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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090669
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ボルト
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F16B35/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206709
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】592153953
【氏名又は名称】鍋屋バイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安田 英明
(57)【要約】
【課題】被固定材の厚みに関わらず被固定材を固定することを可能とするボルトを提供する。
【解決手段】螺合した相手材との間で被固定材を固定するボルト10であって、前記ボルト10は、頭部20と軸部30とを備え、前記軸部30は、完全ネジ部35と、同完全ネジ部35より基端側に位置し、ネジが形成されていない非ネジ部33とを有し、前記非ネジ部33は、前記完全ネジ部35の内径d1よりも小さい直径φを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺合した相手材との間で被固定材を固定するボルトであって、
前記ボルトは、頭部と軸部とを備え、
前記軸部は、完全ネジ部と、同完全ネジ部より基端側に位置し、ネジが形成されていない非ネジ部とを有し、
前記非ネジ部は、前記完全ネジ部の内径よりも小さい直径を有するボルト。
【請求項2】
前記非ネジ部は、1mm~10mmの長さである請求項1に記載のボルト。
【請求項3】
前記非ネジ部は、前記完全ネジ部の内径より0.1mm~1mm小さい直径である請求項2に記載のボルト。
【請求項4】
前記ボルトはステンレス鋼にて形成されている請求項3に記載のボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺合した相手材との間で被固定材を固定するボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトは雄ネジを有し、相手材に形成された雌ネジに螺合して被固定材を締め付けて固定する用途等に用いられる。ボルトは、軸部のうち頭部側の一定範囲にネジが形成されていない非ネジ部と不完全ネジ部とからなる円筒部を有する。そして、この円筒部よりも先端(ネジ先)側に完全な雄ネジが形成された完全ネジ部を有するものがある(特許文献1の各図)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1520241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のボルト110は、軸部130のうち頭部120寄りの一定範囲が円筒部131となっており、その直径は完全ネジ部135のネジの頂部の径(外径)と同程度で谷底の径(内径)よりも大きい。一方、ボルト110を螺合する相手材140にはネジ孔141が形成されており、ネジ孔141に形成された雌ネジ142の内径は、ボルト110の完全ネジ部135の内径よりもわずかに大きくかつ外径よりも小さい。
【0005】
このため、螺合したボルト110の円筒部131が相手材140のネジ孔141の前端に到達すると、相手材140の雌ネジ142とボルト110の円筒部131とが干渉してボルト110の回転が規制される。そして、ボルト110はそれ以上、相手材140内への進入ができなくなる。
【0006】
ここで、ボルト110と相手材140とにより被固定材150を固定する場合を検討する。被固定材150にはボルト110の軸部130に挿通可能な挿通孔151が形成されている。被固定材150の厚みがボルト110の円筒部131の長さよりも厚い(長い)場合は、ボルト110の円筒部131が相手材140のネジ孔141の前端に到達する前に被固定材150をボルト110と相手材140との間で締め付けて固定することができる。
【0007】
一方、図4(a)に示すように、被固定材150の厚みが円筒部131の長さよりも薄い(短い)場合について説明する。図4(b)に示すように、螺合したボルト110の円筒部131が相手材140のネジ孔141の前端に到達した段階では、まだ被固定材150は締め付けられていない。しかし、ボルト110の円筒部131が相手材140のネジ孔141の前端に干渉して回転が規制されるため、ボルト110は相手材140に対してそれ以上奥に進入することができない。このため、ボルト110の円筒部131の長さと被固定材150の厚みによってはボルト110と相手材140による被固定材150の固定ができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、被固定材の厚みに関わらず被固定材を固定することを可能とするボルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するボルトは、螺合した相手材との間で被固定材を固定するボルトであって、前記ボルトは、頭部と軸部とを備え、前記軸部は、完全ネジ部と、同完全ネジ部より基端側に位置し、ネジが形成されていない非ネジ部とを有し、前記非ネジ部は、前記完全ネジ部の内径よりも小さい直径を有する。これにより相手材は非ネジ部には干渉しない。
【0010】
前記非ネジ部は、1mm~10mmの長さである。これにより、ボルトを薄い被固定材にも使用することができる。
前記非ネジ部は、前記完全ネジ部の内径より0.1mm~1mm小さい直径である。これにより、非ネジ部と相手材との間にクリアランスを確保することができる。
【0011】
前記ボルトはステンレス鋼にて形成されている。これにより強度、耐食性を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のボルトによれば、被固定材の厚みに関わらず被固定材を固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)はボルトの側面図、図1(b)はボルトの平面図。
図2図2(a)、図2(b)、図2(c)はそれぞれボルトと厚板とによる板材の固定を示す説明図。
図3図3(a)、図3(b)、図3(c)はそれぞれボルトとナットとによる板材の締め付けを示す説明図。
図4図4(a)、図4(b)はそれぞれ従来技術のボルトによる板材の締め付けを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した六角穴付き極低頭ボルト(以下、単に「ボルト」という)10の一実施形態を図1図2にしたがって説明する。また、このボルト10に螺合する相手材としての厚板40、及びこれらの使用方法についても説明する。
【0015】
(ボルト10)
図1(a)に本実施形態のボルト10の側面図を示す。ボルト10は頭部20と軸部30とからなり、両者はステンレス鋼により一体形成されている。なお、本実施形態のボルト10を説明する場合、図1(a)の左右方向をボルト10及びこれを構成する各部の長さ方向という。図1(a)、図1(b)の上下方向、及び図1(b)の左右方向をボルト10及びこれを構成する各部等の径方向という。また、ボルト10の頭部20の説明にあっては図1(a)中の左側の面、具体的には図1(b)に図示されている面を表面21といい、その反対側の面を座面22という。さらに、ボルト10の軸部30の説明にあっては図1(a)の長さ方向において、頭部20と接続している側となる図中左(側)を基端(側)、図中右(側)のいわゆるネジ先を先端(側)という。
【0016】
図1(a)、図1(b)に示すように、ボルト10の頭部20は一定の直径及び長さを有する円盤状をなしている。頭部20の表面21は平坦な面となっており、表面21の外周縁は面取り加工されている。また、頭部20の表面21中央には有底の六角穴23が長さ方向に形成されている。この六角穴23は六角レンチ等の工具を差し込むための穴であり、ボルト10のサイズ等により大きさも異なる。六角穴23の底部は円錐状となってその先端は長さ方向において軸部30に達している。円盤状をなす頭部20の中心と六角穴23の中心(対角線の交点)は同心である。
【0017】
図1(a)に示すように、軸部30は頭部20と一体に形成されており、頭部20の座面22から軸部30が先端に向けて延びている。軸部30は、基端から先端に向かって順に円筒部31とネジ部32とが形成されている。円筒部31は外周面にネジが形成されていない非ネジ部33と、非ネジ部33からネジ部32に向けて拡径するとともに不完全なネジが形成されている不完全ネジ部34とからなる。また、ネジ部32は、不完全ネジ部34に連続して形成されている完全ネジ部35と、完全ネジ部35の先端に形成されている面取り部36とからなる。
【0018】
軸部30の長さ、いわゆる首下長さは特に規定がなく、ネジの呼び径等により設定することができる。一例として、呼び径M3であれば3~7mm、M4であれば4~9mm、M5、M6であれば5~11mmを採用することができる。
【0019】
図1(a)に示すように、非ネジ部33は、頭部20の座面22から垂直に延び、断面円形の一定の直径φを有する円筒状をなす。非ネジ部33の外周面にはネジは形成されていない。なお、非ネジ部33を含む軸部30は中実に形成されているが、図1(a)に示すように、非ネジ部33の基端側には頭部20の表面21に形成された六角穴23の先端が位置している。非ネジ部33は後述する完全ネジ部35の谷底の径(内径)d1よりも小さい直径φに形成されている。具体的には、非ネジ部33の直径φは完全ネジ部35の内径d1よりも0.1mm~1mm小さくすることができる。非ネジ部33の長さは特に規定はなく、例えば呼び径M3であれば1.7mm、M4であれば2.3mm、M5であれば2.4mm、M6であれば2.6mmを採用することができる。これらから、非ネジ部33の長さは1mmから10mmの範囲とすることができる。非ネジ部33は切削により形成することができる。
【0020】
不完全ネジ部34は、非ネジ部33と完全ネジ部35との境界に位置する部位である。不完全ネジ部34は、ネジが形成されていない非ネジ部33から完全ネジ部35へ向かってテーパ状に拡径するとともに山形が不完全なネジが形成されており、ネジは先端に向かうほど山形が高くなって完全ネジ部35に至る。不完全ネジ部34の長さは特に規定はなく、呼び径によって異ならせることができ、ネジのピッチで換算すれば0.5~2ピッチとすることができる。
【0021】
図1(a)に示すように、完全ネジ部35は、完全な雄ネジが形成された部分である。完全ネジ部35に形成されている雄ネジは、呼び径に対応して規定のピッチ、内径d1及び頂部の径(外径)dを有する形状にて形成されている。また、完全ネジ部35の長さは特に規定はなく、円筒部31の長さ等のバランスをとって決めることができる。そして、完全ネジ部35の内径d1は、非ネジ部33の直径φよりも大きい、d1>φとなる。
【0022】
図1(a)に示すように、面取り部36は、完全ネジ部35の先端に形成され、先端に向かうほど縮径する部分である。この面取り部36は山形が不完全なネジが形成された不完全ネジ部でもある。
【0023】
(厚板40)
図2(a)に示すように、ボルト10の螺合相手となる厚板40には前に開口したネジ孔41が形成されており、その内周面にはボルト10の完全ネジ部35に螺合可能な内径D1を有する雌ネジ部42が形成されている。ボルト10の内径d1と厚板40の内径D1との関係は、D1>d1となる。厚板40はステンレス鋼等の金属材料により形成されており、ネジ孔41はボルト10の軸部30よりも長く形成されているが図示は省略する。なお、図2の厚板40のうち右を奥、左を前という。
【0024】
(ボルト10の使用方法)
次に本実施形態のボルト10を用いて厚板40に1枚の板材(被固定材)50を固定する方法について説明する。固定する板材50にはボルト10の完全ネジ部35の外径dより大きく、ボルト10の頭部20及びナット60の直径よりも小さな貫通孔51が予め形成されている。また、使用する板材50の厚さはボルト10の円筒部31の長さより薄い(短い)ものとする。
【0025】
図2(a)に示すように、厚板40のネジ孔41の前に板材50の貫通孔51を位置合わせして配置し、板材50の貫通孔51及び厚板40のネジ孔41にボルト10の軸部30を挿入する。ネジ孔41には雌ネジ部42が形成されており、ボルト10の完全ネジ部35が螺合可能である。図示しない工具等によりボルト10を回転させ、ボルト10の軸部30を厚板40のネジ孔41の奥に移動して締め付けていく。
【0026】
図2(b)に示すように、ボルト10の完全ネジ部35の基端が厚板40のネジ孔41の開口端である前端に到達すると、厚板40の雌ネジ部42とボルト10の完全ネジ部35との螺合が解除可能となる。ボルト10の回転を続けると、完全ネジ部35との螺合が解除された部分の厚板40の雌ネジ部42は不完全ネジ部34を経て非ネジ部33に移動する。ここで、非ネジ部33の直径φは完全ネジ部35の内径d1より小さい。このことは、非ネジ部33の直径φは、厚板40の雌ネジ部42の内径D1よりも小さいことを意味し、D1>d1>φとなる。このため、厚板40の雌ネジ部42と軸部30の非ネジ部33との間にはクリアランスが存在し、厚板40の雌ネジ部42はボルト10の非ネジ部33に干渉しない。
【0027】
これにより、ボルト10の非ネジ部33が厚板40のネジ孔41の前端に到達しても、ボルト10の回転が規制されることはない。このため、その後も図2(c)に示すように、ボルト10を継続して回転させ、厚板40内を奥に移動させることができ、ボルト10の頭部20と厚板40とにより板材50を締め付けて固定することができる。なお、軸部30の円筒部31の長さが板材50の厚みよりも短い場合も同様にボルト10の頭部20と厚板40とにより板材50を締め付けて固定することができる。
【0028】
上記実施形態のボルト10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、軸部30は、完全ネジ部35とネジが形成されていない非ネジ部33とを有し、非ネジ部33は完全ネジ部35の内径d1よりも小さい直径φを有する。このため、螺合したボルト10の非ネジ部33が厚板40のネジ孔41の前端に到達しても、非ネジ部33がネジ孔41の雌ネジ部42に干渉することはない。ボルト10は厚板40に螺合したまま更に回転を継続することができ、ボルト10の非ネジ部33は厚板40のネジ孔41内を更に奥に移動することが可能となる。
【0029】
(2)ボルト10と厚板40とにより板材50を固定する場合、非ネジ部33の長さが板材50の厚みよりも長くても、ボルト10の非ネジ部33は厚板40のネジ孔41内に進入することができる。このため、ボルト10の頭部20と厚板40とにより板材50を締め付けて固定することができる。
【0030】
(3)非ネジ部33は1mm~10mmの長さである。このため、固定する板材50が薄い場合であってもボルト10を用いた締め付け固定が可能となる。
(4)非ネジ部33は完全ネジ部35の内径d1より0.1mm~1mm小さい直径φである。このため、非ネジ部33は螺合する厚板40の雌ネジ部42との干渉を防止する十分なクリアランスを確保することができる。
【0031】
(5)ボルト10をステンレス製としているため、強度、耐食性に優れている。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態を六角穴付き極低頭ボルト10にて具体化したが、他の頭部20形状でもよい。例えば、小ねじタイプ、六角柱タイプ、又は他の形状の工具や手を掛け止めることができる形状の頭部20としてもよい。
【0032】
・ボルト10にステンレスを使用したが、他に鉄鋼、真鍮、アルミニウム、チタン、樹脂等を使用することができる。
・非ネジ部33の直径φは厚板40の雌ネジ部42の内径D1に干渉しない大きさであればよく、厚板40のサイズや材料等に応じてボルト10の強度を保持することができる範囲で適宜設定することができる。
【0033】
・非ネジ部33の長さはボルト10の大きさ、材料、使用目的等に等に応じて変更してもよい。
・ネジが形成されていない非ネジ部33は断面円形としたがこれに限られない。例えば断面多角形状の多角柱部としてもよい。この場合、厚板40の雌ネジ部42と干渉しないために多角柱部の断面対角線の長さが完全ネジ部35の内径d1よりも小さいことが必要となる。
【0034】
・非ネジ部33は一定の直径φを有するものとしたが、長さ方向において直径φを変更してもよい。この場合、非ネジ部33の端部側の直径φを大きくすることができる。非ネジ部33の少なくとも一部が完全ネジ部35の内径d1よりも小さければ本発明に含まれる。
【0035】
・相手材として厚板40を使用したが、相手材はボルト10が螺合できるものであれば板状に限られない。ボルト10が螺合可能な雌ネジ部42を有するものであればよい。
・被固定材として1枚の板材50を使用したが、被固定材は1つに限られず複数でもよい。また、被固定材は板状にも限られない。
【0036】
次に、相手材としてナット60を使用する実施形態を図3にしたがって説明する。
図3に示すように、ナット60はネジ孔61を有する六角筒状をなすいわゆる六角ナットであり、ネジ孔61にはボルト10の完全ネジ部35に螺合する内径D1の雌ネジ部62が形成されている。ナット60は使用するボルト10の呼び径6等に対応した規定の市販品を使用することができ、詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態のボルト10を用いてナット60に2枚の板材(被固定材)50を固定する方法について説明する。固定する2枚の板材50にはそれぞれボルト10の完全ネジ部35の外径dより大きく、ボルト10の頭部20及びナット60の直径よりも小さな貫通孔51が予め形成されている。また、使用する板材50の合計厚さはボルト10の円筒部31の長さより薄い(短い)ものとする。
【0038】
図3(a)に示すように、ボルト10の軸部30に固定対象となる2枚の板材50の貫通孔51を外嵌させる。2枚の板材50の厚みはボルト10の円筒部31の長さよりも短いため、2枚の板材50をボルト10の頭部20の座面22に接して位置させた場合には、板材50の貫通孔51からはボルト10の軸部30のうち円筒部31が露出する。そして、ボルト10の軸部30にナット60を螺合し、ナット60を回転させて軸部30の基端側へと移動させていく。
【0039】
図3(b)に示すように、ナット60が軸部30の完全ネジ部35の基端まで移動すると、基端側におけるナット60の雌ネジ部62とボルト10の完全ネジ部35との螺合が解除可能となる。ナット60の回転を続けると、完全ネジ部35との螺合が解除された部分のナット60の雌ネジ部62は不完全ネジ部34を経て非ネジ部33に移動する。ここで、非ネジ部33の直径φは完全ネジ部35の内径d1より小さく、非ネジ部33の直径φは、ナット60の雌ネジ部62の内径D1よりも小さい。このため、ナット60の雌ネジ部62と軸部30の非ネジ部33との間にはクリアランスが存在し、雌ネジ部62は非ネジ部33に干渉しない。
【0040】
これにより、ナット60が回転しつつ完全ネジ部35が軸部30の非ネジ部33に到達しても、ナット60の回転及び移動は非ネジ部33に規制されることはない。このため、その後も図3(c)に示すように、ナット60は継続して回転、移動することができ、ボルト10の頭部20とナット60とにより2枚の板材50を締結して固定することができる。なお、軸部30の円筒部31の長さが2枚の板材50の厚みよりも短い場合は、板材50からは円筒部31は露出せず、同様にボルト10の頭部20とナット60とにより2枚の板材50を締付固定することができる。
【0041】
上記実施形態のボルト10とナット60による板材50の固定によっても先の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0042】
・ボルト10、ナット60を用いた締結に座金を使用してもよい。また、ナット60をダブルナットとしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0043】
(a)ボルトは、六角穴付き低頭ボルトである。この(a)に記載の発明によれば、ボルト10の頭部20を薄くすることができる。
【符号の説明】
【0044】
10・・・ボルト
20・・・頭部
30・・・軸部
31・・・円筒部
32・・・ネジ部
33・・・非ネジ部
34・・・不完全ネジ部
35・・・完全ネジ部
36・・・面取り部
40・・・厚板(相手材)
50・・・板材(被固定材)
60・・・ナット(相手材)
φ・・・(非ネジ部33の)直径
d1・・・(完全ネジ部35の)内径
d・・・(完全ネジ部35の)外径
D1・・・(雌ネジ部42、62の)内径
図1
図2
図3
図4