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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090800
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】伸縮調節器
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A62B35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206923
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 政彦
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA04
2E184KA04
2E184KA06
2E184LA20
(57)【要約】
【課題】安全性に優れる伸縮調節器の提供
【解決手段】伸縮調節器は、ロープ8を通されるガイドフレーム34と、ガイドフレーム34に対して一方に回動してガイドフレーム34との間でロープ8を挟む第一係止爪38と、ガイドフレーム34に対して他方に回動してガイドフレーム34との間でロープ8を挟む第二係止爪40とを有する、滑り止め24とを備える。
好ましくは、伸縮調節器は、ロープ8に押し付けられ、第一係止爪38と第二係止爪40とをロープ8から離れて位置させる補助プッシャ26と、補助プッシャ26をロープ8に押し付ける向きに付勢する弾性体28とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープを通されるガイドフレームと、
前記ガイドフレームに対して一方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第一係止爪と、前記ガイドフレームに対して他方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第二係止爪とを有する、滑り止めと
を備える、伸縮調節器。
【請求項2】
前記ロープに押し付けられ、前記第一係止爪と前記第二係止爪とを前記ロープから離れて位置させる補助プッシャと、
前記補助プッシャを前記ロープに押し付ける向きに付勢する弾性体と
を備える、請求項1に記載の伸縮調節器。
【請求項3】
前記滑り止めの回動軸に直交する軸回りに、前記ガイドフレームを回転させる接続器を備える、請求項1又は2に記載の伸縮調節器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ワークポジショニング用器具に使用される伸縮調節器を開示する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電柱での高所作業では、従来柱上安全帯と称された、現規格ではワークポジショニング用器具が使用される。ワークポジショニング用器具では、伸縮調節器を介してベルトにロープが接続されている。このロープの先端部にフックが接続されている。ベルトには、D環が取り付けられている。
【0003】
このワークポジショニング用器具を使用する際に、作業者が、ベルトを装着する。ロープが電柱にU字状に掛け渡される。フックがD環に係止される。伸縮調節器とフックとの間でU字状にかけ渡されたロープによって、作業者は保持される。作業者は、ロープをU字状に電柱に掛け渡したU字つり状態で、作業をする。そして、作業者は、このU字つり状態で電柱を昇降する。そのようなワークポジショニング用器具に用いられる伸縮調節器の一例が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭53-35633公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の伸縮調節器を用いたワークポジショニング用器具では、電話線や看板等の障害物がある場合には、一旦D環からフックが外される。障害物をかわした後に、再びD環にフックが係止される。このとき、墜落防止のため、作業者は、別に準備した補助フックを構造物に係止する。これにより、墜落事故が防止される。しかし、作業者が、補助フックの係止を怠ると、墜落事故の恐れがある。
【0006】
本出願人の意図するところは、安全性に優れる伸縮調節器の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する伸縮調節器は、
ロープを通されるガイドフレームと、
前記ガイドフレームに対して一方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第一係止爪と、前記ガイドフレームに対して他方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第二係止爪とを有する、滑り止めと
を備える。
【発明の効果】
【0008】
この伸縮調節器は、一方及び他方のいずれの向きにも、ロープを滑り止めできる。電柱等の柱に、ロープの一方側が掛け渡されても、他方側が掛け渡されても、掛け渡されたロープで作業者の作業位置を保持しうる。作業者は、ロープの一方側を柱に掛け渡した状態でロープの他方側を柱に掛け渡せる。作業者は、この他方側を柱に掛け渡した後に、一方側の掛け渡しを解除できる。この伸縮調節器は、他の補助フックを用いること無しに、安全に、ロープを掛け渡し直せる。この伸縮調節器では、ロープを掛け替える際にもU字つり状態をし続けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る伸縮調節器を備える、ワークポジショニング用器具が示された正面図である。
図2A図2Aは、図1の伸縮調節器の正面図である。
図2B図2Bは、図1の伸縮調節器の側面図である。
図3図3は、図1の伸縮調節器の一部断面図である。
図4図4は、図1の伸縮調節器の使用状態が示された説明図である。
図5図5は、図1の伸縮調節器の他の使用状態が示された説明図である。
図6図6は、図1のワークポジショニング用器具と共にフルハーネス型墜落制止用器具が示された正面図である。
図7図7は、図1のワークポジショニング用器具とフルハーネス型墜落制止用器具との使用状態が示された説明図である。
図8図8は、図6のワークポジショニング用器具が取り付けられたフルハーネス型墜落制止用器具の他の使用状態が示された説明図である。
図9図9は、図1の伸縮調節器の更に他の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1に、ワークポジショニング用器具2が示されている。このワークポジショニング用器具2は、ベルト4、伸縮調節器6、ロープ8、第一フック10、第二フック12、角環14及びD環16を備える。
【0012】
ベルト4は、補助ベルト18及び胴ベルト20を含む。このベルト4に、角環14及びD環16が取り付けられている。角環14に、伸縮調節器6が取り付けられている。伸縮調節器6にロープ8が通されている。ロープ8は、伸縮調節器6及び角環14を介して、ベルト4に取り付けられている。ロープ8の一方の端部に第一フック10が取り付けられている。ロープ8の他方の端部に第二フック12が取り付けられている。なお、角環14は、伸縮調節器6の接続環の例示であって、これに限定されない。
【0013】
図2A図2B及び図3には、伸縮調節器6が示されている。図2A及び図2Bに示される様に、伸縮調節器6は、フレーム22を含む。図3には、伸縮調節器6の内部構造が示されている。図3に示される様に、伸縮調節器6は、滑り止め24、補助プッシャ26、コイルばね28、接続器30及びフック32を含む。
【0014】
図2A及び図2Bに示される様に、フレーム22は、ガイドフレーム34及びヘッドフレーム36を含む。ガイドフレーム34は、対向する一対の側板34Aと、一対の側板34Aの間に位置する底34Bとを有する。このフレーム22では、底34BはU字状に屈曲している。図3に示される様に、滑り止め24に対向する底34Bの面には、複数の凸部34Cが形成されている。この凸部34Cは例示であってこれに限定されない。この凸部34Cに代えて、凹部や他の形状の凸部が形成されてもよい。また、この底34Bの形状は、例示であって、これに限定されない。図2Bに示される様に、ヘッドフレーム36は、対向する一対の側板34Aを跨いでいる。ヘッドフレーム36は、ガイドフレーム34に軸着されている。このフレーム22では、軸22Aによって、ヘッドフレーム36が軸着されている。ヘッドフレーム36は、ガイドフレーム34に対して回動可能である。
【0015】
図3に示される滑り止め24は、ガイドフレーム34に軸着されている。滑り止め24は、ヘッドフレーム36に係合している。このフレーム22では、軸22Aによって、滑り止め24が軸着されている。滑り止め24は、ガイドフレーム34に対して、ヘッドフレーム36と共に回動可能である。
【0016】
滑り止め24は、一方の端部24Aと他方の端部24Bとを有する。一方の端部24Aと他方の端部24Bとは、滑り止め24の回動によって、底34Bに近づく向きと離れる向きとに回動可能である。滑り止め24は、一方の端部24A側に底34Bに対向する第一係止爪38を有する。滑り止め24は、他方の端部24B側に底34Bに対向する第二係止爪40を有する。滑り止め24は、収容孔24Cを有する。収容孔24Cは、第一係止爪38と第二係止爪40との間に開口している。
【0017】
補助プッシャ26は、補助爪26Aを有する。補助プッシャ26は、滑り止め24の収容孔24Cに収容されている。補助プッシャ26は、収容孔24Cに抜け止めされている。図3では、補助プッシャ26は、補助爪26Aを収容孔24Cの開口から突出させている。補助爪26Aは、ガイドフレーム34の底34Bに対向している。
【0018】
コイルばね28は、滑り止め24の収容孔24Cに収容されている。コイルばね28は、補助プッシャ26を、ガイドフレーム34の底34Bに近づく向きに付勢している。コイルばね28は、補助爪26Aを、第一係止爪38と第二係止爪40とより底34B側に突出させている。補助プッシャ26は、コイルばね28の付勢力に抗して底34Bから離れる向きに移動可能である。
【0019】
接続器30は、ヘッドフレーム36に取り付けられている。接続器30は、ヘッド30A及び軸30Bを有する。接続器30は、ヘッドフレーム36に軸着されている。この接続器30は、軸30Bによって軸着されている。ヘッド30Aは、ヘッドフレーム36に対して回転可能である。ヘッド30Aの回転軸は、ヘッドフレーム36及び滑り止め24の回動軸に直交している。
【0020】
フック32は、接続器30に取り付けられている。フック32は、接続器30のヘッド30Aに軸着されている。このフック32は、軸30Cによって軸着されている。フック32は、ヘッド30Aに対して回動可能である。フック32の回動軸は、ヘッド30Aの回転軸に直交している。
【0021】
図4には、この伸縮調節器6の使用状態が示されている。伸縮調節器6は角環14に取り付けられている。図4では、角環14が取り付けられたベルト4は省略されている。図4では、ロープ8は角環14(ベルト4)より下方に位置している。この伸縮調節器6は、いわゆる下向きで使用されている。
【0022】
ガイドフレーム34に、ロープ8が通されている。コイルばね28によって、補助プッシャ26の補助爪26Aがロープ8に押し付けられている。ロープ8は、補助爪26Aとガイドフレーム34の底34Bとに挟まれている。補助爪26Aがロープ8に押し付けられ、ロープ8が第一係止爪38と第二係止爪40とから離れている。
【0023】
図5には、この伸縮調節器6の他の使用状態が示されている。図5では、ロープ8が矢印Fの向きに引っ張られている。ガイドフレーム34は、図4の使用状態から、矢印Fの向きに移動して位置している。接続器30は、フック32に対して回動している。滑り止め24及びヘッドフレーム36は、ガイドフレーム34に対して、回動している。補助プッシャ26は、コイルばね28の付勢力に抗して、ロープ8によって押し戻されている。回動した滑り止め24によって、ロープ8は、第二係止爪40とガイドフレーム34とに挟まれている。ロープ8は、第二係止爪40と底34Bとに挟まれている。更に、ロープ8は、第二係止爪40と凸部34Cとで滑り止めされている。伸縮調節器6は、ロープ8の移動を防止している。
【0024】
図6には、ワークポジショニング用器具2が取り付けられたフルハーネス型墜落制止用器具42が示されている。フルハーネス型墜落制止用器具42は、フルハーネス44及びランヤード46を備える。フルハーネス44は、一対の肩ベルト48、一対の腿ベルト50、骨盤ベルト52、胸ベルト54及びD環56を有する。ランヤード46は、フック57、ショックアブソーバ58、ロープ60及びフック62を有する。ショックアブソーバ58とフック62はロープ60を介して連結されている。ショックアブソーバ58にフック57が接続され、このフック57がフルハーネス44のD環56に連結されている。これにより、フルハーネス44とランヤード46とが連結されている。
【0025】
図7には、ワークポジショニング用器具2及びフルハーネス型墜落制止用器具42の使用状態が示されている。フルハーネス型墜落制止用器具42が作業者Mに装着されている。ワークポジショニング用器具2が作業者Mに装着されている。ワークポジショニング用器具2のベルト4が、作業者Mの腰周りに装着されている。この作業者Mは電柱64を登っている。なお、このフルハーネス型墜落制止用器具42は例示であって、ワークポジショニング用器具2と共に使用される墜落防止用器具は、これに限定されない。
【0026】
図7には図示されないが、伸縮調節器6は作業者Mの左側に位置している。第一フック10がD環16に係止されている。第一フック10と伸縮調節器6との間でロープ8が電柱64に掛け渡されている。この間のロープ8は、電話線66より下方で掛け渡されている。作業者Mは、第二フック12を持っている。第二フック12と伸縮調節器6との間でロープ8が電柱64に掛け渡されている。この間のロープ8は、電話線66より上方で掛け渡されている。なお、D環16は、第一フック10及び第二フック12の係止環の例示であって、これに限定されない。また、図7では、ランヤード46のフック62は、フルハーネス44に取り付けられた図示されない他の係止環に係止されている。
【0027】
図8には、ワークポジショニング用器具2及びフルハーネス型墜落制止用器具42の他の使用状態が示されている。フルハーネス型墜落制止用器具42とワークポジショニング用器具2とが作業者Mに装着されている。ベルト4が、作業者Mの腰周りに装着されている。この作業者Mは、電柱64の所定場所で作業をしている。
【0028】
この使用状態では、第二フック12がD環16に係止されている。第二フック12と伸縮調節器6との間でロープ8が電柱64に掛け渡されている。ワークポジショニング用器具2は、作業者Mの作業位置を保持している。ランヤード46のフック62は、電柱64に固定された構造物68に係止されている。フルハーネス型墜落制止用器具42は、作業者Mの墜落を防止している。
【0029】
ここで、このワークポジショニング用器具2及びフルハーネス型墜落制止用器具42の使用方法が説明される。ここでは、柱として電柱64を例に説明がされる。
【0030】
図7に示される様に、作業者Mが、フルハーネス型墜落制止用器具42及びワークポジショニング用器具2を装着する。第一フック10と伸縮調節器6との間でロープ8が電柱64に掛け渡される。第一フック10がD環16に係止される。これにより、D環16と伸縮調節器6との間でロープ8が、電柱64にU字状に掛け渡される。作業者Mは、伸縮調節器6に対してロープ8をスライドさせる。これにより、作業者Mは、U字状に掛け渡されたロープ8の長さを調節する。このロープ8が電柱64に掛け渡された状態で、作業者Mは、電柱64を登る。
【0031】
例えば、電話線66がある場合、第二フック12と伸縮調節器6との間のロープ8の部分が電話線66をかわして電柱64に掛け渡される。この様にして、ワークポジショニング用器具2は、図7に示された使用状態にされる。更に、第二フック12がD環16に係止される。これにより、D環16と伸縮調節器6との間でロープ8が、電話線66の上方で、電柱64にU字状に掛け渡される。
【0032】
第一フック10がD環16から外される。図5に示された伸縮調節器6で、接続器30に対してヘッドフレーム36及び滑り止め24が180度回転させられる。図示されないが、作業者Mの前後方向において、伸縮調節器6から第一フック10に延びるロープ8の部分と伸縮調節器6から第二フック12に延びるロープ8の部分と位置関係が反対にされる。作業者Mは、伸縮調節器6に対してロープ8をスライドさせて、伸縮調節器6と第二フック12との間のロープ8の長さを調節する。
【0033】
第二フック12と伸縮調節器6との間でロープ8がU字状に電柱64に掛け渡された状態で、作業者Mは、電柱64を更に登る。作業者Mは、所定の場所で、墜落制止用器具のランヤード46のフック62を上方に位置する構造物68に係止する。フルハーネス型墜落制止用器具42及びワークポジショニング用器具2は、図8の使用状態にされる。これにより、作業者Mの墜落防止がされる。その後、電柱64に掛け渡されたロープ8に保持された状態で、作業者Mは高所作業をする。
【0034】
このワークポジショニング用器具2は、電柱64での高所作業の際に作業位置を保持するものとして使用されている。このワークポジショニング用器具2のロープ8は移動時の掛け替え時に墜落防止用として使用できる。ただし、我が国(日本)では、ワークポジショニング用器具2を使用して作業を行う際には、作業者Mは、墜落防止用器具を併用することがガイドラインで定められている。そのため、ここでは、作業者Mは、フルハーネス型墜落制止用器具42を装着している。
【0035】
図9には、この伸縮調節器6の他の使用状態が示されている。図9では、角環14が取り付けられたベルト4は省略されている。図9では、ロープ8は角環14(ベルト4)より上方に位置している。この伸縮調節器6は、いわゆる上向きで使用されている。その他は、図4から図8での使用状態と同様にして使用される。
【0036】
また、図4から図9では、伸縮調節器6は、作業者Mの左側に位置させて使用されたが、作業者Mの右側に位置させてもよい。また、伸縮調節器6は、作業者Mの右側に位置させて、下向きで使用されてもよいし、上向きで使用されてもよい。
【0037】
伸縮調節器6は、ロープ8を通されるガイドフレーム34と、
ガイドフレーム34に対して一方に回動してガイドフレーム34との間でロープ8を挟む第一係止爪38と、ガイドフレーム34に対して他方に回動してガイドフレーム34との間でロープ8を挟む第二係止爪40とを有する、滑り止め24と、
を備える。
【0038】
これにより、この伸縮調節器6は、一方及び他方のいずれに引かれるロープ8も、滑り止めできる。電柱64に、ロープ8の一方側が掛け渡されても、その他方側が掛け渡されても、掛け渡されたロープ8が作業者Mの作業位置を保持する。作業者Mは、ロープ8の一方側を電柱64に掛け渡した状態で、電話線66をかわして、ロープ8の他方側を電柱64に掛け渡せる。この伸縮調節器6は、他の補助フックを用いること無しに、安全に、電話線66などの障害物をかわして、電柱64などの柱にロープ8を掛け渡せる。この伸縮調節器6ではロープ8を掛け替える際にもU字つり状態をし続けることができる。
【0039】
この伸縮調節器6は、ロープ8に押し付けられることで第一係止爪38と第二係止爪40とをロープ8から離れて位置させる補助プッシャ26と、補助プッシャ26をロープ8に押し付ける向きに付勢するコイルばね28とを有する。
【0040】
補助プッシャ26がロープ8に押し付けられることで第一係止爪38と第二係止爪40とはロープ8から離れて位置する。これにより、この伸縮調節器6では、補助プッシャ26が、ロープ8の滑りに対して適度な抵抗を生じさせる。ロープ8の長さを容易に調整できる。また、ロープ8の滑りが抑制されるので、ロープ8の長さが維持され易い。これにより、ロープ8の滑りによって、不用意なロープ8の長さの変化が抑制される。
【0041】
また、ロープ8が一方又は他方に引っ張られたときに、補助プッシャ26がロープ8に押し付けられているので、補助プッシャ26と共に滑り止め24が回動する。これにより、ロープ8は、より確実に滑り止め24とガイドフレーム34とに挟まれる。これにより、伸縮調節器6は、確実にロープ8を滑り止めできる。
【0042】
これらの観点から、伸縮調節器6は、補助プッシャ26とコイルばね28とを有することが好ましい。なお、コイルばね28は、補助プッシャ26をロープ8に向かって付勢できる弾性体であればよく、これに限定されない。また、伸縮調節器6では、補助プッシャ26の補助爪26Aは平面であったが、凹凸が設けられてもよい。
【0043】
この接続器30は、滑り止め24の回動軸に直交する軸回りに、ガイドフレーム34を回転させる。これにより、作業者Mの前後方向において、第一フック10側のロープ8の部分と第二フック12側のロープ8の部分との位置関係が容易に入れ替えられる。これにより、伸縮調節器6は、作業者Mの左側にも右側にも位置させることができる。この観点から、伸縮調節器6は、接続器30を有することが好ましい。
【0044】
伸縮調節器6は、接続器30に、ヘッドフレーム36を回転させる軸線に直交する軸回りに回動可能に取り付けられるフック32を有する。これにより、伸縮調節器6は、いわゆる上向きでも下向きでも使用されている。この観点から、伸縮調節器6は、回動可能なフック32を有することが好ましい。
【0045】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態を開示する。
【0046】
[項目1]
ロープを通されるガイドフレームと、
前記ガイドフレームに対して一方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第一係止爪と、前記ガイドフレームに対して他方に回動して前記ガイドフレームとの間で前記ロープを挟む第二係止爪とを有する、滑り止めと
を備える、伸縮調節器。
【0047】
[項目2]
前記ロープに押し付けられることで前記第一係止爪と前記第二係止爪とを前記ロープから離れて位置させる補助プッシャと、
前記補助プッシャを前記ロープに押し付ける向きに付勢する弾性体と
を備える、項目1に記載の伸縮調節器。
【0048】
[項目3]
前記滑り止めの回動軸に直交する軸回りに、前記ガイドフレームを回転させる接続器を備える、項目1又は2に記載の伸縮調節器。
【0049】
[項目4]
前記接続器に、前記フレームを回転させる軸線に直交する軸回りに回動可能に取り付けられるフックを備える、項目3に記載の伸縮調節器。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明された伸縮調節器は、ワークポジショニング用器具に広く適用できる。
【符号の説明】
【0051】
2・・・ワークポジショニング用器具
4・・・ベルト
6・・・伸縮調節器
8・・・ロープ
10・・・第一フック
12・・・第二フック
14・・・角環
16・・・D環
22・・・フレーム
24・・・滑り止め
26・・・補助プッシャ
26A・・・補助爪
28・・・コイルばね(弾性体)
30・・・接続器
32・・・フック
34・・・ガイドフレーム
36・・・ヘッドフレーム
38・・・第一係止爪
40・・・第二係止爪
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9