(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090811
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】籾摺選別装置
(51)【国際特許分類】
B02B 5/02 20060101AFI20240627BHJP
B02B 7/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B02B5/02 104
B02B7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206940
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 政司
(72)【発明者】
【氏名】大家 生裕
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通和
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043AA02
4D043DG04
4D043GA02
4D043GB08
4D043GB12
4D043GB26
4D043JB05
(57)【要約】
【課題】籾摺選別装置の還元籾等を穀物ホッパに設ける還元案内通路部に詰まりが生じないようにすることを課題とする。
【解決手段】籾摺部1、風選部2、混合米選別部3、風選分離された粃と選別分離された還元籾の還元物を籾摺部1に還元する還元揚穀機27を備えた籾摺選別装置において、前記風選部2からの受入口6aと流下口6bを備えた穀物ホッパ6に、還元流入口70より流入する還元物を籾摺ロール7,7に流下案内すべく設けた還元案内通路71を設け、穀物ホッパ6の上記流下口6bを還元案内通路71にのぞむ還元物流下口71aと供給籾流下口6cに区分けする分岐壁72を設け、この分岐壁72の上方にオーバーフロー口73を形成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部(1)、風選部(2)、混合米選別部(3)、風選分離された粃と選別分離された還元籾の還元物を籾摺部(1)に還元する還元揚穀機(27)を備えた籾摺選別装置において、前記風選部(2)からの受入口(6a)と流下口(6b)を備えた穀物ホッパ(6)に、還元流入口(70)より流入する還元物を籾摺ロール(7,7)に流下案内すべく設けた還元案内通路(71)を設け、穀物ホッパ6の上記流下口(6b)を還元案内通路(71)にのぞむ還元物流下口(71a)と供給籾流下口(6c)に区分けする分岐壁(72)を設け、この分岐壁(72)の上方にオーバーフロー口(73)を形成したことを特徴とする籾摺選別装置。
【請求項2】
オーバーフロー口(73)を開閉する開閉弁(75)を、常時は閉状態にあって、還元物による圧力を受けると開状態となるように開閉作動すべく構成した請求項1に記載の籾摺選別装置。
【請求項3】
前記開閉弁(75)の作動を検出する弁検知センサ(76)を設け、弁検知センサ(76)によって開閉弁(75)が開いていることを検知すると、還元揚穀機(27)への供給を制限するように構成した請求項2に記載の籾摺選別装置。
【請求項4】
前記風選部(2)は風選箱体(9)と風選箱体(9)内選別風路(10)と選別風路(10)の中途部下方に設けられている粃受樋(11)と選別風路(10)の下部に設けられている受樋(12)を備え、前記粃受樋(11)の途中に粃排出弁(11a)を設け、この粃排出弁(11a)は閉じ状態で粃受樋(12)の粃をすべて還元揚穀機(27)へ案内し、弁検知センサ(76)が開検知すると粃排出弁(11a)に開出力する構成とした請求項3に記載の籾摺選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺選別装置において、機台の前部に、脱ぷ装置と籾ホッパ及び還元籾ホッパを配置し、前後方向中間部に摺出米及び混合米を揚穀する昇降機、摺出米を風選する摺出米選別風路、選別風路に選別風を流す吸引排風機、及び前記還元籾等を受けて跳上揚穀して前端部上の還元籾ホッパへ還元供給する二番スロワを配置した構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来技術では、籾ホッパに還元籾ホッパが併設され、還元籾等は還元籾ホッパ部に戻されるが、還元籾ホッパへの還元籾等が過剰となると、下方への流出が円滑でなく詰まりを生じる。
【0005】
本発明は、還元籾ホッパ内の詰まりを解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記に鑑みて次のような技術的手段を講じた。
【0007】
請求項1に係る発明は、籾摺部1、風選部2、混合米選別部3、風選分離された粃と選別分離された還元籾の還元物を籾摺部1に還元する還元揚穀機27を備えた籾摺選別装置において、受入口6aと流下口6bを備えた穀物ホッパ6に、還元流入口70より流入する還元物を籾摺ロール7,7に流下案内すべく設けた還元案内通路71を設け、穀物ホッパ6の上記流下口6bを還元案内通路71にのぞむ還元物流下口71aと供給籾流下口6cに区分けする分岐壁72を設け、この分岐壁72の上方にオーバーフロー口73を形成する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、オーバーフロー口73を開閉する開閉弁75を、常時は閉状態にあって、還元物による圧力を受けると開状態となるように開閉作動すべく構成した。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記開閉弁75の作動を検出する弁検知センサ76を設け、弁検知センサ76によって開閉弁75が開いていることを検知すると、還元揚穀機27への供給を制限するように構成する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記風選部2は風選箱体9と風選箱体9内選別風路10と選別風路10の中途部下方に設けられている粃受樋11と選別風路10の下部に設けられている受樋12を備え、前記粃受樋11の途中に粃排出弁11aを設け、この粃排出弁11aは閉じ状態で粃受樋12の粃をすべて還元揚穀機27へ案内し、弁検知センサ76が開検知すると粃排出弁11aに開出力する構成とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、作柄等によっては、粃等の還元物が増加し還元物流下口71aからの呑み込みが間に合わず詰まりなどの障害を生じる恐れがあるが、分岐壁72を越えてオーバーフロー口73から一部を穀物ホッパ6本体内に戻すことにより詰まり等の障害を防止できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、開閉弁75は常時は閉状態にあって、還元物が過剰にならないときは還元案内通路71によって効率的な作業を維持でき、圧力を受けると開状態となって詰まり等を防止できる。
【0013】
請求項3及び請求項4に記載の発明によると、請求項2に記載の効果に加え、還元揚穀機27への供給量が制限され還元揚穀機27、還元案内通路71の詰まりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態にかかる籾摺選別機の全正断面図である。
【
図2】同籾摺選別機の伝動構成を示す平面図である。
【
図3】(a)穀物ホッパの平面図、(b)還元案内通路部の断面図である。
【
図7】(a)混合米タンクと籾シャッタ弁等の連動関連斜視図、(b)循環/排出切換弁の斜視図である。
【
図10】(a),(b)操作レバーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明を説明する。
【0016】
まず、
図1において本発明の実施例である籾摺選別機の全体構成について説明する。
【0017】
籾摺選別機は、機体の左側上部に配設している籾摺部1と、左右中央部に配設している風選部2と、機体の右側に配設している揺動選別板型混合米選別部3と、風選部2からの風選穀粒(籾と玄米の混合米)を揚穀すると共に該混合米選別部3で選別した混合米を揚穀する混合米揚穀機4と、混合米選別部3の仕上げ玄米を機外に取り出す玄米揚穀機5と、混合米選別部3で選別した未摺籾を籾摺部1に揚穀還元する籾揚穀機27等で構成されている。玄米揚穀機5の上部には玄米を一時溜める玄米タンク65が設けられ、この玄米タンク65内と吸引ファン13の吸引ケース61が排塵筒66で連通されて玄米タンク65内の塵埃が吸引される。排塵筒66には開閉して吸塵風力を調整する吸塵弁67を設けている。
【0018】
籾摺部1は籾摺ロール型に構成されていて、穀物ホッパ6と、左右一対の籾摺ロール7,7と、籾摺ロール7,7の下方に設けられている振動型の移送棚8等により構成されている。穀物ホッパ6に供給される籾は籾摺ロール7,7で籾摺されて籾と玄米の混合米となり移送棚8に落下供給され、振動している移送棚8により右下側に移送され、風選部2下部の選別始端側に供給される。
【0019】
風選部2は、風選箱体9と、風選箱体9内に上下方向に沿うように構成されている選別風路10と、選別風路10の中途部下方に設けられている粃受樋11と、選別風路10の下部始端側に設けられている受樋12と、選別風路10の上部終端側に配設されている吸引ファン13と、排塵筒14等により構成され、受樋12で風選された未摺籾と玄米の混合米は混合米揚穀機4により揚穀され混合米タンク24に供給される。軽い籾殻等は排塵筒14から機外に吸引排出される。
【0020】
次に、揺動選別型の混合米選別部3について説明する。
【0021】
多段の揺動選別板15には、板面に選別用の凹凸が形成されていて、縦方向の一側を高い供給側、他側を低い排出側とし、縦方向に直交する横方向の一方側を高い揺上側、横方向他側を低い揺下側として、揺動選別板15の縦横2方向ともに傾斜構成し、揺動選別板15を揺動装置(図示省略)により横方向斜め上下に往復揺動するように構成している。
【0022】
揺動選別板15の上方に配設された混合米タンク24から、混合米が分配供給樋16、分配ケース17を経由して揺動選別板15に供給される。
【0023】
揺動選別板15の揺下側の側壁の排出側部分には、籾排出口を切り欠き構成し、選別籾は揺下側に取り出され、籾還元流路29を経て籾揚穀機27に供給される構成である。
【0024】
揺動選別板15に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で、比重の重い小形の玄米は揺上側に偏流分布し、玄米に比較して大形で比重の軽い籾は、揺下側に偏流分布し、その中間部には分離されない籾・玄米の混合米が分布しながら選別される。そして、これらの選別穀粒は、揺動選別板15の排出側に設けられている玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られて取り出される。
【0025】
取り出された仕上げ玄米は、玄米取出樋20,玄米取出口20a、玄米流路21,玄米揚穀機5を経由して機外に取り出される。取り出された選別混合米は混合米取出樋22に受けられ、選別混合米は混合米流路23を経て受樋12に取り出され、再度混合米揚穀機4,混合米タンク24,分配供給樋16,分配ケース17を経由して揺動選別板15に供給され再選別される。また、玄米取出口20aには循環/排出切換弁36が設けられ、この循環/排出切換弁36が閉じられていると、玄米取出樋20の選別穀粒は、混合米取出樋22,混合米流路23を経て再選別される。なお、籾摺り終了に近づくと、循環/排出切換弁36を開いて再選別で残った玄米を玄米流路21に流して回収できる構成である。
【0026】
また、揺動選別板15の揺下側に偏流分離した選別籾のうち揺下側の側壁に沿って流下したものは、籾排出口から籾還元流路29に取り出され、また、揺下側の側壁よりも揺上側を流下したものは揺動選別板15の排出側端部から籾仕切板18により仕切られて、籾取出樋25に取り出される。このようにして取り出された選別籾は、籾流路26,還元揚穀機27を経て籾摺部1に揚穀還元されて再度の籾摺がなされる。なお、風選部2で粃受樋11に選別された粃は、還元揚穀機27に送られ、混合米選別部3の選別籾と共に籾摺部1に揚穀還元される。
【0027】
次に、
図2に基づき主モータM1による籾摺選別機各部への駆動構成について説明する。
【0028】
籾摺部1の下方に主モータM1を配設し、主モータM1から籾摺ベルト伝動装置46,籾摺入力軸1aを経由して籾摺ロール7,7に動力が伝達される。籾摺入力軸1aから移送ベルト伝動装置47,移送入力軸8aを経由して移送棚8に振動動力が伝達されている。移送入力軸8aから混合米揚穀ベルト伝動装置48,混合米揚穀入力軸4aを経由して混合米揚穀機4及び混合米ラセン12aに動力が伝達されている。
【0029】
また、混合米揚穀入力軸4aから籾揚穀ベルト伝動装置49,籾揚穀入力軸27aを経由して籾揚穀機27に揚穀動力が伝達されている。籾揚穀入力軸27aから吸引ファンベルト伝動装置50,吸引ファン入力軸13aを経由して吸引ファン13に動力が伝達されている。籾揚穀入力軸27aから玄米揚穀機ベルト伝動装置51,玄米揚穀機入力軸5aを経由して玄米揚穀機5に動力が伝達されている。玄米揚穀機入力軸5aから揺動ベルト伝動装置52,揺動クランク軸53を経由して揺動選別板15の揺動駆動装置(図示省略)に動力が伝達されている。
【0030】
次に、前記のように、風選部2で粃受樋11に選別された粃は、還元揚穀機27に送られ、混合米選別部3の選別籾と共に籾摺部1に揚穀還元されるが、籾摺部1の穀物ホッパ6には、過剰還元処理手段Sを構成している。穀物ホッパ6は平面視長方形状の受入口6aと相似する長方形状の流下口6bを備え、穀物流下可能に安息角を形成する傾斜面を形成している。そして上記過剰還元処理手段Sは、穀物ホッパ6に設ける円形の還元流入口70より流入する粃や還元籾等(以下、還元物)を籾摺ロール7,7に流下案内すべく平面視長方形状の長手方向に位置して設けられた還元案内通路71と、穀物ホッパ6の上記流下口6bを還元案内通路71にのぞむ還元物流下口71aと供給籾流下口6cに区分けする分岐壁72と、分岐壁72の上縁と還元案内通路71の上壁との間にオーバーフロー口73を形成している。オーバーフロー口73の上面を覆う上面カバー74を設けるが、図例では還元流入口70に近い側の所定範囲に渡って設けている。
【0031】
したがって、還元揚穀機27による還元物は、還元案内通路71、還元物流下口71aを経て籾摺ロール7,7間で再処理を受ける。還元案内通路71への供給量が過剰となると還元物流下口71aにおける受入れ量が限界を超えることとなるが、このような時には還元案内通路71の過剰還元物は分岐壁72を越えてオーバーフロー口73から穀物ホッパ6本体内に流入し、新たな供給籾とともに供給籾流下口6cから籾摺ロール7,7間で処理を受けることとなる。このため、作柄等によっては、粃等の還元物が増加し還元物流下口71aからの呑み込みが間に合わず詰まりなどの障害を生じる恐れがあるが、上記のように分岐壁72を越えてオーバーフロー口73から一部を穀物ホッパ6本体内に戻すことにより詰まり等の障害を防止できる。また、オーバーフロー口73を越えて流入する還元物の状況を視認することができ、籾摺選別条件の改善設定に寄与する。
【0032】
上記実施例では、オーバーフロー口73の上方に対応して上面カバー74を形成するから新たな供給籾がオーバーフロー口73に作用せず、還元籾のオーバーフローを円滑化するものである。そして、図例ではこの上面カバー74は還元案内通路71の約半分の長さに収めて、穀物ホッパ6の受入口6aの面積による制約を極力少なく設定し、新規取込みの供給籾量を所定に確保している。
【0033】
図3、
図4においては、前記分岐壁72に延長したオーバーフロー口73を開閉する開閉弁75を設ける。この開閉弁75は常時は閉状態にあって、還元物はすべて還元案内通路71、還元物流下口71aを経て籾摺ロール7,7間で再処理を受ける。ところで、開閉弁75は、下方側の還元物による圧力を受けると傾斜上部の支点75a周りに上方に回動でき、オーバーフロー口73が開いて還元物一部は籾摺ホッパ6本体側へ流出する。このように、開閉弁75を設けることによって、詰まりを解消できる。
【0034】
開閉弁75は常時は閉じ姿勢とし下方からの還元物による圧力によって上方に回動できる構成であるが、この開閉弁75の作動を検出する弁検知センサ76を設ける。この弁検知センサ76によって弁が開いていることを検知すると、還元物が多いと判断し、コントローラ55によって還元揚穀機27への供給を制限するように構成する。
【0035】
例えば、前記粃受樋11への流路の途中に粃排出弁11aを設け、常時は閉じて粃受樋11の粃はすべて還元揚穀機27へ案内されるが、弁検知センサ76が開検知して還元物過剰と判定すると、粃排出弁11aに開出力する。粃排出弁11aが開くと移送される粃一部は下方に配置され混合米を移送する受樋12に受けられて混合米揚穀機4に供給されるものである。一部の粃が取り除かれるため、還元揚穀機27への供給量が制限され還元揚穀機27、還元案内通路71の詰まりを防止できる(
図5)。
【0036】
前記還元案内通路71と前記吸引ファン13の前記吸引ケース61の間を連結筒77で連結することにより、還元揚穀機27の送風は一旦還元案内通路71に入った後連結筒77を経由して吸引ケース61に至る。このように、連結筒77によって埃の噴出しを抑制できる(
図6)。
【0037】
次に、
図7に基づき混合米タンク24の穀粒溜まり具合に基づく籾シャッタ弁31の関連構成について説明する。
【0038】
穀物ホッパ6の下部には籾シャッタ弁31を設け、籾シャッタ弁31の軸部31a回りに回動するように籾シャッタ弁31を軸支している。籾シャッタ弁31の軸部31aの側方には操作レバー32の軸部32aを軸心一致状態で配設し、軸部31aと軸部32aとの間に融通連結手段33を介装して所定範囲の融通を持たせて連動連結し、操作レバー32により籾シャッタ弁31を回動調節するよう構成している。
【0039】
すなわち、籾シャッタ弁31の軸部31a端部に第1融通アーム33aを取り付け、操作レバー32の軸部32a端部に第2融通アーム33bを取り付け、第1融通アーム33aと第2融通アーム33bとの間を長孔とピンにより所定範囲の融通を持たせて連動連結している。しかして、操作レバー32を軸部32a回りに開閉操作すると、第1融通アーム33a,第2融通アーム33bを介して籾シャッタ弁31を開閉することができる。
【0040】
また、混合米揚穀機4上部の揚穀投げ出し部4bに混合米タンク24を上下動自在に吊り下げ支持し、混合米タンク24に所定量以上の穀粒が溜まり重くなると、混合米タンク24がバネ34に抗して下方へ移動し、穀粒が所定量より少なくなると、バネ34により上方へ移動するように構成している。
【0041】
そして、混合米タンク24の側方に混合米タンク満量センサSE3及び混合米タンク空検知センサSE4を設け、混合米タンク24に所定量以上の混合米が溜り混合米タンク24が下方へ移動すると混合米タンク満量センサSE3がONを検出する。混合米タンク24内の混合米量が所定量以下まで減少し、混合米タンク24が上方へ移動すると混合米タンク空検知センサSE4がONを検出するようにしている。
【0042】
また、
図3(a)に示すように、混合米タンク24と籾シャッタ弁31とをメカ的なリンケージで連結する籾シャッタ弁調節手段37により連動連結している。この籾シャッタ弁調節手段37は、例えば、混合米タンク24に一端が連結されている誘導ロッド37a、誘導ロッド37aの他端にピン連結されている第1支点アーム37b、第1支点アーム37bの他端にピン連結している連動ロッド37c、連動ロッド37cの他端にピン連結している回動アーム37dにより構成し、回動アーム37dの他端に籾シャッタ弁31の軸部31aのアーム部をピン連結している。
【0043】
しかして、混合米タンク24に所定量以上の穀粒が溜り下動すると、誘導ロッド37a,第1支点アーム37b,連動ロッド37c及び回動アーム37dを介して籾シャッタ弁31が閉調節される。また、混合米タンク24の穀粒量が所定量以下に減少し上方へ移動すると、誘導ロッド37a,第1支点アーム37b,連動ロッド37c及び回動アーム37dを介して籾シャッタ弁31が開調節される。従って、籾摺穀粒量を過不足なく適正に調整しながら円滑に籾摺選別作業をすることができる。
【0044】
なお、混合米タンク24の穀粒流下口からは混合米が常時流下するように構成し、混合米調節弁(図示省略)により流出混合米量を調節するように構成している。
【0045】
また、
図3(b)は、混合米選別部3の選別玄米取出部に設ける前記循環/排出切換弁36を示す。循環/排出切換弁制御モータM2の正逆回転駆動により仕上げ玄米として取り出される選別穀粒を機内循環側に切り換えたり、機外取出側に切り換えたりするようにしている。
【0046】
また、循環/排出切換弁36の循環側あるいは排出側への切換状態を検出する循環/排出切換弁(循環)センサSE5,循環/排出切換弁(排出)センサSE6を設けている。
【0047】
また、誘導ロッド37aは、ワイヤ68で排塵筒66の前記吸塵弁67を連動し、誘導ロッド37aが下がって混合米タンク24の混合米が多くなると吸塵弁67を閉め、排塵筒66を流れる排塵風を強くするように作用する。
【0048】
また、揺動選別板15の下方には主モータM1で駆動される揺動駆動装置39を設け、フレーム部に揺動クラッチプーリ39a付きの揺動クラッチアーム39bを軸支し、操作レバー32に一端を連結している揺動クラッチワイヤ40の他端を揺動クラッチアーム39bに連結し、操作レバー32の操作に関連して揺動駆動装置39の伝動ベルトを緊張伝動状態としたりあるいは弛緩切り状態としたりするように構成している。
【0049】
ここで、混合米タンク満量センサSE3の手動制限手段について説明する。麦モードの場合には循環/排出弁制御モータM2へ切替出力しないよう構成するもので、手動スイッチSW7を操作すると、混合米タンク満量センサSE3の作動を無効とするものである。手動スイッチSW7は後述操作盤41の適所に配設される。
【0050】
また、前記粃受樋11の端部側に粃取出し口(図示せず)を開閉する開閉手段を構成し、この粃取出し口の開閉状態を検知する検知手段SE10を設ける。粃取出し口が開いている場合は、未熟米が機外に排出されていると判定し、混合米タンク24の満了検知を無効とする。このように構成すると、循環/排出切換弁36の循環側あるいは排出側への切換が牽制される。
【0051】
また、
図8に示すように、籾摺選別機の正面中央の風選部2の上部に操作盤41を設け、操作盤41の上方には左右方向に沿うように操作ガイド溝44を設け、操作ガイド溝44の籾摺部1に近い左側部に始動,停止時操作用の初期位置44aを,混合米選別部3に近い右側部に籾摺作業時操作用の作業位置44bを設け、操作レバー32を前後方向の軸心回りに左右に往復回動操作自在に設けている。 次に、
図9に基づき操作盤41について説明する。
【0052】
操作盤41の下側左側部に運転開始スイッチSW1,運転停止スイッチSW2,穀物種類選択スイッチSW3を設け、下側右側部にロール間隙開調節スイッチSW4,籾摺ロール7,7のロール間隙調節表示部54,ロール間隙閉調節スイッチSW5を設けている。
【0053】
また、操作盤41の上側左側部に主モータ異常表示部42を設け、負荷電流センサSE2で主モータM1の電流値を検出し主モータM1の負荷状態を表示するようにしている。
【0054】
上側右側部に操作モニタ表示部43を設けている。操作モニタ表示部43の左側部に初期操作表示部43a,初期ランプLaを設け、右側部に籾摺操作表示部43b,籾摺作業ランプLbを設け、操作レバー32が初期位置44aに操作されると初期ランプLaが点滅表示し、操作レバー32が作業位置44bに操作されると籾摺作業ランプLbが点滅表示する。
【0055】
そして、初期ランプLaの近傍には作業停止と記載し、籾摺作業ランプLbの近傍には籾摺選別作業の内容に応じて機内循環籾摺選別作業,機外排出籾摺選別作業,残米籾摺選別作業,少量籾摺選別作業,麦選別作業と文字表示するようにしている。
【0056】
操作レバー32を左側の初期位置44aに操作すると(
図10(a))、穀物ホッパ6の籾シャッタ弁31が閉調節され、揺動クラッチプーリ39aがクラッチ切り状態となり、操作レバー位置検出センサ(初期位置)SE7のON検出によるコントローラ55の循環/排出切換弁循環側切換指令に基づき循環/排出切換弁36が循環側に切り換えられる。
【0057】
また、操作レバー32を右側の作業位置44bに操作すると(
図10(b))、穀物ホッパ6の籾シャッタ弁31が開調節され、揺動クラッチプーリ39aがクラッチ入り状態となり、操作レバー位置検出センサ(作業位置)SE8のON検出によりコントローラ55の前記循環/排出切換弁循環側切換指令が保持されたままで循環/排出切換弁36は循環側への切換状態を保持したままで、次いで、混合米タンク満量センサSE3がONし混合米タンク24に設定量以上の混合米が溜まった場合(あるいは、所定時間経過後に負荷電流センサSE2が設定値以上の主モータM1の負荷電流値を検出し籾摺選別作業を継続している場合)には選別玄米排出指令条件が満たされたと判断し、コントローラ55の循環/排出切換弁排出側切換指令に基づき循環/排出切換弁36が循環側から排出側に切り換えられ選別玄米の仕上米排出工程の作業に移行するようにしている。
【0058】
次いで、
図12,
図13における籾摺選別機について説明する。籾摺選別機は、機体の左側上部に配設しているインペラ型籾摺部1Aと、左右中央部に配設している摺落米風選部2と、機体の右側に配設している揺動選別板型混合米選別部3と、混合米選別部3の選別摺落米を混合米選別部3に揚穀する混合米揚穀装置4Aと、混合米選別部3の仕上げ玄米を機外に取り出す玄米揚穀装置5と、混合米選別部3の選別籾をインペラ型籾摺部1Aに揚穀還元する還元揚穀装置27等で構成されている。
【0059】
インペラ型籾摺部1Aは、籾ホッパ6Aと、インペラ型籾摺装置7Aとで構成されている。インペラ型籾摺装置7Aは、籾供給筒7a,籾摺ケース7bに軸架されている籾摺軸7c,籾摺軸7cに取り付けられているインペラ7d,摺落米を摺落米拡散室7eに移送供給する摺落米供給筒7fなどで構成されている。
【0060】
ついで、前記混合米昇降機4のバケット昇降手段に代替して所謂エア搬送手段を構成する場合の混合米揚穀装置4Aについて詳述する。揚穀ケース4aを摺落米風選部2の後部、すなわち機体背面側に立設し、該揚穀ケース4a内には、摺落米受樋12に集積し摺落米ラセン48で背面側に移送した摺落米を受ける中間ケース4bと上下に長い可撓性筒体4cを備え、可撓性筒体4cの下端は中間ケース4bに接続し上端を前記混合米タンク24とに接続している。そして中間ケース4bに圧風を供給すべくブロア40a及び可撓性の圧風供給筒体40bとからなる混合米移送用圧風供給手段40を設ける。ブロア40aの回転駆動によって起風され圧風が中間ケース4b内の摺落米に作用し、摺落米は可撓性筒体4c内を上昇し混合米タンク24内に供給されるもので、前記中間ケース4b、可撓性筒体4c及び圧風供給手段40をもって混合米揚穀装置4Aを構成している。
【0061】
上記のように構成すると、混合米は圧風作用を受けて混合米タンク24に供給され、混合米揚穀装置4Aからの圧風は混合米タンク24内に噴出するが、
図14に示すように、混合米タンク24と摺落米風選部2の吸引風路の間を連結筒80でつなぐことによって混合米タンク24内塵埃を吸引除去できる。
【符号の説明】
【0062】
1 籾摺部
2 風選部
3 混合米選別部
6穀物ホッパ
6a受入口
6b流下口
7籾摺ロール
10選別風路
11粃受樋
11a粃排出弁
12受樋
27還元揚穀機
70還元流入口
71還元案内通路
71a還元物流下口
72分岐壁
73オーバーフロー口
75開閉弁
76弁検知センサ