(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090758
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】板体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
E04F13/08 101L
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206849
(22)【出願日】2022-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】521373319
【氏名又は名称】兼松トレーディング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522321036
【氏名又は名称】株式会社OCEAN-PLANNING
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】江見 智維
(72)【発明者】
【氏名】大庭 直己
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB23
2E110BA12
2E110BB02
2E110BC03
2E110CA07
2E110DA10
2E110DC32
2E110GA33W
(57)【要約】
【課題】躯体を構成する壁に対する非磁性の金属製または木製の板体の取り付けおよび取り外しの作業を容易に行うことができ、その作業の際の労力を軽減し、その作業に要する時間を短縮することができる板体の施工方法を提供すること。
【解決手段】板体の施工方法は、プリント板1に、厚さ方向に突出する突出部11、12を形成し、板体7に、厚さ方向に突出する突出部71、72を形成する第1工程と、プリント板1に板体7を両面粘着テープ9で粘着し、突出部11、12を両面粘着テープ9の粘着剤に穿刺して、積層体101を得る第2工程と、石膏ボード3にマグネットシート2を両面粘着テープ4で粘着する第3工程と、板体7をマグネットシート2に磁力で吸着させ、突出部71、72をマグネットシート2に穿刺して、積層体101(プリント板1)を取り付ける第4工程とを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性の金属製または木製の第1の板体に、前記第1の板体の厚さ方向に突出する第1の突出部を形成し、強磁性体を含む第2の板体に、前記第2の板体の厚さ方向に突出する第2の突出部を形成する第1工程と、
前記第1の板体に前記第2の板体を第1の粘着剤で粘着し、前記第1の突出部を前記第1の粘着剤に穿刺して、積層体を得る第2工程と、
躯体を構成する壁に永久磁石を含むシートを第2の粘着剤で粘着する第3工程と、
前記第2の板体を前記シートに磁力で吸着させ、前記第2の突出部を前記シートに穿刺して、前記積層体を取り付ける第4工程とを有することを特徴とする板体の施工方法。
【請求項2】
前記第2工程よりも前に、前記第1の粘着剤は、前記第2の板体に設けられる請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項3】
前記第3工程よりも前に、前記第2の粘着剤は、前記シートに設けられる請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項4】
前記第1工程では、前記第1の板体の母体を切断して前記第1の板体を製造し、
前記第1の突出部は、前記第1の板体の前記母体を切断する際に形成されるバリである請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項5】
前記第1工程では、前記第2の板体の母体を切断して前記第2の板体を製造し、
前記第2の突出部は、前記第2の板体の前記母体を切断する際に形成されるバリである請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項6】
前記第1の突出部の前記第1の板体の厚さ方向の長さをd1、前記第1の板体の厚さをd2としたとき、d1/d2は、0.05以上、0.4以下である請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項7】
前記第2の突出部の前記第2の板体の厚さ方向の長さをd3、前記第2の板体の厚さをd4としたとき、d3/d4は、0.05以上、0.4以下である請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項8】
前記壁は、非磁性体で構成されている請求項1に記載の板体の施工方法。
【請求項9】
非磁性の金属製または木製の板体に、前記板体の厚さ方向に突出する突出部を形成する第1工程と、
前記板体に永久磁石を含む第1のシートを第1の粘着剤で粘着して、積層体を得る第2工程と、
永久磁石を含む第2のシートを、躯体を構成し、強磁性体を含む壁に磁力で吸着させる第3工程と、
前記第1のシートを前記壁に磁力で吸着させ、前記板体を前記第2のシートに第2の粘着剤で粘着し、前記突出部を前記第2の粘着剤および前記第2のシートに穿刺して、前記積層体を取り付ける第4工程と有することを特徴とする板体の施工方法。
【請求項10】
前記第2工程よりも前に、前記第1の粘着剤は、前記第1のシートに設けられる請求項9に記載の板体の施工方法。
【請求項11】
前記第4工程よりも前に、前記第2の粘着剤は、前記第2のシートに設けられる請求項9に記載の板体の施工方法。
【請求項12】
前記第1工程では、前記板体の母体を切断して前記板体を製造し、
前記突出部は、前記板体の前記母体を切断する際に形成されるバリである請求項9に記載の板体の施工方法。
【請求項13】
前記突出部の前記板体の厚さ方向の長さをd1、前記板体の厚さをd2としたとき、d1/d2は、0.05以上、0.4以下である請求項9に記載の板体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板体の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物の壁(躯体)にプリント鋼板、化粧鋼板、意匠鋼板等、壁の仕上げ部材としての鋼板(例えば、特許文献1、特許文献2参照)を取り付ける鋼板の施工方法(工法)として、例えば、以下のような方法が知られている。
【0003】
従来の施工方法では、表面材であるプリント鋼板の展開形状を作成し、バリを除去し、その展開形状のプリント鋼板の四方に対して折り曲げ加工を施し、箱状のプリント鋼板を得る。
【0004】
次に、箱状のプリント鋼板の凹部内に、不燃材を接着する。
次に、不燃材が接着されたプリント鋼板をビスやリベット等の固定具を用いて、躯体に設けられた下地台等の支持具に取り付ける、あるいは、接着剤等を用いて、下地板に接着して取り付ける。
【0005】
しかしながら、従来の施工方法では、作業に多くの労力を必要とし、また、長い時間を必要とし、また、熟練の技術を必要とする。
【0006】
また、プリント鋼板をビスやリベットで下地台に取り付ける、あるいは、接着剤等を用いて、下地板に接着して取り付けるので、プリント鋼板を取り外す場合、その作業に多くの労力を必要とし、また、長い時間を必要とする、あるいは、接着の場合は下地板の取替えを必要とする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-98305号公報
【特許文献2】特開2012-106415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、躯体を構成する壁に対する非磁性の金属製または木製の板体の取り付けおよび取り外しの作業を容易に行うことができ(そのことにより仕上げ部材のみの取り替え(原状回復やリフォーム等)を容易に行うことが可能)、その作業の際の労力を軽減し、その作業に要する時間を短縮することができる板体の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の板体の施工方法は、非磁性の金属製または木製の第1の板体に、前記第1の板体の厚さ方向に突出する第1の突出部を形成し、強磁性体を含む第2の板体に、前記第2の板体の厚さ方向に突出する第2の突出部を形成する第1工程と、
前記第1の板体に前記第2の板体を第1の粘着剤で粘着し、前記第1の突出部を前記第1の粘着剤に穿刺して、積層体を得る第2工程と、
躯体を構成する壁に永久磁石を含むシートを第2の粘着剤で粘着する第3工程と、
前記第2の板体を前記シートに磁力で吸着させ、前記第2の突出部を前記シートに穿刺して、前記積層体を取り付ける第4工程とを有することを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の特徴は、第1から第4の工程を有するものの従来工法よりも、その作業の際の労力を軽減し、その作業に要する時間を短縮することができる板体の施工方法であることに加え、リフォーム等の張り替え時に、第1工程、第2行程および第4行程のみで作業を終了することができることにある。
【0011】
本発明の板体の施工方法では、前記第2工程よりも前に、前記第1の粘着剤は、前記第2の板体に設けられることが好ましい。
【0012】
本発明の板体の施工方法では、前記第3工程よりも前に、前記第2の粘着剤は、前記シートに設けられることが好ましい。
【0013】
本発明の板体の施工方法では、前記第1工程では、前記第1の板体の母体を切断して前記第1の板体を製造し、
前記第1の突出部は、前記第1の板体の前記母体を切断する際に形成されるバリであることが好ましい。
【0014】
本発明の板体の施工方法では、前記第1工程では、前記第2の板体の母体を切断して前記第2の板体を製造し、
前記第2の突出部は、前記第2の板体の前記母体を切断する際に形成されるバリであることが好ましい。
【0015】
本発明の板体の施工方法では、前記第1の突出部の前記第1の板体の厚さ方向の長さをd1、前記第1の板体の厚さをd2としたとき、d1/d2は、0.05以上、0.4以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の板体の施工方法では、前記第2の突出部の前記第2の板体の厚さ方向の長さをd3、前記第2の板体の厚さをd4としたとき、d3/d4は、0.05以上、0.4以下であることが好ましい。
本発明の板体の施工方法では、前記壁は、非磁性体で構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の板体の施工方法は、非磁性の金属製または木製の板体に、前記板体の厚さ方向に突出する突出部を形成する第1工程と、
前記板体に永久磁石を含む第1のシートを第1の粘着剤で粘着して、積層体を得る第2工程と、
永久磁石を含む第2のシートを、躯体を構成し、強磁性体を含む壁に磁力で吸着させる第3工程と、
前記第1のシートを前記壁に磁力で吸着させ、前記板体を前記第2のシートに第2の粘着剤で粘着し、前記突出部を前記第2の粘着剤および前記第2のシートに穿刺して、前記積層体を取り付ける第4工程と有することを特徴とする。
【0018】
本発明の板体の施工方法では、前記第2工程よりも前に、前記第1の粘着剤は、前記第1のシートに設けられることが好ましい。
【0019】
本発明の板体の施工方法では、前記第4工程よりも前に、前記第2の粘着剤は、前記第2のシートに設けられることが好ましい。
【0020】
本発明の板体の施工方法では、前記第1工程では、前記板体の母体を切断して前記板体を製造し、
前記突出部は、前記板体の前記母体を切断する際に形成されるバリであることが好ましい。
【0021】
本発明の板体の施工方法では、前記突出部の前記板体の厚さ方向の長さをd1、前記板体の厚さをd2としたとき、d1/d2は、0.05以上、0.4以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、躯体を構成する壁に対する非磁性の金属製または木製の板体の取り付けおよび取り外しの作業を容易に行うことができ、その作業の際の労力を軽減し、その作業に要する時間を短縮することができる。
【0023】
また、仕上げ部材のみの取り替え(原状回復やリフォーム等)を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の板体の施工方法の第1実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す構造物のプリント板、板体、マグネットシートおよび石膏ボードの分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【
図4】第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【
図5】第1実施形態における工程を示す正面図(
図1に対応)である。
【
図6】
図1中のA-A線での断面図である(第1実施形態における工程を示す断面図)である。
【
図7】第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
【
図8】
図1中のB-B線での断面図である(第1実施形態における工程を示す断面図)である。
【
図9】第1実施形態において突出部が形成されたプリント板であって、鉛直方向(Z軸方向)から見た図である。
【
図10】第1実施形態において突出部が形成された板体であって、鉛直方向(Z軸方向)から見た図である。
【
図11】第1実施形態におけるプリント板の突出部であって、実際の形状の1例を示す斜視図である。
【
図12】本発明の板体の施工方法の第2実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【
図13】本発明の板体の施工方法の第3実施形態により施工された構造物のプリント板、マグネットシート、マグネットシートおよび鋼板の分解斜視図である。
【
図14】第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【
図15】第3実施形態における工程を示す正面図(
図1に対応)である。
【
図16】第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【
図17】第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
【
図18】第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
【
図19】本発明の板体の施工方法の第4実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の板体の施工方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
本発明の板体の施工方法の第1実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の板体の施工方法の第1実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す正面図である。
図2は、
図1に示す構造物のプリント板、板体、マグネットシートおよび石膏ボードの分解斜視図である。
図3は、第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
図4は、第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
図5は、第1実施形態における工程を示す正面図(
図1に対応)である。
図6は、
図1中のA-A線での断面図である(第1実施形態における工程を示す断面図)である。
図7は、第1実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
図8は、
図1中のB-B線での断面図である(第1実施形態における工程を示す断面図)である。
図9は、第1実施形態において突出部が形成されたプリント板であって、鉛直方向(Z軸方向)から見た図である。
図10は、第1実施形態において突出部が形成された板体であって、鉛直方向(Z軸方向)から見た図である。
図11は、第1実施形態におけるプリント板の突出部であって、実際の形状の1例を示す斜視図である。
【0027】
また、説明の都合上、各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。
【0028】
また、各軸を示す矢印の先端側を「+」、基端側を「-」とする。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」と言う。また、+Z軸方向側を「上」、-Z軸方向側を「下」とも言う。
【0029】
また、X軸方向およびY軸方向は、それぞれ、水平方向であり、X-Y平面は、水平面と平行な平面である。また、Z軸方向は、鉛直方向である。
【0030】
また、X軸方向は、施工が完了した状態でのプリント板1の厚さ方向、マグネットシート2の厚さ方向、両面粘着テープ4の厚さ方向、石膏ボード3の厚さ方向と一致している(平行である)。
【0031】
また、理解および説明を容易にするため、各図について、各部の寸法比や角度等が実際とは異なる箇所を設け、また、特に、突出部については、
図11以外の各図では、模式的に示し、
図11では、実際の形状の1例を示す。なお、板体7の突出部71については、
図11に示すプリント板1の突出部11と同様であるので、その図示は省略する。
【0032】
以下では、
図1、
図2および
図6に示すように、本発明の板体の施工方法(以下、単に「施工方法」とも言う)として、住宅10の躯体20の一部を構成する壁である石膏ボード3に、壁の仕上げ部材としてプリント板1を取り付ける施工における施工方法(工法)を例に挙げて説明する。また、住宅10は、床40、巾木50および天井30等を有している。また、この例では、複数のプリント板1が、Y軸方向に沿って、配置される。
【0033】
本実施形態の施工方法は、非磁性の金属製または木製の第1の板体の1例であるプリント板1に、プリント板1の厚さ方向に突出する第1の突出部の1例である突出部11、12を形成し、強磁性体を含む第2の板体の1例である板体7に、板体7の厚さ方向に突出する第2の突出部の1例である突出部71、72を形成する第1工程(突出部形成工程)と、
プリント板1に板体7を第1の粘着剤の1例である両面粘着テープ9で粘着し、突出部11、12を両面粘着テープ9の粘着剤に穿刺して、積層体101を得る第2工程(積層体形成工程)と、
躯体を構成する壁の1例である石膏ボード3に永久磁石を含むシートの1例であるマグネットシート2を第2の粘着剤の1例である両面粘着テープ4で粘着する第3工程(シート粘着工程)と、
板体7をマグネットシート2に磁力で吸着させ、突出部71、72をマグネットシート2に穿刺して、積層体101(プリント板1)を取り付ける第4工程(取付工程)とを有する。
【0034】
(第1工程)
図2に示すように、プリント板(第1の板体)1に、プリント板1の厚さ方向に突出する突出部(第1の突出部)11、12を形成する。
【0035】
また、板体(第2の板体)7に、板体7の厚さ方向に突出する突出部(第2の突出部)71、72を形成する。
【0036】
突出部11、12の形成と、突出部71、72の形成の順序は、特に限定されず、例えば、突出部11、12の形成を先に行ってもよく、また、突出部71、72の形成を先に行ってもよく、また、同時に行ってもよい。
【0037】
具体的には、プリント板1の母体を所定の幅(寸法)に切断して、プリント板1を製造する。この切断の際、プリント板1の切断した部位に、バリが形成され、そのバリを突出部11、12として利用する(
図2、
図11参照)。すなわち、突出部11、12は、プリント板1の母体を切断する際に形成されるバリである。また、バリをそのまま突出部11、12としてもよく、また、バリに対して所定の加工を行って突出部11、12としてもよい。
【0038】
また、一般的に、バリとは、部材(部品)の角のエッジにおける幾何学的形状の外側の残留物であり、機械加工または形成工程等において発生する部材上の残留物である。
【0039】
このように、バリを突出部11、12として利用するので、本来は除去しなければならないバリを除去する必要がなく、かつ、別途、突出部を形成する必要もない。これにより、作業の際の労力を軽減し、作業に要する時間を短縮することができる。
【0040】
また、プリント板1の母体としては、プリント板1が
図2中のY軸方向に延在してなる板状(帯状)の部材や、その板状の部材を巻回してなるロール状(コイル状)の部材等を用いる。
【0041】
なお、本実施形態では、突出部11、12としてバリを利用しているが、これに限らず、例えば、バリを利用せずに、別途、突出部を形成してもよく、また、バリを突出部として利用するとともに、別途、別の突出部を形成してもよい。
【0042】
また、板体7についてもプリント板1と同様である。
具体的には、板体7の母体を所定の幅(寸法)に切断して、板体7を製造する。この切断の際、板体7の切断した部位に、バリが形成され、そのバリを突出部71、72として利用する(
図2、
図11参照)。すなわち、突出部71、72は、板体7の母体を切断する際に形成されるバリである。また、バリをそのまま突出部71、72としてもよく、また、バリに対して所定の加工を行って突出部71、72としてもよい。
【0043】
なお、本実施形態では、突出部71、72としてバリを利用しているが、これに限らず、例えば、バリを利用せずに、別途、突出部を形成してもよく、また、バリを突出部として利用するとともに、別途、別の突出部を形成してもよい。
【0044】
次に、プリント板1について説明するが、突出部11と、突出部12とは、同様であるので、突出部11、12を説明する場合は、代表的に、突出部11について説明する。
【0045】
プリント板1の平面視での形状(X軸方向から見たときの形状)は、本実施形態では、長方形(四角形)である。この場合、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、前記長方形(四角形)は、鉛直方向(Z軸方向)に延在する2つの長辺(辺)と、水平方向(Y軸方向)に延在する2つの短辺(辺)とを有している。
【0046】
また、プリント板1の母体を切断してプリント板1を製造した際、プリント板1(長方形)の2つの長辺のうちの一方の長辺に沿って前記突出部11が設けられ、他方の長辺に沿って前記突出部12が設けられる。この場合、プリント板1は、突出部11と突出部12との両方を有することが好ましいが、これに限らず、例えば、突出部11と突出部12とのいずれか一方を有する構成であってもよい。
【0047】
なお、プリント板1の平面視での形状は、長方形に限定されず、正方形等の他の四角形でもよく、また、三角形、五角形、六角形等の他の多角形でもよく、さらには、例えば、円、楕円等が挙げられる。
【0048】
また、プリント板1の表側(X軸方向+側)の主面と、裏側(X軸方向-側)の主面とのうち、表側の主面側(表面側)、すなわち、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、プリント板1のマグネットシート2と反対側には、模様、図形、色等が設けられている。
【0049】
また、プリント板1は、非磁性の金属製または木製の部材である。また、非磁性には、反磁性、常磁性が含まれる。また、プリント板1の全体が、非磁性の金属製の部材と、木製の部材との少なくとも一方で構成されていてもよく、また、プリント板1の全体ではなく、プリント板1の主要部が、非磁性の金属製の部材と、木製の部材との少なくとも一方で構成されていてもよい。また、プリント板1は、非磁性の金属製の部材と、木製の部材とのいずれか一方を含む構成であってもよく、また、両方を含む構成であってもよい。
【0050】
また、プリント板1には、プリント板1が永久磁石(磁石)に磁力で吸着して保持されることが可能な程度の強磁性体は含まれていない。
【0051】
この場合、プリント板1が、強磁性体を含んでいない構成であってもよく、また、例えば、プリント板1が、デザイン等に用いられる程度の微量の強磁性体を含む構成であってもよいが、プリント板1が、強磁性体を含んでいない構成であることが好ましい。
【0052】
また、非磁性の金属としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、非磁性のステンレス鋼等が挙げられる。
【0053】
また、プリント板1は、複数の層を有していてもよく(複数の層積層体でもよく)、また、単層であってもよい。
【0054】
また、プリント板1は、「プリント板」の他、例えば、「化粧板」、「意匠板」、「プリント化粧板」、「プリント意匠板」等と呼ばれている。
【0055】
また、プリント板1の寸法は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものである。
【0056】
具体的には、プリント板1の長さ(Z軸方向の長さ)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、2000mm以上、3000mm以下であることが好ましく、600mm以上、2400mm以下であることがより好ましい。
【0057】
また、プリント板1の幅(Y軸方向の長さ)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、750mm以上、1000mm以下であることが好ましく、600mm以上、1000mm以下であることがより好ましい。
【0058】
また、プリント板1の厚さ(X軸方向の長さ)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.5mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上、0.8mm以下であることがより好ましい。
【0059】
また、
図9に示すように、突出部11のプリント板1の厚さ方向の長さをd1、プリント板1の厚さ(プリント板1の突出部11がない部分の厚さ)をd2としたとき、d1/d2は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.05以上、0.4以下であることが好ましく、0.1以上、0.2以下であることがより好ましい。これにより、突出部11を容易に形成することができ、また、第2工程で突出部11を容易かつ迅速に両面粘着テープ9に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0060】
また、突出部11の長さd1は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.05mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、0.2mm以下であることがより好ましい。これにより、突出部11を容易に形成することができ、また、第2工程で突出部11を容易かつ迅速に両面粘着テープ9に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0061】
また、
図9および
図11に示すように、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、鉛直方向(Z軸方向)から見て、突出部11は、先端が尖った形状をなしている。また、突出部11は、その幅(Y軸方向の長さ)W1が先端方向に向って漸減する部分を有している。これにより、第2工程で突出部11を容易かつ迅速に両面粘着テープ9に穿刺することができる。
【0062】
また、
図11に示すように、実際は、Y軸方向から見たとき、突出部11の先端は、不規則な波状(波形)なしている。但し、前述したように、バリを加工したり、別途、突出部11を形成することにより、Y軸方向から見たときの突出部11の先端は、例えば、直線状、曲線状、折れ線状等や、これらを組み合わせた形状等をなしていてもよい。
【0063】
また、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、鉛直方向(Z軸方向)から見て、突出部11の中心線(中心軸)aと、プリント板1やマグネットシート2の厚さ方向(X軸方向)に延びる直線bとは、平行であってもよく、また、中心線aが直線bに対して傾斜していてもよい(中心線aと直線bとが非平衡でもよい)。
【0064】
また、中心線aが直線bに対して傾斜している場合、鉛直方向(Z軸方向)から見て、中心線aと直線cとのなす角である、直線cに対する中心線aの傾斜角度θ1は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、90°以上であることが好ましく、90°以上、93°以下であることがより好ましい。前記直線cは、鉛直方向(Z軸方向)およびプリント板1の厚さ方向(X軸方向)に直交する方向であるY軸方向に延びる直線である。これにより、突出部11を容易に形成することができ、また、第2工程で突出部11を容易かつ迅速に両面粘着テープ9に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0065】
次に、板体7について説明するが、突出部71と、突出部72とは、同様であるので、突出部71、72を説明する場合は、代表的に、突出部71について説明する。
【0066】
板体7の平面視での形状(X軸方向から見たときの形状)は、本実施形態では、帯状(短冊状)、すなわち、長方形(四角形)である。この場合、板体7がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、前記長方形(四角形)は、鉛直方向(Z軸方向)に延在する2つの長辺(辺)と、水平方向(Y軸方向)に延在する2つの短辺(辺)とを有している。
【0067】
また、板体7の母体を切断して板体7を製造した際、板体7(長方形)の2つの長辺のうちの一方の長辺に沿って前記突出部71が設けられ、他方の長辺に沿って前記突出部72が設けられる。この場合、板体7は、突出部71と突出部72との両方を有することが好ましいが、これに限らず、例えば、突出部71と突出部72とのいずれか一方を有する構成であってもよい。
【0068】
なお、板体7の平面視での形状は、帯状に限定されず、例えば、プリント板1の形状に応じて、適宜、変更してもよい。
【0069】
また、板体7は、強磁性体を含んでおり、永久磁石(磁石)に磁力で吸着すること、特に、永久磁石に磁力で吸着して、保持されることが可能である。
【0070】
また、板体7は、複数の層を有していてもよく(複数の層積層体でもよく)、また、単層であってもよい。また、複数の層を有する場合、その複数の層のうちの少なくとも1つの層が永久磁石に対して磁力で吸着し得るようになっていればよい。
【0071】
また、板体7に含まれる強磁性体としては、各種の強磁性体を用いることが可能であり、例えば、鋼(スチール)等が挙げられる。
【0072】
また、板体7の寸法は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものである。
すなわち、板体7の厚さ(X軸方向の長さ)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.1mm以上、0.8mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、0.25mm以下であることがより好ましい。
【0073】
また、
図10に示すように、突出部71の板体7の厚さ方向の長さをd3、板体7の厚さ(板体7の突出部71がない部分の厚さ)をd4としたとき、d3/d4は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.05以上、0.4以下であることが好ましく、0.1以上、0.2以下であることがより好ましい。これにより、突出部71を容易に形成することができ、また、第4工程で突出部71を容易かつ迅速にマグネットシート2に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0074】
また、突出部71の長さd3は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.05mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、0.2mm以下であることがより好ましい。これにより、突出部71を容易に形成することができ、また、第4工程で突出部71を容易かつ迅速にマグネットシート2に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0075】
また、
図10に示すように、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、鉛直方向(Z軸方向)から見て、突出部71は、先端が尖った形状をなしている。また、突出部71は、その幅(Y軸方向の長さ)W2が先端方向に向って漸減する部分を有している。これにより、第4工程で突出部11を容易かつ迅速にマグネットシート2に穿刺することができる。
【0076】
また、実際は、Y軸方向から見たとき、突出部71の先端は、不規則な波状(波形)なしている(
図11参照)。但し、前述したように、バリを加工したり、別途、突出部71を形成することにより、Y軸方向から見たときの突出部71の先端は、例えば、直線状、曲線状、折れ線状等や、これらを組み合わせた形状等をなしていてもよい。
【0077】
また、プリント板1がマグネットシート2(石膏ボード3)に取り付けられた状態で、鉛直方向(Z軸方向)から見て、突出部71の中心線(中心軸)eと、板体7やマグネットシート2の厚さ方向(X軸方向)に延びる直線fとは、平行であってもよく、また、中心線eが直線fに対して傾斜していてもよい(中心線eと直線fとが非平衡でもよい)。
【0078】
また、中心線eが直線fに対して傾斜している場合、鉛直方向(Z軸方向)から見て、中心線eと直線gとのなす角である、直線gに対する中心線eの傾斜角度θ2は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、90°以上であることが好ましく、90°以上、93°以下であることがより好ましい。前記直線gは、鉛直方向(Z軸方向)および板体7の厚さ方向(X軸方向)に直交する方向であるY軸方向に延びる直線である。これにより、突出部71を容易に形成することができ、また、第4工程で突出部71を容易かつ迅速にマグネットシート2に穿刺することができ、また、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0079】
(第2工程)
図2および
図7に示すように、プリント板1に板体7を両面粘着テープ(第1の粘着剤)9で粘着し、突出部11、12を所定の板体7に粘着されている両面粘着テープ9(両面粘着テープ9の粘着剤)に穿刺して(食い込ませ)、積層体101を得る(製造する)。この場合、1つのプリント板1に対して、複数の板体7、本実施形態では、3つの板体7を用いる。
【0080】
また、本実施形態では、1つのプリント板1に着目したとき、Y軸方向+側の端部に配置されている板体7に粘着されている両面粘着テープ9に突出部11を穿刺し、Y軸方向-側の端部に配置されている板体7に粘着されている両面粘着テープ9に突出部12を穿刺する。
【0081】
また、板体7は、その長手方向が鉛直方向(Z軸方向)となり、複数の板体7が、水平方向(Y軸方向)に沿って、所定の間隔で配置される。なお、本実施形態では、1つのプリント板1に対して、3つの板体7が配置されるが、これに限定されず、1つのプリント板1に対して、例えば、1つ、2つ、または4つ以上の板体7が配置されてもよい。
【0082】
また、両面粘着テープ9は、支持体(図示せず)と、支持体の両面にそれぞれ設けられた粘着剤層(図示せず)とを有している。
【0083】
また、支持体の構成材料としては、特に限定されず、例えば、樹脂材料、紙、不織布、布、発泡体等が挙げられる。
【0084】
また、粘着剤層を構成する(粘着剤層に含まれる)粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。
【0085】
また、両面粘着テープ9は、第2工程の前に、予め、板体7に粘着されていてもよく、また、第2工程で、板体7に粘着してもよい。
【0086】
このようにして積層体101を製造することにより、両面粘着テープ9の粘着力により、プリント板1に対して板体7を保持することができる。また、Y軸方向の両端部に配置されている板体7については、突出部11、12が両面粘着テープ9に穿刺されることにより、プリント板1に対して板体7がY軸およびZ軸に平行な平面(Y-Z平面)内でずれることを防止することができる。なお、突出部11、12が両面粘着テープ9に穿刺されることによる穿刺方向の摩擦力により、板体7がX軸方向にずれることも抑制される。
【0087】
なお、本発明では、両面粘着テープ9に代えて、例えば、板体7またはプリント板1に、直接、粘着剤(粘着剤層)を形成し、その粘着剤で板体7とプリント板1とを粘着してもよい。
【0088】
(第3工程)
図3および
図7に示すように、躯体20には、鉛直方向(Z軸方向)に延在する長手形状をなす複数の下地台(支持部材)51と、水平方向(Y軸方向)に延在する長手形状をなす複数の下地台(支持部材)52とが設けられている。
【0089】
また、石膏ボード3は、下地台51、52に取り付けられている(支持されている)。この場合、
図7に示すように、Y軸方向に沿って隣り合う2つの石膏ボード3の間に、下地台51が位置するように、石膏ボード3が配置されている。
【0090】
前記石膏ボード3の取り付け方法は、特に限定されないが、本実施形態では、石膏ボード3は、ビス(図示せず)で取り付けられている。
【0091】
なお、本実施形態では、非磁性体の部材の1例として、石膏ボード3が用いられているが、これに限定されず、例えば、他の非磁性体の部材等を用いてもよい。
【0092】
図2、
図4および
図5に示すように、石膏ボード3にマグネットシート(シート)2を両面粘着テープ(第2の粘着剤)4で粘着する。この場合、1つのプリント板1(石膏ボード3)に対して、複数のマグネットシート2を用いる。
【0093】
マグネットシート2は、樹脂と、永久磁石とを含み、可撓性(柔軟性)を有する板体である。また、マグネットシート2は、帯状(長方形)をなしている。
【0094】
また、マグネットシート2は、その長手方向が鉛直方向(Z軸方向)となり、複数のマグネットシート2が、水平方向(Y軸方向)に沿って、所定の間隔で配置される。また、マグネットシート2は、板体7に対応する位置に配置される。
【0095】
なお、マグネットシート2の形状は、帯状に限定されず、例えば、プリント板1の形状に応じて、適宜、変更してもよい。
【0096】
また、マグネットシート2の寸法は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものである。
【0097】
すなわち、マグネットシート2の厚さ(X軸方向の長さ)は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、突出部71の長さd1よりも長いことが好ましく、具体的には、例えば、0.4mm以上、2.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、1.0mm以下であることがより好ましい。これにより、第4工程で突出部71を必要かつ十分にマグネットシート2に穿刺することができる。
【0098】
また、両面粘着テープ4の構成は、前述した両面粘着テープ9の構成と同様であるので、その説明は、省略する。
【0099】
また、両面粘着テープ4は、第3工程の前に、予め、マグネットシート2に粘着されていてもよく、また、第3工程で、マグネットシート2に粘着してもよい。
【0100】
なお、本発明では、両面粘着テープ4に代えて、例えば、マグネットシート2または石膏ボード3に、直接、粘着剤(粘着剤層)を形成し、その粘着剤でマグネットシート2と石膏ボード3とを粘着してもよい。
【0101】
(第4工程)
図2、
図6~
図8に示すように、積層体101の板体7をマグネットシート2に磁力で吸着させ、突出部71、72をマグネットシート2に穿刺して(食い込ませ)、積層体101(プリント板1)を取り付ける。
【0102】
また、
図7および
図8に示すように、下地台51に対向する位置に、板体7の突出部71、72が配置される。すなわち、X軸方向から見て、突出部71、72は、それぞれ、対応する下地台51と重なる。
【0103】
このようにして積層体101を取り付けることにより、容易かつ迅速に、積層体101(プリント板1)を取り付ける作業を行うことができる。
【0104】
また、磁力により、積層体101を保持することができるとともに、突出部71、72がマグネットシート2に穿刺されることにより、積層体101がY軸およびZ軸に平行な平面(Y-Z平面)内でずれることを防止することができる。なお、突出部71、72がマグネットシート2に穿刺されることによる穿刺方向の摩擦力により、積層体101がX軸方向にずれることも抑制される。
【0105】
以上説明したように、本実施形態の施工方法によれば、石膏ボード3に対する積層体101(プリント板1)の取り付けおよび取り外しの作業において、熟練の技術を必要とせず、その作業を容易に行うことができ、その作業の際の労力を軽減し、その作業に要する時間を短縮することができ、コストを低減することができる。
【0106】
また、積層体101(プリント板1)の取り付けの作業において、接着剤を用いないので、張り替えが必要な際、下地材の手直しあるいは交換が不要となり、環境に優しく、また、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成に有利である。
【0107】
なお、本実施形態では、プリント板1の突出部11、12は、長辺に設けられているが、これに限らず、例えば、突出部11、12は、短辺に設けられていてもよく、また、長辺と短辺との両方に設けられていてもよい。また、本実施形態では、プリント板1は、長辺の方向が鉛直方向(Z軸方向)となるように配置されているが、これに限らず、例えば、プリント板1は、長辺の方向が水平方向(Y軸方向)となるように配置されていてもよい。このため、例えば、縦付けパネル、横付けパネル等の種々の形態に対応することができる。
【0108】
<第2実施形態>
図12は、本発明の板体の施工方法の第2実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【0109】
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0110】
第2実施形態は、第1実施形態の第4工程において、さらに、ビス6(固定部材)により、プリント板1の端部を下地台52に固定すること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0111】
図12に示すように、第2実施形態では、ビス6により、プリント板1の鉛直方向上側の端部を下地台52に固定し、同様に、ビス6により、プリント板1の鉛直方向下側の端部を下地台52に固定する。これにより、より強固に積層体101(プリント板1)を取り付けることができる。
【0112】
また、プリント板1の鉛直方向上側の端部に曲げ加工を施して曲げ部(係止部)を設け、石膏ボード3の最上部にプリント板1の前記曲げ部を引っ掛けることで、前述した上部のビス止めを回避することができる。
【0113】
また、ビス6で固定する箇所(位置)は、天井30より鉛直方向上側の箇所と、巾木50で隠れている鉛直方向下側の箇所とである。
【0114】
前記の箇所は、天井30および巾木50によって隠されており、視認することができないので、見た目が悪くなく、プリント板1の剥離、脱落を防止することができる。
【0115】
以上のような第2実施形態によっても、前述した実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0116】
なお、本実施形態では、ビス6により、プリント板1を下地台52に固定するが、これに限らず、例えば、ビス6により、プリント板1および板体7を下地台52に固定してもよい。
【0117】
<第3実施形態>
図13は、本発明の板体の施工方法の第3実施形態により施工された構造物のプリント板、マグネットシート、マグネットシートおよび鋼板の分解斜視図である。
図14は、第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
図15は、第3実施形態における工程を示す正面図(
図1に対応)である。
図16は、第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
図17は、第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
図18は、第3実施形態における工程を示す断面図(
図1中のB-B線での断面図に対応)である。
【0118】
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0119】
本実施形態の施工方法は、非磁性の金属製または木製の板体の1例であるプリント板1に、プリント板1の厚さ方向に突出する突出部の1例である突出部11、12を形成する第1工程(突出部形成工程)と、
プリント板1に永久磁石を含む第1のシートの1例であるマグネットシート8を第1の粘着剤の1例である両面粘着テープ9で粘着して、積層体102を得る第2工程(積層体形成工程)と、
永久磁石を含む第2のシートの1例であるマグネットシート2を、躯体を構成し、強磁性体を含む壁の1例である鋼板13に磁力で吸着させる第3工程(シート吸着工程)と、
マグネットシート8を鋼板13に磁力で吸着させ、プリント板1をマグネットシート2に第2の粘着剤の1例である両面粘着テープ4で粘着し、突出部11、12を両面粘着テープ4の粘着剤およびマグネットシート2に穿刺して、積層体102(プリント板1)を取り付ける第4工程(取付工程)と有する。
【0120】
(第1工程)
図13に示すように、プリント板(板体)1に、プリント板1の厚さ方向に突出する突出部(突出部)11、12を形成する。
【0121】
なお、プリント板1および突出部11、12については、第1実施形態と同様であるので、その説明は、省略する。
【0122】
(第2工程)
図13および
図17に示すように、プリント板1にマグネットシート(第1のシート)8を両面粘着テープ(第1の粘着剤)9で粘着して、積層体102を得る(製造する)。この場合、本実施形態では、1つのプリント板1に対して、1つのマグネットシート8を用いる。
【0123】
また、マグネットシート8は、その長手方向が鉛直方向(Z軸方向)となり、プリント板1の水平方向(Y軸方向)の中央部に配置される。なお、本実施形態では、1つのプリント板1に対して、1つのマグネットシート8が配置されるが、これに限定されず、1つのプリント板1に対して、例えば、2つ以上のマグネットシート8が配置されてもよい。
【0124】
また、両面粘着テープ9については、第1実施形態と同様であるので、その説明は、省略する。
【0125】
(第3工程)
図14および
図17に示すように、躯体20には、鉛直方向(Z軸方向)に延在する長手形状をなす複数の下地台(支持部材)51と、水平方向(Y軸方向)に延在する長手形状をなす複数の下地台(支持部材)52とが設けられている。
【0126】
また、鋼板13は、下地台51、52に取り付けられている(支持されている)。この場合、
図17に示すように、Y軸方向に沿って隣り合う2つの鋼板13の間に、下地台51が位置するように、鋼板13が配置されている。
【0127】
前記鋼板13の取り付け方法は、特に限定されないが、本実施形態では、鋼板13は、ビス(図示せず)で取り付けられている。
【0128】
なお、本実施形態では、強磁性体の部材の1例として、鋼板13が用いられているが、これに限定されず、例えば、他の強磁性体の部材等を用いてもよい。
【0129】
図13、
図14および
図15に示すように、鋼板13にマグネットシート(第2のシート)2を磁力で吸着させる。この場合、1つのプリント板1(鋼板13)に対して、複数のマグネットシート2を用いる。本実施形態では、1つのプリント板1(鋼板13)に対して、2つのマグネットシート2を用いる。また、2つのマグネットシート2は、取り付けられるプリント板1の突出部11に対応する位置と、突出部12に対応する位置とに配置される。なお、マグネットシート2については、第1実施形態と同様であるので、その説明は、省略する。
【0130】
(第4工程)
図13、
図16~
図18に示すように、積層体102のマグネットシート8を鋼板13に磁力で吸着させ、積層体102の位置合わせを行いつつ、プリント板1をマグネットシート2に両面粘着テープ4(第2の粘着剤)で粘着し、プリント板1の突出部11、12を両面粘着テープ4(両面粘着テープ4の粘着剤)およびマグネットシート2に穿刺して(食い込ませ)、積層体102(プリント板1)を取り付ける。
【0131】
また、
図17および
図18に示すように、下地台51に対向する位置に、プリント板1の突出部11、12が配置される。すなわち、X軸方向から見て、突出部11、12は、それぞれ、対応する下地台51と重なる。
【0132】
また、両面粘着テープ4は、第4工程で、マグネットシート2に粘着してもよく、また、第4工程の前に、予め、マグネットシート2に粘着されていてもよく、また、第3工程の前に、予め、マグネットシート2に粘着されていてもよい。
【0133】
このようにして積層体102を取り付けることにより、容易かつ迅速に、積層体102(プリント板1)を取り付ける作業を行うことができる。
【0134】
また、両面粘着テープ4の粘着力およびマグネットシート8の磁力により、積層体102を保持することができるとともに、突出部11、12が両面粘着テープ4およびマグネットシート2に穿刺されることにより、積層体102がY軸およびZ軸に平行な平面(Y-Z平面)内でずれることを防止することができる。なお、突出部11、12が両面粘着テープ4およびマグネットシート2に穿刺されることによる穿刺方向の摩擦力により、積層体102がX軸方向にずれることも抑制される。
【0135】
以上のような第3実施形態によっても、前述した実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0136】
<第4実施形態>
図19は、本発明の板体の施工方法の第4実施形態により施工されたプリント板(積層体)等の構造物を示す断面図(
図1中のA-A線での断面図に対応)である。
【0137】
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0138】
第4実施形態は、第3実施形態の第4工程において、さらに、ビス6(固定部材)により、プリント板1の端部を下地台52に固定すること以外は、前記第3実施形態と同様である。
【0139】
図19に示すように、第4実施形態では、ビス6により、プリント板1の鉛直方向上側の端部を下地台52に固定し、同様に、ビス6により、プリント板1の鉛直方向下側の端部を下地台52に固定する。これにより、より強固に積層体102(プリント板1)を取り付けることができる。
【0140】
また、プリント板1の鉛直方向上側の端部に曲げ加工を施して曲げ部(係止部)を設け、鋼板13の最上部にプリント板1の前記曲げ部を引っ掛けることで、前述した上部のビス止めを回避することができる。
【0141】
また、ビス6で固定する箇所(位置)は、天井30より鉛直方向上側の箇所と、巾木50で隠れている鉛直方向下側の箇所とである。
【0142】
前記の箇所は、天井30および巾木50によって隠されており、視認することができないので、見た目が悪くなく、プリント板1の剥離、脱落を防止することができる。
【0143】
以上のような第4実施形態によっても、前述した実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0144】
以上、本発明の板体の施工方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成や各工程は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、他の任意の工程が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0145】
また、前記実施形態では、住宅における施工を例に挙げて説明したが、本発明では、住宅における施工には限定されず、躯体を構成する壁を有していれば、住宅以外の建造物(建築物)に対する施工でもよく、前記以外の施工対象の1例としては、例えば、マンション、ホテル、オフィスビル、商業施設や、船舶等の移動体等が挙げられる。
【符号の説明】
【0146】
1 プリント板
11 突出部
12 突出部
2 マグネットシート
3 石膏ボード
4 両面粘着テープ
51 下地台
52 下地台
6 ビス
7 板体
71 突出部
72 突出部
8 マグネットシート
9 両面粘着テープ
13 鋼板
10 住宅
20 躯体
30 天井
40 床
50 巾木
101 積層体
102 積層体
a 中心線
b 直線
c 直線
d1 長さ
d2 厚さ
d3 長さ
d4 厚さ
e 中心線
f 直線
g 直線
W1 幅
W2 幅
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度