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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090781
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】磁気検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G01R33/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206885
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徹
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AA04
2G017AC07
2G017AD53
(57)【要約】
【課題】高さ寸法の増加を抑制しつつ、磁界の検出精度を高める。
【解決手段】磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30と、磁気検出素子20と基板30との間に配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40と、を備える。基板30は、対向面30Aから磁気検出素子20とは反対方向に凹む凹部31を有する。集磁体40は、少なくとも一部が前記凹部31内に配置されている。集磁体40は、凹部31の底面である凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した第1集磁部41を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検出素子と、
前記磁気検出素子に対向する対向面を有する基板と、
前記磁気検出素子と前記基板との間に配置され、磁束を前記磁気検出素子に誘導する集磁体と、を備え、
前記基板は、前記対向面から前記磁気検出素子とは反対方向に凹む凹部を有し、
前記集磁体は、少なくとも一部が前記凹部内に配置され、
前記集磁体は、前記凹部の底面である凹部底面から前記磁気検出素子に向けて起立した第1集磁部を含む、磁気検出装置。
【請求項2】
前記基板の厚さ方向において、前記第1集磁部の前記磁気検出素子側の端部は、前記基板の前記対向面と同じ位置または前記対向面よりも前記磁気検出素子側に位置している、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記第1集磁部は、前記凹部底面から前記磁気検出素子に向けて起立した柱状の支持部と、前記支持部の表面にコーティングされた磁性体膜と、を含む、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項4】
前記支持部は、
前記凹部底面から前記磁気検出素子に向かって断面積が徐々に減少する支持傾斜部と、
前記支持傾斜部の上端から前記磁気検出素子に向かって断面積が一定である支持直立部と、
を含み、
前記磁性体膜は、前記支持傾斜部の表面および前記支持直立部の表面にコーティングされている、請求項3に記載の磁気検出装置。
【請求項5】
前記支持傾斜部は、前記基板と同じ材料により構成されており、
前記支持直立部は、前記基板と異なる材料により構成されている、請求項4に記載の磁気検出装置。
【請求項6】
前記基板の厚さ方向において、前記支持傾斜部の長さは、前記支持直立部の長さよりも長い、請求項5に記載の磁気検出装置。
【請求項7】
前記基板の厚さ方向において、前記支持傾斜部の長さは、前記支持直立部の長さよりも短い、請求項5に記載の磁気検出装置。
【請求項8】
前記支持直立部の少なくとも一部は、前記基板の前記対向面よりも前記磁気検出素子側に位置している、請求項4に記載の磁気検出装置。
【請求項9】
前記第1集磁部の側面の少なくとも一部は、前記基板の前記対向面に対して直交している、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項10】
前記第1集磁部は、前記基板の厚さ方向を高さ方向とする直方体形状である、請求項9に記載の磁気検出装置。
【請求項11】
前記集磁体は、前記基板の厚さ方向から見た平面視において、前記第1集磁部よりも側方に突出した第2集磁部を含み、
前記集磁体は、前記第2集磁部を貫く磁束を、前記第1集磁部を介して前記磁気検出素子に誘導するものである、請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項12】
前記第2集磁部は、前記平面視において、矩形状の外形を有する、請求項11に記載の磁気検出装置。
【請求項13】
前記基板は、Si基板である、請求項1に記載の磁気検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パッケージ化された磁気検出装置の構成を開示する。特許文献1の磁気検出装置は、リードフレームと、リードフレームに実装されたホール素子と、ホール素子を封止する封止樹脂とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-077730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気検出装置の検出精度を向上させる方法として、リードフレームなどの基板とホール素子などの磁気検出素子との間に、磁束を磁気検出素子に誘導する集磁体を配置することによって、磁気検出素子を通過する磁束密度を高めることが考えられる。この場合には、基板と磁気検出素子との間に集磁体が挿入されることにより、磁気検出装置の高さ寸法が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である磁気検出装置は、磁気検出素子と、前記磁気検出素子に対向する対向面を有する基板と、前記磁気検出素子と前記基板との間に配置され、磁束を前記磁気検出素子に誘導する集磁体と、を備え、前記基板は、前記対向面から前記磁気検出素子とは反対方向に凹む凹部を有し、前記集磁体は、少なくとも一部が前記凹部内に配置され、前記集磁体は、前記凹部の底面である凹部底面から前記磁気検出素子に向けて起立した第1集磁部を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高さ寸法の増加を抑制しつつ、磁界の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の磁気検出装置の概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態の基板の斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の集磁体の斜視図である。
図4図4は、磁気検出装置の製造工程を示す概略断面図である。
図5図5は、磁気検出装置の製造工程を示す概略断面図である。
図6図6は、磁気検出装置の製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、第2実施形態の磁気検出装置の概略断面図である。
図8図8は、変更例の磁気検出装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示における磁気検出装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0010】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、第1実施形態の磁気検出装置10について説明する。
図1は、磁気検出装置10を示す概略断面図である。なお、本開示において使用される「X方向」は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のX方向に沿った方向を意味し、「Y方向」は、上記XYZ軸のY方向に沿った方向を意味し、「Z方向」は、上記XYZ軸のZ方向に沿った方向を意味する。本開示において使用される「平面視」という用語は、上記XYZ軸のZ軸に沿って上方から磁気検出装置10を視ることを意味する。
【0011】
磁気検出装置10は、電子機器の回路基板Sに表面実装される形式の磁気検出装置である。図1は、回路基板Sに表面実装されている状態の磁気検出装置10を示している。磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30と、磁気検出素子20と基板30との間に配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40とを備える。また、磁気検出装置10は、磁気検出素子20と基板30との間に設けられた絶縁層50を備えている。集磁体40は、絶縁層50内に配置されている。
【0012】
(磁気検出素子)
磁気検出素子20は特に限定されるものでなく、磁束を検出する公知のセンサを用いることができる。磁気検出素子20としては、たとえば、P型のシリコンからなる半導体層と、この半導体層の表面にN型の導電型不純物が導入されて拡散層として形成されたN型の半導体領域とを有するホール素子が挙げられる。また、磁気検出素子20は、ホール素子以外のその他の素子であってもよい。
【0013】
磁気検出素子20は、絶縁層50の上面50A、すなわち、絶縁層50における基板30と反対側の表面に配置されている。磁気検出素子20は、磁束を検出するセンサ部21と、外部接続用の端子である電極パッド22とを備える。センサ部21と電極パッド22は、図示しない配線により電気的に接続されている。電極パッド22は、ワイヤWによって外部電極Eに電気的に接続されている。ワイヤWは、ワイヤボンディング装置によって形成されるボンディングワイヤである。電極パッド22およびワイヤWは、たとえば、Au、Al、Cuなどの導体によって形成されている。
【0014】
(基板)
基板30は、磁気検出装置10の基礎となる部材である。基板30は、単結晶材料である半導体材料からなる。基板30の一例は、シリコンの単結晶材料からなる。
【0015】
基板30は、磁気検出素子20に対向する対向面30Aと、対向面30Aの反対側に位置する裏面30Bとを有するとともに、Z方向を厚さ方向とする平板状である。対向面30Aおよび裏面30Bは、X方向およびY方向に平行な面である。基板30の厚さ寸法(Z方向寸法)は、たとえば、0.1mm以上2.0mm以下である。
【0016】
基板30の平面視形状は、たとえば、X方向に延びる辺およびY方向に延びる辺を有するとともに、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い矩形状である。なお、基板30の平面視形状は上記矩形状に限定されるものでなく、正方形状、多角形状、円形状などのその他の形状であってもよい。
【0017】
基板30は、対向面30Aから磁気検出素子20とは反対方向、すなわち、裏面30Bに向かう方向に凹む凹部31を有する。凹部31は、底面である凹部底面32と、凹部底面32と対向面30Aとを接続する凹部側面33とを有する。凹部31の深さ、すなわち、対向面30Aから凹部底面32までの長さL1は、たとえば、0.1μm以上200μm以下である。
【0018】
図2は、凹部31を有する基板30の斜視図であり、凹部31の形状の一例を示している。以下、図2に示される凹部31の形状の一例を具体的に説明する。凹部底面32は、対向面30Aと平行な面である。凹部底面32の平面視形状は、X方向に延びる辺およびY方向に延びる辺を有するとともに、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い矩形状である。凹部側面33は、X方向またはY方向を向く4つの側面により構成されている。凹部31は、凹部底面32から対向面30Aに向かって(磁気検出素子20に向かって)X方向およびY方向における凹部側面33間の距離が徐々に増加する四角錐台形状である。したがって、4つの凹部側面33は、対向面30Aに対して傾斜する傾斜面である。
【0019】
なお、凹部31の形状は、上記の形状に限定されない。たとえば、凹部底面32の平面視形状は、正方形状、多角形状、円形状などのその他の形状であってもよい。また、凹部31は、凹部底面32から対向面30Aに向かって凹部31の凹部側面33間の距離が一定である形状、たとえば、直方体形状であってもよい。この場合、凹部側面33を構成する側面の全てが、対向面30Aに対して直交する直立面になる。対向面30Aに対する凹部側面33の傾斜角度は、たとえば、基板30に対してエッチングによって凹部31を形成する際のエッチング方法の選択により調整できる。たとえば、シリコンの単結晶材料からなる基板30である場合、アルカリエッチングを採用すると凹部側面33は傾斜面になり、ドライエッチングを採用すると凹部側面33は直立面になる。
【0020】
(集磁体)
図1に示すように、集磁体40は、凹部底面32の上に位置するとともに、その少なくとも一部が凹部31内に配置されている。集磁体40は、凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した第1集磁部41と、平面視において、第1集磁部41よりも側方に突出した第2集磁部42とを含む。集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導する。
【0021】
[第1集磁部]
第1集磁部41は、凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した柱状の支持部43と、支持部43の表面にコーティングされた磁性体膜44とを含む。
【0022】
支持部43は、基板30の一部によって構成される第1支持部45と、第1支持部45の上に配置される第2支持部46とを含む。第1支持部45は、基板30の一部であって、凹部底面32から磁気検出素子20に向かって突出した部分である。したがって、第1支持部45は、基板30と同じ材料により構成されている。第1支持部45は、平面視において、凹部底面32の中央に配置されるとともに、凹部側面33から離隔している。
【0023】
第1支持部45は、基板30の厚さ方向において、第1支持部45の磁気検出素子20側の端部に位置する上面45Aと、凹部底面32と上面45Aとを接続する側面45Bとを有する。第1支持部45は、凹部底面32から上面45Aに向かって断面積が徐々に減少する錐台形状である。第1支持部45は、たとえば、四角錐台形状などの多角錐台形状である。したがって、第1支持部45の側面45Bの各々は、凹部底面32に対して傾斜した傾斜面になる。凹部底面32と側面45Bとがなす角αの角度は、たとえば、10度以上90度以下である。
【0024】
また、第1支持部45は、凹部底面32から上面45Aに向かって断面積が一定である柱状であってもよい。この場合の、第1支持部45は、たとえば、四角柱状などの多角柱状である。したがって、第1支持部45の側面45Bの各々は、凹部底面32に対して直交した直立面になる。対向面30Aに対する側面45Bの傾斜角度は、上述した凹部側面33と同様に、たとえば、基板30に対してエッチングによって第1支持部45を形成する際のエッチング方法の選択により調整できる。以下では、第1支持部45が四角錐台形状に形成されている場合を例に挙げて説明する。四角錐台形状などの多角錐台形状である第1支持部45は、凹部底面32から磁気検出素子20に向かって断面積が徐々に減少する支持傾斜部である。
【0025】
基板30の厚さ方向において、第1支持部45の磁気検出素子20側の端部に位置する上面45Aの位置は、基板30の対向面30Aの位置と等しい。つまり、基板30の厚さ方向における第1支持部45の長さL2、すなわち、基板30の厚さ方向における凹部底面32から第1支持部45の上面45Aまでの長さは、凹部31の深さ(長さL1)と等しい。なお、第1支持部45の上面45Aの位置は、対向面30Aよりも凹部底面32側に位置していてもよい。第1支持部45の長さL2は、たとえば、0.1μm以上200μm以下である。
【0026】
第2支持部46は、第1支持部45と異なる材料、すなわち、基板30と異なる材料により形成されている。第2支持部46を形成する材料は、たとえば、Cuなどの非磁性体材料である。また、第2支持部46を形成する材料は、磁性体材料であってもよい。
【0027】
第2支持部46は、第1支持部45の上面45Aの上に配置されている。第2支持部46は、第2支持部46の磁気検出素子20側の端部に位置する上面46Aと、第1支持部45の上面45Aと上面46Aとを接続する側面46Bとを有する。第2支持部46は、第1支持部45の上面45Aから基板30の厚さ方向に延びるとともに、第1支持部45の上面45Aから磁気検出素子20に向かって断面積が一定である柱状である。第2支持部46は、たとえば、四角柱形状などの多角柱形状である。したがって、第2支持部46の側面46Bの各々は、凹部底面32に対して直交した直立面になる。以下では、第2支持部46が四角柱状に形成されている場合を例に挙げて説明する。四角柱状などの多角柱状である第2支持部46は、支持傾斜部(第1支持部45)の上端から磁気検出素子20に向かって断面積が一定である支持直立部である。
【0028】
第2支持部46は、基板30の厚さ方向において、凹部31の外側に位置している。したがって、第2支持部46の一部または全体は、基板30の厚さ方向において、凹部31の外側に位置している。換言すると、第2支持部46の一部または全体は、基板30の対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置している。基板30の厚さ方向における第2支持部46の長さL3、すなわち、基板30の厚さ方向における第1支持部45の上面45Aから第2支持部46の上面46Aまでの長さは、たとえば、0.1μm以上200μm以下である。
【0029】
基板30の厚さ方向において、第1支持部45(支持傾斜部)の長さL2と、第2支持部46(支持直立部)の長さL3の比率は、特に限定されない。第1集磁部41の一例は、第1支持部45(支持傾斜部)の長さL2が第2支持部46(支持直立部)の長さL3よりも長い。また、第1集磁部41の一例は、第1支持部45(支持傾斜部)の長さL2が第2支持部46(支持直立部)の長さL3よりも短い。
【0030】
磁性体膜44は、支持部43の表面、すなわち、第1支持部45(支持傾斜部)の各側面45Bと、第2支持部46(支持直立部)の上面46Aおよび各側面46Bとに設けられている。磁性体膜44は、磁性体材料によって形成されている。磁性体膜44を形成する磁性体材料としては、たとえば、フェライト、Fe、Niが挙げられる。磁性体膜44の膜厚は、たとえば、0.1μm以上50μm以下である。磁性体膜44の膜厚は、全て一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
【0031】
第1集磁部41は、第1集磁部41の磁気検出素子20側の端部に位置して、磁気検出素子20に対向する集磁対向面41Aと、第1集磁部41の基板30側の端部から集磁対向面41Aに向かって延びる集磁側面41Bとを有する。集磁対向面41Aおよび集磁側面41Bは、磁性体膜44により形成されている表面である。基板30の厚さ方向において、第1集磁部41の端部(集磁対向面41A)は、基板30の対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置している。
【0032】
第1集磁部41は、凹部底面32から集磁対向面41Aまでの長さL4、すなわち、第1集磁部41の高さ寸法が大きいことが好ましい。第1集磁部41の長さL4は、支持部43の突出高さと磁性体膜44の膜厚の合計である。したがって、第1集磁部41の長さL4は、支持部43の突出高さ、および磁性体膜44の膜厚の一方または両方を変更することにより調整できる。支持部43の突出高さは、第2支持部46の高さ寸法(Z方向寸法)を変更することによって容易に調整できる。第1集磁部41の長さL4は、たとえば、0.3μm以上450μm以下である。
【0033】
図3は、第1実施形態の集磁体40の斜視図であり、第1実施形態の集磁体40の形状の一例を示している。以下、図3に示す第1集磁部41全体の形状を具体的に説明する。第1集磁部41は、基板30の厚さ方向を高さ方向とする四角錐台状である第1部分41Cと、第1部分41Cの上に配置され、基板30の厚さ方向を高さ方向とする直方体状の第2部分41Dとを有する形状である。第1部分41Cの上端の外周縁と、第2部分41Dの下端の外周縁は一致している。第1部分41Cは、第1支持部45(支持傾斜部)と、その表面に設けられた磁性体膜44により構成された部分である。第2部分41Dは、第2支持部46(支持直立部)と、その表面に設けられた磁性体膜44により構成された部分である。
【0034】
第1集磁部41は、Z方向を向く集磁対向面41Aと、平面視においてX方向またはY方向を向く4つの集磁側面41Bを有する。4つの集磁側面41Bの各々は、第1部分41Cに位置する傾斜面と、第2部分41Dに位置する直立面とを含む。なお、第1集磁部41全体の形状は、図3に示す形状に限定されない。たとえば、第1集磁部41全体の形状は、直方体状などの多角柱状であってもよい。たとえば、第1支持部45および第2支持部46を共に直方体状に形成することによって、第1集磁部41全体の形状を直方体状にできる。
【0035】
次に、第1集磁部41の配置について説明する。
図1に示すように、第1集磁部41は、基板30の厚さ方向において、磁気検出素子20のセンサ部21と重なる位置に配置される。特に、第1集磁部41は、集磁側面41Bにおける磁気検出素子20側の端部の少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21と重なっていることが好ましい。この場合、第1集磁部41の集磁側面41Bに集められた磁束を、磁気検出素子20のセンサ部21に誘導する効果が向上する。したがって、第1集磁部41は、集磁側面41Bにおける磁気検出素子20側の端部の全体が、磁気検出素子20のセンサ部21と重なっている構成であることが特に好ましい。なお、集磁側面41Bにおける基板30側の端部については、基板30の厚さ方向において、一部または全体が磁気検出素子20のセンサ部21と重なっている構成であってもよいし、全体がセンサ部21と重なっていない構成であってもよい。
【0036】
また、図1に示すように、基板30の厚さ方向において、第1集磁部41は、磁気検出素子20のセンサ部21と離隔していてもよいし、センサ部21に接していてもよい。第1集磁部41とセンサ部21とが離隔している場合には、第1集磁部41とセンサ部21の短絡を抑制できる。第1集磁部41とセンサ部21の離隔距離L5は、たとえば、0.1μm以上100μm以下である。第1集磁部41とセンサ部21とが離隔している場合、第1集磁部41とセンサ部21との間には、絶縁層50が介在していることが好ましい。
【0037】
[第2集磁部]
図1に示すように、第2集磁部42は、凹部底面32の上に広がる平板状の部位である。第2集磁部42は、磁性体材料によって形成されている。第2集磁部42を形成する磁性体材料としては、たとえば、フェライト、Fe、Niが挙げられる。第2集磁部42の一例は、磁性体膜44と同じ材料により構成されるとともに、磁性体膜44から連続して一体に形成されている。第2集磁部42の厚さは、たとえば、0.1μm以上50μm以下である。
【0038】
第2集磁部42は、第1集磁部41の基板30側の端部から側方に突出している。上記の側方に突出するとは、基板30の厚さ方向(Z方向)に直交する方向(X-Y平面に沿った方向)に突出することを意味する。第2集磁部42は、基板30の厚さ方向に直交する方向における特定の一方向または特定の複数方向のみに突出していてもよいし、基板30の厚さ方向に直交する方向の全方向に突出していてもよい。
【0039】
第2集磁部42は、第1集磁部41と連続する基端部42Aと、平面視において第2集磁部42の外周縁に位置する先端部42Bとを有する。第2集磁部42は、平面視において、先端部42Bの少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることが好ましく、先端部42Bの全体が磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していることがより好ましい。また、第2集磁部42は、平面視において、先端部42Bが磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出していない形状であってもよい。
【0040】
図3は、集磁体40の斜視図であり、集磁体40の形状の一例を示している。以下、図3に示す第2集磁部42の形状を具体的に説明する。第2集磁部42は、平面視矩形状の外形を有する。第2集磁部42は、矩形状の四辺の各々に位置するとともに、X方向またはY方向に平行な4つの辺部42Cを有する。4つの辺部42Cの各々は、第2集磁部42の先端部42Bである。
【0041】
第2集磁部42における基端部42Aから辺部42Cまでの長さL6は、全て同じであってもよいし、4つの辺部42Cの各々で異なっていてもよい。4つの辺部42Cのうちの少なくとも一つの辺部42Cは、基端部42Aから当該辺部42Cまでの長さL6が0.1μm以上となるように形成されていることが好ましい。上記長さL6を長くした場合には、第2集磁部42が広く形成されることにより、より広範囲の磁束を集めることができる。また、第2集磁部42を広く形成することによる集磁効果には上限がある。そのため、集磁体40の大型化を抑制するなどの観点から、上記長さL6は、たとえば、100μm以下である。なお、第2集磁部42の形状は、図3に示す形状に限定されない。たとえば、第2集磁部42の平面視形状は、正方形状、多角形状、円形状などのその他の形状であってもよい。
【0042】
(絶縁層)
絶縁層50は、たとえば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料、二酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成される。
【0043】
図1に示すように、絶縁層50は、基板30の対向面30Aおよび集磁体40を覆う態様にて、基板30の上に形成されている。集磁体40は、その表面の全体、すなわち、第1集磁部41における集磁対向面41Aおよび集磁側面41Bの全面、ならびに第2集磁部42が絶縁層50に覆われている。また、基板30の凹部31は、絶縁層50で埋められている。絶縁層50は、基板30と反対側に位置する上面50Aを有する。上面50Aは、基板30の対向面30Aと平行な面である。絶縁層50の上面50Aの上に磁気検出素子20が配置されている。
【0044】
(磁気検出装置の製造方法)
図4図6は、磁気検出装置10の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図4図6では、図1の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付している。
【0045】
図4に示すように、まず、たとえば平板状のSi基板である基板30の対向面30Aに対して、中央に突出部分である第1支持部45を有する凹部31を形成する。凹部31および第1支持部45は、基板30の一部を、エッチングによって選択的に除去することにより形成できる。
【0046】
続いて、図5に示すように、第1支持部45の上面45Aに、Cuにより構成される第2支持部46を形成する。その後、第1支持部45および第2支持部46、ならびに凹部底面32の一部を覆う磁性体膜44および第2集磁部42を形成する。磁性体膜44および第2集磁部42は、たとえば、電解メッキまたは無電解メッキにより形成できる。これにより、基板30の上に集磁体40が形成される。
【0047】
続いて、図6に示すように、基板30上に絶縁層50が形成される。一例では、絶縁層50は、モールド成形法によって形成された絶縁樹脂層である。その後、絶縁層50上に磁気検出素子20が取り付けられる。
【0048】
(作用)
次に、第1実施形態の磁気検出装置10の作用を説明する。
磁気検出装置10は、磁気検出素子20と基板30との間に配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40を備えている。集磁体40は、基板30から磁気検出素子20に向けて起立した第1集磁部41を有している。磁気検出素子20と基板30との間に配置された集磁体40によって、集磁体40の周囲を通過する磁束が集磁体40の第1集磁部41に沿って磁気検出素子20に誘導される。これにより、磁気検出素子20を通過する磁束密度が高められる結果、磁気検出素子20による磁界の検出精度が向上する。
【0049】
さらに、集磁体40は、第1集磁部41よりも側方に突出した第2集磁部42を有している。これにより、第1集磁部41の周囲を通過する磁束に加えて、第2集磁部42を通過する磁束も第2集磁部42および第1集磁部41を通じて磁気検出素子に誘導される。そのため、磁気検出素子20を通過する磁束密度が更に高められる結果、磁気検出素子20による磁界の検出精度が更に向上する。
【0050】
また、基板30には、対向面30Aから磁気検出素子20とは反対方向に凹む凹部31が形成されている。集磁体40は、その少なくとも一部が基板30の凹部31内に配置されている。より具体的には、集磁体40の第1集磁部41は、凹部31の底面である凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立するように配置されている。そのため、基板30の対向面30Aから凹部底面32までの長さL1の分だけ、第1集磁部41が基板30内に入り込む。
【0051】
これにより、第1集磁部41の高さ寸法(長さL4)を一定以上に確保しつつも、基板30の対向面30Aからの第1集磁部41の突出長、すなわち、対向面30Aから第1集磁部41の集磁対向面41Aまでの長さを短くできる。この場合、第1集磁部41の上に配置される磁気検出素子20を基板30の対向面30Aに、より近づけて配置できる。そのため、集磁体40を配置したことに起因する磁気検出装置10の高さ寸法の増加を抑制できる。
【0052】
(効果)
第1実施形態の磁気検出装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)
磁気検出装置10は、磁気検出素子20と、磁気検出素子20に対向する対向面30Aを有する基板30と、磁気検出素子20と基板30との間に配置され、磁束を磁気検出素子20に誘導する集磁体40と、を備える。基板30は、対向面30Aから磁気検出素子20とは反対方向に凹む凹部31を有する。集磁体40は、少なくとも一部が前記凹部31内に配置されている。集磁体40は、凹部31の底面である凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した第1集磁部41を含む。
【0053】
この構成によれば、磁気検出素子20と基板30との間に集磁体40が配置されていることにより、磁気検出素子20による磁界の検出精度が向上する。そして、集磁体40の少なくとも一部が基板30の凹部31内に配置されていることにより、磁気検出素子20を基板30の対向面30Aに、より近づけて配置できる。そのため、集磁体40を配置したことに起因する磁気検出装置10の高さ寸法の増加を抑制できる。
【0054】
(1-2)
基板30の厚さ方向において、第1集磁部41の磁気検出素子20側の端部(集磁対向面41A)は、基板30の対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置している。この構成によれば、第1集磁部41の長さL4を大きくできる。第1集磁部41の長さL4が大きくなるにしたがって、第1集磁部41における磁束を磁気検出素子20に誘導する効果が向上する。
【0055】
(1-3)
第1集磁部41は、凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した柱状の支持部43と、支持部43の表面にコーティングされた磁性体膜44と、を含む。この構成によれば、第1集磁部41の表面のみが磁性体材料により形成されている。そのため、第1集磁部41を通過する磁束が第1集磁部41の表面に集中する。これにより、第1集磁部41における磁束を磁気検出素子20に誘導する効果が更に向上する。
【0056】
(1-4)
第1集磁部41の側面である集磁側面41Bの少なくとも一部は、基板30の対向面30Aに対して直交している直立面である。第1集磁部41による磁束を磁気検出素子20に誘導する効果は、第1集磁部41の集磁側面41Bが基板30から磁気検出素子20に向かう方向に対して平行に近づくほど大きくなる。そのため、この構成によれば、第1集磁部41による磁束を磁気検出素子20に誘導する効果が向上する。
【0057】
(1-5)
支持部43は、凹部底面32から磁気検出素子20に向かって断面積が徐々に減少する支持傾斜部(第1支持部45)と、支持傾斜部の上端から磁気検出素子20に向かって断面積が一定である支持直立部(第2支持部46)とを含む。磁性体膜44は、支持傾斜部の表面および支持直立部の表面にコーティングされている。
【0058】
この構成によれば、支持部43における磁気検出素子20に近い部分が支持直立部により形成されている。支持直立部は、その全ての側面が上記直立面であるため、上記(1-4)の効果がより大きくなる。
【0059】
(1-6)
支持傾斜部(第1支持部45)は、基板30と同じ材料により構成されている。支持直立部(第2支持部46)は、基板30と異なる材料により構成されている。この構成によれば、形状が互いに異なる支持傾斜部と支持直立部を容易に形成できる。また、支持直立部の高さ寸法を変更することにより、第1集磁部41の長さL4を容易に調整できる。特に、第1集磁部41の磁気検出素子20側の端部を、基板30の対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置させることが容易である。
【0060】
(1-7)
基板30の厚さ方向において、支持傾斜部(第1支持部45)の長さL2は、支持直立部(第2支持部46)の長さL3よりも長い。この構成によれば、支持傾斜部および支持直立部を形成する処理が容易である。
【0061】
(1-8)
基板30の厚さ方向において、支持傾斜部(第1支持部45)の長さL2は、支持直立部(第2支持部46)の長さL3よりも短い。この構成によれば、支持直立部の長さが相対的に長くなる。そのため、上記(1-4)の効果がより大きくなる。
【0062】
(1-9)
第1集磁部41は、基板30の厚さ方向を高さ方向とする直方体形状である。この構成によれば、第1集磁部41の全ての集磁側面41Bが上記直立面であるため、上記(1-4)の効果がより大きくなる。
【0063】
(1-10)
集磁体40は、平面視において、第1集磁部41よりも側方に突出した第2集磁部42を含む。集磁体40は、第2集磁部42を貫く磁束を、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導するものである。この構成によれば、磁気検出素子20の周囲を通過する磁束が第2集磁部42により集められて、第1集磁部41を介して磁気検出素子20に誘導される。そのため、磁気検出素子20による磁界の検出精度が向上する。
【0064】
(1-11)
第2集磁部42は、第1集磁部41と連続する基端部42Aと、平面視において第2集磁部42の外周縁に位置する先端部42Bとを有する。第2集磁部42は、平面視において、先端部42Bの少なくとも一部が、磁気検出素子20のセンサ部21からはみ出している。この構成によれば、上記(1-10)の効果がより大きくなる。
【0065】
<第2実施形態>
第2実施形態の磁気検出装置110は、集磁体40の第1集磁部41の構成が第1実施形態と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同様な構成要素については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成要素について説明する。
【0066】
図7は、磁気検出装置110の概略断面図である。図7では、磁気検出装置110のみを図示している。図7に示すように、第1集磁部41は、凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した柱状の支持部47と、支持部47の表面にコーティングされた磁性体膜44とを含む。
【0067】
第2実施形態の凹部底面32は、その全体が平らに形成されている。支持部47は、基板30とは別の部材であって、凹部底面32の上に配置されている。支持部47は、基板30と異なる材料により形成されている。支持部47を形成する材料は、たとえば、Cuなどの非磁性体材料である。また、支持部47を形成する材料は、磁性体材料であってもよい。
【0068】
支持部47は、平面視において、凹部底面32の中央に配置されるとともに、凹部側面33から離隔している。支持部47は、支持部47の磁気検出素子20側の端部に位置する上面47Aと、支持部47の凹部底面32側の端部から上面47Aに向かって延びる側面47Bとを有する。支持部47の上面47Aは、基板30の対向面30Aと平行な面である。基板30の厚さ方向において、支持部47の上面47Aは、基板30の対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置している。つまり、支持部47の突出高さは、凹部31の深さ(長さL1)よりも高い。なお、支持部47の上面47Aの位置は、対向面30Aと同じであってもよい。
【0069】
支持部47の側面47Bは、凹部底面32に直交する垂直面である。なお、支持部47の側面47Bは、凹部底面32に対して傾斜した傾斜面であってもよい。また、支持部47は、上記傾斜面である側面47Bと、上記垂直面である側面47Bとを有していてもよい。
【0070】
支持部47の外形は、たとえば、凹部底面32から磁気検出素子20に向かって断面積が一定である四角柱状などの多角柱状である。また、支持部47の外形は、凹部底面32から磁気検出素子20に向かって断面積が徐々に減少する四角錐台状などの多角錐台状であってもよい。
【0071】
第2実施形態の第1集磁部41は、基板30の対向面30Aの位置にかかわらず、支持部47の高さ寸法を変更することによって、第1集磁部41の長さL4を調整できる。そのため、第1集磁部41の集磁対向面41Aを対向面30Aよりも磁気検出素子20側に位置させて、第1集磁部41の長さL4を大きくすることが容易である。
【0072】
(効果)
第2実施形態の磁気検出装置110によれば、以下の効果が得られる。
(2-1)
第1集磁部41は、凹部底面32から磁気検出素子20に向けて起立した柱状の支持部47と、支持部47の表面にコーティングされた磁性体膜44と、を含む。支持部47は、基板30と異なる材料により構成されている。この構成によれば、支持部47の高さ寸法を変更することによって、第1集磁部41の長さL4を容易に調整できる。
【0073】
<変更例>
上記各実施形態は例えば以下のように変更できる。上記各実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図8に示すように、第1実施形態の第1集磁部41に関して、支持部43は、第2支持部46が省略された構成であってもよい。また、この場合、基板30の厚さ方向において、第1集磁部41の磁気検出素子20側の端部である集磁対向面41Aは、基板30の対向面30Aと同じ位置、または対向面30Aよりも凹部底面32側に位置していてもよい。
【0075】
・第2実施形態の第1集磁部41に関して、支持部47を省略して中空形状の第1集磁部41としてもよい。この場合、形状を維持できる剛性を有する磁性体材料によって磁性体膜44を形成する。
【0076】
・第2実施形態の第1集磁部41に関して、支持部47および磁性体膜44とからなる構成に変えて、全体が中実状の磁性体により構成される第1集磁部41としてもよい。
・各実施形態の集磁体40は、第2集磁部42が省略された構成であってもよい。
【0077】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「構成Aが構成B上に形成される」という表現は、或る実施形態では構成Aが構成Bに接触して構成B上に直接配置され得るが、他の実施形態では構成Aが構成Bに接触することなく構成Bの上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、構成Aと構成Bとの間に他の構成が形成される構造を排除しない。
【0078】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0079】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0080】
[付記1]
磁気検出素子(20)と、
前記磁気検出素子(20)に対向する対向面(30A)を有する基板(30)と、
前記磁気検出素子(20)と前記基板(30)との間に配置され、磁束を前記磁気検出素子(20)に誘導する集磁体(40)と、を備え、
前記基板(30)は、前記対向面(30A)から前記磁気検出素子(20)とは反対方向に凹む凹部(31)を有し、
前記集磁体(40)は、少なくとも一部が前記凹部(31)内に配置され、
前記集磁体(40)は、前記凹部(31)の底面である凹部底面(32)から前記磁気検出素子(20)に向けて起立した第1集磁部(41)を含む、磁気検出装置(10,110)。
【0081】
[付記2]
前記基板(30)の厚さ方向において、前記第1集磁部(41)の前記磁気検出素子(20)側の端部は、前記基板(30)の前記対向面(30A)と同じ位置または前記対向面(30A)よりも前記磁気検出素子(20)側に位置している、付記1に記載の磁気検出装置(10,110)。
【0082】
[付記3]
前記第1集磁部(41)は、前記凹部底面(32)から前記磁気検出素子(20)に向けて起立した柱状の支持部(43,47)と、前記支持部(43,47)の表面にコーティングされた磁性体膜(44)と、を含む、付記1または付記2に記載の磁気検出装置(10,110)。
【0083】
[付記4]
前記支持部(43)は、
前記凹部底面(32)から前記磁気検出素子(20)に向かって断面積が徐々に減少する支持傾斜部(第1支持部45)と、
前記支持傾斜部(第1支持部45)の上端(上面45A)から前記磁気検出素子(20)に向かって断面積が一定である支持直立部(第2支持部46)と、
を含み、
前記磁性体膜(44)は、前記支持傾斜部(第1支持部45)の表面および前記支持直立部(第2支持部46)の表面にコーティングされている、付記3に記載の磁気検出装置(10)。
【0084】
[付記5]
前記支持傾斜部(第1支持部45)は、前記基板(30)と同じ材料により構成されており、
前記支持直立部(第2支持部46)は、前記基板(30)と異なる材料により構成されている、付記4に記載の磁気検出装置(10)。
【0085】
[付記6]
前記基板(30)の厚さ方向において、前記支持傾斜部(第1支持部45)の長さ(L2)は、前記支持直立部(第2支持部46)の長さ(L3)よりも長い、付記5に記載の磁気検出装置(10)。
【0086】
[付記7]
前記基板30の厚さ方向において、前記支持傾斜部(第1支持部45)の長さ(L2)は、前記支持直立部(第2支持部46)の長さ(L3)よりも短い、付記5に記載の磁気検出装置(10)。
【0087】
[付記8]
前記支持直立部(第2支持部46)の少なくとも一部は、前記基板(30)の前記対向面(30A)よりも前記磁気検出素子(20)側に位置している、付記4~7のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110)。
【0088】
[付記9]
前記第1集磁部(41)の側面(集磁側面41B)の少なくとも一部は、前記基板(30)の前記対向面(30A)に対して直交している、付記1~8のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110)。
【0089】
[付記10]
前記第1集磁部(41)は、前記基板(30)の厚さ方向を高さ方向とする直方体形状である、付記9に記載の磁気検出装置(10,110)。
【0090】
[付記11]
前記集磁体(40)は、前記基板(30)の厚さ方向から見た平面視において、前記第1集磁部(41)よりも側方に突出した第2集磁部(42)を含み、
前記集磁体(40)は、前記第2集磁部(42)を貫く磁束を、前記第1集磁部(41)を介して前記磁気検出素子(20)に誘導するものである、付記1~10のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110)。
【0091】
[付記12]
前記第2集磁部(42)は、前記平面視において、矩形状の外形を有する、付記10に記載の磁気検出装置(10,110)。
【0092】
[付記13]
前記基板(30)は、Si基板である、付記1~12のいずれか1つに記載の磁気検出装置(10,110)。
【符号の説明】
【0093】
α…角
E…外部電極
L1~L4,L6…長さ
L5…離隔距離
S…回路基板
W…ワイヤ
10,110…磁気検出装置
20…磁気検出素子
21…センサ部
22…電極パッド
30…基板
30A…対向面
30B…裏面
31…凹部
32…凹部底面
33…凹部側面
40…集磁体
41…第1集磁部
41A…集磁対向面
41B…集磁側面
41C…第1部分
41D…第2部分
42…第2集磁部
42A…基端部
42B…先端部
42C…辺部
43,47…支持部
43A…上面
43B…側面
44…磁性体膜
45…第1支持部
45A…上面
46…第2支持部
47…支持部
47A…上面
47B…側面
50…絶縁層
50A…上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8