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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090656
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20240627BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240627BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240627BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240627BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240627BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206692
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】雲石 隆司
【テーマコード(参考)】
4D002
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA13
4D002BA16
4D002CA01
4D002DA32
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB06
4D002GB20
4D002HA08
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC08
4G146JC28
(57)【要約】
【課題】燃焼装置の運転負荷に則して二酸化炭素回収を効率良く行うことができる船舶を提供する。
【解決手段】船舶は、船体と、船体に設けられ、燃料を燃焼させる燃焼装置と、船体に設けられて、燃焼装置の排ガスから、排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収部と、燃焼装置の排ガスを、二酸化炭素回収部に送り込む送風部と、を備え、送風部は、燃焼装置の排ガスを二酸化炭素回収部に向かって送風するブロワと、ブロワの入口側に設けられ、開度が変更されることで、ブロワで二酸化炭素回収部に送り込む排ガスの流量を調整する流量調整部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に設けられ、燃料を燃焼させる燃焼装置と、
前記船体に設けられて、前記燃焼装置の排ガスから、前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収部と、
前記燃焼装置の排ガスを、前記二酸化炭素回収部に送り込む送風部と、を備え、
前記送風部は、
前記燃焼装置の排ガスを前記二酸化炭素回収部に向かって送風するブロワと、
前記ブロワの入口側に設けられ、開度が変更されることで、前記ブロワで前記二酸化炭素回収部に送り込む排ガスの流量を調整する流量調整部と、
を備える船舶。
【請求項2】
前記流量調整部は、
軸線方向に延びるセンターハブと、
前記センターハブに対し、前記軸線を中心とした径方向の外側に、前記軸線回りの周方向に間隔をあけて配置され、前記径方向に延びる軸部回りに回転可能とされた複数の可動翼と、を備える
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記燃焼装置の排ガスの流量に基づいて、前記流量調整部の動作を制御する制御装置、を更に備える
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ブロワの回転数を制御する
請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記二酸化炭素回収部は、
前記燃焼装置の排ガス、及び前記排ガス中の二酸化炭素を吸収可能な吸収液が導入され、前記吸収液により前記排ガス中の二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、
二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から二酸化炭素を分離させる再生塔と、
前記再生塔で分離された二酸化炭素を回収する回収部と、を備え、
前記制御装置は、
前記燃焼装置の負荷に関連する情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記情報取得部で取得した、前記燃焼装置の負荷に関連する情報に基づいて、前記流量調整部の動作を制御して前記ブロワで前記二酸化炭素回収部に送り込む排ガスの流量を調整する
請求項3に記載の船舶。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記二酸化炭素回収部における前記二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、前記流量調整部で前記二酸化炭素回収部に送り込む排ガスの流量を調整する
請求項3に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料(天然ガス)を燃焼した排ガスから二酸化炭素を分離する分離装置を備えた回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-176954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発電所等の陸上プラントにおいては、燃料を燃焼させることで発生する排ガスの量に大きな変動が生じることは少ない。このため、上記した特許文献1のような回収装置では、例えば、排ガスから二酸化炭素を分離するために用いる吸収液、分離装置等で冷却を行うための水等の液体を送給するためのポンプが、ほぼ一定の回転数で運転される場合が多い。
これに対し、船舶の主機、発電機等の燃焼装置においては、船舶の運航状況、天候等に応じて、負荷が大きく変動する。この場合、燃焼装置で発生する排ガスの量も、状況に応じて大きく変動することがある。一方、回収装置においては、燃焼装置で想定される排ガスの最大量に応じて、運転がなされる。このため、例えば、燃焼装置の負荷が小さい状態では、回収装置を運転するために必要なエネルギーに無駄が生じてしまうこともある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、燃焼装置の運転負荷に則して二酸化炭素回収を効率良く行うことができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、燃焼装置と、二酸化炭素回収部と、送風部と、を備える。前記燃焼装置は、前記船体に設けられ、燃料を燃焼させる。前記二酸化炭素回収部は、前記船体に設けられている。前記二酸化炭素回収部は、前記燃焼装置の排ガスから、前記排ガス中の二酸化炭素を回収する。前記送風部は、前記燃焼装置の排ガスを、前記二酸化炭素回収部に送り込む。前記送風部は、ブロワと、流量調整部と、を備える。前記ブロワは、前記燃焼装置の排ガスを前記二酸化炭素回収部に向かって送風する。前記流量調整部は、前記ブロワの入口側に設けられている。前記流量調整部は、開度が変更されることで、前記ブロワで前記二酸化炭素回収部に送り込む排ガスの流量を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の船舶によれば、燃焼装置の運転負荷に則して二酸化炭素回収を効率良く行うことができる船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶の二酸化炭素回収部の構成を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶の流量調整部の構成を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る船舶の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る船舶について、図1図5を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態の船舶1は、船体2と、上部構造4と、燃焼装置8と、二酸化炭素回収部10と、を少なくとも備えている。なお、この実施形態の船舶1の船種は、特定の船種に限られない。船舶1の船種としては、液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等を例示できる。
【0010】
船体2は、その外殻をなす一対の舷側5A,5Bと船底6とを有している。舷側5A,5Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底6は、これら舷側5A,5Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側5A,5B及び船底6により、船体2の外殻は、船首尾方向FAと垂直な断面においてU字状を成している。
【0011】
船体2は、最も上層に配置される全通甲板である上甲板7を更に備えている。上部構造4は、この上甲板7上に形成されている。上部構造4内には、居住区等が設けられている。この実施形態の船舶1では、例えば、上部構造4よりも船首尾方向FAの船首2a側に、貨物を搭載するカーゴスペース(図示無し)が設けられている。
【0012】
燃焼装置8は、燃料を燃焼させることで熱エネルギーを発生させる装置であり、上記の船体2内に設けられている。燃焼装置8としては、船舶1を推進させるための主機に用いられる内燃機関、船内に電気を供給する発電設備に用いられる内燃機関、作動流体としての蒸気を発生させるボイラー等を例示できる。
【0013】
(二酸化炭素回収部の構成)
二酸化炭素回収部10は、燃焼装置8の排ガス中の二酸化炭素を回収する。二酸化炭素回収部10は、船体2に設けられている。本実施形態で例示する二酸化炭素回収部10は、船体2の上甲板7上に設けられているが、二酸化炭素回収部10の配置は、上甲板7上に限られるものでは無い。
【0014】
図2は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素回収部の構成を示す図である。
図2に示すように、二酸化炭素回収部10は、排ガス冷却塔11と、吸収塔12と、再生塔13と、排ガス洗浄塔14と、回収部15と、送風部20と、制御装置60と、を備えている。
【0015】
排ガス冷却塔11は、燃焼装置8(図1参照)の排ガスを、船体2の浮かぶ周囲の水や、船体2内に設けられた清水タンク(図示せず)に貯留されている清水を冷却液として冷却(例えば、40℃程度まで冷却)している。なお、排ガス冷却塔11は、必要に応じて設ければ良く、例えば、吸収塔12に導入される排ガス温度が十分に低下している場合には省略してもよい。
【0016】
排ガス冷却塔11の下部には、燃焼装置8の排ガスを送給する排ガス導入管101が接続されている。排ガス冷却塔11は、塔本体11aと、塔本体11a内の上部から冷却液を散布するノズル(図示せず)と、を備えている。
排ガス冷却塔11には、冷却液を循環させる冷却液供給系統102が接続されている。冷却液供給系統102の一端は、塔本体11aの底部に接続されている。冷却液供給系統102の他端は、塔本体11aの上部において、ノズル(図示せず)に接続されている。
【0017】
冷却液供給系統102の途中には、冷却液供給ポンプ31と、熱交換器41と、が設けられている。冷却液供給ポンプ31は、塔本体11aの底部に溜まった冷却液を塔本体11a内から吸い出し、塔本体11aの上部のノズルに供給する。ノズルに供給された冷却液は、ノズルから塔本体11a内に散布され、塔本体11a内に送り込まれた排ガスと接触する。これにより、排ガスが冷却されるとともに、排ガスに含まれる煤塵等が冷却液によって捕捉されて洗い流される。
【0018】
熱交換器41は、二酸化炭素回収部10の外部から供給される冷却水と、冷却液供給系統102内を流れる冷却液との間で熱交換を行う。言い換えれば、熱交換器41は、二酸化炭素回収部10の外部から供給される冷却水により、冷却液供給系統102内を流れる冷却液を冷却する。
【0019】
塔本体11aの頂部には、排ガス吐出管103の一端が接続されている。排ガス吐出管103は、塔本体11a内で冷却液によって冷却されるとともに、煤塵等が洗い流された排ガスを、吸収塔12に送り込む。
【0020】
吸収塔12は、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる。吸収塔12は、塔本体12aと、塔本体12a内の上部から吸収液を散布するノズル(図示せず)と、を備えている。塔本体12aの下部には、排ガス吐出管103の他端が接続されている。排ガス吐出管103を通して、排ガス冷却塔11を経た排ガスが、塔本体12a内に送り込まれる。
【0021】
吸収液は、後述する循環系統106を介して再生塔13から供給される。吸収塔12は、例えば、塔本体12a内のノズルから吸収液を降らせて、吸収塔12内に導入された排ガスに接触させることで、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる。吸収塔12は、排ガスに含まれる二酸化炭素を、例えば化学吸収法により、吸収液に吸収させる。この実施形態において、二酸化炭素を化学吸収法で吸収させる吸収液としては、MEA(モノエタノールアミン)が用いられている。吸収液としては、MEA以外のものを用いることもできる。
【0022】
二酸化炭素を吸収液に吸収させた後の排ガスは、塔本体12aの頂部よりガス吐出管104を通して、排ガス洗浄塔14に導入される。排ガス洗浄塔14は、排ガス洗浄塔14内の上部から洗浄液を降らせて、吸収塔12を出た排ガスに含まれる吸収液を洗い流す。この実施形態における洗浄液としては、例えば、船体2の浮かぶ周囲の水や、船体2内に設けられた清水タンク(図示せず)に貯留されている清水が用いられている。排ガス洗浄塔14は、塔本体14aと、塔本体14a内の上部から洗浄液を散布するノズル(図示せず)と、を備えている。
【0023】
排ガス洗浄塔14には、洗浄液を循環させる洗浄液供給系統105が接続されている。洗浄液供給系統105の一端は、塔本体14aの底部に接続されている。洗浄液供給系統105の他端は、塔本体14aの上部において、塔本体14a内のノズル(図示せず)に接続されている。洗浄液供給系統105の途中には、洗浄液供給ポンプ33と、熱交換器43と、が設けられている。
【0024】
洗浄液供給ポンプ33は、塔本体14aの底部から塔本体14a内の洗浄液を吸い出し、塔本体14aの上部のノズルに供給する。ノズルに供給された洗浄液は、ノズルから塔本体14a内に散布され、塔本体14a内に送り込まれた排ガスと接触する。これにより、排ガスに含まれる吸収液が洗浄液によって捕捉されて洗い流される。
【0025】
熱交換器43は、二酸化炭素回収部10の外部から供給する冷却水と、洗浄液供給系統105内を流れる洗浄液との間で熱交換を行う。言い換えれば、熱交換器43は、二酸化炭素回収部10の外部から供給する冷却水によって洗浄液供給系統105を循環する洗浄液を冷却している。そして、この熱交換器43によって冷却された洗浄液が塔本体14aの上部のノズルから塔本体14a内に散布される。
【0026】
塔本体14aの頂部には、排気管107の一端が接続されている。排気管107は、排ガス洗浄塔14を出た排ガス、言い換えれば排ガス洗浄塔14によって吸収液が除去された排ガスを、例えば、船舶1に設けられた排気用のファンネル(図示せず)等に導いて大気放出させる。
【0027】
吸収塔12と、後述する再生塔13との間には、吸収塔12と再生塔13との間で吸収液を循環させる循環系統106が設けられている。循環系統106は、吸収液供給系統106Aと、吸収液排出系統106Bと、熱交換器106Cと、を備えている。
【0028】
吸収液供給系統106Aの一端は、再生塔13の塔本体13aの底部に接続されている。吸収液供給系統106Aの他端は、吸収塔12の塔本体12aの上部において、塔本体12a内のノズル(図示せず)に接続されている。吸収液供給系統106Aの途中には、第一循環ポンプ32Aが設けられている。第一循環ポンプ32Aは、吸収液供給系統106Aを通して、再生塔13の塔本体13aの底部から吸収液を吸い出し、吸収塔12の塔本体12aの上部のノズルに供給する。
【0029】
吸収液排出系統106Bの一端は、吸収塔12の塔本体12aの底部に接続されている。吸収液排出系統106Bの他端は、再生塔13の塔本体13aの上部において、塔本体13a内に設けられたノズル(図示せず)に接続されている。吸収液排出系統106Bの途中には、第二循環ポンプ32Bが設けられている。第二循環ポンプ32Bは、吸収液排出系統106Bを通して、吸収塔12の塔本体12aの底部から吸収液を吸い出し、再生塔13の塔本体13aの上部のノズルに供給する。
【0030】
熱交換器106Cは、吸収液供給系統106A内を流れる吸収液と、吸収液排出系統106B内を流れる吸収液との間で、熱交換を行う。言い換えれば、再生塔13により二酸化炭素を分離させた直後の吸収液の熱により、再生塔13に導入される前の二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱している。なお、熱交換器106Cは、省略してもよい。
【0031】
再生塔13は、吸収塔12で二酸化炭素を吸収させた吸収液から、気体の二酸化炭素を分離させる。より具体的には、再生塔13は、吸収塔12から吸収液排出系統106Bを介して再生塔13内に送られた吸収液を、吸収液加熱系統108により加熱する。
【0032】
吸収液加熱系統108は、再生塔13に接続されている。吸収液加熱系統108は、再生塔13とリボイラ18との間で吸収液を循環させる。つまり、吸収液加熱系統108は、再生塔13内から取り出した吸収液を、リボイラ18に供給すると共に、リボイラ18から再生塔13内に吸収液を戻している。更に言い換えれば、リボイラ18は、吸収液加熱系統108の途中に設けられている。リボイラ18には、蒸気供給管81が接続されており、この蒸気供給管81により船体2内のボイラ(図示せず)等で生成された蒸気がリボイラ18に送り込まれる。リボイラ18は、蒸気供給管81を通して送り込まれた蒸気と、吸収液加熱系統108内を流れる吸収液とを熱交換させる。つまり、リボイラ18は、蒸気の熱により吸収液を加熱する。
【0033】
リボイラ18により加熱された吸収液は、気体の二酸化炭素が分離される。そして、これら吸収液と気体の二酸化炭素とが塔本体13a内に戻される。気体の二酸化炭素が分離されて再生された吸収液は、吸収液供給系統106Aを通して吸収塔12に戻されて再利用される。その一方で、分離された気体の二酸化炭素は、気体二酸化炭素排出ライン109を通して、回収部15に送り込まれる。気体二酸化炭素排出ライン109の途中には、凝縮器19が設けられている。凝縮器19は、二酸化炭素回収部10の外部から供給される冷却水との熱交換により、気体の二酸化炭素に含まれる水分を凝縮させる。
【0034】
回収部15は、再生塔13で分離された気体の二酸化炭素を回収する。回収部15は、再生還流塔16を備えている。再生還流塔16は、凝縮器19を経て送り込まれた気体の二酸化炭素と、水分が凝縮した凝縮水とを気液分離させる。
【0035】
気液分離された凝縮水は、再生還流塔16の底部から、還流ライン110を通して、再生塔13に還流される。還流ライン110の途中には、凝縮水を再生塔13に還流させるための還流ポンプ112が設けられている。一方で、再生還流塔16で水分が除去された気体の二酸化炭素は、二酸化炭素排出管111を通して、二酸化炭素回収部10の外部に排出される。二酸化炭素排出管111を通して排出された気体の二酸化炭素は、例えば、船体2に設けられた二酸化炭素回収タンク(図示せず)に蓄えられる。このとき、気体の二酸化炭素は、適宜の二酸化炭素液化装置により液化し、二酸化炭素回収タンクに蓄えるようにしてもよい。
【0036】
上記したような二酸化炭素回収部10においては、燃焼装置8から排出される排ガスは、排ガス冷却塔11で冷却、及び洗い流された後、吸収塔12に導入される。吸収塔12では、吸収液により、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸収される。二酸化炭素が吸収液に吸収されることで、二酸化炭素が分離された排ガスは、排ガス洗浄塔14で洗浄された後、大気中に放出される。また、吸収塔12で、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収した吸収液は、循環系統106を介して再生塔13に送られる。二酸化炭素を吸収した吸収液は、リボイラ18により加熱されて温度上昇し、吸収液に含まれる気体の二酸化炭素が分離される。分離された気体の二酸化炭素は、再生還流塔16を経て回収される。一方で、再生塔13内で二酸化炭素が分離された吸収液は、循環系統106を介して、吸収塔12に循環される。
【0037】
(送風部の構成)
排ガス導入管101の途中には、送風部20が設けられている。送風部20は、燃焼装置8の排ガスを、二酸化炭素回収部10に送り込む。本実施形態では、送風部20が排ガス導入管101内の排ガスを排ガス冷却塔11に送り込む場合を例示している。なお、送風部20は、排ガス冷却塔11と吸収塔12との間の、排ガス吐出管103の途中に設けたり、排ガス導入管101の途中と排ガス吐出管103の途中との両方に設けたりしてもよい。
【0038】
送風部20は、ブロワ21と、流量調整部22と、を備えている。ブロワ21は、燃焼装置8の排ガスを、排ガス導入管101を通して二酸化炭素回収部10に向かって送風する。流量調整部22は、ブロワ21の流入口側に設けられている。流量調整部22は、その開度を変更することで、ブロワ21の流入口に流入する排ガスの流量を調整可能に構成されている。換言すれば、流量調整部22は、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整可能とされている。
【0039】
図3は、本開示の実施形態に係る船舶の流量調整部の構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態の流量調整部22は、いわゆる入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)であり、複数の可動翼24を備えている。これら複数の可動翼24は、センターハブ25と、フレーム26との間に設けられている。センターハブ25は、排ガス導入管101の延伸方向に延びる軸線Oに沿って延びている。フレーム26は、センターハブ25に対し、軸線Oを中心とした径方向Drの外側Droに設けられている。フレーム26は、軸線O方向から見た際に、円環状をなしている。フレーム26は、例えば、ブロワ21の流入口に連続するようにしてもよい。
【0040】
複数の可動翼24は、フレーム26に対して径方向Drの内側Driに配置されている。これら複数の可動翼24は、軸線Oを中心とした周方向Dcに等間隔で配置されている。各可動翼24は、径方向Drに延びる軸部24s,24tを介してセンターハブ25、及びフレーム26に支持され、軸部24s,24t回りに回転可能とされている。これら複数の可動翼24は、モータ等の翼駆動源(図示せず)により、軸部24s,24t回りに回転駆動される。流量調整部22は、複数の可動翼24を軸部24s,24t回りに回動させることで、フレーム26よりも径方向Drの内側における排ガス流路22rの開度を調整する。
【0041】
制御装置60は、燃焼装置8の排ガスの流量に基づいて、流量調整部22の動作を制御する。制御装置60は、燃焼装置8の排ガスの流量に基づいて、流量調整部22の複数の可動翼24の開度を調整する。すなわち、制御装置60は、燃焼装置8の排ガスの流量が多ければ、流量調整部22の開度を増大させ、燃焼装置8の排ガスの流量が少なければ、流量調整部22の開度を減少させる。
【0042】
(ハードウェア構成図)
図4は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素回収部の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図4に示すように、制御装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、ストレージ64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。信号送受信モジュール65は、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する信号を受信する。
【0043】
(機能ブロック図)
図5は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図5に示すように、制御装置60のCPU61はROM62やストレージ64等の記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、情報取得部71、排ガス流量制御部72、ポンプ出力制御部73、出力部75の各構成を実現する。
【0044】
信号入力部70は、ハードウェアである信号送受信モジュール65を介して、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する信号を受信する。燃焼装置8の排ガスの流量に関連する信号としては、例えば、燃焼装置8の負荷を示す信号、燃焼装置8に供給される燃料の流量を示す信号を例示できる。また、燃焼装置8が過給機(図示無し)を備えている場合、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する信号としては、過給機の回転数を示す信号を例示できる。なお、大型の船舶においては、一般に、排ガスの流れる配管径が非常に大きいため、排ガスの流量を、流量計などを用いて直接計測することが困難な場合が多い。
【0045】
情報取得部71は、信号入力部70で受信した信号に基づいて、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する情報を取得する。具体的には、この実施形態の情報取得部71は、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する情報として、例えば、想定される排ガスの最大流量に対する、その時点における燃焼装置8の排ガスの流量の割合を示す情報を取得する。
【0046】
排ガス流量制御部72は、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する情報に基づいて、複数の可動翼24を回動させ、流量調整部22の開度を制御する。排ガス流量制御部72は、燃焼装置8の排ガスの流量に応じて、流量調整部22の開度を増減させるよう、複数の可動翼24を制御する。排ガス流量制御部72は、燃焼装置8の排ガスの流量に応じて、流量調整部22の開度を増減させるよう、複数の可動翼24を制御する際、燃焼装置8の排ガスの流量と関連付けて予め設定されたテーブル情報、マップ情報等に基づいて、流量調整部22の開度を複数段階に調整するようにしてもよい。
【0047】
尚、排ガス流量の制御に加え、二酸化炭素回収装置の各種ポンプの流量制御機能を以下のように追加しても良い。
ポンプ出力制御部73は、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する情報に基づいて、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、及び洗浄液供給ポンプ33の、各々の出力を制御する。ポンプ出力制御部73は、流量調整部22の開度に連動して、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の出力を制御する。本実施形態で例示する冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の各々は、電動ポンプである。ポンプ出力制御部73は、インバータ制御により、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の各々を駆動するモータ(図示せず)の回転数を制御することで、それぞれの出力を制御している。排ガスの流量に関連する情報としては、流量に応じて変化する二酸化炭素濃度や各種流体の温度、圧力なども含まれる。
【0048】
本実施形態のポンプ出力制御部73は、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の各モータに供給する電流をインバータ(図示せず)により増減させて、各モータの回転数を制御する、いわゆるインバータ制御を行っている。このインバータの制御方式としては、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御等を例示できる。そして、流量調整部22の開度に応じて、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の出力を調整する方法としては、例えば、流量調整部22の開度に応じてリニア又は段階的に調整する方法が挙げられる。なお、ポンプ出力制御部73では、流量調整部22の開度に応じて、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の出力を制御する際、シミュレーションや実験等に基づいて予め作成した流量調整部22の開度と上記各ポンプ出力とのテーブル情報、マップ情報等に基づいて調整するようにしてもよい。
【0049】
出力部75は、排ガス流量制御部72の制御に基づいて、流量調整部22の複数の可動翼24の開度を変化させるための制御信号を出力する。具体的には、出力部75は、ポンプ出力制御部73の制御に基づいて、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の出力を変化させるための制御信号を出力する。
【0050】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1では、燃焼装置8の排ガスを送風部20により二酸化炭素回収部10へ送風している。この送風部20は、ブロワ21の入口側に、開度を変更可能な流量調整部22を備えているため、流量調整部22の開度を変更することで、ブロワ21を介して二酸化炭素回収部10に送り込まれる排ガスの流量を調整することが可能となる。したがって、燃焼装置8の排ガスの流量に応じて流量調整部22の開度を変更して、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を適切に調整することができる。
尚、前述のように、二酸化炭素回収部10に送り込まれる排ガスの量に応じて、冷却液供給ポンプ31、第一循環ポンプ32A、第二循環ポンプ32B、洗浄液供給ポンプ33、還流ポンプ112の出力を調整する機能を追加することも可能で、それを追加すれば二酸化炭素回収部10で、過度な流量の排ガスに備えた運転を継続する必要が無くなり、更に、エネルギー消費を抑えることができる。したがって、二酸化炭素回収部10を、効率良く運転することが可能となる。
【0051】
また、上記実施形態では、流量調整部22が、複数の可動翼24を軸部24s,24t回りに回転させることで開度を変更し、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整している。そのため、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量変化を調整する際の追随性や制御精度を高めつつ、流量調整部22による圧損を低減することができる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、制御装置60で、燃焼装置8の排ガスの流量に基づいて、流量調整部22の動作を制御している。そのため、自動的に運転することができると共に、二酸化炭素回収部10を効率良く運転できる。
【0053】
また、上記実施形態では、情報取得部71で取得した、燃焼装置8の負荷に関連する情報に基づいて、流量調整部22の動作を制御してブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整している。そのため、大型の船舶1のように排ガスの流量を直接的に計測できない場合であっても、排ガスの流量に応じた開度となるように流量調整部22を制御して、吸収塔12、再生塔13、回収部15を含む二酸化炭素回収部10の運転を、効率良く行うことができる。
【0054】
(実施形態の変形例)
上記実施形態では、制御装置60の排ガス流量制御部72は、燃焼装置8の排ガスの流量に関連する情報に基づいて、二酸化炭素回収部10に送り込まれる排ガスの流量を、流量調整部22によって調整するようにしたが、この構成に限られるものではない。
例えば、制御装置60は、排ガスの流量に関連する情報に加えて、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整するようにしてもよい。ここで、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力の要求値とは、例えば、二酸化炭素回収部10で排ガス中から回収する二酸化炭素の割合の要求値である。
【0055】
温室効果ガス(GHG)削減の取組として、国際海事機関(International Maritime Organization: IMO)において、船舶における燃費実績の格付けとしてCII(Carbon Intensity Index)が策定されている。このCIIにおいては、輸送能力当たりの二酸化炭素の排出量に基づいて、燃費実績の格付け(ランク)が複数段階に設定されている。この燃費実績の格付けは、所定期間の経過と共に、順次厳しくなるよう設定されている。
【0056】
上記の二酸化炭素の回収能力の要求値は、この燃費実績の格付けに応じて設定することができる。この場合、制御装置60では、その時点で目標とする燃費実績の格付けに合わせて、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力の要求値を設定すればよい。また例えば、燃費実績の格付け(ランク)を維持し続ける場合、所定期間経過毎に、二酸化炭素の排出量を順次少なくしていくように二酸化炭素の回収能力の要求値を設定すればよい。
【0057】
このような構成では、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、送風部20により二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整することができるため、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力が過剰な状態で運転されることを抑え、より一層、エネルギー消費を抑えることができる。
【0058】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記実施形態では、流量調整部22の開度を調整することによって、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整するようにしたが、これに限られない。
例えば、上記の流量調整部22による流量調整に加えて、ブロワ21による流量調整を行うようにしてもよい。
この場合、排ガス流量制御部72は、インバータ制御により、ブロワ21を駆動するモータ(図示せず)の回転数を制御すればよい。排ガス流量制御部72によるブロワ21の制御方式としては、上述した二酸化炭素回収部10の各ポンプと同様に、インバータ制御を例示できる。このようにすることで、排ガスの流量変化に対する追随性を流量調整部22により担保しつつ、排ガスの流量が低下した場合には、この排ガス流量の低下に応じてブロワ21の回転数を低下させてエネルギー消費を低減することが可能となる。
【0059】
さらに上記実施形態では、流量調整部22として、複数の可動翼24を備える構成としたが、流量調整部22はこの構成に限られるものでは無い。流量調整部22は、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整できる構成であればよく、例えばバタフライ弁等の他の流量調整弁を用いてもよい。この場合、複数の可動翼24を備える構成に対し追随性や制御精度は低下するものの、複数の可動翼24を備える構成と同様に、燃焼装置8の排ガスの流量に応じて流量調整部22の開度を変更して、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を適切に調整することができる。
【0060】
<付記>
実施形態に記載の船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0061】
(1)第1の態様に係る船舶1は、船体2と、前記船体2に設けられ、燃料を燃焼させる燃焼装置8と、前記船体2に設けられて、前記燃焼装置8の排ガスから、前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収部10と、前記燃焼装置8の排ガスを、前記二酸化炭素回収部10に送り込む送風部20と、を備え、前記送風部20は、前記燃焼装置8の排ガスを前記二酸化炭素回収部10に向かって送風するブロワ21と、前記ブロワ21の入口側に設けられ、開度が変更されることで、前記ブロワ21で前記二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整する流量調整部22と、を備える。
【0062】
燃焼装置8で燃料を燃焼させることで生成される排ガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収部10で回収される。送風部20は、ブロワ21により、燃焼装置8の排ガスを二酸化対象部に向かって送風する。ブロワ21の入口側には、流量調整部22が設けられている。流量調整部22では、開度を変更することで、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整することができる。そのため、燃焼装置8の排ガスの量に応じて、流量調整部22の開度を変更することによって、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を適切に調整することができる。したがって、二酸化炭素回収部10で、過度な流量の排ガスに備えて運転する必要が無くなり、エネルギー消費を抑えることができる。その結果、二酸化炭素回収部10を、効率良く運転することが可能となる。
【0063】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記流量調整部22は、軸線O方向に延びるセンターハブ25と、前記センターハブ25に対し、前記軸線Oを中心とした径方向Drの外側Droに、前記軸線O回りの周方向Dcに間隔をあけて配置され、前記径方向Drに延びる軸部24s,24t回りに回転可能とされた複数の可動翼24と、を備える。
【0064】
これにより、流量調整部22では、複数の可動翼24を軸部24s,24t回りに回転させることで、開度を変更し、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整することができる。また、流量調整部22を、軸部24s,24t回りに複数の可動翼24を回転させる方式とすることで、排ガス流量変化への追随性や制御精度を高め、圧損を低減することができる。
【0065】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記燃焼装置8の排ガスの流量に基づいて、前記流量調整部22の動作を制御する制御装置60、を更に備える。
【0066】
これにより、制御装置60で、燃焼装置8の排ガスの流量に基づいて、流量調整部22の動作を制御することで、二酸化炭素回収部10を効率良く運転できると共に、自動的に運転することができる。
【0067】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記制御装置60は、前記ブロワ21の回転数を制御する。
【0068】
このようにブロワ21の回転数を制御することで、ブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整することもできる。したがって、ブロワ21によるエネルギー消費を低減できる。
【0069】
(5)第5の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記二酸化炭素回収部10は、前記燃焼装置8の排ガス、及び前記排ガス中の二酸化炭素を吸収可能な吸収液が導入され、前記吸収液により前記排ガス中の二酸化炭素を吸収させる吸収塔12と、二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、前記吸収液から二酸化炭素を分離させる再生塔13と、前記再生塔13で分離された二酸化炭素を回収する回収部15と、を備え、前記制御装置60は、前記燃焼装置8の負荷に関連する情報を取得する情報取得部71を更に備え、前記情報取得部71で取得した、前記燃焼装置8の負荷に関連する情報に基づいて、前記流量調整部22の動作を制御して前記ブロワ21で前記二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整する。
燃焼装置8の負荷に関する情報としては、燃焼装置8における負荷、燃焼装置8における燃料消費量、燃焼装置8が過給機を備える場合における過給機の回転数、が挙げられる。
【0070】
このような構成では、情報取得部71で取得した、燃焼装置8の負荷に関連する情報に基づいて、流量調整部22の動作を制御してブロワ21で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整する。これにより、吸収塔12、再生塔13、回収部15を含む二酸化炭素回収部10の運転を、効率良く行うことができる。
【0071】
(6)第6の態様に係る船舶1は、(3)から(5)の何れか一つの船舶1であって、前記制御装置60は、前記二酸化炭素回収部10における前記二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、前記流量調整部22で前記二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整する。
【0072】
このような構成では、制御装置60は、二酸化炭素回収部10における二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、流量調整部22で二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整する。これにより、燃焼装置8の排ガスの量だけでなく、二酸化炭素回収部10側で設定した二酸化炭素の回収能力の要求値に基づいて、二酸化炭素回収部10に送り込む排ガスの流量を調整することができる。したがって、過度な二酸化炭素回収能力で二酸化炭素回収部10が運転されることを抑えて、二酸化炭素回収部10によるエネルギー消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…船舶 2…船体 2a…船首 4…上部構造 5A,5B…舷側 6…船底 7…上甲板 8…燃焼装置 10…二酸化炭素回収部 11…排ガス冷却塔 11a…塔本体 12…吸収塔 12a…塔本体 13…再生塔 13a…塔本体 14…排ガス洗浄塔 14a…塔本体 15…回収部 16…再生還流塔 18…リボイラ 19…凝縮器 20…送風部 21…ブロワ 22…流量調整部 22r…排ガス流路 24…可動翼 24s,24t…軸部 25…センターハブ 26…フレーム 31…冷却液供給ポンプ 32A…第一循環ポンプ 32B…第二循環ポンプ 33…洗浄液供給ポンプ 41,43…熱交換器 60…制御装置 61…CPU 62…ROM 63…RAM 64…ストレージ 65…信号送受信モジュール 70…信号入力部 71…情報取得部 72…排ガス流量制御部 73…ポンプ出力制御部 75…出力部 81…蒸気供給管 101…排ガス導入管 102…冷却液供給系統 103…排ガス吐出管 104…ガス吐出管 105…洗浄液供給系統 106…循環系統 106A…吸収液供給系統 106B…吸収液排出系統 106C…熱交換器 107…排気管 108…吸収液加熱系統 109…気体二酸化炭素排出ライン 110…還流ライン 111…二酸化炭素排出管 112…還流ポンプ Dc…周方向 Dr…径方向 Dri…内側 Dro…外側 FA…船首尾方向 O…軸線
図1
図2
図3
図4
図5