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特開2024-90782複数のモードを有する飼育管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090782
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】複数のモードを有する飼育管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206887
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】518247173
【氏名又は名称】株式会社RABO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊豫 愉芸子
(57)【要約】
【課題】本発明は、動物の年齢や持病等の状態に応じて適切な管理がなされる飼育管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一の実施形態は、動物に装着されるセンサを介して当該動物の行動情報を取得する取得装置と、当該取得装置から前記行動情報を取得して所定の表示情報を生成する飼育管理サーバと、当該飼育管理サーバから提供される前記表示情報をユーザに表示可能にするユーザ端末とを含む飼育管理システムであって、前記飼育管理サーバは、一の前記行動情報に対応して生成される前記表示情報を前記動物の年齢に応じて変更する、表示制御部を有している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物に装着されるセンサを介して当該動物の行動情報を取得する取得装置と、当該取得装置から前記行動情報を取得して所定の表示情報を生成する飼育管理サーバと、当該飼育管理サーバから提供される前記表示情報をユーザに表示可能にするユーザ端末とを含む飼育管理システムであって、
前記飼育管理サーバは、一の前記行動情報に対応して生成される前記表示情報を前記動物の年齢に応じて変更する、表示制御部を有している、
飼育管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の飼育管理システムであって、
一の前記行動情報は、前記動物の状態または行動に関する条件であり、
前記飼育管理サーバは、当該条件を満たした際に生成される前記表示情報を前記年齢毎に格納する表示データ格納部を有している、
飼育管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の飼育管理システムであって、
一の前記行動情報は、前記動物の健康状態に関する条件であり、
前記飼育管理サーバは、当該条件を満たした際に生成される前記表示情報を前記健康状態毎に格納する表示データ格納部を有している、
飼育管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモードを有する飼育管理システムに関し、特に動物の状態や属性の応じた複数のモードを有する飼育管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ペットブームもあいまって、例えば、ネコの飼育数が増加の一途をたどり、プレミアムフードやペット保険などのペット関連サービスや、快適な飼育環境を実現する健康管理やマナー・エチケット関連サービスなどへの需要も今後も高まるであろうと予測されている。
【0003】
このような背景において、例えば、ネコの飼育状況について、飼い主は、多忙ゆえに、家族同然に考えているネコに留守番をさせている時間が長く、観察する時間や手段がないために、不安を抱えている。また、獣医師も「普段の状態」を問診以外で知るすべがない。このように、飼い主は、ネコの見ることができない時間が多い、という課題を抱えている。
【0004】
例えば、飼い犬に加速度センサを固定し、センサから取得される測定データを基に、犬の活動状態(静止中、歩行中、激しい運動)といった情報を算出し、飼い主に提供する、といった技術が公開されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-217928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術は、例えば、同一の動物に対して同一の管理方法しか行うことができない。すなわち、例えば、年齢や、持病等を有する動物に対して適切な飼育管理を行う技術としては不十分である。
【0007】
そこで、本発明は、動物の年齢や持病等の状態に応じて適切な管理がなされる飼育管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の実施形態は、動物に装着されるセンサを介して当該動物の行動情報を取得する取得装置と、当該取得装置から前記行動情報を取得して所定の表示情報を生成する飼育管理サーバと、当該飼育管理サーバから提供される前記表示情報をユーザに表示可能にするユーザ端末とを含む飼育管理システムであって、前記飼育管理サーバは、一の前記行動情報に対応して生成される前記表示情報を前記動物の年齢に応じて変更する、表示制御部を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動物の年齢や持病等の状態に応じて適切な管理がなされる飼育管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態によるシステムの構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態による、宅内におけるネコの活動状態のセンシングを説明する概念図である。
図3】本発明の第1の実施の形態によるサーバの機能ブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態によるサーバの制御部の詳細を示した機能ブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態によるサーバのストレージの詳細を示した機能ブロック図である。
図6】本発明の第1の実施の形態による行動データ管理テーブルの例である。
図7】本発明の第1の実施の形態による基本データ管理テーブルの例である。
図8】本発明の第1の実施の形態による行動データ提供処理の例を示したフローチャートの例である。
図9】本発明の第1の実施の形態による行動データ生成処理の例をしたフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施の形態によるユーザ端末のユーザインターフェースの例を示した図である。
図11】本発明の第1の実施の形態によるネコの動作をトラッキングする処理を概念的に示した図である。
図12】本発明の実施の形態による行動種別の分析の流れについての説明図である。
図13】本発明の実施の形態による入力されたデータ分析について説明する図である。
図14】本発明の実施の形態による表示データ格納部のデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飼育管理システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
動物に装着されるセンサを介して当該動物の行動情報を取得する取得装置と、当該取得装置から前記行動情報を取得して所定の表示情報を生成する飼育管理サーバと、当該飼育管理サーバから提供される前記表示情報をユーザに表示可能にするユーザ端末とを含む飼育管理システムであって、
前記飼育管理サーバは、一の前記行動情報に対応して生成される前記表示情報を前記動物の年齢に応じて変更する、表示制御部を有している、
飼育管理システム。
[項目2]<子猫モード、通常モード、老猫モードなど年齢毎にデータが存在>
項目1に記載の飼育管理システムであって、
一の前記行動情報は、前記動物の状態または行動に関する条件であり、
前記飼育管理サーバは、当該条件を満たした際に生成される前記表示情報を前記年齢毎に格納する表示データ格納部を有している、
飼育管理システム。
[項目3]<病気モード>
項目1に記載の飼育管理システムであって、
一の前記行動情報は、前記動物の健康状態に関する条件であり、
前記飼育管理サーバは、当該条件を満たした際に生成される前記表示情報を前記健康状態毎に格納する表示データ格納部を有している、
飼育管理システム。
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態によるサーバによるサービスの提供方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による飼育管理システムの構成図である。
【0013】
図1に示すように、飼育管理システムは、サービスを提供するサーバ1と、サーバ1に、インターネット等のネットワークを介して接続される、通信端末2とユーザ端末3とを含む。また、サーバ1は、ネットワークを介して分析サーバ4と接続している。図1には、説明の便宜のために、各々1つの通信端末2、ユーザ端末3及び分析サーバ4が図示されているが、各々複数の端末が、本システムのネットワークに接続可能である。
【0014】
サーバ1は、サービスを、アプリケーションを介してユーザ端末3に対して提供することができる。ユーザ端末3は、アプリケーションをサーバ1または別のサーバからダウンロードし、このアプリケーションを実行し、ブラウザ等のウェブページの閲覧ソフトウェアを介してサーバ1にアクセスすることで、サーバ1と情報を送受信することでき、また、サービスを受けることが可能となる。
【0015】
通信端末2は、動物、例えばネコ6に装着された加速度センサ5と近距離無線通信を行うことで、センサから測定データを取得することができる。より具体的には、まず、図2に示すように、ネコ6に対し、首輪状(またはペンダント状)のウェアラブルデバイスが取り付けられる。ウェアラブルデバイスには、加速度センサ及び/または温度センサ5が内蔵される。センサ5は、測定データをBLUETOOTH(登録商標) LAW ENERGY(BLE)等の近距離無線通信を通じて、同じ宅内に設置される受信装置7に送信し、受信装置7は、ルータ等の通信端末2に測定データを転送し、通信端末2は、測定データを、ネットワークを介してサーバ1に送信する。なお、センサ5は、測定データ等をBLUETOOTH(登録商標) LAW ENERGY(BLE)等の近距離無線通信を通じて、ユーザ端末3に直接送信することとしてもよい。ここで、受信装置7は、一例として、Linux(登録商標)ベースのオペレーションシステムを搭載し、また、気温を測定する温度センサ等各種センサを搭載することができる。しかしながら、組み込みのチップセット等、OSを搭載しないものであってももちろんよい。
【0016】
加速度センサ5は、動物の行動情報を取得する取得装置であり、図2に示すように、互いに直交する3軸方向(x軸、y軸、z軸方向)の加速度を検出するセンサであり、ネコの首部に装着する首輪に内蔵される。図2に示すように、ネコの前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向と定義し、ネコの動きに応じて各方向の加速度信号が検出できるよう首輪をネコに取り付ける。センサの種類はこれに限らず、ジャイロセンサやモーションセンサ等、ネコの動きに関する情報を取得できるあらゆるセンシング装置を採用可能である。
【0017】
図1に戻り、ユーザ端末3として、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはスマートフォン、タブレット、携帯端末、その他情報端末等であってもよい。
【0018】
図3は、本発明の第1の実施の形態によるサーバ1の機能ブロック図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0019】
サーバ1は、取得装置から行動情報を取得して所定の表示情報を生成する飼育管理サーバであり、図示されるように、データベース(図示せず)と接続されシステムの一部を構成する。サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0020】
サーバ1は、少なくとも、制御部10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0021】
制御部10は、サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0022】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0023】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(図示せず)がストレージ12に構築されていてもよい。
【0024】
送受信部13は、サーバ1をネットワークに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0025】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0026】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0027】
<制御>
図4は、本発明の第1の実施の形態によるサーバの制御部10の詳細を示した機能ブロック図である。上述の通り、制御部10において、本実施の形態に係るサービスに関するアプリケーション・プログラムの実行がされ、この実行されるプログラムのモジュールは、図示のとおり、いくつかの機能ブロックに分けられる。また、サーバの本制御部で実行される機能ブロックの全部又は一部は、その性質に応じて通信端末2(または受信装置7)の(図示しない)制御部によって実行することも可能である。
【0028】
まず、測定データ検出部21は、センサ5によって検出され、通信端末2を介して送信された測定データを、サーバ1の送受信部13を介して受信する。受信された測定データは、サーバ1に内蔵されるストレージ12の測定データ格納部31に格納される。または、図1において示す、分析サーバ4に内蔵されるストレージに格納することもできる。
【0029】
次に、行動データ生成部22は、受信した測定データを基に、図1において示す、分析サーバ4と連携しながら(または、本行動データ生成部22における単独の処理によって)、ネコの行動データを生成する。また、行動データ管理部23は、生成された行動データを行動データ格納部32に格納し、管理する。
【0030】
ここで、行動データとは、行動データ格納部32に格納される、図6に示す行動データ管理テーブル600に含まれる、運動データ、睡眠データ、食事データ、トイレデータ、位置データ等を含む。より具体的には、運動データとして、運動の有無、時間とともに1日においてどれくらいの活動をしているのかといった集計データ、睡眠データとして、睡眠の有無と時間とともに1日においてどれくらいの睡眠をしているのかといった集計データ、食事データとして、食事行動の有無と時間とともに食事を何回食べたか、いつ食べたかといった集計データ、トイレデータとして、トイレ行動の有無と時間とともにトイレを何回したか、いつしたかといった集計データ、が挙げられる。また、位置データとして、どの方向に移動したか、どの位置にいたか、その他のデータとして、水を何回飲んだか、いつ飲んだか等が挙げられる。また、図示しないが、計測時のネコの体温、また、ネコのいる室温等周辺環境に関するデータを取得し、格納することができる。
【0031】
また、基本データ管理部24は、ネコの基本情報を管理する。基本データとは、基本データ格納部33に格納される、基本データ管理テーブル700に含まれる、ネコの名前、種類、年齢、性別、居住地(エリア)、健康情報、飼い主情報等を含む。健康情報としては、通院歴、病歴等が挙げられ、また、飼い主情報としては、飼い主の性別、年齢、職業等の情報が挙げられる。
【0032】
その他、制御部10は、ユーザ端末3のディスプレイに表示される画面を構成するデータを生成する、表示制御部25を有する。表示制御部25は、一の行動情報に対応して生成される表示情報を動物の年齢に応じて変更する。
【0033】
<処理の流れ>
図8は、本発明の第1の実施の形態による行動データ提供処理の例を示したフローチャートの例である。本処理は、例えば、サーバ1のメモリ11に格納されたプログラムを制御部10において実行することで実現される。
【0034】
まず、サーバ1の制御部10の測定データ検出部21は、通信端末2から、ネコに装着された加速センサ5によって測定された測定データを、送受信部13を介して受信する(S101)。
【0035】
次に、行動データ生成部22は、測定データを分析する。測定データの分析手順は、図9において詳述する。そして、行動データ生成部22は、測定データの分析に基づいて、行動データ(運動データ、睡眠データ、食事データ、トイレデータ、位置データ)を生成し(S102)、行動データ管理部23は、生成された行動データを、計測または生成された時間とともに、行動データ格納部32に格納される行動データ管理テーブル600を更新する。
【0036】
行動データ管理部23は、格納された行動データを参照し、ネコが一定期間(例えば、1日)当たりに所定の行動を行った回数及び日時を集計し(S103)、集計された行動データを送信する(S104)。
【0037】
<行動データの生成>
図9は、本発明の第1の実施の形態による行動データ生成処理の例をしたフローチャートである。本処理は、図1に示す、サーバ1と接続する分析サーバ4によって実行することも可能である。
【0038】
まず、行動データ生成部22は、測定データ検出部21において検出された測定データを確認する(S201)。
【0039】
続いて、行動データ生成部22は、測定データを基に行動種別を判定する(S202)。行動種別の判定方法は、いくつかの既知の行動分析方法によって実現し得るが、例えば、加速度センサ5から得られたxyz軸方向の加速度データ(Gx、Gy、Gz)を、ウェーブレット変換を用いて、振動をもった信号を時刻毎に周期と振幅に分解し、各々の時刻における信号の周期性を行動スペクトルとして認識し、スペクトルの類似性に従って、事前に登録した行動要素と比較することで行動を分類することができる。
【0040】
事前に登録した行動要素の情報が無い場合は、新しい行動要素として認識し、後述の異常行動を示すデータとして、例えば、獣医師に提供することができる。または、例えば、加速度センサ5から得られた加速度データをフーリエ変換し、時間軸に沿って算出される周波数成分の平均値やピーク値を、同じまたは別のネコの行動種別(運動、睡眠、食事、トイレ等)に対応する既知の周波数と比較することで行動を特定したり、加速度成分を高速フーリエ変換(FFT)することにより算出された周波数成分を基に、特徴的な波形やスペクトル値を抽出し、同じまたは別のネコの行動種別(運動、睡眠、食事、トイレ等)に対応する既知の特徴的波形またはスペクトル値と比較することで、行動を特定することができる。また、加速度センサで算出される、各軸方向の姿勢(θx、θy、θz)からネコの姿勢を把握することで、行動種別を推測することもできる。
【0041】
行動種別が判定されると、行動データ生成部22は、行動種別を示すデータを行動データとして、測定データを測定した日時(または受信した日時、行動データを生成した日時)とともに生成する(S203)。
【0042】
次に、行動種別の分析の流れについて、図12を参照して更に説明を行う。加速度センサから取得した加速度データ101に対して、上述したウェーブレット変換により得られたスペクトルデータ又はフーリエ変換等により得られた成分データにすべくデータの前処理102を行う。このように前処理されたデータは、続いて、二値モデル群によるスコアリング103がされる。本実施の形態による二値モデルは、WALKモデル、RUNモデル、EATモデル、STAYモデルなどと言った具体的に表現(解釈)可能な活動のモデルと比較分析し、前処理データ102のうち特定の部分がどの行動と推測できるかをスコアリングする。例えば、図13に示されるように、入力されたデータを各モデルで分析することにより確からしさをスコアリングする。図示されている例においては、「歩く」が91、「走る」が62、「食べる」が21、「止まる」が8であり、最も高いスコアは「歩く」の91であるため、二値モデル群によるスコアリング結果としては「歩く」という行動に分類される。
【0043】
続いて、図12に戻り、多値モデル群によるスコアリング104が行われる。本実施の形態による多値モデル群によるスコアリングは、二値モデルにより得られた結果が拮抗していた場合などに、どちらの二値モデル群による結果を優先させるべきかを機械学習に基づいて判定する。例えば、図13による例では、「歩く」が91、「走る」が62という結果化がでており、「走る」という評価のスコアも比較的高い。この場合、過去の二値モデル群への入力データと判定結果の組み合わせから今回のケースで優先すべきはいずれの二値モデルなのかどうかを判定する。このように、本実施の形態においては、各行動の判定に特化した二値モデル群の結果を多値モデル群によって更に評価を行うことにより、データの正確性を向上させている。
【0044】
図12に戻り、判定された行動をルールベースに基づきさらに補正をおこなう。例えば、猫の行動上一定時間継続することが多いような「食べる」や「寝る」などの判定区間中に、突発的に「走る」などの通常起こりにくい行動を二値モデルが判定した場合、もしくは判定不能な場合に、この区間の二値モデルの予測結果を棄却し、ルールによって他の行動と推定する補正を行う。補正が完了すると、当該行動に予め登録されていた行動ラベルの付与106がなされる。
【0045】
本実施の形態においては、特に、各動物の個体差や環境による個別的要因に対応するため、ユーザからのフィードバック107を受けることとしている。具体的には、図21に示されるように、自己の管理している動物を観察等しながら、現在の行動を(手動により)記録する。当該記録と加速度センサのデータを関連付けることにより、目視等による教師データを収集することができる。このようにして得られたフィードバックデータ108は、蓄積され、二値モデル群のモデルの精度を上げるために利用される。
【0046】
図10は、本発明の第1の実施の形態によるユーザ端末のユーザインターフェースの例を示した図である。
【0047】
例えば、ユーザ端末3の表示装置に表示されるユーザインターフェース用画面において、日時情報(図10においては、月と週の曜日)が表示され、ユーザの飼いネコ(名前は「BURIMARU」)の各行動データが示される。例えば、活発な行動を示す「PLAY」時間が1日において45分、昼寝や微睡を示す「DAY DREAM」時間が7時間、睡眠を示す「SLEEP」が16時間であることを表されている。そして、活動、昼寝、睡眠の内訳が視覚的に理解できるように、1日の長さを示すゲージに対して、各行動が色分けして表示されている。さらに、食事を示す「MEAL」の回数が2回、食事を吐いたことを示す「Vomit」がゼロであることが表されている。本ユーザインターフェース用画面は例示であって、行動データを構成する他のデータ、例えば、各々の行動が行われた日時(例えば、食事の時間)を表示したり、トイレにいった回数等を表示することも可能である。
【0048】
図11は、本発明の第1の実施の形態によるネコの動作をトラッキングする処理を概念的に示した図である。ペットの中で、特にネコの特徴的な動作として、上下方向に軽快に移動することが挙げられる。こうした動作はネコの健康状態を測る一つのバロメータになったり、飼い主が遠隔にいながらネコの動作を実感し得る指標になったりする。例えば、図11に示すように、加速度センサ5のz軸方向の加速度情報を活用することで、ネコが4Aに示すフロアの位置から、4Bに示すソファ上端の位置にジャンプしたことを行動データとして表示したり、その旨をリアルタイムに飼い主に知らせることもできる。さらに、その後、4Cに示すソファの椅子の位置に移動したことを検出し、行動データに表すこともできる。さらに、加速度センサとGPS装置とを併用することで、宅内におけるネコの位置を把握し、上下方向の位置も併せてネコの正確な位置をトラッキングすることも可能である。
【0049】
図5に示されるように、サーバ1は表示データ格納部34を備えている。一の行動情報が動物の状態または行動に関する条件である場合、表示データ格納部34は、当該条件を満たした際に生成される表示情報を年齢毎に格納する。表示情報は、子猫モード、成猫モード、老猫モードなど年齢毎に情報が存在する。
【0050】
まず、ネコ6が子猫の場合について説明する。この場合、子猫モードを設定するが、この設定はユーザ端末3を用いて猫の年齢を入力することで行われる。ネコ6に装着された加速度センサ5からネコ6の動きに応じて測定データが送信されて、通信端末2にて受信され、その測定データが通信端末2からネットワークを介してサーバ1に送信され、サーバ1において解析される。測定データの解析の結果、ネコ6の食事量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「生後6か月までは自由にごはんを与えてください」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。また例えば、測定データの解析の結果、ネコ6の運動量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「子猫の時期はたくさん遊びましょう」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。
【0051】
次に、ネコ6が成猫の場合について説明する。この場合、成猫モードを設定するが、この設定はユーザ端末3を用いて猫の年齢を入力することで行われる。ネコ6に装着された加速度センサ5からネコ6の動きに応じて測定データが送信されて、通信端末2にて受信され、その測定データが通信端末2からネットワークを介してサーバ1に送信され、サーバ1において解析される。測定データの解析の結果、ネコ6の食事量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「体重が増加しています」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。また例えば、測定データの解析の結果、ネコ6の運動量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「今日は運動量が多いですね」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。
【0052】
次に、ネコ6が老猫の場合について説明する。この場合、老猫モードを設定するが、この設定はユーザ端末3を用いて猫の年齢を入力することで行われる。ネコ6に装着された加速度センサ5からネコ6の動きに応じて測定データが送信されて、通信端末2にて受信され、その測定データが通信端末2からネットワークを介してサーバ1に送信され、サーバ1において解析される。測定データの解析の結果、ネコ6の食事量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「喉に詰まらせないように注意してください」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。また例えば、測定データの解析の結果、ネコ6の運動量が多いことが検知されたときには、サーバ1において、「怪我・骨折に注意してください」という表示情報が生成され、ユーザ端末3に送信されてユーザ端末3のディスプレイに表示される。
【0053】
図14に示されるように、本発明によれば、表示データ格納部34には、特定の検知条件に対するアドバイスや通知、処理の内容が、それぞれのモード毎に設定されている。したがって、同一の検知条件を満たした場合であっても、アドバイスや通知、処理の内容は、設定されているモードによって異なる。例えば、図示されるように、食事量が多いことを検知した場合、子猫モードでは「6カ月までは自由にご飯を食べさせてください」といったアドバイスがされるが、成猫モードでは「体重が増加しています。注意しましょう。」といったアドバイスがされ、老猫モードでは「のどに詰まらせないように注意しましょう。」といったアドバイスがされる。
【0054】
なお、一の行動情報が動物の健康状態に関する条件である場合、表示データ格納部34は、当該条件を満たした際に生成される表示情報を健康状態毎に格納するものであってもよい。例えば、感染症モード(上部気道炎、猫パルボウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、猫免疫不全ウイルス感染症(FIV))、猫下部尿路疾患モード、腎臓病モード、歯肉炎・歯肉口内炎モード、甲状腺機能亢進症モード等といった疾患ごとに、検知条件に応じた適切なアドバイスや通知、処理の内容を行うように構成してもよい。
【0055】
上述した検知条件は、プリセットされている標準の検知条件であったが、モードによって、標準の検知条件に加えて当該モード特有の検知条件を設けることとしてもよい。
【0056】
以上、本実施の形態によれば、加速度センサを利用して、飼い主が不在となる所定期間におけるペットの行動や健康状態を年齢毎に把握することが可能となる。本実施の形態によれば、動物の年齢や持病等の状態に応じて適切な管理がなされる飼育管理システムを提供することができる。
【0057】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1 サーバ
2 通信端末
3 ユーザ端末
4 分析サーバ
5 センサ
6 ペット(ネコ)
7 受信装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14