(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090696
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像形成システム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240627BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240627BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 401
G06F3/12 367
G06F3/12 312
G06F3/12 388
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206747
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC34
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】ユーザが画像形成の指示を行ってから画像形成装置に赴き、その画像形成装置において画像形成を速やかに開始することができる。
【解決手段】PC100から画像データを受信すると、サーバ300は、座席の使用状況及び位置に基づいてPC100とプリンタ200の間の距離を示す距離データを取得する。サーバ300は、距離データが示す距離に応じた長さを有する保持時間を生成し、画像データと共にプリンタ200に送信する。プリンタ200は、保持時間が経過するまでにユーザ入力を受け付けると、サーバ300からの画像データに基づく画像形成を開始する。ユーザ入力を受け付けないまま保持時間が経過すると、プリンタ200は画像データを削除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、前記端末装置からの画像形成の要求に基づいて画像を形成する画像形成装置と、前記端末装置及び前記画像形成装置のそれぞれと通信可能なサーバとを備えている画像形成システムであって、
前記端末装置は、前記画像形成の要求の対象となる画像を示す画像データを前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記端末装置と前記画像形成装置との間の距離を示す距離データを取得する距離取得部と、
前記端末装置から前記画像データを受信した場合に、前記距離取得部が取得した前記距離データが示す前記距離に応じた保持時間及び前記画像データを前記画像形成装置に送信する第1送信部とを備えており、
前記画像形成装置は、
媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
ユーザ入力を受け付けるユーザ入力部と、
制御部とを備えており、
前記制御部が、
前記第1送信部から受信した前記画像データを記憶する記憶部と、
前記第1送信部から受信した前記保持時間が経過するまでに前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記記憶部に記憶された前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる第1画像形成処理部と、
前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けることなく前記保持時間が経過した場合に前記画像データを前記記憶部の記憶内容から削除する削除部とを有していることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記端末装置が、前記画像形成の要求を識別する識別情報を前記画像データと併せて前記画像形成装置に送信し、
前記制御部は、
前記保持時間が経過した後に前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記識別情報を前記サーバに送信する第2送信部と、
前記第2送信部による前記識別情報の送信に応じて前記サーバから再送信される前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる第2画像形成処理部とを有しており、
前記サーバは、
前記制御部から前記識別情報を受信した場合に、前記識別情報が示す前記画像形成の要求に対応する前記画像データを前記画像形成装置に再送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
複数の前記画像形成装置を備えており、
前記距離データが、前記端末装置と前記複数の画像形成装置のそれぞれとの間の距離を示すデータを含んでおり、
前記第1送信部は、前記端末装置から前記画像データを受信した場合に、前記複数の画像形成装置のそれぞれについて前記距離データが示す距離に応じた長さの前記保持時間及び前記画像データを前記複数の画像形成装置のそれぞれに送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1画像形成処理部が前記画像形成部に前記画像形成動作を開始させた後に、当該画像形成動作の中断が発生した場合に、前記画像形成動作の中断を前記サーバに報告する報告部と、
前記第1送信部から受信した前記保持時間が経過する前の時点で、前記サーバから所定の通知を受け取った場合に、前記保持時間を、元の長さから延長された時間に更新する保持時間延長部とをさらに有しており、
前記サーバは、前記報告部から前記画像形成動作の中断が報告された場合に、前記複数の画像形成装置のうち、当該報告を行った前記画像形成装置以外のものに対して前記所定の通知を送信することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記距離データが、前記画像形成装置同士の距離を示すデータを含んでおり、
前記サーバが、前記所定の通知の送信先の前記画像形成装置と、前記画像形成動作の中断を報告してきた前記画像形成装置との間の距離に応じた長さの延長時間を前記送信先の画像形成装置に送信し、
前記保持時間延長部が、前記保持時間を更新するに当たって、前記保持時間を、元の長さから前記延長時間分の延長がなされた時間に更新することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記サーバが、前記所定の通知の送信先の前記画像形成装置において前記記憶部の記憶内容から前記画像データが削除されている場合に、当該画像形成装置に前記画像データを再送信し、
前記画像データの再送信先の前記画像形成装置の前記制御部が、
前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けたときに、前記サーバから再送信された前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる第3画像形成処理部をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第3画像形成処理部が、
所定の追加時間が経過するまでに前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記サーバから再送信された前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせ、
前記削除部が、前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けることなく前記サーバから受信した前記所定の追加時間が経過した場合に、前記サーバから再送された前記画像データを前記記憶部の記憶内容から削除することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記距離データが、前記画像形成装置同士の距離を示すデータを含んでおり、
前記サーバが、前記距離データに基づいて、前記再送信先の画像形成装置と、前記画像形成動作の中断を報告してきた前記画像形成装置との間の距離に応じた長さの前記所定の追加時間を前記再送信先の画像形成装置に送信することを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記端末装置が、その使用場所の位置を前記サーバに送信し、
前記距離取得部が、前記使用場所の位置と前記画像形成装置の位置とに基づいて前記距離データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項10】
端末装置と通信可能な画像形成装置であって、
媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、
ユーザ入力を受け付けるユーザ入力部と、
制御部とを備えており、
前記制御部が、
前記端末装置と前記画像形成装置との間の距離を取得する距離取得部と、
前記端末装置から受信した画像データを記憶する記憶部と、
前記距離取得部が取得した前記距離に応じた保持時間が経過するまでに前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる画像形成処理部と、
前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けることなく前記保持時間が経過した場合に前記画像データを前記記憶部の記憶内容から削除する削除部とを有していることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置からの画像形成の要求に基づいて画像を形成する画像形成装置を備えた画像形成システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置から送信された画像データに基づき、画像形成装置が媒体に画像を形成する画像形成システムがある。特許文献1では、あらかじめ端末装置が使用される位置(座席)と、選択対象となる画像形成装置(プリンタ)とが対応付けられている。そして、いずれかの座席で使用中の端末装置においてユーザが画像形成システムに対して画像の形成を指示すると、その座席と対応付けられた画像形成装置が端末装置において選択され、その画像形成装置により画像形成が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、上記の通り、座席に対応付けられた画像形成装置のいずれかが自動で選択され、その画像形成装置において画像形成が自動で開始される方法が採用されている。これに対し、端末装置において画像の形成を指示したユーザが、使用したい画像形成装置に実際に赴いてからその画像形成装置に画像形成を速やかに開始させ、画像形成が行われた媒体を受け取る方法が要望される場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが画像形成の指示を行ってから画像形成装置に赴き、その画像形成装置において画像形成を速やかに開始することができる画像形成システム及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成システムは、端末装置と、前記端末装置からの画像形成の要求に基づいて画像を形成する画像形成装置と、前記端末装置及び前記画像形成装置のそれぞれと通信可能なサーバとを備えている画像形成システムであって、前記端末装置は、前記画像形成の要求の対象となる画像を示す画像データを前記サーバに送信し、前記サーバは、前記端末装置と前記画像形成装置との間の距離を示す距離データを取得する距離取得部と、前記端末装置から前記画像データを受信した場合に、前記距離取得部が取得した前記距離データが示す前記距離に応じた保持時間及び前記画像データを前記画像形成装置に送信する第1送信部とを備えており、前記画像形成装置は、媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、ユーザ入力を受け付けるユーザ入力部と、制御部とを備えており、前記制御部が、前記第1送信部から受信した前記画像データを記憶する記憶部と、前記第1送信部から受信した前記保持時間が経過するまでに前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記記憶部に記憶された前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる第1画像形成処理部と、前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けることなく前記保持時間が経過した場合に前記画像データを前記記憶部の記憶内容から削除する削除部とを有している。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、端末装置と通信可能な画像形成装置であって、媒体に画像を形成する画像形成動作を行う画像形成部と、ユーザ入力を受け付けるユーザ入力部と、制御部とを備えており、前記制御部が、前記端末装置と前記画像形成装置との間の距離を取得する距離取得部と、前記端末装置から受信した画像データを記憶する記憶部と、前記距離取得部が取得した前記距離に応じた保持時間が経過するまでに前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けた場合に、前記画像データが示す画像についての前記画像形成動作を前記画像形成部に行わせる画像形成処理部と、前記ユーザ入力部がユーザ入力を受け付けることなく前記保持時間が経過した場合に前記画像データを前記記憶部の記憶内容から削除する削除部とを有している。
【発明の効果】
【0008】
ユーザが端末装置において画像形成の要求を発生させると、サーバが画像形成装置に画像データを送信する。そして、ユーザが画像形成装置においてユーザ入力を行うと、ユーザ入力を行う前に記憶部に記憶された画像に基づいて画像形成が速やかに実行される。
【0009】
また、画像データは、ユーザ入力がなされることなく端末装置と画像形成装置との間の距離に応じた保持時間が経過すると記憶部の記憶内容から削除される。つまり、画像データは、ユーザが画像形成装置に到着するまでの所要時間を考慮した保持時間後に削除される。このため、画像形成装置において画像データが長期間不要に保持されることで記憶部の記憶容量が過度に圧迫される事態が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のプリンタシステムに含まれるPC及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のプリンタシステムに含まれるプリンタの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のプリンタシステムが実行する処理であって、あるプリンタにおいて保持時間が経過する前にタッチパネルディスプレイを通じて所定の入力がなされた場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図1のプリンタシステムが実行する処理であって、あるプリンタにおいて保持時間が経過した後にタッチパネルディスプレイを通じて所定の入力がなされた場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】
図1のプリンタシステムが実行する処理であって、あるプリンタの画像形成動作が他のプリンタの保持時間が経過する前に中断した場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】
図1のプリンタシステムが実行する処理であって、あるプリンタの画像形成動作が他のプリンタの保持時間が経過した後に中断した場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の別の一実施形態に係るプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の好適な一実施形態である第1の実施形態に係るプリンタシステム1について
図1~
図7を参照しつつ、以下に説明する。
図1に示すように、プリンタシステム1(本発明の「画像形成システム」に相当する)は、PC100、プリンタ200及びサーバ300を有している。これらの機器は、複数の座席が並べられた建物内の部屋(例えば、オフィス)に設置されている。ユーザは、座席のいずれかを自由に選択し、持参したPC100を座席のデスク上に設置して使用する。各座席には識別情報が設定されている(後述の表1参照)。座席の識別情報は、座席の上面等、ユーザによって把握できる箇所に表示されている。部屋内のその他複数の座席には複数のプリンタ200がそれぞれ設置されている。建物内には、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNが構築されている。PC100、プリンタ200及びサーバ300は、通信ネットワークNを通じて互いに通信可能である。
【0012】
図2に示すように、PC100(本発明の「端末装置」に相当する)及びサーバ300は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスクドライブを有する。ROM及びRAMには、CPUが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0013】
PC100(本発明の「端末装置」に相当する)は、キーボードやマウス等の入力部110とディスプレイ120とを有している。PC100に内蔵されたストレージには、サーバ300とデータを通信してプリンタ200に画像形成を実行させるためのドライバソフトウェアがインストールされている。このドライバソフトウェアの他、オペレーティングシステムソフトウェア等の各種のプログラムがCPUに所定の処理を実行させることで、PC100が後述の各種処理を実行する。
【0014】
ユーザがPC100を座席に設置してその使用を開始する際に、入力部110を通じて座席の識別情報をPC100に入力する。その入力結果は、座席の使用を開始する通知及びユーザの識別情報と共にサーバ300に送信される。また、ユーザが座席でのPC100の使用を終了する際、入力部110を通じて座席の使用を終了する通知をPC100に入力する。その入力結果は、ユーザの識別情報と共にサーバ300に送信される。なお、PC100からサーバ300に送信される座席の識別情報は、PC100が使用される場所を表し、本発明の端末装置の「使用場所の位置」を示す情報に相当する。
【0015】
ユーザは、入力部110を通じてプリンタ200に対する画像形成の要求をPC100に入力することができる。このような要求が入力されると、PC100は、画像形成用のデータをサーバ300に送信する。画像形成用のデータは、プリンタ200に対する画像形成の要求を識別する情報であるジョブの識別情報を示すデータと、ユーザの識別情報を示すデータと、画像形成の対象となる画像を示す画像データとを含んでいる。なお、ジョブの識別情報は、アプリケーションの名称や要求が発生した時刻、ユーザやアプリケーションによって設定された名称等、画像形成の要求の関連情報を直接的に示す文字列であってもよいし、直接的な意味をなさない単なる文字の羅列であってもよい。
【0016】
サーバ300は、座席情報記憶部310、座席取得部320、距離取得部330及び送信部340を有している。座席情報記憶部310は、座席の識別情報と関連付けて、座席の位置及び座席の使用状況を記憶している。座席の使用状況は、ユーザが使用している場合にはそのユーザの識別情報を、プリンタ200が設置されている場合にはそのプリンタ200の識別情報を、ユーザの使用もプリンタ200の設置もない場合には空席であることを示す情報を含んでいる。
【0017】
下記表1は、座席情報記憶部310が記憶している情報の一例である。表1の「座席ID」は座席の識別情報を示す。例えば、座席ID「1F-1」は、建物1階の1番目の座席を意味する。また、座席ID「2F-2」は、建物2階の2番目の座席を意味する。表1の「位置」は座席の位置を示す。座席の位置は、(x,y,f)の3つの変数で示されている。x及びyの変数は水平位置を示し、fの変数は建物の階を示す。表1の「使用状況」は、座席が使用されている状況を示す。例えば、「プリンタA」「プリンタB」「プリンタC」「プリンタD」は、「A」「B」「C」「D」の識別情報でそれぞれ識別されるプリンタ200が設置されていることを示す。また、「太郎」「花子」は、識別情報「太郎」「花子」でそれぞれ識別されるユーザが使用中であることを示す。「空席」は、プリンタ200が設置されておらず、且つ、ユーザ使用中でないことを示す。
【0018】
座席取得部320は、座席の使用開始及び終了の通知がPC100から送信された場合に、上記通知と共に送信されたユーザ及び座席の識別情報に基づいて表1の使用状況の内容を更新する。例えば、表1の状態で、ユーザの識別情報「次郎」及び座席の識別情報「1F-4」と共に、座席の使用開始の通知が送信された場合には、No.4の使用状況が「次郎」に変更される。また、表1の状態で、ユーザの識別情報「太郎」と共に、座席の使用終了の通知が送信された場合には、No.5の使用状況が「空席」に変更される。
【0019】
【0020】
距離取得部330は、PC100からの画像形成用のデータが示すユーザの識別情報を座席情報記憶部310の記憶内容と照合し、そのPC100の位置を取得する。また、距離取得部330は、座席情報記憶部310の記憶内容に基づいて各プリンタ200の位置を取得する。そして、距離取得部330は、取得したPC100及び各プリンタ200の位置に基づいて、PC100及び複数のプリンタ200における2点間の距離を示す距離データを生成する。具体的には、距離取得部330は、2点の一方の位置を(x1,y1,f1)、他方の位置を(x2,y2,f2)とした場合における2点間の距離の関数fd(x1,y1,f1;x2,y2,f2)を保持している。この関数fdに基づいて2点間の距離が算出される。例えば、関数fdは、2点が同じ階である場合、2点間のx位置の差の2乗と2点間のy位置の差の2乗との和の2乗根を算出するように設定されている。また、関数fdは、2点が異なる階である場合、異なる階間の移動経路を考慮して距離を導出できるように設定されている。距離取得部330は、関数fdに基づいて2点間の距離を算出すると共に、PC100及び各プリンタ200間の距離並びに任意の2つのプリンタ200間の距離を示す距離データを生成する。
【0021】
送信部340(本発明の「第1送信部」に相当する)は、PC100から画像形成用のデータが送信された場合に、そのデータに含まれるジョブの識別情報を示すデータ及び画像データをプリンタ200に送信する。また、送信部340は、ジョブの識別情報を示すデータ及び画像データをプリンタ200に一度送信した後に、画像データの再送信の要請がそのプリンタ200からあった場合等、所定の場合には、画像データをそのプリンタ200に再送信する。送信部340は、このような要請があった場合には、その要請と共にプリンタ200から送信されてくるジョブの識別情報に基づき、再送信する画像データを適切に選択する。さらに、送信部340は、距離取得部330が取得したPC100及び複数のプリンタ200のうち2点間の距離に応じた時間値を算出し、2点の一方に相当する各プリンタ200に送信する。時間値には、画像データの保持時間、保持時間の延長時間及び追加時間の3種類がある。これらの時間値の詳細については後述する。
【0022】
プリンタ200(本発明の「画像形成装置」に相当する)は、
図3に示すように、タッチパネルディスプレイ210、画像形成部220及び制御部230を有している。タッチパネルディスプレイ210(本発明の「ユーザ入力部」に相当する)は、文字や画像等を画面に表示する。また、タッチパネルディスプレイ210は、画面に指等が接触するとその接触位置を検出し、その検出結果を制御部230に出力する。これにより、タッチパネルディスプレイ210は、各種のユーザ入力を受け付けることが可能である。画像形成部220は、印刷用紙(本発明の「媒体」に相当する)を収容しており、この印刷用紙にインクを付着させることにより、印刷用紙上に画像を形成する画像形成動作を実行する。
【0023】
制御部230は、タッチパネルディスプレイ210からのユーザ入力の結果等に基づき、タッチパネルディスプレイ210及び画像形成部220の他、プリンタ200の各部の動作を制御する。制御部230は、CPU、記憶デバイス、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、タイマー等のハードウェアと、記憶デバイスに格納されたソフトウェアとを有している。このうち、ハードウェアのタイマーは、作動を開始してからの経過時間を出力可能である。これらハードウェアとソフトウェアの協働により、各種の機能部としての機能を発揮する。機能部には、記憶部231、第1画像形成処理部232、第2画像形成処理部233、第3画像形成処理部234、削除部235、識別情報送信部236、報告部237及び保持時間延長部238がある。
【0024】
プリンタ200の制御部230は、サーバ300を通じて画像形成用のデータを受信すると、記憶部231に受信したデータを記憶させる。そして、制御部230は、タッチパネルディスプレイ210にジョブの識別情報を表示させると共に、タッチパネルディスプレイ210を通じたユーザ入力待ちの状態を取る。例えば、制御部230は、「OK」のボタン画像をタッチパネルディスプレイ210に表示させ、このボタン画像の表示領域にユーザが指等を接触させることによるユーザ入力を待つ。ユーザは、PC100を設置した座席から画像形成が行われるプリンタ200まで赴き、タッチパネルディスプレイ210を操作することで、画像形成の開始を指示するユーザ入力を行う。このようなユーザ入力があった場合に、制御部230の第1画像形成処理部232は、サーバ300から受信した画像データに基づいて印刷用紙に対して画像形成を行うように画像形成部220を制御する。制御部230の他の機能部については後述する。
【0025】
ところで、本実施形態に係るプリンタシステム1は、上記の通り、PC100にて画像形成の要求を発生させたユーザがプリンタ200に直接赴いて画像形成の開始を指示することによりそのプリンタ200において画像形成を開始する方式に対応している。そして、ユーザによる指示後に画像形成が速やかに実行されるように、本実施形態は、画像形成の要求が発生した場合に速やかに画像データを各プリンタ200に送る構成を有している。
【0026】
一方で、ユーザが速やかに画像形成を開始できるように、プリンタ200において画像データを格納しておくための記憶領域を一定期間、確保する必要がある。各プリンタにおける画像データの格納が長期にわたると、システム全体として過大な記憶容量が必要となるおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係るプリンタシステム1は、システム全体として過大な記憶容量が必要となるのを抑制するため、以下のように構成されている。まず、サーバ300の送信部340は、PC100から画像形成用のデータが送信された場合に、上記の通り、PC100及び各プリンタ200間の距離に応じた保持時間を算出し、画像データ等と併せて各プリンタ200に送信する。保持時間は、PC100及び各プリンタ200間の距離が大きくなるほど大きい値になるように算出される。また、保持時間は、ユーザがPC100から出発し、各プリンタ200に到達するまでの所要時間を考慮した長さになるように算出される。例えば、ユーザが移動する速さがvであると設定されると共に、PC100及び各プリンタ200間の距離をvで除算した大きさとなるように保持時間が算出されてもよい。
【0028】
プリンタシステム1は、複数のプリンタ200を有しており、PC100からプリンタ200までの距離は様々である。保持時間は、プリンタ200ごとにPC100からの距離に応じた長さとなるように導出されると共に、対応する各プリンタ200へと送信される。
【0029】
プリンタ200においては、サーバ300から保持時間を受信すると、記憶部231がその保持時間を記憶すると共に、タイマーの作動が開始される。そして、タイマーが示す経過時間が保持時間に達するまでに、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合には、第1画像形成処理部232が画像形成部に画像形成動作を実行させる。一方、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされることなくタイマーが示す経過時間が保持時間を超えた場合には、制御部230の削除部235が記憶部231の記憶内容から画像データを削除する。このとき、ジョブの識別情報を示すデータは記憶部231の記憶内容から削除されない。
【0030】
次に、タイマーが示す経過時間が保持時間を超えてから、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合には、既に削除部235が画像データを削除済みであり、そのままでは画像形成動作を実行できない。このため、第2画像形成処理部233及び識別情報送信部236が以下の処理を実行する。まず、識別情報送信部236(本発明の「第2送信部」に相当する)が、画像データの再送信の要請をジョブの識別情報と共にサーバ300に送信する。これに応じてサーバ300から画像データが再送信されると、第2画像形成処理部233は、再送信された画像データが示す画像についての画像形成動作を画像形成部220に行わせる。
【0031】
また、いずれかのプリンタ200において画像形成動作が開始された後に、印刷用紙の供給にトラブルが生じた場合等、何らかの原因で画像形成動作が中断された場合においても、ユーザがその他のプリンタ200において画像形成動作を速やかに再実行できるように、本実施形態に係るプリンタシステム1が以下のように構成されている。
【0032】
まず、画像形成動作の中断が生じたプリンタ200(以下、「中断発生プリンタ」とする)において、制御部230の報告部237が、画像形成動作の中断が発生した旨をサーバ300に報告する。これに応じ、サーバ300は、中断発生プリンタ以外の各プリンタ200に対して、保持時間を延長する延長時間を送信する時間延長処理か、画像データ及び追加時間を送信する時間追加処理かのいずれかを行う。
【0033】
時間延長処理は、画像形成動作の中断の報告が中断発生プリンタからなされた時点で保持時間が経過していない場合に実行される。保持時間が経過しているか否かの判定は、サーバ300が内蔵のタイマーを用いて行ってもよい。また、保持時間が経過した場合にサーバ300にその旨を通知するようにプリンタ200が構成された上で、プリンタ200から上記通知がなされたか否かに基づいて上記判定がなされてもよい。時間延長処理により、サーバ300からプリンタ200へと延長時間が送信されることが、本発明の「所定の通知」がなされることに相当する。
【0034】
延長時間は、中断発生プリンタ及び各プリンタ200間の距離が大きくなるほど大きい値になるように算出される。また、延長時間は、ユーザが中断発生プリンタから出発し、各プリンタ200に到達するまでの所要時間を考慮した長さになるように算出される。例えば、ユーザが移動する速さがvであると設定されると共に、中断発生プリンタ及び各プリンタ200間の距離をvで除算した大きさとなるように延長時間が算出されてもよい。
【0035】
延長時間を受信したプリンタ200においては、制御部230の保持時間延長部238が、記憶部231に記憶された保持時間を、元の長さから延長時間分だけ延長された時間に更新する。そして、延長された保持時間が経過するまでに、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされれば、制御部230の第3画像形成処理部234が、記憶部231に記憶された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に行わせる。一方、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされることなく延長後の保持時間が経過した場合には、制御部230の削除部235が記憶部231の記憶内容から画像データを削除する。なお、延長された保持時間が経過した後で画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合、上記同様、プリンタ200からサーバ300に画像データの再送信が要請され、これに応じてサーバ300から再送信された画像データに基づいて画像形成動作が行われてもよい。
【0036】
時間追加処理は、画像形成動作の中断の報告が中断発生プリンタからなされた時点で保持時間が経過しており、画像データが既に削除されたプリンタ200に対して実行される。追加時間は、中断発生プリンタ及び各プリンタ200間の距離が大きくなるほど大きい値になるように算出される。また、追加時間は、ユーザが中断発生プリンタから出発し、各プリンタ200に到達するまでの所要時間を考慮した長さになるように算出される。例えば、ユーザが移動する速さがvであると設定されると共に、中断発生プリンタ及び各プリンタ200間の距離をvで除算した大きさとなるように追加時間が算出されてもよい。
【0037】
画像データ及び追加時間を受信したプリンタ200においては、制御部230の記憶部231が再送された画像データ及び追加時間を記憶すると共に、タイマーの作動が開始される。そして、タイマーが示す経過時間が追加時間に達するまでに、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされれば、制御部230は、記憶部231に記憶された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に行わせる。一方、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされることなくタイマーが示す経過時間が追加時間を超えた場合には、制御部230の削除部235が記憶部231の記憶内容から画像データを削除する。なお、追加時間が経過した後で画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合、上記同様、プリンタ200からサーバ300に画像データの再送信が要請され、これに応じてサーバ300から再送信された画像データに基づいて画像形成動作が行われてもよい。
【0038】
以下、プリンタシステム1による画像形成の一連の処理の流れについて、
図4~
図7を参照しつつ説明する。まず、
図4は、プリンタAにおいて、保持時間が経過する前に、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合の処理に対応する。
【0039】
図4に示すように、ユーザがPC100に画像形成の要求を入力する(S1)。これに応じ、PC100は、画像形成用のデータを生成し(S2)、サーバ300に送信する(S3)。次に、サーバ300の距離取得部330は、S3の画像形成用のデータが示すユーザの識別情報と座席情報記憶部310の記憶内容とに基づいて、PC100及び複数のプリンタ200における2点間の距離を示す距離データを生成すると共に、保持時間を導出する(S4)。
【0040】
次に、サーバ300の送信部340は、各プリンタ200(以下、プリンタA、プリンタB、プリンタCとする)へと、S3の画像形成用のデータに含まれるジョブの識別情報を示すデータ及び画像データ並びにS4で導出した保持時間を送信する(S5)。
【0041】
プリンタAにおいて、保持時間の経過前にユーザがタッチパネルディスプレイ210を操作し、画像形成の開始を指示すると(S6)、プリンタAの第1画像形成処理部232は、S5でサーバ300から送信された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に開始させる(S7)。画像形成動作が完了すると、プリンタAは、ジョブの識別情報を示すデータ及び画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S8)。プリンタB及びCにおいては、保持時間の経過後、削除部235が画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S9)。S9において、ジョブの識別情報を示すデータは、画像データの削除後も記憶部231の記憶内容として保持され、さらに所定の時間が経過した後に削除される。
【0042】
図5は、プリンタAにおいて、保持時間が経過した後に、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合の処理に対応する。なお、
図5におけるS5までの処理は、
図4のS5までの処理と同様である。
【0043】
図5に示すように、S5の実行後、プリンタAにおいて保持時間が経過すると、削除部235が画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S21)。S21において、ジョブの識別情報を示すデータは、画像データの削除後も記憶部231の記憶内容として保持される。ユーザがプリンタAのタッチパネルディスプレイ210を操作し、画像形成の開始を指示すると(S22)、プリンタAの識別情報送信部236がサーバ300に対して、S3で受信したジョブの識別情報と共に画像データの再送信の要請を送信する(S23)。これに応じ、サーバ300は、プリンタAからのジョブの識別情報に対応する画像データをプリンタAに再送信する(S24)。プリンタAの第2画像形成処理部233は、サーバ300から送信された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に開始させる(S25)。画像形成動作が完了すると、プリンタAは、ジョブの識別情報を示すデータ及び画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S26)。
【0044】
図6は、プリンタAにおいて開始された画像形成動作が、プリンタB及びCにおいて保持時間が経過する前に中断した場合の処理に対応する。なお、
図6におけるS6までの処理は、
図4のS6までの処理と同様である。
【0045】
図6に示すように、ユーザがプリンタAのタッチパネルディスプレイ210を通じて画像形成の開始を指示し(S6)、画像形成が開始(S31)された後、画像形成の中断が発生したとする(S32)。この場合、プリンタAの報告部237が、画像形成動作の中断が発生した旨をサーバ300に報告する(S33)。これに応じ、サーバ300は、中断発生プリンタであるプリンタA以外のプリンタB及びCにおいて保持時間の経過前であることに基づき、保持時間を延長する延長時間をプリンタB及びCのそれぞれに送信する(S34)。プリンタB及びCの各保持時間延長部238は、S34で受信した延長時間分の保持時間の延長を行う(S35)。
【0046】
プリンタBにおいて、延長された保持時間の経過前にユーザがタッチパネルディスプレイ210を操作し、画像形成の開始を指示すると(S36)、プリンタBの第3画像形成処理部234は、S5でサーバ300から送信された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に開始させる(S37)。画像形成動作が完了すると、プリンタBは、ジョブの識別情報を示すデータ及び画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S38)。プリンタCにおいては、延長された保持時間の経過後、削除部235が画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S39)。S39において、ジョブの識別情報を示すデータは、画像データの削除後も記憶部231の記憶内容として保持され、さらに所定の時間が経過した後に削除される。
【0047】
図7は、プリンタAにおいて開始された画像形成動作が、プリンタBにおいて保持時間が経過した後であって、プリンタCにおいて保持時間が経過する前に中断した場合の処理に対応する。なお、
図7におけるS33までの処理は、
図6のS33までの処理と同様である。
【0048】
図7に示すように、プリンタBにおいて保持時間が経過し、画像データが削除(S40)された後、プリンタAからサーバ300へと画像形成の中断が報告(S33)されたとする。この場合、サーバ300は、プリンタBにおいて保持時間の経過後であることに基づき、プリンタBに画像データ及び追加時間を送信する(S41)。一方、サーバ300は、プリンタCにおいて保持時間の経過前であることに基づき、プリンタCに延長時間を送信する(S42)。プリンタCの保持時間延長部238は、S42で受信した延長時間分の保持時間の延長を行う(S43)。
【0049】
プリンタBにおいて、追加時間の経過前にユーザがタッチパネルディスプレイ210を通じて画像形成の開始を指示すると(S44)、プリンタBは、S41でサーバ300から再送信された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に開始させる(S45)。画像形成動作が完了すると、プリンタBは、ジョブの識別情報を示すデータ及び画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S46)。プリンタCにおいては、延長された保持時間の経過後、削除部235が画像データを記憶部231の記憶内容から削除する(S47)。S47において、ジョブの識別情報を示すデータは、画像データの削除後も記憶部231の記憶内容として保持され、さらに所定の時間が経過した後に削除される。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、ユーザがPC100において画像形成の要求を発生させると、サーバ300がプリンタ200に画像データを含む画像形成用のデータを送信する。そして、ユーザがプリンタ200においてユーザ入力を行うと、ユーザ入力を行う前に記憶部231に記憶された画像に基づいて画像形成が速やかに実行される。
【0051】
また、画像データは、ユーザ入力がなされることなく保持時間が経過すると記憶部231の記憶内容から削除される。保持時間は、PC100とプリンタ200との間の距離に応じて、ユーザが画像形成装置に到着するまでの所要時間を考慮した長さになるように調整される。このため、プリンタ200において画像データが長期間不要に保持されることで記憶部231の記憶容量が過度に圧迫される事態が回避される。
【0052】
また、本実施形態においては、保持時間が経過して画像データが削除された後にユーザ入力がなされた場合であっても、サーバ300からプリンタ200に再送信される画像データに基づく画像形成が可能である。
【0053】
また、本実施形態に係るプリンタシステム1は複数のプリンタ200を有している。そして、各プリンタ200とPC100との間の距離に応じた保持時間が設定される。このため、ユーザが各プリンタ200に到着するまでに必要な時間に適切に応じた長さに保持時間が設定される。
【0054】
また、本実施形態に係るプリンタシステム1では、中断発生プリンタにおいて開始された画像形成動作が何らかの原因により中断されると、保持時間の経過状況に応じ、時間延長処理及び時間追加処理のいずれかがサーバ300からその他のプリンタ200になされる。画像形成動作の中断の報告が中断発生プリンタからなされた時点で保持時間が経過していないプリンタ200に対しては、時間延長処理が実行される。時間延長処理によると、中断発生プリンタ以外のプリンタ200において保持時間の延長がなされる。よって、ユーザがその他のプリンタ200におい画像形成動作を開始させるために、中断発生プリンタからその他のプリンタ200まで向かう時間が確保されやすい。また、延長時間が、中断発生プリンタとその他のプリンタ200との距離に応じた長さに調整される。したがって、中断発生プリンタからその他のプリンタ200までの距離に応じて適切に保持時間が延長される。
【0055】
また、画像形成動作の中断の報告が中断発生プリンタからなされた時点で保持時間が経過しているプリンタ200に対しては、時間追加処理が実行される。保持時間が経過すると画像データが一旦削除される。時間追加処理によると、そのプリンタ200へとサーバ300から画像データが再送信される。そして、その再送信された画像データに基づいて画像形成が可能である。
【0056】
また、時間追加処理においては、画像データと併せて追加時間が送信される。追加時間は、各プリンタ200とPC100との間の距離に応じた長さに設定される。このため、中断発生プリンタと画像データの再送信先のプリンタ200との間の距離に応じて適切に追加時間が設定される。そして、送信先のプリンタ200において、追加時間が経過するまで画像データが保持され、画像形成が可能である。一方、追加時間が経過すると画像データが削除される。このため、再送信された画像データに基づく画像形成が確保されると共に、画像データが長期間不要に保持されることで記憶部231の記憶容量が過度に圧迫される事態が回避される。
【0057】
[第2の実施形態]
以下、本発明の別の一実施形態である第2の実施形態に係る
図8に示すプリンタシステム1000について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、サーバ300が使用されない点である。その他の点については、第2の実施形態は第1の実施形態と共通の構成を多く有している。このため、そのような共通の構成については上記と同様の符号を用いることとし、その説明を適宜省略する。
【0058】
プリンタシステム1000は、互いに通信可能に接続されたPC1100及びプリンタ1200を有している。PC1100は、PC100と概ね同様の構成を有しており、ユーザが画像形成の要求を入力すると画像形成用のデータを生成してプリンタ200に送信する。一方、PC1100は、座席の位置及び座席の使用状況を示す、表1に一例を示すような座席表を生成する点においてPC100と異なる。座席表は、例えば、ユーザがオフィス等の座席の使用状況を示す情報をPC1100に入力することで生成される。このように生成された座席表は、ユーザが画像形成の要求を発生させるのに先立ってPC1100からプリンタ1200に送信される。
【0059】
プリンタ1200は、制御部230の代わりに制御部1230を有している。制御部1230は、記憶部1231、第1画像形成処理部232、削除部235、距離取得部1330及び保持時間取得部1340を有している。記憶部1231は、PC1100から送信された画像形成用のデータと座席表を記憶する。距離取得部1330は、距離取得部330と同様、PC100からの画像形成用のデータと座席表とに基づいて、PC1100とプリンタ1200との間の距離を示す距離データを生成する。保持時間取得部1340は、距離取得部1330が生成した距離データに基づいて、ユーザがPC1100から出発し、プリンタ1200に到達するまでの所要時間を考慮した長さを有する保持時間を導出する。
【0060】
ユーザがPC1100において画像形成の要求を発生させると、画像形成用のデータがPC1100からプリンタ1200へと送信される。プリンタ1200において、画像形成用のデータが記憶部1231に記憶されると共に、画像形成用のデータ及び座席表に基づいて保持時間取得部1340が保持時間を導出する。保持時間が経過する前に画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされた場合には、第1画像形成処理部232が、記憶部1231に記憶された画像データについての画像形成動作を画像形成部220に行わせる。一方、画像形成の開始を指示するユーザ入力がタッチパネルディスプレイ210を通じてなされることなく保持時間が経過した場合には、削除部235が画像データを記憶部1231の記憶内容から削除する。
【0061】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様、ユーザ入力がなされることなく保持時間が経過すると記憶部1231の記憶内容から画像データが削除される。このため、プリンタ1200において画像データが長期間不要に保持されることで記憶部1231の記憶容量が過度に圧迫される事態が回避される。
【0062】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
例えば、上述の第1の実施形態では、座席を管理する座席情報記憶部310及び座席取得部320並びに距離データを生成する距離取得部330をサーバ300が有している。これに対し、座席情報記憶部310及び座席取得部320及び距離取得部330と同じ機能を有する座席管理用のサーバと印刷用のサーバとがそれぞれ設置されており、この座席管理用のサーバから取得した距離データに基づいて印刷用のサーバが保持時間を導出するようにシステムが構成されていてもよい。
【0064】
また、上述の第1の実施形態では、各プリンタ200に対して時間延長処理及び時間追加処理のいずれを行うかが、サーバ300による各プリンタ200において保持時間が経過したか否かの判定に基づいて選択される。しかしながら、サーバ300でこのような判定が行われず、中断発生プリンタにおいて画像形成の中断が発生したことを示す通知(本発明の「所定の通知」に相当する)が、サーバ300から各プリンタ200に一律に送信されてもよい。そして、このような通知を受信したプリンタ200において、未だ保持時間が経過していない場合には保持時間が延長され、既に保持時間が経過していた場合には追加時間が設定されてもよい。前者の場合、保持時間は固定の長さで延長されてもよいし、元の保持時間に対して固定の比率で延長されてもよい。後者の場合、固定の追加時間が設定されてもよいし、元の保持時間と同じ長さの追加時間が設定されてもよい。
【0065】
また、上述の第1の実施形態においては、サーバ300が保持している座席の位置情報に基づいて保持時間、延長時間及び追加時間が導出されている。これに対し、サーバ300以外の手段によって取得される位置情報に基づいて保持時間等が導出されてもよい。このような手段として、例えば、PC100が座席に載置された際に、そのことを検出できるようなセンサが座席に設置されており、そのセンサの検出結果に基づいてPC100の位置情報が取得されてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、複数のプリンタ200を有するプリンタシステム1に本発明が適用されている。これに対し、1つのプリンタ200のみを有するプリンタシステムに本発明が適用されてもよい。
【0067】
加えて、上述の各実施形態においては、プリンタ200を有するプリンタシステム1又はプリンタ1200に対して本発明を適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明は、ヘッドからインクを吐出するインクジェット式のその他の画像形成装置、例えば、複合機やコピー機等又はこれらの画像形成装置を有するシステムに適用されてもよい。また、インクジェット方式でインクを印刷用紙に付着させる代わりに、トナーを印刷用紙に付着させることで画像記録処理を実行するレーザー式の画像形成装置又はこれを有するシステムに適用されてもよい。この場合、画像形成装置にはトナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に装着される。
【符号の説明】
【0068】
1 プリンタシステム
100 PC
110 入力部
120 ディスプレイ
200 プリンタ
210 タッチパネルディスプレイ
220 画像形成部
230 制御部
231 記憶部
232 第1画像形成処理部
233 第2画像形成処理部
234 第3画像形成処理部
235 削除部
236 識別情報送信部
237 報告部
238 保持時間延長部
300 サーバ
310 座席情報記憶部
320 座席取得部
330 距離取得部
340 送信部
1000 プリンタシステム
1200 プリンタ
1230 制御部
1231 記憶部
1330 距離取得部
1340 保持時間取得部
N 通信ネットワーク