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特開2024-90768情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090768
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20240627BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240627BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20240627BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W50/14
B60W40/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206863
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(71)【出願人】
【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澄川 瑠一
(72)【発明者】
【氏名】高尾 英行
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 武史
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡史
(72)【発明者】
【氏名】中川 由貴
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BA60
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA38Z
3D241DA51Z
3D241DB01Z
3D241DC25Z
3D241DC30Z
3D241DC31Z
3D241DC39Z
3D241DD05Z
(57)【要約】
【課題】ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度に応じた適切な目標をドライバに提示することで、ドライバの運転技能を効率よく高める。
【解決手段】情報処理装置は、ドライバによる車両の運転時における、車両の走行状態の目標を示す複数の第1の提示情報と、ドライバの運転操作の目標を示す複数の第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部と、第1の提示情報及び第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、ドライバに提示する処理を実行する処理部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによる車両の運転時における、前記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、前記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部と、
前記第1の提示情報及び前記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、前記ドライバに提示する処理を実行する処理部と、
を備えた、情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて、前記第1の提示情報及び前記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、前記ドライバに提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて前記第1の提示情報又は前記第2の提示情報のどちらを優先するかを決定し、優先する前記第1の提示情報又は前記第2の提示情報の提示数を、優先しない前記第1の提示情報又は前記第2の提示情報の提示数よりも多くする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記ドライバに提示した前記提示情報のうちの一つ又は複数の前記提示情報を記録し、
前記車両の挙動のデータを取得し、
前記車両の挙動のデータに基づいて、記録した前記提示情報の目標の達成度を算出し、
前記目標の達成度に基づいて前記ドライバの前記運転技能レベルを判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記ドライバに提示した前記提示情報のなかから前記ドライバが選択した一つ又は複数の前記提示情報を記録するとともに、前記ドライバが選択した前記一つ又は複数の提示情報を、表示又は音声により前記ドライバに通知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記ドライバに提示した前記提示情報のなかから前記ドライバが選択した一つ又は複数の前記提示情報を記録するとともに、前記ドライバが選択した前記一つ又は複数の提示情報の内容を前記ドライバに復唱させる通知をする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記ドライバに提示した前記提示情報のうちの一つ又は複数の前記提示情報を記録し、
前記車両の挙動のデータを取得し、
前記車両の挙動のデータに基づいて、記録した前記提示情報の目標の達成度を算出し、
前記達成度を前記ドライバに通知する、
請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータにより、
ドライバの運転技能レベルの情報を取得することと、
前記ドライバによる車両の運転時における、前記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、前記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部を参照し、前記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて、前記第1の提示情報及び前記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、前記ドライバに提示することと、
を実行する、情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ドライバの運転技能レベルの情報を取得することと、
前記ドライバによる車両の運転時における、前記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、前記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部を参照し、前記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて、前記第1の提示情報及び前記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、前記ドライバに提示することと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドライバの運転技能を高めるための技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、教示項目を提示したときの運転操作量と、教示項目を提示しなかったときの運転操作量とを求め、教示項目を提示したときの運転操作量の実現レベルと、教示項目を提示しなかったときの運転操作量の実現レベルを求め、教示項目を提示しなかったときの実現レベルが所定の目標値を達成した場合に教示項目の提示を中止し、目標値に達していない場合に教示項目の提示を継続すると判定する提示継続判定部であって、教示項目を提示したときの実現レベルが教示項目を提示しなかったときの実現レベル以下である場合には、実現レベルが所定の目標値に達していない場合であっても、その教示項目の提示を中止すると判定する提示継続判定部と、提示継続の教示項目から出力すべき教示項目を選択して出力する教示出力部とを備える運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-178994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両の運転技能を高めるための目標をドライバに対して提示するにあたり、その提示内容により運転技能が高められる効果が異なることが考えられる。例えば目標とする車両の走行状態が同じであっても、ドライバごとにその手段あるいはアプローチが異なり得る。
【0005】
具体的には、ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度が高いドライバは、目標とする車両の走行状態を実現するための運転操作を理解あるいは習得していると考えられる。一方、ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度が低いドライバは、目標とする車両の走行状態を実現するための運転操作を理解あるいは習得していないと考えられる。このため、ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度が低いドライバには、目標とする車両の走行状態を提示するだけでは足りず、より直接的な運転操作の目標を提示することが必要と考えられる。この点、特許文献1では、運転支援装置が提示する教示項目を、上記の観点で使い分けることは考えられていない。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的とするところは、ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度に応じた適切な目標をドライバに提示することで、ドライバの運転技能を効率よく高めることが可能な情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、ドライバによる車両の運転時における、上記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、上記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部と、上記第1の提示情報及び上記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、上記ドライバに提示する処理を実行する処理部と、を備えた情報処理装置が提供される。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、コンピュータにより、ドライバの運転技能レベルの情報を取得することと、上記ドライバによる車両の運転時における、上記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、上記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部を参照し、上記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて、上記第1の提示情報及び上記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、上記ドライバに提示することと、を実行する情報処理方法が提供される。
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、コンピュータに、ドライバの運転技能レベルの情報を取得することと、上記ドライバによる車両の運転時における、上記車両の走行状態の目標を示す第1の提示情報と、上記ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報と、を記録した提示情報記憶部を参照し、上記ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて、上記第1の提示情報及び上記第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、上記ドライバに提示することと、を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、ドライバの運転技能のレベルや目標となる運転操作の理解度に応じた適切な目標をドライバに提示することで、ドライバの運転技能を効率よく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係る情報処理装置を備えた車両の構成例を示す模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る第1の提示情報記憶部に記憶される第1の提示情報の例を示す説明図である。
図4】同実施形態に係る第2の提示情報記憶部に記憶される第1の提示情報の例を示す説明図である。
図5】同実施形態に係る処理部による処理動作を示すフローチャートである。
図6】同実施形態に係るドライバの運転技能レベルに応じた第1の提示情報及び第2の提示情報それぞれの選定数を設定したテーブル情報を示す説明図である。
図7】同実施形態に係るドライバが選択した提示情報が示す目標の達成状況の情報の例を示す説明図である。
図8】同実施形態に係る意識付け処理の第1の例を示すフローチャートである。
図9】同実施形態に係る意識付け処理の第2の例を示すフローチャートである。
図10】同実施形態に係る情報処理装置による目標達成度の判定方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<1.車両の構成例>
まず、本開示の実施の形態に係る情報処理装置を備えた車両の全体構成の一例を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置50を備えた車両10の構成例を示す模式図である。図1に示した車両10は、車両10の駆動トルクを生成する駆動力源9から出力される駆動トルクを左前輪3LF、右前輪3RF、左後輪3LR及び右後輪3RR(以下、特に区別を要しない場合には「車輪3」と総称する)に伝達する四輪駆動車として構成されている。駆動力源9は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよく、駆動用モータであってもよく、内燃機関及び駆動用モータをともに備えていてもよい。
【0015】
なお、車両10は、例えば前輪駆動用モータ及び後輪駆動用モータの二つの駆動用モータを備えた電気自動車であってもよく、それぞれの車輪3に対応する駆動用モータを備えた電気自動車であってもよい。また、車両10が電気自動車やハイブリッド電気自動車の場合、車両10は、駆動用モータへ供給される電力を蓄積する二次電池や、バッテリに充電される電力を発電するモータや燃料電池等の発電機を備える。
【0016】
車両10は、車両10の運転制御に用いられる機器として、駆動力源9、ステアリング装置37及びブレーキ液圧制御ユニット20を備えている。駆動力源9は、図示しない変速機や前輪差動機構7F及び後輪差動機構7Rを介して前輪駆動軸5F及び後輪駆動軸5Rに伝達される駆動トルクを出力する。駆動力源9や変速機の駆動は、一つ又は複数の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)を含んで構成された車両制御装置40により制御される。
【0017】
前輪駆動軸5Fにはステアリング装置37が設けられている。ステアリング装置37は図示しない電動モータやギヤ機構を含み、車両制御装置40により制御されることによって左前輪3LF及び右前輪3RFの操舵角を調節する。車両制御装置40は、手動運転中において、ドライバによるステアリングホイール35の操舵角に基づいてステアリング装置37を制御する。なお、ステアリング装置37は、油圧式のパワーステアリング装置であってもよい。
【0018】
車両10のブレーキシステムは、油圧式のブレーキシステムとして構成されている。ブレーキ液圧制御ユニット20は、それぞれ前後左右の車輪3に設けられたブレーキキャリパ21LF,21RF,21LR,21RR(以下、特に区別を要しない場合には「ブレーキキャリパ21」と総称する)に供給する油圧を調節し、制動力を発生させる。ブレーキ液圧制御ユニット20の駆動は、車両制御装置40により制御される。車両10が電気自動車あるいはハイブリッド電気自動車の場合、油圧式のブレーキシステムによるブレーキは、駆動用モータによる回生ブレーキと併用される。
【0019】
車両制御装置40は、車両10の駆動トルクを出力する駆動力源9、ステアリングホイール35又は操舵輪の操舵角を制御するステアリング装置37、車両10の制動力を制御するブレーキ液圧制御ユニット20の駆動を制御する一つ又は複数の電子制御装置を含む。車両制御装置40は、駆動力源9から出力された出力を変速して車輪3へ伝達する変速機の駆動を制御する機能を備えていてもよい。車両制御装置40は、車両10の手動運転時において、ドライバの運転による操作量の情報を取得し、車両10の駆動トルクを出力する駆動力源9、操舵輪の操舵角を制御するステアリング装置37、車両10の制動力を制御するブレーキ液圧制御ユニット20の駆動を制御する。
【0020】
また、車両10は、車両挙動計測装置11、周囲環境検出装置13、車両位置情報検出装置15、入力部17、マイクロフォン19、スピーカ31、表示装置33及び情報処理装置50を備えている。車両挙動計測装置11、周囲環境検出装置13、車両位置情報検出装置15、入力部17、マイクロフォン19、スピーカ31、表示装置33及び情報処理装置50は、運転支援装置1として構成される。
【0021】
車両挙動計測装置11は、車両10の挙動を示すデータ(以下「車両挙動データ」ともいう)を計測する。車両挙動計測装置11は、例えば車速センサ、加速度センサ及び角速度センサのうちの少なくとも一つを含む。車速センサは、例えば車両10の駆動軸の回転速度を検出する。加速度センサは、少なくとも車体前後方向に沿った加速度である前後加速度及び車幅方向に沿った加速度である横加速度を検出する。加速度センサは、さらに、車体高さ方向に沿った加速度である上下加速度を検出してもよい。角速度センサは、車体前後方向に沿った軸の軸回りの回転角(ロール角)、車幅方向に沿った軸の軸回りの回転角(ピッチ角)及び車体高さ方向に沿った軸の軸回りの回転角(ヨー角)それぞれの変化速度を検出する。
【0022】
車両挙動計測装置11により計測されるデータは、ドライバによるステアリング操作、アクセル操作及びブレーキ操作により変化し得るデータであり、車両挙動データとして情報処理装置50に入力される。情報処理装置50は、車両挙動計測装置11により計測されたデータを示す情報を取得可能に構成される。車両挙動計測装置11は、車速センサ、加速度センサ及び角速度センサ以外に、車両10の挙動が反映されるデータを計測可能なセンサを含んでいてもよい。
【0023】
周囲環境検出装置13は、車両10の周囲の状況を検出する装置である。周囲環境検出装置13は、例えばステレオカメラ、単眼カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)及びレーダセンサのうちの少なくとも一つを含んで構成される。図1に示した車両10の例では、周囲環境検出装置13は、左右一対の前方撮影カメラ13LF,13RF及びLiDAR13Sを備えている。
【0024】
周囲環境検出装置13は、取得したデータに基づいて他車両、自転車、歩行者、道路標識、その他障害物等の車両10の周囲の物体を検出するとともに、これらの物体までの距離や相対速度、相対位置を算出する。また、周囲環境検出装置13は、取得したデータに基づいて道路幅等の車両10の周囲の状況の情報を検出する。周囲環境検出装置13により検出される情報は、情報処理装置50に入力される。情報処理装置50は、周囲環境検出装置13により検出された情報を取得可能に構成される。周囲環境検出装置13は、ステレオカメラ、単眼カメラ、LiDAR、レーダセンサ以外に、車両10の周囲の状況の情報を検出可能な機器を含んでいてもよい。
【0025】
車両位置情報検出装置15は、GPS(Global Positioning System)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から送信される測位信号を受信し、車両10の位置を計測する。車両位置情報検出装置15は、GNSSの代わりに、あるいは、GNSSと併せて、準天頂衛星システム等の他のシステムから送信される測位信号を受信し、車両10の位置を計測してもよい。車両位置情報検出装置15により検出される車両10の位置の情報は、情報処理装置50に入力される。情報処理装置50は、車両位置情報検出装置15により検出された位置情報を取得可能に構成される。
【0026】
入力部17は、ユーザの操作入力を受け付け、情報処理装置50へ送信する。入力部17は、例えばタッチパネル式のディスプレイであってもよく、ダイヤル式の操作機器であってもよい。あるいは、入力部17は、ジェスチャにより入力を受け付ける画像認識装置であってもよい。マイクロフォン19は、ユーザの音声を認識する入力部としての機能を有する。
【0027】
スピーカ31は、ユーザに認識可能な音を出力する。スピーカ31は、車両10に備えられたスピーカであってもよく、専用スピーカであってもよい。スピーカ31は、情報処理装置50により出力の制御が行われる。図1に示した車両10では、スピーカ31は、車両10の前後左右に備えられた四つのスピーカ31LF,31RF,31LR,31RRを含む。
【0028】
表示装置33は、液晶パネル等の光学パネルであり、画像、動画、テキストその他の表示を行う。表示装置33の駆動は、情報処理装置50により行われる。表示装置33は、車両10のインストルメントパネル内に設けられた表示装置であってもよく、ナビゲーションシステム用の表示装置であってもよく、専用の表示装置であってもよい。
【0029】
<2.情報処理装置>
続いて、本実施形態に係る情報処理装置50を具体的に説明する。
【0030】
情報処理装置50は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することで、ドライバに所定の提示情報を提示する装置として機能する。当該コンピュータプログラムは、情報処理装置50が実行すべき後述する動作をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムは、情報処理装置50に備えられた記憶部(メモリ)53として機能する記録媒体に記録されていてもよく、情報処理装置50に内蔵された記録媒体又は情報処理装置50に外付け可能な任意の記録媒体に記録されていてもよい。
【0031】
コンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びBlu-ray(登録商標)等の光記録媒体、フロプティカルディスク等の磁気光媒体、RAM及びROM等の記憶素子、並びにUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリ、その他のプログラムを格納可能な媒体であってよい。
【0032】
情報処理装置50は、ドライバによる車両10の運転時における、車両10の走行状態の目標を示す複数の第1の提示情報、及び、ドライバの運転操作の目標を示す複数の第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、ドライバに提示する処理を実行する。これにより、ドライバが車両10を運転する際に注意すべきことをドライバに意識付けさせて、ドライバの運転技能の向上を図る。
【0033】
(2-1.情報処理装置の構成例)
図2は、本実施形態に係る情報処理装置50の構成の一例を示すブロック図である。
情報処理装置50は、専用線又はCAN(Controller Area Network)等の通信バスを介して、車両挙動計測装置11、周囲環境検出装置13、車両位置情報検出装置15、入力部17、マイクロフォン19、スピーカ31及び表示装置33と通信可能に接続されている。情報処理装置50は、例えばCPU等のプロセッサや周辺部品、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶素子を備えて構成される。情報処理装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0034】
情報処理装置50は、通信部51、処理部53及び記憶部55を備えている。また、情報処理装置50は、処理部53と通信可能に接続された地図データ記憶部41、車両挙動データ記憶部43、第1の提示情報記憶部45、第2の提示情報記憶部47及び運転技能情報記憶部49を備えている。
【0035】
通信部51は、他の装置やセンサ等と処理部53との間で、データや信号の送受信を行うための一つ又は複数のインタフェースを備えて構成される。
【0036】
記憶部55は、RAM又はROM等の一つ又は複数の記憶素子を含んで構成される。記憶部55は、処理部53により実行されるプログラムやプログラムの実行に用いられる種々のパラメータの他、取得されたデータ、演算結果のデータ等を記憶する。記憶部55の一部は、処理部53のワーク領域として使用される。
【0037】
地図データ記憶部41、車両挙動データ記憶部43、第1の提示情報記憶部45、第2の提示情報記憶部47及び運転技能情報記憶部49は、それぞれ一つ又は複数の記録媒体に所定の情報が記録されて構成される。それぞれの記憶部の一部又は全部が、共通の記録媒体として構成されていてもよい。
【0038】
地図データ記憶部41は、道路情報や施設情報、交通信号機、制限速度等の情報を含む地図データを記憶する。
【0039】
車両挙動データ記憶部43は、所定の演算周期ごとに車両挙動計測装置11から出力される車両挙動データを記憶する。
【0040】
第1の提示情報記憶部45は、ユーザに提示する提示情報の候補として、ドライバによる車両10の運転時における車両10の走行状態の目標を示す第1の提示情報を記憶する。第1の提示情報は、ドライバによる具体的な運転操作の目標ではなく、運転操作の結果として現れる車両10の走行状態の目標を示す情報である。
【0041】
図3は、第1の提示情報記憶部45に記憶される第1の提示情報の例を示す。第1の提示情報は、「車両挙動を安定させる」、「車速を一定にする」、「左右のふらつきを無くす」、「先行車両との車間距離を十分に確保する」など、ドライバの具体的な運転操作の目標ではない、車両10の走行状態の目標として設定されている。なお、第1の提示情報は、図3に示した例に限定されるものではない。
【0042】
第2の提示情報記憶部47は、ユーザに提示する提示情報の候補として、ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報を記憶する。第1の提示情報とは異なり、第2の提示情報は、ドライバが直接的に行う行動としての運転操作の目標を示す情報である。
【0043】
図4は、第2の提示情報記憶部47に記憶される第2の提示情報の例を示す。第2の提示情報は、「不要なステアリングの切り増し、切り戻しをしない」、「アクセルペダルを急に踏まない」、「ブレーキペダルを急に踏まない」、「ブレーキペダルを急に離さない」など、ドライバの具体的な運転操作の目標として設定されている。例えば「不要なステアリングの切り増し、切り戻しをしない」は、車両挙動を安定させるため、あるいは、左右のふらつきを無くすための運転操作の具体例である。また、「アクセルペダルを急に踏まない」、「ブレーキペダルを急に踏まない」及び「ブレーキペダルを急に離さない」は、車両挙動を安定させるため、あるいは、車速を一定にするための運転操作の具体例である。また、「アクセルペダルを急に踏まない」は、先行車両との車間距離を十分に確保するための運転操作の具体例である。なお、第2の提示情報は、図4に示した例に限定されるものではない。
【0044】
運転技能情報記憶部49は、ドライバの運転技能に関する情報を個々のドライバの識別情報とともに記憶する。本実施形態では、運転技能情報記憶部49は、ドライバの属性の情報と、ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成状況の情報と、ドライバの運転技能レベルの情報とを記憶する。
【0045】
ドライバの属性に関する情報は、ドライバの運転技能に関連する基本情報であり、例えばドライバの年齢、免許取得後経過年数、運転頻度、直前に運転した後の経過年数等のうちの少なくともいずれかの情報を含む。さらに、ドライバの運転技能を推定可能な他の情報が含まれていてもよい。これらの情報は、情報処理装置50から提示される質問に対して、ドライバが入力部17又はマイクロフォン19へ回答を入力するアンケートの形式で取得され、運転技能情報記憶部49に記録されてよい。あるいは、あらかじめ収集されたこれらの情報が転送されて、運転技能情報記憶部49に記録されてもよい。
【0046】
目標の達成状況の情報は、ドライバが過去に選択したそれぞれの提示情報の選択回数、及び、選択した提示情報が示す目標を達成した回数の情報を含む。運転技能レベルは、複数段階に区分された運転技能のレベルであり、運転技能判定部67により求められて運転技能情報記憶部49に記録される。本実施形態では、運転技能レベルが4段階に区分された例を説明する。
【0047】
(2-2.処理部の構成例)
処理部53は、CPU等の一つ又は複数のプロセッサを備えて構成される。処理部53は、取得部61、提示情報設定部63、通知処理部65及び運転技能判定部67を備えている。これらの各部は、プロセッサによるプログラムの実行により実現される機能である。ただし、取得部61、提示情報設定部63、通知処理部65及び運転技能判定部67の一部がアナログ回路により構成されていてもよい。
【0048】
(2-2-1.取得部)
取得部61は、通信部51を介して、車両挙動計測装置11、周囲環境検出装置13、車両位置情報検出装置15、入力部17及びマイクロフォン19から出力される情報を取得する。取得部61により取得される情報は、車両挙動計測装置11から出力される車両挙動データを含む。取得部61は、所定の演算周期で情報を取得し、取得した車両挙動データを記憶部55に記憶する。
【0049】
(2-2-2.提示情報設定部)
提示情報設定部63は、第1の提示情報記憶部45に記録された第1の提示情報及び第2の提示情報記憶部47に記録された第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定する処理を実行する。提示情報設定部63は、車両10を運転するドライバの特性又は車両10が走行予定の経路で現れ得る運転技能などに基づいて提示情報を選定する。
【0050】
本実施形態では、ドライバの特性として、ドライバの運転技能レベルに基づいて提示情報を選定する。ドライバの運転技能レベルの情報は、後述する運転技能判定部67により求められて、運転技能情報記憶部49に記録されている。
【0051】
(2-2-3.通知処理部)
通知処理部65は、スピーカ31及び表示装置33のうちのいずれか一つ又は両方を駆動して種々の情報をドライバに通知する処理を実行する。本実施形態では、通知処理部65は、少なくとも、提示情報設定部63により選定された第1の提示情報及び第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報をドライバに通知する。
【0052】
通知処理部65は、通知した第1の提示情報又は第2の提示情報のなかから、ドライバにいずれか一つ又は複数の提示情報を選択させる通知を行う。つまり、通知処理部65は、ドライバに対して運転に関して注意すべき点を提示し、ドライバに選択させることで内発的動機づけを高める。通知処理部65は、ドライバが入力部17あるいはマイクロフォン19を介して選択したいずれか一つ又は複数の提示情報を記録する。
【0053】
(2-2-4.運転技能判定部)
運転技能判定部67は、ドライバの運転技能レベルを判定する処理を実行する。運転技能判定部67は、運転技能レベルの初期設定として、ドライバの属性の情報に基づいて運転技能レベルを判定する。例えばドライバが高齢であること、免許取得後経過年数が短いこと、運転頻度が少ないこと、及び直前に運転した後の経過年数が長いことは、運転技能レベルが低いと判定し得る情報となる。運転技能判定部67は、求めた運転技能レベルの情報を運転技能情報記憶部49に記録する。
【0054】
また、運転技能判定部67は、ドライバが車両10を運転している間に取得される車両挙動データに基づいて、運転技能レベルの初期設定を調整する。本実施形態では、運転技能判定部67は、ドライバが車両10を運転している間に取得される車両挙動データに基づいて、ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成度を算出し、運転技能レベルを調整する。運転技能判定部67は、求めた運転技能レベルの情報で、運転技能情報記憶部49に記録された情報を更新する。
【0055】
(2-3.処理部の動作)
次いで、情報処理装置50の処理部53による処理動作の具体例を説明する。
【0056】
図5は、処理部53による処理動作を示すフローチャートである。
処理部53が車両10のシステムの起動を検知すると(ステップS11)、提示情報設定部63は、ドライバの運転技能レベルの情報を取得する(ステップS13)。車両10のシステムの起動の検知は、車両10のシステムのスタートスイッチがオンにされた信号を検知することでもよく、ドライバ等によって提示情報の提示を要求する操作が行われたことを示す信号を検知することでもよい。
【0057】
提示情報設定部63は、例えば車内撮影カメラにより撮影されるドライバの顔画像に基づいてドライバを識別し、運転技能情報記憶部49に記録されたデータから、該当するドライバの運転技能レベルの情報を探索する。提示情報設定部63は、該当するドライバの運転技能レベルの情報を取得する。提示情報設定部63は、ドライバが入力部17あるいはマイクロフォン19へ入力した情報に基づいてドライバを識別してもよい。
【0058】
提示情報設定部63は、システムの起動後の1回目のステップS13では、運転技能情報記憶部49に記録されたドライバの属性の情報に基づいて運転技能レベルの初期設定を算出する。例えば提示情報設定部63は、ドライバの年齢、免許取得後経過年数、運転頻度、及び直前に運転した後の経過年数の情報を所定の計算式あるいはアルゴリズムに当てはめ、運転技能レベルの初期設定を算出する。
【0059】
提示情報設定部63は、システムの起動後の2回目以降のステップS13では、運転技能レベルの初期設定を運転技能判定部67が更新して保存された運転技能レベルの情報を取得する。本実施形態では、運転技能レベルは「レベル1(低い)」、「レベル2(やや低い)」、「レベル3(やや高い)」、「レベル4(高い)」の4段階に区分されている。レベルの数値が大きいほど運転技能レベルが高いことを示す。
【0060】
次いで、提示情報設定部63は、第1の提示情報記憶部45に記録された第1の提示情報及び第2の提示情報記憶部47に記録された第2の提示情報のなかから、ドライバに提示する一つ又は複数の提示情報を選定する(ステップS15)。本実施形態では、提示情報設定部63は、第1の提示情報及び第2の提示情報のなかから3つの提示情報を選定する。このとき、提示情報設定部63は、ドライバの運転技能レベルに応じて、第1の提示情報又は第2の提示情報のどちらを優先するかを決定する。また、提示情報設定部63は、優先する第1の提示情報又は第2の提示情報の提示数を、優先しない第1の提示情報又は第2の提示情報の提示数よりも多くする。
【0061】
図6は、ドライバの運転技能レベルに応じた第1の提示情報及び第2の提示情報それぞれの選定数を設定したテーブル情報を示す。ドライバの運転技能レベルが、最も高い「レベル4」の場合、提示情報設定部63は、3つすべての提示情報を第1の提示情報のなかから選定する。ドライバの運転技能レベルが、2番目に高い「レベル3」の場合、提示情報設定部63は、3つのうち2つの提示情報を第1の提示情報のなかから選定し、残りの1つの提示情報を第2の提示情報のなかから選定する。ドライバの運転技能レベルが、3番目に高い「レベル2」の場合、提示情報設定部63は、3つのうち1つの提示情報を第1の提示情報のなかから選定し、残りの2つの提示情報を第2の提示情報のなかから選定する。ドライバの運転技能レベルが、最も低い「レベル1」の場合、提示情報設定部63は、3つすべての提示情報を第2の提示情報のなかから選定する。
【0062】
ドライバの運転技能のレベルが高いほど、目標とする車両10の走行状態を提示するだけで、自身で適切な運転操作を実行して、当該目標とする車両10の走行状態を達成できると考えられる。このため、提示情報設定部63は、ドライバの運転技能レベルが高いほど、車両10の運転時における車両10の走行状態の目標を示す第1の提示情報を第2の提示情報よりも優先する。一方、ドライバの運転技能のレベルが低いほど、目標とする車両10の走行状態を提示するだけでは足りず、より具体的な運転操作の目標を提示することが必要と考えられる。このため、提示情報設定部63は、ドライバの運転技能レベルが低いほど、ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報を第1の提示情報よりも優先する。
【0063】
提示情報設定部63は、第1の提示情報及び第2の提示情報それぞれの選定数を決定した後、第1の提示情報記憶部45に記録された第1の提示情報及び第2の提示情報記憶部47に記録された第2の提示情報のなかから所定数の提示情報を選定する。例えば提示情報設定部63は、それぞれの提示情報記憶部に記録された複数の提示情報のなかから、ドライバの過去の運転における、提示情報が示す目標の達成状況に基づいて提示情報を選定する。ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成状況は、例えば運転技能判定部67により算出されて、ドライバの識別情報とともに運転技能情報記憶部49に記録される。運転技能判定部67による目標の達成状況の算出方法は、ステップS23の説明において詳しく述べる。
【0064】
図7は、ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成状況の情報の例を示す説明図である。目標の達成状況の情報には、図3及び図4に示した第1の提示情報及び第2の提示情報に関して、提示情報の区分(第1の提示情報又は第2の提示情報)及び提示情報の内容ごとに、ドライバによる過去の選択回数、目標達成回数、目標達成率(%)及び目標を達成できなかった連続回数(連続未達回数)が記録されている。
【0065】
例えば提示情報設定部63は、ドライバの過去の運転において、目標達成回数あるいは目標達成率が小さい提示情報を選定してもよい。この場合、ドライバの苦手な走行状態あるいは運転操作の目標が提示され、ドライバの苦手な運転操作を改善する意識付けを図ることができる。一方、提示情報設定部63は、ドライバの過去の運転において、目標達成回数あるいは目標達成率が大きい提示情報を選定してもよい。この場合、ドライバの得意な走行状態あるいは運転操作の目標が提示され、当該提示情報を選択したドライバの車両10の運転に対する苦手意識の軽減を図ることができる。
【0066】
また、提示情報設定部63は、ドライバの過去の運転において、連続未達回数が多い提示情報を選定してもよい。この場合、ドライバの苦手な走行状態あるいは運転操作の目標が提示され、ドライバの苦手な運転操作を改善する意識付けを図ることができる。一方、提示情報設定部63は、ドライバの過去の運転において、連続未達回数が少ない提示情報を選定してもよい。この場合、内発的動機づけの効果が低い提示情報やドライバの運転技能が不足している運転操作に関連する提示情報を除く他の提示情報が選定され、当該提示情報を選択したドライバの車両10の運転に対する苦手意識の軽減を図ることができる。
【0067】
さらに、提示情報設定部63は、それぞれの提示情報記憶部に記録された複数の提示情報のなかから、ドライバが過去に選択した提示情報に基づいて提示情報を選定してもよい。具体的に、提示情報設定部63は、直近の所定期間あるいは所定回数のうち、ドライバが選択した回数が少ない提示情報を選定してもよい。この場合、ドライバが直近で意識した運転操作をしていない所定の走行状態あるいは運転操作の目標が提示される。一方、提示情報設定部63は、直近の所定期間あるいは所定回数のうち、ドライバが選択した回数が多い提示情報を選定してもよい。この場合、当該提示情報を選択したドライバに、所定の走行状態あるいは運転操作の目標を繰り返し実践させることができる。
【0068】
この他、提示情報設定部63は、第1の提示情報記憶部45に記録された第1の提示情報及び第2の提示情報記憶部47に記録された第2の提示情報のなかから所定数の提示情報をランダムに選定してもよい。特に、これまでに提示情報を提示する機能の使用回数が少ないドライバの場合、提示情報設定部63は、第1の提示情報及び第2の提示情報のなかから所定数の提示情報をランダムに選定する。この場合、ドライバに、走行状態あるいは運転操作の目標がランダムに提示され、当該提示情報を選択したドライバに種々の運転操作を実践させることができる。
【0069】
なお、提示情報設定部63が、第1の提示情報及び第2の提示情報それぞれの選定数を決定した後、第1の提示情報記憶部45に記録された第1の提示情報及び第2の提示情報記憶部47に記録された第2の提示情報のなかから所定数の提示情報を選定する方法は、上記の例に限定されるものではない。
【0070】
次いで、通知処理部65は、提示情報設定部63により選定された提示情報をドライバに通知する(ステップS17)。例えば通知処理部65は、表示装置33の画面上に提示情報を表示する。このとき、通知処理部65は、表示装置33の画面上に、「目標とする項目を選択してください」などの、ドライバに提示情報の選択を促す表示を行う。通知処理部65は、表示装置33の画面上への表示と併せて、あるいは、表示装置33の画面上への表示に代えて、スピーカ31から音声による通知を行ってもよい。
【0071】
なお、提示情報の通知を受けたドライバは、提示された提示情報のうちのいずれか一つ又は複数の提示情報を選択する。具体的に、表示装置33がタッチパネル式のディスプレイであって入力部17を兼ねている場合、ドライバは表示装置33の画面を押下することにより提示情報を選択する。あるいは、ドライバは、その他の入力部17への入力操作、あるいは、マイクロフォン19への音声入力により、提示情報を選択してもよい。提示情報の一つ又は複数をドライバに選択させることで、ドライバに車両10を運転する際の目標を意識付けさせることができる。
【0072】
次いで、通知処理部65は、ドライバが選択した提示情報を取得する(ステップS19)。通知処理部65は、入力部17あるいはマイクロフォン19を介してドライバが入力操作を行うことで選択した提示情報を取得する。通知処理部65は、ドライバが選択した提示情報を記憶部55に記録する。
【0073】
通知処理部65は、ドライバが選択した提示情報を取得した後、当該提示情報を選択したことをドライバにさらに意識付けさせる意識付け処理を実行してもよい。これは、ドライバが選択した提示情報を、ドライバにさらに意識付けさせるための処理であり、車両10の運転時に、設定した目標への注意意識を高める効果を有する。
【0074】
図8は、意識付け処理の第1の例のフローチャートを示す。
通知処理部65は、ドライバが選択した提示情報を取得し(ステップS31)、次いで、ドライバが選択した提示情報を通知する(ステップS33)。具体的に、通知処理部65は、ドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を、表示装置33の画面に表示する。通知処理部65は、表示装置33の画面への表示と併せて、あるいは、表示装置33の画面への表示に代えて、スピーカ31から音声による通知を行ってもよい。
【0075】
これにより、ドライバは、自身で選択した提示情報が示す目標を再認識し、車両10の運転中に、設定した目標への注意意識を高めることができる。通知処理部65は、ドライバが提示情報を選択した後の所定期間に、ドライバが選択した提示情報を通知してもよく、ドライバに対して異なる提示情報が通知されるまで、あるいは、ドライバにより選択される提示情報が変更されるまで、継続的にドライバが選択した提示情報を通知してもよい。
【0076】
図9は、意識付け処理の第2の例のフローチャートを示す。
通知処理部65は、ドライバが選択した提示情報を取得し(ステップS41)、次いで、ドライバに対して、選択した提示情報の復唱を促す通知をする(ステップS43)。具体的に、通知処理部65は、ドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を、表示装置33の画面に表示するとともに、「選択した項目を復唱してください」などのテキスト表示を行う。通知処理部65は、表示装置33の画面への表示と併せて、あるいは、表示装置33の画面への表示に代えて、スピーカ31から「選択した項目を復唱してください」などの音声出力を行ってもよい。
【0077】
次いで、通知処理部65は、マイクロフォン19を介して入力される音声データを取得する(ステップS45)。次いで、通知処理部65は、選択した提示情報をドライバが復唱したか否かを判定する(ステップS47)。例えば通知処理部65は、音声データを音声認識によりテキスト化し、テキスト化された音声データと選択された提示情報とを比較して、選択した提示情報をドライバが復唱したか否かを判定する。通知処理部65は、車内撮影カメラにより取得されるドライバの顔画像に基づいて認識される口の動きから、選択した提示情報をドライバが復唱したか否かを判定してもよい。
【0078】
通知処理部65は、選択した提示情報をドライバが復唱したと判定しない場合(S47/No)、ステップS43に戻って、選択した提示情報の復唱を促す通知をする(ステップS43)。一方、通知処理部65は、選択した提示情報をドライバが復唱したと判定した場合(S47/Yes)、意識付け処理を終了する。通知処理部65は、選択した提示情報の復唱を促すことを所定回数又は所定時間繰り返してもドライバが復唱しない場合、そのまま意識付け処理を終了させてもよい。
【0079】
図5に戻り、ドライバにより提示情報の選択が行われた後、取得部61は、車両挙動計測装置11から出力される車両挙動データを収集する(ステップS21)。具体的に、取得部61は、所定の演算周期で車両挙動計測装置11から出力される車両挙動データを取得し、車両挙動データ記憶部43に記録する。このとき、取得部61は、車両挙動データを取得した時刻の情報とともに車両挙動データを記録し、車両挙動データを取得したときに選択されていた提示情報との関連付けを可能にする。
【0080】
次いで、運転技能判定部67は、収集した車両挙動データに基づいて、ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成度を算出する(ステップS23)。運転技能判定部67は、所定時間又は所定の走行区間ごとに、収集された車両挙動データに基づいて目標の達成度を算出してもよく、直前の所定時間に収集された車両挙動データに基づいて逐次目標の達成度を算出してもよい。あるいは、運転技能判定部67は、ドライバが車両10の運転を終了するときに、今回車両10の運転を開始してから終了するまでの間に収集された車両挙動データに基づいて目標の達成度を算出してもよい。例えば運転技能判定部67は、提示情報の項目ごとに設定された特徴量を計算し、閾値を達成した割合に基づいて提示情報が示す目標の達成度を算出する。
【0081】
図10は、車両挙動データに基づいて目標の達成度を算出する方法の一例を示す説明図である。図10は、車両挙動計測装置11の一つとしての加速度センサにより検出される横加速度の計測データから横加加速度(横ジャーク)を求め、目標の達成度を算出する例を示す。
【0082】
横加加速度は、例えば図3に示した第1の提示情報のうち、「車両挙動を安定させる」及び「左右のふらつきをなくす」を目標としたときの指標値であり得る。また、横加加速度は、例えば図4に示した第2の提示情報温うち、「不要なステアリングの切り増し、切り戻しをしない」を目標としたときの指標値であり得る。
【0083】
運転技能判定部67は、取得部61により取得されて車両挙動データ記憶部43に記録された車両挙動データに対して所定のデータ処理を実行する。具体的に、運転技能判定部67は、横加速度の計測データに対して、平滑化処理及び絶対値変換処理を実行し、横加速度の絶対値のデータに変換する。また、運転技能判定部67は、横加速度の絶対値のデータを時間微分し、横加加速度(横ジャーク)の絶対値のデータに変換する。
【0084】
運転技能判定部67は、横加加速度のデータに基づいて、所定の区間pr1,Pr2,Pr3...PrNごとに、横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数を求める。評価値を算出する単位となる所定の区間は、例えば所定の走行距離ごとに区切られる区間であってもよく、所定の走行時間により区切られる区間であってもよく、あるいは、信号機が設けられた交差点ごとに区切られる区間であってもよい。
【0085】
また、所定の区間は、あらかじめ設定された特定の区間であってもよい。例えばドライバのステアリング操作状態の安定度を評価するには、所定距離以上の直線が続く直進区間、あるいは、一定の曲率のカーブが続く旋回区間を所定の区間とすることが好ましい。また、ドライバのアクセル操作状態又はブレーキ操作状態を評価するには、所定距離以上の直線が続く直進区間を所定の区間とすることが好ましい。これらの特定の区間を走行したか否かは、車両位置情報検出装置15により検出される車両10の位置情報と、地図データ記憶部41に記憶された地図データとに基づいて判定することができる。
【0086】
運転技能判定部67は、それぞれの区間PrNにおける、横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数の平均値を求め、当該平均値に基づいて目標の達成度を算出する。例えば運転技能判定部67は、それぞれの区間PrNにおいて、横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数の平均値が所定の閾値となった場合の達成度を「1」とし、当該平均値が所定の閾値を上回るほど達成度を「1」未満の小さい値とする。この場合、上記の平均値と所定の閾値との差が大きいほど達成度の値は「1」未満の、より小さい値となる。また、運転技能判定部67は、当該平均値が所定の閾値を下回るほど達成度を「1」を超える大きい値とする。この場合、上記の平均値と所定の閾値との差が大きいほど達成度の値は「1」を超える、より大きい値となる。
【0087】
例えば運転技能判定部67は、単位時間(1秒)当たりの横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数が閾値(2回/秒)となった場合の達成度を「1」とする。また、運転技能判定部67は、単位時間(1秒)当たりの横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数が閾値を上回る2.5回/秒の場合の達成度を「0.8(2/2.5)」とする。また、運転技能判定部67は、単位時間(1秒)当たりの横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数が閾値を下回る1.5回/秒の場合の達成度を「1.33(2/1.5)」とする。
【0088】
なお、それぞれの提示情報が示す目標の達成度の判定方法は上記の例に限られない。運転技能判定部67は、それぞれ任意の基準に照らして、目標の達成度を判定してもよい。また、上記の例では、運転技能判定部67は、横加加速度のデータのみに基づいて目標の達成度を評価しているが、複数の種類の車両挙動データに基づいて目標の達成度を評価してもよい。この場合、運転技能判定部67は、使用する個々のデータの値を同一の指標(例えば0~10の値)に置き換え、使用するすべてのデータの値を同一の指標に置換した値に基づいて、目標の達成度を判定してもよい。
【0089】
運転技能判定部67は、上記の例のようにして、図7に示したような目標の達成状況の情報のデータを蓄積する。具体的に、運転技能判定部67は、横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数から求められる達成度が「1」以上の場合に目標達成回数のカウントを1プラスするとともに、連続未達回数のカウンタをリセットする。また、運転技能判定部67は、横加加速度が所定の基準値thre_DLを超えた回数から求められる達成度が「1」未満となる結果が継続する場合、連続未達回数のカウントを1プラスする。運転技能判定部67は、提示情報の選択肢が再提示されるまでの1期間(選択回数1回)ごとに目標の達成度を算出し、判定結果を記録する。
【0090】
次いで、通知処理部65は、運転技能判定部67により算出された目標の達成度をドライバに通知する(ステップS25)。例えば通知処理部65は、達成度の値を、「とてもよくできていました」、「よくできていました」、「あまりできていませんでした」、「改善の必要があります」等の表現に置き換えて通知してもよい。具体的に、通知処理部65は、表示装置33又はスピーカ31を駆動し、「選択した目標の運転操作がよくできていました」等の通知を行う。
【0091】
次いで、運転技能判定部67は、算出した目標の達成度に基づいて、ドライバの運転技能レベルを調整し、運転技能情報記憶部49に記録されているドライバの運転技能レベルの情報を更新する(ステップS29)。例えば運転技能判定部67は、目標を達成した回数が所定の既定回数を超えたときに運転技能レベルを1段階上げる一方、目標を達成できなかった回数が所定の既定回数を超えたときに運転技能レベルを1段階下げる。ただし、上述の例では、運転技能レベルの上限は「レベル4」、下限は「レベル1」に制限される。
【0092】
なお、運転技能判定部67は、目標を達成した回数あるいは達成できなかった回数を用いる代わりに、複数回の目標の達成度の和を用いてもよい。この場合、運転技能判定部67は、複数回の目標の達成度の和が所定の基準値以上のときに運転技能レベルを1段階上げる一方、複数回の目標の達成度の和が所定の基準値未満のときに運転技能レベルを1段階下げる。
【0093】
また、運転技能判定部67は、それぞれの提示情報の選択回数、目標達成回数、目標達成率及び連続未達回数に基づいて運転技能レベルを算出してもよい。運転技能レベルの算出方法は、特に限定されるものではなく、任意の計算式あるいはアルゴリズムを用いて算出してもよい。また、提示情報が示す目標の難易度や、運転時の道路状況、走行環境等に応じて、それぞれのデータに重み付けをして運転技能レベルを算出してもよい。
【0094】
次いで、処理部53は、車両10のシステムを停止するか否かを判定する(ステップS29)。例えば処理部53は、車両10のシステムのスタートスイッチがオフにされた信号を検知したときに車両10のシステムを停止すると判定してもよく、ドライバ等によって提示情報の提示を要求する操作が行われたたときに車両10のシステムを停止すると判定してもよい。
【0095】
処理部53は、車両10のシステムを停止すると判定しない場合(S29/No)、ステップS13に戻り、これまで説明した各ステップの手順に沿って、ドライバの運転技能レベルに基づいて提示情報を選定し提示する処理を繰り返す。一方、処理部53は、車両10のシステムを停止すると判定した場合(S29/Yes)、一連の処理動作を終了する。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバによる車両10の運転時における、車両10の走行状態の目標を示す第1の提示情報を記録した第1の提示情報記憶部45と、ドライバの運転操作の目標を示す第2の提示情報を記録した第2の提示情報記憶部47と、第1の提示情報及び第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、ドライバに提示する処理を実行する処理部53とを備えている。このため、情報処理装置50は、ドライバに対して、間接的な運転行動の目標である第1の提示情報と、直接的な運転行動の目標である第2の提示情報とが提示され、ドライバの運転技能のレベルあるいは目標となる運転操作の理解度に応じて適切な目標を提示することができる。これにより、ドライバに適切な提示情報を選択させて内発的動機づけの効果を高めることができ、運転技能を効率よく高めることができる。
【0097】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて第1の提示情報及び第2の提示情報のうちの一つ又は複数の提示情報を選定し、ドライバに提示する。これにより、ドライバの運転技能のレベルあるいは目標となる運転操作の理解度に応じた提示情報の選択肢がドライバに提示され、ドライバに適切な提示情報を選択させやすくなる。したがって、内発的動機づけの効果を高めることができる。
【0098】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバの運転技能レベルの情報に基づいて第1の提示情報又は第2の提示情報のどちらを優先するかを決定し、優先する第1の提示情報又は第2の提示情報の提示数を、優先しない第1の提示情報又は第2の提示情報の提示数よりも多くする。これにより、ドライバの運転技能のレベルあるいは目標となる運転操作の理解度に応じたより多くの提示情報の選択肢がドライバに提示され、ドライバに適切な提示情報を選択させやすくなる。したがって、内発的動機づけの効果を高めることができる。
【0099】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバに提示した提示情報のなかからドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を記録し、取得した車両10の挙動のデータに基づいて、ドライバが選択した提示情報の目標の達成度を算出し、当該目標の達成度に基づいてドライバの運転技能レベルを判定する。これにより、運転技能レベルの上下に応じて提示される提示情報を適切に選定することができる。また、提示情報の項目ごとに目標の達成度が算出され、提示情報の項目ごとに重み付けをした運転技能レベルを算出することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバに提示した提示情報のなかからドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を記録するとともに、ドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を、表示又は音声によりドライバに通知する。これにより、ドライバに対して、自身が選択した提示情報の項目をさらに意識付けさせることができる。したがって、ドライバが、自身の運転行動を変容させる内発的動機づけの効果をより高めることができる。
【0101】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバに提示した提示情報のなかからドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を記録するとともに、ドライバが選択した一つ又は複数の提示情報の内容をドライバに復唱させる通知をする。これにより、ドライバが提示情報の内容を復唱することで、ドライバに対して、自身が選択した提示情報の項目をさらに意識付けさせることができる。したがって、ドライバが、自身の運転行動を変容させる内発的動機づけの効果をさらに高めることができる。
【0102】
また、本実施形態に係る情報処理装置50は、ドライバに提示した提示情報のなかからドライバが選択した一つ又は複数の提示情報を記録し、取得される車両10の挙動のデータに基づいて、ドライバが選択した提示情報の目標の達成度を算出し、当該達成度をドライバに通知する。これにより、ドライバに、自身の運転行動の目標の達成度を認識させて、以降の運転行動に対する意識を高めさせることができる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
例えば上記実施形態の情報処理装置では、第1の提示情報記憶部45及び第2の提示情報記憶部47が、それぞれ複数の第1の提示情報又は第2の提示情報を記憶していたが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば第1の提示情報記憶部45及び第2の提示情報記憶部47は、「左右のふらつきを無くす」と「不要なステアリングの切り増し、切り戻しをしない」の組み合わせのように、共通する車両の走行状態に対応する第1の提示情報及び第2の提示情報をそれぞれ一つ記憶していてもよい。この場合、ドライバの運転技能のレベルあるいは目標となる運転操作の理解度に応じて第1の提示情報又は第2の提示情報のいずれかが提示され、ドライバの内発的動機づけの効果を高めることができる。
【0105】
また、上記実施形態の情報処理装置は、第1の提示情報及び第2の提示情報のなかから複数の提示情報を提示し、いずれか一つ又は複数の提示情報をドライバに選択させることにより、ドライバに対する内発的動機づけを試みていたが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば情報処理装置は、第1の提示情報及び第2の提示情報のなかからいずれか一つの提示情報をドライバに提示してもよい。この場合であっても、ドライバに対して、車両を運転する際の目標を意識付けさせることができる。なお、この場合、ドライバにより選択された提示情報を取得する処理(ステップS19)は省略される。また、この場合、情報処理装置は、提示した提示情報を記録し、当該提示情報に基づいて、意識付け処理や、ドライバの運転技能レベルを判定する処理を実行する。
【0106】
また、上記実施形態の情報処理装置は、ドライバの運転中に計測された車両挙動データに基づいて、ドライバが選択した提示情報が示す目標の達成度を求め、ドライバの運転技能レベルを調整していたが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば情報処理装置は、ドライバが運転中に計測された車両挙動データを、模範となる車両挙動のデータと比較し、運転技能レベルを調整してもよい。具体的には、収集された車両挙動データと模範となる車両挙動のデータとの差が所定の閾値以上となる期間が長いほど、及び、差が大きいほど、運転技能レベルが低いと判定してもよい。模範となる車両挙動のデータは、例えば運転技能レベルが最高位のドライバが同一の走行区間あるいは同一の形状の道路を走行したときに収集された車両挙動のデータであってもよく、あらかじめシミュレーション等により設定された車両挙動のデータであってもよい。
【0107】
また、上記実施形態の情報処理装置は、加速度センサあるいは角速度センサ等の車両挙動計測装置により計測される車両挙動のデータを用いてドライバの運転技能レベルを判定していたが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば情報処理装置は、ドライバが車両を運転している間に計測される、ステアリングの操作量(操舵角)、アクセルペダルの操作量又はブレーキペダルの操作量の少なくとも一つに基づいて運転操作の安定度を求め、ドライバの運転技能レベルを判定してもよい。
【0108】
また、上記実施形態の情報処理装置は、ドライバ自身の運転操作を基準とする運転技能レベルに基づいて提示情報を選定し、ドライバに提示したが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば車両10に乗る同乗者が、入力部17又はマイクロフォン19を介してドライバの運転による車両10の走行状態あるいは乗り心地の評価結果を入力し、情報処理装置50は、当該入力の結果に基づいてドライバの運転技能レベルを判定してもよい。これにより、同乗者にとって乗り心地のよい運転行動をドライバに意識させることができる。
【0109】
また、本開示の技術は、上記実施形態に記載された情報処理装置を備えた運転支援装置あるいは車両、情報処理装置による情報処理方法、コンピュータを上記の情報処理装置として機能させるコンピュータプログラム、及び当該コンピュータプログラムを記録した非一時的な有形の記録媒体としても実現することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 :運転支援装置
10 :車両
11 :車両挙動計測装置
13 :周囲環境検出装置
15 :車両位置情報検出装置
17 :入力部
19 :マイクロフォン
31 :スピーカ
33 :表示装置
41 :地図データ記憶部
43 :車両挙動データ記憶部
45 :第1の提示情報記憶部
47 :第2の提示情報記憶部
49 :運転技能情報記憶部
50 :情報処理装置
51 :通信部
53 :処理部
55 :記憶部
61 :取得部
63 :提示情報設定部
65 :通知処理部
67 :運転技能判定部

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