(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090832
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】位置情報通信装置、位置情報通信プログラム及び位置情報管理サーバ
(51)【国際特許分類】
H04W 60/04 20090101AFI20240627BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240627BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20240627BHJP
【FI】
H04W60/04
H04W64/00 171
H04W48/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206975
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】神部 光
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ52
5K067JJ56
5K067JJ65
5K067JJ68
(57)【要約】
【課題】本開示は、通信装置が、セルラー通信又は衛星通信を通じて、自装置の位置情報を送信するにあたり、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点であっても、基地局又は衛星を繰り返し探索することなく、電源装置の消費電力を削減することにより、自装置の稼働時間を長くすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、衛星測位又は自律航法を用いて、自装置4の位置を検出する位置検出部41と、セルラー通信又は衛星通信を通じて、自装置4の位置情報を送信する位置送信部42と、自装置4がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点で、位置送信部42の動作を停止する制御を実行し、自装置4がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれた時点で、位置送信部42の動作を試行する制御を実行する通信制御部43と、を備えることを特徴とする位置情報通信装置4である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位又は自律航法を用いて、自装置の位置を検出する位置検出部と、
セルラー通信又は衛星通信を通じて、前記自装置の位置情報を送信する位置送信部と、
前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点で、前記位置送信部の動作を停止する制御を実行し、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれた時点で、前記位置送信部の動作を試行する制御を実行する通信制御部と、
を備えることを特徴とする位置情報通信装置。
【請求項2】
セルラー通信又は衛星通信を通じて、前記自装置の位置周辺について、セルラー通信又は衛星通信の圏内外の分布情報を取得する圏内外情報取得部をさらに備え、
前記通信制御部は、前記自装置の位置及び前記圏内外の分布情報に基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の位置情報通信装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点から、ユーザーにより設定された所定時間を経過したかどうかに基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の位置情報通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した位置から、ユーザーにより設定された所定距離を移動したかどうかに基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の位置情報通信装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の位置情報通信装置が備える各処理部が行なう各処理ステップを、前記位置情報通信装置に実行させるための位置情報通信プログラム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の複数の位置情報通信装置から、セルラー通信又は衛星通信を通じて、各々の位置情報通信装置の位置情報を取得する位置取得部と、
前記複数の位置情報通信装置の位置情報が空間内に分布する密度の高低に基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内外の分布情報を生成する圏内外情報生成部と、
前記複数の位置情報通信装置へと、セルラー通信又は衛星通信を通じて、各々の位置情報通信装置の位置周辺について、前記圏内外の分布情報を送信する圏内外情報送信部と、
を備えることを特徴とする位置情報管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置が、自装置の位置を検出したうえで、セルラー通信又は衛星通信を通じて、位置情報管理サーバへと、自装置の位置情報を送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車載装置又は携帯電話等の通信装置が、自装置の位置を検出したうえで、位置情報管理サーバへと、自装置の位置情報を送信する技術が、車両の位置情報管理システム又は子供の見守りサービス等に適用されている。特許文献1では、通信装置は、自装置の位置を検出したうえで、セルラー通信を通じて、位置情報管理サーバへと、自装置の位置情報を送信している。特許文献2では、通信装置は、自装置の位置を検出したうえで、衛星通信を通じて、位置情報管理サーバへと、自装置の位置情報を送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-040733号公報
【特許文献2】実用新案登録第3029032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の位置情報通信処理の手順を
図1に示す。通信装置は、衛星測位又は自律航法を用いて、自装置の位置を検出する。そして、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信を通じて、位置情報管理サーバへと、自装置の位置情報を送信する(ステップS1)。
【0005】
ここで、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点で、基地局又は衛星を探索する(ステップS2)。そして、通信装置は、基地局又は衛星の探索に失敗したときには、ステップS2を繰り返す。一方で、通信装置は、基地局又は衛星の探索に成功し、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰した時点で、ステップS1へと戻る。
【0006】
しかし、通信装置は、基地局又は衛星の探索に成功するまでには、送受信回路を動作させ続ける必要がある。よって、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外に位置する期間では、セルラー通信又は衛星通信の圏内に位置する期間と比べて、電源装置の消費電力を増大させてしまい、自装置の稼働時間を長くすることができない。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、通信装置が、セルラー通信又は衛星通信を通じて、自装置の位置情報を送信するにあたり、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点であっても、基地局又は衛星を繰り返し探索することなく、電源装置の消費電力を削減することにより、自装置の稼働時間を長くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の「圏外」に離脱した時点で、位置送信部の動作を「停止」する制御を実行することとした。しかし、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰することを、できる限りの早期に目指している。そこで、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の「圏内」に復帰したと「見込まれた」時点で、位置送信部の動作を「試行」する制御を実行することとした。
【0009】
具体的には、本開示は、衛星測位又は自律航法を用いて、自装置の位置を検出する位置検出部と、セルラー通信又は衛星通信を通じて、前記自装置の位置情報を送信する位置送信部と、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点で、前記位置送信部の動作を停止する制御を実行し、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれた時点で、前記位置送信部の動作を試行する制御を実行する通信制御部と、を備えることを特徴とする位置情報通信装置である。
【0010】
この構成によれば、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点であっても、基地局又は衛星を繰り返し探索することなく、電源装置の消費電力を削減することにより、自装置の稼働時間を長くすることができる。そして、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した後に、セルラー通信又は衛星通信の圏内にできる限り早期に復帰することができる。
【0011】
また、本開示は、セルラー通信又は衛星通信を通じて、前記自装置の位置周辺について、セルラー通信又は衛星通信の圏内外の分布情報を取得する圏内外情報取得部をさらに備え、前記通信制御部は、前記自装置の位置及び前記圏内外の分布情報に基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定することを特徴とする位置情報通信装置である。
【0012】
この構成によれば、通信装置は、自装置の位置が圏内の分布範囲に入ったことに基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、通信装置は、圏内外の分布情報を、後述の位置情報管理サーバから取得することができる。
【0013】
また、本開示は、前記通信制御部は、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点から、ユーザーにより設定された所定時間を経過したかどうかに基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定することを特徴とする位置情報通信装置である。
【0014】
この構成によれば、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外離脱から所定時間を経過したことに基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、所定時間は、電源装置の消費電力の削減と、通信装置の早期の圏内復帰と、のトレードオフに応じて、ユーザーにより設定されればよい。
【0015】
また、本開示は、前記通信制御部は、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した位置から、ユーザーにより設定された所定距離を移動したかどうかに基づいて、前記自装置がセルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定することを特徴とする位置情報通信装置である。
【0016】
この構成によれば、通信装置は、セルラー通信又は衛星通信の圏外離脱から所定距離を移動したことに基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、所定距離は、電源装置の消費電力の削減と、通信装置の早期の圏内復帰と、のトレードオフに応じて、ユーザーにより設定されればよい。
【0017】
また、本開示は、以上に記載の位置情報通信装置が備える各処理部が行なう各処理ステップを、前記位置情報通信装置に実行させるための位置情報通信プログラムである。
【0018】
この構成によれば、以上に記載の効果を有するプログラムを提供することができる。
【0019】
また、本開示は、以上に記載の複数の位置情報通信装置から、セルラー通信又は衛星通信を通じて、各々の位置情報通信装置の位置情報を取得する位置取得部と、前記複数の位置情報通信装置の位置情報が空間内に分布する密度の高低に基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内外の分布情報を生成する圏内外情報生成部と、前記複数の位置情報通信装置へと、セルラー通信又は衛星通信を通じて、各々の位置情報通信装置の位置周辺について、前記圏内外の分布情報を送信する圏内外情報送信部と、を備えることを特徴とする位置情報管理サーバである。
【0020】
この構成によれば、位置情報管理サーバは、圏内外の分布情報を、前述の通信装置へと送信することができる。そして、通信装置は、自装置の位置が圏内の分布範囲に入ったことに基づいて、セルラー通信又は衛星通信の圏内に復帰したと見込むことができる。
【0021】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本開示は、通信装置が、セルラー通信又は衛星通信を通じて、自装置の位置情報を送信するにあたり、セルラー通信又は衛星通信の圏外に離脱した時点であっても、基地局又は衛星を繰り返し探索することなく、電源装置の消費電力を削減することにより、自装置の稼働時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来技術の位置情報通信処理の手順を示す図である。
【
図2】本開示の位置情報通信システムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の位置情報通信処理の手順を示す図である。
【
図4】本開示の圏内外の分布情報の生成処理を示す図である。
【
図5】本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を示す図である。
【
図6】本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を示す図である。
【
図7】本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0025】
(本開示の位置情報通信システムの概要)
本開示の位置情報通信システムの構成を
図2に示す。本開示の位置情報通信処理の手順を
図3に示す。位置情報通信システムSは、GPSセンサ1、慣性センサ2、電源装置3、位置情報通信装置4、セルラー通信網5、衛星通信網6及び位置情報管理サーバ7を備える。位置情報通信システムSは、車両の位置情報管理システム又は子供の見守りサービス等に適用され、位置情報通信装置4は、車載装置又は携帯電話等であり、電源装置3は、車載電源又は内蔵電源等であり、特に内蔵電源は、省電力化が必須である。
【0026】
位置情報通信装置4は、位置検出部41、位置送信部42、通信制御部43及び圏内外情報取得部44を備える。位置情報通信装置4は、
図3に示した位置情報通信プログラムを、車載装置又は携帯電話等にインストールし、実現可能である。位置情報管理サーバ7は、位置取得部71、圏内外情報生成部72及び圏内外情報送信部73を備える。
【0027】
本開示では、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の「圏外」に離脱した時点で、位置送信部42の動作を「停止」する制御を実行することとした。しかし、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰することを、できる限りの早期に目指している。そこで、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の「圏内」に復帰したと「見込まれた」時点で、位置送信部42の動作を「試行」する制御を実行することとした。ここで、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の「圏内」に復帰したと「見込む」ために、
図5から
図7までに示す3種類の方法を適用することができる。
【0028】
このように、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点であっても、基地局又は衛星を繰り返し探索することなく、電源装置3の消費電力を削減することにより、自装置4の稼働時間を長くすることができる。そして、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した後に、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内にできる限り早期に復帰することができる。
【0029】
(本開示の位置情報通信装置の通常圏内処理)
位置検出部41は、GPSセンサ1による衛星測位又は慣性センサ2による自律航法を用いて、自装置4の位置を検出する(ステップS11)。ここで、位置検出部41は、衛星の見通し範囲では、GPSセンサ1による衛星測位を用いる一方で、トンネル又は地下等では、慣性センサ2による自律航法を用いてもよい。そして、位置検出部41は、GPS信号のロスト時点でのGPSセンサ1による自装置4の測位位置に、慣性センサ2による自装置4の計測加速度の積分値を加算し、現時点での自装置4の位置を検出してもよい。
【0030】
位置送信部42は、セルラー通信網5又は衛星通信網6を通じて、位置情報管理サーバ7へと、自装置4の位置情報を送信する(ステップS11)。位置取得部71は、セルラー通信網5又は衛星通信網6を通じて、位置情報通信装置4から、位置情報通信装置4の位置情報を取得する。位置情報管理サーバ7は、複数の位置情報通信装置4の位置情報を管理するとともに、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報を生成する。
【0031】
本開示の圏内外の分布情報の生成処理を
図4に示す。圏内外情報生成部72は、複数の位置情報通信装置4-1、4-2、4-3、4-4の位置情報が空間内に分布する密度の高低に基づいて、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aを生成する。
【0032】
図4の左欄では、取得した位置情報Lにおいて、位置情報通信装置4-1、4-2、4-3、4-4の位置は、左上側、左下側、左側、上側から右下側、右上側、右側、下側へと移動しているが、これらの経路の途中において情報を取得されていない。
【0033】
図4の右欄では、圏内外の分布情報Aにおいて、位置情報通信装置4-1、4-2、4-3、4-4の位置情報が高密度に及び取得されている範囲は、圏内の分布範囲Iに設定されており、位置情報通信装置4-1、4-2、4-3、4-4の位置情報が低密度にしか取得されていない範囲は、圏外の分布範囲Oに設定されている。
【0034】
なお、圏内の分布範囲I及び圏外の分布範囲Oは、セルラー通信網5(通信速度が速い)及び衛星通信網6(圏内範囲が広い)について、範囲が相違してもよい。また、圏内の分布範囲I及び圏外の分布範囲Oは、時刻に応じて範囲が変化してもよい。
【0035】
圏内外情報送信部73は、セルラー通信網5又は衛星通信網6を通じて、複数の位置情報通信装置4へと、各々の位置情報通信装置4の位置周辺について、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aを送信する。圏内外情報取得部44は、セルラー通信網5又は衛星通信網6を通じて、位置情報管理サーバ7から、自装置4の位置周辺について、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aを取得する(ステップS11)。位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aに基づいて、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に早期に復帰可能である。
【0036】
なお、圏内外情報取得部44は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aを、自装置4の初期状態において取得してもよく、自装置4の移動状態において取得してもよい。また、圏内外情報取得部44は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内外の分布情報Aを取得する範囲(自装置4の位置周辺の範囲)を、自装置4のメモリ領域の大きさに応じて設定してもよく、自装置4の通信速度の速さに応じて設定してもよい。
【0037】
(本開示の位置情報通信装置の圏内復帰処理)
通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点で、位置送信部42の動作を停止する制御を実行する(ステップS12)。つまり、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点で、基地局又は衛星を繰り返し探索することはない。ここで、通信制御部43は、自装置4におけるセルラー通信網5又は衛星通信網6からの受信信号レベルが低いことに基づいて、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱したと判定すればよい。
【0038】
位置検出部41は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点も、GPSセンサ1による衛星測位又は慣性センサ2による自律航法を用いて、自装置4の位置を検出する処理を継続する(ステップS12)。ここで、位置検出部41は、衛星の見通し範囲では、GPSセンサ1による衛星測位を用いる一方で、トンネル又は地下等では、慣性センサ2による自律航法を用いてもよい。そして、位置検出部41は、GPS信号のロスト時点でのGPSセンサ1による自装置4の測位位置に、慣性センサ2による自装置4の計測加速度の積分値を加算し、現時点での自装置4の位置を検出してもよい。
【0039】
通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれた時点で、位置送信部42の動作を試行する制御を実行する(ステップS13)。ここで、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込むために、
図5から
図7までに示す3種類の方法を適用することができる。
【0040】
そして、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に実際に復帰し、位置送信部42の動作の試行に成功したときには、ステップS11へと戻る。一方で、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に未だに復帰せず、位置送信部42の動作の試行に失敗したときには、ステップS12を繰り返す。
【0041】
本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を
図5に示す。通信制御部43は、自装置4の位置及び圏内外の分布情報Aに基づいて、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0042】
図5の左欄では、通信制御部43は、自装置4の位置が圏内外の分布情報Aのうちの圏外の分布範囲Oに存在することから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱していると見込まれると判定する。
図5の右欄では、通信制御部43は、自装置4の位置が圏内外の分布情報Aのうちの圏内の分布範囲Iに存在することから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれると判定する。
【0043】
なお、圏内の分布範囲I及び圏外の分布範囲Oは、セルラー通信網5(通信速度が速い)及び衛星通信網6(圏内範囲が広い)について、範囲が相違することがある。そこで、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5の圏内に復帰したと見込まれるかどうか、自装置4が衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれるかどうか、を別個に判定してもよい。そして、信号送信部42は、セルラー通信網5を通じて自装置4の位置情報を送信するか、衛星通信網6を通じて自装置4の位置情報を送信するか、を選択してもよい。
【0044】
このように、位置情報通信装置4は、自装置4の位置が圏内の分布範囲Iに入ったことに基づいて、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、位置情報管理サーバ7は、圏内外の分布情報Aを、位置情報通信装置4へと送信することができる。そして、位置情報通信装置4は、圏内外の分布情報Aを、位置情報管理サーバ7から取得することができる。
【0045】
本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を
図6にも示す。通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点から、ユーザーにより設定された所定時間を経過したかどうかに基づいて、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0046】
まず、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点から、ユーザーにより設定された所定時間を経過しないことから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱していると見込まれると判定する。そして、通信制御部43は、位置送信部42の動作を停止する制御を実行する。
【0047】
次に、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した時点から、ユーザーにより設定された所定時間を経過したことから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれると判定する。そして、通信制御部43は、位置送信部42の動作を試行する制御を実行する。さらに、位置送信部42は、送信の動作の試行に成功したことから、送信の動作を再開する。
【0048】
このように、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外離脱から所定時間を経過したことに基づいて、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、所定時間は、電源装置3の消費電力の削減と、位置情報通信装置4の早期の圏内復帰と、のトレードオフに応じて、ユーザーにより設定されればよい。つまり、所定時間は、電源装置3の消費電力の削減を優先するためには、長時間に設定されることが望ましい。一方で、所定時間は、位置情報通信装置4の早期の圏内復帰を優先するためには、短時間に設定されることが望ましい。
【0049】
本開示の圏内復帰の見込みの判定処理を
図7にも示す。通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した位置から、ユーザーにより設定された所定距離を移動したかどうかに基づいて、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0050】
まず、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した位置から、ユーザーにより設定された所定距離を移動しないことから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱していると見込まれると判定する。そして、通信制御部43は、位置送信部42の動作を停止する制御を実行する。
【0051】
次に、通信制御部43は、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外に離脱した位置から、ユーザーにより設定された所定距離を移動したことから、自装置4がセルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込まれると判定する。そして、通信制御部43は、位置送信部42の動作を試行する制御を実行する。さらに、位置送信部42は、送信の動作の試行に成功したことから、送信の動作を再開する。
【0052】
このように、位置情報通信装置4は、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏外離脱から所定距離を移動したことに基づいて、セルラー通信網5又は衛星通信網6の圏内に復帰したと見込むことができる。ここで、所定距離は、電源装置3の消費電力の削減と、位置情報通信装置4の早期の圏内復帰と、のトレードオフに応じて、ユーザーにより設定されればよい。つまり、所定距離は、電源装置3の消費電力の削減を優先するためには、長距離に設定されることが望ましい。一方で、所定距離は、位置情報通信装置4の早期の圏内復帰を優先するためには、短距離に設定されることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示の位置情報通信装置、位置情報通信プログラム及び位置情報管理サーバは、車両の位置情報管理システム又は子供の見守りサービス等に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
S:位置情報通信システム
L:取得した位置情報
A:圏内外の分布情報
I:圏内の分布範囲
O:圏外の分布範囲
1:GPSセンサ
2:慣性センサ
3:電源装置
4、4-1、4-2、4-3、4-4:位置情報通信装置
5:セルラー通信網
6:衛星通信網
7:位置情報管理サーバ
41:位置検出部
42:位置送信部
43:通信制御部
44:圏内外情報取得部
71:位置取得部
72:圏内外情報生成部
73:圏内外情報送信部