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特開2024-90796層間塞ぎ構造、層間材支持装置及び層間塞ぎ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090796
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】層間塞ぎ構造、層間材支持装置及び層間塞ぎ方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
E04B1/94 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206918
(22)【出願日】2022-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】321014470
【氏名又は名称】株式会社スローテック
(71)【出願人】
【識別番号】322008623
【氏名又は名称】東工テックサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】322014277
【氏名又は名称】株式会社TOHTAi
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 玄宏
(72)【発明者】
【氏名】前田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】米倉 祐二
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001FA11
2E001FA54
2E001FA63
2E001FA71
2E001FA73
2E001GA23
2E001GA24
2E001GA26
2E001GA63
2E001HA32
2E001HA33
2E001HA34
2E001HB04
2E001HD11
2E001HD13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】層間材が脱落する可能性を低減することができる層間塞ぎ構造、層間材支持装置及び層間塞ぎ方法を提供する。
【解決手段】層間材支持装置1を、変形可能で且つ耐火性を有する二重耐火性シート21及び変形可能で且つ形状保持性を有し二重耐火性シート21の内側の面に取り付けられた変形補助部材22を有する支持部材2を備える構成とするとともに、支持部材2を、層間隙間Gを形成する床200の隙間側端部の上面に固定される固定部21aと、耐火性層間材4の下方を覆って袋状に形成される支持部21bと、支持部21bの開口部を覆う被覆部21cとが連続してなる構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、
耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、床側の一端部から壁側の他端部又は壁側の他端部から床側の一端部に向かって、前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が床面又は壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有することを特徴とする層間塞ぎ構造。
【請求項2】
建築物の床と壁との間に形成された隙間に配置される耐火性層間材の脱落防止用の層間材支持装置であって、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を備え、
前記支持部材は、床面又は壁面に固定される固定部と、耐火性層間材の下方を覆って袋状に形成される支持部と、当該支持部の開口部を覆う被覆部とが連続してなることを特徴とする層間材支持装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記変形補助部材は、前記耐火性シートの耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成されていることを特徴とする層間材支持装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記固定部は、当該固定部の長手方向に沿って互いに所定間隔を空けた複数の位置で部分的に前記床面又は前記壁面に固定されるようになっており、
前記固定部に当該固定部の長手方向に沿って所定間隔ごとに設けられた複数の固定用目印を備えることを特徴とする層間材支持装置。
【請求項5】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐための層間塞ぎ方法であって、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を用意し、当該支持部材を前記隙間に設置する際の当該支持部材の一端部である固定部を前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の前記隙間より上方の壁面に固定する第1の手順と、
前記支持部材の前記固定部から先の部分を前記隙間内に谷間が形成されるように袋状に変形してなる支持部を当該隙間内に配置する第2の手順と、
前記隙間内に配置された前記支持部の内側に耐火性を有する棒状の耐火性層間材を充填する第3の手順と、
前記支持部より先の前記支持部材の他端部である被覆部にて前記耐火性層間材が充填された状態の前記支持部の開口部を被覆する第4の手順と、を備えることを特徴とする層間塞ぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の床と外壁との間の隙間を塞ぐ耐火性層間材の脱落を防止する層間塞ぎ構造、層間材支持装置及び層間塞ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐火性層間材を支持する層間材支持装置として、例えば、特許文献1記載の耐火層間材の支持装置が開示されている。
かかる支持装置は、建築物の床と外壁との間の間隙内に、耐火層間材を挿入し、この耐火層間材を、その長手方向に間隔を置いて配置した複数の支持金具で支持するものである。支持金具は、床の上面に配置される上端支持部と、上端支持部から床の外面にそって垂下する添設部と、添設部の下端から外方に屈曲して先端が外壁に接触する支持部とで構成されており、この支持部を用いて、耐火層間材を下面側から支持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4545965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、複数の支持金具を、層間隙間の長手方向に沿って所定間隔を空けて設置するようになっている。そのため、例えば、支持金具間に位置する層間材が火災による熱によって部分的に千切れて落下したり、層間材(芯材)をコーティングする外皮材が火災による熱で溶けて中身がこぼれ落ちたりするといった恐れがある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、層間材が脱落する可能性を低減することができる層間塞ぎ構造、層間材支持装置及び層間塞ぎ方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の層間材支持構造は、建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、床側の一端部から壁側の他端部又は壁側の他端部から床側の一端部に向かって、前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が床面又は壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有する。
【0006】
〔発明2〕 一方、上記目的を達成するために、発明2の層間材支持装置は、建築物の床と壁との間に形成された隙間に配置される耐火性層間材の脱落防止用の層間材支持装置であって、変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を備え、前記支持部材は、床面又は壁面に固定される固定部と、耐火性層間材の下方を覆って袋状に形成される支持部と、当該支持部の開口部を覆う被覆部とが連続してなる。
【0007】
〔発明3〕 さらに、発明3の層間材支持装置は、発明2の層間材支持装置において、前記変形補助部材は、前記耐火性シートの耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成されている。
〔発明4〕 さらに、発明4の層間材支持装置は、発明2又は3の層間材支持装置において、前記固定部は、当該固定部の長手方向に沿って互いに所定間隔を空けた複数の位置で部分的に前記床面又は前記壁面に固定されるようになっており、前記固定部に当該固定部の長手方向に沿って所定間隔ごとに設けられた複数の固定用目印を備える。
【0008】
〔発明5〕 また、上記目的を達成するために、発明5の層間塞ぎ方法は、建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐための層間塞ぎ方法であって、変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を用意し、当該支持部材を前記隙間に設置する際の当該支持部材の一端部である固定部を前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の前記隙間より上方の壁面に固定する第1の手順と、前記支持部材の前記固定部から先の部分を前記隙間内に谷間が形成されるように袋状に変形してなる支持部を当該隙間内に配置する第2の手順と、前記隙間内に配置された前記支持部の内側に耐火性を有する棒状の耐火性層間材を充填する第3の手順と、前記支持部より先の前記支持部材の他端部である被覆部にて前記耐火性層間材が充填された状態の前記支持部の開口部を被覆する第4の手順と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、発明1の層間塞ぎ構造によれば、隙間に配置された支持部材によってその内側に充填された耐火性層間材の全体又は略全体を支持することができるので、耐火性層間材が下層階等に脱落する可能性を低減することができる。また、変形補助部材によって、支持部材2の変形後の形状を保持することができるので、層間隙間の形状に合わせて支持部材2の形状を容易に変形することができるとともに形状保持性により作業性を向上することができる。
【0010】
発明2の層間材支持装置によれば、発明1と同等の作用及び効果が得られる。
発明3の層間材支持装置によれば、変形補助部材を耐火性シートの耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成したので、耐火性シートの部分が火災による熱で溶け落ちても、変形補助部材が燃え残って耐火性層間材の落下を防ぐので火災発生時に耐火性層間材が脱落する可能性を低減することができる。
さらに、発明4の層間材支持装置によれば、固定用目印によって固定位置を視覚的に把握することができるので、固定部の固定作業にかかる手間を軽減することができる。
【0011】
さらに、発明5の層間塞ぎ方法によれば、発明1と同等の作用及び効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る層間材支持装置1を用いて層間隙間Gを塞ぐ層間塞ぎ構造の一例を示す側面図であり、同図では壁パネル100及び床200を断面表示している。
図2】(a)は、支持部材2の一例を示す図であり、(b)は、(a)のA-A’線断面図である。
図3】(a)は、耐火性層間材4の構成を示す図であり、(b)は、支持部材2によって耐火性層間材4を支持した状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、層間材支持装置1A~1Cを用いて層間隙間Gを遮断する場合の一例を示す部分正面図であり、(b)は、層間材支持装置1A~1Cを用いて層間隙間Gを遮断する場合の一例を示す部分側面図である。同図(a)及び(b)では、斜線から左側について内部を露出表示している。
図5】(a)~(d)は、単体の層間材支持装置1にて層間隙間Gを遮断する場合の施工手順を説明するための平面図であり、同図では壁パネル100を断面表示している。
図6】(a)~(d)は、層間材支持装置1A及び1Bを用いて層間隙間Gを遮断する場合の施工手順を説明するための平面図であり、同図では壁パネル100を断面表示している。
図7】(a)は、層間材支持装置1を用いて比較的狭い幅の層間隙間Gnを塞ぐ場合の一構造例を示す簡略図であり、(b)及び(c)は、固定部材3A及び3Bを用いて支持部材2Aを固定する場合の一例を示す簡略図である。
図8】(a)~(c)は、層間材支持装置1Cを用いて支持部材2Dの固定部21aを壁面に固定する場合の施工例を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔構成〕
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図4は、実施の形態を示す図である。
図1は、本実施の形態に係る層間材支持装置1を用いて層間隙間Gを塞ぐ層間塞ぎ構造の一例を示す側面図であり、同図では壁パネル100及び床200を断面表示している。また、図2(a)は、支持部材2の一例を示す図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A’線断面図である。また、図3(a)は、耐火性層間材4の構成を示す図であり、図3(b)は、支持部材2によって耐火性層間材4を支持した状態を示す斜視図である。また、図4(a)は、層間材支持装置1A~1Cを用いて層間隙間Gを遮断する場合の一例を示す部分正面図であり、図4(b)は、層間材支持装置1A~1Cを用いて層間隙間Gを遮断する場合の一例を示す部分側面図である。同図(a)及び(b)では、斜線から左側について内部を露出表示している。
【0014】
本実施の形態の層間材支持装置1は、図1に示すように、建築物の外壁となる壁パネル100と建築物の床200との間に確保された層間隙間Gを塞ぐためのものである。
層間隙間G(以下、単に「隙間G」と称す)は、建築物の床200と、壁パネル100(例えば、カーテンウォール)との間の拘束結合を避けるための建築物の柔構造にとって不可欠なものである。しかし、建築物に火災が発生した場合、隙間Gを介して高温の煙や火炎が下層階から上層階に伝わる恐れがある。そこで、層間材支持装置1及び耐火性層間材4(以下、単に「層間材4」と称す)によって、隙間Gを遮断する。
【0015】
層間材支持装置1は、図1に示すように、支持部材2を備える。
支持部材2は、図1図2(a)及び(b)に示すように、隙間Gの長手方向の長さに応じた長さ寸法を有し、例えば、アルミガラスクロス(ALGC)などの変形容易で且つ耐火性を有する耐火性シートを二重構造にした構成の二重耐火性シート21を備える。
二重耐火性シート21は、例えば、2枚の耐火性シートを重ね合わせて構成される。本実施の形態では、図2(b)に示すように、1枚の耐火性シートを約半分に折り畳んでその一端部と他端部とを接続して構成される。接続部分は、例えば、一端部の内面を他端部の外面に重ね合わせ、重ね合わせた部分を接着剤で固着するとともに継ぎ目の部分をアルミテープ25で覆うことで構成する。
【0016】
なお、二重耐火性シート21は、ALGCに限らず、変形可能な素材であれば例えば塩化ビニル製やポリエチレン製のシートなど耐火性及び難燃性を有する他の素材から構成してもよいし、耐火性及び難燃性を有する複数種類の素材を組み合わせて構成してもよい。
支持部材2は、さらに、図1図2(a)及び(b)に示すように、二重耐火性シート21の内側の面に面状に取り付けられた変形容易で且つ形状保持性を有する網目状の変形補助部材22を備える。変形補助部材22は、二重耐火性シート21の耐火性よりも高い耐火性を有する耐火金属の細線を網目状(例えば、亀甲網目状)に編み込んで構成され、変形性を保持した状態で接着剤等によって内側の面に固着されている。すなわち、変形補助部材22は、二重耐火性シート21と共に変形容易に構成されている。また、変形補助部材22の形状保持性(塑性)によって、二重耐火性シート21の変形後の形状を保持することが可能である。なお、変形性及び耐火性の条件を満たしていれば金属素材に限らず金属以外の素材又は金属と他の素材との混合材から構成してもよい。また、変形補助部材22は、網目状の構成に限らず、網目状以外の例えばシート状の構成としてもよい。
【0017】
上記構成の支持部材2は、隙間G内に層間材4を支持可能な状態で配置される。
ここで、支持部材2は、図1に示すように、隙間Gに層間材4を支持可能に配置された状態において、床200側の一端部から構成され床200の端部上面に配置される固定部21aと、固定部21aより先の部分を袋状(図1の例では横断面U字状)に変形させて構成され隙間Gの内側に谷間を形成するように配置される支持部21bとを有する。加えて、支持部21bよりも先の部分から構成され支持部21bの形成する開口部を上から覆うとともに固定部21aに固定される被覆部21cを有する。
【0018】
すなわち、支持部材2は、隙間Gの幅に合わせて自身を折り曲げる等して変形させることで、固定部21a、支持部21b及び被覆部21cを形成するように構成されている。支持部材2は、本実施の形態では、図2(a)及び(b)に示すように、被覆部21cの短手方向の長さがガラスマット23の短手方向の長さによって略固定となっている。一方、固定部21a及び支持部21bの短手方向の長さについては、被覆部21cが固定部21aに固定可能な範囲内で隙間Gの幅に応じて可変させることができるようになっている。
【0019】
また、変形補助部材22は、図1図2(a)及び(b)に示すように、二重耐火性シート21の内側の固定部21a及び支持部21bの位置並びに被覆部21cの一部の位置と重なる位置に配置され、二重構造を形成する一方のシート部分と他方のシート部分との間に挟み込むようにして取り付けられている。
また、支持部材2は、図1及び図2(a)及び(b)に示すように、さらに、二重耐火性シート21の被覆部21cの部分の内側に取り付けられたガラスマット23と、二重耐火性シート21の固定部21aの外側に長手方向に沿って所定間隔を空けて取り付けられた複数の固定用金具24とを備える。
【0020】
ガラスマット23は、矩形板状を成しており、グラスファイバー等の耐火性を有する素材から構成されている。ガラスマット23は、二重耐火性シート21の内側の被覆部21cの位置に、二重構造を形成する一方のシート部分と他方のシート部分との間に挟み込むようにして取り付けられている。具体的に、ガラスマット23は、図2(b)に示すように、二重耐火性シートの内側の面の少なくとも一方の面に、接着剤や粘着テープ等によって固着されている。
【0021】
各固定用金具24は、金属製の薄板部材から構成されたクリップ状の金具であり、固定部21aを外側から挟み込んで取り付けられている。ここで、複数の固定用金具24は、固定部21aを部分的に固定する際の各固定位置の目印となるものである。
一方、層間材4は、図3(a)に示すように、例えばロックウールなどの耐火性を有する無機繊維の粒状綿43を、ポリエチレンフィルム41で被覆した構成となっている。なお、粒状綿43は、ロックウールなどの耐火性を有する無機繊維の廃材などを再利用して形成することができる。層間材4は、隙間Gの幅や形状に合わせて比較的容易に変形することが可能となっている。なお、層間材4は、ロックウールに限らず、例えばグラスウール、アルカリアースシリケートウール、セラミックファイバー等の他の耐火性を有する無機繊維から構成してもよい。また、層間材4は、無機繊維の粒状綿に限らず、例えば無機繊維のブランケットから構成するなど他の構成としてもよい。また、無機繊維のブランケットを積層等して層間材を構成する場合、ポリエチレンフィルム41等で被覆せずに剥き出しの状態で用いる構成としてもよい。
【0022】
層間材支持装置1及び層間材4を用いて隙間Gを塞ぐ際は、図1及び図3(b)に示すように、変形容易な支持部材2によって、棒状の層間材4の周囲を支持部21b及び被覆部21cによって包囲した状態で支持するようになっている。
また、隙間Gは、図4(a)及び(b)に例示するように、長手方向の長さに応じて複数の層間材支持装置1A、1B及び1C並びに複数の層間材4A、4B及び4Cを用いて遮断される場合がある。
具体的に、支持部材2A、2B及び2Cの長手方向の長さは、層間材4A、4B及び4Cの長手方向の長さよりも長く構成されており、層間材4A及び4B並びに層間材4B及び4Cの接続位置CLでは、支持部材2A及び2Bの一部並びに支持部材2B及び2Cの一部をオーバーラップさせて接続している。このオーバーラップ部OLは、例えば、接着剤やステープラ等によって固定する。
【0023】
このように、複数の層間材支持装置1A~1Cを用いて隙間Gを遮断する場合、層間材4Aと層間材4Bとの接続位置CL及び層間材4Bと層間材4Cとの接続位置CLに隙間が生じる。この隙間部分は、そのままにしておくと下層階からの高温の煙や火炎が上層階へと通り抜ける恐れがある。そこで、図1及び図4(a)に示すように、繋ぎ補助部材5によって、この隙間部分を塞ぐようにしている。ここで、繋ぎ補助部材5は、例えば、層間材4と同様に、ロックウール等の耐火性部材をポリエチレンフィルム等で被覆した構成となっている。
【0024】
次に、図1及び図5(a)~(d)を参照して、単体の層間材支持装置1及び単体の層間材4にて隙間Gを遮断する場合の施工手順について説明する。
図5(a)~(d)は、単体の層間材支持装置1にて層間隙間Gを遮断する場合の施工手順を説明するための平面図であり、同図では壁パネル100を断面表示している。
まず、隙間Gの長手方向の長さに対応する長さの層間材4及び支持部材2を用意する。次に、固定部21aの各固定用金具24の取り付けられている部分及びその周辺部を、図5(a)に示す隙間Gを形成する床200の隙間G側の端部上面に接着剤300により固定する(図1を参照)。このとき、例えば事前に支持部材2の固定部21a側の端部を床200の端部上面に這わせるとともに、変形補助部材22の形状保持性によって固定部21aの部分を床200の端部の角などを使って折り曲げておくことで、容易に固定部21aを端部上面に這わせた状態で固定作業を行うことができる。
【0025】
引き続き、図5(b)に示すように、隙間Gの形状(幅等)に合わせて支持部材2を変形させ支持部21bの形状を決める。具体的に、固定部21aを固定後に、支持部材2の固定部21aより先の部分で且つ被覆部21cより手前の部分を横断面U字状に変形させながら隙間G内に挿入して支持部21bの形状を決める(図1を参照)。これにより、図1及び図5(b)に示すように、隙間G内に支持部21bによって谷間が形成される。このとき、谷間の深さとして層間材4を充填するのに十分な深さ(層間材4を厚さ50[mm]以上の厚さで充填できる深さ)を確保する。
【0026】
引き続き、図5(b)に示すように、被覆部21cを壁パネル100にもたれ掛けさせた状態で、図5(c)に示すように、支持部21bの内側に層間材4を厚さ50[mm]以上となるように充填する。
ここで、充填の方法としては、例えば、層間材4を隙間G内に圧入して充填する方法、層間材4を隙間Gの幅に合わせて予めある程度圧縮しておき、圧縮した状態の層間材4を隙間G内に圧入して充填する方法等がある。隙間Gに圧入した層間材4は復元力によって自身を包む耐火性シートを壁パネル100や床200に押し当てるため耐火性シートと壁パネル100や床200との間に隙間を生じ難くすることができる。
層間材4を充填後は、図5(d)に示すように、被覆部21cによって支持部21bにて形成された開口部を上から覆うように被覆して、被覆部21cの各固定用金具24と重なる部分及びその周辺部を接着剤301によって固定部21aの上面に固定する(図1を参照)。これにより、層間材支持装置1及び層間材4によって隙間Gが遮断された状態となる。
【0027】
なお、図示省略するが、上記図5(d)の設置構成において、隙間G内の支持部材2の下側に隙間Gの長手方向に沿って厚さ1.6[mm]以上の複数の鋼板を所定間隔ごとに設置する構成としてもよい。すなわち、隙間G内に鋼板を設置し、その上側に層間材支持装置1を設置する構成となる。これは、平成20年5月9日に国土交通省から発表されたカーテンウォールの構造的方法に関する技術的助言に従った構造である。また、層間材4を50[mm]以上の厚さで設置する構造もこの技術的助言に従ったものである。
【0028】
また、本実施の形態では、隙間Gの幅の所定範囲(例えば、40[mm]~150[mm]の範囲)に対して、共通の層間材支持装置1を用いて隙間Gを塞ぐことができるように構成されている。
次に、図6(a)~(d)を参照して、層間材支持装置1A及び1B、層間材4A及び4B並びに繋ぎ補助部材5にて隙間Gを遮断する場合の施工手順について説明する。
図6(a)~(d)は、層間材支持装置1A及び1Bを用いて隙間Gを遮断する場合の施工手順を説明するための平面図であり、同図では壁パネル100を断面表示している。
【0029】
まず、隙間Gの長手方向の長さに対応する長さの2つの層間材4A及び4B、2つの支持部材2A及び2B並びに繋ぎ補助部材5を用意する。このとき、層間材4A及び4Bは、これらを長手方向に繋ぐことで隙間Gを埋めることができる長さのものを用意し、また、支持部材2Bは、支持部材2Aとオーバーラップさせることを考慮して支持部材2Aよりも長い寸法のものを用意する。
支持部材2A及び2Bの隙間Gに応じた形状については、単体で設置した場合と同様となるので説明を省略する。
【0030】
支持部材2A及び2Bを隙間Gに設置するときは、図6(a)に示すように、支持部材2Bを先に設置し、その後から支持部材2Aをその一部を支持部材2Bにオーバーラップさせて設置する。これにより、オーバーラップ部OLが形成される。なお、支持部材2A及び2Bのオーバーラップ部OLを構成する部分は、両者を接着剤などにより固着させる。
引き続き、図6(b)に示すように、層間材4A及び4Bを、支持部材2A及び2Bの支持部21bの内側に長手方向に並べて充填する。
【0031】
続いて、図6(c)に示すように、層間材4A及び4Bの接続位置CLに発生した隙間部分に、繋ぎ補助部材5を上から充填する。
その後、図6(d)に示すように、支持部材2A及び2Bの被覆部21cによって支持部21bにて形成された開口部を繋ぎ補助部材5の上から覆うように被覆して、被覆部21cの各固定用金具24と重なる部分及びその周辺部を接着剤301によって固定部21aの上面に固定する(図1を参照)。これにより、層間材支持装置1A及び1B、層間材4A及び4B並びに繋ぎ補助部材5によって隙間Gが遮断された状態となる。
【0032】
なお、支持部材2A及び2Bの固定部21aのオーバーラップ部OLの直近には、オーバーラップ部OLを挟むように固定用金具24を取り付けて、オーバーラップ部OLを含む周辺部分が接着剤等で固定されるようにする(図4(a)及び(b)を参照)。
〔実施の形態の効果〕
次に、実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、層間材支持装置1を、変形容易で且つ耐火性を有する二重耐火性シート21及び変形容易で且つ形状保持性を有し二重耐火性シート21の二重構造の内側の面に取り付けられた変形補助部材22を有する支持部材2を備え、支持部材2は、床200の面上に固定される固定部21aと、層間材4の下方を覆って袋状(実施の形態では横断面U字状)に形成される支持部21bと、支持部21bの開口部を覆う被覆部21cとが連続してなる構成とした。
【0033】
加えて、かかる構成の層間材支持装置1及び層間材4を用いた層間塞ぎ構造を、層間材支持装置1の支持部材2の短手方向の床200側の一端部から壁パネル100側の他端部に向かって、床200の隙間G側の端部上面に配置され一部を床面に固定された固定部21a、固定部21aより先の部分を変形して構成され隙間G内に谷間を形成するように配置された袋状の支持部21b及び支持部21bより先の部分から構成され支持部21bの内側に充填された層間材4の上から支持部21bの開口部を被覆する被覆部を有する構造とした。
【0034】
このような構成であれば、隙間Gに配置された支持部材2によってその内側に充填された層間材4の全体又は略全体を支持することができるので、層間材4が下層階等に脱落する可能性を低減することができる。また、変形補助部材22によって、支持部材2の変形後の形状を保持することができるので、隙間Gの形状に合わせて支持部材2の形状を容易に変形することができるとともに形状保持性により作業性を向上することができる。
また、本実施の形態では、層間材支持装置1の変形補助部材22を二重耐火性シート21の耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成した。
【0035】
このような構成であれば、二重耐火性シート21の部分が火災による熱で溶け落ちても、変形補助部材22が燃え残って層間材4の落下を防ぐので火災発生時に層間材4が脱落する可能性を低減することができる。
また、本実施の形態では、層間材支持装置1を、支持部材2の固定部21aにその長手方向に沿って所定間隔ごとに設けられた複数の固定用金具を備える構成とした。このような構成であれば、固定部21aの固定位置を視覚的に把握することができるので、固定部21aの固定作業にかかる手間を軽減することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、層間材支持装置1を、耐火性シートを二重構造とした二重耐火性シート21を備える構成とした。このような構成であれば、耐火性の向上に加えて、変形補助部材22を二重構造の内側に配置できるので変形補助部材22の素材及び形状等を比較的自由に設計することができる。例えば、剥き出しでは施工者がケガをするような素材及び形状のものなどを選択することができる。
また、本実施の形態では、層間材支持装置1の変形補助部材22を耐火金属の細線から形成された金属網から構成した。このような構成であれば、変形補助部材22を、耐火性の優れた比較的コストの高い金属部材から構成する際に、比較的少ない量の材料から構成することができるので製品コストを抑えることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、層間材支持装置1を、二重耐火性シート21の内側の面に取り付けられたガラスマット23を備える構成とした。このような構成であれば、ガラスマット23によって、層間材4を突破してきた高温の煙や火炎をガラスマット23で止めることができるので、これら煙や火炎が上層階に到達するのを遅延させることができる。
また、本実施の形態では、層間材4を、変形容易な構成としたので、支持部材2と合わせて層間材4を変形させることで、層間材4も層間隙間Gの様々な隙間幅に柔軟に対応させることができる。
【0038】
〔対応関係〕
上記実施の形態において、二重耐火性シート21は、発明1乃至3及び5の耐火性シートに対応し、固定用金具24は、発明4の固定用目印に対応している。
〔変形例〕
なお、上記実施の形態において、支持部材2の固定部21aを床200の端部上面に固定する際に、接着剤300を用いて固定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、ステープラや他の固定部材によって固定する構成としてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例において、支持部材2の被覆部21cを固定部21aの上面に固定する際に、接着剤301を用いて固定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、ステープラ等の他の固定部材で固定する構成としてもよい。他の固定部材としては、例えば、被覆部21cの固定部21aの上面と対向する面に爪部を設け、固定部21aの固定位置の上面に爪部がかかる形状の爪受け部を設けて爪部を爪受け部にかけることで固定するといった係合部材を用いた構成が挙げられる。
【0039】
また、上記実施の形態及びその変形例において、支持部材2の被覆部21cの短手方向の長さを固定とし、固定部21a及び支持部21bを隙間Gの形状に応じた形状及び長さに構成する例を説明したが、この構成に限らない。ここで、図7(a)は、層間材支持装置1を用いて比較的狭い幅の層間隙間Gnを塞ぐ場合の一構造例を示す簡略図である。
例えば、固定部21a及び被覆部21cの長さは固定とし、隙間Gの幅に応じて支持部21bの形状を変更する構成としてもよいし、固定部21a、支持部21b及び被覆部21cの長さを可変できる構成としてもよい。例えば、固定部21a及び支持部21bの長さや形状を可変できる構成において、図7(a)に示すように、比較的狭い隙間Gnに層間材支持装置1を設置する場合に、固定部21aの長さを長めにとって、被覆部21cで蓋をしたときに被覆部21cが固定部21aの上面にぴったりと重なるようにしてもよい。この構成であれば、固定部21aの長さが被覆部21cの長さに対して短すぎて被覆したときに被覆部21cの非固定部分がめくれるのを防ぐことができる。
【0040】
また、上記実施の形態及びその変形例において、層間材支持装置1を構成する耐火性シートを二重構造とした例を説明したが、この構成に限らず、1枚の耐火性シートから構成してもよいし、必要な変形性を損なわない範囲で三重以上の多重構造としてもよい。1枚の耐火性シートから構成した場合は、変形補助部材22を例えば耐火性シートの一方の面に取り付ける。また、例えば、三重構造とした場合は、変形補助部材22を、真ん中のシートの一方の面側及び他方の面側の少なくとも一方に取り付ける。
【0041】
また、上記実施の形態及びその変形例において、固定部21aの固定位置に固定用の目印として固定用金具24を設ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、着色などにより目印を設ける構成としてもよいし、金属部材に限らずプラスチックなどの他の部材から構成された目印を設ける構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例において、被覆部21cにガラスマット23を設ける構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、被覆部21cにガラスマット23を設けない構成としてもよいし、ガラスマット23よりも変形容易な耐火性部材を設ける構成としてもよい。ここで、被覆部21cにガラスマット23等の耐火性部材を設けない構成とした場合、被覆部21cの部分まで変形補助部材22を設けるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態及びその変形例において、支持部材2の固定部21aを床200の端部上面に直接、接着剤300によって固定し、被覆部21cを固定部21aの上面に直接、接着剤301によって固定する構成を説明したが、この構成に限らない。ここで、図7(b)及び(c)は、固定部材3A及び3Bを用いて支持部材2Aを固定する場合の一例を示す簡略図である。
例えば、図7(b)に示すように、固定部材3Aを用いて固定する構成としてもよい。支持部材2Aは、支持部材2からガラスマット23を除外した構成となっており、固定部材3Aは、矩形板状の金属板を断面L字状に加工した構成の第1固定金具31及び第2固定金具32を備えており、第1固定金具31を、短辺が下を向く姿勢で固定部21aの上から押し当てて、床200の端面にネジ33にてネジ止めすることで固定する。さらに、第1固定金具31の上面に被覆部21cの先端部を重ね合わせて、この被覆部21cの上面に第2固定金具32の長辺を短辺が上方を向く姿勢で上から押しあて、短辺側をネジ33にて壁パネル100にネジ止めし、長辺側をネジ34にて被覆部21c、固定金具31及び固定部21aとともに床200の端部上面にネジ止め固定する。この構成によって、支持部材2を壁パネル100及び床200に強固に固定することができる。なお、この固定方法を用いる場合も、隙間Gの長手方向に沿って所定間隔を空けて複数個所で固定する。
【0043】
また、例えば、図7(c)に示すように、固定部材3Bによる固定と接着剤等による直接固定とを併用した固定方法にて固定する構成としてもよい。
図7(c)の例では、固定部材3Bは、第2固定金具32、ネジ33及び34のみを備えている。まず、固定部21aを接着剤等によって床200の端部上面に直接固定し、固定部21aの上面に被覆部21cの先端部を重ね合わせて、この被覆部21cの上面に第2固定金具32の長辺を短辺が上方を向く姿勢で上から押しあて、短辺側をネジ33にて壁パネル100にネジ止めし、長辺側をネジ34にて被覆部21c及び固定部21aとともに床200の端部上面にネジ止め固定する。この構成によって、支持部材2を壁パネル100及び床200に強固に固定することができる。なお、この固定方法を用いる場合も、隙間Gの長手方向に沿って所定間隔を空けて複数個所で固定する。
【0044】
また、上記実施の形態及びその変形例において、支持部材2の固定部21aを床200の床面に固定する構成としたが、この構成に限らず、例えば、固定部21aを壁面に固定する構成としてもよい。ここで、図8(a)~(c)は、層間材支持装置1Dを用いて支持部材2Dの固定部21aを壁パネル100の壁面に固定する場合の施工例を示す簡略図である。
例えば、図8(a)~(c)に示すように、床200の隙間G側の端部上のギリギリの位置に間仕切り壁等300が施工されるような場合に、支持部材2の固定部21aを床面に固定することができない場合がある。このような場合に、層間材支持装置1Dの支持部材2Dを用いて、固定部21aを、壁パネル200の隙間Gよりも上方の壁面に固定するようにする。ここで、支持部材2Dは、支持部材2と同様に固定部21a、支持部21b及び被覆部21cを有する。加えて、被覆部21cのガラスマット23よりも先の先端部分を延長して設けられた固定用端部21dを有する。
すなわち、図8(a)に示すように、まず、支持部材2Dの固定部21aを隙間Gよりも上方の壁面に接着剤、ステープラ、ボルト止め等で固定し、支持部21bを袋状(横断面U字状)に変形して隙間G内に配置する。引き続き、図8(b)に示すように、層間材4を支持部21bの内側に充填する。続いて、図8(c)に示すように、被覆部21cで支持部21bの開口部を上から被覆するとともに、固定用端部21dを上方に折り曲げて壁面に固定された固定部21a上に接着剤、ステープラ、ボルト止め等で固定する。
【0045】
また、上記実施の形態及びその変形例において、複数の層間材支持装置1及び複数の層間材4を用いて隙間Gを遮断する場合に、層間材4の接続部に生じる隙間に繋ぎ補助部材5を充填する構成としたが、この構成に限らない。ここで、接続部に生じる隙間は、層間材4を構成する粒状綿43によって形成される長手方向端部の丸みが原因である。そこで、例えば、無機材料のブランケット等の他の構成の無機材料から層間材を構成することで端部の丸みを無くして、接続部の隙間を無くす又は小さくすることで繋ぎ補助部材5を不要とする構成としてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例において、複数の層間材支持装置1A~1C及び複数の層間材4A~4Cを用いて隙間Gを遮断する際に、支持部材2A~2Cの隣接する長手方向の端部同士を接続する際に一方を他方にオーバーラップさせて接続する構成とした。この構成に限らず、例えば、長手方向の端部の端面同士をぴったりと合わせてステープラ等で接続し接続部分を耐熱性のテープ等で覆うなど、支持部材2の長手方向の端部同士をオーバーラップさせずに接続する構成としてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態及びその変形例において、支持部材2と層間材4とをそれぞれ独立した部材として、それぞれを別々に隙間Gに設置する構成としたが、この構成に限らない。例えば、予め工場等にて、支持部材2と層間材4とを一体化((例えば図3(b)に示すような状態で一体化)した構成としてもよい。なお、一体化の際に、例えば複数の層間材4を例えば1つの支持部材2にて包囲するようにして一体化することで、オーバーラップ部OLを無くすことが可能である。また、例えば、一体化した状態で外側から手で層間材4を圧縮することで、支持部材2の変形補助部材22による形状維持効果によって圧縮された状態が保持されるので隙間Gへの挿入作業が容易となる。
また、上記実施の形態及びその変形例において、本発明の層間材支持装置1、1A~1Dを、外壁を構成する壁パネル100と床200との間の隙間Gに対して適用する例を説明したが、この構成に限らず、建物の内壁と床との間に形成される隙間に対して本発明の層間材支持装置1、1A~1Dを適用する構成としてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態及びその変形例において、複数の支持部材2及び複数の層間材4を用いて隙間Gを遮断する際に、層間材4同士の接続部に生じる隙間について、繋ぎ補助部材5を用いて塞ぐ構成としたが、この構成に限らない。例えば、複数の層間材4の接続部分(端部同士)を、例えば人力により突き合わせて圧縮して接続することで接続部に生じる隙間を塞ぐ構成としてもよい。このとき、例えば、層間材が無機繊維を難燃性のフィルムで包む構成の場合はその中身(無機繊維部分)を接続部分にて一部剥き出しにした状態で圧接する構成としてもよい。具体的に、各支持部材2及び各層間材の接続する端部にて支持部材2から層間材を構成する無機繊維を一部(例えば10mmほど)外側に突出させた状態で突き合わせることで圧接する。なお、隙間Gに挿入後に層間材の接続部の圧接を行ってもよいし、層間材の接続部を圧接後に隙間Gに挿入してもよいし、層間材の接続部を圧接しながら隙間Gに挿入してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1A~1D…層間材支持装置、 2,2A~2D…支持部材、 3A,3B…固定部材、 4…耐火性層間材、 5…繋ぎ補助部材、 21…二重耐火性シート、 21a…固定部、 21b…支持部、 21c…被覆部、 21d…固定用端部、 22…変形補助部材、 23…ガラスマット、 24…固定用金具、 31…第1固定金具、 32…第2固定金具、 33,34…ネジ、 41…ポリエチレンフィルム、 43…粒状綿
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、
耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、壁側の一端部から床側の他端部に向かって、前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有することを特徴とする層間塞ぎ構造。
【請求項2】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、
耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、床側の一端部から壁側の他端部又は壁側の他端部から床側の一端部に向かって、前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が床面又は壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有し、
前記支持部材は、前記支持部が床の端面又は壁面に固定されていないことを特徴とする層間塞ぎ構造。
【請求項3】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、
耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有し、前記変形補助部材は、前記耐火性シートの耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成されている支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、床側の一端部から壁側の他端部又は壁側の他端部から床側の一端部に向かって、前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が床面又は壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有することを特徴とする層間塞ぎ構造。
【請求項4】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐ層間塞ぎ構造であって、
耐火性を有する棒状の耐火性層間材と、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記耐火性層間材を支持可能に前記隙間に配置された状態において、床側の一端部から壁側の他端部又は壁側の他端部から床側の一端部に向かって、前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の隙間よりも上方の壁面に配置され少なくとも一部が床面又は壁面に固定された固定部、当該固定部より先の部分を変形して構成され前記隙間内に谷間を形成するように配置された支持部及び当該支持部より先の部分から構成され当該支持部の内側に充填された前記耐火性層間材の上から当該支持部の開口部を覆う被覆部を有し、
前記固定部は、当該固定部の長手方向に沿って互いに所定間隔を空けた複数の位置で部分的に前記床面又は前記壁面に固定され、
前記固定部に当該固定部の長手方向に沿って所定間隔ごとに複数の固定用目印が設けられていることを特徴とする層間塞ぎ構造。
【請求項5】
建築物の床と壁との間に形成された隙間に配置される耐火性層間材の脱落防止用の層間材支持装置であって、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を備え、
前記支持部材は、床面又は壁面に固定される固定部と、耐火性層間材の下方を覆って袋状に形成される支持部と、当該支持部の開口部を覆う被覆部とが連続してなり、
前記変形補助部材は、前記耐火性シートの耐火性よりも高い耐火性を有する部材から構成されていることを特徴とする層間材支持装置。
【請求項6】
建築物の床と壁との間に形成された隙間に配置される耐火性層間材の脱落防止用の層間材支持装置であって、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を備え、
前記支持部材は、床面又は壁面に固定される固定部と、耐火性層間材の下方を覆って袋状に形成される支持部と、当該支持部の開口部を覆う被覆部とが連続してなり、
前記固定部は、当該固定部の長手方向に沿って互いに所定間隔を空けた複数の位置で部分的に前記床面又は前記壁面に固定されるようになっており、
前記固定部に当該固定部の長手方向に沿って所定間隔ごとに設けられた複数の固定用目印を備えることを特徴とする層間材支持装置。
【請求項7】
建築物の床と壁との間に形成された隙間を塞ぐための層間塞ぎ方法であって、
変形可能で且つ耐火性を有する耐火性シート及び変形可能で且つ形状保持性を有し当該耐火性シートの一方の面に取り付けられた変形補助部材を有する支持部材を前記隙間に設置する際の当該支持部材の一端部である固定部を前記床の隙間側端部の上面又は前記壁の前記隙間より上方の壁面に固定する第1の手順と、
前記支持部材の前記固定部から先の部分を前記隙間内に谷間が形成されるように袋状に変形してなる支持部を当該隙間内に配置する第2の手順と、
前記隙間内に配置された前記支持部の内側に耐火性を有する棒状の耐火性層間材を充填する第3の手順と、
前記支持部より先の前記支持部材の他端部である被覆部にて前記耐火性層間材が充填された状態の前記支持部の開口部を被覆する第4の手順と、を備えることを特徴とする層間塞ぎ方法。