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特開2024-90672フットレストを備えた椅子型マッサージ機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090672
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】フットレストを備えた椅子型マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240627BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
A61H7/00 322A
A61H15/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206712
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽根 也寸志
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100AD11
4C100AE01
4C100AF03
4C100AF11
4C100BA02
4C100BB02
4C100BC12
4C100CA06
4C100CA07
4C100CA08
4C100CA09
4C100DA05
4C100DA08
4C100DA10
4C100DA11
4C100EA12
4C100EA13
(57)【要約】
【課題】使用者は手を使わずに足部だけでフットレストの位置を変更できる構造、すなわち使用者の足部を前後方向に蹴り出す動作に連動してフットレストを前方へ移動させることが可能な構造とすることで、例えば背の低い小柄な使用者でもフットレストの位置合わせを適切に調整することが可能となるフットレストを備えた椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明は、使用者が着座可能な座部2と、座部2の後側に設けられた背もたれ部3と、使用者の下肢が挿入可能な挿入凹部5が設けられ且つ、内部にマッサージ機構を備えたフットレスト4と、を有する椅子型マッサージ機1において、フットレスト4は、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動して前後方向に移動可能なものとされ、挿入凹部5の前側には、蹴り出された使用者の足部Fが引っ掛かることで、フットレスト4を前後方向に移動可能にする足部係合部材6が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座部と、
当該座部の後側に設けられた背もたれ部と、
前記使用者の下肢が挿入可能な挿入凹部が設けられ且つ、内部にマッサージ機構を備えたフットレストと、を有する椅子型マッサージ機において、
前記フットレストは、前記使用者の足部を前後方向に蹴り出す動作に連動して前後方向に移動可能なものとされ、
前記挿入凹部の前側には、蹴り出された前記使用者の足部が引っ掛かることで、前記フットレストを前後方向に移動可能にする足部係合部材が設けられている
ことを特徴とするフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記挿入凹部は、前記下肢を前方から挿入可能なように、上方および前方へ向けて開放されており、
前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側に設けられていて、蹴り出された前記使用者の足部を引っ掛けて押すことで、前記フットレストを前方に移動可能にする
ことを特徴とする請求項1に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側を左右方向に架け渡すように設けられた布体からなり、前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先が係合可能な形状とされている
ことを特徴とする請求項2に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記足部係合部材は、前記フットレストを構成するケース体で前記挿入凹部の前側を覆う構造とするとともに、当該挿入凹部の前側で且つ前記ケース体の内側に可撓性を有する保護部材が取り付けられている構造とする
ことを特徴とする請求項2に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側に設けられ、前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先が係合可能な高さを備えた突起からなる
ことを特徴とする請求項2に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記フットレストは、前記座部の前側に位置する第1姿勢と、前記第1姿勢より更に前側に位置する第2姿勢とを移動可能なものとされ、
前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先を、前記足部係合部材に当てて前方に蹴り出すように伸ばすことで、前記フットレストは前記第1姿勢から前記第2姿勢へ移動するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記フットレストの底部後側には、前後方向に移動可能な転動部材が配備されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記フットレストには、当該フットレストを前記第1姿勢側へ付勢するバネ部材が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【請求項9】
前記フットレストには、当該フットレストを前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻すときに衝撃を吸収する第2のバネ部材が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載のフットレストを備えた椅子型マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットレストを備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機は、使用者が着座可能な座部と、座部の後側に設けられた背もたれ部と、を有し、座部の前側にフットレストを備えているものがある。このフットレストには、使用者の足部から脹脛にかけての下肢をマッサージする下肢マッサージ機構(足揉み装置)が備えられているものもある。
【0003】
さらには、特許文献1に開示されているような、フットレストを前後方向に移動可能にする進退機構が設けられているものもある。この椅子型マッサージ機では、使用者は、背もたれ部を後方にリクライニングさせるとともに、フットレストを前方に移動させて、ゆったりと仰向けになってリラックスした状態でマッサージを受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-75252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者から以下のような要望が挙げられていた。詳しくは、フットレストを自動で前方へ移動させる機構の椅子型マッサージ機を使用するとき、フットレストが前方へ移動するにつれて、遠く離れた状況となる場合がある。
【0006】
例えば、背の低い小柄な使用者が、自動でフットレストを前方へ移動させる椅子型マッサージ機を使用する場合、フットレストが遠く離れた状況となり、足部のつま先がフットレストの下部(挿入凹部の底部)に届かなくなって、その足部がフットレストの挿入凹部から抜けてしまいそうになることがある。特に背の低い小柄な使用者は、フットレストが前方へ移動したとき、遠くなったと感じる。
【0007】
この足部がフットレストの下部に届かなくなるという現象は、背もたれ部のリクライニングと連動して、フットレストが前方に移動する椅子型マッサージ機で顕著に生じる。つまり、背もたれ部とフットレストが連動する椅子型マッサージ機の場合、使用者によっては使いづらい状況となる可能性がある。
【0008】
このようなことより、背の低い小柄な使用者でもフットレストの位置合わせを適切に調整することができるようにしてほしいとの要望が挙がっていた。
【0009】
また、市販されている椅子型マッサージ機は、基本的に電動でリクライニングする機構を有している。この場合、使用者は手を使って付属のリモコン機器でフットレストを前に移動させる操作をしないと、フットレスト内の脚部を動かせないものが多く、使用者によっては使いづらい状況となる可能性があった。
【0010】
上記の問題と要望を受けて、フットレストと背もたれ部との連動を切り離し、フットレストの前方移動を単独で且つ手動で行える構造(例えば、足部など使用者自身でフットレストを前方へ移動させる構造)を検討した。
【0011】
本発明は、上記の問題や市場のニーズを鑑み、使用者は手を使わずに足部だけでフットレストの位置を変更することができる構造、すなわち使用者の足部を前後方向に蹴り出す動作に連動してフットレストを前方へ移動させることが可能な構造とすることで、例えば背の低い小柄な使用者でもフットレストの位置合わせを適切に調整することが可能となるフットレストを備えた椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0013】
本発明にかかるフットレストを備えた椅子型マッサージ機は、使用者が着座可能な座部と、当該座部の後側に設けられた背もたれ部と、前記使用者の下肢が挿入可能な挿入凹部が設けられ且つ、内部にマッサージ機構を備えたフットレストと、を有する椅子型マッサージ機において、前記フットレストは、前記使用者の足部を前後方向に蹴り出す動作に連動して前後方向に移動可能なものとされ、前記挿入凹部の前側には、蹴り出された前記使用者の足部が引っ掛かることで、前記フットレストを前後方向に移動可能にする足部係合部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記挿入凹部は、前記下肢を前方から挿入可能なように、上方および前方へ向けて開放されており、前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側に設けられていて、蹴り出された前記使用者の足部を引っ掛けて押すことで、前記フットレストを前方に移動可能にするとよい。
【0015】
好ましくは、前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側を左右方向に架け渡すように設けられた布体からなり、前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先が係合可能な形状とされているとよい。
【0016】
好ましくは、前記足部係合部材は、前記フットレストを構成するケース体で前記挿入凹部の前側を覆う構造とするとともに、当該挿入凹部の前側で且つ前記ケース体の内側に可撓性を有する保護部材が取り付けられている構造とするとよい。
【0017】
好ましくは、前記足部係合部材は、前記挿入凹部の下部前側に設けられ、前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先が係合可能な高さを備えた突起からなるとよい。
【0018】
好ましくは、前記フットレストは、前記座部の前側に位置する第1姿勢と、前記第1姿勢より更に前側に位置する第2姿勢とを移動可能なものとされ、前記挿入凹部に挿入された前記使用者の足部の先を、前記足部係合部材に当てて前方に蹴り出すように伸ばすことで、前記フットレストは前記第1姿勢から前記第2姿勢へ移動するように構成されているとよい。
【0019】
好ましくは、前記フットレストの底部後側には、前後方向に移動可能な転動部材が配備されているとよい。
【0020】
好ましくは、前記フットレストには、当該フットレストを前記第1姿勢側へ付勢するバネ部材が設けられているとよい。
【0021】
好ましくは、前記フットレストには、当該フットレストを前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻すときに衝撃を吸収する第2のバネ部材が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のフットレストを備えた椅子型マッサージ機によれば、使用者は手を使わずに足部だけでフットレストの位置を変更することができる構造、すなわち使用者の足部を前後方向に蹴り出す動作に連動してフットレストを前方へ移動させることが可能な構造とすることで、例えば背の低い小柄な使用者でもフットレストの位置合わせを適切に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】フットレストが座部側に戻っている「第1姿勢」となっている、本発明の椅子型マッサージ機の概略を模式的に示した斜視図である。
図2】フットレストを前方へ移動させた「第2姿勢」となっている、本発明の椅子型マッサージ機の概略を模式的に示した斜視図である。
図3】足部係合部材を利用して、座部側に戻っている「第1姿勢」からフットレストを前方へ移動させようとしている状況を拡大して示した斜視図である。
図4】足部係合部材を利用して、フットレストを前方へ押し出して「第2姿勢」に移動させている状況を拡大して示した斜視図である。
図5】足部係合部材を利用して、座部側に戻っている「第1姿勢」からフットレストを前方へ移動させようとしている状況の側面図である。
図6】足部係合部材を利用して、フットレストを前方へ押し出して「第2姿勢」に移動させている状況の側面図である。
図7】フットレストを前方へ移動させた「第2姿勢」の椅子型マッサージ機を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかるフットレストを備えた椅子型マッサージ機の実施形態を、図を参照して説明する。
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0026】
また、フットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。これはフットレスト4に足部Fから脹脛Cまでの下肢を挿入して、座部2に着座した椅子型マッサージ機1の使用者から見た方向と一致する。
【0027】
すなわち、以降の説明においては、図面において示す方向を、本発明のフットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1を説明する際の方向とする。また、使用者の膝から下の脹脛Cから足部F(つま先)までを、本実施形態での下肢とする。
【0028】
図1は、フットレスト4が座部2側に戻っている「第1姿勢」となっている、本発明の椅子型マッサージ機1の概略を模式的に示した斜視図である。図2は、フットレスト4を前方へ移動させた「第2姿勢」となっている、本発明の椅子型マッサージ機1の概略を模式的に示した斜視図である。
【0029】
図3は、後述する足部係合部材6を利用して、座部2側に戻っている「第1姿勢」からフットレスト4を前方へ移動させようとしている状況を拡大して示した斜視図である。図4は、足部係合部材6を利用して、フットレスト4を前方へ押し出して「第2姿勢」に移動させている状況を拡大して示した斜視図である。
【0030】
図5は、後述する足部係合部材6を利用して、座部2側に戻っている「第1姿勢」からフットレスト4を前方へ移動させようとしている状況の側面図である。図6は、足部係合部材6を利用して、フットレスト4を前方へ押し出して「第2姿勢」に移動させている状況の側面図である。
【0031】
図7は、フットレスト4を前方へ移動させた「第2姿勢」の椅子型マッサージ機1を下方から見た斜視図である。なお、フットレスト4の「第1姿勢」と「第2姿勢」の位置については、後ほど詳しく説明する。
【0032】
図1図2などに示すように、本発明にかかる椅子型マッサージ機1は、使用者が着座可能な座部2と、当該座部2の後側に設けられた背もたれ部3と、使用者の膝から下の脹脛Cから足部Fまでの下肢が挿入可能な挿入凹部5が設けられ且つ、内部にマッサージ機構を備えたフットレスト4と、を有する。
【0033】
本発明の椅子型マッサージ機1は、フットレスト4と背もたれ部3との連動を切り離して、それぞれ単独で動作するものとし、フットレスト4については使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動して、前後方向の移動を行える構造にした。
【0034】
本発明の椅子型マッサージ機1は、フットレスト4の挿入凹部5の下部前側に、使用者の足部Fを引っ掛けて押すことで、フットレスト4を前方に移動可能にする足部係合部材6を設けていることを特徴としている。なお、足部係合部材6の構成については、後ほど詳説する。
【0035】
座部2は、使用者が着座可能な十分な広さおよび厚みを有している。なお、座部2の内部には、揉みや叩き或いは振動などのマッサージ動作を行う臀部用マッサージ機構(図示略)が設けられていてもよい。この臀部用マッサージ機構は機械式でもよく、エアバッグ式でもよい。
【0036】
座部2の下部には、櫓状の脚フレーム7が設けられている。すなわち、座部2は、床面Y上に載置された脚フレーム7によって下方から支持されている。脚フレーム7は、鋼製の棒材を複数用い、櫓状に組み合わせたものである。
【0037】
また、脚フレーム7は、幅が座部2の幅とほぼ同じである。脚フレーム7の前後方向の長さは、座部2の前後方向の長さとほぼ同じである。脚フレーム7の高さは、使用者の膝から下の踵までの長さよりやや長いもの(後述するフットレスト4の高さとほぼ同じもの)である。
【0038】
背もたれ部3は、使用者がもたれ掛かることができる十分な広さおよび厚みを有している。背もたれ部3の内部には、当該背もたれ部3を支持する背もたれフレーム(図示略)が配備されている。背もたれ部3は、下端(基端)が脚フレーム7の後部に対して前後方向に揺動自在な状態で支持されている。
【0039】
なお、背もたれ部3の内部には、揉みや叩き或いは振動などのマッサージ動作を行う背部用マッサージ機構(図示略)が上下移動自在に設けられている。この背部用マッサージ機構は機械式でもよく、エアバッグ式でもよい。また、背もたれ部3は、脚フレーム7内に配設されたリニアアクチュエータ機構などのリクライニング機構(図示略)により、リクライニング可能となっている。
【0040】
さて、図5図7などに示すように、脚フレーム7の内部(座部2の下部)には、フットレスト4を前後方向に移動させる進退機構8が設けられている。本実施形態の進退機構8は、フットレスト4を前後方向に移動可能に支持するリンク9を備える。本実施形態のリンク9は、左右で対となるように設けられ、その左右両側からフットレスト4を前後方向に移動可能に支持する支持部である。
【0041】
リンク9は、脚フレーム7内の上部下面側にて前後方向に揺動自在に支持されている揺動アーム10と、フットレスト4を前後方向に移動可能に支持する支持アーム11と、揺動アーム10と支持アーム11を連結する第1連結部12と、支持アーム11とフットレスト4を連結する第2連結部13と、を有している。
【0042】
揺動アーム10は、長尺の棒材であって、脚フレーム7内の上部(座部2の下部)から吊下状態で設けられている。揺動アーム10は、フットレスト4の幅と同じ間隔で左右一対配備されている。
【0043】
揺動アーム10の後端(基端)は、脚フレーム7内の上部前側に設けられたフレーム支持部14に回動自在に支持されている。フレーム支持部14は、軸心が左右方向(フットレスト4の幅方向)を向いている。この揺動アーム10は、フレーム支持部14の軸心回りに、前後方向に揺動自在に支持されている。
【0044】
揺動アーム10の前端(先端)には貫通孔10aが設けられ、その貫通孔10aに連結軸12aが設けられている。また、揺動アーム10の長手方向中途部(先端側)にも貫通孔10bが設けられ、その貫通孔10bに連結軸12bが設けられている。
【0045】
連結軸12a,12bは、軸心が左右方向(フットレスト4の幅方向)を向いている。これら連結軸12a,12bは、支持アーム11を連結する第1連結部12を構成する部材である。
【0046】
支持アーム11は、長尺の棒材であって、その長い軸心が前後方向を向くように配備されている。支持アーム11の後端(基端)は、揺動アーム10に設けられた第1連結部12に回動自在に連結されている。
【0047】
一方、支持アーム11の前端(先端)は、フットレスト4に取り付けられている第2連結部13に回動自在に連結されている。この支持アーム11は、フットレスト4の幅と同じ間隔で左右一対配備されている。また、支持アーム11は、上下に二本平行に配備されている。
【0048】
上側の支持アーム11aの後端(基端)には貫通孔が設けられ、その貫通孔には第1連結部12の連結軸12aが装入されている。上側の支持アーム11aの後端は、第1連結部12の連結軸12aに回動自在に連結されている。すなわち、上側の支持アーム11aの後端は、連結軸12aを介して、揺動アーム10の先端に回動自在に連結されている。
【0049】
下側の支持アーム11bの後端(基端)には貫通孔が設けられ、その貫通孔には第1連結部12の連結軸12bが装入されている。下側の支持アーム11bの後端は、第1連結部12の連結軸12bに回動自在に連結されている。すなわち、下側の支持アーム11bの後端は、連結軸12bを介して、揺動アーム10の長手方向中途部(先端側)に回動自在に連結されている。なお、この第1連結部12は、カバー体に覆われている。
【0050】
上側の支持アーム11aの前端(先端)には貫通孔が設けられ、その貫通孔には第2連結部13の連結軸13aが装入されている。上側の支持アーム11aの前端は、第2連結部13の連結軸13aに回動自在に連結されている。すなわち、上側の支持アーム11aの前端は、連結軸13aを介して、ステー部材15に回動自在に連結されている。
【0051】
下側の支持アーム11bの前端(先端)には貫通孔が設けられ、その貫通孔には第2連結部13の連結軸13bが装入されている。下側の支持アーム11bの前端は、第2連結部13の連結軸13bに回動自在に連結されている。すなわち、下側の支持アーム11bの前端は、連結軸13bを介して、ステー部材15に回動自在に連結されている。
【0052】
ステー部材15は、フットレスト4の後部に設けられている。ステー部材15には、上下に貫通孔15a,15bが二つ設けられている。上側の貫通孔15aに連結軸13aが設けられている。また、下側の貫通孔15bに連結軸13bが設けられている。
【0053】
連結軸13a,13bは、軸心が左右方向(フットレスト4の幅方向)を向いている。これら連結軸13a,13bは、支持アーム11を連結する第2連結部13を構成する部材である。なお、この第2連結部13は、カバー体に覆われている。
【0054】
すなわち、支持アーム11は、二本とも第1連結部12と第2連結部13に連結されているため平行リンク機構となっている。また、支持アーム11は、揺動アーム10とフットレスト4との間で、浮遊状態で配備されているようにみえる。
【0055】
使用者の足部Fでフットレスト4を前方に移動させると、進退機構8のリンク9が前方に移動する。リンク9は折りたたまれた状態から開くような動きとなる。吊下状態の揺動アーム10が前方に揺動し、二本の支持アーム11は前方に移動する。
【0056】
フットレスト4は斜め上方に傾いてゆき、二本の支持アーム11は傾斜状態から平行状態に移行する。フットレスト4は斜め上方に傾いた状態で維持され、使用者がリラックスできる位置に移動する。
【0057】
また、フットレスト4の底部後側の中央には、フットレスト4を前方向に案内する案内部材16が設けられている。案内部材16は、長尺の棒部材であり、軸心が前後方向を向くように配備されている。
【0058】
この案内部材16は、フットレスト4を座部2側に戻す際、脚フレーム7内に収容される。つまり、案内部材16は、フットレスト4を前後方向に案内するものであり、進退機構8(リンク9)の前方への押出動作と協働するものである。
【0059】
図1図4などに示すように、本実施形態のフットレスト4は、進退機構8(リンク9)により、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動して単独で前後方向に移動可能なものとされている。
【0060】
フットレスト4は、座部の前側(直前)に位置する「第1姿勢」と、第1姿勢より更に前側に位置する「第2姿勢」とを移動可能なものとされている。なお、「第1姿勢」と「第2姿勢」については、後ほど説明する。
【0061】
フットレスト4は、マッサージ機構(図示略)を収容し且つ、足部Fから脹脛Cまでの下肢を前方から嵌め入れ可能なケース体17を備えている。ケース体17は、正面視で、矩形状であり且つ側面視で略ブーツ型の筐体である。ケース体17は、プラスチック製の筐体であり、左右の足部Fから脹脛Cまでの下肢を前方から嵌め入れることができるものである。
【0062】
ケース体17は、幅が座部2の幅とほぼ同じである。また、ケース体17の前後方向の長さは、使用者の足部Fの長さより長いものである。ケース体17の高さは、使用者の膝から下の踵までの長さよりやや長いもの(脚フレーム7と略同じ高さ)である。
【0063】
ケース体17(フットレスト4)の前面には、上方および前方へ向けて開放された使用者の足部Fから脹脛Cまでの下肢が挿入可能な挿入凹部5が設けられている。挿入凹部5は、足部Fから脹脛Cまでの下肢を前方から嵌め入れ可能な略ブーツ形状とされ、互いに左右に離れてケース体17の前面側に並設されている。
【0064】
これら左右一対の挿入凹部5に対して、左右の足部Fから脹脛Cまでの下肢を前方から嵌め入れることができるようになっている。つまり、本実施形態の挿入凹部5は、前方から足部Fから脹脛Cまでを嵌め入れることができる前開き型となっている。
【0065】
この挿入凹部5の内部には、可撓性を有する内張材(図示略)が設けられている。内張材は、例えば、ウレタン製や合成皮革などの布体や、帆布や皮革製の布体などの可撓性を有する材料が好適とされている。
【0066】
詳しくは、挿入凹部5は、足部Fのつま先から踵までの部位が前方から挿入可能となっている水平挿入凹部5aと、踵の上から脹脛Cまでの部位が前方から挿入可能となっている垂直挿入凹部5bと、を有する。
【0067】
水平挿入凹部5aは、ケース体17の底部側に設けられている。また、垂直挿入凹部5bは、水平挿入凹部5aの後側と連通し且つ、ケース体17の後部壁面側に設けられている。
【0068】
水平挿入凹部5aの先端(挿入凹部5aの前側)には、蹴り出された使用者の足部Fが引っ掛かることで、フットレスト4を前後方向に移動可能にする足部係合部材6(詳細は後述)が設けられている。
【0069】
なお、本実施形態のケース体17(フットレスト4)の内部には、左右それぞれの足部Fに対して左右両側から揉みマッサージをするとともに、脹脛Cの左右両側および後面(裏面)に対してマッサージを行う下肢用マッサージ機構(図示略)が収容されている。この下肢用マッサージ機構は、足部Fや脹脛Cなどに対して、揉みや叩き或いは振動などのマッサージ動作を行うものである。また、この下肢用マッサージ機構は機械式でもよく、エアバッグ式でもよい。
【0070】
さて、本実施形態のフットレスト4(ケース体17)は、座部2(脚フレーム7)の前側において配置される位置として「第1姿勢」と「第2姿勢」とがある。
【0071】
「第1姿勢」とは、図1図3図5などに示すように、座部2(脚フレーム7)の前側の直前に(隣接する)位置している姿勢のことである(座部2前側に隣接配置)。この「第1姿勢」は、椅子型マッサージ機1において通常状態である。「第1姿勢」でも、使用者はフットレスト4のマッサージ機構で、足部Fから脹脛Cまでの下肢に対してマッサージを行うことができる。
【0072】
なお、「第1姿勢」においては、フットレスト4の底面は床面Y(設置面)と略平行である。この通常状態である「第1姿勢」では、フットレスト4の底面は床面Yと平行に配置されているため、フットレスト4を足部Fで前方に押し出すことが難しいものとなっている。そこで、本発明のフットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1は、足部係合部材6(詳細は後述)を水平挿入凹部5aの前側(足部Fの先に対応する位置)に設けることで、前述の課題を解決した。
【0073】
また、上記したフットレスト4(ケース体17)の「第2姿勢」とは、図2図4図6などに示すように、進退機構8(リンク9)と案内部材16の前方への押出動作により、座部2(脚フレーム7)から前方に離れて位置している姿勢のことである(第1姿勢より前方配置)。
【0074】
この「第2姿勢」は、椅子型マッサージ機1において前方へ蹴り出された状態である。「第2姿勢」では、椅子型マッサージ機1にて使用者がよりリラックスした姿勢になることができるとともに、フットレスト4のマッサージ機構で、足部Fから脹脛Cまでの下肢に対してマッサージを行うことができる。
【0075】
フットレスト4は、進退機構8(リンク9)と案内部材16の前方への押出動作により、「第1姿勢」と「第2姿勢」との間を移動可能となっている。ただし、フットレスト4は、「第1姿勢」から「第2姿勢」の間で、使用者の任意の位置に止めることもできる。
【0076】
図3図4などに示すように、本実施形態のフットレスト4は、挿入凹部5の下部前側に、蹴り出された使用者の足部Fを引っ掛かる足部係合部材6を設けていることを特徴としている。
【0077】
この足部係合部材6は、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動して、フットレスト4を単独で前後方向に移動可能にするものである。つまり、本実施形態では、挿入凹部5に挿入された使用者の足部Fを足部係合部材6に引っ掛けて前方に押すことで、フットレスト4を前方に移動可能にする。
【0078】
具体的には、本実施形態では、挿入凹部5に挿入された使用者の足部Fの先を、足部係合部材6に当てて蹴り出すように伸ばすことで、フットレスト4は通常の「第1姿勢」から前方の「第2姿勢」へ移動するように構成されている。
【0079】
足部係合部材6(蹴り出し補助具6)は、水平挿入凹部5aの先端に設けられている。詳しくは、足部係合部材6は、水平挿入凹部5aの先端の右側縁から左側縁にかけて架け渡すように設けられている。
【0080】
さらに詳しくは、右側の水平挿入凹部5aの先端の右側縁に、足部係合部材6の右縁が縫い付けられるとともに、右側の水平挿入凹部5aの先端の左側縁に、足部係合部材6の左縁が縫い付けられている。
【0081】
また、左側の水平挿入凹部5aの先端の右側縁に、足部係合部材6の右縁が縫い付けられるとともに、左側の水平挿入凹部5aの先端の左側縁に、足部係合部材6の左縁が縫い付けられている。
【0082】
すなわち、足部係合部材6は、水平挿入凹部5aの足部Fの先(つま先)に対応する部分に設けられている。それ故、水平挿入凹部5a(挿入凹部5)に設けられた足部係合部材6の正面視での高さは、足部Fの指の高さと同じ乃至はやや高いものとされている。また、足部係合部材6は、足部Fのつま先を覆うカバーのようなものにしてもよい。
【0083】
足部係合部材6は、挿入凹部5の下部前側を左右方向に架け渡すように設けられた布体からなる。足部係合部材6は、挿入凹部5に挿入された使用者の足部Fの先が係合可能な形状とされ且つ、肌触りの良い伸縮自在な材料とされているとよい。
【0084】
足部係合部材6は、例えば、ウレタン製や合成皮革などの布体や、帆布や皮革製の布体などの可撓性を有する材料が好適とされている。好ましくは、足部係合部材6は、上記の内張材と同じ材料であるとよい。
【0085】
挿入凹部5に挿入された足部Fの先を、足部係合部材6に押し当て、足部Fを蹴り出すように前方へ伸ばすことで、足部Fの先が足部係合部材6に引っ掛かりケース体17が前方へ押し出されることで、フットレスト4本体を前方へ移動させることができる。
【0086】
なお、この足部係合部材6が上記した布体である場合、その布体が伸びるので足部Fの痛みが無く且つ、フットレスト4を前方へスムーズに移動させることが可能となる。
【0087】
すなわち、本実施形態のフットレスト4は、足部係合部材6が水平挿入凹部5aの先端に設けられていることで、挿入凹部5に挿入された使用者の足部Fの先を、足部係合部材6に当てて蹴り出すように伸ばすことで、前方の「第2姿勢」に移動可能とされている。
【0088】
以上述べたように、本実施形態のフットレスト4は、水平挿入凹部5aの先端(挿入凹部5の前側)に足部係合部材6を設けていることで、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出して、足部係合部材6に足部Fが引っ掛かることにより、足部Fを前方に蹴り出す動作に連動して前後方向に移動可能となっている。
【0089】
本実施形態では、フットレスト4を足部Fの先で押し出すために、足部Fの先(つま先)を当てる足部係合部材6が伸縮自在の布体であるものを例に挙げて説明したが、次に挙げる変形例であってもよい。
【0090】
足部係合部材6の変形例の一例として、例えば、足部係合部材6は、挿入凹部5の下部(底部)前側に設けられ、挿入凹部5に挿入された使用者の足部Fの先が係合可能な高さを備えた突起からなるものでもよい。
【0091】
具体的には、挿入凹部5の底部(水平挿入凹部5a)の前側に、足裏前部に対して押圧マッサージを行う突起が設けられているものがある。その突起の高さを、足部Fの先で前方へ押し出せるくらい高く形成することによっても、上で述べた布体からなる足部係合部材6と同じ作用(フットレスト4を前後方向に蹴り出し可能となる作用)を実現させることができる。
【0092】
また例えば、足部係合部材6を、足部Fの先(つま先)を当てるため、プラスチックやウレタンなどを用いて足部Fの先を覆うカップ形状(プロテクターのような形状)に形成し、水平挿入凹部5aの前側(挿入凹部5の底部前側)を覆うように設けてもよい。
【0093】
また、足部係合部材6の変形例の一例として、フットレスト4を構成するケース体17で挿入凹部5(水平挿入凹部5a)の前側を覆う構造とするとともに、この挿入凹部5(水平挿入凹部5a)の前側で且つケース体17の内側に可撓性を有する保護部材が取り付けられている構造とするとよい。
【0094】
足部係合部材6の構造を、例えば、樹脂などの硬質の材料でケース体17(樹脂製の筐体)を形成するに際して、足部Fの先(つま先)に対応する水平挿入凹部5aの前側全体を覆うように(つま先カバーのような形状に)成型しておき、その水平挿入凹部5aの前側を覆ったケース体17の内側に、足部Fの先を保護するため、可撓性を有する(布体などの軟質の材料で形成された)保護部材を取り付ける構造としてもよい。
【0095】
なお、足部係合部材6の形状や材質などの構成については、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動する際に、その足部Fの先が痛みなどなく係合することができるものであれば、本実施形態で例示したものに限定されない。
【0096】
図2図6などに示すように、フットレスト4の底部後側(下部後方の角部)には、前後方向に移動可能な転動部材18が配備されている。転動部材18は、フットレスト4を前方に押し出すときに、床面Yとの摩擦を小さくするためのものである。
【0097】
転動部材18(転動車輪18)は、フットレスト4(ケース体17)における背面下端に設けられている。すなわち、転動部材18は、側面視で、底面と背面とのコーナー部分に設けられている。
【0098】
転動部材18は、互いに左右に離れてフットレスト4の底部後側に並んで設けられている。フットレスト4は、転動部材18により、床面Y上を前後方向に移動自在に保持されている。
【0099】
なお、転動部材18の外周の車輪部(タイヤ部分)は、振動吸収性と床面Yに対して転がりやすさを兼ね備える硬質ゴム等で形成するのが好適である。この転動部材18により、フットレスト4を第1姿勢と第2姿勢の間において、スムーズに前後方向へ移動させることができる。
【0100】
図6図7などに示すように、フットレスト4には、当該フットレスト4を第1姿勢側(後方向)へ付勢する第1のバネ部材19が設けられている。つまり、第1のバネ部材19は、通常状態の第1姿勢において、フットレスト4を座部2側に付勢する。第1のバネ部材19は、脚フレーム7内の下方に配備されている。
【0101】
第1のバネ部材19は、揺動アーム10の先端に設けられた係合孔20と、脚フレーム7の下部後側に設けられた係合部21に接続されている。つまり、第1のバネ部材19は、脚フレーム7内に配備されたリンク9(進退機構8)に接続されている。
【0102】
この第1のバネ部材19は、通常状態ではフットレスト4を座面2側に向けて付勢させている。すなわち、第1のバネ部材19は、通常状態では収縮する状態の付勢となっている。フットレスト4は、第1のバネ部材19の付勢により、通常座面2側に戻るように向かっている。
【0103】
第1のバネ部材19は、例えば、椅子型マッサージ機1に使用者がいない状態、または、足部係合部材6を利用してフットレスト4を前方に押していない状態など(第1姿勢)において、フットレスト4(脚ユニット4)を座面2側に位置させる役割を持っている。つまり、第1のバネ部材19の反力により、無負荷状態のフットレスト4は自動で第1姿勢に戻る。
【0104】
また、フットレスト4には、当該フットレスト4を第2姿勢側(前方向)へ付勢する第2のバネ部材22が設けられている。第2のバネ部材22は、フットレスト4を前方(第2姿勢)へ移動させた際、このフットレスト4の前方への移動を補助する。この第2のバネ部材22は、フットレスト4(脚ユニット4)を前方向に付勢するバネである。
【0105】
第2のバネ部材22は、使用者がフットレスト4を前方に足部係合部材6を利用して足部Fで蹴り出すとき、その足部Fの蹴り出す力に対し補助するものである。すなわち、足部係合部材6は、蹴り出しやすいようにするためのものである。
【0106】
この第2のバネ部材22の反力により、フットレスト4を蹴り出すときの負荷が低減される。なお、第2のバネ部材22は、フットレスト4の蹴り出しを補助するものであるため、第1のバネ部材19より弱いバネとされている。
【0107】
また、第2のバネ部材22は、フットレスト4が座面2側に近い位置のとき(フットレスト4を蹴り出し始めたとき)に作用させるためのものであり、フットレスト4には接続されていない(図7を参照)。つまり、第2のバネ部材22は、案内部材16上でフリーの状態(拘束されない状態)で、前後方向に移動自在に設けられている。
【0108】
なお、第2のバネ部材22は、フットレスト4を前方から座面2側(第2姿勢から第1姿勢)に戻したときに生じる、脚フレーム7との接触による衝撃を吸収する(衝撃を和らげるクッション)の役割も備えている。
[作動態様]
次いで、本発明のフットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1の作動態様について、詳細に説明する。
【0109】
以下に、足部係合部材6を利用したフットレスト4の進出動作(フットレスト4を「第1姿勢」から「第2姿勢」に移動させる手順)について説明する。
【0110】
図1図3図5などに示すように、使用者は、椅子型マッサージ機1の座部2に着座し、背もたれ部3にもたれかかる。膝から下の左右の下肢(脹脛C~足部F)を、左右それぞれのフットレスト4の挿入凹部5に前方から挿入する。
【0111】
具体的には、脹脛Cから踝までを垂直挿入凹部5bに前方から挿入するとともに、踝からの足部Fの先まで(足部F全体)を水平挿入凹部5aに前方から挿入する。なお通常、フットレスト4(ケース体17)は、リンク9に接続された第1のバネ部材19の反力で、戻り方向(座部2側)に付勢され、「第1姿勢」に位置している。
【0112】
フットレスト4を「第1姿勢」から「第2姿勢」に移動させる際、座部2に着座した使用者が、膝から下の下肢(脹脛C~足部F)を前方に蹴り出すと、挿入凹部5内の足部Fの先(つま先)が足部係合部材6に接触し係合することとなる。
【0113】
図2図4図6などに示すように、さらに、弧を描くように下肢を蹴り出すと足部Fの先が上がるようになる。この足部Fの蹴り出しにより、フットレスト4の底部前側に設けられた脚部材23が浮き上がり、底部後側の転動部材18が前方に転がり出す。フットレスト4は、上方に傾きながら前方に移動し、「第2姿勢」へと移動することとなる。
【0114】
なお、このフットレスト4を足部Fで蹴り出し始めるとき、案内部材16に設けられた第2のバネ部材22は伸長し、その第2のバネ部材22の補助となる反力により、フットレスト4は軽く蹴り出せる。
【0115】
足部係合部材6に係合による足部Fの蹴り出しと転動部材18の転がりにより、フットレスト4が前方に移動すると、進退機構8のリンク9が脚フレーム7内(座部2下部)から前方に移動する。
【0116】
このフットレスト4の前方への移動の際には、リンク9は上下方向に重なるように折りたたまれた状態から、前後方向に略平行に開くような動きとなる。つまり、吊下状態の揺動アーム10が前方に揺動し、二本の支持アーム11は前方に移動する。また、リンク9に接続された第1のバネ部材19は、伸長することとなる。
【0117】
足部係合部材6に係合された足部Fをさらに前方へ蹴り出すと、転動部材18が前方へ転がりながら進み、リンク9(進退機構8)の押し出しと案内部材16の前方への案内により、フットレスト4の前側(足部Fの先)がさらに浮き上がり、フットレスト4の挿入凹部5は前斜め上方を向くようになる。すなわち、挿入凹部5は前斜め上方を向くようになる。
【0118】
このように、フットレスト4(挿入凹部5)が前斜め上方に傾いてゆくと、二本の支持アーム11は傾斜状態から略平行状態に移行する。揺動アーム10の前方への揺動により、上下の支持アーム11a,11bはフットレスト4を前方へ押し出す。
【0119】
揺動アーム10の先端に連結された下側の支持アーム11bは、上側の支持アーム11aより前方へ移動し、フットレスト4の下部側をより前方へ押し出す。これにより、ステー部材15(第2連結部13)の上部が後方に傾斜するので、フットレスト4は斜め上方に傾いた状態で前方へ押し出され、「第2姿勢」となる。
【0120】
以上述べたように、挿入凹部5の下部前側(水平挿入凹部5aの先端)に足部Fの先(つま先)を係合することができる足部係合部材6を設けておき、その足部係合部材6に足部Fを係合して、フットレスト4(ケース体17)を前方へ蹴り出すことにより、フットレスト4は斜め上方に傾いた状態で維持され、使用者はフットレスト4をリラックスできる位置に移動させることができる。
【0121】
なお、フットレスト4の退行動作(フットレスト4を「第2姿勢」から「第1姿勢」に戻す手順)については、上記のフットレスト4の進出動作の逆の手順で行えばよい。このフットレスト4を退行させるときには、フットレスト4(ケース体17)は、リンク9に接続された第1のバネ部材19の反力で、フットレスト4自ら座部2側に戻る方向に向かうこととなる。
【0122】
また、フットレスト4を前方から座面2側に戻す動作を行うときには、脚フレーム7との接触による衝撃が生じる可能性があるが、第2のバネ部材22がクッションとなり、衝撃を和らげて吸収することになるので、フットレスト4を安全に「第1姿勢」に戻すことができるようになる。
【0123】
以上、本発明は、使用者が手を使わずに(付属のリモコン機器などを操作せずに)、足部Fだけでフットレスト4の位置を変更することができる構造の椅子型マッサージ機1とした。
【0124】
すなわち、本発明のフットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1によれば、挿入凹部5の下部前側(水平挿入凹部5aの先端)に、足部Fの先(つま先)を係合することができる足部係合部材6を設けておき、例えば背の低い小柄な使用者でも、足部Fの先を足部係合部材6に係合させて、使用者の足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動して、フットレスト4を前方へ移動させることができ、フットレスト4の位置合わせを適切に調整することができるようになる。また、本発明のフットレスト4を備えた椅子型マッサージ機1は、使用者の体型の大小かかわらず使用可能である。
【0125】
また、本発明の椅子型マッサージ機1では、足部係合部材6を水平挿入凹部5aの前端に設けた構成であるので、フットレスト4の前方移動の装置構造が簡便となり、製造コストの面でも有利となる。
【0126】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0127】
例えば、足部係合部材6の形状や材質などの構成に関して、足部Fを前後方向に蹴り出す動作に連動するときに、その足部Fの先が痛みなどなく係合できるものであれば、本実施形態で例示したものに限らず、適宜変更可能である。
【0128】
また、本実施形態の進退機構8は、リンク9を備えるものとしたが、フットレスト4を前後方向に移動可能に支持するものであれば、例示したリンク9に限定されない。本実施形態では、フットレスト4を左右両側から前後方向に移動可能に支持するリンク9としたが、中央から伸びる一本のアーム状のリンクでフットレスト4を前後方向に移動可能に支持する構成としてもよい。
【0129】
また、マッサージ機構(背部用、臀部用、下肢用)については、機械式でも、エアバッグ式でもよく、様々な機構が採用可能であり、特に限定はしない。また、フットレスト4の形状や挿入凹部5に関しても適宜変更可能である。ただし、足部係合部材6は前方開放型の挿入凹部5に適用される。
【0130】
また、フットレスト4内のマッサージ機構に備えられている下肢を揉む揉み板(マッサージ部材)の長さや、揉み板の回転駆動軸に対する傾斜角度、左右にある揉み板の離間距離などは、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0131】
なお、上で詳説した、足部Fを前後方向に蹴り出す動作と連動して前後方向に移動可能なフットレスト4、すなわち本発明の足部係合部材6を備えたフットレスト4については、例えば、下肢用マッサージ機構を備えないソファーなどの椅子に備えることもできる。また、フットレスト4を備えたソファーなどの場合でも、本発明の足部係合部材6を適用させることは可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 フットレスト
5 挿入凹部
5a 水平挿入凹部
6 足部係合部材(蹴り出し補助具)
8 進退機構
9 リンク
10 揺動アーム
11 支持アーム
12 第1連結部
13 第2連結部
16 案内部材
18 転動部材
19 第1のバネ部材
22 第2のバネ部材
F 足部
C 脹脛
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7