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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090807
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ダム管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20240627BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/07 178
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206935
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 滉庸
(72)【発明者】
【氏名】下里 康一
(72)【発明者】
【氏名】添田 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 亘
(72)【発明者】
【氏名】柴山 茜
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB06
5B042KK14
5B042KK15
5B042MA08
5B042MA11
5B042MC35
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】 ダム管理システムに関連する複数の装置のログを一元管理するダム管理システムを提供することにある。
【解決手段】 実施形態によれば、ダム管理システムは、情報系ネットワークに接続され、ダムを管理するための情報を取得する情報系装置と、制御系ネットワークに接続され、前記ダムの放流設備を制御する制御系装置と、前記情報系装置から前記情報を受信し、前記制御系装置に前記放流設備を操作する操作指令を出力する放流操作装置と、前記情報系ネットワーク及び前記制御系ネットワークに接続され、前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれのログデータを受信するログデータ受信部と、それぞれの前記ログデータを一元管理するための収集ログデータを作成する収集ログデータ作成部と、作成された前記収集ログデータを記憶する収集ログデータ記憶部とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報系ネットワークに接続され、ダムを管理するための情報を取得する情報系装置と、
制御系ネットワークに接続され、前記ダムの放流設備を制御する制御系装置と、
前記情報系装置から前記情報を受信し、前記制御系装置に前記放流設備を操作する操作指令を出力する放流操作装置と、
前記情報系ネットワーク及び前記制御系ネットワークに接続され、前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれのログデータを受信するログデータ受信部と、
前記ログデータ受信部により受信した前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれの前記ログデータを一元管理するための収集ログデータを作成する収集ログデータ作成部と、
前記収集ログデータ作成部により作成された前記収集ログデータを記憶する収集ログデータ記憶部と
を備えることを特徴とするダム管理システム。
【請求項2】
前記情報系ネットワークは、前記制御系ネットワークと伝送するプロトコルが異なること
を特徴とする請求項1に記載のダム管理システム。
【請求項3】
前記収集ログデータ作成部は、受信した前記ログデータに時刻を示す時刻情報が含まれていない場合、前記ログデータに前記時刻情報を付与すること
を特徴とする請求項1に記載のダム管理システム。
【請求項4】
前記収集ログデータ記憶部に記憶された前記収集ログデータに基づいて、トラブルを解析するための処理をする解析処理部
を備えることを特徴とする請求項1に記載のダム管理システム。
【請求項5】
過去に生じたトラブルに関するトラブル情報を記憶するトラブル情報記憶部を備え、
前記解析処理部は、前記トラブル情報記憶部に記憶された前記トラブル情報に基づいて、トラブルを解析するための処理をすること
を特徴とする請求項4に記載のダム管理システム。
【請求項6】
過去に生じたトラブルに関するトラブル情報を記憶するトラブル情報記憶部を備え、
前記解析処理部は、前記トラブル情報記憶部に記憶された前記トラブル情報に基づいて、解析対象のトラブルに類似する過去に生じたトラブルの一連のログデータを提示すること
を特徴とする請求項4に記載のダム管理システム。
【請求項7】
前記解析処理部による処理結果に基づいて、前記トラブル情報記憶部に記憶させる前記トラブル情報を登録するための処理をする登録処理部
を備えることを特徴とする請求項5に記載のダム管理システム。
【請求項8】
情報系ネットワークに接続され、ダムを管理するための情報を取得する情報系装置、制御系ネットワークに接続され、前記ダムの放流設備を制御する制御系装置、及び、前記情報系装置から前記情報を受信し、前記制御系装置に前記放流設備を操作する操作指令を出力する放流操作装置を備えるダム管理システムの管理方法であって、
前記情報系ネットワーク及び前記制御系ネットワークに接続され、前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれのログデータを受信し、
受信した前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれのログデータを一元管理するための収集ログデータを作成する収集ログデータを作成し、
作成した前記収集ログデータを記憶すること
を備えることを特徴とするダム管理システムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダム管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ダムの放流設備を操作し、ダムの管理を行うためのダム管理システムが知られている。ダム管理システムでは、多数の装置から情報を収集し、多数のダムの放流設備を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/054033号
【特許文献2】特開2022-84353号公報
【特許文献3】特開2018-128854号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書・同解説」、国土交通省、平成28年 8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダム管理システムに関連する多数の装置で記録されるログは、装置毎に管理される。このため、ダム管理システムで、トラブルが生じた場合、トラブルを解析するためには、装置毎にログを回収しなければならない。
実施形態の目的は、ダム管理システムに関連する複数の装置のログを一元管理するダム管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、ダム管理システムは、情報系ネットワークに接続され、ダムを管理するための情報を取得する情報系装置と、制御系ネットワークに接続され、前記ダムの放流設備を制御する制御系装置と、前記情報系装置から前記情報を受信し、前記制御系装置に前記放流設備を操作する操作指令を出力する放流操作装置と、前記情報系ネットワーク及び前記制御系ネットワークに接続され、前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれのログデータを受信するログデータ受信部と、前記ログデータ受信部により受信した前記情報系装置、前記制御系装置及び前記放流操作装置のそれぞれの前記ログデータを一元管理するための収集ログデータを作成する収集ログデータ作成部と、前記収集ログデータ作成部により作成された前記収集ログデータを記憶する収集ログデータ記憶部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るダム管理システムの構成を示す構成図。
図2】第1の実施形態に係る異常ログ解析収集装置の構成を示す構成図。
図3】第1の実施形態に係る収集ログ作成部による収集ログデータを作成する手順を示すフロー図。
図4】第1の実施形態に係る装置毎ログ記憶部に記憶されたログデータの構成を示す構成図。
図5】第1の実施形態に係る統一フォーマットのログデータの構成を示す構成図。
図6】第1の実施形態に係るコンポーネントに対応するモジュール番号を示す対応図。
図7】第1の実施形態に係る収集ログデータの構成を示す構成図。
図8】第2の実施形態に係る異常ログ解析収集装置の構成を示す構成図。
図9】第2の実施形態に係るログ分類処理部によるログを分類する手順を示すフロー図。
図10】第2の実施形態に係る調査対象のログデータを表示する解析装置の画面のイメージ図。
図11】第2の実施形態に係るトラブル情報テーブルに含まれる過去に生じたトラブルに関連する一連のログデータを表す構成図。
図12】第3の実施形態に係る異常ログ解析収集装置の構成を示す構成図。
図13】第3の実施形態に係るトラブル情報登録処理部によるトラブル情報を登録する手順を示すフロー図。
図14】第3の実施形態に係る収集ログデータの所定範囲を表示した画面のイメージ図。
図15】第3の実施形態に係る収集ログデータの表示範囲を設定するための画面のイメージ図。
図16】第3の実施形態に係るトラブル情報を登録するための画面のイメージ図。
図17】第3の実施形態に係るログデータの範囲を設定するための画面のイメージ図。
図18】第3の実施形態に係るトラブル情報の項目を設定するための画面のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るダム管理システムの構成を示す構成図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
第1の実施形態に係るダム管理システムでは、ダム管理システム10に、異常ログ解析収集装置20が設けられた構成されている。
【0010】
ダム管理システム10は、ダムを管理するためのコンピュータシステムである。具体的には、ダム管理システム10は、ダムの水位、及びテレメータで観測した上流河川の水位や雨量などに基づいて、コンピュータで流入量等を演算し、この情報を基に放流設備のゲートの開度の操作をするシステムである。ダム管理システム10を構成する各装置は、個別にコンピュータを備え、コンピュータネットワークを構成する。なお、ダム管理システム10は、ダム管理用制御処理設備又はダムコン等、どのように呼ばれてもよい。
【0011】
ここで、コンピュータは、半導体チップ等の演算処理部、及び、記憶部を備え、プログラムを実行することにより、各種機能が実現される。記憶部は、一次記憶装置又は二次記憶装置等であり、装置から取り外し可能な記憶媒体でもよい。記憶部に記憶される情報は、データベース化されてもよい。コンピュータは、キーボード及びマウス等の入力部、ディスプレイ及びプリンター等の出力部、又は、情報を伝送するための伝送部を、必要に応じて備えてもよい。
【0012】
ダム管理システム10は、複数の制御系装置41~44e、複数の情報系装置51~53、及び、2つの放流操作装置6a,6bを備える。なお、ここで説明する制御系装置41~44e及び複数の情報系装置51~53は、一例であり、任意の装置41~53は、設けられなくてもよいし、ここで説明していない任意の装置が設けられてもよい。
【0013】
制御系装置41~44eは、制御系LAN(local area network)4に接続される。情報系装置51~53は、情報系LAN(local area network)5に接続される。情報共有装置1及び放流操作装置6a,6bは、制御系LAN4及び情報系LAN5の両方に接続される。
【0014】
制御系LAN4は、主に、放流設備等の各種機器を制御するための情報を伝送するネットワークである。例えば、制御系LAN4は、FL-net等の産業用のオープンネットワークであり、プロトコルは、UDP(User Datagram Protocol)/IP(Internet Protocol)である。
【0015】
情報系LAN5は、主に、ダムを管理するために必要な情報を伝送するネットワークである。例えば、情報系LAN5のプロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)である。
【0016】
放流操作装置6a,6bは、情報入力・提供装置52から受信した情報に基づいて、貯水池の水位(貯水位)、上流河川の水位又は降雨量等のダム管理に必要な情報を収集し、表示する。放流操作装置6a,6bは、操作員による操作に応じて、放流設備のゲート又はバルブに対して、起動指令、停止指令、開指令、閉指令、又は、目標開度などの操作指令を出力する。
【0017】
2つの放流操作装置6a,6bは、2つの系統で二重化された構成である。1系放流操作装置6aは、1系の装置として設けられ、2系放流操作装置6bは、2系の装置として設けられる。例えば、放流操作装置6a,6bは、産業用コンピュータにより構成される。産業用コンピュータは、産業分野のオートメーション管理用に製造され、連続稼動性及び耐環境性に優れたコンピュータである。
【0018】
制御系装置41~44eは、貯水位計測装置41、入出力装置42、遠方手動操作装置43、及び、複数の機側操作盤44a,44b,44c,44d,44eを含む。例えば、各制御系装置41~44eは、PLC(programmable logic controller)により構成される。
【0019】
貯水位計測装置41は、貯水位計61から受信した計測データに基づいて、貯水位を計測するための演算処理を行う。例えば、貯水位計61により計測される計測データが貯水池の水深を示す場合、貯水位計測装置41は、水深から標高値(EL.m)への変換を行う演算処理を行う。また、貯水位計61で計測された計測データには、波浪などの影響により、数秒から数十分周期の振動が含まれる。このため、貯水位計測装置41は、安定した貯水位のデータを得るために、貯水位の平滑化を行う演算処理を行う。なお、貯水位計61及び貯水位計測装置41を1組として、正と副の2組が設けられ、必要に応じて、正と副でそれぞれ計測された計測データが切り替えられて使用されてもよい。
【0020】
入出力装置42は、機側操作盤44a~44eと放流操作装置6a,6bとの間を中継する装置である。例えば、入出力装置42は、放流操作装置6a,6bから受信した操作指令を、操作対象の機側操作盤44a~44eに送信する。また、入出力装置42は、機側操作盤44a~44eから受信した情報(通知等)を放流操作装置6a,6bに送信する。
【0021】
遠方手動操作装置43は、放流操作装置6a,6bの異常時に、制御系LAN4で機側操作盤44a~44cに接続され、遠方手動による洪水調節操作を行うための装置である。例えば、遠方手動操作装置43は、洪水調節操作及び洪水初期のすりつけ操作に利用する利水放流設備(バルブ等)を遠方手動操作する機能を備える。具体的には、各種設備のゲート又はバルブに対して、起動指令、停止指令、開指令、閉指令、又は、目標開度などの操作指令を出力する。また、遠方手動操作装置43は、貯水位の監視を行う機能を備える。
【0022】
機側操作盤44a,44b,44c,44d,44eは、非常用洪水吐設備62、常用洪水吐設備63、放流設備64、選択取水設備65、及び、発電所66にそれぞれ対応して設けられる。各機側操作盤44a~44eは、操作対象の設備62~66のそれぞれの側近に設置され、操作対象の設備62~66とそれぞれ接続される。各機側操作盤44a~44eは、入出力装置42又は遠方手動操作装置43からの操作指令に基づいて、操作対象の設備62~66を操作する。また、各機側操作盤44a~44eは、操作員により操作対象の設備62~66の手動操作(機側手動操作)を行う機能、及び、操作対象の設備62~66を監視する機能を有する。
【0023】
非常用洪水吐設備62及び常用洪水吐設備63は、洪水調節に使用する放流設備である。通常は、常用洪水吐設備63が使用される。常用洪水吐設備63による常用洪水吐の放流量を上回る部分を放流する場合に、非常用洪水吐設備62による非常用洪水吐の放流が行われる。
【0024】
放流設備64は、利水目的のための利水放流、洪水初期のすりつけ操作を行うための貯水池維持用放流、又は、ダム及び貯水池の安全確保を目的として貯水位を低下させるための貯水位低下用放流等を行うための放流設備である。
【0025】
選択取水設備65は、下流の環境又は目的に応じて、取水する高さを変えて異なる性質の水を取る選択取水を行うための設備である。
発電所66は、貯水池にためられた水を利用して発電する設備である。
【0026】
情報系装置51~53は、訓練装置51、情報入力・提供装置52、及び、表示装置53を含む。
【0027】
訓練装置51は、洪水時の業務を対象として、放流開始時における放流計画立案や放流方式移行時期の判断、ダム管理システム10が停止した際の対応などを操作員が習得するための装置である。例えば、訓練装置51は、OA(office automation)機器として用いられるコンピュータにより構成される。
【0028】
情報入力・提供装置52は、流出予測装置71、河川情報システム72、テレメータ装置73、電話応答通報装置74、地震観測装置75、堤体観測装置76、水質観測装置77、及び、気象観測装置78と情報を送受信し、各種演算処理を行う。また、情報入力・提供装置52は、河川事務局、地方整備局、国土交通省、又は、報道機関等の外部機関と情報の送受信をするための通信機能を備える。通信機能は、電話、ファクシミリ、又は、電子メール等である。例えば、情報入力・提供装置52は、産業用コンピュータにより構成される。
【0029】
具体的には、情報入力・提供装置52は、テレメータ観測情報の入力、流域水文計算(雨量・水位・河川流量)、流域水文量情報の判定処理・警報通報処理、テレメータ装置73の異常の判定処理・警報通報処理、上位局向け通信装置への情報出力、電話応答通報装置74への情報出力、及び、関連設備(気象観測装置78等)の観測情報の入力を行う。
【0030】
表示装置53は、汎用のモニタ等への接続及び表示操作をする機能を有する。表示装置53は、ダム状況に関する情報、流域状況に関する情報、及び、警報通報に関する情報等の各種情報を表示する。ダム状況に関する情報は、現在のダム状況を把握するための貯水位、流入量、放流量等のダム水文量情報である。流域状況に関する情報は、現在の流域状況を把握するための雨量、河川水位・流量等の流域水文量情報である。警報通報に関する情報は、異常判定情報及び各種警報通報の設定値一覧である。
【0031】
流出予測装置71は、流出予測をする装置である。例えば、流出予測装置71は、外部から受信する予測雨量、及び、操作員により設定された今後の放流量に基づいて、貯水位、及び、流入量予測値を演算する。流出予測は、洪水時の判断材料として用いられる。
【0032】
河川情報システム72は、情報入力・提供装置52から外部に情報提供するための中継をする役割を果たす。
【0033】
テレメータ装置73は、ダム管理に関する観測データを情報入力・提供装置52に送信する。例えば、テレメータ装置73は、雨量観測設備及び水位観測設備により観測された雨量及び河川水位に関する情報を出力する。
【0034】
電話応答通報装置74は、電話回線を使用して、ダム管理に関する情報の応答及び通報をする装置である。
【0035】
地震観測装置75は、地震発生時に地震に関する観測データを出力する。
堤体観測装置76は、ダムの堤体に関する観測データを定期的に出力する。
水質観測装置77は、水質に関する観測データを定期的に出力する。
気象観測装置78は、気象に関する観測データを定期的に出力する。
【0036】
次に、異常ログ解析収集装置について、説明する。
図2は、本実施形態に係る異常ログ解析収集装置20の構成を示す構成図である。
【0037】
異常ログ解析収集装置20は、情報共有装置1、データベース装置2及び解析装置3から構成される。
【0038】
ここで、情報共有装置1はデータベース装置2と、通信回線NTを介して接続される。解析装置3は、データベース装置2とデータの送受信をする伝送路で接続される。なお、解析装置3は、データベース装置2と常時接続されている必要はなく、解析装置3は、使用時に、データベース装置2と接続されればよい。例えば、通信回線NTは、インターネットである。通信回線NTは、任意の回線を利用してよく、公衆回線に限らず、専用回線が含まれてもよい。通信回線NTを構成する回線の一部又は全部は、有線でもよいし、無線でもよい。通信回線NTには、ファイヤウォール等の通信に関係する任意の機器が含まれてもよい。
【0039】
なお、データベース装置2及び解析装置3は、クラウド上に設けられてもよいし、ダム管理システム10の保守等に関係する企業に設置されてもよい。
【0040】
情報共有装置1は、ダム管理システム10を構成する各装置41~53に記録されるログを収集する。情報共有装置1は、通信回線NTを介して、収集したログをデータベース装置2に送信する。なお、情報共有装置1は、ダム管理システム10の外部にある装置等のログを収集してもよい。例えば、情報共有装置1は、ダム管理システム10に計測値等の情報を送信する外部の装置(テレメータ装置73等)から出力されるログを収集してもよい。
【0041】
情報共有装置1は、情報系ログ収集部11、制御系ログ収集部12、及び、データ送信部13を備える。
【0042】
情報系ログ収集部11は、情報系LAN5に接続される。情報系ログ収集部11は、情報系LAN5に接続された情報系装置51~53及び放流操作装置6a,6bを含む全ての装置類からログデータを常時収集する。また、情報系ログ収集部11は、情報系装置51~53及び放流操作装置6a,6bを介して取得可能な任意の装置類からログデータを収集してもよい。例えば、収集されるログデータには、ダム管理システム10において共通に使用される記憶媒体(メモリ等)に記憶される数値等のデータ、及び、各装置類の情報系LAN5への接続状況が含まれる。情報系ログ収集部11は、データ送信部13を介して、収集したログデータをデータベース装置2に送信する。
【0043】
制御系ログ収集部12は、制御系LAN4に接続される。制御系ログ収集部12は、制御系LAN4に接続された制御系装置41~44e及び放流操作装置6a,6bを含む全ての装置類からログデータを常時収集する。また、制御系ログ収集部12は、制御系装置41~44e及び放流操作装置6a,6bを介して取得可能な任意の装置類からログデータを収集してもよい。例えば、収集されるログデータには、ダム管理システム10において共通に使用される記憶媒体(例えば、FL-netで使用されるコモンメモリ等)に記憶される数値等のデータ、及び、各装置類の制御系LAN4への接続状況が含まれる。制御系ログ収集部12は、データ送信部13を介して、収集したログデータをデータベース装置2に送信する。
【0044】
データ送信部13は、情報系ログ収集部11及び制御系ログ収集部12によりそれぞれ収集されたログデータをデータベース装置2に常時送信する。これにより、情報共有装置1は、制御系LAN4及び情報系LAN5から受信可能な全ての装置類のログデータを常時収集し、収集したログデータをデータベース装置2に常時アップロードする。なお、データ送信部13は、ログデータをデータベース装置2に常時送信することが望ましいが、ある程度の容量のログデータを溜めてから、データベース装置2に送信してもよい。
【0045】
なお、情報共有装置1は、制御系LAN4及び情報系LAN5に接続された任意の装置類について、ログデータを収集する対象から除外してもよい。例えば、ダム管理システム10の保守に明らかに関係しない装置、又は、秘密保持等の観点からログデータを収集することが望ましくない装置などは、ログデータの収集対象から除外してもよい。
【0046】
データベース装置2は、情報共有装置1から受信した各装置41~53のログに関する情報をデータベース化して、記憶する。例えば、データベース装置2は、リレーショナルデータベースとして情報を記録し、データベース管理システム(DBMS, data base management system)により管理される。
【0047】
データベース装置2は、装置毎ログ記憶部21、収集ログ作成部22、及び、収集ログデータベース23を備える。
【0048】
装置毎ログ記憶部21は、情報共有装置1から送信されたログデータを装置毎に記憶する。装置毎ログ記憶部21に記憶されるログデータのフォーマットは、収集された装置毎で異なる。例えば、ログデータを収集する対象の装置を製造する企業は、1社とは限らない。また、1つの装置に複数の機能がある場合、それらの機能のそれぞれのログデータのフォーマットが同じであるとは限らない。したがって、収集されるログデータのフォーマットは、通常統一されていない。
【0049】
収集ログ作成部22は、装置毎ログ記憶部21に記憶された装置毎のログデータを統一したフォーマットに変換する。収集ログ作成部22は、統一フォーマットに変換したログデータに基づいて、収集ログデータを作成する。収集ログ作成部22は、作成した収集ログデータを収集ログデータベース23に送信する。収集ログ作成部22は、統一フォーマットのログデータを作成するために、装置毎ログ記憶部21に記憶された元のログデータに無い情報を付加してもよい。
【0050】
収集ログデータベース23は、収集ログ作成部22から受信した収集ログデータをデータベースとして記憶する。
【0051】
解析装置3は、データベース装置2に記憶された各装置41~53のログに関する情報に基づいて、ダム管理システム10におけるトラブルの原因を追究するために、解析又は解析の支援を行う。例えば、解析装置3により提供される情報は、ダム管理システム10の保守、点検又は修理等を行う企業に提供され、トラブルに対応するために使用される。
【0052】
解析装置3は、収集ログデータベース23に記憶された収集ログデータに基づいて、ダム管理システムにおけるトラブルを解析又は解析するための支援を行う。例えば、解析装置3は、収集ログデータに基づいて、トラブルの解析をするプログラムを実行してもよいし、トラブルの解析がし易いように、収集ログデータに基づく各種情報を表示する機能を有してもよい。
【0053】
例えば、解析装置3は、各装置の動作ログ、各装置のデータ送受信ログ、及び、制御系LAN4に設けられたコモンメモリのデータ値に基づいて、挙動毎に、時系列順にログデータが並べられた1つシステムログを作成してもよい。例えば、テレメータデータの入力挙動のシステムログは、情報入力・提供装置52とテレメータ装置73のセッション確立ログ、情報入力・提供装置52の受信ログ、情報入力・提供装置52の演算処理ログ、情報入力・提供装置52のファイリングログ、情報入力・提供装置52から放流操作装置6a,6bへのファイリング完了通知ログ、及び、放流操作装置6a,6bのファイリングデータ取得ログを含む。なお、挙動毎のシステムログは、データベース装置2に記憶されてもよいし、データベース装置2で作成されてもよい。
【0054】
ダム管理システム10でトラブルが発生した場合、トラブルを解析する人は、解析装置3を使用して、挙動毎のシステムログを確認し、事前に登録された正常時の状態と比較することで、トラブルの原因を特定する。
【0055】
図3図7を参照して、本実施形態に係る収集ログ作成部22による収集ログデータを作成する方法について説明する。
図3は、収集ログ作成部22による収集ログデータを作成する手順を示すフロー図である。
【0056】
収集ログ作成部22は、装置毎に、装置毎ログ記憶部21に蓄積されたログデータを統一フォーマットのログデータに変換する。収集ログ作成部22は、全ての装置のログデータが統一フォーマットのログデータに変換されるまで、以降のステップS101~S106を全ての装置について完了するまで繰り返す(ルーチン処理R1)。
【0057】
ステップS101において、収集ログ作成部22は、装置毎ログ記憶部21から処理対象の装置のログデータを取得する。統一フォーマットに変換する1回分のログデータの量は、蓄積された時間で決められてもよいし、蓄積された容量で決められてもよい。
【0058】
ステップS102において、収集ログ作成部22は、1つのログデータに対して、属性の検索及び読み出しを行う。
【0059】
ここで、図4は、装置毎ログ記憶部21に記憶されたログデータの構成を示す構成図である。例えば、ログデータは、図4に示すように、属性に関係なく、1つの内容として格納される。収集ログ作成部22は、各ログデータから属性毎に内容を検索して読み出す。1つのログデータに格納される属性は、装置又は機能等に様々である。例えば、収集ログ作成部22は、装置又は機能等により、格納される属性が予め設定されている。
【0060】
例えば、属性は、装置名、ログ出力時刻、ログ種別、メッセージ、インスタンス名、メソッド名、及び、実行スレッド名である。装置名は、ログを出力した装置の名称である。ログ出力時刻は、装置がログを出力した日時である。
【0061】
ログ種別は、ログの内容を表す情報である。例えば、ログ種別は、「ERROR」、「INFO」、「DETAIL」、及び「DEBUG」等がある。「ERROR」は、ログが異常の発生を知らせる内容であることを示す。「INFO」は、ログの内容が概要であることを示し、例えば、単なる通知であることを示す。「DETAIL」は、ログの内容が詳細に記載されていることを示し、例えば、「INFO」よりも重要度が高い場合に使用される。「DEBUG」は、ログの内容が「DETAIL」よりもかなり詳細に記載されていることを示す。例えば、「DEBUG」は、「DETAIL」よりも重要度が高く、様々な計測値が含まれることもある。
【0062】
インスタンス名、メソッド名及び実行スレッド名は、ログを出力した原因となるソフトウェアの実行した処理を特定するための情報である。これらの属性は、ソフトウェアを作成するプログラム言語等のプログラミング環境により決定されるものであるため、どのような種類の属性でもよい。
【0063】
図3に戻り、ステップS103において、収集ログ作成部22は、属性の検索時において、ログデータに時刻情報が含まれていたか否かを判断する。例えば、時刻情報は、ログが書き込まれた時刻、又は、ログが出力された時刻等である。
【0064】
ログデータに時刻情報が含まれている場合(ステップS103のYes)、ステップS105に進み、収集ログ作成部22は、その時刻情報をそのログデータに付与する。
【0065】
ログデータに時刻情報が含まれていない場合(ステップS103のNo)、ステップS104に進み、収集ログ作成部22は、そのログデータに付与する時刻情報を求める。例えば、収集ログ作成部22は、そのログデータの前後に出力されたログデータを特定し、特定した前後のログデータに含まれる時刻情報から、対象のログデータに付与する時刻情報を求める。
【0066】
なお、収集ログ作成部22は、ログデータに付与する時刻情報をどのように求めてもよい。時刻情報を求める対象のログデータの前後のログデータは、ネットワークにおける伝送遅延等を考慮すると、対象のログデータと同一の装置から出力されたものが望ましいが、他の装置から出力されたログデータでもよい。また、収集ログ作成部22は、制御系LAN4又は情報系LAN5を流れる際に付与されるネットワーク情報を参照して、時刻情報を求めてもよい。
【0067】
ステップS105において、収集ログ作成部22は、統一フォーマットの必須の属性として時刻情報を、ログデータに付与する。
【0068】
次に、ステップS106において、収集ログ作成部22は、時刻情報以外の属性についても、統一フォーマットに従って、読み出した情報を付与する。
【0069】
図5は、統一フォーマットのログデータの構成を示す構成図である。上述のルーチン処理R1が装置数分繰り返されることで、図5に示すような、統一フォーマットのログデータが装置毎に作成される。
【0070】
ステップS107において、収集ログ作成部22は、装置毎の統一フォーマットのログデータに基づいて、収集ログ作成部22に登録する収集ログデータを作成する。収集ログデータは、装置に関係なく、時系列に並べられる。
【0071】
図7は、収集ログデータの構成を示す構成図である。例えば、収集ログデータは、図7に示すようなデータ構造である。
【0072】
装置番号には、ログを出力した装置を表す番号が格納される。各装置には、予め番号が割り振られている。例えば、「1」は、1系放流操作装置6aを表し、「3」は、情報入力・提供装置52を表し、「12」は、テレメータ装置73を表す。
【0073】
ログ種別には、種別毎に予め割り振られた番号が格納される。例えば、「0」は異常を表し、1以上は、数字が大きいほど、ログの重要度が高くなるように、数字が割り振られる。例えば、「1」は、「INFO」、「2」は「DETAIL」、「3」は「DEBUG」をそれぞれ表す。
【0074】
実行モジュールには、ログを出力した実行モジュールを表す番号が格納される。実行モジュールは、ログデータに含まれる各種情報から特定される。例えば、実行モジュールは、ログを出力した装置、インスタンス、メッソド、及び、実行スレッド等から特定される。
【0075】
例えば、各モジュールは、図6に示すように、モジュール番号が予め決められている。
図6は、コンポーネントに対応するモジュール番号を示す対応図である。実行されるモジュールは、機能に対応するコンポーネントにより特定される。例えば、機能は、「ゲート制御」、「情報入力提供装置」、及び、「ファイリング」である。「ゲート制御」の機能には、「流入量演算」及び「放流量計算」のコンポーネントがある。「情報入力提供装置」の機能には、「テレメータ(TM)入力」、「上位装置出力」、及び、「放流操作装置出力」のコンポーネントがある。「ファイリング」の機能には、「日報」、「正時」及び「10分」のコンポーネントがある。モジュール番号は、これらのコンポーネントを実行するモジュールを表す番号である。
【0076】
例外種別には、例外処理を表す番号が格納される。例えば、「0」は、正常又は例外処理をしていないことを表し、0以外は、例外処理の内容を表す。例えば、「1」はアドレス不正、「2」はタイムアウトを表す。
【0077】
メッセージには、ログデータに含まれる任意の文字列が格納される。例えば、メッセージは、エラーメッセージである。なお、メッセージに格納される内容は、元のログデータに含まれるメッセージの内容を短くしてもよいし、数値等に変換してもよい。例えば、メッセージは、暗号化等により元のメッセージを変換したものでもよいし、ハッシュ関数等を用いて元のメッセージから算出される数字(ハッシュ値等)でもよい。
【0078】
トラブル情報タグには、ログに関係するトラブルに関する情報が格納される。例えば、トラブル情報タグは、そのログが出力された原因となるトラブルの内容をタグとして記号化したものである。例えば、「#INF_EDIT_ERROR」は、情報の編集時にエラーが発生したことを示すトラブル情報タグである。トラブル情報タグは、トラブル解析後に書き込まれる情報であるため、収集ログ作成部22により作成された直後の収集ログデータには、何も書き込まれていない。トラブル情報タグは、人為的に付与されてもよいし、解析装置3により付与されてもよい。
【0079】
本実施形態によれば、ダム管理システム10に関連する複数の装置から出力されるフォーマットが統一されていないログを収集し、複数の装置のログを一元管理できるような収集ログデータを作成することで、ダム管理システム10の保守又は監視等の管理をし易くすることができる。例えば、収集ログデータは、ダム管理システム10におけるトラブルの原因を解明するための解析に用いることができる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態にトラブル情報データベース24及びログ分類処理部31を加えたものである。その他の点は、第1の実施形態に係るダム管理システムと同様である。
【0081】
図8は、第2の実施形態に係る異常ログ解析収集装置20Aの構成を示す構成図である。
【0082】
データベース装置2Aは、図2に示す第1の実施形態に係るデータベース装置2において、トラブル情報データベース24を加えたものである。解析装置3Aは、図2に示す第1の実施形態に係る解析装置3において、ログ分類処理部31を加えたものである。
【0083】
データベース装置2Aのトラブル情報データベース24には、ダム管理システム10における過去に発生したトラブルとそのトラブルに関係する一連のログデータが関連付けられたトラブル情報テーブルが記憶されている。トラブルが発生する度に、必要な情報がトラブル情報データベース24に登録されることで、トラブル情報テーブルが蓄積される。
【0084】
図9は、本実施形態に係るログ分類処理部31によるログを分類する手順を示すフロー図である。
【0085】
ログ分類処理部31は、ダム管理システム10にトラブルが発生した時に、過去のトラブルの事例に基づいて、収集ログデータベース23に記憶された収集ログデータから、今回発生したトラブルに類似する一連のログデータを抽出する処理を行う。
【0086】
ステップS201において、ログ分類処理部31は、トラブル情報データベース24からトラブル情報テーブルを取得する。例えば、解析装置3Aを使用する使用者は、発生したトラブルに関する情報を解析装置3Aに入力し、ログ分類処理部31は、入力された情報に基づいて、発生したトラブルと類似する可能性のあるトラブル情報テーブルをトラブル情報データベース24から抽出する。例えば、解析装置3Aに入力されるトラブルに関する情報は、あるセンサからの検出データが欠けている、又は、ある機器からの応答が無いなどである。
【0087】
次に、ステップS202において、ログ分類処理部31は、収集ログデータベース23から調査対象となるログデータを取得する。例えば、トラブルが発生した時刻を含み、トラブルと関係する可能性がある一定の時間帯のログデータを収集ログデータから抽出する。調査対象となるログデータの抽出は、ログ分類処理部31により自動的に抽出されてもよいし、解析装置3Aの使用者が人為的に選択して抽出してもよい。
【0088】
ステップS203において、ログ分類処理部31は、トラブル情報テーブルと調査対象のログデータを突き合わせる。
そして、ステップS204において、調査対象のログデータに、過去に生じたトラブルに関連する一連のログデータと類似するパターンの一連のログデータが存在するか否かを検索する。
【0089】
該当するパターンの一連のログデータがある場合(ステップS204のYes)は、ステップS205において、ログ分類処理部31は、解析装置3Aの画面に、該当するパターンの一連のログデータが含まれる収集ログデータを表示(提示)する。
【0090】
該当するパターンの一連のログデータがない場合(ステップS204のNo)、今回発生したトラブルは、過去に生じていない新しいタイプのトラブルの可能性がある。
【0091】
ステップS206において、ログ分類処理部31は、今回発生したトラブル情報をトラブル情報データベース24に登録するか否かを問い合わせる表示をする。
【0092】
使用者が登録することを選択した場合ステップS206のYes)、ステップS207において、ログ分類処理部31は、今回発生したトラブルに関する情報をトラブル情報データベース24に登録又は登録するための支援をする。
【0093】
図10及び図11を参照して、調査対象のログデータから過去に生じたトラブルに関連する一連のログデータと類似するパターンの一連のログデータを検索する方法について説明する。図10は、調査対象のログデータを表示する解析装置3Aの画面D10のイメージ図である。図11は、トラブル情報テーブルに含まれる過去に生じたトラブルに関連する一連のログデータを表す構成図であり、図7に示す収集ログデータのトラブル情報タグに、関係するトラブルに関する情報が書き込まれたデータを表している。
【0094】
ログ分類処理部31は、図11に示す一連のログデータと類似するパターンの一連のログデータが、図10に示す調査対象のログデータに存在するか否かを判定する。2つの一連のログデータが類似するか否かは、それぞれの一連のログデータを構成する各ログデータを比較して判断する。
【0095】
画面D10に表示される調査対象のログデータのパターンPT1と、図11に示す過去のトラブルに関連するログデータのパターンを比較する。パターンPT1の各ログデータの内容と過去のトラブルのパターンの各ログデータの内容を比較すると、装置番号と実行モジュール番号が時系列順に一致している。したがって、調査対象のログデータに含まれるパターンPT1は、過去のトラブルのパターンと類似すると判断される。
【0096】
2つのログデータのパターンが類似する度合いを示す類似度を予め決められた演算方法により点数化して、2つのパターンが類似するか否かを判断してもよい。例えば、装置番号及び実行モジュールは、トラブルとの関連性が高いと考えられる属性である。したがって、これらの属性が時系列順に一致する場合は、類似度が高くなるように加算する点数を高くする。一方、トラブルとの関連性が低いと考えられる属性は、2つのパターンで一致していたとしても、類似度が高くならないように加算する点数を低くする。このようにして、2つのログデータのパターンの類似度を示す合計点数を算出し、算出した点数が閾値よりも高ければ、2つのログデータのパターンは類似すると判断する。なお、2つのパターンが類似するか否かを機械学習により学習したモデルにより自動的に判断するようにしてもよい。
【0097】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。過去のトラブルに関連する情報が登録されたトラブル情報データベース24を設けることで、収集ログデータベース23に記憶された収集ログデータから、過去のトラブルと類似するパターンのログデータを検索することができる。これにより、過去のトラブルを参考にして、トラブルの解析をすることができる。
【0098】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第2の実施形態にトラブル情報登録処理部32を加えたものである。その他の点は、第2の実施形態に係るダム管理システムと同様である。
【0099】
図12は、第3の実施形態に係る異常ログ解析収集装置20Bの構成を示す構成図である。
【0100】
解析装置3Bは、図8に示す第2の実施形態に係る解析装置3Aにおいて、トラブル情報登録処理部32を加えたものである。なお、トラブル情報登録処理部32は、解析装置3Bとは別の装置に設けられてもよい。
【0101】
トラブル情報登録処理部32は、ログ分類処理部31による処理結果を利用して、トラブル情報データベース24に今回発生したトラブルに関連するトラブル情報を登録する支援をするための演算処理を行う。
【0102】
図13は、トラブル情報登録処理部32によるトラブル情報を登録する手順を示すフロー図である。
【0103】
ステップS301において、トラブル情報登録処理部32は、図14に示す画面D14のように、今回発生したトラブルに関連するログデータのパターンPT2を含むように、収集ログデータの所定範囲を表示する。
【0104】
図14は、第3の実施形態に係る収集ログデータの所定範囲を表示した画面のイメージ図である。表示される収集ログデータの範囲は、登録を行う解析装置3Bの使用者が指定してもよい。
【0105】
図15は、第3の実施形態に係る収集ログデータの表示範囲を設定するための画面のイメージ図である。具体的には、トラブル情報登録処理部32は、図15に示すように、収集ログデータの表示範囲を設定するための画面D15を解析装置3Bに表示する。使用者は、画面D15の入力部に、収集ログデータの表示範囲を日時で指定する。既に、収集ログデータにトラブル情報タグが付与されている場合は、使用者は、トラブル情報タグを使用して、収集ログデータの表示範囲を指定してもよい。これにより、トラブル情報登録処理部32は、使用者が指定した表示範囲を少なくとも含む収集ログデータを表示する。
【0106】
ステップS302において、使用者は、表示された収集ログデータから、登録するトラブル情報の基になるログデータを選択する。
【0107】
ステップS303おいて、使用者は、登録するトラブル情報の対象装置を設定する。例えば、対象装置は、トラブルが発生した装置又はトラブルの原因となった装置等である。トラブル情報登録処理部32は、2以上の対象装置を設定できるようにしてもよい。
【0108】
ステップS304において、使用者は、登録するトラブル情報の各種情報を設定する。例えば、各種情報は、ログデータに含まれる各属性の内容等である。
【0109】
ステップS305において、使用者は、登録するトラブル情報と関連性のある他のトラブル情報があれば、他のトラブル情報との関連性を設定する。例えば、今回登録するトラブルの前又は後に、必ず生じるトラブル又は生じる可能性があるトラブルがある場合は、使用者は、そのトラブルとの関連性を設定する。これにより、次回以降に、関連性のある他のトラブルが生じた場合でも、解析装置3Bは、今回登録するトラブルと同様のトラブルが生じている可能性を知らせることができる。
【0110】
使用者が登録に必要な全てのトラブル情報を解析装置3Bに入力し終えると、ステップS306において、トラブル情報登録処理部32は、入力されたトラブル情報をトラブル情報データベース24に登録する。これにより、次回以降に今回のトラブルと同様のトラブルが生じた場合、解析装置3Bは、トラブルの解析を容易にすることができる。
【0111】
図16図18を参照して、解析装置3Bにトラブル情報を登録する方法について説明する。
【0112】
使用者は、表示された収集ログデータから、登録するトラブル情報の基になるパターンPT3を構成する6つのログデータを選択する。
【0113】
図16は、第3の実施形態に係るトラブル情報を登録するための画面のイメージ図である。具体的には、使用者が、図16に示すトラブル情報を登録するための画面D16の「範囲設定」のボタンを押下すると、図17に示すログデータの範囲を設定するための画面D17が表示される。
【0114】
図17は、第3の実施形態に係るログデータの範囲を設定するための画面のイメージ図である。使用者が画面D17の入力欄に、選択するログデータの範囲(例えば、表示されている収集ログデータの行)を入力すると、ログデータが選択される。画面D16は、登録するトラブル情報の基になるPT3のログデータが選択された状態を表している。
【0115】
使用者は、ログデータが選択された状態で、画面D16の「項目設定」のボタンを押下すると、図18に示すトラブル情報の項目を設定するための画面D18が表示される。
【0116】
図18は、第3の実施形態に係るトラブル情報の項目を設定するための画面のイメージ図である。使用者は、画面D18の入力欄に、付与するトラブル情報タグの名称を入力し、各属性に対応して設けられた「ON」と「OFF」を切り替えるボタンにより、各属性について、「ON」又は「OFF」を選択する。
【0117】
各属性において、「ON」を選択した場合、トラブル情報として登録されるログデータに、その属性の内容がそのまま格納される。各属性において、「OFF」を選択した場合、トラブル情報として登録されるログデータには、その属性の内容が空欄となる。即ち、使用者は、登録するトラブル情報と関連性がある属性については、「ON」を選択し、登録するトラブル情報と関連性がほとんど無い属性については、「OFF」を選択する。
【0118】
使用者は、画面D18で全ての設定を終えたら、画面D18の「設定」ボタンを押下する。これにより、画面D16が再び表示される。使用者が、画面D16の「登録」ボタンを押下すると、トラブル情報の登録が完了する。
【0119】
本実施形態によれば、第2の実施形態による作用効果に加え、解析装置3Bにトラブル情報登録処理部32を設けることで、トラブル情報データベース24へのトラブル情報の登録を容易にすることができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
1…情報共有装置、2…データベース装置、3…解析装置、4…制御系LAN、5…情報系LAN、6a,6b…放流操作装置、10…ダム管理システム、20…異常ログ解析収集装置、41…貯水位計測装置、42…入出力装置、43…遠方手動操作装置、44a~44e…機側操作盤、51…訓練装置、52…情報入力・提供装置、53…表示装置、62…非常用洪水吐設備、63…常用洪水吐設備、64…放流設備、65…選択取水設備、66…発電所、71…流出予測装置、72…河川情報システム、73…テレメータ装置、74…電話応答通報装置、75…地震観測装置、76…堤体観測装置、77…水質観測装置、78…気象観測装置、NT…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18