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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090814
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240627BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/18 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20240627BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/73
A61Q5/02
A61Q19/10
C11D1/10
C11D1/18
C11D3/37
C11D3/18
C11D1/14
C11D1/29
C11D1/06
C11D1/88
C11D1/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206946
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川岸 明菜
(72)【発明者】
【氏名】金田 賢治
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD131
4C083BB04
4C083BB07
4C083CC22
4C083CC38
4C083EE03
4C083EE06
4H003AB03
4H003AB05
4H003AB10
4H003AB23
4H003AB27
4H003AB31
4H003AD05
4H003DA02
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB30
4H003EB41
4H003EB42
4H003EB46
4H003ED02
4H003FA21
4H003FA23
4H003FA30
(57)【要約】
【課題】洗浄後のすすぎ時に肌がぬるつかず、ストップフィーリング性が良好であり、さっぱりとした感触が得られ、毛髪はすすぎ時にきしみが抑制され、長い髪であっても、なめらかな指通りとなり、すすぎ残しが生じにくく、すすぎ終わり後は毛髪でもサッパリした感触が得られる、洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)N-アシル中性アミノ酸、N-アシルタウリン及びそれらの塩から選ばれる1種以上、
(B)25℃における1質量%水溶液の粘度が1000mPa・s以下であり、カチオン化度が2%以上である、天然多糖系のカチオン性ポリマー
を含有する洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)N-アシル中性アミノ酸、N-アシルタウリン及びそれらの塩から選ばれる1種以上、
(B)25℃における1質量%水溶液の粘度が1000mPa・s以下であり、カチオン化度が2%以上である、天然多糖系のカチオン性ポリマー
を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)を0.5~10質量%含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)が、カチオン化グアガム、カチオン化セルロース、カチオン化デンプンから選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(B)を0.1~5質量%含有する請求項1~3のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(A)が、ココイルグリシンカリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウムから選ばれる1種以上を含む、請求項1~4記載のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに、(C)一般式(1):
-O-(CHCHO)m-SO (1)
(式中、Rは炭素数8~22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0~20の数を示し、且つmの平均が0~5であり、Yは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表されるアルキル硫酸若しくはポリオキシエチレンアルキル硫酸又はその塩を含有する請求項1~5のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
さらに、(D)一般式(2):
-O-(CHCHO)n-CH-COOY (2)
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Yは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する請求項1~6のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
さらに、(E)両性界面活性剤を含有する請求項1~7のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
さらに、(F)ノニオン性界面活性剤を含有する請求項1~8のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
身体及び毛髪を含む全身用洗浄剤である、請求項1~9のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項記載の洗浄剤組成物を、身体及び毛髪に適用して洗った後、すすぐ全身洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、身体を洗うための洗浄剤と毛髪を洗うための洗浄剤とは異なる製品が用いられている。これは、身体を洗うための洗浄剤も毛髪を洗うための洗浄剤も、泡立ちや洗浄力が必要とされる一方、使用する感触については異なる性能が求められているためである。具体的には、身体を洗うための洗浄剤は、すすぎが早くキュッとした感触を得ることでサッパリした感触が求められているのに対し、毛髪を洗うための洗浄剤は、洗浄時からすすぎ、タオルドライ後までなめらかな感触や指通りが求められている。
ところで近年では、生活習慣の変化に伴い、朝、短時間にシャワーなどで頭から身体までを洗浄し、また、1本の洗浄剤で毛髪及び身体の洗浄を簡便に済ませたいとのニーズが生じている。このため、皮膚に対しても毛髪に対しても高い洗浄性能を示し、洗浄実感にも優れた洗浄剤組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、脂肪酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、アルキル硫酸又はその塩、カチオン性ポリマーを特定の割合で含有する洗浄剤組成物が、洗浄後のすすぎ時に肌がぬるつかず、ストップフィーリング性が良好であり、さっぱりとした感触が得られ、しかも、毛髪はすすぎ時にきしみが抑制され、なめらかな指通りとなり、すすぎ残しが生じにくく、すすぎ終わり後は毛髪でもサッパリした感触が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-15676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の洗浄剤組成物であっても、洗浄時の髪のなめらかさが十分でなく、特に、長い髪の場合に絡まりやすいという課題があった。
本発明は、毛髪及び身体の洗浄を同時に行うことが可能で、洗浄後にすすぐと、身体は速やかにストップフィーリングを感じ、かつ洗い上がりの皮膚がサッパリしていると同時に、毛髪ではすすぎ中に指通りがなめらかですすぎ残しが生じにくい一方、すすぎ終わりはサッパリした感触が得られる洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、N-アシル中性アミノ酸、N-アシルタウリン及びそれらの塩から選ばれる1種以上と、特定の粘度及びカチオン化度を有する天然多糖系のカチオン性ポリマーを組合わせて用いることにより、上記課題を解決した洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)N-アシル中性アミノ酸、N-アシルタウリン及びそれらの塩から選ばれる1種以上、
(B)25℃における1質量%水溶液の粘度が1000mPa・s以下であり、カチオン化度が2%以上である、天然多糖系のカチオン性ポリマー
を含有する洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄後のすすぎ時に肌がぬるつかず、ストップフィーリング性が良好であり、さっぱりとした感触が得られる。しかも、毛髪はすすぎ時にきしみが抑制され、なめらかな指通りとなり、すすぎ残しが生じにくい。特に、長い髪であっても、なめらかで、絡まることもなく、すすぎ終わり後は毛髪でもサッパリした感触が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のN-アシル中性アミノ酸、N-アシルタウリン及びそれらの塩は、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。
アシル基としては、炭素数8~22の飽和又は不飽和、直鎖又は分岐のいずれでも良いが、直鎖のものが好ましい。なかでも、炭素数12~18の直鎖アシル基、これらを主成分とするヤシ油脂肪酸アシル基(ココイル基)が好ましい。
【0009】
中性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、プロリン等が挙げられ、グリシン、アラニンが好ましい。
また、塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0010】
N-アシル中性アミノ酸塩としては、例えば、ココイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルグリシンナトリウム、ラウロイルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等が挙げられる。これらのうち、ココイルグリシンカリウム、ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウムが好ましい。
また、N-アシルタウリン塩としては、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0011】
成分(A)としては、毛髪のすすぎ時における指通り性の観点から、ココイルグリシンカリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウムから選ばれる1種以上を含むのが好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、起泡性とすすぎ時の肌のさっぱり感の観点から、含有量は、全組成中に0.5~10質量%であるのが好ましく、0.8~8質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)は、25℃における1質量%水溶液の粘度が1000mPa・s以下であり、カチオン化度が2%以上である、天然多糖系のカチオン性ポリマーである。
粘度は、BM型粘度計にてローターNo.2を用い、25℃において、12rpmで1分間回転させることにより測定されるものである。
成分(B)の25℃における1質量%水溶液の粘度は、毛髪のすすぎ時における指通り性と肌のすすぎ時におけるぬるつきの少なさの観点から、1000mPa・s以下であり、800mPa・s以下が好ましい。
【0014】
また、カチオン化度は、ケルダール法により求められるものである。
カチオン化度は、毛髪のすすぎ時における指通り性の観点から、2%以上であり、2.2%以上が好ましい。
【0015】
成分(B)のカチオン性ポリマーとしては、通常の洗浄剤組成物に用いられるもので、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等のカチオン化グアガム、ポリクオタニウム-10等のカチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タラガム等が挙げられる。これらのうち、毛髪のすすぎ時における指通り性と、肌のすすぎ時におけるぬるつきの少なさの観点から、カチオン化グアガム、カチオン化セルロース、カチオン化デンプンから選ばれる1種以上を含むのが好ましく、カチオン化グアガムを含むのがより好ましい。
【0016】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、毛髪のすすぎ時における指通り性と肌のすすぎ時におけるぬるつきの少なさの観点から、含有量は、全組成中に0.1~5質量%であるのが好ましく、0.2~3質量%がより好ましく、0.3~1質量%がさらに好ましい。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(C)一般式(1):
-O-(CHCHO)m-SO (1)
(式中、Rは炭素数8~22のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは0~20の数を示し、且つmの平均が0~5であり、Yは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表されるアルキル硫酸若しくはポリオキシエチレンアルキル硫酸又はその塩を含有することができる。
【0018】
式中、Rは炭素数8~22のアルキル基又はアルケニル基であり、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数12~18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数12~14のアルキル基がより好ましい。
また、式中、mは0~20の数を示し、0~12がより好ましい。mは、エチレンオシキシドの付加モル数を示し、成分(C)の組成中の平均付加モル数(mの平均値)は、起泡性及び泡量の観点から、0~5であり、0~3が好ましい。
【0019】
としては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、グルクアンモニウム等の有機アンモニウム;L-アルギニン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。これらのうち、水への溶け易さ、なじみやすさの観点から、アルカリ金属、アンモニウムが好ましい。
【0020】
成分(C)としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が好ましい。
また、EMAL 0、EMAL 10、EMAL 125HP、EMAL 170J、EMAL 2F、EMAL 270J、EMAL E-27C(以上、花王社製)等の市販品を使用することができる。
さらに、成分(C)は、毛髪のすすぎ時のきしみ感を低減する観点から、一般式(3)において、m=0の成分を、成分(C)中10~50質量%含有するのが好ましい。
【0021】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、起泡性及び泡量の観点から、含有量は、酸として、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。またすすぎ時の肌のさっぱり感とすすぎの早さの観点から、含有量は、酸として、全組成中に20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。そして成分(C)の含有量は、酸として、全組成中に1~20質量%であるのが好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(D)一般式(2):
-O-(CHCHO)n-CH-COOY (2)
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Yは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有することができる。
【0023】
式中、Rは炭素数4~22のアルキル基であり、炭素数6~20のアルキル基が好ましく、炭素数8~18のアルキル基がより好ましく、炭素数8~16のアルキル基がさら好ましく、炭素数10~16のアルキル基がよりさらに好ましい。また、Rのアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖のいずれでも良いが、起泡性の点から、直鎖アルキル基が好ましい。
さらに、Rの平均炭素数は、起泡性及び泡質、さらに低温安定性の点から、10.8~12.8が好ましく、10.8~12.5がより好ましい。
また、Rは2種以上のアルキル基を含むことが好ましく、泡量及び泡質に優れる点から、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が、成分(D)中55質量%以上97質量%未満であるのが好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%がさらに好ましい。
【0024】
また、式中、nは0~20の数を示し、0~12がより好ましい。なお、nは、エチレンオシキシドの付加モル数を示し、成分(D)の組成中の平均付加モル数(nの平均値)は、泡質が良好である点及び、すすぎ時に肌によりサッパリした感触を付与する点から、1.5~10が好ましく、1.5~4.5がより好ましく、1.5~3.4がさらに好ましく、2.8~3.4がより好ましく、2.8~3.1がさらに好ましい。
成分(D)のアルキルエーテルカルボン酸は、すすぎ時のきしみ感が向上する点から、一般式(2)において、n=0の成分を4.3~30質量%含むのが好ましく、4.9~27質量%がより好ましく、9.6~27質量%がさらに好ましく、9.9~16質量%がより好ましく、9.9~15質量%含むのがさらに好ましい。
さらに、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量は、泡質、泡量の観点から40質量%未満が好ましく、20~38質量%がより好ましく、27~36.5質量%がさらに好ましく、35~36.1質量%がよりさらに好ましい。
【0025】
また、式中、Yとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の有機アンモニウム;トリスヒドロキシメチルアミノメタン;L-アルギニン等の塩基性アミノ酸などが挙げられる。これらの中で、起泡性、低温安定性、経時での着色のなさの点から、アルカリ金属が好ましい。
【0026】
成分(D)のアルキルエーテルカルボン酸は、一般式(2)中、n=0、1、2、3、4の成分の質量割合が、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:0.99~3.50:0.89~3.00:0.76~3.00:0.63~1.6であることが、起泡性、洗浄性、すすぎ時のきしみ感の両立性の点から好ましい。
【0027】
さらには、一般式(2)中、n=0の成分を9.6質量%以上12質量%未満含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.53~1.87:1.59~2.25:1.33~2.16:1.14~1.52となるのが、起泡性とすすぎ性の観点から好ましい。
【0028】
さらに、一般式(2)中、n=0の成分を9.9~11.5質量%含み、(n=0成分の質量):(n=1成分の質量):(n=2成分の質量):(n=3成分の質量):(n=4成分の質量)=1:1.58~1.84:1.72~2.17:1.49~2.00:1.14~1.52となるのが、泡量、泡質とすすぎ性の観点から好ましい。
【0029】
成分(D)において、一般式(2)中、Rは炭素数4~22のアルキル基であり、Rの平均炭素数は10.8~12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、さらに、nは0~20の数を示し、平均値は、1.5~10であり、n=0の成分を4.9~27質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が20~37質量%であることが好ましい。このようにすることで、起泡性を早めることができる。
【0030】
成分(D)において、一般式(2)中、Rは炭素数6~20のアルキル基であり、Rの平均炭素数は10.8~12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、さらに、nは0~20の数を示し、平均値は、2.5~4.5であり、n=0の成分を9.6~27質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が27~36.5質量%であることが好ましい。このようにすることで、起泡性を早めることができる。
【0031】
成分(D)において、一般式(2)中、Rは炭素数8~18のアルキル基であり、Rの平均炭素数は10.8~12.8であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が55質量%以上97質量%未満であり、さらに、nは0~20の数を示し、平均値は、2.5~3.4であり、n=0の成分を9.6~27質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が27~36.5質量%であることが好ましい。このようにすることで、すすぎ時の身体のさっぱり感を強めることができる。
【0032】
成分(D)において、一般式(2)中、Rは炭素数8~16のアルキル基であり、Rの平均炭素数は10.8~12.5であり、また、一番含有量の多いアルキル鎖長を有する成分が60~95質量%であり、さらに、nは0~20の数を示し、平均値は、2.8~3.4であり、n=0の成分を9.6~27質量%、好ましくは9.9~16質量%含み、n=1の成分とn=2の成分の合計含有量が27~36.5質量%であるのが好ましい。このようにすることで、泡量、泡質を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明の成分(D)において、Rのアルキル鎖長の分布、Rの平均アルキル鎖長、n=0の成分量、nの平均付加モル数、n=0、1、2、3、4の成分の質量割合は、一般式(2)で表されるアルキルエーテルカルボン酸をガスクロマトグラフィーによる分析により求めることができる。具体的には、特開2017-75123号公報に記載の方法により、ガスクロマトグラフィーにより得られるピーク面積を用いて解析する。
【0034】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、洗浄性及び洗浄後の皮膚のつっぱり感を抑制する観点から、含有量は、酸として、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。また泡質の観点から、含有量は、酸として、全組成中に20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。そして成分(D)の含有量は、酸として、全組成中に1~20質量%であるのが好ましく、1.5~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(E)両性界面活性剤を含有することができる。
両性界面活性としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン型界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型界面活性剤などが挙げられる。
これらのうち、泡質の観点から、スルホベタイン型界面活性剤、アミドベタイン型界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0036】
成分(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、泡質及び泡量の観点から、含有量は、全組成中に0.5質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。また、すすぎ時の肌のさっぱり感とすすぎの早さの観点から、含有量は、全組成中に20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。そして、成分(E)の含有量は、全組成中に0.5~20質量%であるのが好ましく、1~15質量%がより好ましく、1.5~10質量%がさらに好ましい。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(F)はノニオン性界面活性剤を含有することができ、すすぎ時に生じるスカムによる髪のきしみをコントロールし、髪の指どおり性を良好にすることができる。
成分(F)としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるもので、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。毛髪をすすぐ際、指どおり性が良好であるすすぎ時間を長く維持する観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル等の親水部がEO付加部のみであるノニオン性界面活性剤であることが好ましく、直鎖モノアルキルのポリオキシエチレン付加型ノニオン性界面活性剤がより好ましく、これに加え、さらに身体をすすぐ際にすすぎやすく、皮膚にきしみを与えサッパリした洗い上がりとする観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型のノニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0038】
また、成分(F)のHLBは、毛髪をすすぐ、指どおり性が良好であるすすぎ時間を長く維持する観点から、HLB5~20であることが好ましく、HLB6~16がより好ましく、HLB7~15がさらに好ましい。
ここで、HLBとは、親水性-親油性のバランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田・寺村らによる次式を用いて算出した値を用いている。
【0039】
【数1】
【0040】
また、毛髪をすすぐ際、指どおり性が良好であるすすぎ時間を長く維持する観点から、成分(F)はHLBの異なる2種以上のノニオン性界面活性剤を含むのが好ましく、3種含むのがより好ましい。
また、HLBの異なるノニオン性界面活性剤を2種以上含む場合、HLB値の最も大きいノニオン性界面活性剤と最も小さいノニオン性界面活性剤で、HLBが3以上離れていることが好ましく、5以上離れているのがより好ましい。
【0041】
成分(F)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、毛髪をすすぐ際の指どおり性の観点から、含有量は、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、0.2~15質量%がより好ましく、0.5~10質量%がさらに好ましい。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、アクリル酸系ポリマーを含有することができる。
アクリル酸系ポリマーとしては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等が挙げられ、安定性の観点から、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含むのが好ましい。
【0043】
アクリル酸系ポリマーは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、安定性の観点から、含有量は、全組成中に0.01~2質量%であるのが好ましく、0.05~1.5質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物は、溶媒として水を含有し、洗浄剤組成物を構成する前記成分及びその他成分の残部となる。水の含有量は、全組成中に、10~94質量%であるのが好ましく、15~90質量%がより好ましく、30~85質量%がさらに好ましい。
【0045】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、成分(A)、(C)、(D)、(E)及び(F)以外の界面活性剤、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、パール化剤、スクラブ剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0046】
本発明の洗浄剤組成物は、毛髪をすすぐ際の指どおり性の観点から、脂肪酸又はその塩の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0047】
本発明の洗浄剤組成物は、すすぎ時の肌のさっぱり感の観点から、シリコーン化合物の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0048】
本発明の洗浄剤組成物は、通常の方法により、配合成分を混合することにより製造される。得られる洗浄剤組成物は、液状又は固形状いずれでも良いが、液状である場合には、30℃において、BM型粘度計(東京計器社製)で測定したときの粘度が1000~20000mPa・sであるのが好ましく、配合成分を適宜選択することにより調整することができる。
また、pHは、4.5~9であることが好ましく、5~8がより好ましく、5.5~7であるのがさらに好ましい。なお、pHの測定は、30℃において、各洗浄剤組成物をイオン交換水で20倍に希釈して行った値である。
【0049】
本発明の洗浄剤組成物は、例えば、洗顔料、ボディーソープ、ハンドソープ、シャンプー、全身用洗浄剤等の顔を含む身体又は毛髪用洗浄剤組成物として好適であり、身体及び毛髪を含む全身用洗浄剤とするのが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、身体及び毛髪に適用して洗った後、すすぐことにより、全身を一度に洗浄することができる。
本発明の洗浄剤組成物を用いて全身を洗浄する方法は、例えば、以下のとおりである。すなわち、本発明の洗浄剤組成物を身体、つまり顔、手足、胴体などの身体皮膚部や、毛髪に適量を適用し、なじませるか、泡立てて洗浄した後、シャワー等の温水を利用してすすぐ方法である。また、樹脂製のタオル、樹脂製のスポンジ、ブラシ等の洗浄補助具に適量を適用し、泡立てて使用することで、より効果的に洗浄することもできる。
【0050】
実施例1~6、比較例1~6
表1に示す組成の洗浄剤組成物を製造し、粘度を測定するとともに、肌のすすぎの速さ、コーミングフォースでのきしみ抑制時間、洗髪試験でのすすぎ易さを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0051】
(製造方法)
80℃に加熱した水に、成分(A)~(F)を添加し、均一になるように攪拌した。必要に応じて他成分を加えて均一になるまで攪拌した後、25℃まで冷却して、洗浄剤組成物を得た。
【0052】
(評価方法)
(1)粘度:
BM型粘度計にてローターNo.3を用い、30℃において、12rpmで1分間回転させることにより、各洗浄剤組成物の粘度を測定した。
【0053】
(2)肌のすすぎの速さ:
各洗浄剤組成物2mLを手に取り、水道水を加え、両手で泡立て、軽く水をかけた前腕部の肘と手首の間を20秒間マッサージした。その後、水道水で20秒間ひじから手首の間をすすぎ、その際の肌のすすぎの速さを評価した。
評価基準は、花王石鹸ホワイトsを用いた場合を4(速い)、花王エッセンシャルシャンプーcSを用いた場合を1(遅い)とし、4段階評で評価した。
5名の評価の平均値を求め、すすぎの速さの評価とした。
【0054】
(3)コーミングフォースでのきしみ抑制時間:
6cm×6cm四方に長さ30cmの毛髪を170本/cm2になるような毛髪トレスを用意し、水道水で軽くぬらす。各洗浄剤組成物1gを毛髪に塗布し、十分に泡立てた後、文献(J. Soc. Cosmet. Chem. Japan. Vol. 27, No. 1, P11-13 1993)に記載のDCF測定装置(コーミングフォース)にセットする。シャワー(1L/min)を毛髪にかけながら親指を除く4本の指で髪の毛をすきながらすすいでいく。すすぎ中に毛髪にかかる荷重が300gを超えるまでの時間(秒)を測定し、きしみ抑制時間とした。
【0055】
(4)洗髪試験でのすすぎ性:
頭皮を軽く水道水でぬらし、各洗浄剤組成物3mLを手に取り、両手で30秒間マッサージする。その後、水道水ですすいでいき、その時のすすぎ易さを評価した。
評価基準は、花王エッセンシャルシャンプーcSを用いた場合を5(すすぎ易い)、花王メンズビオレデオドラントボディウォッシュを用いた場合を1(すすぎ難い)とし、4段階で評価した。
5名の評価の平均値を求め、すすぎ易さの評価とした。
【0056】
【表1】