(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090735
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】筐体における表示装置の配置構造
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240627BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20240627BHJP
G02F 1/1333 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 302
G06F1/16 312F
G06F1/16 312L
G02F1/1333
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206809
(22)【出願日】2022-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 美里
【テーマコード(参考)】
2H189
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA55
2H189AA63
2H189AA70
2H189AA96
2H189HA02
2H189HA09
5G435AA06
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE02
5G435EE05
5G435EE10
5G435EE50
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】表示装置のリペア時の破損を防ぐ。
【解決手段】筐体は、前面の中で上縁側の第一領域に基板が配設されたバックカバーと、該バックカバーの前面に沿う第一方向の長さが該バックカバーの該長さよりも短い矩形枠状のフロントカバーと、ボトムカバーと、を有し、該バックカバー前面にストレッチテープが貼着され、該バックカバーの前面の中で該第一方向において該第一領域の反対側の該ストレッチテープが貼着されている第二領域を露出させ、該バックカバーに該ストレッチテープを介し該表示装置が貼着され、該表示装置前面に両面テープが貼着され、該バックカバー前面の該第二領域を露出させ、該両面テープを介し該表示装置に該フロントカバーの背面が貼着され、該バックカバーの前面の中で該表示装置及び該フロントカバーから露出した該第二領域を覆うように該ボトムカバーが該バックカバーに装着された、筐体における表示装置の配置構造。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体における表示装置の配置構造であって、
前記筐体は、前面の中で上縁側の第一領域に基板が配設された矩形板状のバックカバーと、該バックカバーの前面に沿う第一方向における長さが、該バックカバーの該第一方向における長さよりも短い矩形枠状のフロントカバーと、ボトムカバーと、を有し、
前記表示装置は、表示面となる前面を有し、
前記バックカバーの前面に引き離し可能なストレッチテープが貼着され、
前記バックカバーの前面の中で前記第一方向において前記第一領域の反対側となり前記ストレッチテープが貼着されている第二領域を露出させて、前記バックカバーの前面に該ストレッチテープを介して前記表示装置の背面が貼着され、
前記表示装置の前面に両面テープが貼着され、
前記バックカバーの前面の前記第二領域を露出させて、前記表示装置の前面に前記両面テープを介して前記フロントカバーの背面が貼着され、
前記バックカバーの前面の中で前記表示装置及び前記フロントカバーから露出した前記第二領域を覆うように、前記ボトムカバーが前記バックカバーに装着された、
筐体における表示装置の配置構造。
【請求項2】
前記バックカバーの前面に前記ストレッチテープを介して貼着された前記表示装置の前記第一方向における下縁が、該表示装置の前面に前記両面テープを介して貼着された前記フロントカバーから該第一方向において露出する、
請求項1に記載の筐体における表示装置の配置構造。
【請求項3】
前記バックカバーの前面の前記第二領域に、前記ボトムカバーに向かって突き出る位置合わせ壁を有し、
前記フロントカバーの前面に、第一の引っかけ爪を有し、
前記ボトムカバーの前面に、前記第一の引っかけ爪と前記第一方向において対となる第二の引っかけ爪を有し、
前記ボトムカバーの背面に、前記位置合わせ壁が差し込まれる位置合わせ溝を有し、
前記フロントカバーの前記第一の引っかけ爪、及び前記ボトムカバーの前記第二の引っかけ爪に係合するキャップを備え、
前記ボトムカバーは、前記位置合わせ溝に前記バックカバーの前記位置合わせ壁が差し込まれた状態で、前記第一の引っかけ爪と前記第二の引っかけ爪とに係合した前記キャップによって支持されて、前記バックカバーに装着された、
請求項1または2に記載の筐体における表示装置の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、筐体における表示装置の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)のような電子機器は、表示装置として液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を備えている。電子機器において、液晶ディスプレイは筐体に収容され、該筐体に固定される。具体的には、筐体の額縁状(矩形枠状)のフロントカバーの背面と板状の液晶ディスプレイの前面(表示面)の外周側の領域とが、両面テープにより接着されている。また、フロントカバーのベゼル幅を小さくする狭額縁化を実現するために、液晶ディスプレイの背面と矩形板状のバックカバーの前面(内面)とが、両面の複数のストレッチテープにより接着されている。そして、フロントカバー及びバックカバーと一体となった液晶ディスプレイが、キーボード等が配設された電子機器本体に、ヒンジ等を備える接続部を介して回転可能(開閉可能)に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電子機器の種類によっては、液晶ディスプレイを開くことで、バックカバーの下部がキーボード等が配設された電子機器本体を後方に持ち上げるリフトアップ機構を備えている。該機構により、電子機器を液晶ディスプレイを開いた状態で利用する場合に、キーボード面に適度な角度がつき、快適なキー入力が可能となる。例えばリフトアップ機構を備えている電子機器では、フロントカバーと液晶ディスプレイとの間に隙間が生じやすく、品質の低下を招く場合がある。これを防ぐために、液晶ディスプレイとフロントカバーとを、上記のように両面テープで固定している。
【0005】
電子機器の解体や修理時(リペア時)において、液晶ディスプレイをバックカバーから取り外したい場合がある。従来のフロントカバー及びバックカバーに対する表示装置の配置構造では、液晶ディスプレイをバックカバーから取り外すために、ストレッチテープを引っ張って外す必要がある。しかし、その前に、フロントカバーを液晶ディスプレイから取り外さないと、ストレッチテープを引っ張って外すことができない。そして、液晶ディスプレイからフロントカバーを両面テープを外して取り外す際に、液晶ディスプレイに力が加わり、液晶ディスプレイが破損する場合がある。
【0006】
よって、液晶ディスプレイ等の表示装置の保守やリペアを行う場合に、バックカバーから取り外した表示装置の破損の発生を防ぐという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本実施形態の筐体における表示装置の配置構造において、前記筐体は、前面の中で上縁側の第一領域に基板が配設された矩形板状のバックカバーと、該バックカバーの前面に沿う第一方向における長さが、該バックカバーの該第一方向における長さよりも短い矩形枠状のフロントカバーと、ボトムカバーと、を有し、前記表示装置は、表示面となる前面を有し、前記バックカバーの前面に引き離し可能なストレッチテープが貼着され、前記バックカバーの前面の中で前記第一方向において前記第一領域の反対側となり前記ストレッチテープが貼着されている第二領域を露出させて、前記バックカバーの前面に該ストレッチテープを介して前記表示装置の背面が貼着され、前記表示装置の前面に両面テープが貼着され、前記バックカバーの前面の前記第二領域を露出させて、前記表示装置の前面に前記両面テープを介して前記フロントカバーの背面が貼着され、前記バックカバーの前面の中で前記表示装置及び前記フロントカバーから露出した前記第二領域を覆うように、前記ボトムカバーが前記バックカバーに装着されている。
【0008】
本実施形態の筐体における表示装置の配置構造は、例えば、前記バックカバーの前面に前記ストレッチテープを介して貼着された前記表示装置の前記第一方向における下縁が、該表示装置の前面に前記両面テープを介して貼着された前記フロントカバーから該第一方向において露出している。
【0009】
本実施形態の筐体における表示装置の配置構造は、例えば、前記バックカバーの前面の前記第二領域に、前記ボトムカバーに向かって突き出る位置合わせ壁を有し、前記フロントカバーの前面に、第一の引っかけ爪を有し、前記ボトムカバーの前面に、前記第一の引っかけ爪と前記第一方向において対となる第二の引っかけ爪を有し、前記ボトムカバーの背面に、前記位置合わせ壁が差し込まれる位置合わせ溝を有し、前記フロントカバーの前記第一の引っかけ爪、及び前記ボトムカバーの前記第二の引っかけ爪に係合するキャップを備え、前記ボトムカバーは、前記位置合わせ溝に前記バックカバーの前記位置合わせ壁が差し込まれた状態で、前記第一の引っかけ爪と前記第二の引っかけ爪とに係合した前記キャップによって支持されて、前記バックカバーに装着されている。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態の筐体における表示装置の配置構造は、バックカバーの前面に引き離し可能なストレッチテープが貼着され、前記バックカバーの前面の中で第一方向において第一領域の反対側となり前記ストレッチテープが貼着されている第二領域を露出させて、前記バックカバーの前面に該ストレッチテープを介して前記表示装置の背面が貼着され、前記表示装置の前面に両面テープが貼着され、前記バックカバーの前面の前記第二領域を露出させて、前記両面テープを介して前記表示装置の前面に前記フロントカバーの背面が貼着され、前記バックカバーの前面の中で前記表示装置及び前記フロントカバーから露出した前記第二領域を覆うように、前記ボトムカバーが前記バックカバーに装着されている。そのため、表示装置のリペア等を行うにあたって、フロントカバーとは別体のボトムカバーをバックカバーの第二領域から取り外すことで、バックカバーの前面に貼着されたストレッチテープの下端側を第二領域に露出させることができる。そして、第二領域に貼着されているストレッチテープを、例えば第一方向に引っ張り、ストレッチテープ全体をバックカバーから引き離すことが可能となる。したがって、フロントカバーを表示装置から取り外すことなく、バックカバーから、フロントカバー及び表示装置を一体化した状態で取り外すことが可能となり、表示装置に破損が生じてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、筐体、及び筐体に取り付けられた表示装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、バックカバーの前面を説明する斜視図である。
【
図3】
図3は、バックカバーに表示装置が貼着された状態で、かつ、表示装置にフロントカバーが貼着される前の状態を説明する斜視図である。
【
図4】
図4は、バックカバーに表示装置が貼着された状態で、かつ、表示装置にフロントカバーが貼着された状態を説明する斜視図である。
【
図5】
図5は、フロントカバーの背面側を説明する斜視図である。
【
図6】
図6は、バックカバー、バックカバーに貼着された表示装置、及び表示装置に貼着されたフロントカバーの上部側を、バックカバーの短手方向(X軸方向)に沿って切断し拡大した断面図である。
【
図7】
図7は、バックカバー、バックカバーに貼着された表示装置、及び表示装置に貼着されたフロントカバーの下部側を、バックカバーの短手方向(X軸方向)に沿って切断し拡大した断面図である。
【
図8】
図8は、バックカバーの前面に貼着されたストレッチテープと、バックカバーにストレッチテープを介して貼着された表示装置と、表示装置に両面テープを介して貼着されたフロントカバーとの配置関係を説明するために、それぞれの下縁側を拡大して示す正面図である。
【
図9】
図9は、バックカバー、バックカバーに貼着された表示装置、表示装置に貼着されたフロントカバーの下部側、バックカバーに装着されたボトムカバー、及びフロントカバーとボトムカバーとにわたって取り付けられたキャップを、バックカバーの短手方向(X軸方向)に沿って切断し拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す筐体1及び表示装置9は、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ等の電子機器の構成する一部である。表示装置9が取り付けられた筐体1には、キーボード等が配設された図示しない電子機器本体が、ヒンジ等からなる接続部6を介して回転可能(開閉可能)に接続される。
【0013】
以下の各図では、便宜上、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が規定されている。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交している。X軸方向は、矩形状の筐体1、及び矩形状の表示装置9のそれぞれの短手方向に沿う方向である。Y軸方向は、筐体1及び表示装置9のそれぞれの長手方向に沿う方向である。Z軸方向は、筐体1及び表示装置9の厚さ方向に沿う方向である。X軸方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y軸方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z軸方向は、+Z方向と-Z方向とを含む。+X方向は、筐体1に取り付けられた表示装置9を利用する人間(主に表示装置9を覗き込んでいる、表示装置9に対面している人間)から見て、上方向となり、-X方向は下方向となる。また、+Y方向は、筐体1に取り付けられた表示装置9を利用する該人間から見て左方向となり、-Y方向は右方向となる。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、表示装置9が取り付けられた筐体1の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0014】
筐体1は、矩形板状のバックカバー2と、矩形枠状(額縁状)のフロントカバー3と、Y軸方向に延在しキャップ7に覆われたバー状のボトムカバー4と、を備えている。以下に、本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造について説明する。筐体1における表示装置9の配置構造とは、表示装置9の、バックカバー2、フロントカバー3、及びボトムカバー4に対する配置であるため、表示装置9、バックカバー2、フロントカバー3、及びボトムカバー4を組み立てる順序と共に説明する。
【0015】
図2に示すバックカバー2は、表示装置9、フロントカバー3、及びボトムカバー4がまだ取り付けられていない状態を示している。
図2に示すバックカバー2の前面20は、
図1に示す筐体1の内部に向く略平坦な面である。なお、前面20に、凹凸が設けられてもよいし、曲面が設けられてもよい。本実施形態においては、X軸方向が、バックカバー2の前面20に沿う第一方向となる。
【0016】
バックカバー2の前面20の中で、+X方向側の中央の一領域、即ち、バックカバー2の上縁27の近傍となる領域203(以下、第一領域203とする)には、基板12が配設されている。基板12には、例えば、
図1に示す筐体1の外部、即ち、フロントカバー3の前面30の前方に位置する対象を撮像可能なカメラ121、該カメラ121による撮像を行うためにフロントカバー3の前面30の前方に向かって所定波長の光を出射する光源122、及び受音するマイクロフォン123等が配設されている。なお、基板12に、その他の光源等がさらに配設されていてもよい。
【0017】
バックカバー2の前面20には、例えば、前面20をX軸方向に略横断するようにフレキシブル配線板209が配設されている。フレキシブル配線板209の上端側は、基板12に接続されている。フレキシブル配線板209は、FPC(Flexible Printed Circuits)、又はFFC(Flexible Flat Cable)等である。
【0018】
例えば、バックカバー2の前面20の中でY軸方向における両外周縁近傍の領域は、台状に少しだけ厚く形成されている。そして、本実施形態では、
図2に示すように、二つのストレッチテープ51が、バックカバー2の前面20の厚く形成された該台状部分に、それぞれ貼着されている。ストレッチテープ51は、
図1に示す表示装置9をバックカバー2の前面20に貼着(接着)するための部材である。上記のように、各ストレッチテープ51は、互いにバックカバー2の長手方向(Y軸方向)に離間して、前面20に貼り付けられている。なお、ストレッチテープ51の数は二つに限られず、適宜変更されてよい。ストレッチテープ51は、所定の粘着剤を基材に配設した両面テープであり、ストレッチリリーステープとも称される。
【0019】
図2に示すように、各ストレッチテープ51は、バックカバー2の前面20に貼着されているとともに、バックカバー2の短手方向(X軸方向)に沿って帯状に延びている。二つのストレッチテープ51によって、
図1に示す表示装置9の背面の長手方向(Y軸方向)における両縁近傍の領域が、バックカバー2の前面20に貼り付けられる。
【0020】
バックカバー2の前面20に貼着されたストレッチテープ51は、例えば、ストレッチテープ51の厚さ方向(Z軸方向)に引っ張っても、バックカバー2の前面20から引き離しにくく、前面20に沿う第一方向(X軸方向)に引っ張ることで前面20から引き離しやすい性質を備えている。なお、ストレッチテープ51の前面20から引き離しやすい引っ張り方向は、本例に限定されるものではない。
【0021】
図2に示すように、X軸方向に延在するストレッチテープ51の一端となる上端51aは、例えば、バックカバー2の短手方向(X軸方向)における中間位置近くに位置している。また、ストレッチテープ51の他端となる下端51bは、例えば、バックカバー2の短手方向の下縁28の近傍に位置している。なお、ストレッチテープ51の上端51a及び下端51bのX軸方向における位置は、
図2に示す例に限定されるものではない。
【0022】
図3は、
図2に示すバックカバー2の前面20に表示装置9が貼着された後の状態を示している。
図1、
図3に示す表示装置9は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、表示装置9は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等であってもよい。表示装置9は、矩形板状に形成されており、表示面となる前面90を有する。前面90は、略平坦に形成され画像を表示可能である。前面90に、例えば、タッチパネルが設けられてもよい。この場合、ユーザは、前面90に対するタッチ操作により表示装置9を操作可能である。
【0023】
図3に示す表示装置9は、例えば、長手方向(Y軸方向)における長さが、バックカバー2の長手方向(Y軸方向)における長さと略同一に、又は少しだけ短い長さに設定されている。また、表示装置9は、第一方向である短手方向(X軸方向)における長さが、バックカバー2の短手方向(X軸方向)における長さよりも短く設定されている。そして、
図3に示すように、表示装置9がバックカバー2の前面20にストレッチテープ51(
図2参照)を介して貼着された状態において、基板12が表示装置9の上縁901から+X方向に外れた状態となっている。換言すれば、基板12と表示装置9とは、表示装置9の厚さ方向(Z軸方向)において重なっていない状態となっている。なお、表示装置9の背面とバックカバー2の前面20との間には、小さな空間が設けられる。
【0024】
図3に示す表示装置9がバックカバー2の前面20にストレッチテープ51(
図2参照)を介して貼着された状態では、前面20の中でX軸方向において第一領域203と反対側となる下外周側の領域(バックカバー2の下縁28の近傍となる領域)が、表示装置9の下縁902から露出した状態となっている。そして、前面20の中で表示装置9から露出した該領域を、第二領域204とする。第二領域204は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とする略矩形状の領域となる。
【0025】
例えば、
図2に示すように、バックカバー2の第二領域204のY軸方向における両端側となる位置には、
図1、
図3に示す接続部6をボルト固定するためのボルト孔206が形成されている。そして、
図3に示すように、接続部6が、ボルト孔206にボルト207を用いて取り付けられる。なお、接続部6は、後述するボトムカバー4が第二領域204を覆うようにバックカバー2に接続された後に、筐体1に取り付けられてもよい。
【0026】
図1に示す表示装置9が取り付けられた筐体1と、キーボード等が配設された図示しない電子機器本体とは、接続部6を介して互いに回動可能なように接続される。接続部6は、例えば、Y軸方向を軸方向とする軸体60と、軸体60に接続されたヒンジ羽61と、を備えている。なお、
図1に示す表示装置9が取り付けられた筐体1に接続部6を介して接続される図示しない電子機器本体は、例えば、薄い箱状の筐体に、基板、CPU、ROM、RAM、HDD又はSSDのようなストレージ、バッテリ、アンテナ、及び他の種々の部品を収容した構成となっている。また、該電子機器本体には、入力手段であるキーボート等が設けられる。
【0027】
図1、
図4に示すように、筐体1は、矩形枠状(矩形環状)のフロントカバー3を備えている。なお、
図4は、
図3に示す表示装置9の前面90に、フロントカバー3が貼着された後の状態を示している。また、
図5は、フロントカバー3の背面32側を示す斜視図であり、フロントカバー3単体を示している。前面30が開口するフロントカバー3は、バックカバー2の前面20に沿う第一方向(X軸方向)における長さが、バックカバー2の該第一方向における長さよりも短い。例えば、
図4に示すフロントカバー3の前面30の中で、フロントカバー3の上縁36近傍のバックカバー2の基板12(
図2、
図3参照)に対応する箇所には、ほこり等が筐体1内部に入り込むことを防止するためのカメラパネル33が取り付けられている。
【0028】
図5に示すように、フロントカバー3の背面32の中でY軸方向における外周縁近傍となる領域には、表示装置9のY軸方向における両端面を覆うための壁部325が厚さ方向(Z軸方向)に立設されている。
【0029】
図5に示すように、フロントカバー3の背面32の中で、フロントカバー3の上縁36の近傍となる領域には、
図2に示すマイクロフォン123に対応するマイクロフォン孔326、カメラ121に対応するカメラ孔327、及び光源122に対応する光源孔328が、厚さ方向に貫通形成されている。カメラ孔327は、
図3に示す基板12上に配設されY軸方向に移動可能なシャッター329によって開閉可能となる。
【0030】
フロントカバー3は、
図3に示す両面テープ54によって、
図1、
図4、
図6、及び
図7に示すように、表示装置9の前面90に貼着される。
図3に示す帯状の両面テープ54は、例えば、表示装置9の前面90の4つの外周縁近傍となる領域にそれぞれ1枚ずつ、計4枚貼着されている。両面テープ54の枚数や長さ等については、本実施形態の例に限定されるものではない。なお、
図6は、バックカバー2、バックカバー2に貼着された表示装置9、及び表示装置9に貼着されたフロントカバー3の上部側を、バックカバー2の短手方向(X軸方向)に沿って切断し拡大した断面図である。また、
図7は、バックカバー2、バックカバー2に貼着された表示装置9、及び表示装置9に貼着されたフロントカバー3の下部側を、バックカバー2の短手方向(X軸方向)に沿って切断し拡大した断面図である。
【0031】
図6に示すように、フロントカバー3の背面32の中で、+X方向におけるフロントカバー3の上縁36の近傍となる領域は、表示装置9と厚さ方向(Z軸方向)において重なっていない。そして、フロントカバー3の背面32の表示装置9と重なっていない該領域と基板12とが、筐体1のZ軸方向において対向している。
【0032】
図2、
図6に示すように、例えば、バックカバー2の前面20の第一領域203には、複数の引っかけ突起23がフロントカバー3側に向かって突き出るように形成されている。
図6に示すように、引っかけ突起23は、一部が断面視で鉤状に形成されている。また、
図5、
図6に示すように、フロントカバー3の上縁36には、厚さ方向に突出する壁部341が形成されている。また、壁部341には、複数の位置合わせ爪342がY軸方向に間隔を空けて形成されている。フロントカバー3の位置合わせ爪342が、バックカバー2の引っかけ突起23に対してX軸方向において上側から重なるように引っかかる。これによって、バックカバー2に対して、フロントカバー3が適切に位置決めされつつ、表示装置9の前面90に貼着されて、フロントカバー3の上縁36がバックカバー2の上縁27に対して装着された状態になる。
【0033】
図4、
図7~
図8に示すように、フロントカバー3が表示装置9の前面90に両面テープ54(
図3参照)を介して貼着された状態では、バックカバー2の前面20の中で下縁28の近傍となる第二領域204が、フロントカバー3及び表示装置9から露出した状態になる。
図8は、バックカバー2の前面20の第二領域204、フロントカバー3の下縁37側、及び表示装置9の下縁902側を、拡大して示す正面図である。
図8に示すように、バックカバー2の前面20に貼着されたストレッチテープ51の下端51b側が、第二領域204においてフロントカバー3及び表示装置9から露出した状態になる。
【0034】
本実施形態においては、
図7、
図8に示すように、フロントカバー3が表示装置9の前面90に両面テープ54(
図3参照)を介して貼着された状態で、表示装置9の下縁902が、X軸方向においてフロントカバー3の下縁37から下方(-X方向)に露出する。
【0035】
本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造においては、
図4、
図8に示すバックカバー2の前面20の中でバックカバー2の下縁28近傍に位置しフロントカバー3及び表示装置9から露出した状態の第二領域204を、
図1、
図9に示すボトムカバー4が覆うようにしてバックカバー2に装着される。
【0036】
ボトムカバー4は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とする略矩形のバー状に形成されている。例えば、ボトムカバー4は、バックカバー2の前面20の第二領域204と略同一の大きさに、又は第二領域204よりも少しだけ大きく形成されており、第二領域204全域を覆うことができる。
【0037】
例えば、
図9に示すように、バックカバー2の下縁28近傍の第二領域204には、ボトムカバー4側に向かって突き出るように位置合わせ壁26が形成されている。
図9に示すように、ボトムカバー4の断面形状は、略C状となっており、その背面40側に位置合わせ溝43を備えている。そして、位置合わせ溝43内にバックカバー2の位置合わせ壁26がZ軸方向において差し込まれた状態になることで、バックカバー2に対して、ボトムカバー4が適切に位置決めされる。また、ボトムカバー4によって、バックカバー2の前面20の第二領域204全体が覆われる。
【0038】
図1、
図9に示すように、ボトムカバー4の下面側には、ゴム等からなりY軸方向に延在するバー状のリブ47が取り付けられている。リブ47は、ボトムカバー4を衝撃から保護する。また、ボトムカバー4の位置合わせ溝43内にバックカバー2の位置合わせ壁26がZ軸方向において差し込まれた状態で、リブ47はバックカバー2の下縁28に接触する。そして、リブ47によって、ボトムカバー4のバックカバー2に対するZ軸方向におけるズレが規制される。
【0039】
ボトムカバー4は、本実施形態においては、
図1、
図9に示すキャップ7を介してバックカバー2に固定される。キャップ7は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とするバー状のヒンジキャップである。また、キャップ7は、
図9に示すように、断面視で略C状に形成されており、Y軸方向に延在し接続部6の軸体60等を収容可能な内部空間70を備えている。
【0040】
キャップ7のZ軸方向におけるフロントカバー3側及びボトムカバー4側となる端部には、上側引っかけ爪71と、下側引っかけ爪72とが形成されている。上側引っかけ爪71及び下側引っかけ爪72は、それぞれ断面視鉤状に形成されている。キャップ7は、例えば、ある程度の弾性力を備えており、上側引っかけ爪71と下側引っかけ爪72とのX軸方向における間隔を一時的に広げた後、該間隔を自然長に戻すことが可能となっている。
【0041】
図9に示すフロントカバー3の前面30の中で下縁37の近傍となる領域には、キャップ7の上側引っかけ爪71に係合する第一の引っかけ爪37aが、前面30から突出するように形成されている。
【0042】
図9に示すボトムカバー4の前面41には、キャップ7の下側引っかけ爪72に係合する第二の引っかけ爪45が突出するように形成されている。フロントカバー3の第一の引っかけ爪37a及びボトムカバー4の第二の引っかけ爪45は、それぞれ断面視が鉤状となるように形成されている。フロントカバー3の第一の引っかけ爪37aがキャップ7の上側引っかけ爪71に係合し、かつ、ボトムカバー4の第二の引っかけ爪45がキャップ7の下側引っかけ爪72に係合する。そして、フロントカバー3が表示装置9に
図2に示すストレッチテープ51を介して固定されているため、キャップ7によって支持されたボトムカバー4が、バックカバー2に対して取り外し可能に固定された状態になる。
【0043】
例えば、フロントカバー3は、
図5、
図8に示すように、下縁37から下方に向かって突出するように形成され嵌合孔を有する嵌合部38を備えている。該嵌合部38の嵌合孔にボトムカバー4の背面40側の一部の突起(不図示)がZ軸方向において緩嵌合することで、ボトムカバー4がバックカバー2に対してよりズレなどを生じさせないように固定される。
【0044】
上記のように、本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造では、バックカバー2の前面20の第二領域204に、ボトムカバー4に向かって突き出る位置合わせ壁26を有し、フロントカバー3の前面30に、第一の引っかけ爪37aを有し、ボトムカバー4の前面41に、第一の引っかけ爪37aと第一方向(X軸方向)において対となる第二の引っかけ爪45を有し、ボトムカバー4の背面40に、位置合わせ壁26が差し込まれる位置合わせ溝43を有し、フロントカバー3の第一の引っかけ爪37aを有している。そして、ボトムカバー4は、位置合わせ溝43にバックカバー2の位置合わせ壁26が差し込まれた状態で、第一の引っかけ爪37aと第二の引っかけ爪45とに係合したキャップ7によって支持されて、バックカバー2に装着されている。即ち、ボトムカバー4は、バックカバー2に対して接着テープ等を用いずに装着可能となっている。
【0045】
図1、
図9に示すように、バックカバー2の前面20の第二領域204を覆うようにバックカバー2に装着されたボトムカバー4は、キャップ7によって筐体1の厚さ方向(Z軸方向)において覆われた状態になる。
【0046】
以上のように、表示装置9、バックカバー2、フロントカバー3、及びボトムカバー4が組み立てられて、筐体1と表示装置9とが
図1のように一体化した状態になる。これが、筐体1における表示装置9の配置構造となる。
【0047】
本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造の機能について説明する。筐体1における表示装置9の配置構造は、
図1、
図9に示すように筐体1に一度取り付けられた表示装置9の修理時(リペア時)において、表示装置9をバックカバー2から取り外したい場合に機能を発揮する。以下に、
図1、
図9に示すように筐体1に取り付けられた表示装置9について新たにリペアを行う場合の、表示装置9、バックカバー2、フロントカバー3、及びボトムカバー4を解体する順序について説明する。
【0048】
該解体の順序においては、まず、
図1、
図9に示すボトムカバー4が、バックカバー2から取り外される。例えば、
図9に示すキャップ7が、自然長の状態から一時的に上側引っかけ爪71と下側引っかけ爪72とのX軸方向における間が縮まるように、力が加えられて変形される。そして、フロントカバー3の第一の引っかけ爪37aとキャップ7の上側引っかけ爪71との係合が解除され、ボトムカバーの第二の引っかけ爪45とキャップ7の下側引っかけ爪72との係合が解除されて、キャップ7がフロントカバー3及びボトムカバー4から取り外される。
【0049】
次いで、位置合わせ溝43内に差し込まれているバックカバー2の位置合わせ壁26を引き抜くようにして、ボトムカバー4がバックカバー2から取り外される。その結果、
図9に示す状態から、
図7、
図8に示す状態のように変わって、バックカバー2の前面20の中で下縁28の近傍となる第二領域204が、表示装置9に両面テープ54を介して貼着されているフロントカバー3及び表示装置9から露出した状態になる。また、
図8に拡大して示すように、バックカバー2の前面20に貼着されたストレッチテープ51の下端51b側が、第二領域204においてフロントカバー3及び表示装置9から露出した状態になる。また、ボトムカバー4がバックカバー2から取り外されることで、フロントカバー3が前面90に貼着されている表示装置9の下縁902が、X軸方向においてフロントカバー3の下縁37から下方に露出する。
【0050】
本実施形態において、上記のように、
図9に示すボトムカバー4がバックカバー2に接着テープ等を用いずに装着されていたことで、表示装置9に無駄な力を加えて干渉することなく、ボトムカバー4をバックカバー2から取り外しができる。よって、表示装置9の破損を発生させてしまうことを防ぐことができる。
【0051】
次いで、
図8に示すバックカバー2の前面20の第二領域204に露出するストレッチテープ51の下端51b側を、第一方向(X軸方向)における-X方向側に引っ張る。そして、ストレッチテープ51全体が、バックカバー2の前面20及び表示装置9の背面92から引き離される。なお、ストレッチテープ51は、
図2に示すように、バックカバー2の前面20の長手方向(Y軸方向)における両端部側の領域にそれぞれ貼着されているため、2つのストレッチテープ51がそれぞれ上記のように引き離される。
【0052】
ストレッチテープ51が、バックカバー2の前面20と表示装置9の背面92とから引き離されることで、バックカバー2と、フロントカバー3が前面90に両面テープ54を介して貼着された状態の表示装置9とを分離できる。
【0053】
上記のように、本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造は、バックカバー2の前面20に引き離し可能なストレッチテープ51が貼着され、バックカバー2の前面20の中で第一方向(X軸方向)においてバックカバー2の上縁27側の第一領域203の反対側となりストレッチテープ51が貼着されている第二領域204を露出させて、バックカバー2の前面20に該ストレッチテープ51を介して表示装置9の背面92が貼着され、表示装置9の前面90に両面テープ54が貼着され、バックカバー2の前面20の第二領域204を露出させて、表示装置9の前面90にフロントカバー3の背面32が両面テープ54を介して貼着され、バックカバー2の前面20の中で表示装置9及びフロントカバー3から露出した第二領域204を覆うように、ボトムカバー4がバックカバー2に装着されている。そのため、表示装置9のリペア等を行うにあたって、ボトムカバー4をバックカバー2の第二領域204から取り外すことで、バックカバー2の前面20に貼着されたストレッチテープ51の下端51b側を、第二領域204に露出させることができる。したがって、第二領域204に貼着されているストレッチテープ51の下端51b側を、例えば第一方向(X軸方向)に引っ張り、バックカバー2、及び表示装置9から引き離すことが可能となる。そのため、フロントカバー3を表示装置9から取り外すことなく、バックカバー2から、フロントカバー3及び表示装置9を取り外すことが可能となる。
【0054】
従来の筐体における表示装置の配置構造では、表示装置の前面に取り付けられるカバーが、上下に分割不可能な一枚のフロントカバーのみで構成されている。そして、表示装置のリペア等を行うにあたって、フロントカバーを表示装置から取り外さない限り、バックカバーと表示装置とを接続するストレッチテープを、バックカバーの前面に露出させることができない。したがって、ストレッチテープに力を加えてバックカバーから引き離すことができない。その結果、表示装置とフロントカバーとを分解する際に、表示装置に力が加わり、表示装置が破損する場合がある。
これに対して、本実施形態の筐体1における表示装置9の配置構造では、フロントカバー3を表示装置9から取り外すことなく、バックカバー2から、フロントカバー3及び表示装置9を取り外すことが可能であるため、表示装置9の破損が生じることを防ぐことができる。
【0055】
例えば、本実施形態においては、
図1、
図9に示すボトムカバー4がバックカバー2から取り外されることで、
図8に示すように、フロントカバー3が前面90に貼着された状態となっている表示装置9の下縁902が、X軸方向におけるフロントカバー3の下縁37から下方に露出する。このため、バックカバー2からフロントカバー3及び表示装置9を取り外した後に、表示装置9の保守やリペア等を行い、再度、フロントカバー3と一体となっている表示装置9をバックカバー2に対してストレッチテープ51を介して貼着する場合に、表示装置9の下縁902のバックカバー2の前面20における位置を把握しやすく、表示装置9の位置決めを容易に実施可能となる。そのため、バックカバー2が表示装置9に不用意に干渉してしまうことが防がれ、表示装置9の破損の発生を防ぐことが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1:筐体
12:基板
2:バックカバー
20:バックカバーの前面 203:バックカバーの前面の第一領域
204:バックカバーの前面の第二領域
23:引っかけ突起 26:位置合わせ壁 27:バックカバーの上縁
28:バックカバーの下縁
3:フロントカバー 30:フロントカバーの前面 32:フロントカバーの背面
36:フロントカバーの上縁 37:フロントカバーの下縁
37a:第一の引っかけ爪
4:ボトムカバー
41:ボトムカバーの前面 42:ボトムカバーの背面 45:第二の引っかけ爪
51:ストレッチテープ
6:接続部
7:キャップ(ヒンジキャップ)
9:表示装置 90:表示装置の前面(表示面)