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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090744
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/00 20060101AFI20240627BHJP
   F27B 9/39 20060101ALI20240627BHJP
   F27D 3/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C21D1/00 112B
C21D1/00 115Z
C21D1/00 112M
C21D1/00 112A
F27B9/39
F27D3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206826
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591076109
【氏名又は名称】エヌジーケイ・キルンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 実
(72)【発明者】
【氏名】浅野 良充
(72)【発明者】
【氏名】磯野 隆規
(72)【発明者】
【氏名】大山 智明
【テーマコード(参考)】
4K034
4K050
4K055
【Fターム(参考)】
4K034AA08
4K034AA19
4K034BA01
4K034BA10
4K034CA05
4K034DA02
4K034DA03
4K034DA05
4K034DB02
4K034DB03
4K034DB04
4K034DB05
4K034DB06
4K034EA12
4K034EB01
4K034EB31
4K034EB34
4K034EB36
4K034EB39
4K034GA18
4K050AA02
4K050BA16
4K050CC07
4K050CD06
4K050CF06
4K050CF16
4K050CF20
4K050CG04
4K050CG29
4K050DA01
4K050EA03
4K050EA04
4K050EA08
4K055AA06
4K055BA05
(57)【要約】
【課題】搬送方向における複数の被処理物の位置関係が大きく乱れたときでも、複数の被処理物を安定して搬送する。
【解決手段】搬送装置は、第1搬送ローラ装置と、第1搬送ローラ装置よりも下流側に配置されている第2搬送ローラ装置と、第1搬送ローラ装置よりも下流側であって、第2搬送ローラ装置よりも上流側に配置されており、搬送方向への被処理物の移動を禁止するストッパと、を備えている。第1搬送ローラ装置は、複数の被処理物の間の搬送方向における間隔を、熱処理炉からの搬出時での複数の被処理物の間の搬送方向における間隔よりも広い間隔に広げることで、複数の被処理物を、所定数または所定数よりも少ない数の被処理物を含む被処理物群に分割可能とするように構成されている。ストッパは、第1搬送ローラ装置により分割され、搬送方向に隣接する被処理物群の間に配置可能に構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に直交する列方向に所定数並べた被処理物を、前記搬送方向に所定の間隔で連続して熱処理炉に搬入し、前記熱処理炉内で熱処理された複数の前記被処理物を前記熱処理炉から搬送する搬送装置であって、
前記熱処理炉から搬出された前記複数の被処理物を、前記熱処理炉から前記被処理物を搬出するときの搬出速度よりも高い速度で前記搬送方向に搬送する第1搬送ローラ装置と、
前記第1搬送ローラ装置よりも下流側に配置されている第2搬送ローラ装置と、
前記第1搬送ローラ装置よりも下流側であって、前記第2搬送ローラ装置よりも上流側に配置されており、前記搬送方向への前記被処理物の移動を禁止するストッパと、を備えており、
前記第1搬送ローラ装置は、前記複数の被処理物の間の前記搬送方向における間隔を、前記熱処理炉からの搬出時での前記複数の被処理物の間の前記搬送方向における前記間隔よりも広い間隔に広げることで、前記複数の被処理物を、前記所定数または前記所定数よりも少ない数の前記被処理物を含む被処理物群に分割可能とするように構成されており、
前記ストッパは、前記第1搬送ローラ装置により分割され、前記搬送方向に隣接する被処理物群の間に配置可能に構成されている、搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送ローラ装置は、
前記複数の被処理物を前記搬出速度よりも高い切り離し速度で搬送する高速部と、
前記複数の被処理物の搬送速度を前記搬出速度から前記切り離し速度に向けて増速する増速部と、を備えている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記増速部は、
前記搬出速度よりも高く、かつ、前記切り離し速度よりも低い第1速度で前記複数の被処理物を搬送する第1増速部と、
前記第1速度よりも高く、かつ、前記切り離し速度よりも低い第2速度で前記複数の被処理物を搬送する第2増速部と、を備えている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送ローラ装置の前記高速部における前記複数の被処理物の配置を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて、前記複数の被処理物を第1の被処理物群と第2の被処理物群に分類する制御ユニットと、を備えており、
前記制御ユニットは、前記第1の被処理物群と前記第2の被処理物群の分類結果に基づいて、前記ストッパを動作させて前記第1の被処理物群と前記第2の被処理物群の間に配置させる、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記検出器は、前記列方向にレーザを照射可能な透過型光電センサである、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1搬送ローラ装置は、その内部が雰囲気ガスで満たされたフード内に配置されており、
前記第2搬送ローラ装置は、前記雰囲気ガスを空気に置換する置換室内に配置されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ストッパよりも下流側に配置されており、前記搬送方向を第1方向から前記第1方向に略直交する第2方向に変更する第1ターン装置をさらに備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1ターン装置は、前記第1方向に2個の前記被処理物を並べて配置可能であって、前記複数の被処理物が前記第2方向に搬送される搬送通路を備えている、請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記第1方向における前記搬送通路の幅は、長手方向における前記被処理物の幅の3倍以下である、請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記第1ターン装置よりも下流側に配置されており、前記搬送方向を前記第2方向から、前記第2方向に略直交すると共に前記第1方向と反対となる第3方向に変更する第2ターン装置と、
前記第2ターン装置の搬送通路上に、前記第2方向に前記複数の被処理物を並べて整列させる整列装置と、をさらに備えている、請求項7に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、複数の被処理物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の被処理物を搬送する搬送装置が開示されている。複数の被処理物は、搬送方向に直交する列方向に所定数並べられ、搬送方向に所定の間隔で連続して熱処理炉に搬入される。熱処理炉に搬入された被処理物は、熱処理炉内で熱処理される。搬送装置は、熱処理された複数の被処理物を熱処理炉から搬送する。この搬送装置では、搬送通路上にストッパが配置されている。熱処理炉から搬送される複数の被処理物は、ストッパに突き当てられることにより、列方向に一列に整列する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6978622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱処理炉内に配置される複数の搬送ローラでは、その両端が回転可能に支持され、その中間部分に複数の被処理物が載置される。このため、搬送ローラは、被処理物の重みにより中間部分が撓んだ状態で回転することになる。これにより、列方向に並べられた状態で複数の被処理物が熱処理炉内に搬入されても、熱処理炉の出口において、列方向に並べられた複数の被処理物の搬送方向の位置関係が大きく乱れることがある。この場合、列方向に並べられた所定数の被処理物を、搬送方向に所定の間隔を空けて熱処理炉内に搬入しても、熱処理炉の出口において、搬送方向に設けた所定の間隔が維持されない。この結果、先に搬入された被処理物と、後に搬入された被処理物との間の間隔が狭くなり、両者が一体となって搬送されている状態となることがある。
【0005】
このような場合に、特許文献1の技術により、複数の被処理物をストッパに突き当てると、搬送方向に並ぶ複数の被処理物同士が衝突し、被処理物同士の間に間隔が無くなった一塊のクラスタ状態となる。これにより、過度に多くの被処理物が一度に下流側に搬送されることとなり、複数の被処理物を安定して搬送することができない。
【0006】
本明細書は、搬送方向における複数の被処理物の位置関係が大きく乱れたときでも、複数の被処理物を安定して搬送することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する技術の第1の態様では、搬送装置は、搬送方向に直交する列方向に所定数並べた被処理物を、搬送方向に所定の間隔で連続して熱処理炉に搬入し、熱処理炉内で熱処理された複数の被処理物を熱処理炉から搬送する。搬送装置は、熱処理炉から搬出された複数の被処理物を、熱処理炉から被処理物を搬出するときの搬出速度よりも高い速度で搬送方向に搬送する第1搬送ローラ装置と、第1搬送ローラ装置よりも下流側に配置されている第2搬送ローラ装置と、第1搬送ローラ装置よりも下流側であって、第2搬送ローラ装置よりも上流側に配置されており、搬送方向への被処理物の移動を禁止するストッパと、を備えている。第1搬送ローラ装置は、複数の被処理物の間の搬送方向における間隔を、熱処理炉からの搬出時での複数の被処理物の間の搬送方向における間隔よりも広い間隔に広げることで、複数の被処理物を、所定数または所定数よりも少ない数の被処理物を含む被処理物群に分割可能とするように構成されている。ストッパは、第1搬送ローラ装置により分割され、搬送方向に隣接する被処理物群の間に配置可能に構成されている。
【0008】
上記の構成によれば、搬送方向における複数の被処理物の位置関係が大きく乱れた状態で複数の被処理物が熱処理炉から搬出されると、まず、複数の被処理物は、第1搬送ローラ装置上を移動する。第1搬送ローラ装置が、熱処理炉から搬出される搬出速度よりも高い速度で複数の被処理物を搬送することにより、搬送方向における複数の被処理物の間隔が広がる。即ち、先に搬出された被処理物と、後に搬出された被処理物との搬送方向の間隔が広がる。これにより、ストッパにより先に搬出された被処理物群の搬送方向への移動が禁止されても、先に搬出された被処理物群と後に搬出された被処理物群との間隔が無くなることを抑制することができる。この結果、搬送方向に隣接する被処理物群をストッパにより分割し易くなり、被処理物を安定して第2搬送ローラ装置に向けて搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例の搬送装置と熱処理炉の概略断面図である。
図2】第1実施例の熱処理システムの概略図である。
図3】第1実施例において、熱処理炉の入口近傍の熱処理システムの概略断面図である。
図4】第1実施例において、熱処理搬送ローラ装置と、第1搬送ローラ装置と、第1ストッパと、第1検出器と、第1ターン装置と、制御ユニットの概略図である。
図5】第1実施例の第1ターン装置の概略図である。
図6】第1実施例の置換室搬送ローラ装置と、置換室後搬送ローラ装置と、第2検出器と、切り離しローラ装置と、第2ストッパと、整列台ローラ装置と、整列装置と、第2ターン入口装置と、第2ターン装置と、第3検出器と、第4検出器と、冷却搬送ローラ装置と、制御ユニットの概略図である。
図7】第2実施例の置換室搬送ローラ装置と、置換室後搬送ローラ装置と、第2検出器と、切り離しローラ装置と、第2ストッパと、整列装置と、第2ターン入口装置と、第2ターン装置と、第3検出器と、第4検出器と、冷却搬送ローラ装置と、制御ユニットの概略図である。
図8】第3実施例の置換室搬送ローラ装置と、置換室後搬送ローラ装置と、切り離しローラ装置と、整列装置と、第4検出器と、冷却搬送ローラ装置入口部と、冷却搬送ローラ装置と、制御ユニットの概略図である。
図9】第4実施例の熱処理システムの概略図である。
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
本明細書に開示する技術の第2の態様では、上記の第1の態様において、第1搬送ローラ装置は、複数の被処理物を搬出速度よりも高い切り離し速度で搬送する高速部と、複数の被処理物の搬送速度を搬出速度から切り離し速度に向けて増速する増速部と、を備えていてもよい。上記の構成によれば、搬送方向における複数の被処理物の間隔を安定して広げることができる。
【0012】
本明細書に開示する技術の第3の態様では、上記の第2の態様において、増速部は、搬出速度よりも高く、かつ、切り離し速度よりも低い第1速度で複数の被処理物を搬送する第1増速部と、第1速度よりも高く、かつ、切り離し速度よりも低い第2速度で複数の被処理物を搬送する第2増速部と、を備えていてもよい。上記の構成によれば、搬送方向における複数の被処理物の間隔をより安定して広げることができる。
【0013】
本明細書に開示する技術の第4の態様では、上記の第2または第3の態様において、搬送装置は、第1搬送ローラ装置の高速部における複数の被処理物の配置を検出する検出器と、検出器の検出結果に基づいて、複数の被処理物を第1の被処理物群と第2の被処理物群に分類する制御ユニットと、を備えていてもよい。制御ユニットは、第1の被処理物群と第2の被処理物群の分類結果に基づいて、ストッパを動作させて第1の被処理物群と第2の被処理物群の間にストッパを配置させてもよい。上記の構成によれば、ストッパが動作すると、第1の被処理物群と第2の被処理物群の一方はストッパにより搬送方向の移動が禁止され、第1の被処理物群と第2の被処理物群の他方はストッパより下流(搬送方向)に向かって移動することになる。このため、複数の被処理物を、第1の被処理物群と第2の被処理物群に分類(分離)することができる。これにより、第1の被処理物群と第2の被処理物群を別々に安定して第2搬送ローラ装置に向けて搬送することができる。
【0014】
本明細書に開示する技術の第5の態様では、上記の第4の態様において、検出器は、列方向にレーザを照射可能な透過型光電センサであってもよい。上記の構成によれば、簡素な構成により、第1搬送ローラ装置の高速部における複数の被処理物の配置を検出することができる。
【0015】
本明細書に開示する技術の第6の態様では、上記の第1から第5の態様のいずれか1つにおいて、第1搬送ローラ装置は、その内部が雰囲気ガスで満たされたフード内に配置されていてもよい。第2搬送ローラ装置は、雰囲気ガスを空気に置換する置換室内に配置されていてもよい。上記の構成によれば、被処理物を安定して置換室に向けて搬送することができる。
【0016】
本明細書に開示する技術の第7の態様では、上記の第1から第6の態様のいずれか1つにおいて、搬送装置は、ストッパよりも下流側に配置されており、搬送方向を第1方向から第1方向に略直交する第2方向に変更する第1ターン装置をさらに備えていてもよい。上記の構成によれば、搬送装置が第1方向に大型化することを抑制することができる。
【0017】
本明細書に開示する技術の第8の態様では、上記の第7の態様において、第1ターン装置は、第1方向に2個の被処理物を並べて配置可能であって、複数の被処理物が第2方向に搬送される搬送通路を備えていてもよい。上記の構成によれば、2個の被処理物が、搬送方向に並んだ状態で第1搬送ローラ装置から第1ターン装置に搬送されても、搬送方向に並んだ2個の被処理物が第1ターン装置から脱落することを抑制することができる。
【0018】
本明細書に開示する技術の第9の態様では、上記の第8の態様において、第1方向における搬送通路の幅は、長手方向における被処理物の幅の3倍以下であってもよい。上記の構成によれば、第1ターン装置が第1方向に大型化することを抑制しつつ、搬送方向に並んだ2個の被処理物が第1ターン装置の搬送通路から脱落することを抑制することができる。
【0019】
本明細書に開示する技術の第10の態様では、上記の第7から第9の態様のいずれか1つにおいて、搬送装置は、第1ターン装置よりも下流側に配置されており、搬送方向を第2方向から、第2方向に略直交すると共に第1方向と反対となる第3方向に変更する第2ターン装置と、第2ターン装置の搬送通路上に、第2方向に複数の被処理物を並べて整列させる整列装置と、をさらに備えていてもよい。上記の構成によれば、複数の被処理物が第2方向に整列された状態で、複数の被処理物を第3方向に搬送することができる。
【0020】
(第1実施例)
図1に示す第1実施例の搬送装置10は、複数の被処理物2を搬送するように構成されている。搬送装置10は、複数の被処理物2を熱処理するための熱処理システム100で用いられる。まず、熱処理システム100を説明する。熱処理システム100は、熱処理炉110と、搬送装置10と、を備えている。
【0021】
熱処理炉110は、複数の匣鉢4内に収容された被処理物本体6を熱処理する。本実施例では、匣鉢4と、被処理物本体6と、を合わせて被処理物2という。匣鉢4は、略直方体形状の箱形状を有する。被処理物本体6は、例えば、セラミックス製の誘電体と電極を積層した積層体、および、リチウムイオン電池の正極材と負極材である。
【0022】
熱処理炉110は、炉体112と、複数のヒータ114と、を備えている。炉体112は、X方向に延びる略直方体形状を有する。炉体112は、炉体112の一端に配置される入口116と、炉体112の他端に配置される出口118と、を備えている。また、炉体112は、内部に熱処理空間120を画定している。熱処理空間120は、雰囲気ガスで満たされている。雰囲気ガスは、例えば、酸素ガス、不活性ガス(例えば窒素ガス)である。熱処理空間120は、入口116と出口118を介して、炉体112の外部の空間と連通している。複数の被処理物2は、搬送装置10に搬送されて熱処理空間120を搬送方向D1に移動する。
【0023】
複数のヒータ114は、熱処理空間120に配置されている。複数のヒータ114は、X方向に略等間隔に並んで配置されている。ヒータ114は、発熱することにより、熱処理空間120を加熱する。これにより、熱処理空間120内を移動する間に、被処理物2(詳細には、匣鉢4内に収容された被処理物本体6)が熱処理される。
【0024】
図2に示すように、搬送装置10は、熱処理搬送ローラ装置12と、切り離し搬送ローラ装置14と、ストッパ前搬送ローラ装置16と、第1ストッパ18と、第1検出器20(図4参照)と、第1ターン装置22と、置換室搬送ローラ装置24と、置換室後搬送ローラ装置26と、第2検出器27(図6参照)と、切り離しローラ装置28と、第2ストッパ30と、整列台ローラ装置32と、整列装置34と、第2ターン入口装置36と、第2ターン装置38と、第3検出器40(図6参照)と、第4検出器41(図6参照)と、冷却搬送ローラ装置42と、制御ユニット44(図1参照)と、を備えている。制御ユニット44は、駆動装置45(図1参照)を制御することにより、熱処理搬送ローラ装置12と、切り離し搬送ローラ装置14と、ストッパ前搬送ローラ装置16と、第1ターン装置22と、置換室搬送ローラ装置24と、置換室後搬送ローラ装置26と、切り離しローラ装置28と、整列台ローラ装置32と、第2ターン入口装置36と、第2ターン装置38と、冷却搬送ローラ装置42の動作を制御する。
【0025】
図1および図3に示すように、熱処理搬送ローラ装置12は、炉体112の入口116近傍から、熱処理空間120を通って炉体112の出口118の近傍まで延びている。熱処理搬送ローラ装置12は、その両端が回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、熱処理搬送ローラ装置12の搬送通路12aを、入口116から出口118に向かって移動する。このとき、複数の被処理物2は、搬送方向D1に所定の間隔で並べられた状態で、入口116から熱処理空間120に連続して搬入される。複数の被処理物2が搬送通路12aを移動するとき、搬送方向D1は、+X方向と略同一である。また、複数の被処理物2は、搬送通路12a上で列方向D2に所定数(本実施例では6個)並べられた状態で、入口116から熱処理空間120に搬入される。列方向D2は、搬送方向D1に略直交しており、複数の被処理物2が搬送通路12aを移動するとき、Y方向と略同一である。複数の被処理物2は、列方向D2における搬送通路12aの中央部分に載置される。熱処理空間120に搬入された複数の被処理物2は、熱処理空間120内を搬送方向D1に移動して、出口118から熱処理空間120の外部に搬出される。
【0026】
図2に示すように、切り離し搬送ローラ装置14は、熱処理搬送ローラ装置12よりも搬送方向D1における下流側に配置されている。切り離し搬送ローラ装置14は、X方向に延びている。切り離し搬送ローラ装置14は、ストッパ前搬送ローラ装置16と、第1ストッパ18と、第1検出器20(図4参照)と、第1ターン装置22とともに、フード46内に配置されている。図2では、フード46が破線で図示されている。フード46内には、雰囲気ガスが満たされている。雰囲気ガスは、例えば、酸素ガス、不活性ガス(例えば窒素ガス)である。フード46内の雰囲気ガスは、炉体112内の雰囲気ガスと同一である。
【0027】
図4に示すように、切り離し搬送ローラ装置14は、その両端が回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、切り離し搬送ローラ装置14の搬送通路14a上を搬送方向D1に移動する。複数の被処理物2が搬送通路14aを移動しているとき、搬送方向D1は、+X方向と略同一である。図4では、熱処理炉110への搬入時に列方向D2に並んでいた6個の被処理物2に、一方の端部の被処理物2から他方の端部の被処理物2に向けて、順番に符号A、B、C、D、E、Fが付されている。切り離し搬送ローラ装置14は、低速部50と、増速部52と、高速部54と、を備えている。上流から下流に向かって、低速部50と、増速部52と、高速部54が順番に並んでいる。
【0028】
低速部50の複数のローラは、熱処理搬送ローラ装置12の複数のローラの回転速度と略同一の速度で回転する。このため、低速部50は、熱処理炉110からの複数の被処理物2の搬出速度と略同一の搬送速度で、複数の被処理物2を搬送する。
【0029】
増速部52は、複数の被処理物2の搬送速度を段階的に増加させる。増速部52は、第1増速部56と、第2増速部58と、を備えている。上流から下流に向かって、第1増速部56と第2増速部58が順番に並んでいる。第1増速部56の複数のローラは、低速部50のローラの回転速度よりも高い速度で回転する。このため、第1増速部56は、低速部50での搬送速度よりも高い第1速度で、複数の被処理物2を搬送する。第1速度は、低速部50での搬送速度の1倍よりも大きく、かつ10倍以下であり、好ましくは2倍以上かつ4倍以下である。第2増速部58の複数のローラは、第1増速部56のローラの回転速度よりも高い速度で回転する。このため、第2増速部58は、第1増速部56での第1速度よりも高い第2速度で、複数の被処理物2を搬送する。第2速度は、低速部50での搬送速度の3倍以上かつ30倍以下であり、好ましくは5倍以上かつ20倍以下である。
【0030】
高速部54の複数のローラは、第2増速部58のローラの回転速度よりも高い速度で回転する。このため、高速部54は、第2増速部58での第2速度よりも高い切り離し速度で、複数の被処理物2を搬送する。切り離し速度は、低速部50での搬送速度の3倍以上かつ30倍以下であり、好ましくは10倍以上30倍以下である。搬送方向D1における高速部54の長さは、搬送方向D1における低速部50と増速部52の長さの合計よりも長い。複数の被処理物2が切り離し搬送ローラ装置14を通過すると、搬送方向D1における複数の被処理物2の間隔、例えば、符号Aが付された前列の被処理物2(先に搬入された被処理物2)と符号Aが付された後列の被処理物2(後に搬入された被処理物2)との間隔は、熱処理炉110の入口116への搬入時の間隔よりも広がる。即ち、符号Aが付された前列の被処理物2がまず増速部52に到達して増速部52で搬送されても、符号Aが付された後列の被処理物2は低速部50で搬送されている。この結果、両者の間隔が広がる。また、同様に、Y方向に隣接する複数の被処理物2の搬送方向D1における間隔、例えば、符号Aが付された被処理物2と符号Bが付された被処理物2との間の搬送方向D1における間隔は、熱処理炉110の出口118からの搬出時の間隔よりも広がる。これらにより、複数の被処理物2は、搬送方向D1に並ぶ被処理物群に分割される。なお、被処理物2の搬送速度は、第1増速部56と第2増速部58と高速部54により徐々に加速されるため、被処理物2とローラとの間に滑りが発生することを抑制し、被処理物2の搬送速度を安定して増速することができる。
【0031】
ストッパ前搬送ローラ装置16は、切り離し搬送ローラ装置14よりも下流側に配置されている。ストッパ前搬送ローラ装置16は、その両端が回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、ストッパ前搬送ローラ装置16の搬送通路16a上を搬送方向D1に移動する。複数の被処理物2が搬送通路16aを移動しているとき、搬送方向D1は、+X方向と略同一である。ストッパ前搬送ローラ装置16の複数のローラは、高速部54のローラの回転速度と同一の速度で回転する。このため、ストッパ前搬送ローラ装置16は、切り離し速度で複数の被処理物2を搬送する。
【0032】
第1ストッパ18は、ストッパ前搬送ローラ装置16よりも下流側であって、第1ターン装置22よりも上流側に配置されている。第1ストッパ18は、ストッパ前搬送ローラ装置16の搬送通路16aの幅方向(Y方向)に延びる平板形状を有する。Y方向に関して、第1ストッパ18の長さは、ストッパ前搬送ローラ装置16の長さよりも長い。第1ストッパ18は、通過禁止位置と通過許容位置との間を+Z方向と-Z方向に移動する。第1ストッパ18が通過禁止位置に位置するとき、第1ストッパ18は、ストッパ前搬送ローラ装置16と第1ターン装置22との間を搬送方向D1に塞ぐように配置される。このため、複数の被処理物2は、ストッパ前搬送ローラ装置16の搬送通路16aを通過するときに第1ストッパ18に当接することにより、搬送通路16a上に留まり、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動することができない。即ち、第1ストッパ18は、搬送方向D1に隣接する被処理物群の間に配置される。この状態では、第1ストッパ18よりも上流側では、第1ストッパ18により移動を禁止された被処理物2と、その上流を搬送される被処理物2との搬送方向D1の間隔は短くなる。一方、第1ストッパ18が通過許容位置に位置するとき、第1ストッパ18は、ストッパ前搬送ローラ装置16と第1ターン装置22のそれぞれから、-Z方向に離れて配置される。このとき、第1ストッパ18は、ストッパ前搬送ローラ装置16と第1ターン装置22との間を搬送方向D1に塞がない。このため、第1ストッパ18により移動を禁止された被処理物2は、第1ターン装置22に移動することができ、また、ストッパ前搬送ローラ装置16を搬送される複数の被処理物2は、第1ストッパ18に当接することなく、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動することができる。
【0033】
第1検出器20は、切り離し搬送ローラ装置14の搬送通路14aの幅方向(Y方向)に高速部54を挟むように配置されている。第1検出器20は、高速部54での複数の被処理物2の配置を検出する。第1検出器20は、例えば、Y方向にレーザを照射可能な透過型光電センサである。変形例では、第1検出器20は、透過型光電センサに限られず、例えば、位置センサ、CCDセンサ、またはCMOSセンサであってもよい。第1検出器20が透過型光電センサであるとき、第1検出器20は、投光器20aと、受光器20bと、を備えている。投光器20aは、制御ユニット44に制御されて、+Y方向にレーザを照射する。被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間にあるとき、受光器20bは、投光器20aから照射されたレーザを受光することができない。一方、被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間にないとき、受光器20bは、投光器20aから照射されたレーザを受光することができる。受光器20bでのレーザの検出結果は、制御ユニット44に送信される。
【0034】
第1ターン装置22の詳細を説明する前に、複数の被処理物2を第1ターン装置22に搬送する流れを説明する。図1に示すように、複数の被処理物2は、炉体112の入口116から熱処理空間120に搬入され、炉体112の出口118から切り離し搬送ローラ装置14に搬出される。複数の被処理物2は、熱処理空間120内の熱処理搬送ローラ装置12のローラ上を移動している間、例えば、ローラの撓みや反りにより、列方向D2に並べられた被処理物2の間で搬送速度が相違したり、各被処理物2が蛇行したりすることがある。これにより、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2は、熱処理空間120への搬入前には、列方向D2(Y方向)に一列に並んでいたものの、図4に示すように、熱処理空間120からの搬出後には、列方向D2(Y方向)に一列に並んでいないことがある。即ち、熱処理空間120からの搬出後では、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔が、熱処理空間120への搬入前における6個の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔よりも広がり、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2の搬送方向D1における位置関係が乱れる。また、前列の6個の被処理物2と後列の6個の被処理物2との間の搬送方向D1における間隔が、熱処理空間120への搬入前と熱処理空間120からの搬出後で変化することがある。また、被処理物2が蛇行することにより、被処理物2の間の列方向D2における間隔が変化し、さらに、被処理物2の姿勢が、熱処理空間120への搬入前と熱処理空間120からの搬出後で変化することがある。
【0035】
6個の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔が広がった状態で、6個の被処理物2は、搬送通路14a上を、低速部50、第1増速部56、第2増速部58、高速部54を順番に移動する。搬送速度が、第1増速部56、第2増速部58、高速部54の順番に高くなるため、6個の被処理物2が第1増速部56、第2増速部58、高速部54を順番に通過するにつれて、6個の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔がさらに長くなる。また、搬送方向D1に隣接する2個の被処理物2の間隔、例えば、符号Aで示される前列の被処理物2と符号Aで示される後列の被処理物2の間隔が長くなる。これらにより、6個の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔と、搬送方向D1に並ぶ各列の6個の被処理物2の間の間隔を安定して広げることができる。
【0036】
被処理物2は、高速部54上で投光器20aと受光器20bとの間を通過する。このとき、投光器20aから照射されたレーザが被処理物2に遮られることにより、受光器20bは、レーザを受光しない。したがって、受光器20bでレーザ光が受光されたとき、第1検出器20よりも下流側を搬送される複数の被処理物2と、第1検出器20よりも上流側を搬送される複数の被処理物2の間に間隔が形成されていることになる。また、受光器20bでレーザ光を受光していない時間を計測することにより、第1検出器20よりも上流側の被処理物2と下流側の被処理物2の間の間隔(距離)を計測することができる。制御ユニット44は、受光器20bがレーザを受光していないか否かを判断することにより、高速部54での複数の被処理物2の配置を検出し、高速部54を搬送される複数の被処理物2を、所定数以下(例えば、6個以下)の被処理物2により構成される被処理物群(被処理物2の集合体)に分類(分離)する。図4に示される複数の被処理物2の配置を例に挙げて、説明する。
【0037】
まず、符号Aで示される被処理物2と、符号Bで示される被処理物2と、符号Dで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を搬送方向D1に順番に通過する。符号A、B、Dで示される被処理物2が少なくとも部分的にY方向に重なり合っているため、符号A、B、Dで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過している間、レーザは、被処理物2に遮られ、受光器20bに受光されない。符号Dで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過すると、次に、符号Eで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を搬送方向D1に通過する。符号D、Eで示される被処理物2は、Y方向に重なり合っていないため、符号Dで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過してから、符号Eで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過するまでの間、レーザは、被処理物2により遮られず、受光器20bに受光される。制御ユニット44は、レーザが受光器20bに受光されたことを検知すると、レーザが受光器20bに受光されていない間に投光器20aと受光器20bとの間を通過した複数の被処理物2(即ち、符号A、B、Dで示される被処理物2)を、第1の被処理物群GP1に分類する。第1の被処理物群GP1の被処理物2の個数は、熱処理空間120への搬入前に列方向D2に並んだ被処理物2の個数(即ち、6個)よりも少ない。
【0038】
符号Eで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過すると、次に、符号Fで示される被処理物2と符号Cで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を搬送方向D1に順番に通過する。さらに、符号Aで示される後列の被処理物2も、投光器20aと受光器20bとの間を搬送方向D1に通過する。符号E、F、C、Aで示される被処理物2は、少なくとも部分的にY方向に重なり合っているため、符号E、F、C、Aで示される被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過している間、レーザは、被処理物2に遮られ、受光器20bに受光されない。符号Aで示される後列の被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過すると、次に、符号Bで示される後列の被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を搬送方向D1に通過する。符号A、Bで示される後列の被処理物2は、Y方向に重なり合っていないため、符号Aで示される後列の被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過してから、符号Bで示される後列の被処理物2が投光器20aと受光器20bとの間を通過するまでの間、レーザは、被処理物2により遮られず、受光器20bに受光される。制御ユニット44は、レーザが受光器20bに受光されたことを検知すると、レーザが受光器20bに受光されていない間に投光器20aと受光器20bとの間を通過した複数の被処理物2(即ち、符号E、F、Cで示される被処理物2と符号Aで示される後列の被処理物2)を、第2の被処理物群GP2に分類する。第2の被処理物群GP2の被処理物2の個数は、熱処理空間120への搬入前に列方向D2に並んだ被処理物2の個数よりも少ない。制御ユニット44は、搬送装置10が動作している間、上記の処理を連続して実行する。
【0039】
第1の被処理物群GP1がストッパ前搬送ローラ装置16まで到達すると、制御ユニット44は、第1ストッパ18を、通過禁止位置から通過許容位置に移動させる。これにより、第1の被処理物群GP1は、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動し、第1ターン装置22上を移動する。制御ユニット44は、第1の被処理物群GP1が第1ターン装置22に移動したと判断すると(例えば、図示省略の検出装置により検出すると)、第1ストッパ18を、通過許容位置から通過禁止位置に移動させる。これにより、第1ストッパ18は、分割された第1の被処理物群GP1と、隣接する第2の被処理物群GP2との間に配置される。このため、第2の被処理物群GP2は、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動することができない。なお、制御ユニット44は、第1ストッパ18が通過許容位置に位置している間、低速部50の複数のローラと、第1増速部56の複数のローラと、第2増速部58の複数のローラと、高速部54の複数のローラを停止する。制御ユニット44は、第1の被処理物群GP1が第1ターン装置22を通過したと判断すると(例えば、第1ストッパ18が通過禁止位置に移動してから所定時間経過したと判断すると)、第1ストッパ18を、通過禁止位置から通過許容位置に移動させる。これにより、第2の被処理物群GP2は、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動し、第1ターン装置22上を移動する。これにより、第1の被処理物群GP1と第2の被処理物群GP2が別々に安定して第1ターン装置22に搬送される。
【0040】
次に、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2が、熱処理空間120からの搬出後にも、列方向D2(Y方向)に一列に並んでいる場合を説明する。このとき、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2は、搬送通路14a上を、低速部50、第1増速部56、第2増速部58、高速部54を順番に移動しても、列方向D2に一列に並んでいる。このため、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2は、投光器20aと受光器20bとの間を略同時に通過する。この結果、制御ユニット44は、符号A、B、C、D、E、Fで示される6個の被処理物2を、第1の被処理物群GP1に分類する。また、制御ユニット44は、符号A、B、C、D、E、Fで示される後列の6個の被処理物2を、第2の被処理物群GP2に分類する。なお、第1の被処理物群GP1の被処理物2の個数と、第2の被処理物群GP2の被処理物2の個数は、それぞれ、熱処理空間120への搬入前に列方向D2に並んだ被処理物2の個数(即ち、6個)と同一である。その後、第1の被処理物群GP1と第2の被処理物群GP2が順番に、ストッパ前搬送ローラ装置16から第1ターン装置22に移動する。
【0041】
次に、第1ターン装置22を説明する。第1ターン装置22は、第1ストッパ18よりも下流側に配置されている。第1ターン装置22は、複数の被処理物2の搬送方向D1を、+X方向から、X方向に直交する-Y方向に変更する。これにより、搬送装置10がX方向に大型化することが抑制される。また、第1ターン装置22は、その両端が回転可能に支持された複数の第1ローラと、その両端が回転可能に支持された複数の第2ローラと、を備えている。複数の被処理物2は、回転する複数の第1ローラにより搬送され、搬送通路22a上を+X方向に移動するとともに、回転する複数の第2ローラにより搬送され、第1ターン装置22の搬送通路22a上を搬送方向D1(-Y方向)に移動する。
【0042】
図5に示すように、搬送方向D1に直交する搬送通路22aの幅方向(X方向)に関して、搬送通路22aの幅W1は、被処理物2の長手方向の幅W2の2倍以上かつ3倍以下である。これにより、被処理物2の長手軸が搬送通路22aの幅方向に対して傾いているとき、例えば、傾斜角度が45度であり、かつ、2個の被処理物2が搬送方向D1(X方向)に並んだ状態で搬送通路22aに移動しても、2個の被処理物2は、搬送通路22a上にX方向に並んで配置可能であり、搬送通路22aから脱落しない。また、搬送通路22aの幅W1は、ストッパ前搬送ローラ装置16のX方向の幅よりも大きい。
【0043】
図2に示すように、置換室搬送ローラ装置24は、第1ターン装置22よりも下流側に配置されている。置換室搬送ローラ装置24は、Y方向に延びている。置換室搬送ローラ装置24は、その両端が回転可能に支持された複数のローラ(図6参照)を備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、置換室搬送ローラ装置24の搬送通路24a上を搬送方向D1(-Y方向)に移動する。また、置換室搬送ローラ装置24は、第1ターン装置22による複数の被処理物2の搬送速度と同一の速度で、複数の被処理物2を搬送する。搬送通路24aの幅(X方向の寸法)は、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1と略同一である。また、置換室搬送ローラ装置24は、置換室62に配置されている。図2では、置換室62が破線で図示されている。置換室62は、雰囲気ガスを空気に置換する。
【0044】
置換室後搬送ローラ装置26は、置換室搬送ローラ装置24よりも下流側に配置されている。置換室後搬送ローラ装置26は、Y方向に延びている。置換室後搬送ローラ装置26は、その両端が回転可能に支持された複数のローラ(図6参照)を備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、置換室後搬送ローラ装置26の搬送通路26a上を搬送方向D1(-Y方向)に移動する。また、置換室後搬送ローラ装置26は、第1ターン装置22による複数の被処理物2の搬送速度と同一の速度で、複数の被処理物2を搬送する。搬送通路26aの幅(X方向の寸法)は、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1と略同一である。
【0045】
図6に示すように、第2検出器27は、置換室後搬送ローラ装置26の近傍に配置されている。例えば、第2検出器27は、置換室後搬送ローラ装置26よりも+X側または-X側に配置されていてもよく、置換室後搬送ローラ装置26よりも+Z側に配置されていてもよい。第2検出器27は、置換室後搬送ローラ装置26の搬送通路26a上の被処理物2の位置を検出する。第2検出器27は、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラである。
【0046】
切り離しローラ装置28は、置換室後搬送ローラ装置26よりも下流側に配置されている。切り離しローラ装置28は、第1切り離しローラ装置64と、第2切り離しローラ装置66と、を備えている。第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66は、Y方向に並んでいる。第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66は、回転可能に支持された複数のローラ(図6参照)を備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、第1切り離しローラ装置64の搬送通路64a上と、第2切り離しローラ装置66の搬送通路66a上のそれぞれを搬送方向D1(-Y方向)に移動する。また、第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66は、置換室後搬送ローラ装置26による複数の被処理物2の搬送速度の1.5倍以上かつ5倍以下の速度で、複数の被処理物2を搬送する。第1切り離しローラ装置64の複数のローラと、第2切り離しローラ装置66の複数のローラは、それぞれ独立して動作する。搬送通路64aの幅(X方向の寸法)と搬送通路66aの幅(X方向の寸法)のそれぞれは、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1と略半分である。
【0047】
第2ストッパ30は、切り離しローラ装置28よりも下流側であって、整列台ローラ装置32よりも上流側に配置されている。第2ストッパ30は、第2左ストッパ68と、第2右ストッパ70と、を備えている。第2左ストッパ68は、第1切り離しローラ装置64と整列台ローラ装置32との間に配置されている。第2右ストッパ70は、第2切り離しローラ装置66と整列台ローラ装置32との間に配置されている。第2左ストッパ68と第2右ストッパ70は、通過禁止位置と通過許容位置との間を+Z方向と-Z方向に移動する。第2左ストッパ68と第2右ストッパ70は、独立して動作する。第2左ストッパ68と第2右ストッパ70が通過禁止位置に位置するとき、第2左ストッパ68は、第1切り離しローラ装置64と整列台ローラ装置32との間を搬送方向D1に塞ぐように配置され、第2右ストッパ70は、第2切り離しローラ装置66と整列台ローラ装置32との間を搬送方向D1に塞ぐように配置される。このため、複数の被処理物2は、第2左ストッパ68と第2右ストッパ70の一方に当接することにより、搬送通路64a、66a上に留まり、切り離しローラ装置28から整列台ローラ装置32に移動することができない。一方、第2左ストッパ68と第2右ストッパ70が通過許容位置に位置するとき、第2左ストッパ68と第2右ストッパ70は、切り離しローラ装置28と整列台ローラ装置32のそれぞれから-Z方向に離れて配置される。このとき、第2左ストッパ68は、第1切り離しローラ装置64と整列台ローラ装置32との間を搬送方向D1に塞がず、第2右ストッパ70は、第2切り離しローラ装置66と整列台ローラ装置32との間を搬送方向D1に塞がない。このため、複数の被処理物2は、第2左ストッパ68に当接することなく、第1切り離しローラ装置64から整列台ローラ装置32に移動することができ、第2右ストッパ70に当接することなく、第2切り離しローラ装置66から整列台ローラ装置32に移動することができる。
【0048】
整列台ローラ装置32は、回転可能に支持されている複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、整列台ローラ装置32の搬送通路32a上を搬送方向D1(-Y方向)に移動する。また、整列台ローラ装置32は、第1ターン装置22による複数の被処理物2の搬送速度と同一の速度で、複数の被処理物2を搬送する。搬送通路32aの幅(X方向の寸法)は、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1と略同一である。
【0049】
整列装置34は、幅方向(X方向)に整列台ローラ装置32を挟むように配置されている。整列装置34は、可動部74と、固定部76と、を備えている。可動部74は、整列台ローラ装置32の搬送通路32a上を、+X方向と-X方向に移動可能である。固定部76は、可動部74に対して+X方向に配置されている。固定部76は、移動不可能である。
【0050】
第2ターン入口装置36は、整列台ローラ装置32よりも下流側に配置されている。第2ターン入口装置36は、回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送されて、第2ターン入口装置36の搬送通路36a上を搬送方向D1(-Y方向)に移動する。また、第2ターン入口装置36は、第1ターン装置22による複数の被処理物2の搬送速度と同一の速度で、複数の被処理物2を搬送する。搬送通路36aの幅(X方向の寸法)は、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1の略半分である。
【0051】
第2ターン装置38は、第2ターン入口装置36よりも下流側に配置されている。第2ターン装置38は、複数の被処理物2の搬送方向D1を、-Y方向から、Y方向に直交する-X方向に変更する。これにより、搬送装置10がY方向に大型化することが抑制される。搬送通路38aの幅(Y方向の寸法)は、切り離し搬送ローラ装置14の搬送通路14aの幅(Y方向の寸法)と略同一である。このため、搬送通路38aには、6個の被処理物2を、幅方向に一列に並べて配置することができる。変形例では、搬送通路38aの幅は、搬送通路14aの幅と異なっていてもよい。
【0052】
また、第2ターン装置38は、その両端が回転可能に支持された複数の第1ローラと、その両端が回転可能に支持された複数の第2ローラと、を備えている。複数の被処理物2は、回転する複数の第1ローラにより搬送され、第2ターン装置38の搬送通路38a上を-Y方向に移動するとともに、回転する複数の第2ローラにより搬送され、搬送通路38a上を-X方向に移動する。また、第2ターン装置38は、高速部54での切り離し速度よりも低い速度で、複数の被処理物2を搬送する。変形例では、第2ターン装置38による複数の被処理物2の搬送速度は、熱処理炉110からの複数の被処理物2の搬出速度よりも大きい。
【0053】
第3検出器40は、第2ターン入口装置36と第2ターン装置38との境界近傍に配置されている。第3検出器40は、例えば、X方向にレーザを照射可能な透過型光電センサである。変形例では、第3検出器40は、透過型光電センサに限られず、例えば、位置センサ、CCDセンサ、またはCMOSセンサであってもよい。第3検出器40は、被処理物2が第2ターン入口装置36と第2ターン装置38との境界を通過しているか否かを検出する。
【0054】
第4検出器41は、第2ターン装置38のY方向における遠位端38b近傍に配置されている。第2ターン装置38の遠位端38bは、第2ターン入口装置36から最も離反した位置に位置する端に対応する。第4検出器41は、例えば、X方向にレーザを照射可能な透過型光電センサである。変形例では、第4検出器41は、透過型光電センサに限られず、例えば、位置センサ、CCDセンサ、またはCMOSセンサであってもよい。第4検出器41は、被処理物2が第2ターン装置38の遠位端38b近傍に配置されているか否かを検出する。
【0055】
冷却搬送ローラ装置42は、第2ターン装置38よりも下流側に配置されている。冷却搬送ローラ装置42は、その両端が回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、冷却搬送ローラ装置42の搬送通路42a上を搬送方向D1(-X方向)に移動する。また、冷却搬送ローラ装置42は、第2ターン装置38による複数の被処理物2の搬送速度と同一の速度で、複数の被処理物2を搬送する。搬送通路42aの幅(Y方向の寸法)は、第2ターン装置38の搬送通路38aの幅と略同一である。
【0056】
冷却搬送ローラ装置42は、冷却室90に配置されている。図6では、冷却室90が破線で図示されている。冷却室90は、熱処理された被処理物2を冷却するように構成されている。複数の被処理物2は、搬送通路42a上を移動する間に冷却される。
【0057】
最後に、複数の被処理物2を、置換室後搬送ローラ装置26から冷却搬送ローラ装置42に搬送する流れを説明する。置換室搬送ローラ装置24により搬送された複数の被処理物2は、置換室後搬送ローラ装置26の搬送通路26a上を-Y方向に移動し、その後に、切り離しローラ装置28に移動する。被処理物2が、搬送通路26a上で第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66との境界よりも+X方向に位置しているとき、被処理物2は、第1切り離しローラ装置64の搬送通路64aに移動し、第2左ストッパ68に当接する。また、被処理物2が、搬送通路26a上で第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66との境界よりも-X方向に位置しているとき、被処理物2は、第2切り離しローラ装置66の搬送通路66aに移動し、第2右ストッパ70に当接する。また、第2検出器27は、制御ユニット44の制御により、搬送通路26a上での複数の被処理物2の位置を検出する。具体的には、第2検出器27は、被処理物2が、第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66との境界よりも+X方向と-X方向のいずれの方向に位置するかどうかを検出する。第2検出器27による検出結果は、制御ユニット44に送信される。以下では、2個の被処理物2がX方向に並んでおり、一方の被処理物2が第1切り離しローラ装置64に移動し、他方の被処理物2が第2切り離しローラ装置66に移動した場合を説明する。
【0058】
まず、制御ユニット44は、第2左ストッパ68を通過禁止位置から通過許容位置に移動させ、第1切り離しローラ装置64の複数のローラを回転させる。これにより、一方の被処理物2は、整列台ローラ装置32の搬送通路32aに移動する。次に、制御ユニット44は、可動部74を固定部76に向かって+X方向に移動させ、その後に-X方向に移動させて初期位置に復帰させる。これにより、一方の被処理物2は、可動部74と固定部76との間に挟まれ、一方の被処理物2の向きが所定の向きに調整される。可動部74が移動している間に、第2左ストッパ68が通過許容位置から通過禁止位置に復帰する。次に、制御ユニット44は、整列台ローラ装置32の複数のローラと、第2ターン入口装置36の複数のローラを回転させる。これにより、一方の被処理物2は、整列台ローラ装置32の搬送通路32aと、第2ターン入口装置36の搬送通路36aを順番に-Y方向に移動する。
【0059】
次に、制御ユニット44は、第2右ストッパ70を通過禁止位置から通過許容位置に移動させ、第2切り離しローラ装置66の複数のローラを回転させる。これにより、他方の被処理物2は、整列台ローラ装置32の搬送通路32aに移動する。次に、制御ユニット44は、可動部74を固定部76に向かって+X方向に移動させ、その後に-X方向に移動させて初期位置に復帰させる。これにより、他方の被処理物2は、第2右ストッパ70前から第2左ストッパ68前まで+X方向に移動し、その後に、可動部74と固定部76との間に挟まれ、他方の被処理物2の向きが所定の向きに調整される。可動部74が移動している間に、第2右ストッパ70が通過許容位置から通過禁止位置に復帰する。次に、制御ユニット44は、整列台ローラ装置32の複数のローラと、第2ターン入口装置36の複数のローラと、第2ターン装置38の複数の第1ローラを回転させる。これにより、他方の被処理物2は、整列台ローラ装置32の搬送通路32aと、第2ターン入口装置36の搬送通路36aと、第2ターン装置38の搬送通路38aを順番に-Y方向に移動する。
【0060】
第3検出器40は、被処理物2が移動しているとき、制御ユニット44の制御により、被処理物2が第2ターン装置38の搬送通路38aに移動し終えたか否かを検出している。第3検出器40による検出結果は、制御ユニット44に送信される。制御ユニット44が、受信した検出結果に基づいて、被処理物2を第2ターン入口装置36から第2ターン装置38に移動させる移動処理を繰り返すことにより、複数の被処理物2が、第2ターン装置38の搬送通路38aに載置される。また、最初に第2ターン装置38に移動した被処理物2は、移動処理が繰り返されることにより、第2ターン装置38の遠位端38bに向かって徐々に移動する。
【0061】
第4検出器41は、被処理物2が第2ターン装置38の遠位端38b近傍に配置されているか否かを検出している。なお、被処理物2が第2ターン装置38の遠位端38b近傍に配置されるとき、6個の被処理物2が、第2ターン装置38の搬送通路38aに載置されることとなる。第4検出器41による検出結果は、制御ユニット44に送信される。制御ユニット44は、被処理物2が第2ターン装置38の遠位端38b近傍に配置されていると判断すると、第2ターン装置38の複数の第2ローラを回転させる。これにより、6個の被処理物2は、-X方向に移動し、第2ターン装置38の搬送通路38aから冷却搬送ローラ装置42の搬送通路42aに移動する。6個の被処理物2は、搬送通路42aを移動している間に冷却される。
【0062】
(効果)
本実施例の搬送装置10は、列方向D2に6個(所定数の一例)並べた被処理物2を、搬送方向D1に所定の間隔で連続して熱処理炉110に搬入し、熱処理炉110内で熱処理された複数の被処理物2を熱処理炉110から搬送する。搬送装置10は、熱処理炉110から搬出された複数の被処理物2を、熱処理炉110から被処理物2を搬出するときの搬出速度よりも高い速度で搬送方向D1に搬送する切り離し搬送ローラ装置14(第1搬送ローラ装置の一例)と、切り離し搬送ローラ装置14よりも下流側に配置されている置換室搬送ローラ装置24(第2搬送ローラ装置の一例)と、切り離し搬送ローラ装置14よりも下流側であって、置換室搬送ローラ装置24よりも上流側に配置されており、搬送方向D1への被処理物2の移動を禁止する第1ストッパ18(ストッパの一例)と、を備えている。切り離し搬送ローラ装置14は、複数の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔を、熱処理炉110からの搬出時での複数の被処理物2の間の搬送方向D1における間隔よりも広い間隔に広げることで、複数の被処理物2を、6個または6個よりも少ない数の被処理物2を含む被処理物群GP1,GP2(被処理物群の一例)に分割する。
【0063】
上記の構成によれば、搬送方向D1における複数の被処理物2の位置関係が大きく乱れた状態で複数の被処理物2が熱処理炉110から搬出されたとしても、切り離し搬送ローラ装置14が搬出速度よりも高い速度で複数の被処理物2を搬送することにより、搬送方向D1における複数の被処理物2の間隔が広がる。即ち、先に搬出された被処理物2と、後に搬出された被処理物2との搬送方向D1の間隔が広がる。これにより、第1ストッパ18により先に搬出された被処理物群GP1の搬送方向D1への移動が禁止されても、先に搬出された被処理物群GP1と後に搬出された被処理物群GP2との間隔が無くなることを抑制することができる。この結果、搬送方向D1に隣接する被処理物群GP1、GP2を第1ストッパ18により分割し易くなり、被処理物2を安定して置換室搬送ローラ装置24に向けて搬送することができる。
【0064】
(対応関係)
本実施例では、整列台ローラ装置32と整列装置34と第2ターン入口装置36が、「整列装置」に対応する。
【0065】
(第2実施例)
図7を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。第2実施例では、搬送装置10は、第1実施例の整列台ローラ装置32と整列装置34を備えていない。また、第2実施例では、第2ストッパ30は、第2左ストッパ68と第2右ストッパ70に分かれていない。第2ストッパ30は、移動不可能である。第2ストッパは、通過禁止位置に固定されている。第2ストッパ30は、複数の被処理物2が切り離しローラ装置28から脱落することを抑制する。
【0066】
第2実施例では、複数の被処理物2は、回転する第2切り離しローラ装置66の複数のローラにより、搬送通路66aを-Y方向と+X方向の両方向に移動する。このため、被処理物2は、第2切り離しローラ装置66の搬送通路66a上にあるとき、複数のローラの回転により、搬送通路66aから第1切り離しローラ装置64の搬送通路64aに移動する。
【0067】
第2実施例では、搬送装置10は、整列装置174を備えている。整列装置174は、第1切り離しローラ装置64の搬送通路64a上の被処理物2を第2ターン入口装置36の搬送通路36a上に移動させる。整列装置174は、把持部176と、スライド部178と、を備えている。把持部176は、被処理物2を把持可能である。把持部176は、例えば、被処理物2を挟む一対のアームを備えている。把持部176は、スライド部178に回動可能に取り付けられている。把持部176は、被処理物2を把持した状態でスライド部178に対して回動することにより、被処理物2の向きを所定の向きに調整する。また、把持部176は、Z方向に移動可能にスライド部178に取り付けられている。スライド部178は、X方向とY方向に移動可能である。
【0068】
次に、整列装置174の動作を説明する。まず、制御ユニット44は、スライド部178を、第1切り離しローラ装置64の搬送通路64a上の被処理物2の直上まで移動させる。次に、制御ユニット44は、スライド部178に取り付けられた図示省略の検出器(例えばCCDカメラまたはCMOSカメラ)の検出結果に基づいて、被処理物2の向きに合わせて把持部176を回動させる。次に、制御ユニット44は、把持部176を-Z方向に移動させる。次に、制御ユニット44は、把持部176の一対のアームを閉じる。これにより、被処理物2が把持部176に把持される。次に、制御ユニット44は、把持部176を+Z方向に、スライド部178を-Y方向に、把持部176を-Z方向に順番に移動させる。これにより、被処理物2は、第2ストッパ30を超えて、第2ターン入口装置36の搬送通路36a上に移動する。制御ユニット44は、スライド部178が移動する間に、把持部176を所定の位置まで回動させる。これにより、被処理物2の向きが所定の向きに調整される。最後に、制御ユニット44は、把持部176の一対のアームを開く。これにより、被処理物2は、第2ターン入口装置36の搬送通路36a上に載置される。
【0069】
(対応関係)
本実施例では、切り離しローラ装置28と第2ターン入口装置36と整列装置174が、「整列装置」の一例である。
【0070】
(第3実施例)
図8を参照して、第3実施例を説明する。第3実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。第3実施例では、搬送装置10は、第1実施例の第2検出器27と、第2ストッパ30と、整列台ローラ装置32と、整列装置34と、第2ターン入口装置36と、第2ターン装置38と、第3検出器40と、を備えていない。また、第3実施例では、切り離しローラ装置28は、第1切り離しローラ装置64と第2切り離しローラ装置66に分かれていない。
【0071】
第3実施例では、搬送装置10は、冷却搬送ローラ装置入口部238と、整列装置274と、を備えている。冷却搬送ローラ装置入口部238は、冷却搬送ローラ装置42の上流側に(+X方向に)配置されている。冷却搬送ローラ装置入口部238は、その両端が回転可能に支持された複数のローラを備えている。複数の被処理物2は、回転する複数のローラにより搬送され、冷却搬送ローラ装置入口部238の搬送通路238a上を搬送方向D1(-X方向)に移動する。搬送通路238aの幅(Y方向の寸法)は、冷却搬送ローラ装置42の搬送通路42aの幅と略同一である。
【0072】
整列装置274は、切り離しローラ装置28よりも-Y方向であって、冷却搬送ローラ装置入口部238よりも+X方向に配置されている。整列装置274は、切り離しローラ装置28と冷却搬送ローラ装置入口部238と離れて配置されている。
【0073】
整列装置274は、ベース276と、アーム278と、を備えている。アーム278の基端は、回動軸RX周りを回動可能にベース276に取り付けられている。アーム278は、チャック(図示省略)を備えており、チャックは、アーム278の先端に位置しており、被処理物2を保持可能である。
【0074】
第4検出器41は、冷却搬送ローラ装置入口部238のY方向における近位端238b近傍に配置されている。冷却搬送ローラ装置入口部238の近位端238bは、切り離しローラ装置28に最も近い位置に位置する端に対応する。第4検出器41は、被処理物2が冷却搬送ローラ装置入口部238の近位端238b近傍に配置されているか否かを検出する。
【0075】
整列装置274の動作を説明する。制御ユニット44は、アーム278の先端が切り離しローラ装置28上の被処理物2の直上に位置するように、アーム278を、回動軸RX周りを切り離しローラ装置28に向かって回動させる。次に、制御ユニット44は、アーム278の先端に取り付けられている図示省略の検出器(例えばCCDカメラまたはCMOSカメラ)の検出結果に基づいて、被処理物2の向きに合わせてチャックを回動させる。次に、制御ユニット44は、チャックを操作する。これにより、被処理物2が、アーム278に把持される。次に、制御ユニット44は、アーム278の先端が冷却搬送ローラ装置入口部238の搬送通路238a上の所定の位置に位置するように、アーム278を、回動軸RX周りを冷却搬送ローラ装置入口部238に向かって回動させる。最後に、制御ユニット44は、アーム278のチャックを操作する。これにより、被処理物2は、冷却搬送ローラ装置入口部238の搬送通路238a上に載置される。なお、図8では、被処理物2がチャックから外されたときの被処理物2とアーム278が破線で図示されている。整列装置274による上記の動作が繰り返されると、6個の被処理物2が、搬送通路238a上に幅方向(Y方向)に並べられる。また、整列装置274による上記の動作が繰り返されると、6個の被処理物2は、冷却搬送ローラ装置入口部238の遠位端から近位端238bに向かって順番に並べられる。なお、冷却搬送ローラ装置入口部238の遠位端は、近位端238bと反対側の端である。
【0076】
6個の被処理物2が搬送通路238a上に載置されているとき、1個の被処理物2は、冷却搬送ローラ装置入口部238の近位端238b近傍に配置されている。制御ユニット44は、冷却搬送ローラ装置入口部238の近位端238b近傍に配置されていると判断すると、冷却搬送ローラ装置入口部238の複数のローラを回転させる。これにより、6個の被処理物2は、-X方向に移動し、冷却搬送ローラ装置入口部238の搬送通路238aから冷却搬送ローラ装置42の搬送通路42aに移動する。
【0077】
(対応関係)
本実施例では、整列装置274が、「整列装置」の一例である。
【0078】
(第4実施例)
図9を参照して、第4実施例を説明する。第4実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。第4実施例では、搬送装置10の各構成の配置が、第1実施例の搬送装置10の各構成の配置と異なる。
【0079】
第4実施例では、置換室搬送ローラ装置24が、第1ストッパ18よりも下流側であって、第1ターン装置22よりも上流側に配置されている。このため、複数の被処理物2は、ストッパ前搬送ローラ装置16から置換室搬送ローラ装置24に搬送される。複数の被処理物2は、置換室搬送ローラ装置24の搬送通路24a上を+X方向(搬送方向D1)に移動する。その後、複数の被処理物2は、置換室搬送ローラ装置24から第1ターン装置22に搬送される。
【0080】
また、置換室後搬送ローラ装置26は、第1ターン装置22よりも下流側に配置されている。このため、被処理物2は、第1ターン装置22から置換室後搬送ローラ装置26に搬送される。
【0081】
(変形例)
一実施形態では、制御ユニット44は、レーザが受光器20bに所定期間(例えば、1秒、2秒、または3秒)受光されていることを検知すると、レーザが受光器20bに受光されていない間に投光器20aと受光器20bとの間を通過した複数の被処理物2を、1つの被処理物群に分類してもよい。
【0082】
一実施形態では、増速部52は、第1増速部56と第2増速部58の一方のみを備えていてもよい。
【0083】
一実施形態では、切り離し搬送ローラ装置14は、増速部52を備えていなくてもよい。
【0084】
上記の実施例では、第1ターン装置22の搬送通路22aの幅W1は、被処理物2の長手方向の幅W2の3倍よりも大きくてもよい。このとき、3個以上の被処理物2が、搬送通路22a上にX方向に並んで配置されてもよい。この構成では、第2ストッパ30は、複数のストッパを備えており、そのストッパの個数は、搬送通路22a上にX方向に並んで配置される被処理物2の個数と同一であってもよい。
【0085】
一実施形態では、被処理物2が第2ターン入口装置36から第2ターン装置38に移動するとき、第2ターン入口装置36の複数のローラの動き方と、第2ターン装置38の複数の第1ローラの動き方は、実施例での動き方に限られない。例えば、制御ユニット44は、第3検出器40の検出結果により、被処理物2が第2ターン入口装置36と第2ターン装置38との境界を通過していない(即ち、被処理物2が境界を通過し終えた)と判断すると、第2ターン入口装置36の複数のローラと、第2ターン装置38の複数の第1ローラを停止させてもよい。このとき、被処理物2が第2ターン装置38の搬送通路38a上で停止する。
【0086】
一実施形態では、搬送装置10は、複数の第4検出器41を備えていてもよい。このとき、第4検出器41の個数は、第2ターン装置38の搬送通路38aまたは冷却搬送ローラ装置入口部238の搬送通路238aにY方向に並ぶ被処理物2の個数と同一であってもよい。この構成では、複数の第4検出器41により、各被処理物2が所定の位置に配置されているか否かが検出されてもよい。
【0087】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0088】
2 :被処理物
4 :匣鉢
6 :被処理物本体
10 :搬送装置
12 :熱処理搬送ローラ装置
14 :切り離し搬送ローラ装置
16 :ストッパ前搬送ローラ装置
18 :第1ストッパ
20 :第1検出器
22 :第1ターン装置
24 :置換室搬送ローラ装置
26 :置換室後搬送ローラ装置
27 :第2検出器
28 :切り離しローラ装置
30 :第2ストッパ
32 :整列台ローラ装置
34 :整列装置
36 :第2ターン入口装置
38 :第2ターン装置
40 :第3検出器
41 :第4検出器
42 :冷却搬送ローラ装置
44 :制御ユニット
46 :フード
50 :低速部
52 :増速部
54 :高速部
56 :第1増速部
58 :第2増速部
62 :置換室
90 :冷却室
100 :熱処理システム
110 :熱処理炉
116 :入口
118 :出口
120 :熱処理空間
174 :整列装置
238 :冷却搬送ローラ装置入口部
274 :整列装置
D1 :搬送方向
D2 :列方向
GP1 :第1の被処理物群
GP2 :第2の被処理物群
RX :回動軸
W1、W2:幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9