(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090705
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】商品棚管理システム及び商品棚管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206771
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】515297076
【氏名又は名称】アースアイズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522000728
【氏名又は名称】Sabマネージメント有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165238
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 三郎
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】各種の小売り店舗において行われる「適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようすること。
【解決手段】商品棚10を構成する商品陳列部11と、撮影部20と、商品情報読み取り部31と、欠品情報出力部34と、を含んでなり、商品陳列部11には、商品棚10の正面f側から背面b側に向かう直線に沿って商品を並べる商品陳列領域111が設定されていて、商品陳列領域111には、商品陳列領域111の正面f側の端部から所定の距離だけ背面b側に向けて進んだ位置に、商品情報読み取り部31によって読み取り可能な記号からなる商品情報が表示されている商品情報表示部材112が配置されていて、撮影部20は、商品情報表示部材112を撮影することができる位置に設置されている、商品棚管理システム1とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品棚に陳列されている商品の欠品を検知する、商品棚管理システムであって、
前記商品棚を構成する商品陳列部と、
撮影部と、
商品情報読み取り部と、
欠品情報出力部と、
を含んでなり、
前記商品陳列部には、前記商品棚の正面側から背面側に向かう直線に沿って商品を並べる商品陳列領域が設定されていて、
前記商品陳列領域には、該商品陳列領域の前記正面側の端部から所定の距離だけ背面側に向けて進んだ位置に、前記商品情報読み取り部によって読み取り可能な記号からなる商品情報が表示されている商品情報表示部材が配置されていて、
前記撮影部は、前記商品情報表示部材を撮影することができる位置に設置されている、
商品棚管理システム。
【請求項2】
前記商品陳列部が板状部材からなる陳列台であって、
前記陳列台の表面に前記商品陳列領域が設定されている、
請求項1に記載の商品棚管理システム。
【請求項3】
前記商品情報表示部材は、粘着面を有するシート状の部材であって、該商品情報表示部材が、前記陳列台の表面に前記粘着面を介して配置されている、
請求項2に記載の商品棚管理システム。
【請求項4】
前記商品陳列部が棒状部材からなり商品を吊り下げて陳列する吊り下げ型の陳列棒であって、
前記陳列棒に沿って前記商品陳列領域が設定されている、
請求項1に記載の商品棚管理システム。
【請求項5】
前記商品情報表示部材は、吊り下げ用フックを有するカード状の部材であって、
該商品情報表示部材が、前記吊り下げ用フックによって前記陳列棒に吊り下げられて配置されている、
請求項4に記載の商品棚管理システム。
【請求項6】
複数の前記商品陳列領域が、水平方向及び/又は鉛直方向に沿って並列して設定されていて、
前記撮影部を構成するカメラを、各々の前記商品陳列領域を順次循環的に撮影するように周回させるカメラ制御部を更に有する、
請求項1から5の何れかに記載の商品棚管理システム。
【請求項7】
前記撮影部が撮影した画像内の物品を検出する画像解析部と、
前記画像解析部によって前記画像内に前記商品情報表示部材が検出されたときに、前記撮影部を構成するカメラを、検出された該商品情報表示部材にズームインするように制御するカメラ制御部と、
を更に有する、
請求項1から5の何れかに記載の商品棚管理システム。
【請求項8】
前記撮影部が撮影した画像内の人物を検出する画像解析部と、
前記画像解析部によって前記画像内において人物が一定時間以上一か所に立ち止まり、その後にその場を離れたことが検出されたときに、前記撮影部を構成するカメラを、検出された前記人物が立ち止まっていた位置に最も近い前記商品陳列部に前記カメラを向けるように制御するカメラ制御部と、
を更に有する、
請求項1から5の何れかに記載の商品棚管理システム。
【請求項9】
商品棚に陳列されている商品の欠品を検知する、商品棚管理方法であって、
前記商品棚を構成する商品陳列部と、
撮影部と、
商品情報読み取り部と、
欠品情報出力部と、
を含んでなり、
前記商品陳列部には、前記商品棚の正面側から背面側に向かう直線に沿って商品を並べる商品陳列領域が設定されていて、
前記商品陳列領域には、該商品陳列領域の前記正面側の端部から所定の距離だけ背面側に向けて進んだ位置に、前記商品情報読み取り部によって読み取り可能な記号からなる商品情報が表示されている商品情報表示部材が配置されている、
商品棚管理システムにおいて、
前記撮影部が、前記商品陳列部の正面側から背面側に向かう直線に沿って設定されていて、該商品陳列領域を撮影する監視撮影ステップと、
前記商品情報読み取り部が、前記撮影部によって撮影された画像内の前記商品情報表示部材の商品情報を読み取ることによって、特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報を生成する、欠品認知ステップと、
前記欠品情報出力部が、前記欠品認知ステップにおいて認知された特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報を出力する、欠品通知ステップと、
を含んでなる、商品棚管理方法。
【請求項10】
前記商品陳列部が板状部材からなる陳列台であって、
前記陳列台の表面に前記商品陳列領域が設定されていて、
前記商品情報表示部材は、前記陳列台の表面の任意の位置に貼り付けて配置されている、
請求項9に記載の商品棚管理方法。
【請求項11】
前記商品情報表示部材は、粘着面を有するシート状の部材であって、
前記商品情報表示部材は、前記陳列台の表面に前記粘着面を介して貼り付けて配置されている、
請求項10に記載の商品棚管理方法。
【請求項12】
前記商品陳列領域が、棒状部材からなり商品を吊り下げて陳列する吊り下げ型の陳列棒に沿って設定されていて、
前記商品情報表示部材は、前記陳列棒に配置されている、
請求項9に記載の商品棚管理方法。
【請求項13】
前記商品情報表示部材は、吊り下げ用フックを有するカード状の部材であって、
前記商品情報表示部材は、前記陳列棒に吊り下げられて配置されている、
請求項12に記載の商品棚管理方法。
【請求項14】
複数の前記商品陳列領域が、水平方向及び/又は鉛直方向に沿って並列して設定されていて、
前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部を更に有し、
前記欠品認知ステップにおいては、前記カメラ制御部によって、前記カメラを、各々の前記商品陳列領域を順次循環的に撮影するように周回させる、
請求項9から13の何れかに記載の商品棚管理方法。
【請求項15】
前記撮影部が撮影した画像内の物品を検出する画像解析部と、
前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部と、を更に有し、
前記カメラ制御部は、前記画像解析部によって前記画像内に前記商品情報表示部材が検出された場合に、検出された該商品情報表示部材にズームインするように前記カメラを制御する、
請求項9から13の何れかに記載の商品棚管理方法。
【請求項16】
前記撮影部が撮影した画像内の人物を検出する画像解析部と、
前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部と、を更に有し、
前記カメラ制御部は、前記画像解析部によって前記画像内の人物が一定時間以上一か所に立ち止まり、その後にその場を離れたことが検出された場合に、前記人物が立ち止まっていた位置に最も近い前記商品陳列部に前記カメラを向けるように前記カメラを制御する、
請求項9から13の何れかに記載の商品棚管理方法。
【請求項17】
請求項9から13の何れかに記載の商品棚管理方法において、
前記欠品認知ステップを、
前記商品情報読み取り部を含んで構成される演算処理部に実行させる、商品棚管理用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品棚管理システム及び商品棚管理方法に関する。本発明は、詳しくは、商品棚に陳列されている商品の欠品を検知する「商品棚管理システム」及び「商品棚管理方法」に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗においては、商品を陳列する陳列棚に置かれている商品について、現に陳列されている商品の完売等による陳列棚上での欠品を防ぐために、適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業(本明細書においては、この作業のことを、以下、「商品棚の管理作業」とも称する)が必須の作業として行われている。このような「商品棚の管理作業」は、多くの場合、従業員が定期的に店内を巡回して、各陳列棚を目視にてチェックすることによって、陳列棚における商品の欠品又はそのおそれを検知し、この検知結果に基づいて、必要数の商品を棚に追加するやり方で行われている。
【0003】
ここで、上記の「商品棚の管理作業」において、商品棚からの商品移動を自動的に検知するための技術的手段の一例として、重量センサを商品棚に配置することによって陳列棚上からの商品の移動を検知するシステムが提案されている(特許文献1参照)。このようなシステムによれば、上述したような態様で従業員が店内を巡回することなく、効率的に、陳列棚における商品の欠品を検知することが可能である。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているシステムにおいては、重量センサによって商品棚からの商品の移動を検知する事はできたとしても、移動した商品(物体)の特定は困難である。移動した商品(物体)を特定するためには、予め夫々の棚にどの商品を配置するか等の棚割情報がインプットデータとして必要不可欠となり、この棚割り情報の管理自体にも相当な作業コストが発生する。又、重量センサを店舗の全ての棚に配置するためには、既存の棚や設備の入替えが伴い設置コストも膨大となる。以上の様々なコストが嵩むことから、特に中小規模の小売店舗においては特許文献1に開示されているようなシステムは実際の導入が困難である場合が多い。
【0005】
一方、近年技術進歩が著しい画像解析による物体認識技術を活用する事で、既存の棚や設備の入替えを必要とせず、センシングと同時に物体の特定と数量を自動的に取得する技術も開発が進んでいる(特許文献2参照)。このようなシステムの導入には、上述のシステムのように全ての棚への重量センサの配置や、これに伴う既存の棚や設備の入替えは不要である。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示されているシステムにおいては、特殊な機能を有するカメラ及び画像解析手段を設置するために相応のコストが発生するにもかかわらず、現在の最新の画像解析技術をもってしても、棚状にある多種多様な商品を全て間違いなく瞬時に把握することは容易ではなく、やはり、導入コストが嵩む割には、誤認識による欠品の検知漏れの発生を無くすことは難しい。そうすると、結局、確認のために従業員が店内を巡回する頻度を多少下げられる程度の効果しか期待できず、導入コストに対する管理作業のパフォーマンス向上の効果が必ずしも十分には期待できないため、特に中小規模の小売店舗においては、このようなシステムについても導入が見送られているケースが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-482622号公報
【特許文献2】特開2019-40227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗において行われる「商品棚の管理作業」、即ち、「陳列されている商品の完売等による陳列棚上での欠品を防ぐために、適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、適切な位置にバーコード等の機械読取が容易な商品情報表示部材を配置した陳列棚と、当該商品情報表示部材を読取可能な撮影部と商品情報読み取り部とを組合せたシステムによって、上記課題を解決できることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0010】
(1) 商品棚に陳列されている商品の欠品を検知する、商品棚管理システムであって、前記商品棚を構成する商品陳列部と、撮影部と、商品情報読み取り部と、欠品情報出力部と、を含んでなり、前記商品陳列部には、前記商品棚の正面側から背面側に向かう直線に沿って商品を並べる商品陳列領域が設定されていて、前記商品陳列領域には、該商品陳列領域の前記正面側の端部から所定の距離だけ背面側に向けて進んだ位置に、前記商品情報読み取り部によって読み取り可能な記号からなる商品情報が表示されている商品情報表示部材が配置されていて、前記撮影部は、前記商品情報表示部材を撮影することができる位置に設置されている、商品棚管理システム。
【0011】
(1)の商品棚管理システムは、導入コストを廉価に抑えることができるシステムでありながら、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗において行われる「商品棚の管理作業」、即ち、「適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようにすることができる。
【0012】
(2) 前記商品陳列部が板状部材からなる陳列台であって、前記陳列台の表面に前記商品陳列領域が設定されている、(1)に記載の商品棚管理システム。
【0013】
(2)の商品棚管理システムにおいては、汎用的な棚板タイプの商品棚によって(1)の商品棚管理システムを構成することができるので、多くの場合において、既存の商品棚をそのまま活用して、(1)の商品棚管理システムの奏する上記効果を、より経済的に享受することができる。
【0014】
(3) 前記商品情報表示部材は、粘着面を有するシート状の部材であって、該商品情報表示部材が、前記陳列台の表面に前記粘着面を介して配置されている、(2)に記載の商品棚管理システム。
【0015】
(3)の商品棚管理システムは、(2)の商品棚管理システムにおいて、商品情報表示部材を所定の位置に安定的な配置することができ、尚且つ、必要に応じて商品情報表示部材の配置位置の変更を容易に行うことができる。従って、商品棚の棚割りの変更時にも、大掛かりな工事等を行うことなく、極めて簡便な手作業のみで、棚割り変更後の商品棚においても、(2)の商品棚管理システムを適切に稼働させ続けることができる。
【0016】
(4) 前記商品陳列部が棒状部材からなり商品を吊り下げて陳列する吊り下げ型の陳列棒であって、前記陳列棒に沿って前記商品陳列領域が設定されている、(1)に記載の商品棚管理システム。
【0017】
(4)の商品棚管理システムにおいては、吊り下げタイプの商品棚によって(1)の商品棚管理システムを構成することができるので、当該タイプの商品棚が設置されている場合において、既存の商品棚をそのまま活用して、(1)の商品棚管理システムの奏する上記効果を、経済的に享受することができる。
【0018】
(5) 前記商品情報表示部材は、吊り下げ用フックを有するカード状の部材であって、該商品情報表示部材が、前記吊り下げ用フックによって前記陳列棒に吊り下げられて配置されている、(4)に記載の商品棚管理システム。
【0019】
(5)の商品棚管理システムは、(4)の商品棚管理システムにおいて、商品情報表示部材を所定の位置に安定的な配置することができ、尚且つ、必要に応じて商品情報表示部材の配置位置の変更を容易に行うことができる。従って、商品棚の棚割りの変更時にも、大掛かりな工事等を行うことなく、極めて簡便な手作業のみで、棚割り変更後の商品棚においても、(4)の商品棚管理システムを適切に稼働させ続けることができる。
【0020】
(6) 複数の前記商品陳列領域が、水平方向及び/又は鉛直方向に沿って並列して設定されていて、前記撮影部を構成するカメラを、各々の前記商品陳列領域を順次循環的に撮影するように周回させるカメラ制御部を有する、(1)から(5)の何れかに記載の商品棚管理システム。
【0021】
(6)の商品棚管理システムは、(1)から(5)の何れかの商品棚管理システムにおいて、撮影部を構成する1台のカメラで、監視対象とする商品棚の全体を各部分領域毎に一定の時間サイクルで監視することができる。従って、大型の商品棚を管理対象とする場合においても、最小限の台数のカメラによって、(1)から(5)の何れかの商品棚管理システムの奏する上記効果を確実に享受することができる。
【0022】
(7) 前記撮影部が撮影した画像内の物品を検出する画像解析部と、前記画像解析部によって前記画像内に前記商品情報表示部材が検出されたときに、前記撮影部を構成するカメラを、検出された該商品情報表示部材にズームインするように制御するカメラ制御部と、を更に有する、(1)から(5)の何れかに記載の商品棚管理システム。
【0023】
(7)の商品棚管理システムは、(1)から(5)の何れかの商品棚管理システムにおいて、商品情報表示部材に表示されているバーコート等の商品情報の読み取り精度を更に高めて、(6)の商品棚管理システムの欠品検知能力の信頼性を、より高い水準に向上させることができる。
【0024】
(8) 前記撮影部が撮影した画像内の人物を検出する画像解析部と、前記画像解析部によって前記画像内において人物が一定時間以上一か所に立ち止まり、その後にその場を離れたことが検出されたときに、前記撮影部を構成するカメラを、検出された前記人物が立ち止まっていた位置に最も近い前記商品陳列部に前記カメラを向けるように制御するカメラ制御部と、を更に有する、(1)から(5)の何れかに記載の商品棚管理システム。
【0025】
(8)の商品棚管理システムは、(1)から(5)の何れかの商品棚管理システムにおいて、監視対象領域のうち、欠品が生じる可能性の高まる状況となる部分領域に、優先的にカメラを自動的に向けることにより、「欠品の発生」を、より早期に検知できる可能性を高めることができる。これにより、「商品棚の管理作業」を、より確実に且つより効率良く行うことができるようにすることができる。
【0026】
(9) 商品棚に陳列されている商品の欠品を検知する、商品棚管理方法であって、前記商品棚を構成する商品陳列部と、撮影部と、商品情報読み取り部と、欠品情報出力部と、を含んでなり、前記商品陳列部には、前記商品棚の正面側から背面側に向かう直線に沿って商品を並べる商品陳列領域が設定されていて、前記商品陳列領域には、該商品陳列領域の前記正面側の端部から所定の距離だけ背面側に向けて進んだ位置に、前記商品情報読み取り部によって読み取り可能な記号からなる商品情報が表示されている商品情報表示部材が配置されている、商品棚管理システムにおいて、前記撮影部が、前記商品陳列部の正面側から背面側に向かう直線に沿って設定されていて、該商品陳列領域を撮影する監視撮影ステップと、前記商品情報読み取り部が、前記撮影部によって撮影された画像内の前記商品情報表示部材の商品情報を読み取ることによって、特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報を生成する、欠品認知ステップと、前記欠品情報出力部が、前記欠品認知ステップにおいて認知された特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報を出力する、欠品通知ステップと、を含んでなる、商品棚管理方法。
【0027】
(9)の商品棚管理方法は、導入コストを廉価に抑えることができる方法でありながら、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗において行われる「商品棚の管理作業」、即ち、「適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようにすることができる。
【0028】
(10) 前記商品陳列部が板状部材からなる陳列台であって、前記陳列台の表面に前記商品陳列領域が設定されていて、前記商品情報表示部材は、前記陳列台の表面の任意の位置に貼り付けて配置されている、(9)に記載の商品棚管理方法。
【0029】
(10)の商品棚管理方法によれば、汎用的な棚板タイプの商品棚において、(9)の商品棚管理方法を実施することができるので、多くの場合において、既存の商品棚をそのまま活用して、(9)の商品棚管理方法の奏する上記効果を、より経済的に享受することができる。
【0030】
(11) 前記商品情報表示部材は、粘着面を有するシート状の部材であって、前記商品情報表示部材は、前記陳列台の表面に前記粘着面を介して貼り付けて配置されている、(10)に記載の商品棚管理方法。
【0031】
(11)の商品棚管理方法は、(10)の商品棚管理方法において、商品情報表示部材を所定の位置に安定的な配置することができ、尚且つ、必要に応じて商品情報表示部材の配置位置の変更を容易に行うことができる。従って、商品棚の棚割りの変更時にも、大掛かりな工事等を行うことなく、極めて簡便な手作業のみで、棚割り変更後の商品棚においても、(10)の商品棚管理方法の実施を適切に継続することができる。
【0032】
(12) 前記商品陳列領域が、棒状部材からなり商品を吊り下げて陳列する吊り下げ型の陳列棒に沿って設定されていて、前記商品情報表示部材は、前記陳列棒に配置されている、(9)に記載の商品棚管理方法。
【0033】
(12)の商品棚管理方法においては、吊り下げタイプの商品棚において(9)の商品棚管理方法を実施することができるので、当該タイプの商品棚が設置されている場合において、既存の商品棚をそのまま活用して、(9)の商品棚管理方法の奏する上記効果を、経済的に享受することができる。
【0034】
(13) 前記商品情報表示部材は、吊り下げ用フックを有するカード状の部材であって、前記商品情報表示部材配置ステップにおいては、前記商品情報表示部材を、前記陳列棒に吊り下げて配置する、(12)に記載の商品棚管理方法。
【0035】
(13)の商品棚管理方法においては、(12)の商品棚管理方法において、商品情報表示部材を所定の位置に安定的な配置することができ、尚且つ、必要に応じて商品情報表示部材の配置位置の変更を容易に行うことができる。従って、商品棚の棚割りの変更時にも、大掛かりな工事等を行うことなく、極めて簡便な手作業のみで、棚割り変更後の商品棚においても、(12)の商品棚管理方法を適切に稼働させ続けることができる。
【0036】
(14) 複数の前記商品陳列領域が、水平方向及び/又は鉛直方向に沿って並列して設定されていて、前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部を更に有し、前記欠品認知ステップにおいては、前記カメラ制御部によって、前記カメラを、各々の前記商品陳列領域を順次循環的に撮影するように周回させる、(9)から(13)の何れかに記載の商品棚管理方法。
【0037】
(14)の商品棚管理方法は、(9)から(13)の何れかの商品棚管理方法において、撮影部を構成する1台のカメラで、監視対象とする商品棚の全体を各部分領域毎に一定の時間サイクルで監視することができる。従って、大型の商品棚を管理対象とする場合においても、最小限の台数のカメラによって、(9)から(13)の何れかの商品棚管理方法の奏する上記効果を確実に享受することができる。
【0038】
(15) 前記撮影部が撮影した画像内の物品を検出する画像解析部と、前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部と、を更に有し、前記カメラ制御部は、前記画像解析部によって前記画像内に前記商品情報表示部材が検出された場合に、検出された該商品情報表示部材にズームインするように前記カメラを制御する、(9)から(13)の何れかに記載の商品棚管理方法。
【0039】
(15)の商品棚管理方法は、(9)から(13)の何れかの商品棚管理方法において、商品情報表示部材に表示されているバーコート等の商品情報の読み取り精度を更に高めて、(12)の商品棚管理方法による欠品検知能力の信頼性を、より高い水準に向上させることができる。
【0040】
(16) 前記撮影部が撮影した画像内の人物を検出する画像解析部と、前記撮影部を構成するカメラを制御するカメラ制御部と、を更に有し、前記カメラ制御部は、前記画像解析部によって前記画像内の人物が一定時間以上一か所に立ち止まり、その後にその場を離れたことが検出された場合に、前記人物が立ち止まっていた位置に最も近い前記商品陳列部に前記カメラを向けるように前記カメラを制御する、(9)から(13)の何れかに記載の商品棚管理方法。
【0041】
(16)の商品棚管理方法は、(9)から(13)の商品棚管理方法において、監視対象領域のうち、欠品が生じる可能性の高まる状況となる部分領域に、優先的にカメラを自動的に向けることにより、「欠品の発生」を、より早期に検知できる可能性を高めることができる。これにより、「商品棚の管理作業」を、より確実に且つより効率良く行うことができるようにすることができる。
【0042】
(17) (9)から(13)の何れかに記載の商品棚管理方法において、前記欠品認知ステップを、前記商品情報読み取り部を含んで構成される演算処理部に実行させる、商品棚管理用のプログラム。
【0043】
(17)の商品棚管理用のプログラムによれば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗において行われる「商品棚の管理作業」、即ち、「適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようにすることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の各種の小売り店舗において行われる「商品棚の管理作業」、即ち、「陳列されている商品の完売等による陳列棚上での欠品を防ぐために、適切なタイミングで陳列棚に商品を補充する作業」を、従業員による巡回作業の負担を低減させながら、確実に且つ効率良く行うことができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の商品棚管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実店舗における本発明の商品棚管理システムの具体的な構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の商品棚管理システムの商品陳列領域における商品情報表示部材の配置位置の説明に供する図面である。
【
図4】本発明の商品棚管理システムの他の実施形態の商品陳列領域における商品情報表示部材の配置位置の説明に供する図面である。
【
図5】本発明の商品棚管理システムの商品陳列領域における商品情報表示部材の配置位置の他の一例の説明に供する図面である。
【
図6】本発明の商品棚管理システムにおける撮影部の配置と動作の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の商品棚管理方法の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<商品棚管理システム>
本発明の商品棚管理システムは、商品棚に陳列されている商品の欠品を自動的に検知することを目的とするシステムである。
図1は、本発明の商品棚管理システム1の構成を示すブロック図である。又、
図2は、商品棚管理システム1の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
図2を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜変更して示している。又、以下の説明では、具体的な構成を例示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0047】
[全体構成]
図1に示すように、商品棚管理システム1は、商品陳列部11、撮影部20、及び演算処理部30を含んで構成される。演算処理部30は、少なくとも商品情報読み取り部31及び欠品情報出力部34を備える。又、演算処理部30は、好ましくは、更に、カメラ制御部32及び、画像解析部33を備える。又、この演算処理部に以下に詳細を説明する各動作を実行させるための「商品棚管理用のプログラム」も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
図2に示すように、商品陳列部11は、商品棚10の一部であって、商品棚10を構成する陳列台等、商品を配置する部分のことを言う。撮影部20は、商品陳列部11内の所定位置に配置されている商品情報表示部材112を撮影することができる位置に設置されているカメラ等である。又、演算処理部30(
図2において図示せず)を構成する上記各部の具体的な配置については特定の配置に限定されるものではない。例えば、商品棚管理システム1において演算処理部30を構成する情報処理装置のみを、商品陳列部11を備える商品棚10及び撮影部20が設置されている店舗から離れた場所にある管理施設内等に配置することも可能である。或いは、演算処理部30の一部又は全部を、撮影部20を構成するカメラ等に内蔵させることもできる。
【0049】
商品棚管理システム1は、少なくとも、商品陳列部11、撮影部20、及び演算処理部30を含む上記の各構成部分を、相互に情報通信可能に接続することによって構成可能な情報処理システムである。各部間の接続は、専用の通信ケーブルを利用した有線接続、或いは、有線LANによる接続とすることができる。又、有線接続に限らず、無線LANや近距離無線通信、携帯電話回線等の各種無線通信を用いた接続によって商品棚管理システム1を構成することもできる。
【0050】
[商品棚・商品陳列部]
商品棚管理システム1は、一例として、
図2に示すような汎用的な棚板タイプの商品棚10を管理対象とすることができる。このような棚板タイプの商品棚10においては、板状部材からなる陳列台11A、11B、11Cが、商品棚管理システム1を構成する商品陳列部11に相当する。商品陳列部11は、
図2に例示されるように複数台の陳列台によって構成されていてもよいし、1台の陳列台のみで構成されていてもよい。
【0051】
そして、管理対象となる商品棚10を構成する商品陳列部11(一例として、陳列台11A、11B、11C)には、商品棚10の正面f側(
図3、5参照)から背面b側(
図3、5参照)に向かう直線に沿って商品を並べるための領域である商品陳列領域111(111A~111E)が設定されている(
図2、3、5、6参照)。1台の陳列台に設定される商品陳列領域の数は特に限定されない。又、各々の商品陳列領域111(111A~111E)の幅も、各領域に載置する商品のサイズ等に対応させて、領域毎に任意の幅に設定することができる。
【0052】
商品陳列領域111(111A~111E)は、各商品棚の使用時に、その使用状況に応じて任意に設定可能な領域である。従って、各領域の境界を示す境界線が恒常的に表示されていることは必ずしも必須ではないが、必要に応じて、各商品陳列領域111A~111Eの間の境界を示す視認可能な境界線を、各陳列台11A、11B、11Cの表面に表示又は形成してもよい。
【0053】
又、商品陳列部11が複数の陳列台(例えば3台の陳列台11A、11B、11C)によって構成されている場合にも、各陳列台に、夫々複数の商品陳列領域を設定することができる。このようにした場合には、商品棚の正面視において、水平方向及び鉛直方向に沿ってマトリックス状に並列して設定されている多数の商品陳列領域が設定されることとなる。
【0054】
上記何れの構成の場合においても、商品陳列部11(一例として、陳列台11A、11B、11C)に設定されている各々の商品陳列領域111(111A~111E)には、夫々の商品陳列領域毎に、商品棚10の正面f側の端部から所定の距離だけ背面b側に向けて進んだ位置に、商品情報表示部材112(112A、112B、112C、112D、112E)が配置されている(
図3参照)。
【0055】
商品情報表示部材112は、商品情報読み取り部31によって読み取り可能な商品情報113(113A、113B、113C、113D、113E)が表示されている部材である。この商品情報113(113A、113B、113C、113D、113E)は、商品識別番号であるJANコード(13桁又は8桁)をコード化した情報である1次元又は2次元のバーコードであってもよいが、更に、店舗内のどの商品棚のどの棚板のどの商品陳列領域に当該商品情報表示部材が配置されているのかを示す店舗内での位置情報も有するものであることが好ましい。尚、この商品情報113は、これらと同様に撮影部20によって撮影することができる視覚的な記号であって、商品情報読み取り部31によって読み取り可能な文字、その他の記号からなるものであってもよい。
【0056】
そして、商品情報113(113A、113B、113C、113D、113E)が表示されている商品情報表示部材112は、商品陳列領域111A~111E内の任意の定位置に安定的に配置できるシート状の部材とすることが好ましい。又、商品情報表示部材112は、商品情報113の表示面と反対側の面に、当該面を介して、商品陳列部11(一例として、陳列台11A、11B、11C)に対して着脱可能に配置することができる粘着面を有するシート状部材であることがより好ましい。上述した通り、商品情報表示部材112を、上記のような粘着面を有するシート状部材で構成することにより、管理対象とする商品棚の棚割りの変更時にも、大掛かりな工事等を行うことなく、極めて簡便な手作業のみで、棚割り変更後の商品棚においても、商品棚管理システム1を適切に稼働させ続けることができる。
【0057】
尚、商品棚管理システム1は、他の実施形態の一例として、
図4に示すような棒状部材からなる陳列棒11aを備える吊り下げ型の商品棚も管理対象とすることができる。このような吊り下げ型の商品棚においては、棒状部材からなる陳列棒11aが、商品棚管理システム1を構成する商品陳列部11に相当し、この場合は、各陳列棒11aに沿って商品陳列領域が設定される。
【0058】
そして、管理対象となる商品棚が、上述のような吊り下げ型の商品棚である場合においては、商品情報表示部材112は、
図4(B)に示すような吊り下げ用フックを有するカード状の部材であることが好ましい。このカード状の部材からなる商品情報表示部材112を陳列棒11aの所定位置に吊り下げておくことによって、吊り下げ型の商品棚も管理対象とする場合にも、商品棚管理システム1を構成して、その効果を上記の棚板タイプの商品棚10を管理対象とした場合と同様の作用効果を発揮させることができる。
【0059】
[撮影部]
撮影部20は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、及びレンズ等の光学系を備える各種のデジタルカメラによって構成することができる。撮影部20は、撮影画像を、演算処理部30で演算処理することができるようにデジタル形式の画像データに加工して、当該画像データを演算処理部30に向けて出する機能を有するものであれば、既存の各種のデジタルカメラを特に制限なく用いることができる。
【0060】
撮影部20を構成する上記のデジタルカメラ等は、商品情報表示部材112が視認可能に露出している時に、これを「撮影することができる位置」に設置する。「撮影することができる位置」とは、具体的には、商品棚10の正面f側に対面する空間内の所定位置(当該空間上の天井部分)であって、カメラの画角、方向、焦点の何れかを変動させることによって、商品情報表示部材112を撮影可能な位置のことを意味する。より少ない数のカメラによって、多数の商品情報表示部材112を撮影することができるようにするために、撮影部20としては、PAN-TILT-ZOOM機構を有するカメラ(PTZカメラ)とすることが好ましい(
図2、
図6参照)。
【0061】
尚、上述のした態様で商品情報表示部材112を「撮影することができる位置」に設置されている既設の監視用のデジタルカメラを、そのまま、商品棚管理システム1の撮影部20を構成するカメラとして流用或いは兼用することもできる。
【0062】
[演算処理部]
演算処理部30は、撮影部20から出力された画像データに対して、「陳列棚における商品の欠品又はそのおそれ」が発生していることを示す「欠品情報」を作成するために必要な各種の演算処理を行う。演算処理部30は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等を利用して構成することができる。或いは、演算処理部30は、本発明の実施に係る動作に特化した専用装置として構成することもできる。又、演算処理部30は、以上の機能を備える情報処理装置をサーバーとしてクラウド上に構成して、これを多数のクライアントで共有する構成とすることもできる。
【0063】
(商品情報読み取り部)
商品情報読み取り部31は、撮影部20から送られてくるデジタル形式の画像データから、商品情報表示部材112に表示されている商品情報113(バーコード等の機械読取りが可能な記号からなる商品情報)を読み取る機能を有する従来周知の各種の技術的手段によることができる。例えば、商品情報113が、2次元バーコードである場合、デジタル形式の画像データから、2次元バーコード化されている商品情報113を読み取る商品情報読み取り部31を、一例として、特開平6-12515に開示されている装置のように、演算処理部30に組みこんだ専用のデコーダーによって構成することができる。
【0064】
そして、商品情報読み取り部31は、商品情報113(バーコード等の機械読取りが可能な記号からなる商品情報)を読み取った場合に、当該商品に係る「欠品情報」を生成する。
【0065】
(カメラ制御部)
カメラ制御部32は、商品情報読み取り部31が、商品情報113を、より確実に読み取ることができるように、撮影部20を構成する上記のデジタルカメラの撮影方向や撮影範囲(画角)等を必要に応じて適切に変動させる制御を行う。上述の通り、撮影部20はPAN-TILT-ZOOM機構を有するカメラ(PTZカメラ)であることが好ましく、カメラ制御部32は、このようなPTZカメラにおいて、パン・チルド・ズーム(ズームイン及びズームアウト)の動きを制御する機能を発揮できる手段であればよい。一例として、それらの動きを具体的に指示する各種のプログラムによって、カメラ制御部32にそのような制御を実行させることができる。
【0066】
カメラ制御部32は、商品棚10に複数の商品陳列領域111が存在する場合に、撮影部20を構成する1台のカメラによって、各々の商品陳列領域111を順次循環的に撮影することができるように当該カメラに適切な周回動作を行わせることができるように構成することが好ましい。特に、商品棚の正面視において、水平方向及び鉛直方向に沿ってマトリックス状に並列して設定されている多数の商品陳列領域が設定される場合において、適切なパン・チルド・ズーム(ズームイン及びズームアウト)の動きの組合せである周回動作を行わせることにより、より少ない台数のカメラで多数の商品陳列領域における「商品棚の管理作業」を効率良く確実に行うことができる。
【0067】
(画像解析部)
画像解析部33は、撮影部20が撮影した画像内の物品や人物を検出する。画像内の物品は、一例として商品情報表示部材112である。画像解析部33によって商品情報表示部材112が検出された場合に、当該商品情報表示部材112に、撮影部20を構成するカメラをズームインさせるようにカメラ制御部32の制御動作(制御プログラム)を設定しておくことによって、商品情報読み取り部31による商品情報表示部材112に表示されている商品情報113の読み取り精度を更に高めることができる。
【0068】
撮影部20が撮影した画像内の物品や人物を検出するために画像解析部33は、一例として、ニューラルネットワークを有する各種の機械学習型の画像解析装置(所謂「ディープラーニング技術を用いた画像認識装置」)を用いて構成することができる。尚、ディープランニングを用いた画像認識技術の具体例については、下記に公開されている。
「ディープラーニングと画像認識、オペレーションズ・リサーチ」
(http://www.orsj.o.jp/archive2/or60-4/or60_4_198.pdf)
【0069】
又、画像解析部33は、撮影部20が撮影した画像内の人物も検出することができるものであることが好ましい。この場合において、画像解析部33によって画像内の人物が一定時間以上一か所に立ち止まり、その後にその場を離れたことが検出された場合に、当該人物が立ち止まっていた位置に最も近い商品陳列領域111に撮影部20を構成するカメラを向けるようにカメラ制御部32の制御動作(制御プログラム)を設定しておくことによって、商品の欠品が生じる可能性の高まる状況となった部分領域に、優先的にカメラを向けて、「欠品の発生」を、より早期に検知できる可能性を高めることができる。画像内の人物の識別は、具体的には、従来公知の様々な手法の何れか、又は、それらを組合せて行うことができる。例えば、背景差分によって画像から背景以外の対象物を抽出することができる。この背景差分は公知の技術であり、撮影部20で撮影された撮影画像の画像データと、事前に取得しておいた撮影対象領域の背景画像との差分をとることで、動きのある対象物を抽出する技術である。
【0070】
(欠品情報出力部)
欠品情報出力部34は、商品情報読み取り部31が、商品情報表示部材112の商品情報113を読み取ることによって得ることができる特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報(欠品情報)を出力する。欠品情報出力部34を構成する具体的な装置としては、上記の欠品情報を店舗従業員等の使用者が認知可能な映像・文字・音声等で適宜表示することができる各種の情報処理端末、或いは、そのような要求に対応可能なモニター等を含む各種の情報表示装置によって構成することができる。そのような装置、機器であれば特に限定されず、使用者が所持するか、又は、貸与されている様々な情報受信端末を用いることができる。
【0071】
<商品棚管理方法>
本発明の「商品棚管理方法」は、上述した本発明の「商品棚管理システム」の動作によって好適に実行することができる。この「商品棚管理方法」は、
図7に示すように、「商品棚管理システム」の撮影部20において実行可能な監視撮影ステップS10、商品情報読み取り部31において実行可能な欠品認知ステップS20、欠品情報出力部34において実行可能な欠品通知ステップS30が順次行われることによって、全体プロセスとして実行される。
【0072】
[準備作業]
本発明の「商品棚管方法」の実施に際しては、準備作業として、予め、「商品情報表示部材配置作業」及び「商品配置作業」が行われる。
【0073】
「商品情報表示部材配置作業」は、商品陳列部11の正面f側から背面b側に向かう直線に沿って設定されている商品陳列領域111において、各商品陳列領域111(111A~111E)の正面f側の端部から任意の距離だけ背面b側に向けて進んだ位置に、商品情報読み取り部31によって読み取り可能なバーコード等の記号からなる商品情報113が表示されている商品情報表示部材112を配置する作業である。正面f側の端部から商品情報表示部材112の配置位置までの距離は、商品のサイズや、商品特性に応じた好ましい在庫補充のタイミングに応じて商品陳列領域111毎に任意の距離とすることができる。
【0074】
この作業は「商品棚管理方法」の実施の開始前に予め、店舗の管理者や商品棚の管理を実際に行う作業者等によって行われる。「商品情報表示部材配置作業」は、「商品棚管理方法」の実施の開始前に一度だけ行えばよい。但し、監視対象の商品棚において、各商品棚毎の商品の配置を変更する場合には、変更後の棚割りに対応させるために必要な限りにおいて、商品情報表示部材112の配置を変更する作業として、その都度繰り返し行われる。
【0075】
「商品配置作業」は、
図3(A)に示すように、商品陳列領域111内に同一種の商品P1~P4を一列に並べて配置する作業である。この作業においては、商品情報表示部材112が、商品P1~P4のうち、任意の商品(
図3(A)においてはP3)の陰に隠れる状態となっていることによって、「商品棚管理方法」の開始時においては、撮影部20によって撮影する画像中に商品情報表示部材112が検出可能な状態で映らない状態となるように、各商品を商品陳列領域111内に並べておくようにする。
【0076】
[監視撮影ステップ]
監視撮影ステップS10では、撮影部20が、監視対象領域内にある商品陳列領域111の撮影を行う。より詳しくは、監視撮影ステップS10においては、撮影部20を構成するデジタルカメラによって、商品情報表示部材112の配置されている場所を画像内に含む態様で、各商品陳列領域111が順次撮影される。監視撮影ステップS10において撮影された画像は、デジタル形式の画像データとして出力され、演算処理部30に入力されて必要な欠品情報を得るための所定の演算処理に処される。
【0077】
[欠品認知ステップ]
欠品認知ステップS20では、演算処理部30を構成する商品情報読み取り部31が、監視撮影ステップS10において、撮影部20が撮影した画像内の商品情報表示部材112に表示されている商品情報113を読み取ることによって、特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報を生成する。
【0078】
例えば、
図3(A)に示すように、商品陳列領域111内に十分な数の商品P(P1~P4)が陳列されている状態の時は、撮影部20によって撮影する画像中に商品Pに係る商品情報113が表示されている商品情報表示部材112が検出されることはないので、商品Pの在庫の減少又は欠品に係る情報(欠品情報)は生成されずに、監視撮影ステップS10が継続される。
【0079】
そして、
図3(B)に示すように、商品陳列領域111内の商品PのうちP1~P3が陳列台から持ち去られて、陳列されている商品の数が残り1つ(P4のみ)となった時に、商品P3の下に隠されていた商品情報表示部材112が視認可能に露出するので、撮影部20によって撮影する画像中に商品Pに係る商品情報113が表示されている商品情報表示部材112が検出可能な状態となる。この状態において、撮影部20によって撮影する画像中に商品Pに係る商品情報113が検出された時に、商品情報読み取り部31は、商品Pの在庫の減少又は欠品に係る情報(欠品情報)を生成する。
【0080】
[欠品通知ステップ]
欠品通知ステップS30では、欠品情報出力部34が、欠品認知ステップS20において生成した、特定の商品の在庫の減少又は欠品に係る情報であって、当該商品の属性・種類と、同商品の陳列位置を示す情報を、欠品情報として出力する。欠品情報は、店舗従業員等の使用者が認知可能な映像・文字・音声等で適宜表示することができる各種の情報処理端末、或いは、そのような要求に対応可能なモニター等を含む各種の情報表示装置に向けて出力される。
【0081】
欠品通知ステップS30の実行後に、演算処理部30が、監視を終了するか否かを判断する。監視終了は、例えば、監視終了の命令が入力された場合に終了と判断される。終了する場合には、監視動作を終了し、それ以外の場合には、監視撮影ステップS10へ戻り、監視を継続する。
【符号の説明】
【0082】
1 商品棚管理システム
10 商品棚
11 商品陳列部
11A、11B、11C 陳列台
11a 陳列棒
111(111A~F) 商品陳列領域
112(112A~F) 商品情報表示部材
113 バーコード
20 撮影部
30 演算処理部
31 商品情報読み取り部
32 カメラ制御部
33 画像解析部
34 欠品情報出力部
P(P1~P5) 商品
f (商品棚の)正面
b (商品棚の)背面
S10 監視撮影ステップ
S20 欠品検知ステップ
S30 欠品通知ステップ