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特開2024-90760画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090760
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G06F3/12 344
G06F3/12 303
G06F3/12 356
G06F3/12 352
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206851
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 崇廣
(72)【発明者】
【氏名】山下 充裕
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐子
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の質感を伴った表現で透き通しが生じている印刷物を表現可能な技術を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、印刷条件を取得する印刷条件取得部と、画像データに印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得部と、透光性パラメーターに応じて印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出部と、印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に色変換が施された画像データを対応付け、かつ、3Dオブジェクトの表面と裏面とに質感パラメーターを対応付けて、透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像データ取得部と、
画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、
前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、
前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得部と、
前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出部と、
前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記透過度算出部は、前記画像データの画素ごとに前記透過度を算出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記透過度算出部は、前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記透過度を算出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記透過度算出部は、前記インクの種類と、前記画像データの画素値に応じたインク量とを用いて、前記インク透光性情報を生成する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記透過度算出部は、前記画像データの画素値と前記インク量との関係を表すテーブルを用いて前記インク量を算出する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記透過度算出部は、前記印刷条件に応じた前記テーブルを用いて前記インク量を算出する、
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像データ取得部は、前記3Dオブジェクトの表面に対応付けられる表面画像データと、前記3Dオブジェクトの裏面に対応付けられる裏面画像データとを取得し、
前記透過度算出部は、前記表面画像データの画像の透過度と、前記裏面画像データの画像の透過度とを算出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の前記表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に予め表されている既成画像の前記裏面画像データとを取得し、
前記透過度算出部は、
前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の表面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷画像の透過度を算出し、
前記透光性パラメーターと、前記既成画像が形成されている面の透光性を表す既成部透光性情報とを用いて、前記既成画像の透過度を算出する、
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記透過度算出部は、前記裏面画像データの画素値を用いて、前記既成部透光性情報を生成する、
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の前記表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の前記裏面画像データとを取得し、
前記透過度算出部は、
前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の表面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の透過度を算出し、
前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の裏面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の透過度を算出する、
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記レンダリング部は、
前記3Dオブジェクトの表面のレンダリングを実行するときには、前記表面画像データの画素値と、前記表面画像データの画像の透過度と、前記裏面画像データの画素値とを用いて、レンダリング結果の画素値を算出し、
前記3Dオブジェクトの裏面のレンダリングを実行するときには、前記裏面画像データの画素値と、前記裏面画像データの画像の透過度と、前記表面画像データの画素値とを用いて、レンダリング結果の画素値を算出する、
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって生成されるレンダリング結果を表示する表示装置と、
前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、
を備える、印刷システム。
【請求項13】
画像データを取得する画像データ取得機能と、
画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、
前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、
前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、
前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出機能と、
前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング機能と、
をコンピューターに実行させる、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、印刷システムおよび画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光の透過により、印刷媒体に印刷された画像が印刷面の裏側の面から透けて見える透き通しという現象が生じることがある。透き通しに関して、特許文献1には、表面に画像が印刷されたTシャツを裏面から見た状態を表現した透け画像を生成し、透け画像をディスプレイに表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-093923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、印刷物の透き通しを表現した透け画像を生成することができるが、透け画像には印刷媒体の質感が表現されていないので、透け画像に表された印刷物と実際の印刷物とでは見た目の差異が大きい。したがって、透き通しが生じている印刷物を、印刷媒体の質感を伴って表現な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得部と、前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出部と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング部と、を備える。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、前記第1の形態の前記画像処理装置と、前記画像処理装置によって生成されるレンダリング結果を表示する表示装置と、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、画像処理プログラムが提供される。この画像処理プログラムは、画像データを取得する画像データ取得機能と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出機能と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング機能と、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の印刷システムの構成を示す説明図。
図2】第1実施形態の画像処理装置の構成を示す説明図。
図3】第1実施形態のレンダリング部の構成を示す説明図。
図4】片面印刷により画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図。
図5】両面印刷により画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図。
図6】画像データ入力用のユーザーインターフェースの第1の例を示す説明図。
図7】画像データ入力用のユーザーインターフェースの第2の例を示す説明図。
図8】印刷画像の場合の透過度算出処理の内容を示すフローチャート。
図9】媒体透過度テーブルの一例を示す説明図。
図10】インク量テーブルの一例を示す説明図。
図11】インク透過度テーブルの一例を示す説明図。
図12】既成画像の場合の透過度算出処理の内容を示すフローチャート。
図13】既成部透過度テーブルの一例を示す説明図。
図14】ピクセル色決定処理の内容を示すフローチャート。
図15】3Dオブジェクトの表面を観察する様子を模式的に示す説明図。
図16】表面観察時に表示されるレンダリング結果を模式的に示す説明図。
図17】3Dオブジェクトの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図。
図18】裏面観察時に表示されるレンダリング結果を模式的に示す説明図。
図19】素材テクスチャーに応じた補正係数を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の画像処理装置100を備える印刷システム10の構成を示す説明図である。印刷システム10は、画像処理装置100と、入力装置200と、表示装置300と、印刷装置400とを備えている。画像処理装置100は、物理ベースレンダリング(以下、単にレンダリングという)により、画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。印刷媒体は、例えば、普通紙や光沢紙やマット紙などの印刷用紙である。印刷媒体は、印刷用紙に限られず、例えば、布などでもよい。表面の質感と裏面の質感とが異なる印刷媒体が用いられてもよいし、表面の質感と裏面の質感とが同じ印刷媒体が用いられてもよい。
【0010】
画像処理装置100は、プロセッサー101と、メモリー102と、入出力インターフェース103と、内部バス104とを備えている。プロセッサー101、メモリー102、および、入出力インターフェース103は、内部バス104を介して、双方向に通信可能に接続されている。入力装置200、表示装置300、および、印刷装置400は、有線通信あるいは無線通信により画像処理装置100の入出力インターフェース103に接続されている。入力装置200は、例えば、キーボードやマウスであり、表示装置300は、例えば、液晶ディスプレイである。入力装置200および表示装置300は、タッチパネルとして一体化されていてもよい。印刷装置400は、例えば、インクジェットプリンターであり、印刷媒体に画像を印刷する。
【0011】
図2は、画像処理装置100の構成を示す説明図である。画像処理装置100は、画像データ取得部110と、印刷条件取得部120と、入力プロファイル取得部131と、メディアプロファイル取得部132と、共通色空間プロファイル取得部133と、カラーマネージメントシステム140と、パラメーター取得部150と、レンダリング部160とを備えている。画像データ取得部110、印刷条件取得部120、各プロファイル取得部131~133、カラーマネージメントシステム140、パラメーター取得部150、および、レンダリング部160は、メモリー102に予め記憶されている画像処理プログラムPGをプロセッサー101が実行することによりソフトウェア的に実現される。なお、カラーマネージメントシステム140のことを色変換部140と呼ぶことがある。
【0012】
画像データ取得部110は、画像データを取得する。本実施形態では、画像データには、表面画像データと、裏面画像データとが含まれる。表面画像データは、印刷媒体の表面に印刷される画像を表す画像データである。裏面画像データは、印刷媒体の裏面に印刷される画像、あるいは、印刷媒体の裏面に予め形成されているロゴなどの画像を表す画像データである。印刷媒体の裏面にロゴなどが表されていない場合には、裏面画像データは、印刷媒体の裏地の色を表す画像であってもよい。以下の説明では、印刷媒体に印刷される画像のことを印刷画像と呼び、印刷媒体に予め形成されている画像のことを既成画像と呼び、印刷画像と既成画像とを特に区別せずに説明する場合には単に画像と呼ぶ。また、表面画像データに表された画像のことを表面画像と呼び、裏面画像データに表された画像のことを裏面画像と呼ぶことがある。画像データ取得部110により取得された画像データは、カラーマネージメントシステム140に送信される。
【0013】
印刷条件取得部120は、印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する。印刷条件には、印刷媒体の種類の他に、例えば、印刷方法や、印刷装置の種類や、インクの種類や、インクの量や、印刷の解像度や、片面印刷で印刷するか両面印刷で印刷するかなどの条件が含まれる。印刷条件取得部120により取得された印刷条件は、各プロファイル取得部131~133、カラーマネージメントシステム140、および、パラメーター取得部150、レンダリング部160に送信される。
【0014】
入力プロファイル取得部131は、機器に依存する色空間から機器に非依存の色空間への色変換に用いられるICCプロファイルである入力プロファイルを取得する。機器に依存する色空間は、例えば、RGB色空間などである。機器に非依存の色空間は、例えば、L(以下、単にLabと記載する)色空間や、XYZ色空間などである。メディアプロファイル取得部132は、機器に非依存の色空間から印刷用の機器に依存する色空間への色変換に用いられるICCプロファイルであるメディアプロファイルを取得する。印刷用の機器に依存する色空間は、例えば、CMYK色空間などである。共通色空間プロファイル取得部133は、機器に非依存の色空間からレンダリング用の色空間への色変換に用いられるICCプロファイルである共通色空間プロファイルを取得する。レンダリング用の色空間は、例えば、sRGBや、AdobeRGBや、Display-P3などである。各プロファイル取得部131~133は、メモリー102に予め記憶されている各プロファイルを取得する。各プロファイル取得部131~133によって取得された各プロファイルは、カラーマネージメントシステム140に送信される。なお、各プロファイル取得部131~133は、例えば、ネットワークを介して外部サーバーから各プロファイルを取得してもよい。
【0015】
カラーマネージメントシステム140は、印刷画像の画像データには、入力プロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、メディアプロファイルを用いた印刷用の機器に依存する色空間への色変換、メディアプロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、共通色空間プロファイルを用いたレンダリング用の色空間への色変換の順に、印刷条件に応じた色変換を施す。印刷用の機器に依存する色空間への色変換が施されることにより、画像データの色彩値は、印刷により表現可能な範囲内に収められ、その後、レンダリング用の色空間への色変換が施されることにより、印刷により表現可能な範囲内に収められた画像データの色彩値は、レンダリングで表現可能な範囲内に収められる。本実施形態では、カラーマネージメントシステム140は、既成画像の画像データには、入力プロファイルを用いた機器に非依存の色空間への色変換、共通色空間プロファイルを用いたレンダリング用の色空間への色変換の順に、色変換を施す。すなわち、カラーマネージメントシステム140は、既成画像を表す画像データには、メディアプロファイルを用いた色変換を施さない。なお、既成画像の画像データの色空間が元々レンダリング用の色空間と同じである場合には、既成画像の画像データには、カラーマネージメントシステム140による色変換が施されなくてもよい。以下の説明では、メディアプロファイルを用いた色変換を経てレンダリング用の色空間への色変換が施された画像データのことをマネージド画像データと呼び、メディアプロファイルを用いた色変換を経ずにレンダリング用の色空間への色変換が施された画像データのこと、および、カラーマネージメントシステム140による色変換が施されていない画像データであって、画像データの色空間がレンダリング用の色空間と同じである画像データのことを原画像データと呼び、マネージド画像データと原画像データとを特に区別せずに説明する場合には単に画像データと呼ぶ。マネージド画像データおよび原画像データは、レンダリング部160に送信される。なお、入力プロファイルを用いた色変換前の色空間のことを第1色空間と呼び、印刷用の機器に依存する色空間のことを第2色空間と呼び、レンダリング用の色空間のことを第3色空間と呼ぶことがある。
【0016】
パラメーター取得部150は、レンダリングに用いられる各種パラメーターを取得する。パラメーター取得部150は、メモリー102に予め記憶されている各種パラメーターを取得する。パラメーター取得部150によって取得された各種パラメーターは、レンダリング部160に送信される。なお、パラメーター取得部150は、例えば、ネットワークを介して外部サーバーから各種パラメーターを取得してもよい。
【0017】
レンダリングに用いられる各種パラメーターには、例えば、3Dオブジェクト情報や、カメラ情報や、照明情報や、媒体パラメーターなどが含まれる。3Dオブジェクト情報は、仮想空間に配置される3Dオブジェクトに関するパラメーターである。3Dオブジェクトは、印刷媒体の形状を模擬して予め作成されている。3Dオブジェクトは、複数のポリゴンによって構成されている。本実施形態では、3Dオブジェクトは、厚みのない板状に構成されている。各ポリゴンの表面により3Dオブジェクトの表面が構成されており、各ポリゴンの裏面により3Dオブジェクトの裏面が構成されている。ここで、ポリゴンの表面とは、ポリゴンの法線ベクトルが向く側の面であり、3Dオブジェクトの表面とは、印刷媒体の表面に対応する面であり、3Dオブジェクトの裏面とは、印刷媒体の裏面に対応する面である。カメラ情報は、仮想空間に配置されたカメラの位置および向きに関するパラメーターである。照明情報は、仮想空間に配置された光源の種類や位置や向きや色や光度(光量)に関するパラメーターである。光源の種類には、例えば、蛍光灯や、白熱電球などが含まれる。なお、レンダリングに用いられる各種パラメーターには、3Dオブジェクトの背景色に関するパラメーターである背景色情報が含まれてもよい。
【0018】
媒体パラメーターは、印刷媒体の性質を表すパラメーターである。本実施形態では、媒体パラメーターには、印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと、印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとが含まれている。質感パラメーターには、表面質感パラメーターと、裏面質感パラメーターとが含まれている。表面質感パラメーターは、印刷媒体の表面の質感を表す質感パラメーターであり、裏面質感パラメーターは、印刷媒体の裏面の質感を表す質感パラメーターである。表面の質感と裏面の質感とが異なる印刷媒体が用いられる場合には、表面質感パラメーターの内容と裏面質感パラメーターの内容とは、少なくとも一部が互いに異なる。表面の質感と裏面の質感とが同じ印刷媒体が用いられる場合には、表面質感パラメーターの内容と裏面質感パラメーターの内容とが同じであることが好ましい。この場合、表面質感パラメーターと裏面質感パラメーターとが別々ではなく一纏めにされていてもよい。
【0019】
各質感パラメーターには、例えば、印刷媒体の地色に関するベースカラー(Base Color)や、印刷媒体の滑らかさ(Smoothness)や、印刷媒体の金属性(Metallic)や、法線マップ(Normal Map)や、高さマップ(Height Map)などが含まれる。金属性が高いと、周囲の風景が印刷媒体に映り込みやすくなる。各質感パラメーターには、滑らかさに代えて、印刷媒体の粗さを表す粗さ(Roughness)が含まれてもよい。法線マップ、および、高さマップは、光の反射に影響する印刷媒体の微小な凹凸面(マイクロファセット)を表現するために用いられる。法線マップは、微小な凹凸面の法線ベクトルの分布を表すテクスチャーであり、高さマップは、微小な凹凸面の高さの分布を表すテクスチャーである。微小な凹凸を表現するために3Dオブジェクトを構成するポリゴンのサイズを小さくすると、ポリゴンの数が膨大になり、レンダリングの計算負荷が大きくなる。法線マップや高さマップを用いることにより、ポリゴンのサイズを小さくしなくても、微小な凹凸面による光の反射への影響を表現することが可能になる。
【0020】
本実施形態では、透光性パラメーターには、印刷媒体の光の透過度(透明度)を表す媒体透過度が含まれている。なお、透光性パラメーターには、印刷媒体の光の不透過度(不透明度)を表す媒体不透過度が含まれてもよいし、媒体透過度や媒体不透過度の補正係数が含まれてもよい。
【0021】
レンダリング部160は、画像データと各種パラメーターとを用いたレンダリングを実行することにより、画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成する。本実施形態では、レンダリング部160は、3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方にマネージド画像データを対応付け、かつ、3Dオブジェクトの表面と裏面とに質感パラメーターを対応付けて、印刷媒体の透光性を加味したレンダリングを実行する。具体的には、片面印刷の場合には、レンダリング部160は、表面の印刷画像のマネージド画像データと表面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、裏面の既成画像の原画像データと裏面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、透光性パラメーターに応じたレンダリングを実行する。両面印刷の場合には、レンダリング部160は、表面の印刷画像のマネージド画像データと表面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、裏面の印刷画像のマネージド画像データと裏面質感パラメーターとを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、透光性パラメーターに応じたレンダリングを実行する。
【0022】
図3は、レンダリング部160の構成を示す説明図である。レンダリング部160は、頂点パイプラインVPLと、ラスタライザーRRZと、ピクセルパイプラインPPLと、ポスト処理部PSTとを備えている。本実施形態では、頂点パイプラインVPLは、頂点シェーダーVSと、ジオメトリーシェーダーGSとを備えており、ピクセルパイプラインPPLは、ピクセルシェーダーPSと、透過度算出部TCと、レンダーバックエンドRBEとを備えている。
【0023】
頂点シェーダーVSは、3Dオブジェクト情報とカメラ情報と照明情報とを用いて、3Dオブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点の座標変換や、各ポリゴンの法線ベクトルの算出や、陰影処理や、テクスチャーマッピング座標(UV座標)の算出などを実行する。座標変換には、3Dオブジェクトの座標系であるローカル座標系(モデル座標系ともいう)から仮想空間の座標系であるワールド座標系(グローバル座標系ともいう)への座標変換であるモデル変換と、ワールド座標系から仮想空間に配置されたカメラの座標系であるビュー座標系(カメラ座標系ともいう)への座標変換であるビュー変換と、ビュー座標系からカメラから視たシーンが投影されるスクリーンの座標系であるスクリーン座標系(クリッピング座標系ともいう)への座標変換である投影変換とが含まれる。上述した座標変換の一部は、ジオメトリーシェーダーGSによって実行されてもよい。頂点シェーダーVSの処理結果は、ジオメトリーシェーダーGSに送信される。
【0024】
ジオメトリーシェーダーGSは、3Dオブジェクトの頂点の集合を加工する。ジオメトリーシェーダーGSは、頂点数を増減させることにより、ポリゴンを点や線に変換したり、点や線をポリゴンに変換したりすることができる。ジオメトリーシェーダーGSの処理結果は、ラスタライザーRRZに送信される。なお、他の実施形態では、レンダリング部160にジオメトリーシェーダーGSが設けられていなくてもよい。この場合、頂点シェーダーVSの処理結果がラスタライザーRRZに送信される。
【0025】
ラスタライザーRRZは、ラスタライズ処理を実行することにより、頂点パイプラインVPLの処理結果からピクセルごとの描画情報を生成する。ラスタライザーRRZの処理結果は、ピクセルシェーダーPSに送信される。
【0026】
ピクセルシェーダーPSは、ラスタライズ処理が施された3Dオブジェクトと画像データと質感パラメーターと透光性パラメーターとを用いてライティング処理を実行することにより、ピクセルごとの色を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、ピクセルシェーダーPSに設けられている。透過度算出部TCは、印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターを用いて、印刷媒体上での画像の透過度を算出する。画像の透過度とは、画像が裏面から透けて見える度合いのことを意味する。本実施形態では、3Dオブジェクトの表面は、各ポリゴンの表面により構成されており、3Dオブジェクトの裏面は、各ポリゴンの裏面により構成されているので、ピクセルシェーダーPSは、各ポリゴンの表面に表面画像データと表面質感パラメーターとを対応付け、各ポリゴンの裏面に裏面画像データと裏面質感パラメーターとを対応付けて、透過度に応じたライティング処理を実行する。ライティング処理において光の反射を計算するための関数には、例えば、ディスニー原則BRDFを用いることができる。本実施形態では、レンダリング部160は、カメラに裏面を向けているポリゴンを描画対象から除外する背面カリング機能を有している。レンダリング部160が背面カリング機能を有している場合には、レンダリング部160は、背面カリング機能がオフの状態で処理を実行する。このため、カメラの視野内の各ポリゴンの裏面は、描画対象から除外されない。ピクセルシェーダーPSの処理結果は、レンダーバックエンドRBEに送信される。
【0027】
レンダーバックエンドRBEは、ピクセルシェーダーPSにより生成されたピクセルデータをメモリー102の表示用領域に書き込むか否かを判断する。レンダーバックエンドRBEがメモリー102に書き込むと判断した場合には、ピクセルデータは描画対象として保存され、レンダーバックエンドRBEがメモリー102に書き込むと判断しなかった場合には、ピクセルデータは描画対象として保存されない。書き込むか否かの判断には、例えば、アルファテストや、深度テストや、ステンシルテストなどが用いられる。ピクセルデータがメモリー102に書き込まれることにより、パイプライン処理は終了する。
【0028】
ポスト処理部PSTは、メモリー102に保存されたピクセルデータからなるレンダリング画像に対して、例えば、アンチエイリアスや、アンビエントオクルージョンや、スクリーンスペースリフレクションや、被写界深度の処理などのポスト処理を実行することにより、レンダリング画像の見た目の改善を図る。
【0029】
図4は、片面印刷により画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図であり、図5は、両面印刷により画像が印刷された印刷媒体の一例を示す説明図である。図4および図5の上段には印刷前の印刷媒体が表されており、下段には印刷後の印刷媒体が表されている。図4の例では、印刷前の印刷媒体の表面は白紙であり、印刷前の印刷媒体の裏面には既成画像が形成されている。印刷媒体の表面に印刷画像を印刷した場合、透き通しが生じることにより、表面の印刷画像が裏面から透けて見えることがあり、裏面の既成画像が表面から透けて見えることがある。図5に示すように、印刷媒体の表面と裏面とに印刷画像を印刷した場合、透き通しが生じることにより、表面の印刷画像が裏面から透けて見えることがあり、裏面の印刷画像が表面から透けて見えることがある。なお、図4および図5におけるドットパターンは、印刷媒体の微小な凹凸面や滑らかさのムラを表している。
【0030】
図6は、画像データ入力用のユーザーインターフェースの第1の例を示す説明図である。図6のユーザーインターフェースUI1は、例えば、表示装置300に表示される。ユーザーインターフェースUI1は、片面印刷用である。ユーザーインターフェースUI1には、画像データを入力するための入力領域が1つ設けられている。画像データ取得部110は、ユーザーインターフェースUI1に入力された印刷画像の画像データを表面画像データとして取得し、印刷媒体の種類に応じた既成画像の画像データを裏面画像データとして取得する。
【0031】
図7は、画像データ入力用のユーザーインターフェースの第2の例を示す説明図である。図7のユーザーインターフェースUI2は、例えば、表示装置300に表示される。ユーザーインターフェースUI2は、片面印刷にも両面印刷にも用いることができる。ユーザーインターフェースUI2には、画像データを入力するための領域が2つ設けられている。画像データ取得部110は、2つの領域のうち、左側の領域に入力された画像の画像データを表面画像データとして取得し、右側の領域に入力された画像の画像データを裏面画像データとして取得する。したがって、片面印刷の場合には、左側の領域を介して、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができ、右側の領域を介して、印刷媒体の裏面に形成されている既成画像の画像データを入力することができる。両面印刷の場合には、左側の領域を介して、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができ、右側の領域を介して、印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の画像データを入力することができる。
【0032】
図8は、印刷画像の画像データの場合の透過度算出処理の内容を示すフローチャートである。図9は、媒体透過度テーブルTB1の一例を示す説明図である。図10は、インク量テーブルTB2の一例を示す説明図である。図11は、インク透過度テーブルTB3の一例を示す説明図である。透過度算出処理は、透過度算出部TCにより実行される。透過度算出処理が開始されると、ステップS110にて、透過度算出部TCは、透光性パラメーターとして、印刷媒体の光の透過度を表す媒体透過度を取得する。本実施形態では、透過度算出部TCは、メモリー102に予め記憶されている媒体透過度テーブルTB1を用いて、媒体透過度を取得する。図9に示すように、媒体透過度テーブルTB1には、印刷媒体の種類と媒体透過度との関係が表されている。媒体透過度が1.0である場合には印刷媒体は光を全て通し、媒体透過度が0.0である場合には印刷媒体は光を全く通さない。媒体透過度が0.0よりも大きく、かつ、1.0よりも小さい場合には、印刷媒体は光を一部通す。
【0033】
ステップS120にて、透過度算出部TCは、印刷画像の画像データの画素値に応じたインク量を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、メモリー102に予め記憶されているインク量テーブルTB2を用いて、画像データの画素値からインク量を算出する。図10に示すように、インク量テーブルTB2には、画素値とインク量との関係が表されている。透過度算出部TCは、インク量テーブルTB2を用いることにより、インク量を簡単に算出できる。透過度算出部TCは、画像データの画素ごとのインク量を算出する。
【0034】
ステップS130にて、透過度算出部TCは、インクの光の透過度を表すインク透過度を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、メモリー102に予め記憶されているインク透過度テーブルTB3を用いて、インク量からインク透過度を算出する。図11に示すように、インク透過度テーブルTB3には、インク量とインク透過度との関係が表されている。インク透過度は、0.0から1.0までの値をとる。インク透過度が1.0である場合にはインクは光を全て通し、インク透過度が0.0である場合にはインクは光を全く通さない。インク透過度が0.0よりも大きく、かつ、1.0よりも小さい場合には、インクは光を一部通す。Kインクの遮光性は高いため、印刷時に印刷媒体に供給されるインクに占めるKインクの割合が高い領域では、インク透過度が低い。Yインクの遮光性は低いため、印刷時に印刷媒体に供給されるインクに占めるYインクの割合が高い領域では、インク透過度が高い。インクの遮光性はインクの種類によって異なるので、メモリー102には、インクの種類ごとのインク透過度テーブルTB3が予め記憶されている。透過度算出部TCは、印刷条件に適合するインク透過度テーブルTB3を用いてインク透過度を算出する。透過度算出部TCは、画像データの画素ごとのインク透過度を算出する。
【0035】
ステップS140にて、透過度算出部TCは、媒体透過度とインク透過度とを加味した、印刷媒体上での印刷画像の透過度を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、下式(1A)により、印刷画像の透過度を算出する。
透過度=媒体透過度×インク透過度 ・・・(1A)
透過度算出部TCは、画像データの画素ごとの透過度を算出する。その後、透過度算出部TCは、この処理を終了する。なお、印刷画像の透過度の算出には、インク透過度に代えて、インクの光の不透過度を表すインク不透過度が用いられてもよい。インクの透光性に関する情報、つまり、インク透過度や、インク不透過度や、インク透過度やインク不透過度の補正係数のことをインク透光性情報と呼ぶことがある。
【0036】
図12は、既成画像の画像データの場合の透過度算出処理の内容を示すフローチャートである。図13は、既成部透過度テーブルTB4の一例を示す説明図である。透過度算出処理が開始されると、ステップS210にて、透過度算出部TCは、印刷画像の画像データの場合の透過度算出処理と同様に、媒体透過度を取得する。
【0037】
ステップS220にて、透過度算出部TCは、既成画像が形成されている面の光の透過度を表す既成部透過度を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、メモリー102に予め記憶されている既成部透過度テーブルTB4を用いて、画像データの明度から既成部透過度を算出する。図13に示すように、既成部透過度テーブルTB4には、明度と既成部透過度との関係が表されている。既成部透過度は、0.0から1.0までの値をとる。既成部透過度が1.0である場合には既成画像が形成されている面は光を全て通し、既成部透過度が0.0である場合には既成画像が形成されている面は光を全く通さない。既成部透過度が0.0よりも大きく、かつ、1.0よりも小さい場合には、既成画像が形成されている面は光を一部通す。透過度算出部TCは、画像データの画素ごとの既成部透過度を算出する。
【0038】
ステップS230にて、透過度算出部TCは、媒体透過度と既成部透過度とを加味した、印刷媒体上での既成画像の透過度を算出する。本実施形態では、透過度算出部TCは、下式(1B)により、既成画像の透過度を算出する。
透過度=媒体透過度×既成部透過度 ・・・(1B)
透過度算出部TCは、画像データの画素ごとの透過度を算出する。その後、透過度算出部TCは、この処理を終了する。なお、既成画像の透過度の算出には、既成部透過度に代えて、既成画像が形成されている面の光の不透過度を表す既成部不透過度を算出してもよい。既成画像が形成されている面の透光性に関する情報、つまり、既成部透過度や、既成部不透過度や、既成部透過度や既成部不透過度の補正係数のことを既成部透光性情報と呼ぶことがある。
【0039】
図14は、ピクセル色決定処理の内容を示すフローチャートである。ピクセル色決定処理は、レンダリング部160がレンダリング画像を生成する際に、ピクセルシェーダーPSにより実行される。ピクセル色決定処理が開始されると、ピクセルシェーダーPSは、ステップS310にて、表面用のリソースデータを取得し、ステップS320にて、裏面用のリソースデータを取得する。表面リソースデータには、決定対象部位に対応する表面画像データの画素値、表面質感パラメーター、および、表面画像の透過度が含まれる。裏面リソースデータには、決定対象部位に対応する裏面画像データの画素値、裏面質感パラメーター、および、裏面画像の透過度が含まれる。ステップS330にて、透過度算出部TCは、上述した透過度算出処理を実行することにより、透過度を算出する。
【0040】
ステップS340にて、ピクセルシェーダーPSは、決定対象部位に質感パラメーターの影響と透過度の影響とを加味してライティング処理を実行し、レンダリング画像の画素のピクセル色を決定する。ピクセルシェーダーPSは、表面のレンダリング時には、下式(2A)によりレンダリング画像の画素値を算出することができ、裏面のレンダリング時には、下式(2B)によりレンダリング画像の画素値を算出することができる。下式(2A)および下式(2B)には、透き通しの効果を説明するために、物理ベース計算によらない計算方法を示している。実際には、ピクセルシェーダーPSは、双方向反射率分布関数(BRDF)などを用いた物理ベース計算により画素値を算出する。ピクセルシェーダーPSは、R,G,Bそれぞれの画素値を算出する。
レンダリング画像の画素値(表面レンダリング時)=表面画像の画素値×(1.0-表面画像の透過度)+裏面画像の画素値×(1.0-裏面画像の透過度)×表面画像の透過度+表面画像の透過度×裏面画像の透過度×背景の画素値 ・・・(2A)
レンダリング画像の画素値(裏面レンダリング時)=裏面画像の画素値×(1.0-裏面画像の透過度)+表面画像の画素値×(1.0-表面画像の透過度)×裏面画像の透過度+裏面画像の透過度×表面画像の透過度×背景の画素値 ・・・(2B)
なお、背景が設定されていない場合には、背景の画素値の項はなくてよい。その後、ピクセルシェーダーPSは、この処理を終了する。ピクセルシェーダーPSは、レンダリング画像の全ての画素のピクセル色が決定するまで、ピクセル色決定処理を繰り返す。上述した方法により、透き通しが生じている状態の印刷媒体をレンダリング画像に表すことができる。
【0041】
図15は、3DオブジェクトOBJの表面を観察する様子を模式的に示す説明図であり、図16は、3DオブジェクトOBJの表面観察時に表示装置300に表示されるレンダリング結果を模式的に示す説明図である。図17は、3DオブジェクトOBJの裏面を観察する様子を模式的に示す説明図であり、図18は、3DオブジェクトOBJの裏面観察時に表示装置300に表示されるレンダリング結果を模式的に示す説明図である。ここでは、表面に印刷画像が印刷されており、裏面に既成画像が形成されている印刷媒体を表現する場合を例にして説明する。なお、図15から図18におけるドットパターンは、印刷媒体の微小な凹凸面や滑らかさのムラを表している。
【0042】
図15および図17では、便宜上、1枚のポリゴンPLにより構成されている3DオブジェクトOBJが図示されている。本実施形態では、ポリゴンPLは、3DオブジェクトOBJの表面を構成するとともに3DオブジェクトOBJの裏面をも構成している。ポリゴンPLの法線ベクトルNpが向く側の面であるポリゴンPLの表面により3DオブジェクトOBJの表面が構成されており、ポリゴンPLの裏面により3DオブジェクトOBJの裏面が構成されている。図15および図17には、カメラCMの視線が破線の矢印で表されている。図15および図17には図示されていないが、3DオブジェクトOBJは、光源からの光に照らされている。
【0043】
図15に示すように、3DオブジェクトOBJの表面にカメラCMを向けると、レンダリング部160は、図16に示すように、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの表面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。図17に示すように、カメラCMを3DオブジェクトOBJの裏面に向けると、レンダリング部160は、図18に示すように、カメラCMを通して3DオブジェクトOBJの裏面を観察した場合のレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させる。レンダリング部160は、3DオブジェクトOBJの表面に表面画像データと表面質感パラメーターとを対応付け、かつ、3DオブジェクトOBJの裏面に裏面画像データと裏面質感パラメーターとを対応付けて、透過度に応じたレンダリングを実行する。したがって、図16のレンダリング画像には、裏面から表面への透き通しが生じている状態の印刷媒体が、印刷媒体の表面の質感を伴って表され、図18のレンダリング画像には、表面から裏面への透き通しが生じている状態の印刷媒体が、印刷媒体の裏面の質感を伴って表される。
【0044】
以上で説明した本実施形態の画像処理装置100によれば、印刷装置400による印刷に先立って、印刷装置400により画像が印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像を生成して、レンダリング画像を表示装置300に表示させることができるので、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現のレンダリング画像を用いて印刷プレビューを行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、レンダリング部160は、片面印刷の場合には、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと表面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に形成されている既成画像の原画像データと裏面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの裏面に対応付けて、透過度に応じたレンダリングを実行する。したがって、表面の印刷画像の裏面への透き通し、および、裏面の既成画像の表面への透き通しが生じている状態の印刷媒体を、印刷媒体の質感を伴って表現するレンダリング画像を生成することができる。
【0046】
また、本実施形態では、レンダリング部160は、両面印刷の場合には、印刷媒体の表面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと表面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの表面に対応付け、かつ、印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像のマネージド画像データと裏面質感パラメーターとを3DオブジェクトOBJの裏面に対応付けて、透過度に応じたレンダリングを実行する。したがって、表面の印刷画像の裏面への透き通し、および、裏面の印刷画像の表面への透き通しが生じている状態の印刷媒体を、印刷媒体の質感を伴って表現するレンダリング画像を生成することができる。
【0047】
また、本実施形態では、透過度算出部TCは、画像データの画素ごとに透過度を算出する。したがって、印刷媒体上での透過度の分布を表現できるため、透き通しが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。
【0048】
また、本実施形態では、透過度算出部TCは、印刷媒体の透光性を表す媒体透過度と、インクの透光性を表すインク透過度とを用いて、印刷画像の透過度を算出する。したがって、印刷媒体の透光性だけではなく、インクの透光性をも加味できるため、透き通しが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。加えて、透過度算出部TCは、画像データの画素値からインク量を算出し、インク量からインク透過度を算出するので、インク量よって透き通しの状態が異なるという現象を表現できる。加えて、透過度算出部TCは、印刷条件に適合するインク量テーブルTB2を用いて、画像データの画素値からインク量を算出するので、印刷条件に応じたインク量を簡単に算出できる。
【0049】
また、本実施形態では、質感パラメーターには、印刷媒体の表面の質感を表す表面質感パラメーターと、印刷媒体の裏面の質感を表す裏面質感パラメーターとが含まれている。したがって、表面と裏面とで質感の異なる印刷媒体をリアルな質感で表現することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ポリゴンPLの表面により3DオブジェクトOBJの表面が構成されており、ポリゴンPLの裏面により3DオブジェクトOBJの裏面が構成されているので、薄肉な印刷媒体をリアルな質感で表現できる。
【0051】
B.他の実施形態:
(B1)図19には、素材テクスチャーの画素値と補正係数との関係を示す説明図である。第1実施形態の画像処理装置100の透過度算出部TCは、印刷媒体の地模様を表現した素材テクスチャーが用いられる場合には、透過度算出処理において、素材テクスチャーの画素値に応じた補正係数を用いて、画像の透過度を算出してもよい。この場合、透過度算出部TCは、式(1A)に代えて下式(3A)により、式(1B)に代えて下式(3B)により、画像の透過度を算出してもよい。
透過度=1.0-(1.0-媒体透過度×インク透過度)×補正係数 ・・・(3A)
透過度=1.0-(1.0-媒体透過度×既成部透過度)×補正係数 ・・・(3B)
図19に示すように、素材テクスチャーは、グレースケールで表されたカラーマップである。素材テクスチャーの白色の領域では、補正係数は1.0であり、黒色の領域では、補正係数は0.0である。グレーの領域では、補正係数は0.0より大きく1.0より小さい値であり、白に近付くほど値が大きい。
【0052】
(B2)上述した第1実施形態の画像処理装置100では、透過度算出部TCは、レンダリング部160の内部に設けられている。これに対して、透過度算出部TCは、レンダリング部160の外部に設けられてもよい。
【0053】
(B3)上述した第1実施形態の画像処理装置100では、レンダリング部160は、媒体透過度とインク透過度とを用いて算出した印刷画像の透過度や、媒体透過度と既成部透過度とを用いて算出した既成画像の透過度を用いて、レンダリングを実行する。これに対して、レンダリング部160は、媒体透過度をそのまま印刷画像や既成画像の透過度として用いてもよい。
【0054】
(B4)上述した第1実施形態の画像処理装置100では、透過度算出部TCは、インク量テーブルTB2を用いて画素値からインク量を算出した後、インク透過度テーブルTB3を用いてインク量からインク透過度を算出している。これに対して、透過度算出部TCは、画素値からインク透過度を直接算出してもよい。透過度算出部TCは、例えば、画素値とインク透過度との関係が表されたテーブルを用いることにより、画素値からインク透過度を直接算出することができる。
【0055】
(B5)上述した第1実施形態の画像処理装置100では、質感パラメーターには、表面質感パラメーターと裏面質感パラメーターとが含まれており、レンダリング部160は、表面質感パラメーターを3Dオブジェクトの表面に対応付け、かつ、裏面質感パラメーターを3Dオブジェクトの裏面に対応付けて、レンダリングを実行する。これに対して、質感パラメーターが表面用と裏面用とに分かれていなくてもよい。この場合、レンダリング部160は、同じ質感パラメーターを3Dオブジェクトの表面と裏面とに対応付けて、レンダリングを実行してもよい。
【0056】
(B6)上述した第1実施形態の画像処理装置100では、インクジェットプリンターなどの印刷装置により画像が直接印刷された印刷媒体を表すレンダリング画像が生成される。これに対して、画像処理装置100は、例えば、印刷装置により画像が印刷された転写紙から熱転写により画像が転写される媒体を表すレンダリング画像を生成してもよい。この場合、転写紙から熱転写により画像が転写される媒体のことを印刷媒体と呼ぶ。
【0057】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0058】
(1)本開示の第1の形態によれば、画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得部と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換部と、前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得部と、前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出部と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング部と、を備える。
この形態の画像処理装置によれば、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現で、透き通しが生じている状態の印刷媒体をレンダリング結果に表すことができる。
【0059】
(2)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記画像データの画素ごとに前記透過度を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、透過度の分布を表現できるため、透き通しが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。
【0060】
(3)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記透過度を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、印刷媒体の透光性だけではなく、インクの透光性も加味することができるため、透き通しが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。
【0061】
(4)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記インクの種類と、前記画像データの画素値に応じたインク量とを用いて、前記インク透光性情報を生成してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、インクの種類やインク量よって透き通しの状態が異なるという現象を表現できる。
【0062】
(5)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記画像データの画素値と前記インク量との関係を表すテーブルを用いて前記インク量を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、インク量を簡単に算出できる。
【0063】
(6)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記印刷条件に応じた前記テーブルを用いて前記インク量を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、印刷条件に応じたインク量を簡単に算出できる。
【0064】
(7)上記形態の画像処理装置において、前記画像データ取得部は、前記3Dオブジェクトの表面に対応付けられる表面画像データと、前記3Dオブジェクトの裏面に対応付けられる裏面画像データとを取得し、前記透過度算出部は、前記表面画像データの画像の透過度と、前記裏面画像データの画像の透過度とを算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面画像データの画像の透過度と裏面画像データの画像の透過度とを異ならせることができるので、透き通しが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。
【0065】
(8)上記形態の画像処理装置において、前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の前記表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に予め表されている既成画像の前記裏面画像データとを取得し、前記透過度算出部は、前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の表面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷画像の透過度を算出し、前記透光性パラメーターと、前記既成画像が形成されている面の透光性を表す既成部透光性情報とを用いて、前記既成画像の透過度を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面に印刷された画像の透き通しと裏面に予め表されている画像の透き通しとが生じている状態の印刷媒体を表現できる。
【0066】
(9)上記形態の画像処理装置において、前記透過度算出部は、前記裏面画像データの画素値を用いて、前記既成部透光性情報を生成してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面に印刷された画像の透き通しと裏面に予め表されている画像の透き通しとが生じている状態の印刷媒体をよりリアルに表現できる。
【0067】
(10)上記形態の画像処理装置において、前記画像データ取得部は、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の前記表面画像データと、前記印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の前記裏面画像データとを取得し、前記透過度算出部は、前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の表面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷媒体の表面に印刷される印刷画像の透過度を算出し、前記透光性パラメーターと、印刷時に前記印刷媒体の裏面に供給されるインクの透光性を表すインク透光性情報とを用いて、前記印刷媒体の裏面に印刷される印刷画像の透過度を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、表面に印刷された画像の透き通しと裏面に印刷された画像の透き通しとが生じている状態の印刷媒体を表現できる。
【0068】
(11)上記形態の画像処理装置において、前記レンダリング部は、前記3Dオブジェクトの表面のレンダリングを実行するときには、前記表面画像データの画素値と、前記表面画像データの画像の透過度と、前記裏面画像データの画素値とを用いて、レンダリング結果の画素値を算出し、前記3Dオブジェクトの裏面のレンダリングを実行するときには、前記裏面画像データの画素値と、前記裏面画像データの画像の透過度と、前記表面画像データの画素値とを用いて、レンダリング結果の画素値を算出してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、透き通しが生じている状態の印刷媒体をレンダリング結果に表すことができる。
【0069】
(12)本開示の第2の形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、上記第1の形態の画像処理装置と、前記画像処理装置によって生成されるレンダリング結果を表示する表示装置と、前記印刷媒体に画像を印刷する印刷装置と、を備える。
この形態の印刷システムによれば、画像処理装置により生成されるレンダリング結果を用いて、印刷装置により画像が印刷された状態の印刷媒体をプレビューすることができる。
【0070】
(13)本開示の第3の形態によれば、画像処理プログラムが提供される。この画像処理プログラムは、画像データを取得する画像データ取得機能と、画像が印刷される印刷媒体の種類を含む印刷条件を取得する印刷条件取得機能と、前記画像データに前記印刷条件に応じた色変換を施す色変換機能と、前記印刷媒体の性質を表す媒体パラメーターであって、前記印刷媒体の質感を表す質感パラメーターと前記印刷媒体の透光性を表す透光性パラメーターとを含む媒体パラメーターを取得するパラメーター取得機能と、前記透光性パラメーターに応じて前記印刷媒体上での画像の透過度を算出する透過度算出機能と、前記印刷媒体の形状を表す3Dオブジェクトの表面と裏面との少なくとも一方に前記色変換が施された前記画像データを対応付け、かつ、前記3Dオブジェクトの表面と裏面とに前記質感パラメーターを対応付けて、前記透過度に応じたレンダリングを実行するレンダリング機能と、をコンピューターに実行させる。
この形態の画像処理プログラムによれば、印刷媒体の質感を伴ったリアルな表現で、透き通しが生じている状態の印刷媒体をレンダリング結果に表すことができる。
【0071】
本開示は、画像処理装置、印刷システム、および、画像処理プログラム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、画像処理方法等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
10…印刷システム、100…画像処理装置、101…プロセッサー、102…メモリー、103…入出力インターフェース、104…内部バス、110…画像データ取得部、120…印刷条件取得部、131…入力プロファイル取得部、132…メディアプロファイル取得部、133…共通色空間プロファイル取得部、140…カラーマネージメントシステム、150…パラメーター取得部、160…レンダリング部、200…入力装置、300…表示装置、400…印刷装置、GS…ジオメトリーシェーダー、PG…画像処理プログラム、PPL…ピクセルパイプライン、PS…ピクセルシェーダー、PST…ポスト処理部、RBE…レンダーバックエンド、RRZ…ラスタライザー、TC…透過度算出部、UI1~UI2…ユーザーインターフェース、VPL…頂点パイプライン、VS…頂点シェーダー
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