フロートの裏面に設けられたラック部材又はピニオンと、波受け部材に設けられていてラック部材に噛合するピニオン又はピニオンに噛合するラック部材と、ピニオンに連結されていてピニオンの回転によって発電する発電装置とを備え、フロートを摺動可能に支持するガイド溝を有するガイド部材が波受け部材の前面に設けられている波力発電装置が開示されている(特許文献1参照)。この波力発電装置は、防波堤のケーソンに施設され、波受け部材の前面に設けられたフロートが波の力で上昇すると、フロートの裏面と波受け部材に設けられたラック部材とピニオンが互いに噛合してフロートの上昇に応じてピニオンが回転し、ピニオンの回転によって発電装置が電気エネルギーを発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-193606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の波力発電装置は、海の干潮時に波がフロートまで届かない場合があるとともに、海の満潮時に海水が防波堤のケーソンの頂部まで満ちてフロートが海中に沈む場合がある。波がフロートまで届かず、又は、フロートが海中に沈むと、海面の波の起伏運動を十分に利用することができず、波の起伏運動によってフロートを上昇及び下降させることができないとともに、発電装置によって電気エネルギーを発生させることができない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波の起伏運動を十分に利用することができ、発電装置によって電気エネルギーを確実に発生させることができる波力発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、海上における波力を利用して発電する波力発電システムである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、波力発電システムが、海上における海面の波の起伏運動によって上昇及び下降する昇降機構と、昇降機構の上昇又は下降によって垂直方向の一方及び他方へ移動する垂直ローラーチェーンと、垂直ローラーチェーンの移動によって時計周り方向及び反時計回り方向へ回転する上部スプロケットと、上部スプロケットの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限するラチェット機構と、ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって水平方向の一方へ移動する上部水平ローラーチェーンと、上部水平ローラーチェーンの移動によって時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転する回転軸と、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転を利用して電気エネルギーを発生させる発電装置とを有することにある。
【0008】
本発明の一例としては、波力発電システムが、海面に浮揚して昇降機構、垂直ローラーチェーン、上部スプロケット、ラチェット機構、上部水平ローラーチェーン、回転軸、発電装置を設置するハウジングと、ハウジングの下方であってハウジングに第1連結チェーンを介して連結されて海中に位置する姿勢安定板と、姿勢安定板の下方であって姿勢安定板に第2連結チェーンを介して連結されて海底に位置するアンカーとを含む。
【0009】
本発明の他の一例としては、波力発電システムが、回転軸に取り付けられたフライホイールを含み、フライホイールの慣性モーメントを利用して回転軸の回転を円滑かつ安定させる。
【0010】
本発明の他の一例としては、昇降機構が、ハウジングの頂壁の中央上方に位置する基端部と基端部から水平方向外方へ離間して海上に位置する先端部と基端部及び先端部の間に位置する中間部とを有して水平方向へ延在する旋回ロッドと、旋回ロッドの中間部に設置されて旋回ロッドから垂直方向下方へ延びる上下動ロッドと、旋回ロッドの先端部に連結されて先端部の垂直方向下方に位置して海面に浮上するフロートとから形成され、昇降機構では、波の起伏運動によってフロートが海面を上昇及び下降し、海面におけるフロートの上昇及び下降によって旋回ロッドが基端部を中心として垂直方向上方及び下方へ旋回し、旋回ロッドの旋回によって前記上下動ロッドが上下動する。
【0011】
本発明の他の一例としては、波力発電システムが、上部スプロケットの垂直方向下方に位置する下部スプロケットと、上部スプロケットの垂直方向上方に位置する側方上部スプロケットと、側方上部スプロケットから水平方向内方へ離間対向して回転軸の上部に設置された中央上部スプロケットと、ラチェット機構を有して上部スプロケットの回転を側方上部スプロケットに伝えるギアとを含み、下部スプロケット、側方上部スプロケット、中央上部スプロケット、ギアがハウジングに設置され、垂直ローラーチェーンが、上部スプロケットと下部スプロケットとに掛け渡され、水平上部ローラーチェーンが、側方上部スプロケットと中央上部スプロケットとに掛け渡され、上下動ロッドの下端部が、上部及び下部スプロケットの間に位置する垂直ローラーチェーンに連結され、波力発電システムでは、上下動ロッドの上下動によって垂直ローラーチェーンが垂直方向の一方及び他方へ移動するとともに、ラチェット機構によって上部1スプロケットの時計周り方向及び反時計回り方向への回転がいずれか一方向の回転に制限され、ギアによって上部スプロケットの一方向の回転が側方上部スプロケットに伝達され、側方上部スプロケットの回転によって水平上部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、中央上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転し、中央上部スプロケットの回転によって回転軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転する。
【0012】
本発明の他の一例としては、波力発電システムが、回転軸の下部に設置されて回転軸とともに回転する中央下部スプロケットと、中央下部スプロケット及び発電装置の発電軸に掛け渡された水平下部ローラーチェーンとを含み、中央下部スプロケット、水平下部ローラーチェーンがハウジングに設置され、波力発電システムでは、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって中央下部スプロケットが回転し、中央下部スプロケットの回転によって水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して発電装置が電気エネルギーを発生させる。
【0013】
本発明の他の一例としては、昇降機構が、ハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第1及び第3旋回ロッドと、第1及び第3旋回ロッドと直交するとともにハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第2及び第4旋回ロッドと、第1~第4旋回ロッドの中間部に設置された第1~第4上下動ロッドと、第1~第4旋回ロッドの先端部に連結された第1~第4フロートとを備え、垂直ローラーチェーンが、第1~第4上下動ロッドの下端部に連結された第1~第4垂直ローラーチェーンからなり、上部スプロケット及び下部スプロケットが、第1~第4ローラーチェーンが掛け渡された第1~第4上部スプロケット及び第1~第4下部スプロケットからなり、側方上部スプロケット及び中央上部スプロケットが、第1~第4上部スプロケットの垂直方向上方に位置する第1~第4側方上部スプロケット及び回転軸の上部に設置された第1~第4中央上部スプロケットからなるとともに、上部水平ローラーチェーンが、第1~第4側方上部スプロケット及び第1~第4中央上部スプロケットに掛け渡された第1~第4上部水平ローラーチェーンからなり、ギアが、ラチェット機構によって第1~第4上部スプロケットの回転を一方向に制限するとともに一方向の回転を第1~第4側方上部スプロケットに伝える第1~第4ギアとからなる。
【0014】
本発明の他の一例としては、中央下部スプロケットが、回転軸の下部に設置された第1及び第2中央下部スプロケットからなり、発電装置が、ハウジングの径方向へ離間対向する第1及び第2発電装置からなり、水平下部ローラーチェーンが、第1及び第2中央下部スプロケット及び第1及び第2発電装置の発電軸に掛け渡された第1及び第2水平下部ローラーチェーンからなり、波力発電システムでは、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって第1中央下部スプロケットが回転し、第1中央下部スプロケットの回転によって第1水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、第1発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して第1発電装置が電気エネルギーを発生させ、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって第2中央下部スプロケットが回転し、第2中央下部スプロケットの回転によって第2水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、第2発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して第2発電装置が電気エネルギーを発生させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る波力発電システムによれば、海上における海面の波の起伏運動によって昇降機構が上昇及び下降し、昇降機構の上昇又は下降によって垂直ローラーチェーンが垂直方向へ移動し、垂直ローラーチェーンの移動によって上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって上部水平ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、上部水平ローラーチェーンの移動によって垂直方向へ延びる回転軸が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転するとともに、回転軸の時計周り方向又は反時計回り方向への回転を利用して発電装置が電気エネルギーを発生するから、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波の起伏運動を利用して昇降機構を上昇及び下降させることができ、昇降機構の上昇運動及び下降運動を回転軸の回転運動に変換することで、発電装置に電気エネルギーを発生させることができる。
【0016】
海面に浮揚するハウジングとハウジングに第1連結チェーンを介して連結されて海中に位置する姿勢安定板と第2連結チェーンを介して連結されて海底に位置するアンカーとを含む波力発電システムは、姿勢安定板によって海上におけるハウジングの姿勢が安定するから、海面の波の起伏運動が昇降機構に円滑かつ安定して伝達され、昇降機構を上昇運動及び下降運動を回転軸の回転運動に確実に変換することができ、発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができる。波力発電システムは、海底に位置するアンカーがハウジングの海上における不用意な移動を阻止するから、波力発電システムが潮に流されることを防ぐことができ、波力発電システムを海の所定の箇所に留めることができる。
【0017】
回転軸に取り付けられたフライホイールを含み、フライホイールの慣性モーメントを利用して回転軸の回転を円滑かつ安定させる波力発電システムは、フライホイールの慣性モーメントによって回転軸の回転が安定し、回転軸が円滑に連続して回転することで、安定かつ連続した回転軸の回転によって発電装置に一定の電気エネルギーを連続的に発生させることができる。
【0018】
波の起伏運動によってフロートが海面を上昇及び下降し、海面におけるフロートの上昇及び下降によって旋回ロッドが基端部を中心として垂直方向上方及び下方へ旋回し、旋回ロッドの旋回によって上下動ロッドが上下動する波力発電システムは、海上における海面の波の起伏運動によってフロートが上昇及び下降し、フロートの上昇又は下降によって上下動ロッドが上下動して垂直ローラーチェーンが垂直方向へ移動し、垂直ローラーチェーンの移動によって上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって上部水平ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、上部水平ローラーチェーンの移動によって垂直方向へ延びる回転軸が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転し、回転軸の時計周り方向又は反時計回り方向への回転を利用して発電装置が電気エネルギーを発生するから、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波の起伏運動を利用してフロートが上昇及び下降し、フロートの上昇又は下降によって上下動ロッドを上下動させることができ、上下動ロッドの上下動運動を回転軸の回転運動に変換することで、発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができる。
【0019】
上下動ロッドの上下動によって垂直ローラーチェーンが垂直方向の一方及び他方へ移動し、ラチェット機構によって上部1スプロケットの時計周り方向及び反時計回り方向への回転がいずれか一方向の回転に制限され、ギアによって上部スプロケットの一方向の回転が側方上部スプロケットに伝達され、側方上部スプロケットの回転によって水平上部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、中央上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転し、中央上部スプロケットの回転によって回転軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転する波力発電システムは、海上における海面の波の起伏運動によってフロートが上昇及び下降し、フロートの上昇又は下降によって上下動ロッドが上下動して垂直ローラーチェーンが垂直方向へ移動し、垂直ローラーチェーンの移動によって上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転がギアによって側方上部スプロケットに伝わって水平上部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動し、中央上部スプロケットが時計周り方向又は反時計回り方向へ回転して回転軸が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転し、回転軸の時計周り方向又は反時計回り方向への回転を利用して発電装置が電気エネルギーを発生するから、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波の起伏運動を利用してフロートが上昇及び下降し、フロートの上昇又は下降によって上下動ロッドを上下動させることができ、上下動ロッドの上下動運動を回転軸の回転運動に変換することで、発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができる。
【0020】
回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって中央下部スプロケットが回転し、中央下部スプロケットの回転によって水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して発電装置が電気エネルギーを発生させる波力発電システムは、中央下部スプロケットと水平下部ローラーチェーンを利用して回転軸の回転を発電装置の発電軸に伝えることができ、発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができる。
【0021】
昇降機構が、ハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第1及び第3旋回ロッドと、第1及び第3旋回ロッドと直交するとともにハウジングの径方向へ離間対向して水平方向へ延びる第2及び第4旋回ロッドと、第1~第4旋回ロッドの中間部に設置された第1~第4上下動ロッドと、第1~第4旋回ロッドの先端部に連結された第1~第4フロートとを備え、垂直ローラーチェーンが第1~第4上下動ロッドの下端部に連結された第1~第4垂直ローラーチェーンからなり、上部スプロケット及び前記下部スプロケットが第1~第4ローラーチェーンが掛け渡された第1~第4上部スプロケット及び第1~第4下部スプロケットからなり、側方上部スプロケット及び中央上部スプロケットが第1~第4上部スプロケットの垂直方向上方に位置する第1~第4側方上部スプロケット及び回転軸の上部に設置された第1~第4中央上部スプロケットからなるとともに、上部水平ローラーチェーンが第1~第4側方上部スプロケット及び第1~第4中央上部スプロケットに掛け渡された第1~第4上部水平ローラーチェーンからなり、ギアがラチェット機構によって第1~第4上部スプロケットの回転を一方向に制限するとともに一方向の回転を第1~第4側方上部スプロケットに伝える第1~第4ギアとからなる波力発電システムは、海上における海面の波の起伏運動によって第1~第4フロートが上昇及び下降し、第1~第4フロートの上昇又は下降によって第1~第4上下動ロッドが上下動して第1~第4垂直ローラーチェーンが垂直方向へ移動し、第1~第4垂直ローラーチェーンの移動によって第1~第4上部スプロケットが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転によって第1~第4上部水平ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、第1~第4上部水平ローラーチェーンの移動によって垂直方向へ延びる回転軸が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転し、回転軸の時計周り方向又は反時計回り方向への回転を利用して発電装置が電気エネルギーを発生するから、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波の起伏運動を利用して第1~第4フロートが上昇及び下降し、第1~第4フロートの上昇又は下降によって第1~第4上下動ロッドを上下動させることができ、第1~第4上下動ロッドの上下動運動を回転軸の回転運動に変換することで、回転軸を確実に回転させることができるとともに、発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができる。
【0022】
中央下部スプロケットが回転軸の下部に設置された第1及び第2中央下部スプロケットからなり、発電装置がハウジングの径方向へ離間対向する第1及び第2発電装置からなり、水平下部ローラーチェーンが第1及び第2中央下部スプロケット及び第1及び第2発電装置の発電軸に掛け渡された第1及び第2水平下部ローラーチェーンからなり、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって第1中央下部スプロケットが回転し、第1中央下部スプロケットの回転によって第1水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、第1発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して第1発電装置が電気エネルギーを発生させ、回転軸の時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向への回転によって第2中央下部スプロケットが回転し、第2中央下部スプロケットの回転によって第2水平下部ローラーチェーンが水平方向の一方へ移動するとともに、第2発電装置の発電軸が時計周り方向及び反時計回り方向のいずれか一方向へ回転して第2発電装置が電気エネルギーを発生させる波力発電システムは、第1中央下部スプロケットと第1水平下部ローラーチェーンを利用して回転軸の回転を第1発電装置の発電軸に伝えることができ、第1発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができるとともに、第2中央下部スプロケットと第2水平下部ローラーチェーンを利用して回転軸の回転を第2発電装置の発電軸に伝えることができ、第2発電装置に電気エネルギーを確実に発生させることができ、第1及び第2発電装置によって大きな電気エネルギーを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一例として示す波力発電システムの側面図。
図2図1の波力発電システムの上面図。
図3図1の波力発電システムの拡大側面図。
図4】ハウジングの内部を示す部分拡大側面図。
図5】垂直ローラーチェーンと上下動ロッドとの連結の一例を示す部分拡大側面図。
図6】下部連結プレート及び車輪の一例を示す部分拡大側面図。
図7】ギアボックスの一例を示す部分拡大図。
図8】他の一例として示す波力発電システムの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照し、本発明に係る波力発電システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示す波力発電システム10A,10Bの側面図であり、図2は、波力発電システム10A,10Bの上面図である。図3は、図1の波力発電システム10Aの拡大側面図であり、図4は、ハウジング11の内部を示す部分拡大側面図である。図5は、垂直ローラーチェーン13a~13dと上下動ロッド33a~33dとの連結の一例を示す部分拡大側面図であり、図6は、下部連結プレート42及び車輪44の一例を示す部分拡大側面図である。図7は、ギアボックス16a~16dの一例を示す部分拡大図である。図1及び図3では、垂直方向(縦方向)を矢印Xで示し、水平方向(径方向)を矢印Yで示す。
【0025】
波力発電システム10A(波力発電システム10Bを含む)は、海上における波の波力を利用して発電する。波力発電システム10Aは、ハウジング11と、第1~第4昇降機構12a~12d及び第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dと、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dと、第1~第4ギアボックス16a~16d(ギア)及び第1~第4側方上部スプロケット17a~17dと、第1~第4中央上部スプロケット18a~18d及び第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dと、回転軸20及びフライホイール21と、中央下部スプロケット22a及び側方下部スプロケット23aと、下部水平ローラーチェーン24a及び発電装置25aと、姿勢安定板26及びアンカー27(錨)とを備えている。
【0026】
ハウジング11は、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。ハウジング11は、真円形の頂壁28と、頂壁28から垂直方向下方へ離間する真円形の底壁29と、頂底壁28,29の間に位置して頂底壁28,29の外周縁から垂直方向へ延びる周壁30とから形成されている。ハウジング11には、頂底壁28,29と周壁30とに囲繞された内部収容空間31が画成されている。
【0027】
第1昇降機12aは、第1旋回ロッド32aと第1上下動ロッド33aと第1フロート34aとから形成されている。第1旋回ロッド32aは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、ハウジング11の頂壁28の中央上方から水平方向へ直状に延びている。第1旋回ロッド32aは、ハウジング11の頂壁28の中央上方に位置する基端部35と、基端部35から水平方向外方(頂壁28の径方向)へ離間し、頂壁28の外周縁の外側における海上に位置する先端部37と、基端部35及び先端部37の間に位置する中間部36とを有する。
【0028】
第1旋回ロッド32aの基端部35は、ハウジング11の頂壁28の中央から垂直方向上方へ延びる旋回プレート38に回転軸を介して連結されている。旋回プレート38は、その下端部がハウジング11の頂壁28の中央に固定されている。第1旋回ロッド32aの中間部36は、ハウジング11の頂壁28の外周縁の内側近傍に位置している。第1旋回ロッド32aの先端部37には、回転軸を介して先端連結プレート39が連結されている。第1旋回ロッド32aは、基端部35を中心として垂直方向へ旋回し、先端部37及び中間部36が上昇及び下降する。
【0029】
第1上下動ロッド33aは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1上下動ロッド33aは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、ハウジング11の周壁30の内側近傍に位置して垂直方向へ延びている。第1上下動ロッド33aは、ハウジング11の頂壁28から垂直方向上方へ露出する上端部40と、上端部40から垂直方向下方へ離間する下端部41とを有する。
【0030】
第1上下動ロッド33aの上端部40は、防水カバーに包被され、回転軸を介して第1旋回ロッド32aの中間部36に連結されている。第1上下動ロッド33aの下端部41は、回転軸を介して下部連結プレート42に連結されている。下部連結プレート42には、ベアリング43を備えた垂直方向へ並ぶ車輪44が設置されている。それら車輪44は、垂直方向へ長い第1設置ケーシング45に設置されたレール46に当接し、レール46に沿って垂直方向上方と下方とへ移動可能である。第1上下動ロッド33a及び下部連結プレート42は、第1旋回ロッド32aの旋回によって上下動し、第1旋回ロッド32aの中間部36の上昇に伴って垂直方向上方へ移動するとともに、第1旋回ロッド32aの中間部36の下降に伴って垂直方向下方へ移動する。
【0031】
第1フロート34aは、硬質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォーム等の発泡プラスチックから作られ、円柱状に成形されている。第1フロート34aは、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側であって第1旋回ロッド32aの先端部37の垂直方向下方(直下)に位置し、その頂面中央が回転軸を介して先端連結プレート39に連結されている。第1フロート34aは、その底部が海面に位置し、海面に浮上する。第1フロート34aは、海上における海面の波47の起伏運動によって上昇及び下降する。第1フロート34aが上昇すると、第1旋回ロッド32aの先端部37が上昇し、第1フロート34aが下降すると、第1旋回ロッド32aの先端部37が下降する。
【0032】
第2昇降機12bは、第2旋回ロッド32bと第2上下動ロッド33bと第2フロート34bとから形成されている。第2旋回ロッド32bは、第1旋回ロッド32aからハウジング11の頂壁28を90°離間した位置に設置され、第1旋回ロッド32aに対して直交している。第2旋回ロッド32bは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、ハウジング11の頂壁28の中央上方から水平方向へ直状に延びている。第2旋回ロッド32bは、第1旋回ロッド32aと同形同大であり、水平方向の長さ寸法が第1旋回ロッド32aのそれと同一である。第2旋回ロッド32bは、ハウジング11の頂壁28の中央上方に位置する基端部35と、基端部35から水平方向外方(頂壁28の径方向)へ離間し、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側における海上に位置する先端部37と、基端部35及び先端部37の間に位置する中間部36とを有する。
【0033】
第2旋回ロッド32bの基端部35は、ハウジング11の頂壁28の中央から垂直方向上方へ延びる旋回プレート38に回転軸を介して連結されている。旋回プレート38は、その下端部がハウジング11の頂壁28の中央に固定されている。第2旋回ロッド32bの中間部36は、ハウジング11の頂壁28の外周縁の内側近傍に位置している。第2旋回ロッド32bの先端部37には、回転軸を介して先端連結プレート39が連結されている。第2旋回ロッド32bは、基端部35を中心として垂直方向へ旋回し、先端部37及び中間部36が上昇及び下降する。
【0034】
第2上下動ロッド33bは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、第1上下動ロッド33aと同形同大であり、垂直方向の長さ寸法が第1上下動ロッド33aのそれと同一である。第2上下動ロッド33bは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第1上下動ロッド33aからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、ハウジング11の周壁30の内側近傍に位置して垂直方向へ延びている。第2上下動ロッド33bは、ハウジング11の頂壁28から垂直方向上方へ露出する上端部40と、上端部40から垂直方向下方へ離間する下端部41とを有する。
【0035】
第2上下動ロッド33bの上端部40は、防水カバーに包被され、回転軸を介して第2旋回ロッド32bの中間部36に連結されている。第2上下動ロッド33bの下端部41は、回転軸を介して下部連結プレート42に連結されている。下部連結プレート42には、ベアリング43を備えた垂直方向へ並ぶ車輪44が設置されている。それら車輪44は、垂直方向へ長い第2設置ケーシング45に設置されたレール46に当接し、レール46に沿って垂直方向上方と下方とへ移動可能である。第2上下動ロッド33b及び下部連結プレート42は、第2旋回ロッド32bの旋回によって上下動し、第2旋回ロッド32bの中間部36の上昇に伴って垂直方向上方へ移動するとともに、第2旋回ロッド32bの中間部36の下降に伴って垂直方向下方へ移動する。
【0036】
第2フロート34bは、硬質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォーム等の発泡プラスチックから作られ、第1フロート34aと同形同大であって円柱状に成形されている。第2フロート34bは、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側であって第2旋回ロッド32bの先端部37の垂直方向下方(直下)に位置し、その頂面中央が回転軸を介して先端連結プレート39に連結されている。第2フロート34bは、その底部が海面に位置し、海面に浮上する。第2フロート34bは、海上における海面の波47の起伏運動によって上昇及び下降する。第2フロート34bが上昇すると、第2旋回ロッド32bの先端部37が上昇し、第2フロート34bが下降すると、第2旋回ロッド32bの先端部37が下降する。
【0037】
第3昇降機12cは、第3旋回ロッド32cと第3上下動ロッド33cと第3フロート34cとから形成されている。第3旋回ロッド32cは、第2旋回ロッド32bからハウジング11の頂壁28を90°離間した位置に設置され、第2旋回ロッド32bに対して直交している。第3旋回ロッド32cは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、ハウジング11の頂壁28の中央上方から水平方向へ直状に延びている。第3旋回ロッド32cは、第1及び第2旋回ロッド32a,32bと同形同大であり、水平方向の長さ寸法が第1及び第2旋回ロッド32a,32bのそれらと同一である。第3旋回ロッド32cは、ハウジング11の頂壁28の中央上方に位置する基端部35と、基端部35から水平方向外方(頂壁の径方向)へ離間し、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側における海上に位置する先端部37と、基端部35及び先端部37の間に位置する中間部36とを有する。
【0038】
第3旋回ロッド32cの基端部35は、ハウジング11の頂壁28の中央から垂直方向上方へ延びる旋回プレート38に回転軸を介して連結されている。旋回プレート38は、その下端部がハウジング11の頂壁28の中央に固定されている。第3旋回ロッド32cの中間部36は、ハウジング11の頂壁28の外周縁の内側近傍に位置している。第3旋回ロッド32cの先端部37には、回転軸を介して先端連結プレート39が連結されている。第3旋回ロッド32cは、基端部35を中心として垂直方向へ旋回し、先端部37及び中間部36が上昇及び下降する。
【0039】
第3上下動ロッド33cは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、第1及び第2上下動ロッド33a,33bと同形同大であり、垂直方向の長さ寸法が第1及び第2上下動ロッド33a,33bのそれらと同一である。第3上下動ロッド33cは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第2上下動ロッド33bからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、ハウジング11の周壁30の内側近傍に位置して垂直方向へ延びている。第3上下動ロッド33cは、ハウジング11の頂壁28から垂直方向上方へ露出する上端部40と、上端部40から垂直方向下方へ離間する下端部41とを有する。
【0040】
第3上下動ロッド33cの上端部40は、防水カバーに包被され、回転軸を介して第3旋回ロッド32cの中間部36に連結されている。第3上下動ロッド33cの下端部41は、回転軸を介して下部連結プレート42に連結されている。下部連結プレート42には、ベアリング43を備えた垂直方向へ並ぶ車輪44が設置されている。それら車輪44は、垂直方向へ長い第3設置ケーシング45に設置されたレール46に当接し、レール46に沿って垂直方向上方と下方とへ移動可能である。第3上下動ロッド33c及び下部連結プレート42は、第3旋回ロッド32cの旋回によって上下動し、第3旋回ロッド32cの中間部36の上昇に伴って垂直方向上方へ移動するとともに、第3旋回ロッド32cの中間部36の下降に伴って垂直方向下方へ移動する。
【0041】
第3フロート34cは、硬質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォーム等の発泡プラスチックから作られ、第1及び第2フロート34a,34bと同形同大であって円柱状に成形されている。第3フロート34cは、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側であって第3旋回ロッド32cの先端部37の垂直方向下方(直下)に位置し、その頂面中央が回転軸を介して先端連結プレート39に連結されている。第3フロート34cは、その底部が海面に位置し、海面に浮上する。第3フロート34cは、海上における海面の波47の起伏運動によって上昇及び下降する。第3フロート34cが上昇すると、第3旋回ロッド32cの先端部37が上昇し、第3フロート34cが下降すると、第3旋回ロッド32cの先端部37が下降する。
【0042】
第4昇降機12dは、第4旋回ロッド32dと第4上下動ロッド33dと第4フロート34dとから形成されている。第4旋回ロッド32dは、第3旋回ロッド32cからハウジング11の頂壁28を90°離間した位置に設置され、第3旋回ロッド32cに対して直交している。第4旋回ロッド32dは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、ハウジング22の頂壁28の中央上方から水平方向へ直状に延びている。第4旋回ロッド32dは、第1~第3旋回ロッド32a~32cと同形同大であり、水平方向の長さ寸法が第1~第3旋回ロッド32a~32cのそれらと同一である。第4旋回ロッド32dは、ハウジング11の頂壁28の中央上方に位置する基端部35と、基端部35から水平方向外方(頂壁の径方向)へ離間し、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側における海上に位置する先端部37と、基端部35及び先端部37の間に位置する中間部36とを有する。
【0043】
第4旋回ロッド32dの基端部35は、ハウジング11の頂壁28の中央から垂直方向上方へ延びる旋回プレート38に回転軸を介して連結されている。旋回プレート38は、その下端部がハウジング11の頂壁28の中央に固定されている。第4旋回ロッド32dの中間部36は、ハウジング11の頂壁28の外周縁の内側近傍に位置している。第4旋回ロッド32の先端部37には、回転軸を介して先端連結プレート39が連結されている。第4旋回ロッド32dは、基端部35を中心として垂直方向へ旋回し、先端部37及び中間部36が上昇及び下降する。
【0044】
第4上下動ロッド33dは、繊維強化プラスチック又はアルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られ、第1~第3上下動ロッド33a~33cと同形同大であり、垂直方向の長さ寸法が第1~第3上下動ロッド33a~33cのそれらと同一である。第4上下動ロッド33dは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第3上下動ロッド33cからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、ハウジング11の周壁30の内側近傍に位置して垂直方向へ延びている。第4上下動ロッド33dは、ハウジング11の頂壁28から垂直方向上方へ露出する上端部40と、上端部40から垂直方向下方へ離間する下端部41とを有する。
【0045】
第4上下動ロッド33dの上端部40は、防水カバーに包被され、回転軸を介して第4旋回ロッド32dの中間部36に連結されている。第4上下動ロッド33dの下端部41は、回転軸を介して下部連結プレート42に連結されている。下部連結プレート42には、ベアリング43を備えた垂直方向へ並ぶ車輪44が設置されている。それら車輪44は、垂直方向へ長い第4設置ケーシング45に設置されたレール46に当接し、レール46に沿って垂直方向上方と下方とへ移動可能である。第4上下動ロッド33d及び下部連結プレート42は、第4旋回ロッド32dの旋回によって上下動し、第4旋回ロッド32dの中間部36の上昇に伴って垂直方向上方へ移動するとともに、第4旋回ロッド32dの中間部36の下降に伴って垂直方向下方へ移動する。
【0046】
第4フロート34dは、硬質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォーム等の発泡プラスチックから作られ、第1~第3フロート34a~34cと同形同大であって円柱状に成形されている。第4フロート34dは、ハウジング11の頂壁28の外周縁の外側であって第4旋回ロッド32dの先端部37の垂直方向下方(直下)に位置し、その頂面中央が回転軸を介して先端連結プレート39に連結されている。第4フロート34dは、その底部が海面に位置し、海面に浮上する。第4フロート34dは、海上における海面の波47の起伏運動によって上昇及び下降する。第4フロート34dが上昇すると、第4旋回ロッド32dの先端部37が上昇し、第4フロート34dが下降すると、第4旋回ロッド32dの先端部37が下降する。
【0047】
第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1垂直ローラーチェーン13aは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第1上下動ロッド33aの内側近傍に位置している。第1垂直ローラーチェーン13aは、第1設置ケーシング45に設置されている。第1垂直ローラーチェーン13aは、第1設置ケーシング45において垂直方向へ移動する無限軌道を形成している。第1垂直ローラーチェーン13aの第1上下動ロッド33aの側に位置する中間部48は、下部連結プレート42に連結されている。第1上下動ロッド33a(第1昇降機構12a)が垂直方向上方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに第1垂直ローラーチェーン13aが垂直方向上方(垂直方向の一方)へ移動する。第1上下動ロッド33aが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに第1垂直ローラーチェーン13aが垂直方向下方(垂直方向の他方)へ移動する。
【0048】
第2垂直ローラーチェーン13bは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第1垂直ローラーチェーン13aからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、第2上下動ロッド33bの内側近傍に位置している。第2垂直ローラーチェーン13bは、第2設置ケーシング45に設置されて垂直方向へ移動する無限軌道を形成している。第2垂直ローラーチェーン13bの第2上下動ロッド33bの側に位置する中間部48は、下部連結プレート42に連結されている。第2上下動ロッド33b(第2昇降機構12b)が垂直方向上方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに第2垂直ローラーチェーン13bが垂直方向上方(垂直方向の一方)へ移動する。第2上下動ロッド33bが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに第2垂直ローラーチェーン13bが垂直方向下方(垂直方向の他方)へ移動する。
【0049】
第3垂直ローラーチェーン13cは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第2垂直ローラーチェーン13bからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、第3上下動ロッド33cの内側近傍に位置している。第3垂直ローラーチェーン13cは、第3設置ケーシング45に設置されて垂直方向へ移動する無限軌道を形成している。第3垂直ローラーチェーン13cの第3上下動ロッド33cの側に位置する中間部48は、下部連結プレート42に連結されている。第3上下動ロッド33c(第3昇降機構12c)が垂直方向上方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに第3垂直ローラーチェーン13cが垂直方向上方(垂直方向の一方)へ移動する。第3上下動ロッド33cが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに第3垂直ローラーチェーン13cが垂直方向下方(垂直方向の他方)へ移動する。
【0050】
第4垂直ローラーチェーン13dは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第3垂直ローラーチェーン13cからハウジング11の周壁30を90°離間した位置に設置され、第4上下動ロッド33dの内側近傍に位置している。第4垂直ローラーチェーン13dは、第4設置ケーシング45に設置されて垂直方向へ移動する無限軌道を形成している。第4垂直ローラーチェーン13dの第4上下動ロッド33dの側に位置する中間部48は、下部連結プレート42に連結されている。第4上下動ロッド33d(第4昇降機構12d)が垂直方向上方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに第4垂直ローラーチェーン13dが垂直方向上方(垂直方向の一方)へ移動する。第4上下動ロッド33dが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに第4垂直ローラーチェーン13dが垂直方向下方(垂直方向の他方)へ移動する。
【0051】
第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1上部スプロケット14aは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容されているとともに、第1設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第1下部スプロケット15aは、ハウジング11の内部収容空間31における第1上部スプロケット14aの垂直方向下方(直下)であって底壁29の直上に収容され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第1上部スプロケット14a及び第1下部スプロケット15aには、第1垂直ローラーチェーン13aが掛け渡されている。第1垂直ローラーチェーン13aが垂直方向上方へ移動すると、第1上部スプロケット14a及び第1下部スプロケット15aが反時計回り方向へ回転し、第1垂直ローラーチェーン13aが垂直方向下方へ移動すると、第1上部スプロケット14a及び第1下部スプロケット15aが時計回り方向へ回転する。
【0052】
第2上部スプロケット14bは、ハウジング11の内部収容空間31における第1上部スプロケット14aからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第2設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第2下部スプロケット15bは、ハウジング11の内部収容空間31における第2上部スプロケット14bの垂直方向下方(直下)であって底壁29の直上に収容され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第2上部スプロケット14b及び第2下部スプロケット15bには、第2垂直ローラーチェーン13bが掛け渡されている。第2垂直ローラーチェーン13bが垂直方向上方へ移動すると、第2上部スプロケット14b及び第2下部スプロケット15bが反時計回り方向へ回転し、第2垂直ローラーチェーン13bが垂直方向下方へ移動すると、第2上部スプロケット14b及び第2下部スプロケット15bが時計回り方向へ回転する。
【0053】
第3上部スプロケット14cは、ハウジング11の内部収容空間31における第2上部スプロケット14bからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第3設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第3下部スプロケット15cは、ハウジング11の内部収容空間31における第3上部スプロケット14cの垂直方向下方(直下)であって底壁29の直上に収容され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第3上部スプロケット14c及び第3下部スプロケット15cには、第3垂直ローラーチェーン13cが掛け渡されている。第3垂直ローラーチェーン13cが垂直方向上方へ移動すると、第3上部スプロケット14c及び第3下部スプロケット15cが反時計回り方向へ回転し、第3垂直ローラーチェーン13cが垂直方向下方へ移動すると、第3上部スプロケット14c及び第3下部スプロケット15cが時計回り方向へ回転する。
【0054】
第4上部スプロケット14dは、ハウジング11の内部収容空間31における第3上部スプロケット14cからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第4設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第4下部スプロケット15dは、ハウジング11の内部収容空間31における第4上部スプロケット14dの垂直方向下方(直下)であって底壁29の直上に収容され、時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。第4上部スプロケット14d及び第4下部スプロケット15dには、第4垂直ローラーチェーン13dが掛け渡されている。第4垂直ローラーチェーン13dが垂直方向上方へ移動すると、第4上部スプロケット14d及び第4下部スプロケット15dが反時計回り方向へ回転し、第4垂直ローラーチェーン13dが垂直方向下方へ移動すると、第4上部スプロケット14d及び第4下部スプロケット15dが時計回り方向へ回転する。
【0055】
第1~第4ギアボックス16a~16dは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1ギアボックス16a(第1ギア)は、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容されているとともに、第1設置ケーシング45に設置されている。第1ギアボックス16aは、第1上部スプロケット14aと一体に成形されている。第1ギアボックス16aは、第1上部スプロケット14aの回転(一方向の回転)を第1側方上部スプロケット17aに伝える。第1ギアボックス16aは、第1上部スプロケット14aの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限(規制)するラチェット機構(図示せず)を備えている。
【0056】
第2ギアボックス16b(第2ギア)は、ハウジング11の内部収容空間31における第1ギアボックス16aからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第2設置ケーシング45に設置されている。第2ギアボックス16bは、第2上部スプロケット14bと一体に成形されている。第2ギアボックス16bは、第2上部スプロケット14bの回転(一方向の回転)を第2側方上部スプロケット17bに伝える。第2ギアボックス16bは、第2上部スプロケット14bの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限(規制)するラチェット機構(図示せず)を備えている。
【0057】
第3ギアボックス16c(第3ギア)は、ハウジング11の内部収容空間31における第2ギアボックス16bからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第3設置ケーシング45に設置されている。第3ギアボックス16cは、第3上部スプロケット14cと一体に成形されている。第3ギアボックス16cは、第3上部スプロケット14cの回転(一方向の回転)を第3側方上部スプロケット17cに伝える。第3ギアボックス16cは、第3上部スプロケット14cの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限(規制)するラチェット機構(図示せず)を備えている。
【0058】
第4ギアボックス16d(第4ギア)は、ハウジング11の内部収容空間31における第3ギアボックス16cからハウジング11の周壁30を90°離間した位置であって頂壁28の直下に収容されているとともに、第4設置ケーシング45に設置されている。第4ギアボックス16dは、第4上部スプロケット14dと一体に成形されている。第4ギアボックス16dは、第4上部スプロケット14dの回転(一方向の回転)を第4側方上部スプロケット17dに伝える。第4ギアボックス16dは、第4上部スプロケット14dの時計周り方向及び反時計回り方向への回転をいずれか一方向の回転に制限(規制)するラチェット機構(図示せず)を備えている。
【0059】
第1~第4側方上部スプロケット17a~17d及び第1~第4中央上部スプロケット18a~18dは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1側方上部スプロケット17aは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下であって第1ギアボックス16a(第1上部スプロケット14a)の垂直方向上方(直上)に収容されているとともに、第1設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。第1側方上部スプロケット17aは、第1ギアボックス16aに連結されている。第1側方上部スプロケット17aには、第1ギアボックス16aを介して第1上部スプロケット14aの一方向の回転(時計回り方向又は反時計回り方向の回転)が伝達される。第1中央上部スプロケット18aは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の中央直下に収容されているとともに、第1側方上部スプロケット17aから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。第1中央上部スプロケット18aは、回転軸20に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。
【0060】
第2側方上部スプロケット17bは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下であって第2ギアボックス16b(第2上部スプロケット14b)の垂直方向上方(直上)に収容されているとともに、第2設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。第2側方上部スプロケット17bは、第2ギアボックス16bに連結されている。第2側方上部スプロケット17bには、第2ギアボックス16bを介して第2上部スプロケット14bの一方向の回転(時計回り方向又は反時計回り方向の回転)が伝達される。第2中央上部スプロケット18bは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の中央直下に収容されているとともに、第2側方上部スプロケット17bから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。第2中央上部スプロケット18bは、回転軸20に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。
【0061】
第3側方上部スプロケット17cは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下であって第3ギアボックス16c(第3上部スプロケット14c)の垂直方向上方(直上)に収容されているとともに、第3設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。第3側方上部スプロケット17cは、第3ギアボックス16cに連結されている。第3側方上部スプロケット17cには、第3ギアボックス16cを介して第3上部スプロケット14cの一方向の回転(時計回り方向又は反時計回り方向の回転)が伝達される。第3中央上部スプロケット18cは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の中央直下に収容されているとともに、第3側方上部スプロケット17cから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。第3中央上部スプロケット18cは、回転軸20に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。
【0062】
第4側方上部スプロケット17dは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下であって第4ギアボックス16d(第4上部スプロケット14d)の垂直方向上方(直上)に収容されているとともに、第4設置ケーシング45に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。第4側方上部スプロケット17dは、第4ギアボックス16dに連結されている。第4側方上部スプロケット17dには、第4ギアボックス16dを介して第4上部スプロケット14dの一方向の回転(時計回り方向又は反時計回り方向の回転)が伝達される。第4中央上部スプロケット18dは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の中央直下に収容されているとともに、第4側方上部スプロケット17dから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。第4中央上部スプロケット18dは、回転軸20に回転可能に設置され、時計回り方向又は反時計回り方向へ回転する。第1~第4中央上部スプロケット18a~18dは、回転軸20の垂直方向上方から下方に向かって第1中央上部スプロケット18a→第2中央上部スプロケット18b→第3中央上部スプロケット18c→第4中央上部スプロケット18dの順に並んでいる。
【0063】
第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。第1上部水平ローラーチェーン19aは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容され、第1垂直ローラーチェーン13a(第1ギアボックス16a)の垂直方向上方に位置して回転軸20に向かって水平方向(径方向)へ延びている。第1上部水平ローラーチェーン19aは、第1側方上部スプロケット17aと第1中央上部スプロケット18aとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第1側方上部スプロケット17aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第1上部水平ローラーチェーン19aが水平方向の一方へ移動し、第1上部水平ローラーチェーン19aが水平方向の一方へ移動すると、第1中央上部スプロケット18aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0064】
第2上部水平ローラーチェーン19bは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容され、第2垂直ローラーチェーン13b(第2ギアボックス16b)の垂直方向上方に位置して回転軸20に向かって水平方向(径方向)へ延びている。第2上部水平ローラーチェーン19bは、第2側方上部スプロケット17bと第2中央上部スプロケット18bとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第2側方上部スプロケット17bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第2上部水平ローラーチェーン19bが水平方向の一方へ移動し、第2上部水平ローラーチェーン19bが水平方向の一方へ移動すると、第2中央上部スプロケット18bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0065】
第3上部水平ローラーチェーン19cは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容され、第3垂直ローラーチェーン13c(第3ギアボックス16c)の垂直方向上方に位置して回転軸20に向かって水平方向(径方向)へ延びている。第3上部水平ローラーチェーン19cは、第3側方上部スプロケット17cと第3中央上部スプロケット18cとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第3側方上部スプロケット17cが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第3上部水平ローラーチェーン19cが水平方向の一方へ移動し、第3上部水平ローラーチェーン19cが水平方向の一方へ移動すると、第3中央上部スプロケット18cが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0066】
第4上部水平ローラーチェーン19dは、ハウジング11の内部収容空間31における頂壁28の直下に収容され、第4垂直ローラーチェーン13d(第4ギアボックス16d)の垂直方向上方に位置して回転軸に向かって水平方向(径方向)へ延びている。第4上部水平ローラーチェーン19dは、第4側方上部スプロケット17dと第4中央上部スプロケット18dとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第4側方上部スプロケット17dが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第4上部水平ローラーチェーン19dが水平方向の一方へ移動し、第4上部水平ローラーチェーン19dが水平方向の一方へ移動すると、第4中央上部スプロケット18dが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0067】
回転軸20は、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。回転軸20は、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、ハウジング11の中央に位置して垂直方向へ延びている。回転軸20は、その上端部49がハウジング11の頂壁28中央に回転可能に連結され、その下端部50がハウジング11の底壁29中央に回転可能に連結されている。
【0068】
フライホイール21は、回転軸20の上端部49における第1中央上部スプロケット18aの直上に取り付けられている。フライホイール21は、回転軸20とともに回転し、その慣性モーメントを利用して回転軸20の回転を円滑かつ安定させる。第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dが水平方向の一方へ移動し、第1~第4中央上部スプロケット18a~18dが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、それによって回転軸20及びフライホイール21が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0069】
中央下部スプロケット22a及び側方下部スプロケット23aは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。中央下部スプロケット22aは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、回転軸20の下端部50に回転可能に設置されている。回転軸20が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、中央下部スプロケット22aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。側方下部スプロケット23aは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、中央下部スプロケット22aから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。側方下部スプロケット23aは、発電装置25aの発電軸51に設置されている。
【0070】
水平下部ローラーチェーン24aは、アルミ合金やチタン合金、ニッケル合金等の金属から作られている。水平下部ローラーチェーン24aは、ハウジング11の内部収容空間31における底壁29の直上に収容され、回転軸20から発電装置25aに向かって水平方向(径方向)へ延びている。水平下部ローラーチェーン24aは、中央下部スプロケット22aと側方下部スプロケット23aとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。中央下部スプロケット22aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、水平下部ローラーチェーン24aが水平方向の一方へ移動し、水平下部ローラーチェーン24aが水平方向の一方へ移動すると、側方下部スプロケット23aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0071】
発電装置25aは、回転軸20から水平方向外方(径方向外方)に離間対向して位置し、ハウジング11の底壁29に固定されている。発電装置25aは、側方下部スプロケット23aが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、その発電軸51が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。発電装置25aは、発電軸51が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転することで、発電する(電気エネルギーを発生する)。発電装置25aには、電力ケーブル(図示せず)が接続され、発電装置25aによって発電された電気(電気エネルギー)が電力ケーブルによって負荷に給電される。
【0072】
姿勢安定板26は、炭素鋼や合金鋼、鋳鉄から作られて所定の重量を有し、所定厚みを有する円盤状に成形されている。姿勢安定板26は、その面積がハウジング11の底壁29のそれよりも大きく、ハウジング11の底壁29の垂直方向下方に位置し、複数本の第1アンカーチェーン52(第1連結チェーン)を介してハウジング11の底壁29に連結されている。それら第1アンカーチェーン52は、ハウジング11の底壁29及び姿勢安定板26に固定され、ハウジング11の底壁29と姿勢安定板26との間に位置して垂直方向へ延びている。姿勢安定板26は、ハウジング11の下方の海中に位置し、波47の起伏運動がハウジング11に作用したときのハウジング11の揺れを抑制し、ハウジング11の姿勢を一定に保持する。
【0073】
アンカー27(錨)は、炭素鋼や合金鋼、鋳鉄から作られて所定の重量を有する。アンカー27は、姿勢安定板26の垂直方向下方に位置し、複数本の第2アンカーチェーン53(第1連結チェーン)を介して姿勢安定板26に連結されている。それら第2アンカーチェーン53は、姿勢安定板26に固定されているとともにアンカー27に連結されている。アンカー27は、海底に食い込むことで、ハウジング11が潮に流されることを防ぎ、ハウジング11を海上の所定箇所に留める。
【0074】
波力発電システム10Aの発電過程を説明すると、以下のとおりである。尚、波力発電システム10A(波力発電システム10Bを含む)は、所定の海域の海上に設置される。波力発電システム10Aが海上に設置されると、アンカー27が海底に食い込み、ハウジング11の位置が固定され、海中に位置する姿勢安定板26によって海上におけるハウジング11の姿勢が安定する。波力発電システム10Aでは、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4フロート34a~34dの上昇時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(反時計回り方向)へ回転し、第1~第4フロート34a~34dの下降時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが回転しないように調節されているものとする。尚、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4フロート34a~34dの下降時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(時計回り方向)へ回転し、第1~第4フロート34a~34dの上昇時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが回転しないように調節されていてもよい。
【0075】
ハウジング11が海上に設置されると、波47の起伏運動によって第1~第4フロート34a~34dが海面において上昇又は下降する。第1~第4フロート34a~34dが上昇すると、第1~第4フロート34a~34dによって第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が持ち上げられて第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が上昇し、第1~第4旋回ロッド32a~32dが基端部35を中心に垂直方向上方へ旋回する。第1~第4旋回ロッド32a~32dが垂直方向上方へ旋回すると、それら旋回ロッド32a~32dの中間部36に連結された第1~第4上下動ロッド33a~33dが第1~第4旋回ロッド32a~32dによって持ち上げられて第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向上方へ移動する。
【0076】
第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向上方へ移動すると、それに伴って各下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに、下部連結プレート42に連結された第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが一方向(反時計回り方向)へ移動する。尚、各下部連結プレート42に設置された車輪44がレール46に沿って垂直方向上方へ移動する。第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが一方向(反時計回り方向)へ移動すると、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dが一方向(反時計回り方向)へ回転する。
【0077】
第1~第4上部スプロケット14a~14dが一方向(反時計回り方向)へ回転すると、第1~第4ギアボックス16a~16dが第1~第4上部スプロケット14a~14dの一方向(反時計回り方向)の回転を第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝える。尚、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4上部スプロケット14a~14dの一方向(反時計回り方向)の回転が制限(規制)されていないから、第1~第4上部スプロケット14a~14dの一方向(反時計回り方向)の回転が第1~第4ギアボックス16a~16dを介して第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝えられる。
【0078】
第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(反時計回り方向)の回転すると、第1~第4水平ローラーチェーン19a~19dが一方向(反時計回り方向)へ移動する。第1~第4水平ローラーチェーン19a~19dが一方向(反時計回り方向)へ移動すると、第1~第4中央上部スプロケット18a~18dが一方向(反時計回り方向)の回転するとともに、回転軸20が一方向(反時計回り方向)の回転する。回転軸20が一方向(反時計回り方向)へ回転すると、中央下部スプロケット22aが一方向(反時計回り方向)の回転するとともに、水平下部ローラーチェーン24aが水平方向の一方向(反時計回り方向)へ移動する。
【0079】
水平下部ローラーチェーン24aが水平方向の一方向(反時計回り方向)へ移動すると、側方下部スプロケット23aが一方向(反時計回り方向)の回転し、それに伴って発電装置25aの発電軸51が一方向(反時計回り方向)の回転する。発電装置25aの発電軸51が回転すると、発電装置25aが電気を発電し(電気エネルギーを発生し)、電気が(電気エネルギー)電力ケーブルを介して各負荷に給電される。
【0080】
次に、第1~第4フロート34a~34dが波47の最上位まで上昇した状態から波47の起伏運動によって下降に転じると、第1~第4フロート34a~34dによって第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が引き下げられて第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が下降し、第1~第4旋回ロッド32a~32dが基端部35を中心に垂直方向下方へ旋回する。第1~第4旋回ロッド32a~32dが垂直方向下方へ旋回すると、それら旋回ロッド32a~32dの中間部36に連結された第1~第4上下動ロッド33a~33dが第1~第4旋回ロッド32a~32dによって押し下げられて第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向下方へ移動する。
【0081】
第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って各下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに、下部連結プレート42に連結された第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが他方向(時計回り方向)へ移動する。尚、各下部連結プレート42に設置された車輪44がレール46に沿って垂直方向下方へ移動する。第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが他方向(時計回り方向)へ移動すると、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dが他方向(時計回り方向)へ回転する。
【0082】
第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4上部スプロケット14a~14dの他方向(時計回り方向)の回転が制限(規制)されているから、第1~第4上部スプロケット14a~14dが他方向(時計回り方向)へ回転したとしても、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構が空回りし、第1~第4上部スプロケット14a~14dの他方向(時計回り方向)の回転が第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝えられず、第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが他方向(時計回り方向)の回転することはない。従って、回転軸20が回転することはなく、発電装置25aによる発電は行われない。
【0083】
第1~第4フロート34a~34dが波47の起伏運動によって波47の最下位まで下降した後、上昇に転じると、既述のように、発電装置25aの発電軸51が一方向(反時計回り方向)へ回転し、発電装置25aが電気を発電する(電気エネルギーを発生する)。波力発電システム10Aは、回転軸20にフライホイール21が取り付けられているから、第1~第4フロート34a~34dの下降中であってもフライホイール21の慣性モーメントによって回転軸20が回転を継続し、回転軸20が連続して回転し、第1~第4フロート34a~34dの下降時においても発電装置25aが電気を発電する。
【0084】
図8は、他の一例として示す波力発電システム10Bの側面図である。この波力発電システム10Bが図1のそれと異なるところは、2台の発電装置25a,25bが設置されている点にあり、この波力発電システム10Bのその他の構成は図1の波力発電システム10Aのそれらと同一であるから、図1の波力発電システム10Aの説明を援用するとともに、図1の波力発電システム10Aと同一の符号を付すことで、波力発電システム10Bのその他の構成の説明は省略する。
【0085】
波力発電システム10Bは、ハウジング11と、第1~第4昇降機構12a~12d及び第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dと、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dと、第1~第4ギアボックス16a~16d(ギア)及び第1~第4側方上部スプロケット17a~17dと、第1~第4中央上部スプロケット18a~18d及び第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dと、回転軸20及びフライホイール21と、第1及び第2中央下部スプロケット22a,22b及び第1及び第2側方下部スプロケット23a,23bと、第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24b及び第1及び第2発電装置25a,25bと、姿勢安定板26及びアンカー27(錨)とを備えている。
ハウジング11、第1~第4昇降機構12a~12、第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13d、第1~第4上部スプロケット14a~14d、第1~第4下部スプロケット15a~15d、第1~第4ギアボックス16a~16d(ギア)、第1~第4側方上部スプロケット17a~17d、第1~第4中央上部スプロケット18a~18d、第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19d、回転軸20、フライホイール21、姿勢安定板及26、アンカー27は、図1の波力発電システム10Aのそれらと同一である。
【0086】
第1及び第2中央下部スプロケット22a,22bは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、回転軸20の下端部50に回転可能に設置されている。回転軸20が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第1及び第2中央下部スプロケット22a,22bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。第1及び第2側方下部スプロケット23a,23bは、ハウジング11の内部収容空間31に収容され、第1及び第2中央下部スプロケット22a,22bから水平方向内方(径方向内方)に離間対向して位置している。第2側方下部スプロケット23bは、第1側方下部スプロケット23aからハウジング11の周壁30を180°離間して位置に設置されている。第1側方下部スプロケット23aは、第1発電装置25aの発電軸51に設置され、第2側方下部スプロケット23bは、第2発電装置25bの発電軸51に設置されている。
【0087】
第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24bは、ハウジング11の内部収容空間31における底壁29の直上に収容され、回転軸20から第1及び第2発電装置25a,25bに向かって水平方向(径方向)へ延びている。第2水平下部ローラーチェーン24bは、第1水平下部ローラーチェーン24aからハウジング11の周壁30を180°離間した位置に設置されている。第1水平下部ローラーチェーン24aは、第1中央下部スプロケット22aと第1側方下部スプロケット23aとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第2水平下部ローラーチェーン24bは、第2中央下部スプロケット22bと第2側方下部スプロケット23bとに掛け渡され、水平方向へ移動する無限軌道を形成している。第1及び第2中央下部スプロケット22a,22bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24bが水平方向の一方へ移動し、第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24bが水平方向の一方へ移動すると、第1及び第2側方下部スプロケット23a,23bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。
【0088】
第1及び第2発電装置25a,25bは、回転軸20から水平方向外方(径方向外方)に離間対向して位置し、ハウジング11の底壁29に固定されている。第2発電装置25bは、第1発電装置25aからハウジング11の周壁30を180°離間した位置に設置されている。第1及び第2発電装置25a,25bは、第1及び第2側方下部スプロケット23a,23bが一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転すると、発電軸51が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転する。第1及び第2発電装置25a,25bは、発電軸51が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転することで、発電する(電気エネルギーを発生する)。第1及び第2発電装置25a,25bには、電力ケーブル(図示せず)が接続され、第1及び第2発電装置によって発電された電気(電気エネルギー)が電力ケーブルによって負荷に給電される。
【0089】
波力発電システム10Bの発電過程を説明すると、以下のとおりである。波力発電システム10Bでは、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4フロート34a~34dの下降時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(時計回り方向)へ回転し、第1~第4フロート34a~34dの上昇時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが回転しないように調節されているものとする。尚、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4フロート34a~34dの上昇時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(反時計回り方向)へ回転し、第1~第4フロート34a~34dの下降時に第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが回転しないように調節されていてもよい。
【0090】
波47の起伏運動によって第1~第4フロート34a~34dが下降すると、第1~第4フロート34a~34dによって第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が引き下げられて第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が下降し、第1~第4旋回ロッド32a~32dが基端部35を中心に垂直方向下方へ旋回する。第1~第4旋回ロッド32a~32dが垂直方向下方へ旋回すると、それら旋回ロッド32a~32dの中間部36に連結された第1~第4上下動ロッド33a~33d(昇降機構)が第1~第4旋回ロッド32a~32dによって引き下げられて第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向下方へ移動する。
【0091】
第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向下方へ移動すると、それに伴って各下部連結プレート42が垂直方向下方へ移動するとともに、下部連結プレート42に連結された第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが他方向(時計回り方向)へ移動する。尚、各下部連結プレート42に設置された車輪44がレール46に沿って垂直方向下方へ移動する。第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが他方向(時計回り方向)へ移動すると、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dが他方向(時計回り方向)へ回転する。
【0092】
第1~第4上部スプロケット14a~14dが他方向(時計回り方向)へ回転すると、第1~第4ギアボックス16a~16dが第1~第4上部スプロケット14a~14dの他方向(時計回り方向)の回転を第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝える。尚、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4上部スプロケット14a~14dの他方向(時計回り方向)の回転が制限(規制)されていないから、第1~第4上部スプロケット14a~14dの他方向(時計回り方向)の回転が第1~第4ギアボックスを介して第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝えられる。
【0093】
第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが他方向(時計回り方向)の回転すると、第1~第4水平ローラーチェーン19a~19dが他方向(時計回り方向)へ移動する。第1~第4水平ローラーチェーン19a~19dが他方向(時計回り方向)へ移動すると、第1~第4中央上部スプロケット18a~18dが他方向(時計回り方向)の回転するとともに、回転軸20が他方向(時計回り方向)の回転する。回転軸20が他方向(時計回り方向)の回転すると、第1及び第2中央下部スプロケット22a,22bが他方向(時計回り方向)の回転するとともに、第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24bが水平方向の他方向(時計回り方向)へ移動する。
【0094】
第1及び第2水平下部ローラーチェーン24a,24bが水平方向の他方向(時計回り方向)へ移動すると、第1及び第2側方下部スプロケット23a,23bが他方向(時計回り方向)の回転し、それに伴って第1及び第2発電装置25a,25bの発電軸51が他方向(時計回り方向)の回転する。第1及び第2発電装置25a,25bの発電軸51が回転すると、発電装置25a,25bが電気を発電し(電気エネルギーを発生し)、電気が(電気エネルギー)電力ケーブルを介して各負荷に給電される。
【0095】
次に、第1~第4フロート34a~34dが波47の最下位まで下降した状態から波47の起伏運動によって上昇に転じると、第1~第4フロート34a~34dによって第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が持ち上げられて第1~第4旋回ロッド32a~32dの先端部37が上昇し、第1~第4旋回ロッド32a~32dが基端部35を中心に垂直方向上方へ旋回する。第1~第4旋回ロッド32a~32dが垂直方向上方へ旋回すると、それら旋回ロッド32a~32dの中間部36に連結された第1~第4上下動ロッド33a~33dが第1~第4旋回ロッド32a~32dによって持ち上げられて第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向上方へ移動する。
【0096】
第1~第4上下動ロッド33a~33dが垂直方向上方へ移動すると、それに伴って各下部連結プレート42が垂直方向上方へ移動するとともに、下部連結プレート42に連結された第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが一方向(反時計回り方向)へ移動する。尚、各下部連結プレート42に設置された車輪44がレール46に沿って垂直方向上方へ移動する。第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが一方向(反時計回り方向)へ移動すると、第1~第4上部スプロケット14a~14d及び第1~第4下部スプロケット15a~15dが一方向(反時計回り方向)へ回転する。
【0097】
第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構によって第1~第4上部スプロケット14a~14dの一方向(反時計回り方向)の回転が制限(規制)されているから、第1~第4上部スプロケット14a~14dが一方向(反時計回り方向)へ回転したとしても、第1~第4ギアボックス16a~16dのラチェット機構が空回りし、第1~第4上部スプロケット14a~14dの一方向(反時計回り方向)の回転が第1~第4側方上部スプロケット17a~17dに伝えられず、第1~第4側方上部スプロケット17a~17dが一方向(反時計回り方向)へ回転することはない。従って、回転軸20が回転することはなく、発電装置25a,25bによる発電は行われない。
【0098】
第1~第4フロート34a~34dが波47の起伏運動によって波47の最上位まで上昇した後、下降に転じると、既述のように、発電装置25a,25bの発電軸51が他方向(時計回り方向)へ回転し、発電装置25a,25bが電気を発電する(電気エネルギーを発生する)。波力発電システム10Bは、回転軸20にフライホイール21が取り付けられているから、第1~第4フロート34a~34dの上昇中(ラチェット機構の空回り中)であってもフライホイール21の慣性モーメントによって回転軸20が回転を継続し、回転軸20が連続して回転し、第1~第4フロート34a~34dの上昇時においても発電装置25a,25bが電気を発電する。
【0099】
尚、図1の波力発電システム10A及び図8の波力発電システム10Bでは、第1~第4の昇降機構12a~12dや垂直ローラーチェーン13a~13d、上部スプロケット14a~14d、下部スプロケット15a~15d、ギアボックス16a~16d、側方上部スプロケット17a~17d、中央上部スプロケット18a~18d、上部水平ローラーチェーン19a~19dを図示しているが、それらが1つ、2つ、3つであってもよく、それらが5つ以上であってもよい。又、波力発電システム10A,10Bでは、1つ又は第1及び第2の中央下部スプロケット22a,22b、側方下部スプロケット23a,23b、水平下部ローラーチェーン24a,24b、発電装置25a,25bを図示しているが、それらが3つ以上であってもよい。
【0100】
波力発電システム10A,10Bは、海上における海面の波47の起伏運動によって第1~第4フロート34a~34dが上昇及び下降し、第1~第4フロート34a~34dの上昇又は下降によって第1~第4上下動ロッド33a~33dが上下動して第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dが垂直方向へ移動し、第1~第4垂直ローラーチェーン13a~13dの移動によって第1~第4上部スプロケット14a~14dが時計周り方向及び反時計回り方向へ回転し、ラチェット機構によって制限された一方向の回転(時計周り方向及び反時計回り方向)によって第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dが水平方向の一方へ移動するとともに、第1~第4上部水平ローラーチェーン19a~19dの移動によって垂直方向へ延びる回転軸20が時計周り方向又は反時計回り方向へ回転し、回転軸20の時計周り方向又は反時計回り方向への回転を利用して発電装置25a,25bが電気を発電するから(電気エネルギーを発生するから)、海の干潮又は満潮にかかわらず、海面の波47の起伏運動を利用して第1~第4フロート34a~34dが上昇及び下降し、第1~第4フロート34a~34dの上昇又は下降によって第1~第4上下動ロッド33a~33dを上下動させることができ、第1~第4上下動ロッド33a~33dの上下動運動を回転軸20の回転運動に変換することで、回転軸20を確実に回転させることができるとともに、発電装置25a,25bに電気エネルギーを確実に発生させることができる。
【0101】
波力発電システム10A,10Bは、姿勢安定板26によって海上におけるハウジング11の姿勢が安定するから、海面の波47の起伏運動が第1~第4フロート34a~34d(昇降機構)に円滑かつ安定して伝達され、第1~第4フロート34a~34dを上昇運動及び下降運動を回転軸20の回転運動に確実に変換することができ、発電装置25a,25bに電気エネルギーを確実に発生させることができる。波力発電システム10A,10Bは、海底に位置するアンカー27がハウジング11の海上における不用意な移動を阻止するから、波力発電システム10A,10Bが潮に流されることを防ぐことができ、波力発電システム10A,10Bを海の所定の箇所に留めることができる。
【0102】
波力発電システム10A,10Bは、回転軸20にフライホイール21が取り付けられているから、第1~第4フロート34a~34dの上昇中(ラチェット機構の空回り中)又は下降中(ラチェット機構の空回り中)においてもフライホイール21の慣性モーメントによって回転軸20が回転を継続し、フライホイール21の慣性モーメントによって回転軸20の回転が安定し、回転軸20が円滑に連続して回転し、安定かつ連続した回転軸20の回転によって発電装置25a,25bに一定の電気エネルギーを連続的に発生させることができる。
【0103】
波力発電システム10Bは、第1中央下部スプロケット22a、第1側方下部スプロケット23a、第1水平下部ローラーチェーン24aを利用して回転軸20の回転を第1発電装置25aの発電軸51に伝えることができ、第1発電装置25aに電気エネルギーを確実に発生させることができるとともに、第2中央下部スプロケット22b、第1側方下部スプロケット23b、第2水平下部ローラーチェーン24bを利用して回転軸20の回転を第2発電装置25bの発電軸51に伝えることができ、第2発電装置25bに電気エネルギーを確実に発生させることができ、第1及び第2発電装置25a,25bによって大きな電気エネルギーを取り出すことができる。
【符号の説明】
【0104】
10A 波力発電システム
10B 波力発電システム
11 ハウジング11
12a~12d 第1~第4昇降機構
13a~13d 第1~第4垂直ローラーチェーン
14a~14d 第1~第4上部スプロケット
15a~15d 第1~第4下部スプロケット
16a~16d 第1~第4ギアボックス(ギア)
17a~17d 第1~第4側方上部スプロケット
18a~18d 第1~第4中央上部スプロケット
19a~19d 第1~第4上部水平ローラーチェーン
20 回転軸
21 フライホイール
22a,22b 第1及び第2中央下部スプロケット
23a,23b 第1及び第2側方下部スプロケット
24a,24b 第1及び第2水平下部ローラーチェーン
25a,25b 第1及び第2発電装置
26 姿勢安定板
27 アンカー(錨)
28 頂壁
29 底壁
30 周壁
31 内部収容空間
32a~32d 第1~第4旋回ロッド
33a~33d 第1~第4上下動ロッド
34a~34d 第1~第4フロート
35 基端部
36 中間部
37 先端部
38 旋回プレート
39 先端連結プレート
40 上端部
41 下端部
42 下部連結プレート
43 ベアリング
44 車輪
45 第1~第4ケーシング
46 レール
47 波
48 中間部
49 上端部
50 下端部
51 発電軸
52 第1アンカーチェーン(第1連結チェーン)
53 第2アンカーチェーン(第2連結チェーン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8