(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090847
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240627BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207001
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】井手 直弥
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM08
4F206AM19
4F206AP06
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JP15
4F206JP26
4F206JP30
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】オペレータの作業効率が高い射出成形機を提供する。
【解決手段】ベッド(B)上に、型締装置(2)と射出装置(3)とコントローラ(4)とが設けられ、コントローラ(4)が型締装置(2)と射出装置(3)とに共に隣接するよう設けられている射出成形機(1)を対象とする。コントローラ(4)に設けられているモニタ(5)を、型締装置(2)と射出装置(3)とを共に背にする標準方向と、型締装置(2)を背にすると共に射出装置(3)寄りに向く射出装置方向と、射出装置(3)を背にすると共に型締装置(2)寄りに向く型締装置方向とに、向きの変更を可能に構成する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド上に設けられている型締装置と、
前記ベッド上において前記型締装置の側方に設けられている射出装置と、
前記型締装置と前記射出装置とを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは前記型締装置と前記射出装置とに共に隣接するように前記ベッド上に設けられ、
前記コントローラに設けられているモニタは、前記型締装置と前記射出装置とを共に背にする標準方向と、前記型締装置を背にすると共に前記射出装置よりに向く射出装置方向と、前記射出装置を背にすると共に前記型締装置よりに向く型締装置方向とに、向きの変更が可能になっている、射出成形機。
【請求項2】
前記射出成形機にはモニタ向き検出手段が設けられ、前記モニタの向きが検出されるようになっている、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記コントローラは前記射出成形機において、前記モニタの向きが前記標準方向から前記射出装置方向または前記型締装置方向に変更されたことを検出したら、前記射出成形機における運転可能な操作を制限する制限処理を実施するようになっている、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記制限処理は、実行中の成形サイクルがある場合に成形サイクルの完了を待って前記射出成形機の運転を停止する運転停止処理を含む、請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記コントローラは運転スイッチが設けられていると共に前記射出成形機の運転を制御する複数の制御モードを備え、
複数の前記制御モードには、前記射出成形機において成形サイクルを連続運転させる全自動モードと、成形サイクルを1サイクルだけ運転させる半自動モードと、前記運転スイッチをONしている間だけ前記射出成形機を運転させる手動モードと、前記運転スイッチをONしている間だけ前記全自動モードで運転させる場合に比して前記射出成形機を低速で運転させる準備モードと、が用意されており、
前記コントローラは、前記モニタの向きが前記標準方向から他の方向への変更が検出されたら、実行中の成形サイクルがあるとき前記運転停止処理を実行し、前記モニタに前記準備モードまたは前記手動モードへの制御モードの切り換えを促すメッセージを表示する、請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記コントローラは運転スイッチが設けられていると共に前記射出成形機の運転を制御する複数の制御モードを備え、
複数の前記制御モードには、前記射出成形機において成形サイクルを連続運転させる全自動モードと、成形サイクルを1サイクルだけ運転させる半自動モードと、前記運転スイッチをONしている間に前記全自動モードで運転させる場合に比して前記射出装置だけを低速で運転させる射出装置準備モードと、前記運転スイッチをONしている間に前記全自動モードで運転させる場合に比して前記型締装置だけを低速で運転させる型締装置準備モードと、が用意されており、
前記コントローラは、前記モニタの向きが前記標準方向から前記射出装置方向への変更が検出されたら、実行中の成形サイクルがあるとき前記運転停止処理を実行し、その後前記モニタに前記射出装置準備モードへの制御モードの切り換えを促すメッセージを表示し、オペレータから了解の入力があったら前記射出装置準備モードへ切り換えるようにし、
前記モニタの向きが前記標準方向から前記型締装置方向への変更が検出されたら、実行中の成形サイクルがあるとき前記運転停止処理を実行し、その後前記モニタに前記型締装置準備モードへの制御モードの切り換えを促すメッセージを表示し、オペレータから了解の入力があったら前記型締装置準備モードへ切り換えるようにする、請求項4に記載の射出成形機。
【請求項7】
複数の前記制御モードには、前記運転スイッチをONしている間に前記射出装置だけを運転させる射出装置手動モードと、前記運転スイッチをONしている間に前記型締装置だけを運転させる型締装置手動モードと、が用意されており、
前記コントローラは、前記モニタにおいて前記射出装置準備モードへの制御の切り換えのメッセージを表示後に、オペレータから拒否の入力があったら、前記モニタに前記射出装置手動モードへの制御モードの切り換えを促すメッセージを表示し、オペレータから了解の入力があったら前記射出装置手動モードへ切り換えるようにし、
前記モニタにおいて前記型締装置準備モードへの制御の切り換えのメッセージを表示後に、オペレータから拒否の入力があったら、前記モニタに前記型締装置手動モードへの制御切り換えを促すメッセージを表示し、オペレータから了解の入力があったら前記型締装置手動モードへ切り換えるようにする、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記コントローラは、前記モニタにおいて前記射出装置手動モードへの制御の切り換えのメッセージを表示後に、オペレータから拒否の入力があったら、あるいは前記モニタにおいて前記型締装置手動モードへの制御の切り換えのメッセージを表示後に、オペレータから拒否の入力があったら、前記モニタの向きが前記標準方向に変更されたことが検出されるまで、前記射出成形機の運転を禁止する、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記コントローラは、前記モニタの向きが前記標準方向になっているときのみ、前記全自動モードまたは前記半自動モードへの制御モードの切換を許可するようになっている、請求項5または6に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上に設けられている型締装置と、ベッド上において型締装置の側方に設けられている射出装置と、型締装置と射出装置とを制御するコントローラと、を備えた射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は金型を型締めする型締装置、射出材料を溶融して金型に射出する射出装置等を備えている。いわゆる横型の射出成形機は、例えば特許文献1に記載されているように、ベッド上に設けられている型締装置と、ベッド上において型締装置の側方に設けられている射出装置と、型締装置と射出装置とを制御するコントローラと、を備えている。コントローラは型締装置と射出装置とに共に隣接するようにベッドに設けられている。つまりコントローラは型締装置にも、射出装置にも近い位置に配置されており、これらの装置を効率良く操作、メンテナンスできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような射出成形機において、コントローラは型締装置と射出装置とを共に背にするように向きが固定されている。したがって、コントローラに設けられているモニタはその向きが固定になっていて、コントローラにおいて操作をするオペレータは常に型締装置と射出装置とに向かい合うようになっている。しかしながら、オペレータが実施する作業によっては、金型の取り付け作業のように型締装置だけを操作したい場合もある。あるいは、射出ノズル交換等のように射出装置だけを操作したい場合もある。コントローラの向きが固定になっていると、作業効率に影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
なお、射出成形機において射出装置をメンテナンスする場合、射出装置をベッド上で旋回させることがある。このときコントローラが射出装置と干渉しないようにコントローラを90度横向きに回転させることができるようになっている。しかしながら、このコントローラの回転は、射出装置の旋回のためのものであって、コントローラが回転している状態でのコントローラにおける操作は想定されていない。
【0006】
本開示において、オペレータの作業効率が高い射出成形機を提供する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、コントローラに設けられているモニタを、型締装置と射出装置とを共に背にする標準方向と、型締装置を背にすると共に射出装置よりに向く射出装置方向と、射出装置を背にすると共に型締装置よりに向く型締装置方向とに、向きの変更を可能に構成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、オペレータの作業効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
【
図2A】コントローラが標準方向に向いている、本実施の形態に係る射出成形機の上面図である。
【
図2B】コントローラが射出装置方向に向いている、本実施の形態に係る射出成形機の上面図である。
【
図2C】コントローラが型締装置方向に向いている、本実施の形態に係る射出成形機の上面図である。
【
図3】本実施の形態に係る射出成形機における運転モードを示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る射出成形機において、モニタを型締装置方向に向けたときの処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施の形態に係る射出成形機において、モニタを射出装置方向に向けたときの処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施の形態に係る射出成形機において、モニタを標準方向に向けたときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0012】
<射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、
図1に示されているように、ベッドB上に設けられている型締装置2と、ベッドB上において型締装置2の側方に設けられている射出装置3と、これらを制御するコントローラ4と、を備えている。コントローラ4は、型締装置2と射出装置3とに共に隣接するようにベッドB上に設けられ、コントローラ4にモニタ5が設けられている。本実施の形態に係るコントローラ4は、後で詳しく説明するように、モニタ5の向きを変更できるようになっている。
【0013】
<型締装置>
型締装置2は、ベッドBに固定されている固定盤7と、ベッドB上をスライド自在に設けられている可動盤8と、型締ハウジング9と、を備えている。固定盤7と型締ハウジング9は複数本のタイバー11、11、…により連結されており、可動盤8は固定盤7と型締ハウジング9の間でスライド自在になっている。型締ハウジング9と可動盤8の間には型締機構が、すなわち本実施の形態においてはトグル機構13が設けられている。固定盤7と可動盤8には、それぞれ固定側金型15、可動側金型16が設けられている。従って、トグル機構13を駆動すると金型15、16が型開閉される。なお、型締装置2は、
図1において二点鎖線で示めされているように、安全カバー17によって覆われている。
【0014】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ19と、加熱シリンダ19内に設けられているスクリュ20と、スクリュ駆動装置22と、を備えている。加熱シリンダ19はスクリュ駆動装置22に支持されており、スクリュ20はスクリュ駆動装置22によって回転方向と軸方向とに駆動されるようになっている。加熱シリンダ19にはホッパ23と、射出ノズル24とが設けられている。また、加熱シリンダ19にはヒータ25、25、…が設けられている。
【0015】
<コントローラ>
本実施の形態に係る射出成形機1は、コントローラ4と共にモニタ5の向きを変更することができるようになっている。
図2Aにはモニタ5が標準方向、つまり型締装置2と射出装置3とを共に背にする方向になっている様子が示されている。これに対して、
図2Bには、コントローラ4を回転させてモニタ5が射出装置方向、つまり型締装置2を背にすると共に射出装置3寄りに向いている状態が示されている。また、
図2Cには、コントローラ4を反対方向に回転させてモニタ5が型締装置方向、つまり射出装置3を背にすると共に型締装置2寄りに向いている状態が示されている。
【0016】
このように本実施の形態に係る射出成形機1はコントローラ4を回転させてモニタ5の向きを変更することができるようになっているが、モニタ5の向きを検出する手段が設けられている。すなわち、コントローラ4には
図1に示されているようにモニタ向き検出手段27が設けられている。モニタ5の向きが変更されたらモニタ向き検出手段27によって検出される。そうすると、後で説明するようにコントローラ4において、制御モードが変更されるようになっている。なお、モニタ向き検出手段27はリミットスイッチから構成してもよいし、ジャイロセンサから構成してもよいし、他のセンサから構成してもよい。つまりセンサの種類は問わない。
【0017】
<制御モード>
本実施の形態に係る射出成形機1においてコントローラ4には、
図3に示されているように複数の制御モードが用意されている。全自動モードは、成形サイクルを繰り返す制御モードになっている。そして半自動モードは、1回だけ成形サイクルを実施する制御モードになっている。全自動モードも、半自動モードも、いずれもモニタ5が標準方向に向いているときだけ選択できるようになっている。
【0018】
他の制御モードを説明する前に全自動モード、半自動モードで実施する成形サイクルを説明する。成形サイクルは、型締装置2(
図1参照)において金型15、16を型閉じする型閉工程によって開始される。次いで、金型15、16を型締めする型締工程、射出ノズル24を固定側金型15にタッチさせるノズルタッチ工程、射出装置3においてスクリュ20を軸方向に駆動して金型15、16に射出材料を射出する射出工程、射出材料に圧力を印可する保圧工程と続く。そして、金型15、16のキャビティに充填された成形品が冷却される冷却工程を実施し、このとき並行してスクリュ20を回転して射出材料を溶融し計量する可塑化工程、射出装置3を後退させて射出ノズル24を固定側金型15から離間するノズル後退工程を実施する。最後に型締装置2において型開工程を実施し、エジェクタによって成形品を突き出すエジェクタ工程で成形サイクルが完了することになる。
【0019】
コントローラ4において用意されている他の制御モードを説明する。コントローラ4には、
図3に示されているように手動モード、準備モードが用意されている。手動モードは、コントローラ4において設定された設定データにしたがって射出成形機1を動作させるモードである。コントローラ4には
図1に示されているように、運転スイッチ29が設けられている。運転スイッチ29は押している間だけONになり、手を離すとOFFになる。手動モードはこの運転スイッチ29を押してONになっている間だけ射出成形機1が動作する。本実施の形態において手動モードとして、通常の手動モードの他に型締手動モードと射出手動モードとが用意されている。
【0020】
通常の手動モードのときは、型締装置2と射出装置3とを動作させることができる。しかしながら、型締手動モードでは型締装置2だけを操作でき、射出装置3は操作できない。例えば、型締装置の型厚調整、型締力調整、型開閉速度の調整、金型15、16のヒータの数値の変更等は可能になるが、射出装置3の操作は禁止される。これに対して射出手動モードでは射出装置3だけを操作でき、型締装置2は操作できない。例えば、射出装置3におけるパージ段取り作業、射出装置3の前進/後進、ヒータ25、25、…に関する設定データの変更等はできるが、型締装置2の操作は禁止される。
【0021】
準備モードは、射出成形機1を低速で動作させる制御モードであり、金型15、16を型締装置2に取り付ける金型段取り作業や、射出装置3において射出材料をパージするパージ段取り作業を実施するときに選択される。準備モードも運転スイッチ29を押してONしているときだけ射出成形機1が動作するようになっている。本実施の形態において準備モードとして、通常の準備モードの他に型締準備モードと射出準備モードとが用意されている。通常の準備モードのときは、型締装置2と射出装置3とを低速で動作させることができるが、型締準備モードでは型締装置2だけを、そして射出準備モードでは射出装置3だけを低速で動作させるようになっている。
【0022】
<モニタの向きの変更と制御モードの切り換え>
本実施の形態に係る射出成形機1は、コントローラ4つまりモニタ5の向きを変えると、制御に制限が加えられるようになっている。これを説明する。なお、以下の説明では
図2A、
図2B及び
図2Cについても適宜参照する。
【0023】
<標準方向:全自動モード/半自動モード、から型締装置方向への変更>
最初にモニタ5の向きが標準方向になっていて、制御モードが全自動モード、または半自動モードになっている状態から説明する。つまり成形サイクルが実施されている状態から説明する。オペレータがモニタ5の向きを型締装置方向に変更する。そうすると、コントローラ4は射出成形機1における運転可能な操作を制限する制限処理を実行する。本実施の形態においては、
図4に示されているフローチャートを実行する。まずステップS01において制限処理として成形サイクルの停止を行う。つまり、現在実行中の成形サイクルを停止させる。ただし成形サイクルは前記したように型閉工程で開始してエジェクタ工程で完了するようになっている。成形サイクルの停止は、成形サイクルの完了であるエジェクタ工程の完了を待って実施する。コントローラ4は射出成形機1の動作を停止させる。
【0024】
次にコントローラ4はステップS02を実行する。すなわち、モニタ5に「型締準備モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、型締準備モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS03によりオペレータの指示を判定する。型締準備モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は型締準備モードに切り換える(ステップS07)。型締準備モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS04に移行する。
【0025】
コントローラ4はステップS04を実行し、モニタ5に「型締手動モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、型締手動モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS05によりオペレータの指示を判定する。型締手動モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は型締手動モードに切り換える(ステップS08)。型締手動モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS06に移行する。
【0026】
コントローラ4は、ステップS06において射出成形機1の動作を禁止する。コントローラ4において、オペレータは設定データの変更以外の操作ができなくなる。以後、オペレータがコントローラ4つまりモニタ5の向きを標準方向に向けるか、あるいはコントローラ4を操作して型締準備モード、あるいは型締手動モードに切り換えるまで、この状態が維持される。
【0027】
本実施の形態に係る射出成形機1において、モニタ5の向きを型締装置方向に切り換えると、上で説明したように型締準備モード、あるいは型締手動モードを選択するようにコントローラ4が制御するので、オペレータや他の作業者の安全性が確保される。オペレータは型締装置2において例えば金型段取り作業等を実施するとき、モニタ5の向きを型締装置方向に向ける。そうすると、型締装置2を操作し易くなりオペレータの作業の安全性が高い。このときモニタ5は射出装置3を背にするので、他の作業者が射出装置3の近傍にいたとしても気づかない。もし、オペレータがコントローラ4を操作して射出装置3が動作してしまうと、他の作業者が危険にさらされてしまう。本実施の形態においては型締準備モード、型締手動モードにして、射出装置3を操作できなくするので、他の作業者の安全を確保することができる。
【0028】
<標準方向:手動モード、から型締装置方向への変更>
次にモニタ5の向きが標準方向になっていて、制御モードが手動モードになっているとき、モニタ5の向きを型締装置方向に切り換えた場合を説明する。この場合、すでに手動モードになっているので、射出成形機1において成形サイクルは停止した状態になっている。モニタ5の型締装置方向への切り換えを検出したら、コントローラ4は、
図4に示されているように、ステップS02を実行する。ステップS02はすでに説明しているように、モニタ5に「型締準備モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる処理である。以下、コントローラ4は、すでに説明したようにステップS03以下を処理して、制御モードを型締準備モードに切り換え(ステップS07)たり、型締手動モードに切り換え(ステップS08)たり、あるいは射出成形機1の動作を停止(ステップS06)する。
【0029】
<標準方向:全自動モード/半自動モード、から射出装置方向への変更>
次にモニタ5の向きが標準方向になっていて、制御モードが全自動モード、または半自動モードで、成形サイクルが実施されているとき、モニタ5が射出装置方向に切り換えられた場合を説明する。オペレータがモニタ5の向きを射出装置方向に変更する。そうすると、コントローラ4は射出成形機1における運転可能な操作を制限する制限処理を実行する。本実施の形態においては、
図5に示されているフローチャートを実行する。まずステップS11において制限処理として成形サイクルの停止を行う。現在実行中の成形サイクルについて、成形サイクルの完了であるエジェクタ工程の完了を待って停止する。コントローラ4は射出成形機1の動作を停止させる。
【0030】
次にコントローラ4はステップS12を実行する。すなわち、モニタ5に「射出準備モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、射出準備モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS13によりオペレータの指示を判定する。射出準備モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は射出準備モードに切り換える(ステップS17)。射出準備モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS14に移行する。
【0031】
コントローラ4はステップS14を実行し、モニタ5に「射出手動モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、射出手動モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS15によりオペレータの指示を判定する。射出手動モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は射出手動モードに切り換える(ステップS18)。射出手動モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS16に移行する。
【0032】
コントローラ4は、ステップS16において射出成形機1の動作を禁止する。コントローラ4において、オペレータは設定データの変更以外の操作ができなくなる。以後、オペレータがコントローラ4つまりモニタ5の向きを標準方向に向けるか、あるいはコントローラ4を操作して射出準備モード、あるいは射出手動モードにするまで、この状態が維持される。
【0033】
本実施の形態に係る射出成形機1において、モニタ5の向きを射出装置方向に切り換えると、上で説明したように射出準備モード、あるいは射出手動モードを選択するようにコントローラ4が制御するので、オペレータや他の作業者の安全性が確保される。オペレータは射出装置3において例えばパージ段取り作業等を実施するとき、モニタ5の向きを射出装置方向に向ける。そうすると、射出装置3を操作し易くなりオペレータの作業の安全性が高い。このときモニタ5は型締装置2を背にするので、他の作業者が型締装置2の近傍にいたとしても気づかない。もし、オペレータがコントローラ4を操作して型締装置2が動作してしまうと、他の作業者が危険にさらされてしまう。本実施の形態においては射出準備モード、射出手動モードにして、型締装置2を操作できなくするので、他の作業者の安全を確保することができる。
【0034】
<標準方向:手動モード、から射出装置方向への変更>
次にモニタ5の向きが標準方向になっていて、制御モードが手動モードになっているとき、モニタ5の向きを射出装置方向に切り換えた場合を説明する。この場合、すでに手動モードになっているので、射出成形機1において成形サイクルは停止した状態になっている。モニタ5の射出装置方向への切り換えを検出したら、コントローラ4は、
図5に示されているように、ステップS12を実行する。ステップS12はすでに説明しているように、モニタ5に「射出準備モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる処理である。以下、コントローラ4は、すでに説明したようにステップS13以下を処理して、制御モードを射出準備モードに切り換え(ステップS17)たり、射出手動モードに切り換え(ステップS18)たり、あるいは射出成形機1の動作を停止(ステップS16)する。
【0035】
<型締装置方向または射出装置方向から、標準方向への変更>
次に、モニタ5が型締装置方向または射出装置方向になっている状態から、その向きが標準方向に変更される場合を説明する。モニタ5が型締装置方向になっているときは、制御モードが型締準備モードまたは型締手動モードになっており、射出装置方向になっているときは、制御モードが射出準備モードか射出手動モードになっている。つまり成形サイクルは停止している。この状態でオペレータがモニタ5の向きを標準方向に変更する。
【0036】
コントローラ4は、
図6に示されている、ステップS21を実行する。つまり、モニタ5に「全自動モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、全自動モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS22によりオペレータの指示を判定する。全自動モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は全自動モードに切り換える(ステップS24)。全自動モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS23に移行する。
【0037】
コントローラ4は、ステップS23を実行し、モニタ5に「半自動モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、半自動モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS25によりオペレータの指示を判定する。半自動モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は全自動モードに切り換える(ステップS26)。半自動モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS27に移行する。
【0038】
コントローラ4は、ステップS27を実行し、モニタ5に「手動モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、手動モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS28によりオペレータの指示を判定する。手動モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は手動モードに切り換える(ステップS29)。手動モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS30に移行する。
【0039】
コントローラ4は、ステップS30を実行し、モニタ5に「準備モードへの切り換えを実施しますか?」というメッセージを表示させる。オペレータはコントローラ4において操作し、準備モードへの切り換えを要求するか、切り換えを拒否する指示を出す。コントローラ4はステップS31によりオペレータの指示を判定する。準備モードへの切り換えが指示されている(YES)場合、コントローラ4は準備モードに切り換える(ステップS32)。準備モードへの切り換えが拒否されている場合(NO)、ステップS33に移行する。
【0040】
コントローラ4は、ステップS33において射出成形機1の動作を禁止する。コントローラ4において、オペレータは設定データの変更以外の操作ができなくなる。以後、オペレータがコントローラ4を操作して全自動モード、半自動モード、手動モード、準備モードのいずれかの制御モードを選択するまで、この状態が維持される。
【0041】
<変形例>
本実施の形態は色々な変形が可能である。本実施の形態において型締装置2(
図1参照)は、横型の型締装置2になっており、可動盤8が固定盤7に対して水平方向に開閉するようになっている。このような型締装置2を竪型の型締装置に変形することができる。つまり型盤が上下方向に開閉するような型締装置である。このような変形例であっても、コントローラ4は型締装置と射出装置3とに共に隣接して設けられる。本実施の形態と同様にコントローラ4つまりモニタ5の方向を変えると、制御モードが変えられるようにすればよい。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 コントローラ
5 モニタ
7 固定盤 8 可動盤
9 型締ハウジング 11 タイバー
13 トグル機構 15 固定側金型
16 可動側金型 19 加熱シリンダ
20 スクリュ 22 スクリュ駆動装置
23 ホッパ 24 射出ノズル
25 ヒータ 27 モニタ向き検出手段
29 運転スイッチ