(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090762
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20240627BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240627BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240627BHJP
B41J 11/44 20060101ALI20240627BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20240627BHJP
B65C 9/42 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J3/36 Z
B41J2/01 305
B41J11/44
B65H41/00 C
B65C9/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206854
(22)【出願日】2022-12-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 稔
【テーマコード(参考)】
2C055
2C056
2C058
3E095
3F108
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C056EA01
2C056EB13
2C056EC07
2C056EC37
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA44
2C058AB08
2C058AC07
2C058AE04
2C058AE14
2C058GH07
2C058GH09
3E095BA03
3E095CA02
3E095DA03
3E095DA13
3E095DA22
3E095DA62
3E095DA76
3E095EA02
3E095EA09
3E095EA13
3E095EA24
3E095FA02
3E095FA30
3F108JA03
(57)【要約】
【課題】印刷スループットを改善した印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、印刷位置Aにおいて、各ラベル3に画像を印刷する印刷ヘッド11と、印刷ヘッド11よりも搬送方向Fの下流に配置され、各ラベル3をライナー5から剥離する剥離部40と、複数のラベル3に含まれる第n-1ラベル3への画像の印刷の終了後、位置検出センサー24及びロータリーエンコーダー25の検出結果に基づき、剥離部40がラベル3をライナー5から剥離する剥離位置Bに第n-1ラベル3が搬送される前に、第n-1ラベル3の次のラベルである第nラベル3が印刷位置Aに搬送されると判定される場合、第nラベルを印刷位置Aに搬送し、印刷ヘッド11を制御して記第nラベル3に画像を印刷する制御部100と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出部と、
前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離部と、
前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記剥離部が前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送し、前記印刷ヘッドを制御して前記第nラベルに画像を印刷する制御部と、
を備える、印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記印刷ヘッドを前記搬送方向と交差する交差方向に走査させて、前記印刷ヘッドにより前記ラベルにインクを吐出して1パス印刷を実行し、
前記1パス印刷の実行後、前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送する前に、前記ラベル媒体の第1搬送量の搬送により、前記第n-1ラベルが、前記剥離位置、又は、前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されるか否かを判定する搬送位置判定を実行し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが、前記剥離位置、又は、前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されると判定した場合、前記印刷ヘッドの前記交差方向への走査を停止し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されると判定した場合、前記ラベル媒体を、前記搬送方向に前記第1搬送量だけ搬送し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されると判定した場合、前記ラベル媒体を、前記第1搬送量より搬送量の少ない第2搬送量だけ搬送することで、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されるように前記搬送部及び前記印刷ヘッドを制御する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ラベルの前記剥離位置への搬送後、前記ラベルの前記ライナーからの剥離を検出する剥離ラベル検出部を備え、
前記制御部は、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されると判定し、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されたことを前記剥離ラベル検出部が検出すると、前記ラベル媒体を搬送することなく、前記第nラベルへの印刷を再開し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置より下流に搬送されると判定し、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されたことを前記剥離ラベル検出部が検出すると、前記第1搬送量-前記第2搬送量だけ前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送し、その後、前記第nラベルへの印刷を再開する、請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されてから、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されるまでの処理時間が、予め設定された設定時間以上であるか否かを判定し、
前記処理時間が前記設定時間以上であると判定した場合に、前記第nラベルに対する印刷を行わず、前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送して第n+1ラベルを前記印刷ヘッドの印刷位置に搬送し、前記n+1ラベルへの前記1パス印刷を行う、請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送ステップと、
前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出ステップと、
前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ステップと、
前記印刷位置よりも前記搬送方向の下流において、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離ステップと、を含み、
前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出ステップの検出結果に基づき、前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送して前記第nラベルに画像を印刷する、印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を印刷したラベルをライナーから剥離する剥離部を備える印刷装置が知られている。例えば、特許文献1に開示の印刷装置は、台紙を搬送する搬送機構と、印刷されたラベルを連続状態から分離させる分離処理機構と、印刷されたラベルが分離されるまで搬送機構による台紙の搬送を停止させる搬送停止手段とを備える。
【0003】
また、印刷装置は、印刷されたラベルが分離されると、搬送機構を逆運転させ台紙を逆方向に送る逆送手段と、印刷ヘッドの下流側に位置し、逆送されてきた台紙に貼着されている未印刷のラベルの先端を検知する先端検知センサーとを備える。印刷装置は、先端検知センサーが未印刷のラベルの先端を検知するとその検知した位置を基準に台紙をさらに逆送させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の印刷装置は、印刷されたラベルが分離処理されると、搬送機構を逆運転させて台紙を逆方向に搬送する必要があった。このため、印刷スループットの改善に余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出部と、前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離部と、前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記剥離部が前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送し、前記印刷ヘッドを制御して前記第nラベルに画像を印刷する制御部と、を備える印刷装置である。
【0007】
本開示は、複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送ステップと、前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出ステップと、前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ステップと、前記印刷位置よりも前記搬送方向の下流において、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離ステップと、を含み、前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出ステップの検出結果に基づき、前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送して前記第nラベルに画像を印刷する、印刷装置の制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第nラベルが印刷位置に搬送された状態を示す図。
【
図4】第n-1ラベルが剥離位置より上流に搬送される状態を示す図。
【
図5】第n-1ラベルが剥離位置に搬送される状態を示す図。
【
図6】第n-1ラベルが剥離位置より下流に搬送される状態を示す図。
【
図8】印刷装置の動作の続きを示すフローチャート。
【
図9】印刷装置の動作の続きを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0010】
[1.印刷装置の構成]
図1は、印刷装置1の構成を模式的に示す側面図である。
図1に示す+Z方向が、印刷装置1の上方向に対応し、
図1に示す+Y方向が印刷装置1の手前方向に対応し、
図1に示す+X方向が印刷装置1の左方向に対応する。
【0011】
印刷装置1は、ラベル紙7にインクを吐出することによって印刷を行うインクジェット式のピーラー付きラベルプリンターである。印刷装置1は、印刷部10、搬送部20、供給部30、剥離部40及び制御部100を備える。
【0012】
ラベル紙7は、ラベル媒体に相当し、台紙である長尺のライナー5に複数のラベル3が貼付されている。ラベル3は、所定サイズにカットされており、ライナー5の長手方向において等間隔に、剥離可能に貼付されている。また、ライナー5の裏面には、隣り合うラベル3の間隔に対応して等間隔にブラックマークが設けられている。
【0013】
印刷部10は、印刷する画像情報や文字情報に基づく制御部100からの制御信号に従い、ラベル紙7に印刷を行う部分である。印刷部10は、ラベル紙7の表面にインクを吐出する印刷ヘッド11及びインク供給部12を備える。印刷ヘッド11は、不図示のキャリッジに搭載され、ラベル紙7の幅方向に移動しながらインクを吐出するシリアルヘッドによって構成される。印刷ヘッド11がインクを吐出してラベル3に印刷を行う位置を印刷位置Aという。
【0014】
インク供給部12は、印刷ヘッド11に、吐出するインクを供給する機構であり、インクを収容するインク容器、インク容器から印刷ヘッド11までのインク供給路、インク供給路においてインクを送るポンプなどから構成されている。なお、インク容器、インク供給路、ポンプの図示は省略している。
【0015】
搬送部20は、搬送ローラー21、プラテン22及び繰出しローラー23を備える。搬送ローラー21、プラテン22及び繰出しローラー23は、ラベル紙7を搬送する搬送経路27に沿って配置される。
図1に示す記号Fは、ラベル紙7が搬送される搬送方向Fを示す。
【0016】
搬送ローラー21は、制御部100の制御の下に駆動される搬送モーターにより回転してラベル紙7を搬送する駆動ローラーと、この駆動ローラーとの間にラベル紙7を挟持し、駆動ローラーの回転に伴って回転する従動ローラーの対から構成される。搬送ローラー21は、ラベル紙7の搬送経路27において印刷位置Aの上流側に設けられ、ラベル紙7に搬送力を付与する。搬送ローラー21は、制御部100の制御の下に搬送モーターを正転させることで、ラベル紙7を搬送方向Fに搬送する。また、搬送ローラー21は、搬送ローラー21の回転量、つまりは、ラベル紙7の搬送量を検出するセンサーとして、ロータリーエンコーダー25を備える。なお、搬送モーターについては、図示を省略している。
【0017】
プラテン22は、印刷位置Aにおいて、印刷ヘッド11に対向し、ラベル紙7を下方から支持する支持面22aを有する平板である。
繰出しローラー23は、供給部30から供給されるラベル紙7を印刷位置Aに送り出す従動ローラーである。
【0018】
搬送方向Fにおいて、搬送ローラー21の上流には、位置検出センサー24が配置される。
位置検出センサー24は、ライナー5の裏面に設けられたブラックマークを検出する反射型フォトセンサーである。印刷装置1は、制御部100によって、位置検出センサー24の検出値、または、検出値の変化に基づき、ライナー5の裏面に配置されたブラックマークが位置検出センサー24の位置に達したことを検出する。位置検出センサー24は、ラベル紙7の搬送経路27において、繰出しローラー23よりも下流側、かつ、搬送ローラー21よりも上流側に配置されている。また、ラベルとラベルの間を検出する透過型センサーを、ラベル紙7の搬送経路27において、搬送ローラー21の上流側に配置するようにしてもよい。
【0019】
供給部30は、印刷前のラベル紙7を収容し、搬送部20に送り出す部分である。供給部30は、搬送経路27において印刷位置Aの上流側に位置し、ロール状態のラベル紙7を装填する繰り出しリール31を備える。繰り出しリール31は、搬送ローラー21との間の搬送経路27において、ラベル紙7にたるみを発生させないように、常に僅かなバックテンションが掛かるように構成しても良いし、搬送ローラー21によるフロントフィードやバックフィードに合わせてラベル紙7の移動をアシストする回転駆動を行うための駆動モーターを備える構成であってもよい。
【0020】
剥離部40は、ラベル紙7の搬送経路27において、印刷位置Aの下流に位置し、印刷後のラベル紙7からライナー5を剥離する。つまり、剥離部40は、ラベル3をライナー5から取り出せるようにする剥離機構である。剥離部40は、剥離部材41、剥離ローラー42及びラベルセンサー43を備える。
【0021】
剥離部材41は、印刷装置1の前面に突き出すように備えられる。また、剥離部材41は、搬送経路27においてプラテン22の下流方向に近接して配置される。剥離部材41は、プラテン22の支持面22aの延長上において、印刷位置Aからフロントフィードされたラベル紙7を下方から支持する案内面41aと、案内面41aの下流方向の先端に形成される鋭角の剥離エッジ41bとを有する。
【0022】
剥離ローラー42は、制御部100の制御の下に駆動される駆動モーターにより回転してライナー5を搬送する駆動ローラー42aと、この駆動ローラーとの間にライナー5を挟持し、駆動ローラーの回転に伴って回転する従動ローラー42bの対から構成される。剥離ローラー42は、剥離部材41の下方に配置され、ライナー5を剥離部材41の剥離エッジ41bで鋭角に折り曲げた方向に搬送する。すなわち、剥離ローラー42は、剥離部40においてラベル3からライナー5を剥離するテンションをライナー5に付与可能であり、剥離されたライナー5に搬送力を付与する。駆動モーターの図示は省略する。
【0023】
ラベルセンサー43は、剥離エッジ41bによってライナー5が剥離されて浮き上がったラベル3の有無を検出する反射型の光学センサーであり、剥離エッジ41bの近傍に設けられる。ラベルセンサー43は、剥離位置Bに搬送されるラベル3と、ラベル3の剥離部材41からの除去と、を検出する。ラベルセンサー43は、剥離位置Bに搬送されたラベル3を検出すると、制御部100に第1検出信号を出力する。また、ラベルセンサー43は、ラベル3の剥離部材41からの除去を検出すると、制御部100に第2検出信号を出力する。ラベルセンサー43は、剥離ラベル検出部に相当する。
【0024】
[2.制御系の構成]
図2は、印刷装置1の制御系の構成を示す図である。
図2を参照しながら印刷装置1の制御系の構成について説明する。
制御部100は、入出力インターフェイス110、記憶部120及びプロセッサー130を備える。以下、入出力インターフェイス110をI/Oインターフェイス110と略記する。
【0025】
I/Oインターフェイス110には、位置検出センサー24、ロータリーエンコーダー25、ラベルセンサー43、ヘッド駆動回路51、搬送モーター駆動回路53、駆動モーター駆動回路55等が接続される。
【0026】
ロータリーエンコーダー25は、搬送ローラー21を駆動する搬送モーターの回転量を検出する。ロータリーエンコーダー25は、検出した搬送モーターの回転量を示す信号を制御部100に出力する。
【0027】
ヘッド駆動回路51は、印刷ヘッド11に接続され、印刷ヘッド11を駆動する回路である。ヘッド駆動回路51は、印刷ヘッド11が備える不図示のソレノイドコイルに供給する駆動電圧を制御する。
【0028】
搬送モーター駆動回路53は、搬送ローラー21を駆動する搬送モーターを駆動して搬送ローラー21を回転させ、ラベル紙7を搬送方向Fに搬送する。
【0029】
駆動モーター駆動回路55は、不図示の駆動モーターを駆動し、印刷ヘッド11を搭載したキャリッジをラベル紙7の幅方向である副走査方向に移動させる。副走査方向は、搬送方向と交差する交差方向に相当する。
【0030】
記憶部120は、揮発性の半導体記憶装置としてRAM(Random Access Memory)を備え、不揮発性の半導体記憶装置としてROM(Read only memory)を備える。
RAMは、プロセッサー130の演算領域として使用される。
ROMは、プロセッサー130が実行する制御プログラム121や設定データ123を記憶する。設定データ123は、印刷装置1の動作設定に関するデータである。
【0031】
プロセッサー130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processor Unit)により構成される演算処理装置である。プロセッサー130は、制御プログラム121を実行して印刷装置1の各部を制御する。プロセッサー130は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能である。
【0032】
制御部100は、パーソナルコンピューターなどの外部機器から受信した画像データや印刷仕様に基づき、印刷部10、搬送部20、供給部30及び剥離部40を制御して、ラベル紙7のラベル3に印刷画像を形成する。以下では、印刷画像が形成されたラベルが第n-1ラベル3であると仮定して説明する。nは任意の自然数である。
【0033】
制御部100は、第n-1ラベル3への画像の印刷が終了すると、搬送部20を駆動してラベル紙7を搬送方向Fに搬送し、第n-1ラベル3を剥離位置Bへと搬送する。剥離位置Bは、剥離ローラー42により付与されたテンションにより、剥離部材41の剥離エッジ41bにおいて、ラベル3の一部がライナー5から剥離されて停止した時に、ラベル3の後端から予め設定された距離だけ搬送方向Fの前方の位置が位置する位置である。
このとき、制御部100は、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されるよりも前に、第n-1ラベル3の次のラベルである第nラベル3が印刷位置Aに搬送される場合には、印刷ヘッド11を制御して第nラベル3への画像の印刷を開始する。
【0034】
上述の動作についてより詳細に説明する。
印刷装置1は、1パス印刷を複数回繰り返すことで、ラベル3に印刷画像を印刷する。1パス印刷は、ラベル紙7の幅方向に印刷ヘッド11を移動させて1行分の印刷を行う印刷処理と、搬送部20を制御してラベル紙7を第1搬送量だけ搬送する搬送処理と、を含む。ここで、搬送方向Fにおける1行分の長さは、搬送方向Fにおける印刷ヘッド11の長さに等しく、1パス印刷の第1搬送量は、1行分を何パスで印刷するかに応じた搬送量となる。制御部100は、不図示の上位装置から第1搬送量を指定するコマンドを受信すると、印刷部10が行う第1搬送量をコマンドで指定された距離に置き換える。この場合、行間のスペースが変更される。本実施例では、1行を1パス印刷1回で印刷するものとする。
【0035】
ここでは、第n-1ラベル3への印刷画像の印刷が完了したと仮定して説明する。
制御部100は、第n-1ラベル3への印刷画像の印刷が完了すると、ラベル紙7を搬送方向Fに搬送し、第n-1ラベル3の剥離位置Bへの搬送と、第n-1ラベル3の次のラベル3である第nラベル3の印刷位置Aへの搬送と、を行う。ここでは、第n-1ラベル3が剥離位置Bへ搬送されるよりも前に、第nラベル3が印刷位置Aに搬送されると仮定して説明する。
【0036】
図3は、第nラベル3が印刷位置Aに搬送された状態を示す図である。
制御部100は、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に対し、印刷ヘッド11をラベル紙7の幅方向に移動させて1行分の印刷を行う印刷処理を行う。
制御部100は、印刷処理による1行分の印刷が終了すると、搬送処理を行う前に、搬送位置判定を実行する。搬送位置判定とは、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が、剥離位置B、又は、剥離位置Bより搬送方向Fの下流に搬送されるか否かを判定する処理である。本実施形態では、第n-1ラベル3の後端から予め設定された距離だけ搬送方向Fの前方の位置が、剥離位置Bに搬送される場合を第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されるというが、剥離位置Bに搬送される第n-1ラベル3の位置は、これに限定されない。例えば、第n-1ラベル3の先頭から予め設定された距離だけ、搬送方向Fの後方の位置が剥離位置Bに搬送される場合を、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されると判定してもよい。
【0037】
制御部100は、位置検出センサー24がブラックマークを検出してからの搬送モーターの回転量に基づいて、搬送経路27における第n-1ラベル3や第nラベル3、第n+1ラベル3の位置を判定する。制御部100は、ロータリーエンコーダー25から入力される信号に基づいて搬送モーターの回転量を取得する。位置検出センサー24、ロータリーエンコーダー25及び制御部100は、位置検出部として機能する。
【0038】
制御部100は、位置検出センサー24がブラックマークを検出してからの搬送モーターの回転量に基づいて、第n-1ラベル3や第nラベル3、第n+1ラベル3が印刷位置Aに搬送されたか否かを判定する。また、制御部100は、位置検出センサー24がブラックマークを検出してからの搬送モーターの回転量に基づいて、第n-1ラベル3や第nラベル3、第n+1ラベル3が剥離位置Bに搬送されたか否か、又は、剥離位置Bよりも下流に搬送されるか否かを判定する。
【0039】
例えば、記憶部120は、印刷位置Aでの搬送モーターの回転量と、剥離位置Bでの搬送モーターの回転量とを設定データ123として記憶する。
制御部100は、第nラベル3への1行分の印刷が終了すると、第n-1ラベル3の搬送経路27における位置を示す回転量に、第1搬送量分の搬送モーターの回転量を加算する。制御部100は、加算した回転量が、剥離位置Bでの回転量に一致する場合には、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されると判定する。また、制御部100は、加算した回転量が、剥離位置Bでの回転量よりも多い場合、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が剥離位置Bよりも下流に搬送されると判定する。
【0040】
図4は、第n-1ラベル3が剥離位置Bより上流に搬送される状態を示す図である。
制御部100は、ラベル紙7を第1搬送量だけ搬送しても第n-1ラベル3の先頭が剥離位置Bまで搬送されないと判定すると、搬送処理によりラベル紙7を第1搬送量だけ搬送し、第nラベル3の次の行へ印刷画像を印刷する。
図4には、第1搬送量を「D」と表記する。また、
図4には、第1搬送量だけ搬送される前の第n-1ラベル3及び第nラベル3を破線で示し、第1搬送量だけ搬送された後の第n-1ラベル3及び第nラベル3を実線で示す。
【0041】
図5は、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送される状態を示す図である。また、
図6は、第n-1ラベル3が剥離位置Bより下流に搬送される状態を示す図である。
図5及び
図6には、
図4に示す状態から第1搬送量の搬送が再度、行われ、すなわち、
図3に示す状態から第1搬送量の搬送が2回行われ、第n-1ラベル3及び第nラベル3が、D×2だけ搬送された状態を示す。また、
図5及び
図6において、第1搬送量、及び、第1搬送量×2だけ搬送される前の第n-1ラベル3及び第nラベル3を破線で示し、第1搬送量、及び、第1搬送量×2だけ搬送された後の第n-1ラベル3及び第nラベル3を実線で示す。
制御部100は、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が剥離位置B、又は、剥離位置Bよりも下流に搬送されると判定すると、第nラベル3への1パス分の印刷処理の実行を停止する。
【0042】
次に、制御部100は、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されると判定した場合、ラベル紙7を、搬送方向Fに第1搬送量だけ搬送して、第n-1ラベル3を剥離位置Bに搬送する。
また、制御部100は、ラベル紙7の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3が剥離位置Bより下流に搬送されると判定した場合、ラベル紙7を、搬送方向Fに第2搬送量だけ搬送して、第n-1ラベル3を剥離位置Bに搬送する。第2搬送量の搬送量は、第1搬送量の搬送量より少ない。すなわち、第2搬送量は、1パス印刷における1行分の搬送量よりも少ない。
【0043】
第n-1ラベル3は、剥離位置Bに搬送される過程において、剥離部40の剥離部材41及び剥離ローラー42によりライナー5から剥離される。制御部100は、ラベルセンサー43から第1検出信号が入力されることで、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されたことを検出する。その後、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されるまで待機する。制御部100は、ラベルセンサー43から第1検出信号が入力された後、ライナー5から剥離された第n-1ラベル3が人の手や機械によって剥離部材41から除去されたこと、言い換えると第n-1ラベル3を検出しなくなったことを示す第2検出信号がラベルセンサー43から入力されるまで、第nラベル3への1パス分の印刷処理を待機する。
【0044】
制御部100は、第n-1ラベル3が剥離部材41から除去されたことを検出する第2検出信号がラベルセンサー43から入力されると、第nラベル3への1パス印刷を再開する前に、ラベル紙7の搬送方向Fへの搬送を実行するか否かを判定する。
【0045】
制御部100は、搬送位置判定において、第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されると判定していた場合、ラベル紙7を搬送することなく、第nラベル3への1パス印刷を再開する。
また、制御部100は、搬送位置判定において、第n-1ラベル3が剥離位置Bよりも下流に搬送されると判定していた場合、ラベル紙7を第1搬送量―第2搬送量だけ搬送方向Fに搬送し、第nラベル3への印刷を再開する。第n-1ラベル3が剥離位置Bよりも下流に搬送されると判定した場合、第n-1ラベル3を剥離位置Bに搬送するために、ラベル紙7を第2搬送量だけ搬送している。このため、制御部100は、ラベル紙7を、不足分の第1搬送量-第2搬送量だけ搬送し、トータルでの搬送量が第1搬送量となるように搬送量を調整する。
【0046】
次に、ライナー5から剥離されたラベル3が剥離部材41に保持されたままの時間(以後、除去待機時間と呼ぶ)が、予め設定された設定時間を超えた場合の印刷装置1の動作について説明する。除去待機時間とは、ラベルセンサー43がライナーから剥離されたラベル3を検出してからの経過時間である。制御部100は、ラベルセンサー43から第1検出信号が入力されてから、第2検出信号が入力されるまでの経過時間に基づいて、除去待機時間を算出する。
制御部100は、除去待機時間が予め設定された設定時間以上となった場合、第n-1ラベル3が剥離部材41から除去されても第nラベル3への印刷画像の印刷は再開しない。
印刷装置1は、第nラベル3への印刷画像の印刷が完了する前に、第nラベル3への印刷画像の印刷を途中で停止して、第n-1ラベル3をライナー5から剥離している。従って、除去待機時間が設定時間以上になると、停止前に第nラベル3に印刷済みの印刷画像の色と、停止後に第nラベル3に印刷される印刷画像の色とが異なってしまう場合がある。
【0047】
このため、制御部100は、印刷位置Aにあり、印刷途中の第nラベル3への印刷は行わず、ラベル紙7を搬送して第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送する。そして、制御部100は、第n+1ラベル3への印刷画像の印刷を開始する。
【0048】
[3.印刷装置の動作]
図7、
図8及び
図9は、印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
図7、
図8及び
図9のフローチャートを参照しながら印刷装置1の動作について説明する。
まず、制御部100は、ラベル紙4の印刷を開始する前に、カウンターのカウント値をゼロクリアする。カウンターは、印刷データを印刷したラベル3の数をカウントするカウンターである。制御部100は、カウンターのカウント値をゼロクリアした後、カウンターに1をカウントさせ、カウント値nに「1」に設定する(ステップS1)。
【0049】
次に、制御部100は、搬送ローラー21を駆動して、供給部30の繰り出しリール31に装填されたラベル紙7を搬送経路27に沿って搬送方向Fに搬送する。そして、制御部100は、位置検出センサー24がラベル3を検出したか否かを判定する(ステップS2)。制御部100は、位置検出センサー24からラベル3を検出したことを通知する信号が入力されたか否かを判定してラベル3を検出したか否かを判定する。制御部100は、位置検出センサー24からラベル3を検出したことを通知する信号が入力されていない場合(ステップS2/NO)、搬送ローラー21の駆動を継続してラベル紙7を搬送方向Fにさらに搬送させる。
【0050】
制御部100は、位置検出センサー24からラベル3を検出したことを通知する信号が入力されると(ステップS2/YES)、搬送ローラー21を駆動してラベル紙7をさらに搬送させる(ステップS3)。そして、制御部100は、ラベル3が印刷位置Aに搬送されたか否かを判定する(ステップS4)。ここでは、印刷位置Aに搬送されたラベル3を「第nラベル3」と仮定して説明する。制御部100は、位置検出センサー24がブラックマークを検出後、ロータリーエンコーダー25が検出する搬送モーターの回転量に基づき、第nラベル3が印刷位置Aに搬送されたか否かを判定する。
【0051】
制御部100は、第nラベルが印刷位置Aに搬送されていないと判定すると(ステップS4/NO)、ステップS3に戻り、ラベル紙7をさらに搬送する。
また、制御部100は、第nラベル3が印刷位置Aに搬送されたと判定すると(ステップS4/YES)、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に、1パス印刷の印刷処理を実行する(ステップS5)。
【0052】
次に、制御部100は、1パス印刷の印刷処理を実行した第nラベル3のnの値が1であるか否かを判定する(ステップS6)。つまり、制御部100は、ステップS5で1パス印刷の印刷処理を実行したラベル3が、外部機器から受信した画像データに基づいて印刷画像を印刷した最初のラベル3であるか否かを判定する。制御部100は、nの値が1である場合(ステップS6/YES)、第nラベル3への印刷画像の印刷が終了したか否かを判定する(ステップS6)。制御部100は、第nラベル3への印刷画像の印刷が終了していない場合(ステップS6/NO)、ステップS4に戻り、1パス印刷の印刷処理を実行する(ステップS4)。
【0053】
制御部100は、第nラベル3への印刷画像の印刷が終了すると(ステップS6/YES)、第n+1ラベル3の印刷データがあるか否かを判定する(ステップS8)。制御部100は、第n+1ラベル3の印刷データがない場合(ステップS8/NO)、反装置位置にラベル紙7を搬送して(ステップS9)、処理を終了する。
【0054】
次に、第n+1ラベル3の印刷データがあると判定した場合の動作について
図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部100は、第n+1ラベル3の印刷データがある場合(ステップS8/YES)、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第nラベル3の搬送位置が、剥離位置Bであるか否かを判定する(ステップS10)。つまり、制御部100は、第2ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第1ラベル3の搬送位置が剥離位置Bであるか否かを判定する。
【0055】
制御部100は、第nラベル3の搬送位置が剥離位置Bである場合(ステップS10/YES)、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送する(ステップS11)。このとき、第nラベル3は、剥離位置Bに搬送される。その後、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップS12)。
【0056】
制御部100は、第2検出信号の入力がない場合(ステップS12/NO)、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されるまで待機する。
また、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されると(ステップS12/YES)、カウンターのカウント値nを1加算する(ステップS18)。その後、制御部100は、ステップS5に戻り、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に1パス印刷を実行する。
【0057】
次に、制御部100は、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第nラベル3の搬送位置が剥離位置Bではない場合(ステップS10/NO)、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第nラベル3の搬送位置が剥離位置Bより下流であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0058】
制御部100は、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第nラベル3の搬送位置が剥離位置Bより下流であると判定すると(ステップS13/YES)、ラベル紙7を第4搬送量だけ搬送し、第nラベル3を剥離位置Bに搬送する(ステップS14)。その後、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0059】
制御部100は、第2検出信号の入力がない場合(ステップS15/NO)、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されるまで待機する。
制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されると(ステップS15/YES、ラベル紙7を第3搬送量-第4搬送量だけ搬送し、第nラベル3を剥離位置Bに搬送する(ステップS16)。制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されると(ステップS12/YES)、カウンターのカウント値nを1加算する(ステップS18)。その後、制御部100は、ステップS5に戻り、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に1パス印刷を実行する。
【0060】
また、制御部100は、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送したときの第nラベル3の搬送位置が剥離位置Bより下流ではないと判定すると(ステップS13/NO)、第n+1ラベル3を印刷位置Aに搬送し(ステップS17)、カウンターのカウント値nを1加算する(ステップS18)。その後、制御部100は、ステップS5に戻り、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に1パス印刷を実行する。
【0061】
次に、カウンターのカウント値nが1ではない場合の動作について
図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部100は、カウンターのカウント値nが1ではない場合(ステップS8/NO)、第nラベル3への印刷処理が終了したか否かを判定する(ステップS19)。制御部100は、第nラベル3への印刷処理が終了したと判定すると(ステップS19/YES)、ステップS8に戻り、第n+1ラベル3の印刷データがあるか否かを判定する。
【0062】
制御部100は、第nラベル3への印刷処理が終了していないと判定すると(ステップS19/NO)、第1搬送量の搬送により第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されるか否かを判定する(ステップS20)。つまり、制御部100は、印刷画像を印刷済みの第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されるか否かを判定する。
制御部100は、第1搬送量の搬送により第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されると判定した場合(ステップS20/YES)、第nラベル3への印刷を停止する(ステップS21)。
【0063】
次に、制御部100は、ラベル紙7を第1搬送量だけ搬送して第n-1ラベル3を剥離位置Bに搬送する(ステップS22)。そして、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップS23)。制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号の入力がない場合(ステップS23/NO)、第2検出信号が入力されるまで待機する。
【0064】
制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されると(ステップS23/YES)、除去待機時間が予め設定された設定時間以上であるか否かを判定する(ステップS24)。除去待機時間が予め設定された設定時間より短い場合(ステップS24/NO)、制御部100は、第nラベル3に次の1パス印刷を実行する(ステップS5)。
また、制御部100は、除去待機時間が予め設定された設定時間以上である場合(ステップS24/YES)、ステップS8の判定に戻り、第n+1ラベル3の印刷データがあるか否かを判定する。
【0065】
次に、制御部100は、第1搬送量の搬送により第n-1ラベル3が剥離位置Bに搬送されないと判定すると(ステップS20/NO)、第1搬送量の搬送により第n-1ラベル3の搬送位置が剥離位置Bより下流であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0066】
制御部100は、第n-1ラベル3の搬送位置が、剥離位置Bより下流ではないと判定すると(ステップS25/NO)、ラベル紙7を第1搬送量だけ搬送しても第n-1ラベル3が剥離位置Bには搬送されないと判定する。このため、制御部100は、ラベル紙7を第1搬送量だけ搬送し(ステップS26)、ステップS5に戻り、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に1パス印刷を実行する。
【0067】
また、制御部100は、第1搬送量の搬送により、第n-1ラベル3の搬送位置が、剥離位置Bより下流になると判定すると(ステップS25/YES)、第nラベル3への印刷画像の印刷を停止する(ステップS27)。
【0068】
次に、制御部100は、ラベル紙7を第2搬送量だけ搬送して、第n-1ラベル3を剥離位置Bに搬送する(ステップS28)。その後、制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップS29)。制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号の入力がない場合(ステップS29/NO)、第2検出信号が入力されるまで待機する。
【0069】
制御部100は、ラベルセンサー43から第2検出信号が入力されると(ステップS29/YES)、除去待機時間が予め設定された設定時間以上であるか否かを判定する(ステップS30)。除去待機時間が予め設定された設定時間以上ではない場合(ステップS30/NO)、制御部100は、ラベル紙3を第1搬送量-第2搬送量だけ搬送する(ステップS31)。その後、制御部100は、ステップS5に戻り、印刷位置Aに搬送された第nラベル3に1パス印刷を実行する。
また、除去待機時間が予め設定された設定時間以上である場合(ステップS30/YES)、制御部100は、ステップS8の判定に戻り、第n+1ラベル3の印刷データがあるか否かを判定する。
【0070】
図7、
図8及び
図9に示すフローチャートにおいて、搬送ステップは、ステップS3に相当する。位置検出ステップは、ステップS2に相当する。印刷ステップは、ステップS5に相当する。剥離ステップは、ステップS19、ステップS23及びステップS29に相当する。
【0071】
[4.本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出部と、
前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離部と、
前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記剥離部が前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送し、前記印刷ヘッドを制御して前記第nラベルに画像を印刷する制御部と、
を備える、印刷装置。
【0072】
この構成によれば、印刷の終了した第n-1ラベルが剥離位置に搬送される前に、第nラベルが印刷位置に搬送される場合には、第nラベルへの画像の印刷が開始される。このため、第n-1ラベルの剥離位置への搬送途中に、第nラベルに画像を印刷することができ、印刷スループットを改善することができる。
【0073】
(付記2)
前記制御部は、
前記印刷ヘッドを前記搬送方向と交差する交差方向に走査させて、前記印刷ヘッドにより前記ラベルにインクを吐出して1パス印刷を実行し、
前記1パス印刷の実行後、前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送する前に、前記ラベル媒体の第1搬送量の搬送により、前記第n-1ラベルが、前記剥離位置、又は、前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されるか否かを判定する搬送位置判定を実行し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが、前記剥離位置、又は、前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されると判定した場合、前記印刷ヘッドの前記交差方向への走査を停止し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されると判定した場合、前記ラベル媒体を、前記搬送方向に前記第1搬送量だけ搬送し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されると判定した場合、前記ラベル媒体を、前記第1搬送量より搬送量の少ない第2搬送量だけ搬送することで、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されるように前記搬送部及び前記印刷ヘッドを制御する、付記1に記載の印刷装置。
【0074】
この構成によれば、1パス印刷の実行後、ラベル媒体の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベルが、剥離位置、又は、剥離位置より前記搬送方向の下流に搬送されるか否かが判定される。第1搬送量の搬送により、第n-1ラベルが剥離位置、又は、剥離位置より搬送方向の下流に搬送される場合には、印刷ヘッドの交差方向への走査が停止される。従って、第n-1ラベルが剥離位置に搬送される場合には、第nラベルへの画像の印刷を停止することができる。
また、ラベル媒体の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベルが剥離位置に搬送される場合には、ラベル媒体を、搬送方向に第1搬送量だけ搬送される。さらに、ラベル媒体の第1搬送量の搬送により、第n-1ラベルが剥離位置より下流に搬送される場合、ラベル媒体を第2搬送量だけ搬送して、第n-1ラベルが剥離位置に搬送される。従って、第n-1ラベルが剥離位置より下流に搬送されるのを防止することができる。
【0075】
(付記3)
前記ラベルの前記剥離位置への搬送後、前記ラベルの前記ライナーからの剥離を検出する剥離ラベル検出部を備え、
前記制御部は、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されると判定し、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されたことを前記剥離ラベル検出部が検出すると、前記ラベル媒体を搬送することなく、前記第nラベルへの印刷を再開し、
前記搬送位置判定において、前記第n-1ラベルが前記剥離位置より下流に搬送されると判定し、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されたことを前記剥離ラベル検出部が検出すると、前記第1搬送量-前記第2搬送量だけ前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送し、その後、前記第nラベルへの印刷を再開する、付記2記載の印刷装置。
【0076】
この構成によれば、搬送位置判定により第n-1ラベルが剥離位置に搬送されると判定され、第n-1ラベルがライナーから剥離された後に剥離部材41から除去されると、ラベル媒体を搬送することなく第nラベルへの印刷が再開される。また、搬送位置判定により第n-1ラベルが剥離位置より下流に搬送されると判定され、第n-1ラベルがライナーから剥離された後に剥離部材41から除去されると、第1搬送量-第2搬送量だけラベル媒体を搬送した後に、第nラベルの印刷が再開される。
従って、中断された第nラベルに対する画像の印刷を、印刷済みの画像の続きから印刷することができる。
【0077】
(付記4)
前記制御部は、
前記第n-1ラベルが前記剥離位置に搬送されてから、前記第n-1ラベルが前記ライナーから剥離され、その後前記剥離部から除去されるまでの処理時間が、予め設定された設定時間以上であるか否かを判定し、
前記処理時間が前記設定時間以上であると判定した場合に、前記第nラベルに対する印刷を行わず、前記ラベル媒体を前記搬送方向に搬送して第n+1ラベルを前記印刷ヘッドの印刷位置に搬送し、前記n+1ラベルへの前記1パス印刷を行う、付記4記載の印刷装置。
【0078】
この構成によれば、第n-1ラベルがライナーから剥離された後に、剥離部材41から除去されるまでの処理時間が、予め設定された設定時間以上である場合には、第nラベルに対する印刷が行われない。除去待機時間が設定時間以上である場合、第nラベルに印刷済みの印刷画像の色と、印刷の再開後に第nラベルに印刷される画像の色とが異なってしまう場合があるが、第nラベルに対する印刷を行わないことで、色の異なる印刷が形成されたラベルが生成されるのを防止することができる。
【0079】
(付記5)
複数のラベルがライナーに貼付されたラベル媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送ステップと、
前記搬送経路を搬送される前記ラベル媒体に貼付された各ラベルの位置を検出する位置検出ステップと、
前記搬送経路上の印刷位置において、前記各ラベルに画像を印刷する印刷ステップと、
前記印刷位置よりも前記搬送方向の下流において、前記各ラベルを前記ライナーから剥離する剥離ステップと、を含み、
前記複数のラベルに含まれる第n-1(nは任意の自然数)ラベルへの画像の印刷の終了後、前記位置検出ステップの検出結果に基づき、前記ラベルを前記ライナーから剥離する剥離位置に前記第n-1ラベルが搬送される前に、前記第n-1ラベルの次のラベルである第nラベルが前記印刷位置に搬送されると判定される場合に、前記第nラベルを前記印刷位置に搬送して前記第nラベルに画像を印刷する、印刷装置の制御方法。
【0080】
この構成によれば、印刷の終了した第n-1ラベルが剥離位置に搬送される前に、第nラベルが印刷位置に搬送される場合には、第nラベルへの画像の印刷が開始される。このため、第n-1ラベルの剥離位置への搬送途中に、第nラベルに画像を印刷することができ、印刷スループットを改善することができる。
【0081】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。但し、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、
図1に示した印刷装置1の機能部は、機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、また、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、印刷装置1の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0082】
また、
図7及び
図8に示すフローチャートの処理単位は、印刷装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。
図7及び
図8のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。また、印刷装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0083】
また、印刷装置1が備えるコンピューターにより印刷装置の制御方法を実現する場合、コンピューターに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD、Blu-ray Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。Blu-rayは、登録商標である。
【符号の説明】
【0084】
1…印刷装置、3…ラベル、5…ライナー、7…ラベル紙、10…印刷部、11…印刷ヘッド、12…インク供給部、20…搬送部、21…搬送ローラー、22…プラテン、22a…支持面、23…繰出しローラー、24…位置検出センサー、25…ロータリーエンコーダー、27…搬送経路、30…供給部、31…繰り出しリール、40…剥離部、41…剥離部材、41a…案内面、41b…剥離エッジ、42…剥離ローラー、43…ラベルセンサー、51…ヘッド駆動回路、53…搬送モーター駆動回路、55…駆動モーター駆動回路、100…制御部、110…入出力インターフェイス、120…記憶部、121…制御プログラム、123…設定データ、130…プロセッサー、A…印刷位置、B…剥離位置、F…搬送方向。