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特開2024-907513D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090751
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240627BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240627BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240627BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240627BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20240627BHJP
   G02B 30/25 20200101ALN20240627BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1339 500
G02F1/1333
G02F1/13363
G02F1/1335
G02F1/133 505
G02F1/13357
G09F9/30 349C
G09F9/30 320
G09F9/35
G02B30/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206835
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】松本 博美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】坂井 彰
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H193
2H199
2H291
2H391
5C094
【Fターム(参考)】
2H088EA07
2H088EA47
2H088FA02
2H088HA03
2H088HA14
2H088HA17
2H088JA09
2H088JA12
2H088KA02
2H088KA08
2H088KA26
2H088KA27
2H088KA30
2H088MA01
2H088MA10
2H189AA22
2H189AA35
2H189DA06
2H189DA07
2H189DA08
2H189DA18
2H189DA43
2H189DA49
2H189EA02X
2H189HA05
2H189JA07
2H189JA10
2H189JA13
2H189JA14
2H189LA15
2H189LA16
2H189MA15
2H189NA13
2H193ZD01
2H193ZD02
2H193ZD36
2H193ZP14
2H193ZQ08
2H193ZQ11
2H193ZQ16
2H193ZR10
2H199BA03
2H199BA52
2H199BA53
2H199BA56
2H199BA63
2H199BB14
2H199BB15
2H199BB52
2H199BB58
2H199BB59
2H291FA14X
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA81Z
2H291FA95X
2H291FB05
2H291KA10
2H291MA01
2H291MA20
2H291PA42
2H291PA44
2H391AA03
2H391AA13
2H391AB02
2H391AB04
2H391EA11
2H391EA16
2H391FA03
5C094AA09
5C094AA60
5C094BA43
5C094CA19
5C094CA21
5C094DA12
5C094EC03
5C094FA02
5C094JA11
(57)【要約】
【課題】左右目のバランスが改善され、かつクロストークが充分に抑制された3D映像表示用アクティブリターダ、及び、これを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】光学積層体を有する3D映像表示用アクティブリターダであって、上記光学積層体は、一対の基板と、上記一対の基板間に設けられた一対の電極と、液晶分子を含む液晶材料から構成される液晶層と、柱状スペーサと、を備え、かつ上記柱状スペーサを限定的に遮光する遮光手段を備える、3D映像表示用アクティブリターダ。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学積層体を有する3D映像表示用アクティブリターダであって、
前記光学積層体は、
一対の基板と、
前記一対の基板間に設けられた一対の電極と、
液晶分子を含む液晶材料から構成される液晶層と、
柱状スペーサと、
を備え、かつ前記柱状スペーサを限定的に遮光する遮光手段を備える
ことを特徴とする3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項2】
前記遮光手段として、前記柱状スペーサと重畳する位置に遮光部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項3】
前記遮光手段として、前記柱状スペーサが遮光体で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項4】
前記柱状スペーサは、
浮島状に配置された第一のスペーサと、
前記第一のスペーサ以外の第二のスペーサと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項5】
前記柱状スペーサは、平面視で一定の繰り返しピッチで配置されており、かつ前記繰り返しピッチ内でランダムに配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項6】
前記液晶分子は、下記式(1):
11≧γ/{(Δε)×1.3×1011} (1)
(式中、K11は、前記液晶分子のスプレイ弾性定数(pN)を表す。γは、前記液晶材料の回転粘性係数(mPa・秒)を表す。Δεは、前記液晶分子の誘電率異方性を表す。)を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項7】
ECBモードで駆動される
ことを特徴とする請求項1に記載の3D映像表示用アクティブリターダ。
【請求項8】
複数の画素を有する画像表示パネルと、請求項1~7のいずれかに記載の3D映像表示用アクティブリターダとを備える
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
更にバックライトを備える
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記柱状スペーサは、平面視で一定の繰り返しピッチで配置されており、かつ前記繰り返しピッチ内でランダムに配置されており、
前記繰り返しピッチのうち、上記表示装置の表示領域の長辺Aと平行なピッチの長さが、前記画像表示パネルの画素ピッチのうち前記長辺Aと平行なピッチの長さの整数倍でない
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記画像表示パネルと、前記3D映像表示用アクティブリターダとの間に、光拡散粘着層を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記画像表示パネルは、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示し、
前記3D映像表示用アクティブリターダは、前記時間切替に同期して前記液晶層への電圧印加を制御し、右目用画像と左目用画像用との偏光状態を異ならせる
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項13】
前記右目用画像又は左目用画像のいずれか一方をノーマリーホワイトモードで表示し、他方をノーマリーブラックモードで表示する
ことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、3D映像表示用アクティブリターダ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な映像処理技術の発展に伴って3次元の立体映像(3D映像と称す)を具現する技術が開発されている。3D映像技術は、例えば、情報通信、放送、医療、教育、訓練、軍事、ゲーム、アニメーション、仮想現実、CAD、産業技術等、非常に多様な分野への応用が期待される。
【0003】
3D映像用の表示装置としては、眼鏡を用いる方式と眼鏡を用いない方式とが提案されている。眼鏡を用いる方式としては例えば、右目用画像と左目用画像とを高速に切り替えて表示し、これと同期して左眼と右眼とを交互に遮断するシャッター方式や、右目用画像と左目用画像との偏光状態を異ならせる偏光眼鏡方式等が挙げられる。近年では、後者の偏光眼鏡方式の一例として、右目用画像と左目用画像との偏光状態を時分割で切り替えるアクティブリターダを用いる方式が注目されている。
【0004】
しかし、従来の表示装置では、右目用画像と左目用画像とが完全に分離されずに混ざって表示されるクロストーク現象が生じることが課題となっている。この課題を解決するために、特許文献1は、画像表示と、入射光の偏光方向を変換させるタイミングとを制御することで、クロストークを抑制する装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5426078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図31は、従来のアクティブリターダ方式の3D映像用の表示装置1000Rにより画像が観察される機構を説明する模式図である。表示装置1000Rは、観察面側から、アクティブリターダ1R、画像表示パネル2R、及び、バックライト3(図示せず)を備える。画像表示パネル2Rに画像G(右目用画像と左目用画像)を時間切り替えで順次表示し、アクティブリターダ1Rでそれぞれの画像の偏向状態を制御している。観察者は、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1R側からの画像を視認する。偏光眼鏡4では、右目用画像R(G)の偏光光が右目側を透過し、左目用画像L(G)の偏光光が左目側を透過するように設計されており、これにより、観察者は3D表示を得ることができる。
【0007】
アクティブリターダ1Rは通常、一対の基板間に液晶層を備える構造を有し、液晶分子の初期配向方向が基板に平行になるように処理するECB(Electrically Controlled Birefringence)モードが採用される。液晶層には、厚み(セル厚又はセルギャップとも称す)を制御するために、柱状スペーサ(フォトスペーサとも称す)が設けられるのが通常である。
【0008】
しかし、本願発明者が検討したところ、従来の表示装置1000Rでは、所望の3D表示が得られない場合があり、クロストークや、左右目のバランスが課題となることを見出した(後述する比較例1を参照)。本願発明者が更に検討したところ、この主な原因が、アクティブリターダ1Rにおいて、左右の目に対する光の透過及び遮断の特性の違いにあることを見出した。
【0009】
特許文献1に記載の装置は、駆動タイミングの工夫によりクロストーク抑制を図るものであり、リターダ自体の課題には何ら言及されていない。
【0010】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、左右目のバランスが改善され、かつクロストークが充分に抑制された3D映像表示用アクティブリターダ、及び、これを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、光学積層体を有する3D映像表示用アクティブリターダであって、上記光学積層体は、一対の基板と、上記一対の基板間に設けられた一対の電極と、液晶分子を含む液晶材料から構成される液晶層と、柱状スペーサと、を備え、かつ上記柱状スペーサを限定的に遮光する遮光手段を備える、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0012】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記遮光手段として、上記柱状スペーサと重畳する位置に遮光部を備える、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0013】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記遮光手段として、上記柱状スペーサが遮光体で形成されている、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0014】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記柱状スペーサは、浮島状に配置された第一のスペーサと、上記第一のスペーサ以外の第二のスペーサと、を含む、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0015】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記柱状スペーサは、平面視で一定の繰り返しピッチで配置されており、かつ上記繰り返しピッチ内でランダムに配置されている、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0016】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記液晶分子が、下記式(1):
11≧γ/{(Δε)×1.3×1011} (1)
(式中、K11は、上記液晶分子のスプレイ弾性定数(pN)を表す。γは、上記液晶材料の回転粘性係数(mPa・秒)を表す。Δεは、上記液晶材料の誘電率異方性を表す。)を満たす、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0017】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、ECBモードで駆動される、3D映像表示用アクティブリターダ。
【0018】
(8)また本発明の他の実施形態は、複数の画素を有する画像表示パネルと、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)に記載の3D映像表示用アクティブリターダとを備える、表示装置。
【0019】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(8)の構成に加え、更にバックライトを備える、表示装置。
【0020】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記柱状スペーサは、平面視で一定の繰り返しピッチで配置されており、かつ上記繰り返しピッチ内でランダムに配置されており、上記繰り返しピッチのうち、上記表示装置の表示領域の長辺Aと平行なピッチの長さが、上記画像表示パネルの画素ピッチのうち上記長辺Aと平行なピッチの長さの整数倍でない、表示装置。
【0021】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記画像表示パネルと、上記3D映像表示用アクティブリターダとの間に、光拡散粘着層を有する、表示装置。
【0022】
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(8)、上記(9)、上記(10)又は上記(11)の構成に加え、上記画像表示パネルは、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示し、上記3D映像表示用アクティブリターダは、上記時間切替に同期して上記液晶層への電圧印加を制御し、右目用画像と左目用画像用との偏光状態を異ならせる、表示装置。
【0023】
(13)また、本発明のある実施形態は、上記(12)の構成に加え、上記右目用画像又は左目用画像のいずれか一方をノーマリーホワイトモードで表示し、他方をノーマリーブラックモードで表示する、表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、左右目のバランスが改善され、かつクロストークが充分に抑制された3D映像表示用アクティブリターダ及びこれを用いた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1等の3D映像表示用アクティブリターダの断面模式図である。
図2】実施形態1等の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図3】実施形態1等における柱状スペーサの配置を示す平面模式図である。
図4】実施形態1等の表示装置の断面模式図である。
図5】実施形態1等の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図6】実施形態1等の表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。
図7】実施形態1等の表示装置における光学系設定を示す模式図である。
図8】実施形態1等の表示装置における光学系設定を示す模式図である。
図9】実施形態1の変形例1の表示装置の断面模式図である。
図10】実施形態2の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図11】実施形態3の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図12】実施形態4の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図13】実施形態5における柱状スペーサの配置を示す平面模式図である。
図14】実施形態5等の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図15】画像表示パネル2の画素ピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチBを説明するための平面模式図である。
図16】実施形態5の変形例1における柱状スペーサの配置を示す平面模式図である。
図17】実施形態5の変形例2における柱状スペーサの配置を示す平面模式図である。
図18】実施形態6の3D映像表示用アクティブリターダの断面模式図である。
図19】実施形態7の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図20】実施形態8の3D映像表示用アクティブリターダの断面模式図である。
図21】実施形態8の表示装置における光学系設定を示す模式図である。
図22】実施例1の表示装置の構造を概念的に示す図である。
図23】比較例1の3D映像表示用アクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
図24】評価試験1の結果である。
図25】比較例1の3D映像表示用アクティブリターダについて、液晶層への電圧無印可時の液晶分子の配向(水平配向)の様子を概念的に示した図である。
図26】実施例4-1の表示装置について、観測されたモアレを拡大した写真である。
図27】実施例4-1~4-4の表示装置について、4cm角(平面視)でのモアレパターンの観測写真である。
図28】実施例4-1の表示装置と、実施例5-1の表示装置とについて、モアレの有無を比較した結果である。
図29】実施例4-4の表示装置と、実施例5-2の表示装置とについて、モアレの有無を比較した結果である。
図30】誘電率異方性Δεが0.11~0.2である液晶分子(a)~(j)についての、液晶分子の回転粘性係数γと、スプレイ弾性定数K11を示すグラフである。
図31】従来のアクティブリターダ方式の3D映像用の表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。
図32】液晶材料の回転粘性係数γを求める際に使用される測定装置の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0027】
「平行」とは、両者のなす角度(絶対値)が0°±10°の範囲内であることを意味する。好ましくは0±5°の範囲内であり、より好ましくは0±3°の範囲内であり、更に好ましくは0±1°の範囲内であり、特に好ましくは0°(完全に平行)である。
【0028】
「直交」とは、両者のなす角度(絶対値)が90°±10°の範囲内であることを意味する。好ましくは90±5°の範囲内であり、より好ましくは90±3°の範囲内であり、更に好ましくは90±1°の範囲内であり、特に好ましくは90°(完全に直交)である。
【0029】
角度は、表示装置やアクティブリターダを平面視した状態で測定された値である。例えば、2つの直線(軸、方向及び稜線を含む)が互いに直交するとは、表示装置やアクティブリターダを平面視した状態で直交することを意味する。
【0030】
位相差板とは、面内位相差Roの絶対値|Ro|と、厚み方向位相差(厚さ方向位相差とも称す)Rthの絶対値|Rth|とのいずれか一方が、10nm以上の値を有するものを意味する。好ましくは、20nm以上の値を有するものを意味する。
【0031】
面内位相差Roは、Ro=(ns-nf)dで定義される。
厚み方向位相差Rthは、Rth={nz-(nx+ny)/2}dで定義される。
nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。
nxは、位相差板の面内における遅相軸方向の主屈折率を表す。
nyは、位相差板の面内における進相軸方向の主屈折率を表す。
nzは、面外方向、即ち位相差板の面に対して垂直方向の主屈折率を表す。
dは、位相差板の厚みを表す。
主屈折率や位相差等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り、550nmとする。
【0032】
軸方位とは、特に断りのない限り、偏光板の吸収軸(反射軸)又は位相差板の遅相軸の方位を意味する。位相差板の遅相軸とは、面内遅相軸を意味する。
【0033】
光透過率は、JIS K7375(2008年)に準拠した方法で測定される。
【0034】
回転粘性係数γは、磁場印加によるトルクを測定する方法や、液晶層中を流れる過度電流特性を解析する方法等により求めることができる。なお本発明では、前者の磁場印加による方法で算出される値(回転粘性係数γ)が、後述する範囲内にあることが好適である。
【0035】
磁場印加によるトルクを測定する方法とは、具体的には以下の方法である。
図32に示すように、試料64(液晶材料)が入ったNMR用のガラスチューブ63を、電磁石(マグネット)65中にセットする。この試料64には、トルクメーター61に繋がるガラスファイバー62が挿入されている。温度が一定になったところで、ガラスチューブ63に磁場を印加する。これにより、液晶分子の帯磁率異方性Δxにより、液晶分子が一方向に配向する。電磁石65を回転(即ち磁場を回転)させてトルクMを測定する。その後、式:γ=M/(ω×V)により、回転粘性係数γが算出される。式中、Mはトルクを表し、ωは角速度を表し、Vは試料64(液晶材料)の体積を表す。但し、一つの角速度の測定から求めると誤差が大きくなるため、異なる角速度でトルクを測定することにより、回転粘性係数γを算出する。
なお、図32は、磁場印加によるトルクを測定する方法で用いる測定装置の一例、即ち液晶材料の回転粘性係数γを求める際に使用される測定装置の一例を示す概念図である。
【0036】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の3D映像表示用アクティブリターダ(以下「アクティブリターダ」とも略す)の断面模式図である。図1に示す通り、アクティブリターダ1は、光学積層体10と、位相差板20と、を備える。図2は、本実施形態のアクティブリターダ1が備える光学積層体10の断面模式図である。
【0038】
光学積層体10は、図2に示す通り、一対の基板111、112と、一対の電極121、122と、液晶層160と、柱状スペーサ150(151、152)と、を備える。より具体的には、観察面側から、第一の基板111、第一の電極121、液晶層160、第二の電極122、及び、第二の基板112を備える。第一の基板111と第一の電極121との間には、柱状スペーサ150(151、152)を限定的に遮光するための遮光層170が設けられ、遮光層170と第一の電極121との間には平坦化膜180が設けられている。また、電極121、122それぞれと液晶層160との間には、該電極側から順に、それぞれ絶縁膜131、132、配向膜141、142が配置されている。
【0039】
本実施形態では、柱状スペーサ150として、浮島状に配置された第一のスペーサ151と、それ以外の第二のスペーサ152とを有する。第二のスペーサ152は、液晶層160の厚みを制御するために配置される。なお、浮島状に配置された第一のスペーサ151を有すると、アクティブリターダ及び表示装置に面押し耐性を付与できるため、例えばタッチパネル用表示装置により有用なものとなる。
【0040】
「浮島状に配置された(浮島状に配置されている)」とは、液晶層160中に浮島状に配置されていることを意味する。具体的には、断面視において、第一のスペーサ151と、第一の基板111又は第二の基板112と、の間に、液晶層160が存在することを意味する。即ち第一のスペーサ151は、その高さが、液晶層160の厚みよりも小さいものであり、液晶層160の厚みに等しい高さを有する第二のスペーサ152とは区別される。第一のスペーサ151をサブスペーサと称することもでき、第二のスペーサ152をメインスペーサと称することもできる。
【0041】
第一のスペーサ151の高さは、液晶層160の厚みよりも小さい。即ち液晶層160の厚みを100%としたときに、第一のスペーサ151の高さが100%未満となればよい。例えば、第一のスペーサ151の高さが5~95%となってもよい。
【0042】
柱状スペーサ150は、例えば、透光性を有する樹脂材料から形成される。本実施形態では、一方の基板(本実施形態では第一の基板111)側に高さの異なる複数種類の柱状スペーサを形成することで、第一のスペーサ151と、第二のスペーサ152とを形成することができる。具体的には例えば、第一の基板111側に高さの異なる柱状スペーサを形成した後、第二の基板112を、液晶材料を挟んで貼り合わせることで、液晶材料から形成される液晶層160の厚みよりも低い高さを持つ柱状スペーサが第一のスペーサ151となり、それ以外の柱状スペーサが第二のスペーサ152となる。
【0043】
本実施形態では、光学積層体10は遮光部(遮光層とも称す)170を有するが、これは、柱状スペーサ150を限定的に遮光する遮光手段の一例である。このような遮光手段を備えることで、柱状スペーサ150周辺の位相差ずれによる3D表示性能の劣化(クロストーク発生)を充分に抑制することができる。
【0044】
このように上記遮光手段として、本実施形態では、柱状スペーサ150と重畳する位置に遮光部170を配置する。「遮光層を、柱状スペーサと重畳する位置に配置する」とは、平面視において、遮光層に柱状スペーサの面積の80%~100%が重畳することを意味する。好ましくは85%~100%、より好ましくは90%~100%である。
【0045】
遮光層170は、遮光材料から形成される。遮光材料としては例えば、金属からなる金属ブラックマトリクス(メタルBMとも称す)や、樹脂材料からなる樹脂ブラックマトリクス(樹脂BMとも称す)等が挙げられる。メタルBMとしては例えば、アルミニウム、モリブデン、クロム、チタン又はこれらの合金を含む金属膜が挙げられる。樹脂BMとしては例えば、ブラックレジストが挙げられ、その中でも黒色の感光性樹脂が好ましい。具体的には例えば、黒色の感光性アクリル樹脂が挙げられる。遮光層170は、単層膜であってもよいし、複層膜であってもよい。
【0046】
遮光層170の光透過率は、例えば0~1%であることが好ましい。また、遮光層170の厚みは特に限定されないが、例えば10nm以上、2μm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以上、1.5μm以下である。
【0047】
図3は、本実施形態の柱状スペーサ150の配置(レイアウト)を示す平面模式図である。図3中の数字の単位はμmである。図3中の左右方向が、アクティブリターダ1のアクティブエリア(即ち、表示装置の表示領域1100に対応する領域)の長辺方向と平行にある。表示装置の表示領域1100の長辺Aの長さを59.6736cmとし、画像表示パネル2の画素ピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチBの長さを77.7μmとする(後述の図15も参照)。図3に示すように、液晶層160を平面視したときの932.4μm×932.4μm角からなる単位を基本単位(繰り返し単位とも称す)Uとして、この基本単位Uが液晶層160の全エリアに繰り返し配置されている。一つの基本単位Uを、点線で囲っている。この基本単位Uでは、直径φが約15.3μm、高さが1.6μmである第二のスペーサ152が2個配置され、また、短径が約15μm、かつ長径が40μm、高さが1.3μm、角が四分円である形状の第一のスペーサ151が44個配置されている。
【0048】
上記の基本単位Uを得るにはまず、第一のスペーサ151と、これと左右方向に隣接する他の第一のスペーサ151と、の間隔(隙間)を37.7μmとし、第一のスペーサ151と、これと上下方向に隣接する他の第一のスペーサ151と、の間隔(隙間)を217.6μmとして、多数の第一のスペーサ151を規則的に配置する。その後、下から2行目の左から3、4及び5番目の第一のスペーサ151(合計3個)を除去し、除去した領域の中央位置に第二のスペーサ152を1個配置する(第二のスペーサ152A)。除去した第一のスペーサ151(3個)の左右両側の第一のスペーサ151a、151bそれぞれと、今回配置した第二のスペーサ152Aと、の間隔(隙間)は、127.75μmである。図3の右側のX図は、ここで配置した第二のスペーサ152Aと隣接する第一のスペーサ151a、151bとを、これらの上下方向の中央位置が揃うように配置することを示す。
【0049】
更に、下から4行目の右から3番目の第一のスペーサ151(1個)も除去し、除去した領域の中央位置に第二のスペーサ152を1個配置する(第二のスペーサ152B)。除去した第一のスペーサ151(1個)の左右両側の第一のスペーサ151c、151dそれぞれと、今回配置した第二のスペーサ152Bと、の間隔(隙間)は、50.5μmである。
【0050】
このように本実施形態のアクティブリターダ1では、スペーサ部の遮光がおもに黒表示時の光漏れ抑制に効果を有し、これは左右目のバランス改善やクロストークの抑制に寄与する。それゆえ、本実施形態のアクティブリターダ1は、表示品位に優れるものとなる。
【0051】
遮光層170と第一の電極121との間には、平坦化するための平坦化膜(平坦化層とも称す)180が設けられる。平坦化膜180は、例えば、有機絶縁膜が好ましい。有機絶縁膜としては例えば、感光性樹脂等の比誘電率の小さい有機膜(比誘電率ε=2~5)や、その積層膜を用いることができる。具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、これらの積層体が挙げられる。
【0052】
平坦化膜180の厚みは特に限定されないが、例えば10nm以上、5μm以下であることが好ましい。より好ましくは30nm以上、3μm以下である。
【0053】
第一の基板111及び第二の基板112は、透明基板であることが好ましい。透明基板とは、可視光に対して透明な基板であればよい。例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0054】
第一の電極121及び第二の電極122は、透明電極であることが好ましい。透明電極としては例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金で形成することができる。
【0055】
第一の電極121及び第二の電極122は、それぞれ各基板の全面に面状に配置された電極、即ちいわゆるベタ電極であるが、パターニングされたものでもよい。
【0056】
本実施形態では、アクティブリターダ1は、ECBモードで駆動される。ECBモードとは、液晶層160の複屈折を電圧印加によって制御するものであり、液晶分子の初期配向状態の違いによって水平配向型、垂直配向型(VA)、HAN型に分類される。これらは液晶層に縦方向の電圧印加がなされる。なお、横方向の電圧印加がなされるFFS(Fringe Field Switching)モードや、IPS(In-Plane Switching)モード等も、液晶層の複屈折を電圧印加で制御しているという意味では、ECBモードの一種ということもできる。本実施形態では、ポジ型液晶を用い、液晶分子の初期配向が水平配向状態である縦電界型のECBモードを採用している。
【0057】
液晶層160は、液晶分子1601を含有する液晶材料から構成される。液晶層160に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶分子1601の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御することができる。なお、液晶層160への印可電圧が閾値未満の状態を、電圧無印可状態と称す。
【0058】
液晶分子1601は、下記式;
Δε=(長軸方向の誘電率)-(短軸方向の誘電率)
で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよいが、正の値を有するものが好ましい。本実施形態では、正の値を有する液晶分子を使用する。
なお、正の誘電率異方性を有する液晶分子はポジ型液晶ともいい、負の誘電率異方性を有する液晶分子はネガ型液晶ともいう。液晶分子の長軸方向が遅相軸の方向となる。
【0059】
液晶分子1601はまた、下記式(1):
11≧γ/{(Δε)×1.3×1011} (1)
(式中、K11は、液晶分子1601のスプレイ弾性定数(pN)を表す。γは、液晶材料の回転粘性係数(mPa・秒)を表す。Δεは、液晶分子1601の誘電率異方性を表す。)を満たすことが好ましい。即ちこの関係性を満たす誘電率異方性Δεを有する液晶分子を選択することが好適である。これにより、特に電圧オンからオフへの応答時間を短くすることができ、より超高速の画像切り替えに追従可能なアクティブリターダ1を得ることができる。
【0060】
液晶分子1601の誘電率異方性Δεは、上記式(1)を満たす範囲内であればよいが、高速応答をより実現する観点から、0.1以上であることが好ましい。より好ましくは0.11以上である。また、実生産を考慮したセル厚制御の観点から、0.22以下であることが好ましい。より好ましくは0.2以下である。
【0061】
液晶分子1601は、高速応答をより実現する観点から、スプレイ弾性定数K11が5pN以上であることが好ましい。より好ましくは10pN以上である。また、同様の観点から、30pN以下であることが好ましい。より好ましくは20pN以下である。最も好ましい範囲は10~20pNである。
【0062】
液晶層160を構成する液晶材料は、高速応答をより実現する観点から、回転粘性係数γが100mPa・秒(mPa・s)以下であることが好ましい。より好ましくは60mPa・秒以下である。また、同様の観点から、20mPa・秒以上であることが好ましい。より好ましくは30mPa・秒以上である。最も好ましい範囲は30~60mPa・秒である。
【0063】
液晶層160の厚み(セル厚)は、100nm~10μmであることが好適である。より好ましくは500nm~5μmであり、更に好ましくは1μm~3μmである。
【0064】
液晶層160の両側(観察面側及び背面側)には、配向膜が配置されている。更に、配向膜と電極との間に絶縁膜を設けてもよい。本実施形態では、第一の電極121と液晶層160との間に、該電極側から順に、絶縁膜131と配向膜141とが設けられ、第二の電極122と液晶層160との間に、該電極側から順に、絶縁膜132と配向膜142とが設けられている。
【0065】
配向膜141、142は、液晶層160に含まれる液晶分子の配向を制御する機能を有する。液晶層160への印可電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)の場合には、主に配向膜の働きによって液晶層160中の液晶分子の配向が制御される。配向膜の材料としては、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の、液晶表示パネルの分野で一般的な材料を用いることができる。
【0066】
絶縁膜131、132は、例えば、無機絶縁膜が好ましい。無機絶縁膜としては例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、これらの積層膜を用いることができる。各絶縁膜の厚みは特に限定されないが、例えば10nm以上、500nm以下であることが好ましい。より好ましくは30nm以上、300nm以下である。
【0067】
光学積層体10に組み合わせる位相差板20は、面内位相差Ro又は厚み方向位相差Rthを有するものであればよいが、面内位相差Roを有する1軸位相差板であることが好ましい。面内位相差Roの絶対値|Ro|は、50nm以上であることが好適である。より好ましくは80nm以上、更に好ましくは100nm以上である。また、500nm以下であることが好ましい。より好ましくは400nm以下、更に好ましくは350nm以下である。
【0068】
位相差板20としては、λ/4位相差板(λ/4板とも称す)、λ/2位相差板(λ/2板とも称す)が好適である。本実施形態では、後述するようにλ/4板を使用する。
【0069】
位相差板20は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。また、画像表示パネル2とアクティブリターダ1とを組み合わせる際、位相差板20は、画像表示パネル2側に配置されることが好適である。
【0070】
位相差板20の厚みは特に限定されないが、例えば10μm以上、500μm以下であることが好ましい。より好ましくは50μm以上、200μm以下である。
【0071】
位相差板20の材料としては特に限定されず、例えば、ポリマーフィルムを延伸したもの、液晶性材料の配向を固定したもの、無機材料から構成される薄板等を用いることができる。位相差板20の形成方法も特に限定されない。ポリマーフィルムから形成される場合、例えば、溶剤キャスト法、溶融押出し法等を用いることができる。共押出し法により、複数の位相差板20を同時に形成する方法を用いてもよい。所望の位相差が発現しさえすれば、無延伸であってもよいし、延伸が施されてもよい。延伸方法も特に限定されず、ロール間引張り延伸法、ロール間圧縮延伸法、テンター横一軸延伸法、斜め延伸法、縦横二軸延伸法の他、熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に延伸を行う特殊延伸法等を用いることができる。また、液晶性材料から形成される場合、例えば、配向処理を施した基材フィルムの上に液晶性材料を塗布し、配向固定する方法等を用いることができる。所望の位相差が発現しさえすれば、基材フィルムに特別な配向処理を行わない方法や、配向固定した後、基材フィルムから剥がして別のフィルムに転写加工する方法等であってもよい。更に、液晶性材料の配向を固定しない方法を用いてもよい。また、非液晶性材料から形成される場合も、液晶性材料から形成される場合と同様の形成方法を用いてもよい。
【0072】
位相差板20としては、固有複屈折(固有の屈折率異方性)が正の材料を成分として含むフィルムを延伸加工したもの等を適宜用いることができる。固有複屈折が正の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ノルボルネン、トリアセチルセルロース、ジアチルセルロース、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0073】
光学積層体10の製造方法や、光学積層体10と位相差板20とを用いてアクティブリターダ1を製造する方法は、特に限定されず、液晶パネルの分野において通常使用される方法を用いることができる。
【0074】
本実施形態のアクティブリターダ1は、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示する画像表示パネル2と組み合わせて使用することができ、この時間切替に同期してアクティブリターダ1が備える液晶層160への電圧印加を制御し、右目用画像と左目用画像用との偏光状態を異ならせるものである。本実施形態では、光学積層体10は、λ/2と0との間で位相差スイッチングを行う。位相差板20としてλ/4板を用い、かつ光学積層体10の遅相軸と位相差板20の遅相軸とが互いに直交するように配置する(図8参照)。これにより、本実施形態のアクティブリターダ1は、+λ/4と-λ/4との位相差スイッチングを行うことができる。
【0075】
以下では、本実施形態のアクティブリターダを備える表示装置(本実施形態の表示装置とも称す)を例に挙げて説明する。
【0076】
図4は、本実施形態の表示装置の断面模式図である。図5は、本実施形態の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。図6は、本実施形態の表示装置により画像が観察される機構を説明する模式図である。図7及び図8は、本実施形態の表示装置における光学系設定を示す模式図である。
【0077】
図4に示すように、本実施形態の表示装置1000は、上述した本実施形態のアクティブリターダ1と、画像表示パネル2と、を備える。表示装置1000は更に、画像表示パネル2の背面側にバックライト3を備える。表示装置1000はまた、図5に示す通り、表示領域1100と、表示領域1100の外縁に配置された額縁領域1200とを有する。表示領域1100は、任意の画像等が表示される領域である。つまり、光源点灯時に、表示装置1000の観察面側から視認される領域である。一方、額縁領域1200は、表示領域1100の外縁に額縁状に配置された領域である。額縁領域1200は、光を透過しなくてもよい。
【0078】
画像表示パネル2は、複数の画素を有する画像表示パネルである。画像表示パネル2は、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示するものであり、上述したようにアクティブリターダ1は、この時間切替に同期して右目用画像R(G)と左目用画像用L(G)との偏光状態を異ならせる(図6参照)。観察者は、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1側からこの画像を視認する(図6図8参照)。
【0079】
画像表示パネル2としては、マトリクス状に配列された複数の画素を有する画像表示パネルを用いることが好適である。本実施形態では、画像表示パネル2として、液晶を利用した液晶表示パネルを用いる。
【0080】
液晶表示パネル2の構成は特に限定されず、一対の基板間で液晶層が挟持された構造のものが挙げられる。例えば、一方の基板に画素電極及び共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで表示を行うもの、一方の基板に画素電極、他方の基板に共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで表示を行うもの、等が挙げられる。より具体的には、横電界方式としては、FFSモードやIPSモード等が挙げられ、縦電界方式としては、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード等が挙げられる。
【0081】
液晶表示パネル2の液晶モードは特に限定されず、液晶層260中の液晶分子を基板面に垂直に配向させることで黒表示を行うものであってもよいし、液晶層260中の液晶分子を基板面に平行又は垂直でも平行でもない方向に配向させることで黒表示を行うものであってもよい。また、液晶表示パネルの駆動形式としては、TFT方式(アクティブマトリクス方式)の他、単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)、プラズマアドレス方式等であってもよい。
【0082】
本実施形態では、画像表示パネル(液晶表示パネル)2は、図4に示すように、一対の基板211、212間に液晶層260が狭持された構造を有する。一方の基板(本実施形態では基板211)に、画素電極及び共通電極が設けられている(図示せず)。基板211にはまた、ブラックマトリクス層(BM層)250と、BM層の間に規則的に配列するように設けられたカラーフィルタ層240(青色カラーフィルタ層240B、赤色カラーフィルタ層240R及び緑色カラーフィルタ層240G)とが形成されている。
なお上述したように、画像表示パネル2は、BM層250を備え、かつBM層250が平面視で格子状に配置されたものが好適である。
【0083】
画像表示パネル2としては、自発光型の表示パネルを用いることもできる。自発光型の表示パネルとしては例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)型の表示パネルや、マイクロメートル(μm)単位の微細なLEDをRGB素子として使用したMicro-LED型の表示パネル等が挙げられる。
【0084】
バックライト3は、光を照射するものであれば特に限定されない。例えば、バックライト3が、光源と反射シートとを有する構成が挙げられる。光源としては、一般的なバックライト光源、即ち例えば、冷陰極管(CCFL)、発光ダイオード(LED)等の光源を使用することができる。
【0085】
バックライト3はまた、直下型でもよいし、エッジライト型でもよい。エッジライト型の場合を例に挙げると、バックライト3が、光源、反射シート及び導光板を有する構成が挙げられる。光源は、導光板の端面に配置され、反射シートは、導光板の背面に配置される。導光板は、映像表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。反射シートとしては、例えば、アルミ板、白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、反射フィルム(例えば、3M社製、ESR(Enhanced Specular Reflector)フィルム)等が挙げられる。
【0086】
本実施形態の表示装置1000は、上述した部材の他、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;偏光板、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム);等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0087】
偏光眼鏡4は、アクティブリターダ1からの右目用画像の偏光光が右目側を透過し、左目用画像の偏光光が左目側を透過するように設計されている。これにより観察者は3D表示を得ることができる。
【0088】
偏光眼鏡4としては、アクティブリターダ1からの左目用画像及び右目用画像が、互いに直交する偏光軸を有する直線偏光画像である態様では、左目と右目との偏光軸が互いに直交する直線偏光眼鏡が用いられる。また、アクティブリターダ1からの左目用画像及び右目用画像が、互いに逆向きの円偏光画像である態様では、左目と右目との円偏光が互いに逆向きの円偏光眼鏡が用いられる。本実施形態では、円偏光眼鏡を使用している(図7及び図8参照)。
【0089】
偏光眼鏡4は、左目には-λ/4位相差板41が配置され、右目には+λ/4位相差板42が配置されており、当該位相差板41、42の観察者側には、透過軸方向tが偏光眼鏡4の左右方向に平行にある直線偏光板40が配置されている(図7及び図8参照)。上述したように本実施形態のアクティブリターダ1は、画像表示パネル2による時間切替に同期して液晶層160への電圧印加を制御することで、+λ/4と-λ/4との位相差スイッチングを行う。アクティブリターダ1の位相差スイッチング状態が+λ/4である場合、偏光眼鏡4の左目位相差は0(=(+λ/4)+(-λ/4))、右目位相差は+λ/2(=(+λ/4)+(+λ/4))となる。この場合、左目は偏光光が透過せず、右目は偏光光が透過する。一方、アクティブリターダ1の位相差スイッチング状態が-λ/4である場合、偏光眼鏡4の左目位相差は-λ/2(=(-λ/4)+(-λ/4))、右目位相差は0(=(+λ/4)+(-λ/4))となる。この場合、左目は偏光光が透過し、左目は偏光光が透過しない。特に本発明では、右目用画像又は左目用画像のいずれか一方をノーマリーホワイトモードで表示し、他方をノーマリーブラックモードで表示することが好適である。
【0090】
(実施形態1の変形例1)
実施形態1では、アクティブリターダ1が、光学積層体10と、位相差板20とを備える態様について説明した。だが、光学積層体10が備える基板111、112の少なくとも一方が、位相差板を兼ねる態様であってもよい。即ち本変形例のアクティブリターダ1は、光学積層体10からなる(図9参照)。基板111、112の中でも、画像表示パネル2側に位置する基板(図9では基板112)が位相差板であることが好適である。図9は、本変形例の表示装置の断面模式図である。
【0091】
(実施形態1の変形例2)
実施形態1では、アクティブリターダ1が縦電界型のECBモードで駆動される態様について説明したが、縦電界型のTNモードやOCBモード、VAモードであってもよい。
【0092】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一のスペーサ151と第二のスペーサ152とを形成する方法が異なること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0093】
本実施形態では、一対の基板のうち一方の基板(本実施形態では第一の基板111)側に柱状スペーサをすべて同じ高さで形成する一方で、第二の基板112側の、柱状スペーサの一部の対向部となる位置に、台座153を設ける。そして、これらの基板を、液晶材料を挟んで貼り合わせることで、台座153が組み合わされていない柱状スペーサは第一のスペーサ151となり、台座153が組み合わされた柱状スペーサは、第二のスペーサ152となる(図10参照)。図10は、本実施形態のアクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
【0094】
本実施形態では、実施形態1のように一方の基板に複数種類の柱状スペーサを形成する必要がなくなるため、当該基板についての工程が簡略化される。
また通常、アクティブリターダは、超高速の画像切り替えに追従したスイッチングを行う必要があるため、液晶層の厚み(セル厚)が薄くなる傾向にある。それゆえ、製造バラツキを含めたセル厚コントロールが難しいのが現状である。だが、本実施形態では、一方の基板に設ける柱状スペーサの高さと、もう一方の基板に設ける台座の高さとを予め測定しておくことで、最適なセル厚が得られる組み合わせを選別して、基板を貼り合わせることが可能になる。従って、本実施形態は、セル厚コントロールの観点からも有利である。
【0095】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、柱状スペーサ150を限定的に遮光する遮光手段が異なること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0096】
図11は、本実施形態のアクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。図11に示す通り、光学積層体10は、一対の基板111、112と、一対の電極121、122と、液晶層160と、柱状スペーサ150(151、152)と、を備える。より具体的には、観察面側から、第一の基板111、第一の電極121、液晶層160、第二の電極122、及び、第二の基板112を備える。電極121、122それぞれと液晶層160との間には、該電極側から順に、それぞれ絶縁膜131、132、配向膜141、142が配置されている。
【0097】
本実施形態では、柱状スペーサ150を限定的に遮光する遮光手段として、柱状スペーサ150(本実施形態では第一のスペーサ151及び第二のスペーサ152)が、遮光体で形成されている。つまり柱状スペーサ150自体が、遮光部である。このような遮光手段を備えることによっても、柱状スペーサ150周辺の位相差ずれによる3D表示性能の劣化(クロストーク発生)を充分に抑制することができる。本実施形態ではまた、実施形態1では設けた平坦化膜180及び遮光層170を不要にすることができるため、製造プロセスを簡略化することもできる。
【0098】
遮光体である柱状スペーサ150の材料は特に限定されないが、上述したメタルBMや樹脂BM等が挙げられる。また、遮光体の光透過率は、例えば0~1%であることが好ましい。
【0099】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態3と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、柱状スペーサ150(151、152)を形成する方法が異なること以外は、実施形態3と実質的に同じである。
【0100】
本実施形態では、一対の基板のうち一方の基板(本実施形態では第一の基板111)側に、柱状スペーサ(遮光体)をすべて同じ高さで形成する一方で、第二の基板112側の、柱状スペーサの一部の対向部となる位置に、台座153を設ける。そして、これらの基板を、液晶材料を挟んで貼り合わせることで、台座153が組み合わされていない柱状スペーサは第一のスペーサ151となり、台座153が組み合わされた柱状スペーサは、第二のスペーサ152となる(図12参照)。図12は、本実施形態のアクティブリターダが備える光学積層体の断面模式図である。
【0101】
本実施形態では、台座153を、通常の柱状スペーサの材料(透光性を有する樹脂材料等)で形成する。なお、台座153は遮光体であってもよい。
【0102】
(実施形態5)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。柱状スペーサ150の配置が異なること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0103】
図13は、本実施形態の柱状スペーサ150の配置を示す平面模式図である。図14は、本実施形態(及び後述する本実施形態の変形例1、2)の表示装置を、観察面側から見たときの平面模式図である。
【0104】
ところで、アクティブリターダ1と組み合わせる画像表示パネル2は、表示装置の基本的な表示性能を担うものである。従って、画像表示パネル2は、コントラスト低下や混色を防ぐ上で、ブラックマトリクス(BM)層を備え、かつBM層が平面視で格子状に配置されることが好適である。一方、アクティブリターダ1において、BM等から形成される遮光層170を、画像表示パネル2のBM層と同様に格子状に配置した場合には、アクティブリターダ1と画像表示パネル2とを重ね合わせたときに、画像表示パネル2のBM層とアクティブリターダ1の遮光層170との規則的な関係性に起因して両者が互いに干渉し、モアレが発生する懸念がある。視差の影響を考えると、透過率のロスも懸念される。だが、アクティブリターダ1は、画像表示パネル2から出射された光の偏光状態を、基板面内の広い範囲で一括制御するものである。それゆえ、アクティブリターダ1においては、遮光層170の配置を、必ずしも格子状等の規則的な配置にしなくてもよいと考えられる。そこで本発明では、アクティブリターダ1における遮光層170を、ドット状に配置することが好ましく、同様に柱状スペーサ150をドット状に配置することが好適である。中でも、後述するようにランダムに配置することが好適である。また、モアレ抑制の観点から、柱状スペーサ150及び遮光層170は、格子状又はライン状に配置されないことが好適である。
【0105】
本実施形態では、図13に示されるように、液晶層160を平面視したときの1152.1μm×1152.1μm角からなる単位を基本単位(繰り返し単位)Uとして、この基本単位Uが液晶層160の全エリアに繰り返し配置されている。一つの基本単位Uでは、直径φが約15.3μm、高さが1.6μmである第二のスペーサ152が3個配置され、また、短径が約15μm、かつ長径が40μm、高さが1.3μm、角が四分円である形状の第一のスペーサ151が多数配置されている。その配置は、実施形態1に比べて極めてランダムである。本実施形態では、モアレの発生をより一層抑制することができる。
【0106】
ここで、画像表示パネル2の画素ピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチBの長さが77.7μmである場合、実施形態1では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチ(932.4μm)が、上記Bの長さの整数倍となる。一方、本実施形態では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチ(1152.1μm)は、上記Bの長さの整数倍とはならない。このように本実施形態では、柱状スペーサの繰り返しピッチと画素ピッチとが画面内で揃うことが無いため、両者の規則的な関係性がより崩れ、両者の干渉をより防ぐことができるため、モアレの発生が更に抑制される。図15は、画像表示パネル2の画素ピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチBを説明するための平面模式図である。
【0107】
表示装置の表示領域1100の長辺A(図15参照)の長さが59.6736cmである場合、実施形態1では、この長さは、柱状スペーサ150の繰り返しピッチ(932.4μm)の整数倍となる。一方、本実施形態では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチ(1152.1μm)は、上記Aの長さの整数倍とはならない。この場合も、柱状スペーサの繰り返しピッチと画素ピッチと規則的な関係性がより崩れ、両者の干渉をより防ぐことができるため、モアレの発生が更に抑制される。
【0108】
(実施形態5の変形例1及び変形例2)
実施形態5では、液晶層160を平面視したときの1152.1μm×1152.1μm角からなる単位を繰り返し単位Uとする態様について説明したが、この繰り返しピッチを、上記Bの整数倍にならない範囲内で更に変更してもよい。変形例1では、液晶層160を平面視したときの1474.3μm×1474.3μm角からなる単位を、繰り返し単位Uとし(図16参照)、変形例2では、液晶層160を平面視したときの1978.0μm×1978.0μm角からなる単位を、繰り返し単位Uとする(図17参照)。本変形例1及び2では、モアレパターンがより細分化され、実施形態5よりもモアレパターンが更に目立ちにくくなる。図16は、本変形例1の柱状スペーサ150の配置を示す平面模式図であり、図17は、本変形例2の柱状スペーサ150の配置を示す平面模式図である。
【0109】
従って本発明では、モアレをより充分に抑制する観点から、柱状スペーサ150の繰り返しピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチCの長さが、上記B(即ち、画像表示パネル2の画素ピッチのうち、表示装置の表示領域1100の長辺Aと平行なピッチ)の長さの整数倍でないことが好適である。中でも、上記Bの長さの10倍~30倍であって、かつ整数倍でないことがより好ましい。更に好ましくは、上記Bの長さの15倍~30倍であって、かつ整数倍でないことである。
【0110】
また同様の観点から、表示装置の表示領域1100の長辺Aの長さは、上記C(即ち、柱状スペーサ150の繰り返しピッチのうち上記長辺Aと平行なピッチ)の長さの整数倍でないことが好適である。中でも、上記Cの長さの20倍~60倍であって、かつ整数倍でないことがより好ましい。更に好ましくは、上記Bの長さの30倍~45倍であって、かつ整数倍でないことである。
【0111】
(実施形態6)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。アクティブリターダ1と画像表示パネル2との間に光拡散粘着層5を有すること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0112】
本実施形態の表示装置1000は、図18に示すように、アクティブリターダ1と、画像表示パネル2との間に、光拡散粘着層5を有する。これにより、モアレの発生を充分に抑制することが可能になる。図18は、本実施形態のアクティブリターダの断面模式図である。
【0113】
光拡散粘着層5は、例えば、光散乱フィルムを用いることができる。光散乱フィルムは例えば、支持体と、支持体の両面に形成された粘着層を有し、該支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着層に微細粒子が混入されたフィルムである。光拡散粘着層5はまた、例えば、レンチキュラレンズ等のレンズであってもよい。
【0114】
光拡散粘着層5の厚みは特に限定されないが、例えば5μm以上、200μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以上、100μm以下である。なお、光拡散粘着層5は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
【0115】
(実施形態7)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。柱状スペーサ150として第二のスペーサ152のみを有すること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0116】
図19は、本実施形態のアクティブリターダが備える光学積層体10の断面模式図である。図19に示す通り、光学積層体10は、一対の基板111、112と、一対の電極121、122と、液晶層160と、柱状スペーサ150(152)と、を備える。より具体的には、観察面側から、第一の基板111、第一の電極121、液晶層160、第二の電極122、及び、第二の基板112を備える。第一の基板111と第一の電極121との間には、柱状スペーサ150(152)を限定的に遮光するための遮光層170が設けられ、遮光層170と第一の電極121との間には平坦化膜180が設けられている。また、電極121、122それぞれと液晶層160との間には、該電極側から順に、それぞれ絶縁膜131、132、配向膜141、142が配置されている。
【0117】
本実施形態では、光学積層体10は、柱状スペーサとして、液晶層160の厚みを制御するために配置される、液晶層160の厚みに等しい高さを有する第二のスペーサ152のみを有する。つまり、浮島状に配置された第一のスペーサ151を有さない。本実施形態では、製造プロセスを簡略化することができる上、柱状スペーサの密度を低減できる。柱状スペーサの密度が低減されると、モアレの発生がより一層抑制され得る。従って、本実施形態のアクティブリターダ1は、タッチパネル式ではない表示装置(例えば、タッチパネル機能が搭載されていない表示装置)により一層有用なものとなる。
【0118】
(実施形態8)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。実施形態1では、アクティブリターダ1が1個の光学積層体を有する構成について説明したが、光学積層体を2個以上有してもよい。本実施形態では、光学積層体として第一の光学積層体と第二の光学積層体とを有する構成について説明する。
【0119】
図20は、本実施形態のアクティブリターダの断面模式図である。図20に示す通り、アクティブリターダ1は、2個の光学積層体10(即ち第一の光学積層体11及び第二の光学積層体12)と、位相差板20と、を備える。図21は、本実施形態の表示装置における光学系設定を示す模式図である。
【0120】
画像表示パネル2は、複数の画素を有する画像表示パネルである。画像表示パネル2は、右目用画像と左目用画像とを時間切替で順次表示するものであり、上述したようにアクティブリターダ1は、この時間切替に同期して右目用画像R(G)と左目用画像用L(G)との偏光状態を異ならせる(図6参照)。観察者は、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1側からこの画像を視認する(図6図7及び図21参照)。
【0121】
本実施形態では、第一の光学積層体11及び第二の光学積層体12はいずれも、λ/4と0との間で位相差スイッチングを行う。即ちこれらを組み合わせた全体として、λ/2と0との間で位相差スイッチングを行う。位相差板20としてλ/4板を用い、かつ第一の光学積層体11の遅相軸sと第二の光学積層体12の遅相軸sとが互いに平行にあり、第一の光学積層体11又は第二の光学積層体12のいずれかの遅相軸sと、位相差板20の遅相軸sとが互いに直交するように配置する(図21参照)。これにより、本実施形態のアクティブリターダ1は、+λ/4と-λ/4との位相差スイッチングを行うことができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0123】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0124】
(実施例1)
実施例1のアクティブリターダ及び表示装置は、上記実施形態1のアクティブリターダ及び表示装置にそれぞれ対応する(図1図8参照)。アクティブリターダ1が有する光学積層体10は以下の手順で作製した。図22は、本例の表示装置の構造を概念的に示す図である。
(上側基板の作製)
0.5mm厚のガラス基板111上に、遮光層170、平坦化層180、透明導電膜121、絶縁膜131及び柱状スペーサ150(151、152)を形成した。遮光層170は、柱状スペーサ150に重畳する位置に配置した。遮光層170の材料は樹脂BMを用い、厚みは1.2μmとした。なお、不透明なメタルBMを用いてもよい。平坦化膜180は透明有機膜で形成し、厚みは2μmとした。透明導電膜121の材料はIZOを用い、厚みは70nmとした。絶縁膜131の材料はSiNを用い、厚みは80nmとした。柱状スペーサ150を、遮光層170に隠れる位置に配置した。柱状スペーサのうち、浮島状に配置した第一のスペーサ151の大きさは15μm×40μm、高さ1.3μmとし、それ以外の第二のスペーサ152の大きさは直径φ15μm、高さ1.6μmとし、ともに透明有機膜で形成した。
(下側基板の作製)
0.5mm厚のガラス基板112上に、透明導電膜122及び絶縁膜132を形成した。透明導電膜122の材料はIZOを用い、厚みは70nmとした。絶縁膜132の材料はSiNを用い、厚みは80nmとした。画面サイズは27型、有効表示領域は横581.8176mm、縦333.7992mm、上下中央で透明電極膜が分割された2セグメントの電極構造とした(図22参照)。
(液晶層)
上述したようにして作製した両基板にそれぞれ配向膜を塗布形成した後(141、142)、液晶材料を滴下して貼り合わせた。配向膜141、142の材料は水平配向用のポリイミドを用い、各厚みは90nmとして、ラビング方向がアンチパラレルとなるように各配向膜表面のラビング処理を行った。液晶分子の誘電率異方性は正であり、Δεは0.16である。
【0125】
(比較例1)
上側基板から遮光層170と平坦化層180とを除去したこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体10Rを作製し、アクティブリターダ及び表示装置を作製した。図23は、本例のアクティブリターダが備える光学積層体10Rの断面模式図である。光学積層体10Rは、遮光層等の遮光手段を有さないため、柱状スペーサ150にも入射光が透過する構成となっている。
【0126】
(評価試験1)
実施例1及び比較例1の各表示装置について、画像表示パネル2から時間切替で順次表示される右目用画像R(G)と左目用画像用L(G)とを、偏光眼鏡4を使用して、アクティブリターダ1側から観察した(図6参照)。偏光眼鏡4における左目及び右目の観察写真を図24に示す。
【0127】
図24において、「LC:Off」とは、アクティブリターダの液晶層への電圧無印可時を意味する。このとき、アクティブリターダの位相差スイッチング状態は+λ/4となり、偏光眼鏡4では、左目は偏光光が透過せず(黒状態)、右目は偏光光が透過する(白状態)。一方、「LC:On」とは、アクティブリターダの液晶層への電圧印可時を意味する。このとき、アクティブリターダの位相差スイッチング状態は-λ/4となり、偏光眼鏡4では、左目は偏光光が透過し(白状態)、左目は偏光光が透過しない(黒状態)。
【0128】
図24に示されるように、実施例1では、左右の目の黒状態と白状態とに大きな違いはない。また、黒状態での光漏れも無い。それゆえ、左右目のバランスが良好であり、かつクロストークが少ないことが示唆される。
【0129】
これに対し、比較例1では、左右の目の黒状態と白状態とに違いが確認される。左目の黒状態には光漏れが有るが、右目の黒状態には光漏れが無い。光漏れは、クロストークの悪化を意味する。また、右目の白状態は、一部暗い領域があるが、左目の白状態は、全面が明るい。それゆえ、クロストークや左右目のバランスに課題があることが示唆される。
【0130】
図25は、比較例1のアクティブリターダについて、液晶層への電圧無印可時の液晶分子の配向(水平配向)の様子を概念的に示した図である。液晶層160中、柱状スペーサ150が存在しない領域では、所望のセル厚となることで、適正な位相差が得られる(図中、〇の領域を参照)。一方、柱状スペーサ150が存在する領域では、セル厚が変化するため、位相差が小さくなるか(図中、△の領域を参照)、又は、ゼロとなる(図中、×の領域を参照)。液晶層への電圧無印可状態で表示を行う場合(左目は黒状態、右目は白状態)、セル厚が適正な領域(図中の〇の領域)では、それぞれ所望の黒状態と白状態とが得られる。だが、セル厚が変化した領域(図中の△、×の領域)では、位相差のズレによって、黒状態で光漏れが発生したり、白状態で暗領域が発生したりする。これに対し、実施例1では、柱状スペーサ150を限定的に遮光する遮光手段を設けること(即ち具体的には、柱状スペーサ150と重畳する位置に遮光部170を設けること)によって、位相差にズレが生じる領域(図25中の△、×の領域)が、表示に寄与しなくなる。その結果、左右目のバランスやクロストーク現象が改善される、と考えられる。
【0131】
(評価試験2)
実施例1及び比較例1の各表示装置について、クロストーク率を測定した。即ち、画像表示パネル2での表示(ベース表示)を白又は黒とし、アクティブリターダ1の動作を、Left(左目を明状態、右目を暗状態)、Right(右目を明状態、左目を暗状態)とした場合に、偏光眼鏡4を通した角度依存性の輝度を表1に示す通りとすると、各クロストーク率は、下記式(2)及び(3)により求めることができる。下記式(2)及び(3)より求められる各クロストーク率は、一方の目に他方用の画像が混入する程度を表しており、この値が小さいほど、クロストークが少なく良好であると判断できる。結果を表2に示す。表2に示す値は、正面方向からの測定結果である。
【0132】
【表1】
【0133】
【数1】
【0134】
【表2】
【0135】
表2に示されるように、実施例1では、クロストーク率は、左右ともに0.7%であった。これに対し、比較例1では、左目クロストーク率が3.2%と大きい上、右目クロストーク率が0.7%となっており、左右バランスも良好ではない。従って、本発明により左右目のバランス及びクロストーク現象が改善されることが明らかとなった。
【0136】
(実施例2)
実施例2のアクティブリターダ及び表示装置は、上記実施形態2のアクティブリターダ及び表示装置にそれぞれ対応する(図1図3図8及び図10参照)。アクティブリターダ1が有する光学積層体10は、以下に述べる事項を除き、実施例1と同様にして作製した。
(上側基板の作製)
全ての柱状スペーサの高さを同じにした。
(下側基板の作製)
一部の柱状スペーサの対向部に、台座153を設けた。台座153は、透明有機膜で形成した。この台座153を、対向側の柱状スペーサ(上側基板で設けた柱状スペーサ)と組み合わせることで、第二のスペーサ152として機能させる。
【0137】
本例の表示装置でも左右目のバランスやクロストーク現象が改善されるが、本例では更に、上側基板に複数種類の柱状スペーサを設ける必要がなくなり、上側基板の製造工程が簡略化される。また上述したように、本例はセル厚のコントロールの面からも有利である。
【0138】
(実施例3)
実施例3のアクティブリターダ及び表示装置は、上記実施形態3のアクティブリターダ及び表示装置にそれぞれ対応する(図1図3図8及び図11参照)。アクティブリターダ1が有する光学積層体10は、以下に述べる事項を除き、実施例1と同様にして作製した。
(上側基板の作製)
柱状スペーサ150を遮光体(樹脂BM)で形成し、実施例1のアクティブリターダ1が備える遮光層170と平坦化膜180とを除去した。
【0139】
本例の表示装置でも左右目のバランスやクロストーク現象が改善されるが、本例では更に、製造プロセスが簡略化される。
【0140】
(実施例4-1~4-4)
表示装置の表示領域1100の長辺は59.6736cmであり、画像表示パネル2の画素ピッチは77.7μmである。
実施例4-1のアクティブリターダ及び表示装置は、上記実施例1(実施形態1)のアクティブリターダ及び表示装置に対応する(図1図8参照)。この実施例4-1では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチは932.4μmである(図3参照)。
実施例4-2のアクティブリターダ及び表示装置は、実施形態5のアクティブリターダ及び表示装置に対応する(図1図2図4図8図13及び図14参照)。この実施例4-1では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチは1152.1μmであり、各繰り返しピッチ内では、柱状スペーサ150がランダムに配置されている(図13参照)。
実施例4-3のアクティブリターダ及び表示装置は、実施形態5の変形例1のアクティブリターダ及び表示装置に対応する(図1図2図4図8図14及び図16参照)。この実施例4-1では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチは1474.3μmであり、各繰り返しピッチ内では、柱状スペーサ150がランダムに配置されている(図16参照)。
実施例4-4のアクティブリターダ及び表示装置は、実施形態5の変形例2のアクティブリターダ及び表示装置に対応する(図1図2図4図8図14及び図17参照)。この実施例4-1では、柱状スペーサ150の繰り返しピッチは1978.0μmであり、各繰り返しピッチ内では、柱状スペーサ150がランダムに配置されている(図17参照)。
実施例4-1~4-4においては、スペーサ配置条件に対するモアレの様子の変化を分かり易く示すため、柱状スペーサ150に重畳する位置へ遮光層170は設けなかった。
【0141】
実施例4-1の表示装置では、アクティブリターダ1の液晶層への電圧無印可時(左目、黒状態)にモアレが観測された。図26は、観測されたモアレを拡大した写真である。画像表示パネル2の画素パターンが拡大されて現れている。図27は、実施例4-1~実施例4-4の表示装置について、4cm角(平面視)でのモアレパターンの観測写真である。図27中、括弧内の数値は、繰り返し単位の一辺の長さ、即ち繰り返しピッチ(μm)である。
【0142】
図27より、実施例4-2~4-4ではモアレが観測されにくくなり、特に実施例4-3及び実施例4-4では、モアレパターンがより細分化されて目立たなくなったことが分かる。実施例4-2~4-4のように柱状スペーサ150の配置を特徴づけること(即ち、繰り返しピッチ内でランダムに配置すること)で、モアレを充分に抑制することが可能になる。
【0143】
なお、実施例4-1~4-4の構成において、柱状スペーサ150に重畳する位置に遮光層170を付与することで、左右目に対する表示バランスが改善され、表示品質により一層優れるものとなることも分かった。
【0144】
(実施例5-1、5-2)
実施例5-1の表示装置は、アクティブリターダ1と画像表示パネル2とを、光拡散粘着層5としてのOCA(光学用透明粘着剤)を用いて貼合したこと以外は、実施例4-1(実施例1)の表示装置と同じである。
実施例5-2の表示装置は、アクティブリターダ1と画像表示パネル2とを、光拡散粘着層5としてのOCA(光学用透明粘着剤)を用いて貼合したこと以外は、実施例4-4の表示装置と同じである。
【0145】
実施例4-1の表示装置と、実施例5-1の表示装置とについて、モアレの有無を比較した。図28に結果を示す。光拡散粘着層5を備えることにより、モアレが目立たなくなることが分かる。
【0146】
実施例4-4の表示装置と、実施例5-2の表示装置とについて、モアレの有無を比較した。図29に結果を示す。実施例4-4の表示装置でもモアレは充分に抑制されているが、光拡散粘着層5を備えることにより、更にモアレが更に目立たなくなり、人間の目には見えないレベルにまで解消された。
【0147】
(実施例6)
実施例6は、実施例1のアクティブリターダにおいて、液晶分子の誘電率異方性Δεを、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2に異ならせた例である。なお、このうちΔε=0.16である例(図30の(f))は、上記実施例1(実施例4-1)に相当する。図30は、誘電率異方性Δεが、(a)0.11、(b)0.12、(c)0.13、(d)0.14、(e)0.15、(f)0.16、(g)0.17、(h)0.18、(i)0.19又は(j)0.2である液晶分子各々についての、液晶分子の回転粘性係数γと、スプレイ弾性定数K11を示すグラフである。図30において、横軸に液晶材料の回転粘性係数γ(mPa・秒)を示し、縦軸に液晶分子のスプレイ弾性定数K11(pN)を示す。
【0148】
例えばΔε=0.16の液晶分子であれば、図30中、座標(γ=30、K11=20)と座標(γ=30、K11=10)間の線分(即ちy軸)と、座標(γ=30、K11=10)と座標(γ=直線(f)においてK11が10である場合のγ値、K11=10)間の線分と、直線(f)と、座標(γ=60、K11=直線(f)においてγが60である場合のK11値)と座標(γ=60、K11=20)間の線分と、座標(γ=60、K11=20)と座標(γ=30、K11=20)間の線分(即ち上側のx軸)と、から構成される五角形の範囲内が、アクティブリターダにより好ましい範囲である。即ちΔε=0.16の液晶分子であれば、γ11及びK11は、この五角形の範囲内の値を採ることが好適である。また、Δε=0.14の液晶分子であれば、図30中、座標(γ=30、K11=20)と座標(γ=30、K11=直線(d)においてγが30である場合のK11値)との線分と、直線(d)と、座標(γ=直線(d)においてK11が20である場合のγ値、K11=20)と座標(γ=30、K11=20)間の線分と、から構成される三角形の範囲内が、アクティブリターダにより好ましい範囲である。即ちΔε=0.14の液晶分子であれば、γ11及びK11は、この三角形の範囲内の値を採ることが好適である。
【0149】
アクティブリターダには高速画像切り替えに対応したスイッチングが求められるため、超高速応答が必要となる。本例のアクティブリターダは、ポジ型液晶を用いた縦電界型のECBモードを採用しているが、電圧オンからオフへの切り替えが課題となることがある。本モードでは、オフの応答速度は一般に、下記式(4)に従う。
τd=γ×d/(π×K11) (4)
式中、τは、電圧オンからオフへの応答時間(単位はミリ秒(ms))を表す。γは、液晶材料の回転粘性係数(mPa・秒)を表す。dは、液晶層の厚み(セル厚;単位はμm)を表す。K11は、液晶分子のスプレイ弾性定数(pN)を表す。
【0150】
上記式(4)から変数部分を抜き出し、位相差Δndを定数と見て、dを(1/Δε)と読み替えることにより、応答に効く指標値(γ/{K11×(Δε)})を得ることができる。例えば実施例1で用いた液晶材料は、測定温度20℃において、γ=48(mPa・秒)、Δε=0.16、K11=14.1(pN)であり、下記式(5):
γ/{K11×(Δε)}=1.3×1011 (5)
となる。上記評価試験1における実施例1の結果より、本液晶材料を用いて得たクロストーク率0.7%は、所望の3D表示が可能なレベルである。従って、ここで得た指標値以下となる液晶材料、即ち下記式(1)を満たす液晶材料は、アクティブリターダ向けの液晶材料としてより好適であることが分かる。
11≧γ/{(Δε)×1.3×1011} (1)
【0151】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1、1R :アクティブリターダ
2、2R :画像表示パネル
3 :バックライト
4 :偏光眼鏡
5 :光拡散粘着層
10、10R、11、12:光学積層体
20 :位相差板
40 :偏光板
41、42 :位相差板
61 :トルクメーター
62 :ガラスファイバー
63 :NMR用のガラスチューブ
64 :試料
65 :マグネット
111、112:基板
121、122:電極
131、132:絶縁膜
141、142:配向膜
150、151、152:柱状スペーサ
153 :台座
160 :液晶層
170 :遮光部、遮光体
180 :平坦化膜
211、212:基板
240、240B、240G、240R:カラーフィルタ層
250 :ブラックマトリクス層
260 :液晶層
1000、1000R:表示装置
1100 :表示領域
1200 :額縁領域
1601 :液晶分子
A :表示領域の長辺
B :画素ピッチ
G :画像
R(G) :右目用画像
L(G) :左目用画像
s :面内遅相軸
t :透過軸
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