(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090822
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 71/16 20230101AFI20240627BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240627BHJP
H10K 50/125 20230101ALI20240627BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240627BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240627BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240627BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240627BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240627BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20240627BHJP
H10K 101/60 20230101ALN20240627BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20240627BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20240627BHJP
【FI】
H10K71/16
H10K50/12
H10K50/125
H10K50/15
H10K59/10
H10K59/35
H10K85/60
G09F9/30 365
H10K101:10
H10K101:60
H10K101:20
H10K101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206958
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞名垣 暢人
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC02
3K107CC06
3K107CC22
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD71
3K107DD78
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG28
5C094BA27
5C094DA13
5C094FB01
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】発光特性を改善する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、第1陽極と、前記第1陽極に対向する陰極と、前記第1陽極と前記陰極との間に位置する第1有機層と、を備え、前記第1有機層は、第1発光層と、前記第1陽極と前記第1発光層との間に位置する正孔輸送層と、を含み、前記第1発光層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径は、前記正孔輸送層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径より小さい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1陽極と、
前記第1陽極に対向する陰極と、
前記第1陽極と前記陰極との間に位置する第1有機層と、を備え、
前記第1有機層は、第1発光層と、前記第1陽極と前記第1発光層との間に位置する正孔輸送層と、を含み、
前記第1発光層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径は、前記正孔輸送層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径より小さい、表示装置。
【請求項2】
前記第1発光層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径は、39nm以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記正孔輸送層及び前記第1発光層の少なくとも一方は、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記正孔輸送層及び前記第1発光層の少なくとも一方は、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
さらに、前記第1陽極から離間した第2陽極と、
前記第1陽極及び前記第2陽極から離間した第3陽極と、
前記第2陽極と前記陰極との間に位置し、前記第1発光層とは異なる材料で形成された第2発光層を含む第2有機層と、
前記第3陽極と前記陰極との間に位置し、前記第1発光層及び前記第2発光層とは異なる材料で形成された第3発光層を含む第3有機層と、を備え、
前記第2発光層及び前記第3発光層は、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2発光層及び前記第3発光層は、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成されている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1発光層は、青色の蛍光を放つ蛍光分子を含んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1発光層は、緑色のりん光を放つりん光分子を含んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1発光層は、赤色のりん光を放つりん光分子を含んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
第1陽極を形成し、
前記第1陽極の上に第1有機層を形成し、
前記第1有機層の上に陰極を形成する、表示装置の製造方法において、
前記第1有機層を形成する工程は、
正孔輸送層を形成する工程と、第1発光層を形成する工程と、を含み、
前記第1陽極と前記第1発光層との間に位置する正孔輸送層と、を含み、
前記正孔輸送層及び前記第1発光層の少なくとも一方は、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成する、表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記正孔輸送層及び前記第1発光層の少なくとも一方は、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成する、請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1陽極を形成する際に、前記第1陽極から離間した第2陽極と、前記第1陽極及び前記第2陽極から離間した第3陽極と、を同時に形成し、
前記陰極を形成する前に、前記第2陽極の上に第2有機層を形成し、
前記陰極を形成する前に、前記第3陽極の上に第3有機層を形成し、
前記第2有機層を形成する工程は、第2発光層を形成する工程を含み、
前記第3有機層を形成する工程は、第3発光層を形成する工程を含み、
前記第2発光層及び前記第3発光層は、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成する、請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2発光層及び前記第3発光層は、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成する、請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1発光層は、青色の蛍光を放つ蛍光分子を含んでいる、請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1発光層は、緑色のりん光を放つりん光分子を含んでいる、請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1発光層は、赤色のりん光を放つりん光分子を含んでいる、請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、陽極と、陽極に対向する陰極と、陽極と陰極との間に位置する有機層と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子において、発光特性を改善することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/148047号
【特許文献2】特開2002-260860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、発光特性を改善することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
第1陽極と、
前記第1陽極に対向する陰極と、
前記第1陽極と前記陰極との間に位置する第1有機層と、を備え、
前記第1有機層は、第1発光層と、前記第1陽極と前記第1発光層との間に位置する正孔輸送層と、を含み、
前記第1発光層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径は、前記正孔輸送層を構成する材料の単位面積当たりの平均粒径より小さい。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
第1陽極を形成し、
前記第1陽極の上に第1有機層を形成し、
前記第1有機層の上に陰極を形成する、表示装置の製造方法において、
前記第1有機層を形成する工程は、
正孔輸送層を形成する工程と、第1発光層を形成する工程と、を含み、
前記第1陽極と前記第1発光層との間に位置する正孔輸送層と、を含み、
前記正孔輸送層及び前記第1発光層の少なくとも一方は、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置DSPを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した表示領域DAにおける画素PXのレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した各画素の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した表示素子201,202,203の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態の蒸着レートで形成した発光層B-EMLの顕微鏡写真である。
【
図6】
図6は、比較例の蒸着レートで形成した発光層B-EMLの顕微鏡写真である。
【
図7】
図7は、有機層OR1の各層の構造をモデル化した図である。
【
図8A】
図8Aは、表示素子201における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、表示素子202における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、表示素子203における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
【
図8D】
図8Dは、表示素子201,202,203における効率を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、表示素子201における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、表示素子202における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、表示素子203における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
【
図10】
図10は、表示素子201における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。
【
図11】
図11は、表示素子202における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。
【
図12】
図12は、表示素子203における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
図1は、実施形態の表示装置DSPを示す斜視図である。
【0011】
表示装置DSPは、基板SUB1、SUB2を備えている。基板SUB1、SUB2は、ガラス基板や樹脂フィルムをベースとして構成されている。基板SUB1は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む周辺領域FAと、を有している。表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。基板SUB2は、表示領域DAに重畳している。周辺領域FAは、配線基板PCSなどを接続するための端子領域EAを有している。端子領域EAは、基板SUB1のうち、基板SUB2よりも外側に位置している。
【0012】
配線基板PCSには、映像信号や駆動信号を出力する駆動素子DRVが設けられている。駆動素子DRVからの信号は、配線基板PCSを介して、表示領域DAの画素PXに入力される。画素PXの各々は、映像信号及び各種制御信号に基づいて発光する。各画素PXからの出射光LTは、基板SUB2を透過し、画像として観察される。
【0013】
図2は、
図1に示した表示領域DAにおける画素PXのレイアウトの一例を示す図である。
【0014】
表示領域DAは、画素PXとして、青光を放つように構成された画素PXB、緑光を放つように構成された画素PXG、及び、赤光を放つように構成された画素PXRを有している。画素PXR及び画素PXBは、第1方向X及び第2方向Yに沿って交互に配置されている。画素PXG及び画素PXBは、第1方向X及び第2方向Yに沿って交互に配置されている。
なお、画素PXのレイアウトは、図示した例に限らない。
【0015】
図3は、
図2に示した各画素の構成の一例を示す図である。
【0016】
画素PXBは表示素子201を備え、画素PXGは表示素子202を備え、画素PXRは表示素子203を備えている。表示素子201,202,203は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0017】
表示素子201は、陽極AE1と、有機層OR1と、陰極CEと、を備えている。陰極CEは、陽極AE1に対向している。有機層OR1は、陽極AE1と陰極CEとの間に位置している。
【0018】
有機層OR1は、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTL1と、電子ブロッキング層EBLと、発光層B-EMLと、正孔ブロッキング層HBLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を備えている。発光層B-EMLは、青光を放つように構成されている。
【0019】
正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL1、及び、電子ブロッキング層EBLは、この順に積層され、陽極AE1と発光層B-EMLとの間に位置している。正孔輸送層HTL1は、厚さT1を有している。電子ブロッキング層EBLは、発光層B-EMLに接している。
【0020】
正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETL、及び、電子注入層EILは、この順に積層され、発光層B-EMLと陰極CEとの間に位置している。正孔ブロッキング層HBLは、発光層B-EMLに接している。
【0021】
図示した例では、高屈折率層HNL1は陰極CEの上に位置し、低屈折率層LNLは高屈折率層HNL1の上に位置し、封止層SELは低屈折率層LNLの上に位置している。高屈折率層HNL1は、厚さT11を有している。高屈折率層HNL1の屈折率は、低屈折率層LNLの屈折率より大きい。高屈折率層HNL1及び低屈折率層LNLの積層体は、発光層B-EMLから放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層(キャップ層)としての役割を有している。封止層SELは、表示素子201を封止する役割を有している。
【0022】
一例では、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL1、電子ブロッキング層EBL、正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETL、電子注入層EIL、陰極CE、高屈折率層HNL1、低屈折率層LNL、及び、封止層SELは、表示素子201,202,203に亘って配置された共通層である。発光層B-EMLは、表示素子201に配置された個別層である。
【0023】
表示素子202は、陽極AE2と、有機層OR2と、陰極CEと、を備えている。陽極AE2は、陽極AE1から離間している。陰極CEは、陽極AE2に対向している。有機層OR2は、陽極AE2と陰極CEとの間に位置している。
【0024】
有機層OR2は、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTL1と、正孔輸送層HTL2と、電子ブロッキング層EBLと、発光層G-EMLと、正孔ブロッキング層HBLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を備えている。発光層G-EMLは、緑光を放つように構成されている。発光層G-EMLは、表示素子202に配置された個別層である。
【0025】
正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL1、正孔輸送層HTL2、及び、電子ブロッキング層EBLは、この順に積層され、陽極AE2と発光層G-EMLとの間に位置している。正孔輸送層HTL1、HTL2は、例えば同一材料で形成され、厚さT2を有している。厚さT2は、厚さT1より大きい。電子ブロッキング層EBLは、発光層G-EMLに接している。
【0026】
正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETL、及び、電子注入層EILは、この順に積層され、発光層G-EMLと陰極CEとの間に位置している。正孔ブロッキング層HBLは、発光層G-EMLに接している。
【0027】
図示した例では、高屈折率層HNL1は陰極CEの上に位置し、高屈折率層HNL2は高屈折率層HNL1の上に位置し、低屈折率層LNLは高屈折率層HNL2の上に位置し、封止層SELは低屈折率層LNLの上に位置している。高屈折率層HNL1、HNL2は、例えば同一材料で形成され、厚さT12を有している。厚さT12は、厚さT11より大きい。高屈折率層HNL1、HNL2及び低屈折率層LNLの積層体は、発光層G-EMLから放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。封止層SELは、表示素子202を封止する役割を有している。
【0028】
表示素子203は、陽極AE3と、有機層OR3と、陰極CEと、を備えている。陽極AE3は、陽極AE1、AE2から離間している。陰極CEは、陽極AE3に対向している。有機層OR3は、陽極AE3と陰極CEとの間に位置している。
【0029】
有機層OR3は、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTL1と、正孔輸送層HTL2と、電子ブロッキング層EBLと、発光層R-EMLと、正孔ブロッキング層HBLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を備えている。発光層R-EMLは、赤光を放つように構成されている。
【0030】
正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL1、正孔輸送層HTL2、及び、電子ブロッキング層EBLは、この順に積層され、陽極AE3と発光層R-EMLとの間に位置している。正孔輸送層HTL1、HTL2は、厚さT3を有している。一例では、厚さT3は、厚さT2より大きい。
【0031】
正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETL、及び、電子注入層EILは、この順に積層され、発光層R-EMLと陰極CEとの間に位置している。
【0032】
図示した例では、高屈折率層HNL1は陰極CEの上に位置し、高屈折率層HNL2は高屈折率層HNL1の上に位置し、低屈折率層LNLは高屈折率層HNL2の上に位置し、封止層SELは低屈折率層LNLの上に位置している。高屈折率層HNL1、HNL2は、厚さT13を有している。一例では、厚さT13は、厚さT13より大きい。高屈折率層HNL1、HNL2及び低屈折率層LNLの積層体は、発光層R-EMLから放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。封止層SELは、表示素子203を封止する役割を有している。
【0033】
正孔注入層HILは陽極AE1、AE2、AE3から正孔輸送層に正孔を注入し、正孔輸送層HTL1、HTL2は注入された正孔を発光層EMLに輸送する。電子ブロッキング層EBLは、陰極CEから注入された電子を発光層EMLに留め、電子が正孔輸送層HTL1、HTL2に漏れ出すのを抑制する。
電子注入層EILは陰極CEから電子輸送層ETLに電子を注入し、電子輸送層ETLは注入された電子を発光層EMLに輸送する。正孔ブロッキング層HBLは、陽極から注入された正孔を発光層EMLに留め、正孔が電子輸送層ETLに漏れ出すのを抑制する。
【0034】
正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTL1、HTL2について、陽極AE1、AE2、AE3からの正孔注入障壁(陽極の仕事関数と正孔輸送層の材料のHOMO準位との差)を低減することにより、正孔をスムーズに流すことができる。
電子注入層EIL及び電子輸送層ETLについては、陰極CEからの電子注入障壁(陰極の仕事関数と電子輸送層の材料のLUMO準位との差)の低減することにより、電子をスムーズに流すことができる。
【0035】
有機層OR1、OR2、OR3での発光は、発光層EMLの材料の最高占有分子軌道(HOMO、一般にイオン化ポテンシャルとして計測される)へ注入された正孔と、最低非占有分子軌道(LUMO、一般に電子親和力として測定される)へ注入された電子によって生成された励起子の励起エネルギーが緩和するときに光を放出することによって得られる。
【0036】
図4は、
図3に示した表示素子201,202,203の製造方法の一例を説明するための図である。
【0037】
まず、導電材料をパターニングすることにより、互いに離間した陽極AE1、AE2、AE3を形成する(ステップST1)。陽極AE1は画素PXBに配置され、陽極AE2は画素PXGに配置され、陽極AE3は画素PXRに配置される。陽極AE1、AE2、AE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などで形成された透明電極、及び、銀(Ag)などで形成された反射電極の積層体である。
その後、隣り合う陽極AE1、AE2、AE3の間にはリブが形成される。リブは、有機絶縁膜であってもよいし、無機絶縁膜であってもよい。
【0038】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って正孔注入層HILを形成する(ステップST2)。正孔注入層HILは、陽極AE1、AE2、AE3の上に配置される。
【0039】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って正孔輸送層HTL1を形成する(ステップST3)。正孔輸送層HTL1は、正孔注入層HILの上に配置される。
【0040】
続いて、画素PXG、PXRに正孔輸送層HTL2を形成する(ステップST4)。正孔輸送層HTL2は、画素PXG、PXRにおいて、正孔輸送層HTL1の上に配置される。このとき、
図3に示したように、画素PXRにおける正孔輸送層HTL2は、画素PXGにおける正孔輸送層HTL2より厚くなるように形成される。
【0041】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って電子ブロッキング層EBLを形成する(ステップST5)。電子ブロッキング層EBLは、画素PXBにおける正孔輸送層HTL1の上に配置され、また、画素PXG、PXRにおける正孔輸送層HTL2の上に配置される。
【0042】
続いて、画素PXBにおいて、発光層B-EMLを形成する(ステップST6)。発光層B-EMLは、ホスト材料及び青光を放つドーパントを共蒸着することで形成する。発光層B-EMLは、陽極AE1の直上において、電子ブロッキング層EBLの上に配置される。
【0043】
続いて、画素PXGにおいて、発光層G-EMLを形成する(ステップST7)。発光層G-EMLは、ホスト材料及び緑光を放つドーパントを共蒸着することで形成する。発光層G-EMLは、陽極AE2の直上において、電子ブロッキング層EBLの上に配置される。
【0044】
続いて、画素PXRにおいて、発光層R-EMLを形成する(ステップST8)。発光層R-EMLは、ホスト材料及び赤光を放つドーパントを共蒸着することで形成する。発光層R-EMLは、陽極AE3の直上において、電子ブロッキング層EBLの上に配置される。
【0045】
なお、発光層B-EML、G-EML、R-EMLの形成順序は、
図4に示す例に限らない。また、赤色の色度はCIEx=0.635、CIEy=0.315であり、緑色の色度はCIEx=0.227、CIEy=0.717であり、青色の色度はCIEx=0.141、CIEy=0.05である。赤色はCIEx、緑色はCIEy、青色はCIEyが画素の設計に重要な役割を果たす。
【0046】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って正孔ブロッキング層HBLを形成する(ステップST9)。正孔ブロッキング層HBLは、画素PXBにおける発光層B-EMLの上に配置され、画素PXGにおける発光層G-EMLの上に配置され、画素PXRにおける発光層R-EMLの上に配置される。
【0047】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って電子輸送層ETLを形成する(ステップST10)。電子輸送層ETLは、正孔ブロッキング層HBLの上に配置される。
【0048】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って電子注入層EILを形成する(ステップST11)。電子注入層EILは、電子輸送層ETLの上に配置される。
【0049】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って陰極CEを形成する(ステップST12)。陰極CEは、電子注入層EILの上に配置される。陰極CEは、例えば、マグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金で形成する。
【0050】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って高屈折率層HNL1を形成する(ステップST13)。高屈折率層HNL1は、陰極CEの上に配置される。
【0051】
続いて、画素PXG、PXRに高屈折率層HNL2を形成する(ステップST14)。高屈折率層HNL2は、画素PXG、PXRにおいて、高屈折率層HNL1の上に配置される。このとき、
図3に示したように、画素PXRにおける高屈折率層HNL2は、画素PXGにおける高屈折率層HNL2より厚くなるように形成される。
【0052】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って低屈折率層LNLを形成する(ステップST15)。低屈折率層LNLは、画素PXBにおける高屈折率層HNL1の上に配置され、また、画素PXG、PXRにおける高屈折率層HNL2の上に配置される。
【0053】
続いて、画素PXB、PXG、PXRに亘って封止層SELを形成する(ステップST16)。封止層SELは、低屈折率層LNLの上に配置される。
【0054】
ところで、上記の製造工程において、発光層B-EMLは、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成し、より好ましくは、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成する。
【0055】
また、他の発光層G-EML、R-EMLも、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成してもよく、また、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成してもよい。
【0056】
さらに、発光層B-EML、G-EML、R-EMLの下地となる正孔輸送層HTL1、HTL2についても、毎秒0.12nm以上の蒸着レートで形成してもよく、また、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成してもよい。
【0057】
発明者は、蒸着レートが異なる条件で発光層B-EMLを形成し、発光特性を比較する実験を行った。
【0058】
図5は、実施形態の蒸着レートで形成した発光層B-EMLの顕微鏡写真である。
本実施形態では、正孔注入層HILは毎秒0.04nmの蒸着レートで形成し、正孔輸送層HTL1は毎秒0.17nmの蒸着レートで形成し、電子ブロッキング層EBLは毎秒0.04nmの蒸着レートで形成し、発光層B-EMLは毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した。
図中の左側は一辺が10μmの正方形の領域(以下、領域A1と称する)の写真であり、図中の右側は一辺が1μmの正方形の領域の写真である。領域A1おいて単位面積当たりの平均粒径は、39nmであった。また、発光層B-EMLの断面を解析したところ、隣接する凹凸の段差の平均値は、2.2nmであった。
【0059】
図6は、比較例の蒸着レートで形成した発光層B-EMLの顕微鏡写真である。
比較例では、正孔注入層HILは毎秒0.04nmの蒸着レートで形成し、正孔輸送層HTL1は毎秒0.04nmの蒸着レートで形成し、電子ブロッキング層EBLは毎秒0.04nmの蒸着レートで形成し、発光層B-EMLは毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した。
図中の左側は一辺が10μmの正方形の領域(以下、領域A1と称する)の写真であり、図中の右側は一辺が1μmの正方形の領域の写真である。領域A1おいて単位面積当たりの平均粒径は、96.4nmであった。また、発光層B-EMLの断面を解析したところ、隣接する凹凸の段差の平均値は、3.3nmであった。
【0060】
図5及び
図6に示した結果を比較すると、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLの蒸着レートを比較例の4倍以上にすることで、発光層B-EMLを構成する材料(ホスト材料)の平均粒径を1/2以下にできること、及び粒子分布を均一にできることが確認された。
【0061】
図7は、有機層OR1の各層の構造をモデル化した図である。
ここでは、有機層OR1のうち、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL1、電子ブロッキング層EBL、及び、発光層B-EMLを示している。
発光層B-EMLよりも下層は、比較的大きい粒径を有するように形成される。発光層B-EMLは、下層の段差を埋めるように比較的小さい粒径を有するように形成される。このため、発光層B-EMLを構成する材料の平均粒径は、正孔輸送層HTL1を構成する材料の平均粒径よりも小さい。
なお、発光層G-EML、R-EMLについても、発光層B-EMLと同様の蒸着レートで形成した場合には、
図7に示したのと同様のモデルが実現される。つまり、発光層G-EML、R-EMLを構成する材料の平均粒径は、正孔輸送層HTL1、HTL2を構成する材料の平均粒径よりも小さい。
【0062】
次に、発光層B-EMLを構成する材料が微粒子化(平均粒径が39nm以下)されたことによる効果について説明する。
【0063】
図8Aは、表示素子201における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
図の横軸は印加電圧(V)であり、図の縦軸は電流密度(mA/cm
2)である。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の結果を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の結果を示している。
図8Aに示すように、実施形態によれば、同一の印加電圧において、より高い電流密度が得られることが確認された。換言すると、実施形態によれば、同一の電流密度を得るために必要な印加電圧を低減できることが確認された。
また、前記の蒸着レートで形成した発光層G-EMLと発光層R-EMLに対しても効果を確認した。
図8Bは、表示素子202における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層G-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の特性を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層G-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の特性を示している。
図8Cは、表示素子203における印加電圧と電流密度との関係の一例を示す図である。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層R-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の特性を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層R-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の特性を示している。
表示素子202における発光層G-EML、及び、表示素子203における発光層R-EMLの実施形態によれば、発光層B-EMLと比較すると、印加電圧に対する影響は無視できるほど小さく、あるいは、同一の電流密度を得るために必要な印加電圧を低減できる効果はわずかである。発光層B-EML、発光層G-EML、及び、発光層R-EMLを比較すると、発光層B-EMLにおいて最も効果が大きいことが確認された。
図8Dは、表示素子201,202,203における効率を示す図である。
図7に記載の有機層OR1のモデルによれば、発光層R-EML、発光層G-EML、発光層B-EMLの全てにおいて一律の効果が得られるのではなく、発光層B-EMLのみ高い強度の相対輝度が得られる。
【0064】
図9Aは、表示素子201における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
図の横軸は電源オフからの経過時間(μ秒)であり、図の縦軸は相対強度である。相対強度は、経過時間0秒の強度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の特性を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の特性を示している。
図9Aに示すように、実施形態によれば、遅延蛍光において比較例よりも高い強度が得られることが確認された。青色等の蛍光分子は、アップコンバージョン増加により高い強度が得られることが知られている。つまり、発光層B-EMLを構成する材料が微粒子化したことにより、単一分子当たりの電流密度が増加し、アップコンバージョンが増加したことに起因するものと推定される。実施形態によれば、表示素子201が備える発光層B-EMLにおいては、効率が約10%向上する。
図9Bは、表示素子202における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
図の横軸は電源オフからの経過時間(μ秒)であり、図の縦軸は相対強度である。相対強度は、経過時間0秒の強度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層G-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の特性を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層G-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の特性を示している。
図9Bに示すように、実施形態によれば、遅延蛍光において比較例よりも低い強度が得られることが確認された。緑色や赤色などのりん光分子は、アップコンバージョン増加により強度が低下することが知られている。つまり、発光層G-EMLを構成する材料が微粒子化したことにより、単一分子当たりの電流密度が増加し、アップコンバージョンが増加したものと推測される。しかし、実施形態によれば、表示素子202が備える発光層G-EMLは、効率が低下する恐れがあるにもかかわらず、その影響は無視できるほど小さい。
図9Cは、表示素子203における時間経過に伴う発光強度の減衰過程を示す図である。
図の横軸は電源オフからの経過時間(μ秒)であり、図の縦軸は相対強度である。相対強度は、経過時間0秒の強度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層R-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の特性を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層R-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の特性を示している。
図9Cに示すように、実施形態によれば、遅延蛍光において比較例よりも低い強度が得られることが確認された。緑色や赤色などのりん光分子は、アップコンバージョン増加により強度が低下することが知られている。つまり、発光層R-EMLを構成する材料が微粒子化したことにより、単一分子当たりの電流密度が増加し、アップコンバージョンが増加したものと推測される。しかし、実施形態によれば、表示素子203が備える発光層R-EMLは、効率が低下する恐れがあるにもかかわらず、その影響は無視できるほど小さい。
【0065】
図10は、表示素子201における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。ここに示す結果は、表示素子201に一定の電流を連続的に流したときに得られる輝度の経時変化に相当するものである。
【0066】
図の横軸は経過時間であり、図の縦軸は相対輝度である。相対輝度は、経過時間0時間の輝度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の結果を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1及び発光層B-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の結果を示している。
図10に示すように、実施形態によれば、時間の経過とともに輝度が低下するものの、いずれの時間においても比較例よりも高い輝度が得られることが確認された。つまり、実施形態によれば、比較例よりも長寿命化を実現できることが確認された。これは、発光層B-EMLを構成する材料が微粒子化したことにより、発光層B-EMLにおいて電流が均一に流れるようになったことに起因するものと推定される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、発光層B-EMLを構成する材料が微粒子化したことにより、表示素子201における発光特性を改善することができる。特に、発光層B-EMLを構成する材料の単位面積当たりの平均粒径が39nm以下である場合に、発光特性の改善が顕著となる。このような発光層B-EMLは、毎秒0.12nm以上の蒸着レート、より好ましくは、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成することで得られる。
【0068】
次に、表示素子202、203について検討する。
【0069】
図11は、表示素子202における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。ここに示す結果は、表示素子202に一定の電圧を連続的に印加したときに得られる輝度の経時変化に相当するものである。
図の横軸は経過時間であり、図の縦軸は相対輝度である。相対輝度は、経過時間0時間の輝度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1、HTL2及び発光層G-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の結果を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1、HTL2及び発光層G-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の結果を示している。
図11に示すように、実施形態によれば、表示素子202において、時間の経過とともに輝度が低下するものの、いずれの時間においても比較例よりも高い輝度が得られることが確認された。つまり、実施形態の表示素子202は、比較例よりも長寿命化を実現できることが確認された。
【0070】
図12は、表示素子203における時間経過に伴う発光輝度の変化の様子を示す図である。ここに示す結果は、表示素子203に一定の電圧を連続的に印加したときに得られる輝度の経時変化に相当するものである。
図の横軸は経過時間であり、図の縦軸は相対輝度である。相対輝度は、経過時間0時間の輝度を1としたときの相対値として示している。
図中のAは、正孔輸送層HTL1、HTL2及び発光層R-EMLを毎秒0.17nmの蒸着レートで形成した実施形態の結果を示している。
図中のBは、正孔輸送層HTL1、HTL2及び発光層R-EMLを毎秒0.04nmの蒸着レートで形成した比較例の結果を示している。
図12に示すように、実施形態によれば、表示素子203において、時間の経過とともに輝度が低下するものの、いずれの時間においても比較例よりも高い輝度が得られることが確認された。つまり、実施形態の表示素子203は、比較例よりも長寿命化を実現できることが確認された。
【0071】
このように、表示素子202,203においても、発光層を構成する材料を微粒子化することにより、発光特性を改善することができる。このような発光層G-EML、R-EMLは、毎秒0.12nm以上の蒸着レート、より好ましくは、毎秒0.17nm以上の蒸着レートで形成することで得られる。
【0072】
本実施形態においては、例えば、陽極AE1は第1陽極に相当し、有機層OR1は第1有機層に相当し、発光層B-EMLは第1発光層に相当し、陽極AE2は第2陽極に相当し、有機層OR2は第2有機層に相当し、発光層G-EMLは第2発光層に相当し、陽極AE3は第3陽極に相当し、有機層OR3は第3有機層に相当し、発光層R-EMLは第3発光層に相当する。あるいは、青色の蛍光を放つ蛍光分子を含む発光層B-EML、緑色のりん光を放つりん光分子を含む発光層G-EML、赤色のりん光を放つりん光分子を含む発光層R-EMLが第1発光層に相当する場合もあり得る。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、発光特性を改善することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
DSP…表示装置
PXB,PXG,PXR…画素
201,202,203…表示素子(有機EL素子)
AE1,AE2,AE3…陽極 CE…陰極
OR1,OR2,OR3…有機層
B-EML…発光層(青)
G-EML…発光層(緑)
R-EML…発光層(赤)