(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090692
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20240627BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F04D29/42 C
F04D13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206741
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC06
3H130BA22A
3H130CA21
3H130CA23
3H130DD01X
3H130DJ06X
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】 内圧に加えて、電動モータの自重による荷重に対しても耐え得るポンプの一例を開示する。
【解決手段】 プレート25には、取付フランジ部26の外周に連結されて当該プレート25の外周側に向けて延びる複数の第1壁状リブ27が設けられている。そして、それら第1壁状リブ27は、取付フランジ部26側のリブ高さHが外周側のリブ高さHに比べて大きくなっている。これにより、当該ケーシングでは、モータ部が装着されるプレート25が複数の第1壁状リブ27にて補強される。しかも、それら第1壁状リブ27は、取付フランジ部26側のリブ高さHが外周側のリブ高さHに比べて大きく、かつ、取付フランジ部26の外周に連結されて当該プレート25の外周側に向けて延びているので、効果的にプレート25を補強することが可能となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータにより回転駆動されるインペラと、
前記インペラを収納するケーシングであって、吸込口が設けられたケーシング本体、及び当該インペラを挟んで前記ケーシング本体と反対側に配置されて当該ケーシング本体に固定されたカバープレートを有するケーシングと、
前記カバープレートの中心側に設けられ、当該カバープレートに対して前記電動モータ側にずれた部位に位置する取付フランジ部であって、当該電動モータが装着可能な環状の取付フランジ部と、
前記カバープレートに設けられた複数の壁状リブであって、前記取付フランジ部の外周に連結されて当該カバープレートの外周側に向けて延びる複数の壁状リブとを備え、
前記電動モータは、前記カバープレートを挟んで前記ケーシング本体と反対側に配置されており、
前記壁状リブの外形寸法のうち、前記インペラの中心軸線と平行な部位の寸法をリブ高さとしたとき、
前記取付フランジ部側の前記リブ高さは、前記外周側の前記リブ高さに比べて大きいポンプ。
【請求項2】
前記カバープレートには連結リブが設けられており、
前記連結リブは、複数の前記壁状リブのうち前記インペラの回転方向において隣合う2つの壁状リブ、前記取付フランジ部及び前記カバープレートを連結する請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記カバープレートの外周側には外周リブが設けられており、
前記外周リブは、前記カバープレートの外周側全周に亘って突出した突条の環状部である請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記連結リブ又は前記壁状リブから前記電動モータの出力軸側に向けて延びる第2の壁状リブを備える請求項2に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ケーシング本体と前記カバープレートとは、外周側に配置された複数のボルトにより互いに締結固定され、
前記カバープレートには、前記ボルトと結合する袋ナット状のナット部が設けられており、
さらに、前記壁状リブの前記外周側は、前記ナット部まで延びて当該ナット部に連結されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項6】
前記ナット部は、前記ボルトと同数設けられ、
前記カバープレートの外周側には、環状の締結フランジ部が設けられており、
さらに、前記締結フランジ部は、複数の前記ナット部のうち前記インペラの回転方向において隣合うナット部を連結する請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記中心軸線が水平方向と略一致しているとともに、前記カバープレートの下端側には、前記ケーシングを支持・固定するための脚部が設けられており、
さらに、前記複数の壁状リブのうち少なくとも1つは、前記脚部に向けて延びているとともに、当該脚部と連結されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動モータにより駆動されるポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のポンプでは、ケーシング本体に放射状に延びる複数のリブが設けられている。なお、ケーシング本体とは、流体の吸込口が設けられた部位をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インペラが収納されるケーシングは、通常、上記のケーシング本体及び当該ケーシング本体に固定されたカバー等を有して構成されている。当該カバーには、電動モータが装着可能な取付フランジ部が設けられている。このため、カバーには、インペラの回転時に発生する圧力(以下、内圧という。)に加えて、電動モータの自重による荷重が作用する。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、内圧に加えて、電動モータの自重による荷重に対しても耐え得るポンプの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポンプは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、電動モータ(10)により回転駆動されるインペラ(21)と、インペラ(21)を収納するケーシング(22)であって、吸込口(23A)が設けられたケーシング本体(23)、当該インペラ(21)を挟んでケーシング本体(23)と反対側に配置されて当該ケーシング本体(23)に固定されたカバープレート(25)を有するケーシング(22)と、カバープレート(25)の中心側に設けられ、当該カバープレート(25)に対して電動モータ(10)側にずれた部位に位置する取付フランジ部(26)であって、当該電動モータ(10)が装着可能な環状の取付フランジ部(26)と、カバープレート(25)に設けられた複数の壁状リブ(27)であって、取付フランジ部(26)の外周に連結されて当該カバープレート(25)の外周側に向けて延びる複数の壁状リブ(27)とを備え、電動モータ(10)は、カバープレート(25)を挟んでケーシング本体(23)と反対側に配置されており、取付フランジ部(26)側のリブ高さ(H)は、外周側のリブ高さ(H)に比べて大きいことである。なお、リブ高さ(H)とは、壁状リブ(27)の外形寸法のうち、インペラ(21)の中心軸線(Lo)と平行な部位の寸法をいう。
【0007】
これにより、当該ケーシングでは、電動モータ(10)が装着されるカバープレート(25)が複数の壁状リブ(27)にて補強される。しかも、それら壁状リブ(27)は、取付フランジ部(26)側のリブ高さ(H)が、カバープレート(25)の外周側のリブ高さ(H)に比べて大きく、かつ、取付フランジ部(26)の外周に連結されて当該カバープレート(25)の外周側に向けて延びているので、効果的にカバープレート(25)を補強することが可能となる。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るポンプの構造を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るカバープートを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るカバープートを示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るカバープートを示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るカバープートの構造を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るカバープートを示す図である。
【
図8】第2実施形態に係るカバープートを示す図である。
【
図9】第3実施形態に係るカバープートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたポンプは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.ポンプの概要>
本実施形態は、給水用の電動ポンプに本開示に係るポンプの一例が適用されたものである。ポンプ1は、
図1に示されるように、モータ部10及びポンプ部20等を少なくとも備える。モータ部10は、電動モータ等の電動機にて構成されている。
【0014】
<ポンプ部>
ポンプ部20は、
図2に示されるように、インペラ21及びケーシング22等を少なくとも備える。インペラ21は、モータ部10により回転駆動される羽根車である。当該インペラ21は、モータ部10の出力軸11に直接的に連結されている。
【0015】
本実施形態に係るポンプ1は、
図1に示されるように、出力軸11及びインペラ21の中心軸線Loが水平方向と略一致するように設置される。そして、ポンプ部20は、中心軸線Loと平行な方向から流体を吸引した後、その吸引した流体を中心軸線Loと直交する方向に吐き出す。
【0016】
ケーシング22はインペラ21を収納する。当該ケーシング22は、ケーシング本体23及びケーシングカバー24(以下、カバー24と略す。)等を少なくとも有する。カバー24は、複数のボルトB1(
図2参照)によりケーシング本体23に固定されている。
【0017】
ケーシング本体23には、
図1に示されるように、少なくとも流体の吸込口23Aが設けられている。なお、本実施形態に係るポンプ部20では、吸込口23Aの中心が中心軸線Loより高い位置に設定されている。
【0018】
これにより、インペラ21が回転すると、ケーシング22内に充填された呼び水により自吸力が発生する。なお、呼び水用の注水口24Cは、ケーシング本体23の上部(本実施形態では、吐出し口23Bの近傍)に設けられている。
【0019】
カバー24は、インペラ21を挟んでケーシング本体23と反対側に配置されて当該ケーシング本体23に複数のボルトB1にて固定されている。そして、カバー24は、ケーシング本体23と協働してインペラ21を収納する空間を構成する。
【0020】
<2.カバーの詳細>
カバー24は、
図3に示されるように、カバープレート25、第1壁状リブ27、連結リブ28、外周リブ29、第2壁状リブ30、ナット部31、締結フランジ部32及び脚部33等を少なくとも有している。
【0021】
なお、本実施形態に係るカバー24は、カバープレート25、第1壁状リブ27、連結リブ28、外周リブ29、第2壁状リブ30、ナット部31、締結フランジ部32及び脚部33等がFC材等の鉄系金属にて一体成形された一体品である。
【0022】
<2.1 カバープレート>
カバープレート25(以下、プレート25と略す。)は、略円盤状に構成された部位である。当該プレート25の中心側には軸穴25Aが設けられている。軸穴25Aは、出力軸11が貫通挿入される貫通した穴である。
【0023】
なお、プレート25のうち軸穴25Aが設けられた部位には、膨出部25Bが設けられている。膨出部25Bは、プレート25の略円盤状の面から、中心軸線Loの方向(本実施形態では、モータ部10側)に向けて膨出した部分である(
図1参照)。
【0024】
軸穴25Aは、中心軸線Loの方向に最も膨出した箇所に形成されている。そして、軸穴25Aと出力軸11との隙間は、メカニカルシール等の軸封装置(図示せず。)にて封止されている。なお、当該軸封装置は、膨出部25Bのインペラ21側に接触する形で、組付けられている。
【0025】
<2.2 取付フランジ部>
取付フランジ部26は、モータ部10が装着可能な環状の部位である。当該取付フランジ部26は、
図5に示されるように、プレート25に対してモータ部10側(
図5では、紙面右側)にずれた部位に位置している。
【0026】
換言すれば、電動モータ10は、プレート25を挟んでケーシング本体23と反対側に配置されている。このため、取付フランジ部26は、プレート25を挟んでケーシング本体23と反対側、つまりプレート25に対してモータ部10側にずれた部位に位置する。
【0027】
なお、本実施形態に係る取付フランジ部26は、膨出部25Bより更にモータ部10側にずれている(
図1参照)。そして、取付フランジ部26には、複数のボルト穴26A(
図5参照)が設けられている。これらのボルト穴26Aは、モータ部10を固定するボルト(図示せず。)が挿入される貫通している穴である。
【0028】
<2.3 第1壁状リブ>
プレート25には、複数の第1壁状リブ27が設けられている。それら複数の第1壁状リブ27それぞれは、
図4に示されるように、軸穴25A側、つまりプレート25の中心側から当該プレート25の外周に向けて放射状に延びた壁状の部位である。
【0029】
各第1壁状リブ27は、
図3に示されるように、取付フランジ部26の外周に連結されている。そして、各第1壁状リブ27は、
図5に示されるように、取付フランジ部26側でのリブ高さHが、外周側でのリブ高さHに比べて大きくなるように構成されている。
【0030】
具体的には、各第1壁状リブ27は、当該第1壁状リブ27の尾根部27Aが、取付フランジ部26とナット部31とを繋ぐ直線と略一致するように構成されている。このため、各リブ高さHは、取付フランジ部26に近づくほど線形的に大きくなる。
【0031】
なお、第1壁状リブ27のリブ高さHとは、第1壁状リブ27の外形寸法のうち、中心軸線Loと平行な部位の寸法をいう。尾根部27Aとは、第1壁状リブ27の頂部を連ねた部位をいう。第1壁状リブ27の頂部とは、第1壁状リブ27のうち端部のうちプレート25と反対側の端部をいう。
【0032】
<2.4 連結リブ>
連結リブ28は、
図4及び
図5に示されるように、複数の第1壁状リブ27のうちインペラ21の回転方向において隣合う2つの第1壁状リブ27、取付フランジ部26及びプレート25を連結する部位である。
【0033】
本実施形態では、複数の連結リブ28が設けられている。そして、各連結リブ28は、隣合う2つの第1壁状リブ27、取付フランジ部26及びプレート25を曲面にて連結するように湾曲した板状(例えば、瓦板状)の部位である。
【0034】
なお、複数の連結リブ28のうちインペラ21の回転方向において隣合う2つの連結リブ28の間には、
図4に示されるように、窓部28Aが設けられている。つまり、窓部28Aと連結リブ28とは、当該回転方向において交互に設けられている。
【0035】
各窓部28Aは、連結リブ28の軸穴25A側の面(以下、連結リブ28の裏面という。)や第2壁状リブ30を視認可能とするとともに、軸穴25A周囲の空間が密閉状態となることを回避するための開口部である。
【0036】
<2.5 外周リブ>
外周リブ29は、
図6に示されるように、プレート25の外周側に設けられている。当該外周リブ29は、プレート25の最外周において、当該プレート25全周に亘って突出した突条の環状部である。
【0037】
<2.6 第2壁状リブ>
第2壁状リブ30は、第1壁状リブ27から延出するように軸穴25A側、つまり出力軸11側に向けて延びる壁状の部位である。本実施形態では、複数の第2壁状リブ30が設けられている。なお、当該第2壁状リブ30の個数は、第1壁状リブ27の個数より少ない(
図7参照)。
【0038】
具体的には、本実施形態では、複数の第1壁状リブ27のうち、第1壁状リブ27の延び方向と鉛直方向とのなす角θ1(
図7参照)が所定角度(例えば、45度)以下となる第1壁状リブ27が延出して第2壁状リブ30が構成されている。
【0039】
<2.6 ナット部>
本実施形態に係るナット部31は、プレート25の外周側において、ボルトB1と同数設けられている。各ナット部31は、対応するボルトB1の雄ねじ部(図示せず。)と結合する袋ナット状の部位である。
【0040】
袋ナットとは、例えば「JIS B 1183」に示されるように、雌ねじ穴が貫通していないナットである。なお、各ナット部31はプレート25に一体化している。このため、各ナット部31には、六角ナット部分に相当する部位は設けられていない。
【0041】
そして、各第1壁状リブ27は、ナット部31まで延びて当該ナット部31に連結されている(
図6参照)。つまり、第1壁状リブ27の尾根部27Aは、取付フランジ部26とナット部31とを直線状に繋いでいる。
【0042】
<2.6 締結フランジ部>
締結フランジ部32は、プレート25の外周側に設けられた環状の部位(
図7の粗い斜線部)である。当該締結フランジ部32は、複数のナット部31のうちインペラ21の回転方向において隣合うナット部31を連結するように環状に構成されている。
【0043】
なお、本実施形態では、外周リブ29もプレート25の外周側において環状に構成されている。このため、本実施形態では、隣合うナット部31は、外周リブ29及び締結フランジ部32を介して連結された構成となっている。
【0044】
<2.7 脚部>
脚部33は、
図7に示されるように、プレート25の下端側に設けられ、ケーシング22を支持・固定するための部位である。具体的には、当該脚部33は、プレート25のうち、鉛直線L1を挟んで対称となる下部位置それぞれに設けられている。なお、鉛直線L1は、軸穴25Aの中心を通る仮想の鉛直線である。
【0045】
各脚部33は、
図6に示されるように、水平板状の固定部33A及び鉛直板状の繋ぎ部33B等を有して構成されている。固定部33Aと外周リブ29とは、上下方向にずれている。そして、繋ぎ部33Bは、固定部33Aと外周リブ29の外周面とを繋いでいる。なお、2つの脚部33は、鉛直線L1について線対称の構成となっている。
【0046】
そして、複数の第1壁状リブ27のうち2つの第1壁状リブ(以下、第3壁状リブ27Bという。)は、脚部33に向けて延びている。そして、各第3壁状リブ27Bは、対応する脚部33と連結されている。なお、本実施形態では、各第3壁状リブ27Bは、各脚部33の端部のうち互いに対向する部位、つまり仮想線である鉛直線L1に面する端部に連結されている。
【0047】
具体的には、
図6に示されるように、第3壁状リブ27Bは、固定部33A及びナット部31に連結された構成となっている。このため、第3壁状リブ27Bは、ナット部31を介して外周リブ29及び締結フランジ部32とも連結された構成となる。そして、第3壁状リブ27Bは、ナット部31のモータ部10側の上面を横断する形で渡るように連結リブ28及び固定部33Aに連結されている。
【0048】
なお、本実施形態では、第3壁状リブ27Bから延出する第2壁状リブ30に対して、軸穴25Aの中心軸線Loを挟んで対称な位置にもう一方の第2壁状リブ30が設けられている。つまり、本実施形態では、2箇所の第2壁状リブ30が設けられ、かつ、これらの第2壁状リブ30は中心軸線Loを挟んで、ほぼ直線状に設けられている。
【0049】
<3.本実施形態に係るポンプ(特に、ケーシング)の特徴>
プレート25には、取付フランジ部26の外周に連結されて当該プレート25の外周側に向けて延びる複数の第1壁状リブ27が設けられている。そして、それら第1壁状リブ27は、取付フランジ部26側のリブ高さHが外周側のリブ高さHに比べて大きくなっている。
【0050】
これにより、当該ケーシング22では、モータ部10が装着されるプレート25が複数の第1壁状リブ27にて補強される。しかも、それら第1壁状リブ27は、取付フランジ部26側のリブ高さHが外周側のリブ高さHに比べて大きく、かつ、取付フランジ部26の外周に連結されて当該プレート25の外周側に向けて延びているので、効果的にプレート25を補強することが可能となる。
【0051】
複数の第1壁状リブ27のうちインペラ21の回転方向において隣合う2つの第1壁状リブ27、取付フランジ部26及びプレート25を連結する連結リブ28を備える。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。
【0052】
プレート25の外周側には外周リブ29が設けられており、外周リブ29は、プレート25の外周側全周に亘って突出した突条により構成されている。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。
【0053】
第1壁状リブ27からモータ部10の出力軸11側に向けて延びる第2壁状リブ30を備える。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。特に、中心軸線Loが水平方向と略一致するように設置された構成において、上下方向に第2壁状リブ30を設けた場合、取付フランジ部26に作用するモータ部10の自重によるモーメントに対して効果的に対抗できる。
【0054】
第1壁状リブ27の外周側は、ナット部31まで延びて当該ナット部31に連結されている。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。
プレート25の外周側には、複数のナット部31のうちインペラ21の回転方向において隣合うナット部31を連結する環状の締結フランジ部32が設けられている。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。
【0055】
第3壁状リブ27Bは、脚部33に向けて延びているとともに、当該脚部33と連結されている。これにより、プレート25の剛性が更に向上し得る。したがって、取付フランジ部26に作用するモータ部10の自重によるモーメントに対して効果的に対抗できる。
【0056】
連結リブ28の裏面や第2壁状リブ30を視認可能とするための窓部28Aが設けられている。これにより、プレート25の鋳造工程が終了したときに、製造担当者は、窓部28Aを通して、連結リブ28の裏面や第2壁状リブ30を視認確認できる。
【0057】
また、例えば、電気系部品の電気配線を、一方の窓部28Aの開口部から、軸穴25A周囲の空間を通して、他方の窓部28Aを通って、外部に配線することができる。
さらに、第2壁状リブ30が一部傾斜になっている壁面部は、配線をガイドする機能を有している。また、傾斜となって切り取られている空間を通して、第2壁状リブ30をまたぐように、配線を通すことができる。
【0058】
各連結リブ28は、取付フランジ部26と連結されている。これにより、鋳造用の中子型が必要な部位、つまり、取付フランジ部26のプレート25側の空間を構成するための中子型が大型することを抑制でき得る。
【0059】
各ナット部31は袋ナット状である。これにより、ボルトB1の雄ねじがナット部31により覆われた構成となるので、当該雄ねじが外気等の雰囲気中に直接曝露した構成に比べて、雄ねじの腐食の進行を抑制できる。
【0060】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、複数の第1壁状リブ27のうち第3壁状リブ27Bを除く「他の第1壁状リブ27」は、ナット部31を介して外周リブ29に間接的に連結された構成であった。
【0061】
これに対して、本実施形態に係る「他の第1壁状リブ27」は、
図8に示されるように、第3壁状リブ27Bと同様に外周リブ29まで延びて外周リブ29と直接的に連結されている。
【0062】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(第3実施形態)
上述の実施形態に係る第1壁状リブ27は、ナット部31に連結される構成であった。これに対して、本実施形態に係る第1壁状リブ27は、
図9に示されるように、ボルトB1が挿入される部位からずれた位置にて外周リブ29に連結された構成である。
【0063】
なお、
図9では、ナット部31が廃止され、ボルト穴が単純な貫通孔31Aで構成されている。上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0064】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るカバー24は、プレート25、第1壁状リブ27、連結リブ28、外周リブ29、第2壁状リブ30、ナット部31、締結フランジ部32及び脚部33等がFC材にて一体成形されたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0065】
すなわち、当該開示は、例えば、第1壁状リブ27、連結リブ28、外周リブ29、第2壁状リブ30、ナット部31、締結フランジ部32及び脚部33のうち少なくとも1つが廃止された構成又はこれらが別部品と製造された後に一体化された構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態に係る第3壁状リブ27Bは、脚部33に向けて延びているとともに、当該脚部33と連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第3壁状リブ27Bが廃止された構成であってもよい。
【0067】
上述の実施形態に係るポンプは、中心軸線Loが略水平に配置される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、中心軸線Loが略鉛直に配置される構成であってもよい。
【0068】
上述の第3実施形態は、ナット部31が廃止された構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、貫通孔31Aの位置にナット部31が設けられた構成であってもよい。
【0069】
上述の実施形態に係る第1壁状リブ27は、当該第1壁状リブ27の頂部を連ねた尾根部27Aが、取付フランジ部26とナット部31とを繋ぐ直線と略一致するように構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0070】
すなわち、当該開示は、尾根部27Aが凸状もしくは凹状に湾曲してリブ高さHが曲線状に連続変化する構成、尾根部27Aが階段状となってリブ高さHが不連続的に変化する構成、又はリブ高さHが一定である構成であってもよい。
【0071】
上述の実施形態に係る連結リブ28は瓦板状に構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、連結リブ28は、隣合う2つの第1壁状リブ27、取付フランジ部26及びプレート25を連結する機能を有するものであるので、例えば、連結リブ28に貫通した穴が設けられた構成であってもよい。
【0072】
上述の実施形態係る第2壁状リブ30は、第1壁状リブ27から延出するように軸穴25Aに向けて延びていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第2壁状リブ30が廃止された構成、又は第2壁状リブ30が連結リブ28から延出するように軸穴25Aに向けて延びた構成であってもよい。
【0073】
上述の実施形態では、窓部28Aと連結リブ28とが交互に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、窓部28Aが廃止された構成、又は1つの窓部28Aが設けられた構成であってもよい。
【0074】
上述の実施形態では、第1壁状リブ27が第3壁状リブ27Bも兼ねる構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、第3壁状リブ27Bが第1壁状リブ27と独立した別の壁状リブであってもよい。この場合、第1壁状リブ27が廃止された構成であってもよい。
【0075】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1… ポンプ 10…モータ部 11… 出力軸 20… ポンプ部
21… インペラ 22…ケーシング 23… ケーシング本体
23A… 吸込口 23B…吐出し口 24… ケーシングカバー(カバー)
25… カバープレート(プレート) 26… 取付フランジ部
27… 第1壁状リブ 27B…第3壁状リブ 28… 連結リブ
29… 外周リブ 30…第2壁状リブ 31… ナット部
32… 締結フランジ部 33…脚部