(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090685
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】小型モビリティのレンタルシステム及び小型モビリティのレンタル方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240627BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20240627BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0645
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206732
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利佳子
(72)【発明者】
【氏名】新田 寛鳳
(72)【発明者】
【氏名】間下 寛二
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 壮大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 麻衣
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】小型モビリティを利用する利用者に対する利便性および心理的安心の向上を図る。
【解決手段】共同利用される小型モビリティ20と、利用者情報が記憶され、小型モビリティ20のハンドル24に装着されるカバーユニット10と、小型モビリティ20の利用者情報を管理する管理サーバ50と、を備え、管理サーバ50は、ポートで小型モビリティ20のハンドル24にカバーユニット10が装着されると、利用者登録をするとともに、小型モビリティ20に対する利用開始を通知し、ポートで小型モビリティ20のハンドル24からカバーユニット10が離脱されると、小型モビリティ20に対する利用終了を通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の利用者により共同利用される小型モビリティと、
前記利用者に所有されるとともに、該利用者の利用者情報が記憶され、前記小型モビリティのハンドルに装着されるカバーユニットと、
前記小型モビリティの利用者情報を管理する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、レンタルポートで前記小型モビリティのハンドルに前記カバーユニットが装着されると、該カバーユニットに記憶された前記利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、前記小型モビリティに対する利用開始を通知し、レンタルポートで、前記小型モビリティのハンドルから前記カバーユニットが離脱されると、前記小型モビリティに対する利用終了を通知する小型モビリティのレンタルシステム。
【請求項2】
前記小型モビリティは、利用開始が通知されると、前記ハンドルに前記カバーユニットが装着される間に限り、該小型モビリティの起動操作を許可する、請求項1に記載の小型モビリティのレンタルシステム。
【請求項3】
前記カバーユニットは、左右一対になっており、
記憶される前記利用者情報は暗号鍵で暗号化され、
一方の前記カバーユニットには暗号化された前記利用者情報が記憶され、
他方の前記カバーユニットには前記暗号鍵が記憶される、請求項1または2に記載の小型モビリティのレンタルシステム。
【請求項4】
前記カバーユニットは、左右一対になっており、
前記利用者情報は、各カバーユニットにそれぞれ振り分けて記憶される、請求項1または2に記載の小型モビリティのレンタルシステム。
【請求項5】
利用者に所有されるとともに該利用者の利用者情報を記憶したカバーユニットが、ハンドルに装着され、多数の前記利用者により共同利用される小型モビリティのレンタル方法であって、
レンタルポートで前記小型モビリティのハンドルに前記カバーユニットが装着されると、該カバーユニットに記憶された前記利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、前記小型モビリティに対する利用開始を通知するステップと、
レンタルポートで、前記小型モビリティのハンドルから前記カバーユニットが離脱されると、前記小型モビリティに対する利用終了を通知するステップと、
を備える小型モビリティのレンタル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型モビリティのレンタルシステム及び小型モビリティのレンタル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動アシスト自転車や電動キックボードといった電動の小型モビリティが知られている。この種の小型モビリティは、手軽な移動手段として普及することが期待されているため、複数の小型モビリティを所有し、これら小型モビリティを利用者に貸し出すレンタル(シェアリングも含む)サービスの運用を支援する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小型モビリティのレンタルサービスにおいては、不特定多数の利用者が小型モビリティを共同利用する。この利用の開始または終了の手続き形態は、サービスごとに異なることが多く、利便性の高いものではなかった。さらに、小型モビリティのハンドルは、風雨で汚れていたり、前の利用者が不明であるため、このハンドルを直接触れることに不安感を覚える利用者もいる。このため、小型モビリティを利用するにあたり、利用者の利便性の向上や利用者の心理的な安心を与えることに関し、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型モビリティを利用する利用者に対する利便性および心理的安心の向上を図った小型モビリティのレンタルシステム及び小型モビリティのレンタル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る小型モビリティのレンタルシステムは、多数の利用者により共同利用される小型モビリティと、利用者に所有されるとともに、利用者の利用者情報が記憶され、小型モビリティのハンドルに装着されるカバーユニットと、小型モビリティの利用者情報を管理する管理サーバと、を備え、管理サーバは、レンタルポートで小型モビリティのハンドルにカバーユニットが装着されると、カバーユニットに記憶された利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、小型モビリティに対する利用開始を通知し、レンタルポートで、小型モビリティのハンドルからカバーユニットが離脱されると、小型モビリティに対する利用終了を通知する。
【0007】
また、本発明に係る小型モビリティのレンタル方法は、利用者に所有されるとともに該利用者の利用者情報を記憶したカバーユニットが、ハンドルに装着され、多数の前記利用者により共同利用される小型モビリティのレンタル方法であって、レンタルポートで小型モビリティのハンドルにカバーユニットが装着されると、該カバーユニットに記憶された利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、小型モビリティに対する利用開始を通知するステップと、レンタルポートで、小型モビリティのハンドルからカバーユニットが離脱されると、小型モビリティに対する利用終了を通知するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る小型モビリティのレンタルシステム及び小型モビリティのレンタル方法によれば、小型モビリティを利用する際の利用者に対する利便性および心理的安心の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る小型モビリティのレンタルシステムの構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、小型モビリティにおけるハンドルおよびカバーユニットを示す部分拡大図である。
【
図3】
図3は、小型モビリティの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、通信制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、小型モビリティの貸出時におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、小型モビリティの貸出中におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、小型モビリティの返却時におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る小型モビリティのレンタルシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る小型モビリティのレンタルシステムの構成例を示す模式図である。
図2は、小型モビリティにおけるハンドルおよびカバーユニットを示す図である。
図3は、小型モビリティの構成例を示すブロック図である。
図4は、通信制御装置の構成例を示すブロック図である。
図5は、管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す小型モビリティのレンタルシステム100は、カバーユニット10(把持部ともいう)を所有する利用者に対して、小型モビリティ20を所定期間貸し出すサービスを行うシステムである。複数の小型モビリティ20は、それぞれポート(レンタルポート)と呼ばれる駐車地に駐車されており、これらのポートが貸出地または返却地となって、カバーユニット10を所有する複数の利用者間で共同利用される。カバーユニット10には、それぞれ利用者自身の利用者情報が記憶されている。利用者は自ら所有するカバーユニット10を、ポートに駐車されている小型モビリティ20のハンドルに着脱することにより、小型モビリティ20の貸出、返却及び決済の手続きが自動的に実行される。
【0013】
小型モビリティのレンタルシステム100は、
図1に示すように、カバーユニット10と、小型モビリティ20と、通信制御装置40と、管理サーバ(管理装置)50とを備える。本実施形態では、通信制御装置40は、小型モビリティ20と管理サーバ50との通信を制御する。詳しくは、通信制御装置40は、小型モビリティ20と近距離通信網60を介して近距離通信を行い、管理サーバ50と通信網70を介して通信を行うように構成される。すなわち、通信制御装置40は、小型モビリティ20及び管理サーバ50とそれぞれ個別に通信することにより、小型モビリティ20と管理サーバ50とが間接的に通信できるように制御する。
【0014】
小型モビリティ20は、乗車定員が1~2名程度の電動の小型車両であり、
図1の例では電動キックボードである。小型モビリティ20の一例である電動キックボードは、前輪21及び後輪22と、前輪21を回転可能に支持するメインフレームバー23と、このメインフレームバー23の上端に取り付けられて前輪21を操舵するハンドル24と、後輪22を回転可能に支持するとともに利用者が搭乗するデッキ25と、メインフレームバー23とデッキ25とを連結する連結フレーム26とを備える。この電動キックボード(小型モビリティ20)は、例えばハンドル24に設けられた操作スイッチ(不図示)と、操作スイッチの操作により駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動させる電力を供給するバッテリー(不図示)と、電動キックボードの動作及び通信を制御する制御部30とを備える。この
図1の例では、制御部30は、デッキ25の下面に設置されているが、この位置に限るものではない。また、小型モビリティ20として電動キックボードを例示して説明したが、両端が開放したハンドルを備えたものであれば、例えば、電動アシスト自転車や電動バイクなどであってもよい。
【0015】
カバーユニット10は、
図2に示すように、左右一対を備えた構成であり、ハンドル24にそれぞれ装着される(取り付けられるともいう)。具体的には、カバーユニット10は、中空円筒状に形成され、カバーユニット10をハンドル24の両端24Aの外側に被せて図中矢印方向にスライド移動させることにより、ハンドル24に装着することができる。一方、カバーユニット10を図中矢印と反対方向にスライド移動させることにより、該カバーユニット10はハンドル24から離脱される(取り外されるともいう)。
【0016】
このカバーユニット10は、利用者がそれぞれ所有するものであり、該カバーユニット10の各々には、不図示のNFC(Near Field Communication)通信部と各種情報が記憶された不図示の記憶部とが設けられている。カバーユニット10の記憶部には、カバーID(identification)及び利用者本人の利用者情報が記憶されている。カバーIDは、カバーユニット10固有の識別情報であり、事前にカバーユニット10に登録(記憶)されている。利用者情報は、例えば、利用者を特定するための利用者識別情報、該利用者識別情報と紐づけられて利用料金の決済に用いられる決済情報などを含む。この利用者情報は、利用者がカバーユニット10を譲渡された後に、利用者本人によって事前にカバーユニット10に登録(記憶)される。決済情報は、例えばクレジットカードや電子マネーなどを用いたキャッシュレス決済に対応した情報である。
【0017】
本実施形態では、カバーユニット10は、左右一対を備えた構成とされているため、一方のカバーユニット10だけでは、利用者情報を利用できないようになっている。具体的には、利用者情報は暗号鍵で暗号化されており、一方のカバーユニット10には暗号化された利用者情報が記憶され、他方のカバーユニット10には暗号鍵が記憶されている。一対のカバーユニット10をハンドル24に装着した際、他方のカバーユニット10に記憶されている暗号鍵を用いて、一方のカバーユニット10に記憶されている暗号化された利用者情報が復号化される。なお、利用者情報の復号化は管理サーバ50に送信されてから行われても良い。この構成によれば、一対のカバーユニット10が揃わないと利用者情報を利用できないため、例えば、片方のカバーユニット10を落とした場合であっても、このカバーユニット10に記憶された利用者情報(の一部)が悪用されることを防止できる。なお、利用者情報は、上記の態様に限らず、例えば、各カバーユニット10にそれぞれ振り分けて記憶されていてもよい。
【0018】
小型モビリティ20は、
図3に示すように、第1通信部31と、第2通信部32と、制御部30とを備える。第1通信部31は、例えば、小型モビリティ20のハンドル24の両端24A(
図2)にそれぞれ配置される。第1通信部31は、ハンドル24に装着されたカバーユニット10と近距離無線通信(例えばNFC通信)を行うことにより、カバーユニット10の装着情報や利用者情報、カバーIDなどの各情報を受信する。NFC通信は、通信距離が10cm以下の近距離通信を可能とするため、カバーユニット10をハンドル24に装着してはじめて、カバーユニット10との通信が可能となる。また、第1通信部31は、カバーユニット10をハンドル24から離脱させると、カバーユニット10の離脱情報を受信する。
【0019】
第2通信部32は、例えば、小型モビリティ20の車体のいずれかに配置され、上記した通信制御装置40との間で近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)を行う。第2通信部32は、カバーユニット10の装着・離脱情報、利用者情報及び利用対象の小型モビリティ20の識別情報を通信制御装置40に送信したり、通信制御装置40から送信された小型モビリティ20の利用開始または利用終了に関する通知(後述する)を受信する。Bluetooth通信は、通信距離は10m程度の近距離無線を可能とする。このため、第2通信部32は、小型モビリティ20がポートに駐車された場合に、このポートに設置された通信制御装置40との通信を可能とする。
【0020】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部30は、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御部30は、不図示のバスにそれぞれ接続された、第1通信制御部33と、第2通信制御部34と、利用者情報取得部35と、カバー認証部36と、ロック・起動制御部37とを備える。
【0021】
第1通信制御部33は、第1通信部31によるカバーユニット10との近距離無線通信(NFC通信)を制御する。第2通信制御部34は、第2通信部32による通信制御装置40との近距離無線通信(Bluetooth通信)を制御する。
【0022】
利用者情報取得部35は、第1通信部31を介して、カバーユニット10から利用者情報を取得する。この取得した利用者情報は、第2通信部32を介して、通信制御装置40に送信され、制御部30(小型モビリティ20)に利用者情報が記憶されないことが好ましい。
【0023】
カバー認証部36は、小型モビリティ20の利用期間(後述する利用開始通知から利用終了通知まで)におけるカバーユニット10の認証を行う。すなわち、ハンドル24に装着されたカバーユニット10が、上記利用期間における適正な利用者のカバーユニット10であるかの認証を行う。具体的には、カバー認証部36は、最初の装着時にカバーユニット10から取得したカバーIDを記憶しており、小型モビリティ20の利用期間中に、カバーユニット10がハンドル24に装着されるたびに、受信したカバーIDと、記憶されたカバーIDとが一致するか否かの認証を行う。そして、カバー認証部36は、認証結果をロック・起動制御部37に出力する。
【0024】
ロック・起動制御部37は、上記した小型モビリティ20の利用期間における該小型モビリティ20のハンドル24のロックの有無及びモータ(不図示)の起動を制御する。具体的には、ロック・起動制御部37は、適正な利用期間において、適正なカバーユニット10が装着されている間に限り、小型モビリティ20のハンドル24のロックを解除するとともにモータ(不図示)の起動操作を許可する。一方で、ロック・起動制御部37は、例えば、カバー認証部36によりカバーIDが一致しないと認証されたカバーユニット10のように、不適正なカバーユニット10がハンドル24に装着されている場合には、このハンドル24のロックを解除せず、モータ(不図示)の起動操作も許可しない。このため、上記利用期間においては、適正に利用している利用者のカバーユニット10が小型モビリティ20の鍵として機能する。これにより、小型モビリティ20の防犯性が向上する。
【0025】
通信制御装置40は、上記したポートにそれぞれ設置され、ポートに駐車された小型モビリティ20と管理サーバ50との通信を制御する。具体的には、通信制御装置40は、小型モビリティ20の制御部30及び管理サーバ50とそれぞれ個別に通信することにより、小型モビリティ20と管理サーバ50との間接的な通信を制御する。通信制御装置40は、
図4に示すように、近距離通信部41と、通信部42と、制御ユニット43とを備える。
【0026】
近距離通信部41は、小型モビリティ20の第2通信部32との間で近距離無線通信(例えばBluetooth通信)を行う。通信部42は、例えば、インターネット通信により、管理サーバ50との間で通信を行う。通信部42は、第2通信部32を介して、小型モビリティ20から受信したカバーユニット10の装着・離脱情報、該小型モビリティ20の識別情報及び該小型モビリティ20の利用者の利用者情報を送信したり、管理サーバ50から送信された小型モビリティ20の利用開始または利用終了に関する通知を受信する。
【0027】
制御ユニット43は、例えば、CPUなどで構成された演算処理装置である。制御ユニット43は、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御ユニット43は、不図示のバスにそれぞれ接続された、近距離通信制御部44と、通信制御部45と、利用者情報取得部46とを備える。
【0028】
近距離通信制御部44は、近距離通信部41による小型モビリティ20との近距離無線通信(Bluetooth通信)を制御する。通信制御部45は、通信部42による管理サーバ50との通信(インターネット通信)を制御する。利用者情報取得部46は、近距離通信部41を介して、小型モビリティ20から利用者情報を取得する。この取得した利用者情報および小型モビリティ20の識別情報は、通信部42を介して、管理サーバ50に送信され、制御ユニット43(通信制御装置40)に利用者情報が記憶されないことが好ましい。
【0029】
管理サーバ50は、レンタル事業を行う事業所やクラウド上に設けられ、小型モビリティ20の利用者情報を管理する。具体的には、管理サーバ50は、通信制御装置40を介して、利用者情報を受信すると、利用者情報に基づき、小型モビリティ20のレンタルに関して利用者登録を行うとともに、利用開始を認証した利用開始通知を出力する。また、管理サーバ50は、通信制御装置40を介して、カバーユニット10の離脱に関するデータを受信すると、小型モビリティ20のレンタルに関して利用終了を認証した利用終了通知を出力する。さらに、管理サーバ50は、小型モビリティ20の利用時間に対応する料金の決済を実行する。
【0030】
管理サーバ50は、
図5に示すように、通信部51と、制御ユニット52とを備える。通信部51は、例えば、インターネット通信により、通信制御装置40との間で通信を行う。具体的には、通信部51は、通信部42を介して、小型モビリティ20の利用開始または利用終了に関する通知を送信したり、通信制御装置40から送信されたカバーユニット10の装着・離脱情報、小型モビリティ20の識別情報及び該小型モビリティ20の利用者の利用者情報を受信する。
【0031】
制御ユニット52は、例えば、CPUなどで構成された演算処理装置である。制御ユニット52は、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御ユニット52は、不図示のバスにそれぞれ接続された、通信制御部53と、利用者情報取得部54と、利用者登録部55と、利用認証部56と、決済部57とを備える。
【0032】
通信制御部53は、通信部51による通信制御装置40との通信(インターネット通信)を制御する。利用者情報取得部54は、通信部51を介して、通信制御装置40から利用者情報を取得する。この取得した利用者情報および小型モビリティ20の識別情報は、それぞれ利用者登録部55、利用認証部56及び決済部57に出力される。
【0033】
利用者登録部55は、利用者情報に基づき、対応する小型モビリティ20の利用(レンタル)に関する利用者登録を行う。具体的には、利用者識別情報に、小型モビリティ20の識別情報、利用日時、利用時間などに関する情報を紐づけて登録(記憶)し、この情報を管理する。ここで、利用時間に関する情報は、例えばカバーユニット10の離脱情報を受信した利用終了時に登録すればよい。また、小型モビリティ20の貸出または返却がなされたポート情報を合わせて取得し、このポート情報も合わせて登録してもよい。
【0034】
利用認証部56は、利用者による小型モビリティ20の利用を認証する。具体的には、利用認証部56は、カバーユニット10の装着情報及び利用者情報に基づき、対象の利用者による小型モビリティ20の利用開始を認証し、この認証した利用開始通知を出力する。また、利用認証部56は、カバーユニット10の離脱情報及び利用者情報に基づき、対象の利用者による小型モビリティ20の利用終了を認証し、この認証した利用終了通知を出力する。
【0035】
決済部57は、利用認証部56が出力する利用開始通知及び利用終了通知に基づき、小型モビリティ20の利用時間を算出し、この利用時間に対応する料金の決済を実行する。この場合、決済部57は、利用者情報に含まれる決済情報を用いて、利用料金を自動的に決済する。
【0036】
次に、本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100の動作について説明する。
図6は、小型モビリティの貸出時におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
図7は、小型モビリティの貸出中におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
図8は、小型モビリティの返却時におけるレンタルシステムの動作を示すフローチャートである。
【0037】
小型モビリティ20を利用する場合、
図6に示すように、一対のカバーユニット10がそれぞれハンドル24に取り付けられると(ステップS101)、制御部30は、装着情報の受信によりカバーユニット10の取り付けを検出し、カバーユニット10から利用者情報を取得するとともに、カバーユニット10のカバーIDを記憶する(ステップS102)。
【0038】
小型モビリティ20の貸出時においては、小型モビリティ20はポートに駐車されている。このため、小型モビリティ20(制御部30)は、近距離無線により、通信制御装置40と通信可能となっている。次に、制御部30は、装着情報および利用者情報などのデータを通信制御装置40に送信する(ステップS103)。
【0039】
通信制御装置40は、受信した装着情報および利用者情報などのデータを、そのまま管理サーバ50に送信する(ステップS104)。管理サーバ50は、データを受信すると、利用者情報に基づいて利用者登録をするとともに、カバーユニット10の装着情報に基づいて、対象の利用者による小型モビリティ20の利用開始を認証する(ステップS105)。
【0040】
続いて、管理サーバ50は、小型モビリティ20の利用開始通知を通信制御装置40に送信する(ステップS106)。通信制御装置40は、受信した利用開始通知をポートに駐車されている小型モビリティ20(制御部30)に送信する(ステップS107)。
【0041】
制御部30は、受信した利用開始通知に基づいて、小型モビリティ20のハンドル24のロックを解除するとともに、小型モビリティ20のモータ(不図示)の起動操作を許可する(ステップS108)。これにより、利用者は、小型モビリティ20による走行が可能となるため、小型モビリティ20を運転することにより、手軽に移動することができる。また、利用者は、ハンドル24にカバーユニット10を取り付けるといった簡単な操作により、小型モビリティ20の貸し出し手続きを行うことができる。さらに、カバーユニット10は、利用者本人が所有するものなので、ハンドル24に直接触れることに対する心理的な不安感を低減することができる。
【0042】
一方、小型モビリティ20の貸出中に、例えば、食事や休憩によって、ポート以外の場所(店舗)に駐車することが想定される。この場合、
図7に示すように、一対のカバーユニット10がそれぞれハンドル24から取り外されると(ステップS201)、制御部30は、離脱情報の受信によりカバーユニット10の取り外しを検出し、ハンドル24のロックとを行うとともに、小型モビリティ20のモータ(不図示)の起動操作を禁止する(ステップS202)。これにより、利用者は、カバーユニット10をハンドル24から取り外すだけで、小型モビリティ20の起動が禁止されるため、カバーユニット10が操作するための鍵として機能し、小型モビリティ20を安全に駐車することができる。
【0043】
また、食事や休憩が終わり、一対のカバーユニット10がそれぞれハンドル24に取り付けられると(ステップS203)、制御部30は、装着情報の受信によりカバーユニット10の取り付けを検出し、カバーIDの認証を行う。そして、カバーIDの認証が成立すれば、制御部30は、小型モビリティ20のハンドル24のロックを解除するとともに、小型モビリティ20のモータ(不図示)の起動操作を許可する(ステップS204)。さらに、駐車中に、例えば第三者が自分のカバーユニットをハンドル24に取り付けたとしても、カバーIDの認証が成立しないため、制御部30は、小型モビリティ20のハンドル24のロックを解除しないとともに、小型モビリティ20のモータ(不図示)の起動操作を許可しない。このため、小型モビリティ20を駐車中に、第三者に小型モビリティ20を盗難される可能性を低減でき、小型モビリティ20の防犯性を高めることができる。
【0044】
また、小型モビリティ20をポートに返却する場合、小型モビリティ20をポートまで移動して、このポートに駐車されることとなる。返却時のポートは貸出時のポートと異なっていてもよい。
図8に示すように、一対のカバーユニット10がそれぞれハンドル24から取り外されると(ステップS301)、制御部30は、離脱情報の受信によりカバーユニット10の取り外しを検出し、小型モビリティ20のハンドル24をロックするとともに、小型モビリティ20のモータ(不図示)の起動操作を禁止する(ステップS302)。
【0045】
制御部30は、離脱情報(データ)を通信制御装置40に送信し(ステップS303)、通信制御装置40は、受信したデータをそのまま管理サーバ50に送信する(ステップS304)。管理サーバ50は、カバーユニット10の離脱情報に基づいて、対象の小型モビリティ20の利用終了を認証するとともに、貸出時に取得した決済情報に基づいて、小型モビリティ20の利用時間に対応する料金の決済を実行する(ステップS305)。この構成によれば、利用者は、所定のポートに小型モビリティ20を移動し、このポートにて、カバーユニット10をハンドル24から取り外すといった簡単な操作により、小型モビリティ20の返却手続きと、利用料金の決済を行うことができる。本実施形態では、小型モビリティ20の利用が終了した際に、利用料金のすべての決済を行っているが、これに限るものではなく、例えば、小型モビリティ20の利用を開始した際に、利用料金のすべてを決済してもよいし、小型モビリティ20の利用を開始した際に、利用料金の一部を決済し、小型モビリティ20の利用を終了した際に、利用料金の残りを決済してもよい。
【0046】
続いて、管理サーバ50は、小型モビリティ20の利用終了通知を通信制御装置40に送信する(ステップS306)。通信制御装置40は、受信した利用終了通知をポートに駐車されている小型モビリティ20(制御部30)に送信する(ステップS307)。
【0047】
制御部30は、受信した利用終了通知に基づいて、記憶されたカバーユニット10のカバーIDを消去する(ステップS308)。これにより、小型モビリティ20は、貸出可能な状態となり、次の利用者の貸出操作に対応することができる。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100は、多数の利用者により共同利用される小型モビリティ20と、利用者にそれぞれ所有されるとともに、該利用者の利用者情報が記憶され、小型モビリティ20のハンドル24に装着されるカバーユニット10と、小型モビリティ20の利用者情報を管理する管理サーバ50と、小型モビリティ20の貸出または返却がなされるポートに設置されて、小型モビリティ20の制御部30と管理サーバ50との通信を制御する通信制御装置40と、を備え、管理サーバ50は、ポートで小型モビリティ20のハンドル24にカバーユニット10が装着されると、通信制御装置40を介して、該カバーユニット10に記憶された利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、小型モビリティ20に対する利用開始を通知し、ポートで小型モビリティ20のハンドル24からカバーユニット10が離脱されると、通信制御装置40を介して、小型モビリティ20に対する利用終了を通知する。
【0049】
この構成によれば、小型モビリティ20がポートに駐車された状態で、利用者がカバーユニット10を小型モビリティ20のハンドル24に着脱するといった簡単な操作により、小型モビリティ20の貸出、または返却手続きを行うことができる。また、カバーユニット10は、利用者本人が所有するものなので、ハンドル24に直接触れることが防止され、ハンドルに直接触れることに対する心理的な不安感を低減することができる。さらに、レンタル事業者側にとっては、カバーユニット10を利用者に負担してもらうことにより、利用者に所有感が生まれ、小型モビリティ20を大切に扱おうという心理が期待できる。
【0050】
また、本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100において、小型モビリティ20は、利用開始が通知されると、ハンドル24にカバーユニット10が装着される間に限り、該小型モビリティ20の起動操作を許可する。この構成によれば、適正に利用している利用者のカバーユニット10が小型モビリティ20の鍵として機能する。これにより、小型モビリティ20の防犯性が向上する。
【0051】
また、本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100において、カバーユニット10は、左右一対になっており、記憶される利用者情報は暗号鍵で暗号化され、一方のカバーユニット10には暗号化された利用者情報が記憶され、他方のカバーユニット10には暗号鍵が記憶される。この構成によれば、一対のカバーユニット10が揃わないと利用者情報を利用できないため、例えば、片方のカバーユニット10を落とした場合であっても、このカバーユニット10に記憶された利用者情報が悪用されることを防止できる。
【0052】
また、本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100において、カバーユニット10は、左右一対になっており、利用者情報は、各カバーユニット10にそれぞれ振り分けて記憶される。この構成によっても、一対のカバーユニット10が揃わないと利用者情報を利用できないため、例えば、片方のカバーユニット10を落とした場合であっても、このカバーユニット10に記憶された利用者情報が悪用されることを防止できる。
【0053】
本実施形態に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100において、利用者情報は、決済情報を含み、管理サーバ50は、小型モビリティ20に対する利用開始および利用終了の少なくとも一方を通知した際に、決済情報に基づき、利用料金の決済を行う。この構成によれば、小型モビリティ20がポートに駐車された状態で、利用者がカバーユニット10を小型モビリティ20のハンドル24に着脱するといった簡単な操作により、利用時間に対応した利用料金の決済を自動的に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、管理サーバ50は、通信制御装置40を介して、カバーユニット10に記憶された利用者情報を取得して利用者登録をするとともに、小型モビリティ20に対する利用開始及び利用終了を通知するとしたが、通信制御装置40を介さずに、直接、小型モビリティ20が管理サーバ50に対して通信を行っても良い。その場合は、小型モビリティ20が位置情報を取得し、その位置情報を併せて管理サーバ50に通知し、ポートに駐車されていることを知らせればよい。その際、小型モビリティ20の第2通信部32は、通信制御装置40の通信部42の機能を担う。
【0055】
これまで本発明に係る小型モビリティ20のレンタルシステム100について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。図示した小型モビリティ20のレンタルシステム100の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0056】
また、小型モビリティ20の制御部30、通信制御装置40の制御ユニット43及び管理サーバ50の制御ユニット52の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0057】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 カバーユニット
20 小型モビリティ
24 ハンドル
24A 両端
30 制御部
31 第1通信部
32 第2通信部
35 利用者情報取得部
36 カバー認証部
37 ロック・起動制御部
40 通信制御装置
41 近距離通信部
42 通信部
43 制御ユニット
50 管理サーバ(管理装置)
51 通信部
52 制御ユニット
55 利用者登録部
56 利用認証部
57 決済部
100 小型モビリティのレンタルシステム