IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープディスプレイテクノロジー株式会社の特許一覧

特開2024-90750液晶パネル、3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090750
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】液晶パネル、3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240627BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240627BHJP
   G02B 30/24 20200101ALI20240627BHJP
   H04N 13/337 20180101ALI20240627BHJP
   H04N 13/341 20180101ALI20240627BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1345
G02F1/13 505
G02F1/13363
G02F1/1333
G02B30/24
H04N13/337
H04N13/341
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206834
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】米林 諒
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕平
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
2H199
2H291
5C061
【Fターム(参考)】
2H088EA07
2H088EA47
2H088HA02
2H088JA05
2H088JA10
2H088MA09
2H092GA13
2H092GA17
2H092GA37
2H092GA38
2H092GA50
2H092HA04
2H092NA05
2H092NA11
2H092QA06
2H092QA07
2H092RA01
2H189AA22
2H189AA35
2H189JA10
2H189JA14
2H189LA03
2H189LA04
2H189MA15
2H199BA03
2H199BA29
2H199BB14
2H199BB15
2H199BB42
2H199BB52
2H199BB59
2H291FA30Z
2H291FA81Z
2H291FB05
2H291GA04
2H291HA06
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA40
2H291MA01
2H291PA42
2H291PA44
2H291PA82
5C061AA02
5C061AB14
5C061AB16
5C061AB18
(57)【要約】
【課題】システム側への負荷を増やすことなく、ノイズを充分に低減することができる液晶パネル、並びに、該液晶パネルを備える3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置を提供する。
【解決手段】互いに隣接する複数の画素を有する液晶パネルであって、上記液晶パネルは、一対の基板間に、上記複数の画素の各々に対応して配置された複数の画素電極と、上記複数の画素電極の各々に重畳する複数の共通電極と、液晶層と、を備え、上記複数の共通電極は、互いに、平面視で開口部を介して隣接して配置され、上記開口部は、上記複数の画素電極間の境界に重畳して設けられており、上記複数の共通電極に同一信号を入力する入力手段を備える、液晶パネル
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する複数の画素を有する液晶パネルであって、
前記液晶パネルは、一対の基板間に、
前記複数の画素の各々に対応して配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極の各々に重畳する複数の共通電極と、
液晶層と、
を備え、
前記複数の共通電極は、互いに、平面視で開口部を介して隣接して配置され、
前記開口部は、前記複数の画素電極間の境界に重畳して設けられており、
前記複数の共通電極に同一信号を入力する入力手段を備えることを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記複数の共通電極が、前記液晶パネルの表示領域外で接続していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記複数の共通電極が、前記液晶パネルの額縁領域内で接続していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項4】
更に、フレキシブルプリント基板を備え、
前記複数の共通電極が、前記フレキシブルプリント基板内で接続していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項5】
更に、フレキシブルプリント基板と、駆動回路と、を備え、
前記複数の共通電極が、前記駆動回路内で接続していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記一対の基板間に、遮光部を更に備え、
前記遮光部は、平面視において、前記複数の共通電極と、前記開口部とに重畳して配置されており、
前記入力手段は、前記複数の共通電極と前記遮光部とに同一信号を入力する入力手段であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項7】
前記一対の基板間に、複数の補助電極を更に備え、
前記複数の補助電極は、互いに、平面視で第二の開口部を介して隣接して配置され、
前記第二の開口部は、前記複数の画素電極間の境界に重畳して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項8】
前記基板のうち一方の基板に、前記複数の画素電極が配置され、他方の基板に、前記複数の共通電極が配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の液晶パネルを備えることを特徴とする3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項10】
画像表示パネルと、請求項9に記載の3D映像表示用アクティブリターダとを備え、
前記画像表示パネルは、右眼用画像と左眼用画像を時間切替で順次表示することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載の液晶パネルを備えることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶パネル、3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを備える表示装置は、テレビ、携帯電話、PC用ディスプレイ等の様々な機器に広く普及している。このような表示装置は通常、一対の基板間に一対の電極と液晶層とを備える構成からなり、バックライトから光を照射し、液晶層に電圧を印加して液晶分子の配向を変化させることにより、液晶パネルを透過する光の量を制御している。
【0003】
表示装置には通常、高い表示品位が求められるが、特許文献1では、電極構造の工夫により、駆動電圧の極性が反転しても表示品位が劣化することを防ぐ技術が提案されている。具体的には、隣り合う第1共通電極と第2共通電極とを備え、かつこれらの電極間にスリットが設けられ、更に第1共通電極に重畳する画素電極と第2共通電極に重畳する画素電極とを備える表示装置において、例えば共通電極の1列おきに逆極性で極性反転駆動する技術が開示されている。
【0004】
ところで近年、多様な映像処理技術の発展に伴って3次元の立体映像(3D映像と称す)を具現する技術が開発されている。3D映像技術は、例えば、情報通信、放送、医療、教育、訓練、軍事、ゲーム、アニメーション、仮想現実、CAD、産業技術等、非常に多様な分野への応用が期待される。
【0005】
3D映像用の表示装置としては、眼鏡を用いる方式と眼鏡を用いない方式とが提案されている。眼鏡を用いる方式としては例えば、右目用画像と左目用画像とを高速に切り替えて表示し、これと同期して左眼と右眼とを交互に遮断するシャッター方式や、右目用画像と左目用画像との偏光状態を異ならせる偏光眼鏡方式等が挙げられる。近年では、後者の偏光眼鏡方式の一例として、右目用画像と左目用画像との偏光状態を時分割で切り替えるアクティブリターダを用いる方式が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-95106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図22は、アクティブリターダ方式の3D映像用の表示装置1000Rにより画像が観察される機構を説明する模式図である。表示装置1000Rは、観察面側(即ち偏光眼鏡4側)から、アクティブリターダ1R、画像表示パネル2R、及び、バックライト3(図示せず)を備える。画像表示パネル2Rに右目用画像と左目用画像とを時間切り替えで順次表示し、アクティブリターダ1Rでそれぞれの画像の偏向状態を制御している。観察者は、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1R側からの画像を視認する。偏光眼鏡4では、右目用画像R(G)の偏光光が右目側を透過し、左目用画像L(G)の偏光光が左目側を透過するように設計されており、これにより、観察者は3D表示を得ることができる。
【0008】
図23は、アクティブリターダ1R用の液晶パネル10R(比較形態の液晶パネル10Rと称す)を、観察面側から見たときの平面模式図である。図24は、図23中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図25は、図24においてノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を説明するための図である。図25では、電圧の波形を簡素化して記載している。図24及び図25では、図の上を観察面側とし、下を背面側とする。
【0009】
比較形態の液晶パネル10Rは、一対の基板121、122間に、複数の画素11、12の各々に対応する複数の画素電極111、112と、当該複数の画素電極に重畳する共通電極130Rと、液晶層140と、を備える(図24参照)。共通電極130Rは通常、基板121の全面に面状に配置された電極、即ちいわゆるベタ電極である(図23及び図24参照)。本願発明者が検討したところ、このような液晶パネル10Rでは、電極130Rが複数の画素電極111、112に対して共通であるため、画素に信号を書き込む(即ち充電する)際のノイズが隣接画素に伝搬することを見出した。即ち、ある画素の充電時に、一定の電位であって欲しい隣接画素にノイズが伝搬することを見出した(図25のaを参照)。ノイズが伝搬すると表示品位に影響するため、比較形態の液晶パネル10Rではこの点に課題を有する。
【0010】
ここで、アクティブリターダでは通常、一つの画素電極の大きさ(サイズ)は、表示領域の数分の一程度であり、画素の分割数に依存する。各画素電極は、共通電極との間で非常に大きな容量を持つ。画素を充電する際、共通電極の電位も、各画素電極との間の容量の大きさゆえに大きく変動してしまい、隣接画素の液晶印加電圧(液晶層に印加する電圧)が所望の値からずれてしまう。おそらくこれを原因として、上述したようにノイズが隣接画素に伝搬すると考えられる。
【0011】
特許文献1では、このようなノイズに関する技術課題が全く認識されていない。また特許文献1記載の表示装置は、隣り合う共通電極には異なる別信号を入力する構成となっている。それゆえ、システム側への負荷が大きいと推測される。
【0012】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、システム側への負荷を増やすことなく、ノイズを充分に低減することができる液晶パネル、並びに、該液晶パネルを備える3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の一実施形態は、互いに隣接する複数の画素を有する液晶パネルであって、上記液晶パネルは、一対の基板間に、上記複数の画素の各々に対応して配置された複数の画素電極と、上記複数の画素電極の各々に重畳する複数の共通電極と、液晶層と、を備え、上記複数の共通電極は、互いに、平面視で開口部を介して隣接して配置され、上記開口部は、上記複数の画素電極間の境界に重畳して設けられており、上記複数の共通電極に同一信号を入力する入力手段を備える、液晶パネル。
【0014】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記複数の共通電極が、上記液晶パネルの表示領域外で接続している、液晶パネル。
【0015】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記複数の共通電極が、上記液晶パネルの額縁領域内で接続している、液晶パネル。
【0016】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、更に、フレキシブルプリント基板を備え、上記複数の共通電極が、上記フレキシブルプリント基板内で接続している、液晶パネル。
【0017】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、更に、フレキシブルプリント基板と、駆動回路と、を備え、上記複数の共通電極が、上記駆動回路内で接続している、液晶パネル。
【0018】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記一対の基板間に、遮光部を更に備え、上記遮光部は、平面視において、上記複数の共通電極と、上記開口部とに重畳して配置されており、上記入力手段は、上記複数の共通電極と上記遮光部とに同一信号を入力する入力手段である、液晶パネル。
【0019】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、上記一対の基板間に、複数の補助電極を更に備え、上記複数の補助電極は、互いに、平面視で第二の開口部を介して隣接して配置され、上記第二の開口部は、上記複数の画素電極間の境界に重畳して設けられている、液晶パネル。
【0020】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記基板のうち一方の基板に、上記複数の画素電極が配置され、他方の基板に、上記複数の共通電極が配置される、液晶パネル。
【0021】
(9)また、本発明の他の実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)に記載の液晶パネルを備える、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0022】
(10)また、本発明の他の実施形態は、画像表示パネルと、上記(9)に記載の3D映像表示用アクティブリターダとを備え、上記画像表示パネルは、右眼用画像と左眼用画像を時間切替で順次表示する、表示装置。
【0023】
(11)また、本発明の他の実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)に記載の液晶パネルを備える、表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、システム側への負荷を増やすことなく、ノイズを充分に低減することができる液晶パネル、並びに、該液晶パネルを備える3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1等の液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図である。
図2図1中のp部を拡大した図である。
図3図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図4】実施形態1に関して、ノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を説明するための図である。
図5】実施形態1等の液晶パネルを観察面側から見たときの平面模式図であって、表示領域と額縁領域とを説明するための図である。
図6図1中のX1部を拡大した平面模式図である。
図7図1中のX1部を拡大した平面模式図である。
図8図1中のX2部を拡大した平面模式図である。
図9図1中のX3部を拡大した平面模式図である。
図10】実施形態1等のアクティブリターダの断面模式図である。
図11】実施形態1等の表示装置の断面模式図である。
図12】実施形態1等の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図13】実施形態1等の表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。
図14】実施形態2に関して、図1中のp部を拡大した図である。
図15】実施形態2に関して、図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図16】実施形態2に関して、ノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を検討した概念図である。
図17】実施形態3に関して、図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図18】実施形態3に関して、図1中のX1部を拡大した平面模式図、及び、当該形態を得るための概念図である。
図19】実施形態4の液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図である。
図20図19中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図21】実施形態4に関して、ノイズの伝搬を説明するための図である。
図22】従来のアクティブリターダ方式の3D映像用表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。
図23】比較形態の液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図である。
図24図23中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図25】比較形態に関して、ノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を検討した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0027】
位相差板とは、面内位相差Roの絶対値|Ro|と、厚み方向位相差(厚さ方向位相差とも称す)Rthの絶対値|Rth|とのいずれか一方が、10nm以上の値を有するものを意味する。好ましくは、20nm以上の値を有するものを意味する。
【0028】
面内位相差Roは、Ro=(ns-nf)dで定義される。
厚み方向位相差Rthは、Rth={nz-(nx+ny)/2}dで定義される。
nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。
nxは、位相差板の面内における遅相軸方向の主屈折率を表す。
nyは、位相差板の面内における進相軸方向の主屈折率を表す。
nzは、面外方向、即ち位相差板の面に対して垂直方向の主屈折率を表す。
dは、位相差板の厚みを表す。
主屈折率や位相差等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り、550nmとする。
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。
【0030】
以下の記載及び図面では、便宜上、液晶パネルが有する画素一単位が2つの画素(サブ画素)に分割された態様に基づいて説明する。だが、本発明の液晶パネルがこの態様のみに限定されないことは言うまでもなく、画素一単位が複数(即ち2つ以上)の画素に分割された態様であればよい。中でも、画素一単位に3つ又は4つの画素を含む態様が最も好適である。これらの態様の液晶パネルは、より具体的には、それぞれ下記(i)、(ii)のように記載することができる。
【0031】
(i)画素一単位中に3つの画素を有する液晶パネルであって、該液晶パネルは、一対の基板間に、該画素の各々に対応して配置された画素電極(即ち第一の画素電極、第二の画素電極及び第三の画素電極)と、該画素電極の各々に重畳する共通電極(即ち第一の共通電極、第二の共通電極及び第三の共通電極)と、液晶層と、を備え、該第一の共通電極、第二の共通電極及び第三の共通電極は、互いに、平面視で開口部を介して隣接して配置され、該開口部(即ち第一の共通電極と第二の共通電極との間の開口部、第二の共通電極と第三の共通電極との間の開口部、及び、第三の共通電極と第一の共通電極との間の開口部)はそれぞれ、第一の画素電極と第二の画素電極との間の境界、第二の画素電極と第三の画素電極との間の境界、及び、第三の画素電極と第一の画素電極との間の境界、に、重畳して設けられており、該第一の共通電極、第二の共通電極及び第三の共通電極に同一信号を入力する入力手段を備える、液晶パネル。
【0032】
(ii)画素一単位中に4つの画素を有する液晶パネルであって、該液晶パネルは、一対の基板間に、該画素の各々に対応して配置された画素電極(即ち第一の画素電極、第二の画素電極、第三の画素電極及び第四の画素電極)と、該画素電極の各々に重畳する共通電極(即ち第一の共通電極、第二の共通電極、第三の共通電極及び第四の共通電極)と、液晶層と、を備え、該第一の共通電極、第二の共通電極、第三の共通電極及び第四の共通電極は、互いに、平面視で開口部を介して隣接して配置され、該開口部はそれぞれ、該四つの画素電極間の境界それぞれに重畳して設けられており、該第一の共通電極、第二の共通電極、第三の共通電極及び第四の共通電極に同一信号を入力する入力手段を備える、液晶パネル。この形態では、例えば、第一の共通電極と第二の共通電極との間の開口部は、第一の画素電極と第二の画素電極との間の境界に重畳して設けられており、他の共通電極間の開口部も同様に、各共通電極に対応する画素電極間の境界に重畳して設けられている。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図である。図2は、図1中のp部を拡大した図である。図3は、図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図4は、図3においてノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を説明するための図である。図4では、電圧の波形を簡素化して記載している。図3及び図4では、図の上を観察面側とし、下を背面側とする。
【0034】
本実施形態の液晶パネル10は、互いに隣接する複数の画素を有する。上述の通り図面では、便宜上、画素一単位が第一の画素11及び第二の画素12を有する態様を記載している。液晶パネル10は、一対の基板121、122間に、第一の画素11に対応して配置された第一の画素電極111と、第二の画素12に対応して配置された第二の画素電極112と、第一の画素電極111に重畳する第一の共通電極131と、第二の画素電極112に重畳する第二の共通電極132と、液晶層140と、を備える。液晶層140と共通電極131、132との間、及び、液晶層140と画素電極111、112との間には、配向膜161、162がそれぞれ配置されている。
【0035】
このように本実施形態の液晶パネル10では、一対の基板のうち一方の基板(第二の基板122)に複数の画素電極111、112が配置され、他方の基板(第一の基板121)に複数の共通電極131、132が配置されている。本実施形態では、この画素電極と共通電極との間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで、表示が行われる。このような縦電界方式として、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード等が挙げられる。
【0036】
一対の基板121、122は、可視光に対して透明な基板であればよい。例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が好適である。本実施形態では、第一の基板121に、複数の共通電極131、132が配置され、第二の基板122に、複数の画素電極111、112が配置されている。
【0037】
第一の共通電極131及び第二の共通電極132は、互いに、平面視で開口部150を介して隣接して配置されている。これにより、開口部150を介して複数の共通電極131、132が互いに隣接しながらも、開口部150では当該共通電極131、132が互いに接続(つまり導通)していない構造が得られる(図3参照)。開口部150は、共通電極131、132がそれぞれ重畳する画素電極111、112間の境界に重畳して設けられる(図3参照)。
【0038】
本実施形態では例えば、面状の共通電極(ベタ状の共通電極)から、これと重畳する複数の画素電極間の境界に重畳する位置にあるパターンを取り除くことにより、開口部150を介して共通電極131、132が隣接した構造を得ることができる。特に、表示領域AA内の当該パターンを全て取り除くことで、平面視において、開口部150が、少なくとも表示領域AA内において、第一の共通電極131と第二の共通電極132との間の全範囲にわたり、連続したライン状に存在する構造が得られる(図1及び図2参照)。
【0039】
開口部150の平面視での大きさは、画素電極間の境界、即ち画素電極の不在部分(画素電極が存在しない部分を意味する。)に重畳する大きさであればよい。これにより、液晶層140等の他の層に与える影響が抑制されて、液晶パネル10としての機能に与える影響が軽微なものとなる。例えば、開口部150の幅が、0.1~1000μmであることが好ましい。より好ましくは10~100μmである。ここで、「開口部の幅」とは、平面視での幅であり、開口部150を挟む第一の共通電極131と第二の共通電極132との幅を意味し、図2中のx2の長さに該当する。
なお、上記影響を更に充分に抑制した形態を、実施形態3として後述する。
【0040】
画素電極111、112は、ITO(インジウムスズ酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電材料から構成される。画素電極111、112は通常、互いに隣接する2本のソース線と互いに隣接する2本のゲート線とに囲まれた各領域に配置され、薄膜トランジスタ(TFT)を備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続されている。
【0041】
共通電極131、132は、ITOやIZO等の透明導電材料から構成される。例えば、これらの透明導電材料からなる透明電極膜を既知のフォトリソグラフィ法によりパターニングすることで形成することができる。本実施形態では例えば、このようにして面状(ベタ状)の共通電極を形成した上で、この面状共通電極から、これと重畳する複数の画素電極間の境界に重畳する位置にあるパターンを取り除くことにより、面状共通電極を、複数の共通電極131、132に分割することができる。
【0042】
ここで、比較形態の液晶パネル10Rでは、図24及び図25に示すように、一対の基板121、122間に、ベタ状の共通電極130Rと、複数の画素11、12の各々に対応する複数の画素電極111、112とが、液晶層140を挟んで配置されている。即ち一般的なディスプレイと同様に、共通電極130Rが表示領域の全面に配置されており、本実施形態の液晶パネル10のように共通電極が分割されていない。このような液晶パネル10Rでは、例えば第一の画素11に信号を入力して充電することで、共通電極130Rに共通電位(基準電位)が供給され、第一の画素11に対応する第一の画素電極111と共通電極130Rとの間に電位差が生じる。この電位差に基づいて液晶層140が含む液晶分子の配向状態が変化し、これにより画素毎に所定の階調表示が行われる。この際、第一の画素電極111と共通電極130Rとの間の巨大な容量に起因して共通電位が変動し得るが、この変動が、第一の画素電極111に隣接する第二の画素電極112の直上部の共通電位にも影響する(図25のaを参照)。その結果、第二の画素12の液晶印加電圧(即ち液晶層140への印加電圧)にノイズが乗ることになり、表示品位が低下する。図25の下部に、第一の画素11を充電したときの、第一の画素11の液晶印加電圧V(11)及び第二の画素12の液晶印加電圧V(12)の波形図を示す。
【0043】
これに対し、本発明では、開口部150を設けることで、(I)画素境界を跨ぐ方向(図4中のa方向)の共通電位抵抗を上げるか又は(II)当該方向の導電部を取り払い回路的に開放することで、隣接画素へのノイズの伝搬が抑制している。即ち(I)共通電位抵抗を上げるか又は(II)回路的に開放することで、充電時にノイズが伝搬する経路の抵抗が上昇するか又は当該経路そのものが失われるため、隣接画素へのノイズの伝搬が抑制され、表示品位が向上する。中でも本実施形態は、(II)の形態に該当し、画素境界部に共通電極が存在しないため、ノイズ伝搬経路は表示領域内ではほぼ完全に失われている(このことを図4では「×」と示している。)。それゆえ、隣接画素へのノイズ抑制効果は極めて高い。なお、上記(I)のノイズ伝搬経路の共通電位抵抗を高めた形態を、実施形態2として後述する。一方、後述するように本発明では、共通電極131、132を完全に複数の信号に分割するわけではなく、駆動システム側から見れば信号は一つ(同一信号)のままであるため、システム側への負荷を増やすことがない。このように本発明は、システム側への負荷を増やすことなく、ノイズを充分に低減することができる。
【0044】
なお、一対の基板間に画素電極と共通電極と液晶層とを備え、画素電極と共通電極との間の印加電圧によって液晶層の配向状態を制御する構成の液晶パネルであれば、開口部150を設けることによる上記効果を発揮することができる。中でも特に、各画素電極が表示領域AAの数分の一程度の大きさであって、画素電極と共通電極との間の電気容量が大きい液晶パネルに、開口部150を設けること、即ち本発明を適用することが有用である。
【0045】
液晶パネル10は、複数の共通電極131、132に同一信号を入力する入力手段Xを備える。この入力手段Xは、液晶パネル10内外のいずれかの箇所で、複数の共通電極131、132を互いに接続させる手段である。言い換えれば、液晶パネル10は、液晶パネル10内外のいずれかの箇所で、複数の共通電極131、132が互いに接続した構造を有する。これにより、複数の共通電極131、132は同電位となる。このように本実施形態の液晶パネル10は、開口部150において共通電極を電気的に分割する一方で、共通電極を電気的に完全に分割するのではなく、液晶パネル10内外のいずれかの箇所で相互接続させる。中でも、液晶パネル10の表示領域外で、複数の共通電極131、132が互いに接続していることが好ましい。
【0046】
上記の信号とは、駆動信号を意味する。本実施形態では、いずれかの画素に信号を入力して充電する際、隣接画素は、その隣接画素を構成する画素電極と共通電極との間で所望の電位を保持しているものとする。この隣接画素には、外部からDC信号を入力し続けてもよいし、スイッチング素子により充電経路がオフしてフローティング状態となっていてもよい。
【0047】
液晶パネル10は、図5に示す通り、表示領域AAと、表示領域AAの外縁に配置された額縁領域BBとを有する。表示領域AAは、任意の画像等が表示される領域である。額縁領域BBは、表示領域AAの外縁に額縁状に配置された領域である。額縁領域BBは、光を透過しなくてもよい。図5は、液晶パネルを観察面側から見たときの平面模式図であって、表示領域と額縁領域とを説明するための図である。
【0048】
図6図9に、液晶パネル10の表示領域外で複数の共通電極131、132が互いに接続している態様の例を概念的に示す。図6及び図7は、複数の共通電極131、132が液晶パネル10の額縁領域BB内で接続している態様について、図1中のX1部を拡大した平面模式図である。図8は、液晶パネル10が更にフレキシブルプリント基板180を備え、複数の共通電極131、132が該フレキシブルプリント基板180内で接続している態様について、図1中のX2部を拡大した平面模式図である。図9は、液晶パネル10が更にフレキシブルプリント基板180と駆動回路181とを備え、複数の共通電極131、132が駆動回路181内で接続している態様について、図1中のX3部を拡大した平面模式図である。X1部は、液晶パネル10の表示領域AAと額縁領域BBとの境界周辺の位置であり、X2部は、液晶パネルの端部qの周辺の位置であり、X3部は、液晶パネル10の外側の位置であることを意味する。
【0049】
図6は、共通電極130が、表示領域AA内でのみ複数の共通電極131、132に分割された構造を示す。このような構造は例えば、面状共通電極(ベタ状共通電極)から、画素電極間の境界に重畳する位置のパターンを取り除く際に、液晶パネル10の表示領域AA内の当該パターンのみを取り除くことで、得ることができる。
【0050】
図7は、額縁領域BBに共通電極130が配置されており、共通電極130と第一の共通電極131とがコンタクトホール171を介して接続し、共通電極130と第二の共通電極132とがコンタクトホール172を介して接続した構造を示す。この構造では、第一の共通電極131と第二の共通電極132とが、額縁領域BBに配置された共通電極130を介して接続されている。
【0051】
図8は、液晶パネル10の端部qで液晶パネル10にフレキシブルプリント基板180が接続しており、このフレキシブルプリント基板180内の配線により、第一の共通電極131と第二の共通電極132とが短絡した構造を示す。表示領域AA内の第一の共通電極131と額縁領域BB内の第一の共通電極131とが、コンタクトホール171を介して接続しており、表示領域AA内の第二の共通電極132と額縁領域BB内の第二の共通電極132とが、コンタクトホール172を介して接続している。
【0052】
図9は、液晶パネル10の端部qで液晶パネル10にフレキシブルプリント基板180が接続し、このフレキシブルプリント基板180に更に駆動回路181が接続しており、この駆動回路181内の配線182により、第一の共通電極131と第二の共通電極132とが短絡した構造を示す。表示領域AA内の第一の共通電極131と額縁領域BB内の第一の共通電極131とが、コンタクトホール171を介して接続しており、表示領域AA内の第二の共通電極132と額縁領域BB内の第二の共通電極132とが、コンタクトホール172を介して接続している。
【0053】
フレキシブルプリント基板180は、信号伝送部材とも称され、通常、絶縁性と可撓性とを備える基材上に多数本の配線パターンが形成された構造を有する。駆動回路181は、フレキシブルプリント基板180によって伝送される各種信号を処理する部材であり、通常、内部に配線を備えるLSI(Large-Scale Integration)チップから構成される。図8及び図9では、フレキシブルプリント基板180内や駆動回路181内に存在し得る他の信号や配線を省略している。
【0054】
液晶層140と共通電極131、132との間、及び、液晶層140と画素電極111、112との間には、液晶層140に含まれる液晶分子の配向を制御する機能を有するための配向膜161、162がそれぞれ配置されている。
【0055】
配向膜161、162及び液晶層140は特に限定されず、通常の液晶表示装置において使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。液晶パネル10が更に有してもよいその他の各種部材等も特に限定されず、表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。
【0056】
以下では、本実施形態の液晶パネルを備える3D映像表示用アクティブリターダを例に挙げて説明する。本明細書中、3D映像表示用アクティブリターダを、アクティブリターダとも略す。
【0057】
図10は、本実施形態の液晶パネルを備えるアクティブリターダ(本実施形態のアクティブリターダとも称す)の断面模式図である。本実施形態のアクティブリターダ1は、図10に示す通り、本実施形態の液晶パネル10と、位相差板20と、を備える。
【0058】
位相差板20は、面内位相差Ro又は厚み方向位相差Rthを有するものであればよいが、面内位相差Roを有する1軸位相差板であることが好ましい。面内位相差Roの絶対値|Ro|は、50nm以上であることが好適である。より好ましくは80nm以上、更に好ましくは110nm以上である。また、500nm以下であることが好ましい。より好ましくは400nm以下、更に好ましくは160nm以下である。
【0059】
位相差板20としては例えば、λ/4位相差板(λ/4板とも称す)、λ/2位相差板(λ/2板とも称す)が好適である。
【0060】
位相差板20は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。また、画像表示パネル2とアクティブリターダ1とを組み合わせる際、位相差板20は、画像表示パネル2側に配置されることが好適である。
【0061】
位相差板20の厚みは特に限定されないが、例えば10nm以上、1mm以下であることが好ましい。より好ましくは500nm以上、0.5mm以下である。
【0062】
位相差板20の材料としては特に限定されず、例えば、ポリマーフィルムを延伸したもの、液晶性材料の配向を固定したもの、無機材料から構成される薄板等を用いることができる。位相差板20の形成方法も特に限定されない。ポリマーフィルムから形成される場合、例えば、溶剤キャスト法、溶融押出し法等を用いることができる。共押出し法により、複数の位相差板20を同時に形成する方法を用いてもよい。所望の位相差が発現しさえすれば、無延伸であってもよいし、延伸が施されてもよい。延伸方法も特に限定されず、ロール間引張り延伸法、ロール間圧縮延伸法、テンター横一軸延伸法、斜め延伸法、縦横二軸延伸法の他、熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に延伸を行う特殊延伸法等を用いることができる。また、液晶性材料から形成される場合、例えば、配向処理を施した基材フィルムの上に液晶性材料を塗布し、配向固定する方法等を用いることができる。所望の位相差が発現しさえすれば、基材フィルムに特別な配向処理を行わない方法や、配向固定した後、基材フィルムから剥がして別のフィルムに転写加工する方法等であってもよい。更に、液晶性材料の配向を固定しない方法を用いてもよい。また、非液晶性材料から形成される場合も、液晶性材料から形成される場合と同様の形成方法を用いてもよい。
【0063】
位相差板20としては、固有複屈折(固有の屈折率異方性)が正の材料を成分として含むフィルムを延伸加工したもの等を適宜用いることができる。固有複屈折が正の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ノルボルネン、トリアセチルセルロース、ジアチルセルロース、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0064】
液晶パネル10と位相差板20とを用いてアクティブリターダ1を製造する方法は、特に限定されず、液晶パネルの分野において通常使用される方法を用いることができる。
【0065】
本実施形態のアクティブリターダ1は、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示する画像表示パネル2と組み合わせて使用することができ、この時間切替に同期してアクティブリターダ1が備える液晶層140への電圧印加を制御し、右目用画像と左目用画像用との偏光状態を異ならせることができる。
【0066】
なお、アクティブリターダのOn-Off間遷移時には表示が乱れる懸念があるため、本実施形態のアクティブリターダは、アクティブリターダのOn/Off制御に合わせて点灯領域が走査されるスキャンバックライトと呼ばれる方式のものが好適である。
【0067】
以下では、本実施形態のアクティブリターダを備える表示装置(本実施形態の表示装置とも称す)を例に挙げて説明する。なお、上述したように、本実施形態の液晶パネルは、システム側への負荷を増やすことなく、ノイズを充分に低減することができるため、アクティブリターダ以外の各種用途にも非常に有用である。それゆえ、本実施形態の液晶パネルを備える表示装置は、種々様々な分野に好適に使用することができる。
【0068】
図11は、本実施形態の表示装置の断面模式図である。図12は、本実施形態の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。図13は、本実施形態の表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。
【0069】
図11及び図13に示すように、本実施形態の表示装置1000は、上述した本実施形態のアクティブリターダ1と、画像表示パネル2と、を備える。表示装置1000は更に、画像表示パネル2の背面側にバックライト3を備える(図13では図示せず)。表示装置1000はまた、図12に示す通り、表示領域AAと、表示領域AAの外縁に配置された額縁領域BBとを有する。表示領域AAは、任意の画像等が表示される領域である。つまり、光源点灯時に、表示装置1000の観察面側から視認される領域である。一方、額縁領域BBは、表示領域AAの外縁に額縁状に配置された領域である。額縁領域BBは、光を透過しなくてもよい。
【0070】
画像表示パネル2は、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示するものであり、上述したようにアクティブリターダ1は、この時間切替に同期して右目用画像R(G)と左目用画像用L(G)との偏光状態を異ならせる(図13参照)。観察者は、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1側からこの画像を視認する(図13参照)。
【0071】
画像表示パネル2としては、液晶を利用した液晶表示パネル、又は、自発光型の表示パネルが好適である。
【0072】
液晶表示パネルの構成は特に限定されず、一対の基板間で液晶層が挟持された構造のものが挙げられる。例えば、一方の基板に画素電極及び共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで表示を行うもの、一方の基板に画素電極、他方の基板に共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで表示を行うもの、等が挙げられる。より具体的には、横電界方式としては、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モード等が挙げられ、縦電界方式としては、VAモードやTNモード等が挙げられる。
【0073】
液晶表示パネルの液晶モードは特に限定されず、液晶層中の液晶分子を基板面に垂直に配向させることで黒表示を行うものであってもよいし、液晶層中の液晶分子を基板面に平行又は垂直でも平行でもない方向に配向させることで黒表示を行うものであってもよい。また、液晶表示パネルの駆動形式としては、TFT方式(アクティブマトリクス方式)の他、単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)、プラズマアドレス方式等であってもよい。
【0074】
自発光型の表示パネルとしては例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)型の表示パネルや、マイクロメートル(μm)単位の微細なLEDをRGB素子として使用したMicro-LED型の表示パネル等が挙げられる。
【0075】
バックライト3は、光を照射するものであれば特に限定されない。例えば、バックライト3が、光源と反射シートとを有する構成が挙げられる。光源としては、一般的なバックライト光源、即ち例えば、冷陰極管(CCFL)、発光ダイオード(LED)等の光源を使用することができる。
【0076】
バックライト3はまた、直下型でもよいし、エッジライト型でもよい。エッジライト型の場合を例に挙げると、バックライト3が、光源、反射シート及び導光板を有する構成が挙げられる。光源は、導光板の端面に配置され、反射シートは、導光板の背面に配置される。導光板は、映像表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。反射シートとしては、例えば、アルミ板、白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、反射フィルム(例えば、3M社製、ESR(Enhanced Specular Reflector)フィルム)等が挙げられる。
【0077】
本実施形態の表示装置1000は、上述した部材の他、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;偏光板、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム);等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0078】
偏光眼鏡4は、アクティブリターダ1からの右目用画像の偏光光が右目側を透過し、左目用画像の偏光光が左目側を透過するように設計されている。これにより観察者は3D表示を得ることができる。
【0079】
偏光眼鏡4としては、アクティブリターダ1からの左目用画像及び右目用画像が、互いに直交する偏光軸を有する直線偏光画像である態様では、左目と右目との偏光軸が互いに直交する直線偏光眼鏡が用いられる。また、アクティブリターダ1からの左目用画像及び右目用画像が、互いに逆向きの円偏光画像である態様では、左目と右目との円偏光が互いに逆向きの円偏光眼鏡が用いられる。
【0080】
(変形例1)
実施形態1では、液晶パネル10が、一対の基板のうち一方の基板(第二の基板122)に複数の画素電極111、112が配置され、他方の基板(第一の基板121)に複数の共通電極131、132が配置され、これらの電極間に液晶層が挟持された構成である場合について説明した(図3参照)。だが、一方の基板に複数の画素電極及び複数の共通電極が配置され、当該基板と他方の基板との間に液晶層を挟持した構成であってもよい。即ち本変形例の液晶パネル10は、第一の基板121又は第二の基板122のいずれかに、複数の画素電極111、112と、複数の共通電極131、132とが配置されている。この構成では、一方の基板に形成された画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで、表示が行われる。このような横電界方式として、FFSモードやIPSモード等が挙げられる。
【0081】
(変形例2)
実施形態1では、アクティブリターダ1が、液晶パネル10と位相差板20とを備える態様について説明した。だが、液晶パネル10が備える基板121、122の少なくとも一方が、位相差板を兼ねる態様であってもよい。即ち本変形例のアクティブリターダ1は、液晶パネル10からなる。基板121、122の中でも、画像表示パネル2側に位置する基板が位相差板であることが好適である。
【0082】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態では、共通電極間の開口部の形状が異なること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0083】
図1は、本実施形態に係る液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図でもある。図14は、図1中のp部を拡大した図である。図15は、図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図16は、図15においてノイズの伝搬及び液晶印加電圧の波形を説明するための図である。図16では、電圧の波形を簡素化して記載している。図15及び図16では、図の上を観察面側とし、下を背面側とする。
【0084】
上記実施形態1では、平面視において、開口部150が、少なくとも表示領域AA内において、第一の共通電極131と第二の共通電極132との間の全範囲にわたり連続したライン状に存在する(図2参照)。一方、本実施形態では、平面視において、開口部150が、少なくとも表示領域AA内において、第一の共通電極131と第二の共通電極132との間の全範囲にわたり、非連続なライン状に存在する(図14参照)。より具体的には、図14に示すように、開口部150が、平面視において、第一の共通電極131と第二の共通電極132との接続部yと、共通電極の不在部x(共通電極が存在していない部分を意味し、狭義の開口部に該当する。)と、が交互に繰り返された形状、即ちxとyとからなる繰り返し単位Uを有する形状となっている。このような開口部150は、例えば、面状共通電極から、これと重畳する複数の画素電極間の境界に重畳する位置にあるパターンの一部を取り除くことにより、形成することができる。
【0085】
開口部150の大きさは、例えば、開口部150を挟む第一の共通電極131と第二の共通電極132との幅(図14中のx2)が、0.1~1000μmであることが好ましい。より好ましくは10~100μmである。また、開口部150が図14に示される繰り返し単位Uを有する形状である場合、繰り返しピッチ(図14中のU)が0.1~1000μmであることが好ましい。より好ましくは10~100μmである。また、繰り返しピッチU中、第一の共通電極131と第二の共通電極132との接続部yのピッチy1と、共通電極の不在部xのピッチx1との比(y1/x1)は、1/1~30であることが好ましい。より好ましくは1/5~15である。
【0086】
本実施形態の開口部150を形成するに際しては、まず、第一の共通電極131と第二の共通電極132との接続部yの大きさ(図14中のx2及びy1)を、製造プロセス上可能な最小寸法又はそれに近い値に設定した上で、共通電極の不在部xのピッチ(図14中のx1)を調節することで、所望の抵抗値に制御する。なお、信号電圧や液晶層140に使用する液晶材料によって、共通電極の不在部xの大きさや形状は異なると考えられる。
【0087】
ここで、上記実施形態1では、上述したように画素境界部に共通電極が存在しないため、ノイズ伝搬経路が表示領域内ではほぼ完全に失われており、隣接画素へのノイズ抑制効果は極めて高い。だが逆に、第一の共通電極131に与えられたノイズの逃げ場が失われているとも言える。つまり第一の共通電極131から第二の共通電極132へノイズが逃げることが無いため、第一の共通電極131がノイズを受けた状態から本来の電位へ緩和する時間が、開口部150を有しない比較形態の液晶パネル10Rよりも長くなると考えられる。液晶印加電圧は通常、画素電位と共通電位との差分であるため、第一の共通電極131が本来の電位へ緩和する時間が長いと、液晶印加電圧が所望の値に達するまでの時間が長くなる。
【0088】
これに対し、本実施形態では、上述した構成により、第一の共通電極131と第二の共通電極132とが、高抵抗な経路で電気的に接続された状態となっている。即ち第一の共通電極131と第二の共通電極132とが一部接続されているため(図14中のyを参照)、第一の共通電極131に与えられたノイズが、抵抗により減衰しつつも第二の共通電極132に伝搬する(図16中のaを参照)。これは即ち、ノイズを受けた第一の共通電極131の電位が本来の電位へと緩和するのが、上記実施形態1よりも速くなることを意味する。即ち本実施形態では、上記実施形態1よりも、画素充電を高速化することが可能になる。なお、本実施形態では、第二の共通電極132へ伝搬するノイズを、表示品位に悪影響を与えない程度まで減衰することができる。
【0089】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態では、液晶パネルが遮光部を更に備えること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0090】
図1は、本実施形態に係る液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図でもある。図17は、図1中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図17では、図の上を観察面側とし、下を背面側とする。
【0091】
本実施形態の液晶パネル10は、互いに隣接する複数の画素を有する。上述の通り図面では、便宜上、画素一単位が第一の画素11及び第二の画素12を有する態様を記載している。液晶パネル10は、一対の基板121、122間に、第一の画素11に対応して配置された第一の画素電極111と、第二の画素12に対応して配置された第二の画素電極112と、第一の画素電極111に重畳する第一の共通電極131と、第二の画素電極112に重畳する第二の共通電極132と、液晶層140と、遮光部170と、を備える。遮光部170と共通電極131、132との間には、絶縁層160が配置され、液晶層140と共通電極131、132との間、及び、液晶層140と画素電極111、112との間には、配向膜161、162がそれぞれ配置されている。
【0092】
本実施形態でも、開口部150は、共通電極131、132がそれぞれ重畳する画素電極111、112間の境界に重畳して設けられているが、遮光部170は、平面視において、第一の共通電極131と、開口部150と、第二の共通電極132と、に重畳して配置されている(図17参照)。即ち遮光部170は、平面視において、第一の共通電極131と、開口部150と、第二の共通電極132とにまたがって配置されている。開口部150の全てが遮光部170と重畳している。即ち開口部150が、遮光部170で覆われている。なお、複数の共通電極131、132は、その一部が、遮光部170と重畳している(図17中のcを参照)。この遮光部170と共通電極131、132それぞれとの重なりの幅cは、例えば、1~5μmであることが好適である。
【0093】
液晶パネル10は、第一の共通電極131と、第二の共通電極132と、遮光部170と、に同一信号を入力する入力手段Xを備える。この入力手段Xは、液晶パネル10内外のいずれかの箇所で、第一の共通電極131と、第二の共通電極132と、遮光部170とを、接続させる手段である。言い換えれば、液晶パネル10は、液晶パネル10内外のいずれかの箇所で、第一の共通電極131と、第二の共通電極132と、遮光部170とが接続した構造を有する。これにより、第一の共通電極131、第二の共通電極132及び遮光部170は、全て同電位となる。即ち遮光部170には共通電位が入力される。中でも、液晶パネル10の表示領域外で、第一の共通電極131と、第二の共通電極132と、遮光部170とが接続していることが好ましい。
【0094】
本実施形態では、共通電極130を遮光部170で形成し、この共通電極130(遮光部170)を、開口部150と、第一の共通電極131と、第二の共通電極132とに重畳するように配置し、更に、共通電極130と、第一の共通電極131及び第二の共通電極132の各々とを、コンタクトホールを介して、それぞれ接続させている。具体的には、図18の下部で示すように、T字形状の遮光体(これが遮光部170となる。)を用意し、当該遮光体が、表示領域AA内の第一の共通電極131の一部と、第一の共通電極131に設けたコンタクトホール171と、表示領域AA内の開口部150と、表示領域AA内の第二の共通電極132の一部と、第二の共通電極132に設けたコンタクトホール172と、に重なるように、遮光体を配置する。図18は、遮光部170を備える態様を説明するために、図1中のX1部を拡大した平面模式図、及び、当該態様を得るための概念図である。
【0095】
液晶パネル10が遮光部170を備えることで、第一の共通電極131と第二の共通電極132との間のノイズ伝搬が更に低減される。これは、共通電極131、132からの電気力線が遮光部170側に吸収されることで、共通電極と画素電極との間の層間容量が低減することに由来すると考えられる。また、液晶パネル10が遮光部170を備えることで、開口部150が他の層に与える影響をより充分に抑制することもできる。例えば、開口部150を設けると、液晶層140における液晶分子の配向を制御できない領域が広がる可能性があるが、遮光部170がその領域を遮光することができるため、液晶分子の配向に与える影響が充分に抑制される。
【0096】
遮光部170(遮光体)を与える遮光材料としては例えば、金属(メタル)や、樹脂材料等が挙げられる。金属としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロム、チタン又はこれらの合金等が挙げられる。樹脂材料としては、一般にブラックレジストとして使用される材料が挙げられる。遮光部170の形状は、線状や膜状等が挙げられる。
【0097】
遮光部170の光透過率は、例えば0~1%であることが好ましい。なお、光透過率は、JIS K7375(2008年)に準拠した方法で測定することができる。
【0098】
遮光部170の厚みは、例えば10nm以上、2μm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以上、1.0μm以下である。
【0099】
遮光部170と複数の共通電極131、132との間には、絶縁層(絶縁膜とも称す)160が配置されている。絶縁層160は、無機絶縁膜又は有機絶縁膜により構成される。無機絶縁膜としては例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、これらの積層膜を用いることができる。有機絶縁膜としては例えば、感光性樹脂等の比誘電率の小さい有機膜(比誘電率ε=2~5)や、その積層膜を用いることができる。具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、これらの積層体が挙げられる。
【0100】
絶縁層160の厚みは、例えば10nm以上、1μm以下であることが好ましい。より好ましくは30nm以上、500nm以下である。
【0101】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態では、液晶パネルが複数の補助電極を更に備えること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0102】
図19は、本実施形態に係る液晶パネルを、観察面側から見たときの平面模式図である。図20は、図19中のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図21は、図20においてノイズの伝搬を説明するための図である。図20及び図21では、図の上を観察面側とし、下を背面側とする。
【0103】
本実施形態の液晶パネル10は、互いに隣接する複数の画素を有する。上述の通り図面では、便宜上、画素一単位が第一の画素11及び第二の画素12を有する態様を記載している。液晶パネル10は、一対の基板121、122間に、第一の画素11に対応して配置された第一の画素電極111と、第二の画素12に対応して配置された第二の画素電極112と、第一の画素電極111に重畳する第一の共通電極131と、第二の画素電極112に重畳する第二の共通電極132と、液晶層140と、を備える。液晶パネル10は更に、一対の基板121、122間に、第一の補助電極191と、第二の補助電極192と、を備える。液晶層140と共通電極131、132との間、及び、液晶層140と画素電極111、112との間には、配向膜161、162がそれぞれ配置されている。
【0104】
補助電極191、192はそれぞれ、共通電極131、132に対して液晶層140とは反対側に配置されている。即ち、第一の補助電極191は、第一の基板121と第一の共通電極131との間に配置され、第二の補助電極192は、第一の基板121と第二の共通電極132との間に配置されている。また、第一の補助電極191と第一の共通電極131との間、及び、第二の補助電極192と第二の共通電極132との間には、それぞれ、絶縁層160が配置されている。即ち補助電極191、192はそれぞれ、共通電極131、132各々に対して、絶縁層160を介して対向配置されている。
【0105】
本実施形態でも、第一の共通電極131及び第二の共通電極132は、互いに、平面視で開口部150を介して隣接して配置されているが、この開口部150を、便宜上、第一の開口部とも称す。本実施形態では更に、第一の補助電極191及び第二の補助電極192が、互いに、平面視で開口部151を介して隣接して配置されている(図19参照)。この開口部151を、便宜上、第二の開口部とも称す。第一の開口部150及び第二の開口部151は、互いに重畳している(図19及び図20参照)。
【0106】
本実施形態では、第二の開口部151を介して複数の補助電極191、192が互いに隣接しながらも、第二の開口部151では当該補助電極191、192が互いに接続(つまり導通)していない構造が得られる(図20参照)。第二の開口部151は、補助電極191、192がそれぞれ重畳する画素電極111、112間の境界に重畳して設けられる(図20参照)。
【0107】
本実施形態では例えば、面状の補助電極(ベタ状の補助電極)から、これと重畳する複数の画素電極間の境界に重畳する位置にあるパターンを取り除くことにより、第二の開口部151を介して補助電極191、192が隣接した構造を得ることができる。特に、表示領域AA内の当該パターンを全て取り除くことで、平面視において、第二の開口部151が、少なくとも表示領域AA内において、第一の補助電極191と第二の補助電極192との間の全範囲にわたり連続したライン状に存在する構造が得られる(図19参照)。
【0108】
本実施形態では、共通電極131、132の各々は、重畳する画素電極111、112の各々との間で電気容量CLを形成する。補助電極191、192の各々は、共通電極131、132の各々との間で電気容量Csを形成する(図21参照)。それゆえ、補助電極を設けることにより、補助電極と共通電極との間がより巨大な容量で接続される。ここで、例えば第一の画素11に信号を入力して充電する際に第一の共通電極131に伝わるノイズは、第一の共通電極131に重畳する第一の補助電極191にも伝わる。また、補助電極における電位の変動は、共通電位、即ち液晶印加電位にも影響を与える。だが本実施形態では、複数の補助電極191、192間に第二の開口部151を設けることで、第一の補助電極191に生じたノイズが、隣接画素に伝搬することを抑制することができる(図21のaを参照)。このように補助電極を備える構成に対しても、本発明を適用することで、ノイズを充分に抑制することができる。
【0109】
第二の開口部151の平面視での大きさは、画素電極間の境界、即ち画素電極の不在部分(画素電極が存在しない部分を意味する。)に重畳する大きさであればよい。例えば、第二の開口部151の幅が、0.1~1000μmであることが好ましい。より好ましくは10~100μmである。また、平面視において、第一の開口部150の幅よりも、第二の開口部151の幅の方が、小さくなるように設計することが好ましい(図20参照)。なお、「第二の開口部の幅」とは、平面視での幅であり、第二の開口部151を挟む第一の補助電極191と第二の補助電極192との幅を意味する。
【0110】
補助電極191、192は、ITOやIZO等の透明導電材料から構成される。例えば、これらの透明導電材料からなる透明電極膜を既知のフォトリソグラフィ法によりパターニングすることで形成することができる。本実施形態では例えば、このようにして面状(ベタ状)の補助電極を形成した上で、この面状補助電極から、これと重畳する複数の画素電極間の境界に重畳する位置にあるパターンを取り除くことにより、面状補助電極を、複数の補助電極191、192に分割することができる。
【0111】
絶縁層160は、無機絶縁膜又は有機絶縁膜により構成される。また、絶縁層160の厚みは特に限定されないが、例えば10nm以上、1μm以下であることが好ましい。より好ましくは30nm以上、500nm以下である。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0113】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0114】
(実施例1)
実施例1の液晶パネルは、上記実施形態1の液晶パネルに対応する(図1図9参照)。なお、基板121、122としてガラス板を用い、図2中のx2=20μmとする。本例の液晶パネルは、隣接画素へのノイズ抑制効果が極めて高く、しかもシステム側への負荷を増やすことなくノイズを低減することができる。
【0115】
(実施例2)
実施例2の液晶パネルは、上記実施形態2の液晶パネルに対応する(図1図5図9及び図14図16参照)。なお、基板121、122としてガラス板を用い、図14中、x2=20μm、x1=45μm、y1=5μm、Uの長さ(即ちx1とy1との和)=50μmとする。実施例1の液晶パネルは本例の液晶パネルよりもノイズ低減効果に極めて優れるが、本例の液晶パネルでもノイズを表示品位に悪影響を与えない程度まで減衰することができる。本例の液晶パネルはまた、実施例1の液晶パネルに比べ、画素充電を高速化することができる。
【0116】
(実施例3)
実施例3の液晶パネルは、上記実施形態3の液晶パネルに対応する(図1図2図5図9図17及び図18参照)。なお、基板121、122としてガラス板を用い、遮光部170としてメタル配線を用いる。本例の液晶パネルは、実施例1の液晶パネルよりもノイズ低減効果が高い上、開口部150を設けることによる液晶分子の配向に与える影響を充分に抑制できる。
【0117】
(実施例4)
実施例4の液晶パネルは、上記実施形態4の液晶パネルに対応する(図1図2図5図9及び図19図21参照)。なお、基板121、122としてガラス板を用いる。
本例の液晶パネルでは、補助電極に生じるノイズが隣接画素に伝搬することを抑制することができる。即ち補助電極を備える構成に対しても、本発明を適用することで、ノイズを充分に抑制することができる。
【0118】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1、1R :アクティブリターダ
2、2R :画像表示パネル
3 :バックライト
4 :偏光眼鏡
10、10R :液晶パネル
20 :位相差板
11、12 :画素(サブ画素)
111、112:基板
121、122:画素電極
130、131、132、130R:共通電極
140 :液晶層
150、151:開口部
160 :絶縁層
161、162:配向膜
170 :遮光部
171、172:コンタクトホール
180 :フレキシブルプリント基板
181 :駆動回路
182 :配線
191、192:補助電極
1000、1000R:表示装置
q :液晶パネルの端部
x :共通電極の不在部
y :共通電極の接続部
AA :液晶パネル又は表示装置における表示領域
BB :液晶パネル又は表示装置における額縁領域
G :画像
L(G) :左目用画像
R(G) :右目用画像
U :xとyとからなる繰り返し単位
X :信号入力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25