(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090858
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】採水用ストレーナ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G01N1/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207023
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003502
【氏名又は名称】弁理士法人芳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
(72)【発明者】
【氏名】兼品 泰宏
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA06
2G052AC18
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA14
2G052BA22
2G052EA04
2G052EB13
2G052JA20
(57)【要約】
【課題】下水を吸引する吸引孔が下水に含まれるし渣により閉塞することを抑えることができる採水用ストレーナを提供すること。
【解決手段】採水用ストレーナ4は、下水を吸引する吸引孔412を側面411に有する本体41と、側面411に付設されて側面411から本体41の外側に向かって延び、本体41の周囲の見かけ上の長さを側面411の周囲の長さよりも長くする延長部44と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水に浸漬されて前記下水を吸引する採水用ストレーナであって、
前記下水を吸引する吸引孔を側面に有する本体と、
前記側面に付設されて前記側面から前記本体の外側に向かって延び、前記本体の周囲の見かけ上の長さを前記側面の周囲の長さよりも長くする延長部と、
を備えたことを特徴とする採水用ストレーナ。
【請求項2】
前記本体は、円筒を呈し、
前記吸引孔は、前記円筒の円周面に設けられ、
前記延長部は、前記円周面から前記本体の径方向の外側に向かって延びた板状を呈することを特徴とする請求項1に記載の採水用ストレーナ。
【請求項3】
前記延長部は、前記円筒の軸方向において前記本体の全長にわたって設けられたことを特徴とする請求項2に記載の採水用ストレーナ。
【請求項4】
1つのみの前記延長部が、前記円周面に付設されたことを特徴とする請求項2または3に記載の採水用ストレーナ。
【請求項5】
2つの前記延長部が、前記円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されたことを特徴とする請求項2または3に記載の採水用ストレーナ。
【請求項6】
3つ以上の前記延長部が、前記円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されたことを特徴とする請求項2または3に記載の採水用ストレーナ。
【請求項7】
前記吸引孔が、前記延長部の根元に設けられたことを特徴する請求項1に記載の採水用ストレーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水に浸漬されて下水を吸引する採水用ストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
生活排水のような一般的な下水や産業廃水等を検査するために、下水や産業廃水等のサンプルを採取する装置がある。例えば、特許文献1には、下水路を流れる下水の採取を行う下水用採水装置が開示されている。また、特許文献2には、河川放流渠から放流水のサンプルを採取する採水装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された装置は、フレキシブル管の先端に取り付けられたストレーナを有する。特許文献1に記載されたストレーナには、周方向に離間して複数の開口が形成されている。ストレーナに形成された開口は、下水を吸引する入口となっている。
特許文献2に記載された装置では、先端を河川放流渠に臨ませて設けられた採水管がストレーナを介して採水ポンプに接続されている。特許文献2に記載されたストレーナは、ごみや土砂などを除去して砂濾過装置に放流水のサンプルを送る。
【0004】
ここで、下水のサンプルを採取して検査し、下水に含まれるウイルスや微生物を検出して、任意の感染症に関する感染者数の傾向を把握する試みがなされている。下水には、髪の毛や糸くずなどのし渣が含まれている。そのため、採水用ストレーナが下水を吸引する際に、し渣が採水用ストレーナに絡み付くことがある。し渣の絡み付きは、し渣が採水用ストレーナの周囲を一周して採水用ストレーナの全周に回り込み、し渣の両端部が撚り合わされることにより発生する。し渣の絡み付きは、一旦生ずると、し渣の絡み付きが生じた部分を起点として成長することがある。し渣の絡み付きが成長すると、下水を吸引する採水用ストレーナの吸引孔が閉塞し、採水用ストレーナが下水を吸引できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-53124号公報
【特許文献2】特開2001-50927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、下水を吸引する吸引孔が下水に含まれるし渣により閉塞することを抑えることができる採水用ストレーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、下水に浸漬されて前記下水を吸引する採水用ストレーナであって、前記下水を吸引する吸引孔を側面に有する本体と、前記側面に付設されて前記側面から前記本体の外側に向かって延び、前記本体の周囲の見かけ上の長さを前記側面の周囲の長さよりも長くする延長部と、を備えたことを特徴とする採水用ストレーナである。
【0008】
本発明の第1態様によれば、延長部は、下水を吸引する吸引孔が設けられた本体の側面に付設され、本体の側面から本体の外側に向かって延びている。また、延長部は、本体の周囲の見かけ上の長さを本体の側面の周囲の長さよりも長くする。そのため、延長部は、し渣が採水用ストレーナの周囲を一周して採水用ストレーナの全周に回り込み、し渣の両端部が撚り合わされることを抑えることができる。そのため、し渣の絡み付きが採水用ストレーナに生ずることを抑えることができる。これにより、下水を吸引する吸引孔が下水に含まれるし渣により閉塞することを抑えることができる。
【0009】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様において、前記本体は、円筒を呈し、前記吸引孔は、前記円筒の円周面に設けられ、前記延長部は、前記円周面から前記本体の径方向の外側に向かって延びた板状を呈することを特徴とする採水用ストレーナである。
【0010】
本発明の第2態様によれば、例えば孔を有する板状のパンチングメタル等の曲げ加工を行うことで円筒形の本体を形成することができる。また、例えば板状の部材を本体の円周面に溶接等により付設することで、本体の円周面から本体の径方向の外側に向かって延びる延長部を形成することができる。これにより、本発明の第2態様に係る採水用ストレーナは、比較的簡易的な構造で、吸引孔がし渣により閉塞することを抑えることができる。
【0011】
本発明の第3態様は、本発明の第2態様において、前記延長部は、前記円筒の軸方向において前記本体の全長にわたって設けられたことを特徴とする採水用ストレーナである。
【0012】
本発明の第3態様によれば、延長部は、円筒の軸方向における本体の全長にわたって設けられている。そのため、円筒の軸方向における本体の全長にわたって、し渣の絡み付きが生ずることを抑えることができる。これにより、吸引孔がし渣により閉塞することをより一層抑えることができる。
【0013】
本発明の第4態様は、本発明の第2または3態様において、1つのみの前記延長部が、前記円周面に付設されたことを特徴とする採水用ストレーナである。
【0014】
本発明の第4態様によれば、採水用ストレーナが浸漬される下水に流れが生じている場合において、採水用ストレーナは、延長部の延在方向が下水の流れに略平行になるような姿勢を取る。これにより、本発明の第4態様に係る採水用ストレーナは、延長部が下水の流れの抵抗となることを抑えることができる。
【0015】
本発明の第5態様は、本発明の第2または3態様において、2つの前記延長部が、前記円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されたことを特徴とする採水用ストレーナである。
【0016】
本発明の第5態様によれば、採水用ストレーナが浸漬される下水に流れが生じている場合において、採水用ストレーナは、2つの延長部の延在方向が下水の流れに略平行になるような姿勢をより確実に取る。これにより、本発明の第5態様に係る採水用ストレーナは、延長部が下水の流れの抵抗となることをより確実に抑えることができる。
【0017】
本発明の第6態様は、本発明の第2または3態様において、3つ以上の前記延長部が、前記円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されたことを特徴とする採水用ストレーナである。
【0018】
本発明の第6態様によれば、仮にし渣の絡み付きが採水用ストレーナに生じた場合であっても、3つ以上の延長部は、吸引孔の周辺に空間を確保し、吸引孔がし渣により閉塞することを抑えることができる。また、本体の円筒の軸方向が略水平になった状態で採水用ストレーナが例えば下水処理場の池に浸漬された場合であっても、3つ以上の延長部は、本体の円周面が下水処理場の池の底に存在する砂に接触することを抑えることができる。これにより、下水処理場の池の底に存在する砂が吸引孔から吸引されることを抑えることができる。
【0019】
本発明の第7態様は、本発明の第1~6態様のいずれか1つの態様において、前記吸引孔が、前記延長部の根元に設けられたことを特徴する採水用ストレーナである。
【0020】
本発明の第7態様によれば、吸引孔が延長部の根元に設けられているため、仮にし渣の絡み付きが採水用ストレーナに生じた場合であっても、吸引孔の周辺すなわち延長部の根元付近に空間を確保し、吸引孔がし渣により閉塞することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、下水を吸引する吸引孔が下水に含まれるし渣により閉塞することを抑えることができる採水用ストレーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る採水装置を表す上面図である。
【
図2】本実施形態に係る採水装置を表す正面図である。
【
図3】
図1に表した切断面A-Aにおける断面図である。
【
図4】本実施形態に係る採水装置を表す第1右側面図である。
【
図5】本実施形態に係る採水装置を表す第2右側面図である。
【
図6】本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
【
図7】
図6に表した切断面B-Bにおける断面図である。
【
図8】本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
【
図9】
図8に表した切断面C-Cにおける断面図である。
【
図10】本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
【
図12】本実施形態に係る採水用ストレーナの軸方向が略水平になった状態を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る採水装置を表す上面図である。
図2は、本実施形態に係る採水装置を表す正面図である。
図3は、
図1に表した切断面A-Aにおける断面図である。
図4は、本実施形態に係る採水装置を表す第1右側面図である。
図5は、本実施形態に係る採水装置を表す第2右側面図である。
なお、
図3では、蓋部31が本体3に対して開いた状態を表すとともに、蓋部31が本体3に対して閉じた状態における飛散抑制部33を仮想的に表している。
また、
図4では、説明の便宜上、冷却容器62を省略している。
また、
図5では、説明の便宜上、採水容器61、ロードセル63および採水弁52などを省略している。
【0025】
本実施形態に係る採水装置2は、下水のサンプルを採取する。採水装置2が下水のサンプルを採取する場所としては、例えば下水処理場の最初沈殿池の流入流路などが挙げられる。但し、採水装置2が下水のサンプルを採取する場所は、これだけに限定されるわけではなく、下水処理場の他の場所であってもよく、あるいはマンホールの下方に配設された下水路であってもよい。
【0026】
本実施形態に係る採水装置2は、本体3と、採水用ストレーナ4と、ポンプ51と、採水容器61と、冷却容器62と、ロードセル63と、を備える。また、採水装置2は、制御部71と、操作部72と、載置部64と、蓋部31と、飛散抑制部33と、採水弁52と、排水弁53と、洗浄液タンク73と、洗浄弁54と、をさらに備える。
【0027】
本体3は、ポンプ51、冷却容器62、ロードセル63、制御部71および操作部72などの各種部材を支持し、車輪35および脚部36を下部に有する。作業者等は、車輪35を利用して採水装置2を下水の採取場所に搬送し、脚部36を利用して採水装置2を下水の採取場所に設置することができる。本体3の構造、形状および材料は、各種部材を支持可能な限りにおいて特に限定されるわけではなく、例えば枠材や板材によって形成されていてもよい。
【0028】
採水用ストレーナ4は、第1配管571を介してポンプ51に接続されている。採水用ストレーナ4は、側面に形成された吸引孔412(例えば
図6参照)を有する。採水用ストレーナ4が下水に浸漬された状態においてポンプ51が稼動すると、採水用ストレーナ4は、吸引孔412を通して下水を吸引することができる。つまり、吸引孔412は、下水を吸引する入口となる。採水用ストレーナ4の吸引孔412を通して吸引された下水は、第1配管571を流れてポンプ51に導かれる。採水用ストレーナ4の詳細については、後述する。
【0029】
ポンプ51は、本体3の下部に固定されており、採水用ストレーナ4および第1配管571を介して下水を吸引する。本実施形態のポンプ51としては、例えばチューブポンプなどが挙げられる。但し、ポンプ51は、チューブポンプに限定されるわけではない。以下の説明では、ポンプ51がチューブポンプである場合を例に挙げる。
【0030】
ポンプ51は、正転方向に回転することにより、採水用ストレーナ4および第1配管571を介して下水を吸引し、分岐継手55に向かって下水を送出する。ポンプ51から送出された下水は、第2配管572と第3配管573とをこの順に流れて分岐継手55に導かれる。
図3および
図4に表したように、本実施形態に係る採水装置2は、流量計56を備える。流量計56は、第2配管572と第3配管573との間に設けられており、第2配管572および第3配管573を流れる下水の流量を計測する。なお、本実施形態に係る採水装置2は、必ずしも流量計56を備えていなくともよい。
【0031】
冷却容器62は、本体の上部に固定されており、採水容器61を収容する。
図1および
図3に表したように、冷却容器62は、上部に開口621を有する。採水容器61は、冷却容器62の開口621を通過することができる。作業者等は、冷却容器62の開口621を通して採水容器61を冷却容器62に収容することができる。
【0032】
冷却容器62は、冷却器を有しており、冷却容器62の内部の温度を冷却容器62の外部の温度(すなわち外気温度)よりも低い温度に冷却することができる。冷却容器62が有する冷却器としては、例えばペルチェ素子を含むペルチェユニットなどが挙げられる。但し、冷却容器62が有する冷却器は、ペルチェ素子を含むペルチェユニットに限定されるわけではない。冷却容器62は、冷却器を稼動することにより、冷却容器62の内部の温度を例えば0℃以上、5℃以下程度に維持する。これにより、冷却容器62は、冷却容器62の内部に収容した採水容器61に貯留された下水のサンプルの温度を例えば0℃以上、5℃以下程度に維持することができる。但し、冷却容器62が冷却器を稼動することにより維持する内部温度は、0℃以上、5℃以下に限定されるわけではない。
【0033】
採水容器61は、冷却容器62の内部において載置部64に載置され、ポンプ51から送出された下水をサンプルとして貯留する。具体的に説明すると、ポンプ51から送出された下水は、第2配管572と、第3配管573と、分岐継手55と、第4配管574と、第5配管575と、をこの順に流れて採水弁52に導かれる。なお、
図1に表したように、第4配管574は、第1継手581を介して第5配管575に接続されている。制御部71が採水弁52を開くと、採水弁52に導かれた下水は、採水弁52を通過し採水配管521を流れて冷却容器62に収容された採水容器61に下水のサンプルとして貯留される。
図1に表したように、第4配管574と、第5配管575と、は、採水経路R1を形成する。
【0034】
載置部64は、冷却容器62の内部においてロードセル63に載置され、採水容器61を支持する。つまり、載置部64は、冷却容器62の内部に設置されている。
図3および
図4に表したように、載置部64は、保持部641を有する。保持部641は、採水容器61が載置部64に載置された状態において、採水容器61の下部611を保持する。これにより、載置部64の保持部641は、採水容器61が傾いたり倒れたりすることを抑え、下水のサンプルが採水容器61から溢れることを抑えることができる。
【0035】
ロードセル63は、冷却容器62の内部に設けられており、採水容器61に貯留された下水のサンプルの質量を測定する。
【0036】
蓋部31は、
図3に表した矢印A11のように、本体3の上面32と平行に延びた軸311を中心として本体3に対して回転することができる。具体的には、
図1に表したように、蓋部31は、蝶番312を介して本体3の上面32に支持されている。これにより、蓋部31は、蝶番312の軸311を中心として本体3に対して回転することができる。例えば、作業者等は、蓋部31の上面314に設けられた把持部315を把持することで、蓋部31を本体3に対して容易に回転させることができる。また、
図3に表したように、蓋部31は、ステー34により本体3の上部に支持されている。ステー34は、蓋部31が本体3に対して開いた状態を維持したり、蓋部31が本体3に対して開く角度を制限したり、蓋部31が本体3に対して閉じる速度を制限したりする。
【0037】
蓋部31は、本体3に対して閉じると冷却容器62の開口621を塞ぎ、冷却容器62を密閉する。一方で、蓋部31は、本体3に対して開くと冷却容器62の開口621を空け、冷却容器62を開放する。蓋部31が本体3に対して開いた状態において、作業者等は、冷却容器62の開口621を通して採水容器61を冷却容器62に収容することができる。
【0038】
採水弁52は、
図3に表したように、蓋部31の上面314に設けられている。採水弁52は、蓋部31に固定されているため、蓋部31の回転動作に伴って蝶番312の軸311を中心として本体3に対して回転する。採水弁52は、制御部71から送信された制御信号に基づいて採水経路R1を開閉する。つまり、採水弁52は、開くことにより下水等の液体を通過させることができ、閉じることにより液体の流れを止めることができる。
図1および
図4に表したように、採水弁52は、蓋部31が本体3に対して閉じたときに、載置部64に載置され保持部641に保持された採水容器61の直上に位置する。
【0039】
飛散抑制部33は、蓋部31の上面314とは反対側の蓋部31の下面313に設けられている。飛散抑制部33は、蓋部31が本体3に対して閉じたときに、載置部64に載置され保持部641に保持された採水容器61に対向する。飛散抑制部33は、囲い部331を有する。
図3に二点鎖線で表した囲い部331のように、囲い部331は、蓋部31が本体3に対して閉じた状態において、蓋部31の下面313から採水容器61に向かって延び採水容器61の上部612の周りを囲う。
【0040】
これにより、飛散抑制部33の囲い部331は、下水のサンプルが採水容器61に採取された際に採水容器61の外部に飛散することを抑えることができる。また、飛散抑制部33の囲い部331は、採水容器61が傾いたり倒れたりすることを抑えることができる。これにより、下水のサンプルが採水容器61から溢れることを抑えることができる。
【0041】
図4に表したように、採水配管521は、蓋部31が本体3に対して閉じた状態において、囲い部331の中を蓋部31から採水容器61に向かって延びている。そして、採水配管521の先端522は、蓋部31が本体3に対して閉じた状態において、囲い部331の下端332から蓋部31へ後退した位置かつ採水容器61の内部の位置に配置される。
【0042】
これにより、採水弁52を通過した下水が採水容器61の外部に漏れることを抑え、採水弁52を通過した下水を採水容器61の内部に確実に導くことができる。また、採水配管521の先端522が、採水容器61に貯留された下水サンプルに浸かることを抑え、採水弁52の開閉動作などにより採水容器61に貯留された下水サンプルがポンプ51の方向に逆流するおそれを抑えることができる。
【0043】
排水弁53は、採水弁52と同様に、蓋部31の上面314に設けられている。排水弁53は、蓋部31に固定されているため、蓋部31の回転動作に伴って蝶番312の軸311を中心として本体3に対して回転する。排水弁53は、制御部71から送信された制御信号に基づいて排水経路R2を開閉する。つまり、採水弁52は、開くことにより下水等の液体を通過させることができ、閉じることにより液体の流れを止めることができる。
【0044】
具体的に説明すると、採水装置2が例えばポンプ51から送出された下水で採水経路R1の共洗いを行う際に、制御部71は、ポンプ51を正転方向に回転させるとともに排水弁53を開く。ポンプ51から送出された下水は、第2配管572と、第3配管573と、分岐継手55と、第4配管574と、第5配管575と、をこの順に流れ、第6配管576と、第7配管577と、をこの順にさらに流れて排水弁53に導かれる。なお、
図1に表したように、第6配管576は、第2継手582を介して第5配管575に接続されており、第3継手583を介して第7配管577に接続されている。制御部71が排水弁53を開くと、排水弁53に導かれた下水は、
図1に表した矢印A12のように排水弁53を通過し排水配管531を流れて排出される。下水の排出先は、例えば採水用ストレーナ4が浸漬された場所、すなわち下水が吸引される流路などである。
【0045】
図1に表したように、第4配管574と、第5配管575と、第6配管576と、第7配管577と、は、排水経路R2を形成する。
図1に表したように、排水経路R2は、採水経路R1を一部に含む。言い換えれば、排水経路R2の一部は、採水経路R1と重複する。
【0046】
洗浄液タンク73は、本体3の上部に固定され、洗浄液を貯留する。洗浄液タンク73に貯留された洗浄液は、例えば次亜塩素酸ナトリウムを含む液である。但し、洗浄液タンク73に貯留された洗浄液は、次亜塩素酸ナトリウムを含む液だけに限定されるわけではない。洗浄液タンク73の容量は、例えば3リットル程度である。
【0047】
洗浄弁54は、
図3および
図4に表したように、本体3の上面32に設けられている。洗浄弁54は、蓋部31に固定されているわけではないため、採水弁52および排水弁53とは異なり、蓋部31の回転動作に伴って蝶番312の軸311を中心として本体3に対して回転するわけではない。
【0048】
採水装置2が洗浄液タンク73に貯留された洗浄液で採水経路R1の洗浄を行う際に、制御部71は、ポンプ51を逆転方向に回転させるとともに洗浄弁54を開く。洗浄液タンク73から送出された洗浄液は、第8配管578と、第9配管579と、分岐継手55と、第4配管574と、第5配管575と、をこの順に流れて採水弁52に導かれる。なお、
図1に表したように、第8配管578は、第4継手584を介して第9配管579に接続されている。
【0049】
図1に表したように、第8配管578と、第9配管579と、第4配管574と、第5配管575と、は、洗浄液経路R3を形成する。
図1に表したように、洗浄液経路R3は、採水経路R1を一部に含む。言い換えれば、洗浄液経路R3の一部は、採水経路R1と重複する。
【0050】
図1に表したように、洗浄液経路R3の一部を形成する第4配管574は、分岐継手55と第9配管579と第8配管578とを介して洗浄弁54に接続されており、蝶番312の軸311に平行な方向に延びている。本実施形態の第4配管574は、本発明の「洗浄弁に接続され軸に平行な方向に延びた第1配管」の一例である。
洗浄液経路R3の一部を形成する第5配管575は、第1継手581を介して第4配管574に接続されるとともに、第2継手582を介して採水弁52に接続されている。
図1に表したように、第5配管575は、蝶番312の軸311を跨ぐとともに蝶番312の軸311に交差する方向に延びている。
【0051】
このように、第5配管575が蓋部31の回転の軸311を跨ぐとともに蓋部31の回転の軸311に交差する方向に延びている一方で、第4配管574が蓋部31の回転の軸311に平行な方向に延びている。これにより、
図3に表したように、蓋部31が蝶番312の軸311を中心として回転し開閉する場合であっても、蓋部31の回転の軸311に平行な方向に延びた第4配管574が捻れることで第5配管575の曲げを緩和し、第5配管575のキンクが発生することを抑えることができる。
【0052】
制御部71は、操作部72から受信した信号に基づいて、ポンプ51、採水弁52、排水弁53および洗浄弁54の動作を制御する。制御部71は、図示しない演算処理部と記憶部とを有する。演算処理部は、例えばCPU(central processing unit)などであり、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して種々の演算や処理を実行する。プログラムは、下水のサンプルを採取するためのシーケンスプログラムや、下水で採水経路R1の共洗いを行うためのシーケンスプログラムや、採水経路R1に残った下水を抜くためのシーケンスプログラムや、洗浄液で採水経路R1を洗浄するためのシーケンスプログラムなどを含む。記憶部としては、半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などが挙げられる。
【0053】
操作部72は、操作盤721を有し、操作盤721に対する作業者等の操作に応じて作業者等により入力された信号を制御部71に送信する。操作盤721としては、例えば作業者等の指の接触を検出可能なタッチパネルなどが挙げられる。但し、操作盤721は、タッチパネルに限定されるわけではない。
【0054】
次に、本実施形態に係る採水装置2の動作を説明する。
まず、作業者等は、例えば下水処理場などに採水装置2を搬送し設置する。続いて、作業者等は、例えば下水処理場の最初沈殿池の流入流路などにおいて採水用ストレーナ4を下水に浸漬させる。続いて、作業者等は、操作盤721を操作し、下水の採取動作を入力する。
【0055】
そうすると、制御部71は、操作部72から送信された信号に基づいて、ポンプ51を正転方向に回転させるとともに排水弁53を開き、ポンプ51から送出された下水を排水経路R2に導く。前述した通り、排水経路R2が採水経路R1を一部に含むため、ポンプ51から送出された下水は、採水経路R1を流れる。これにより、ポンプ51から送出された下水で採水経路R1の共洗いを行うことができる。
【0056】
その後、所定時間が経過すると、あるいは所定量の下水が排水経路R2を流れると、制御部71は、排水弁53を閉じるとともに採水弁52を開いてポンプ51から送出された下水を採水容器61に導く。これにより、採水用ストレーナ7を介してポンプ51に吸引されポンプ51から送出された下水が、下水のサンプルとして採取され採水容器61に貯留される。
【0057】
ロードセル63により測定された下水サンプルの質量が所定質量になると、制御部71は、採水弁52を閉じる制御を実行する。これにより、下水の採取動作が停止する。前述したように、採水容器61に貯留された下水サンプルは、冷却容器62の内部において例えば0℃以上、5℃以下程度に維持される。
【0058】
続いて、制御部71は、採水弁52を閉じた後、ポンプ51を逆転方向に回転させる。これにより、採水経路R1および排水経路R2に残った下水が、ポンプ51により吸引され採水用ストレーナ7を介して排出される。また、制御部71は、ポンプ51の動作を停止、採水弁52および排水弁53を開く。これにより、採水経路R1および排水経路R2に残った下水が、自重により排水弁53などを通過して排出される。このように、制御部71は、下水サンプルの採取を行い採水弁52を閉じた後、採水経路R1および排水経路R2に残った下水を抜く制御を実行する。
【0059】
続いて、作業者等が操作盤721を操作し採水経路R1の洗浄動作を入力すると、制御部71は、ポンプ51を逆転方向に回転させるとともに洗浄弁54を開き、洗浄液タンク73に貯留された洗浄液を採水経路R1に導いて採水経路R1を洗浄液で満たした後にポンプ51を停止させる。これにより、採水経路R1に満たされた洗浄液は、下水に含まれ採水経路R1に付着した微生物等の固形分を溶かして採水経路R1から剥がれやすくすることができる。
【0060】
その後、制御部71がポンプ51を停止させてから所定時間が経過すると、制御部71は、ポンプ51を正転方向に回転させるとともに排水弁53を開き、ポンプ51から送出された下水を排水経路R2に導く。前述した通り、排水経路R2が採水経路R1を一部に含むため、ポンプ51から送出された下水は、採水経路R1を流れる。これにより、ポンプ51から送出された下水で採水経路R1の共洗いを行うことができる。
【0061】
その後、所定時間が経過すると、あるいは所定量の下水が排水経路R2を流れると、制御部71は、ポンプ51を逆転方向に回転させるとともに排水弁53を閉じる。これにより、採水経路R1および排水経路R2に残った下水が、ポンプ51により吸引され採水用ストレーナ7を介して排出される。また、制御部71は、ポンプ51の動作を停止、採水弁52および排水弁53を開く。これにより、採水経路R1および排水経路R2に残った下水が、自重により排水弁53などを通過して排出される。このように、制御部71は、採水経路R1の洗浄動作を行い採水経路R1の共洗いを行った後、採水経路R1および排水経路R2に残った下水を抜く制御を実行する。
【0062】
本実施形態に係る採水装置2によれば、冷却容器62は、本体3に固定されており、採水容器61を収容して採水容器61に貯留された下水サンプルを外気温度よりも低い温度に冷却する。これにより、下水サンプルの比重の管理が容易になる。また、検出対象以外のウイルスや微生物の繁殖を抑え、検出対象のウイルスや微生物の量を一定以上に確保することができる。また、ロードセル63は、冷却容器62の内部に設けられており、採水容器61に貯留された下水サンプルの質量を測定する。このように、本実施形態に係る採水装置2は、下水サンプルの採水量を体積で直接的に測定するわけではなく、冷却容器62の中において下水サンプルの比重が管理された状態で、ロードセル63で測定された質量に基づいて下水サンプルの採水量を測定する。これにより、本実施形態に係る採水装置2は、下水サンプルの採水量のばらつきを抑え、より正確な採水量の下水サンプルを採取できる。
【0063】
また、蓋部31は、本体3の上面32と平行に延びた軸311を中心として本体3に対して回転可能であり、本体3に対して閉じると冷却容器62の開口621を塞ぎ冷却容器62を密閉する。このように、蓋部31は、本体3の上面32と平行にスライドするわけではなく、本体3の上面32と平行に延びた軸311を中心として本体3に対して回転し、冷却容器62の開口621を塞ぐ。そのため、蓋部31は、冷却容器62をより確実に密閉し、冷却容器62の冷却性能を確保することができる。
【0064】
また、蓋部31が本体3に対して閉じたときに採水弁52が採水容器61の直上に位置する。そのため、採水弁52と採水容器61との間に存在する採水配管521の長さを短く抑えることができる。これより、下水サンプルの採取動作が完了した後に、採水弁52と採水容器61との間の採水配管521に残る下水サンプルの量を抑えることができる。そのため、次回の下水サンプルの採取動作の際に、前回の採取動作で残った下水サンプルが次回の採取動作で採取される下水サンプルに混入する量を抑えることができる。
【0065】
また、制御部71は、採水弁52および排水弁53の動作を制御し、下水サンプルを採取する際、ポンプ51から送出された下水で採水経路R1の共洗いを行う。これにより、採取対象以外の液体等が採取対象の下水サンプルに混入することを抑えることができる。また、制御部71は、採水弁52および排水弁53の動作を制御し、ロードセル63により測定された質量が所定質量になると採水弁52を閉じる。これにより、本実施形態に係る採水装置2は、採取対象以外の液体等が採取対象の下水サンプルに混入することを抑えつつ、採取対象の下水サンプルの採水量のばらつきを抑え、より正確な採水量の下水サンプルを採取できる。
【0066】
また、制御部71は、下水サンプルの採取動作を完了させた後に、採水経路R1および排水経路R2に残った下水を抜く制御を実行する。そのため、下水に含まれる生物などの固形分が採水経路R1および排水経路R2に付着したままの状態になることを抑えることができる。
【0067】
また、下水サンプルの採取動作が完了した後に、作業者等が操作盤721を操作し採水経路R1の洗浄動作を入力すると、制御部71は、ポンプ51を逆転方向に回転させるとともに洗浄弁54を開き、洗浄液タンク73に貯留された洗浄液を採水経路R1に導いて採水経路R1を洗浄液で満たす。これにより、下水に含まれ採水経路R1に付着した微生物等の固形分を溶かして採水経路R1から剥がれやすくすることができる。
【0068】
さらに、制御部71は、下水に含まれ採水経路R1に付着した微生物等の固形分を洗浄液に浸して溶かし、採水経路R1から剥がれやすくした後、ポンプ51から送出された下水で採水経路R1および排水経路R2の共洗いを行う。その後、制御部71は、ポンプ51を逆転方向に回転させるとともに排水弁53を閉じ、採水経路R1および排水経路R2に残った下水を抜く制御を実行する。これにより、本実施形態に係る採水装置2は、採水経路R1から剥がれた微生物等の固形分を共洗いで洗い流すとともに、下水に含まれる生物などの固形分が採水経路R1に付着したままの状態になることを抑えることができる。
【0069】
次に、本実施形態に係る採水用ストレーナ4を、図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
図7は、
図6に表した切断面B-Bにおける断面図である。
図6および
図7に表した採水用ストレーナ4は、第1実施形態に係る採水用ストレーナである。
【0070】
図6に表したように、本実施形態に係る採水用ストレーナ4は、本体41と、端部42と、接続部43と、延長部44と、を備える。本実施形態に係る採水用ストレーナ4は、1つの延長部44を備える。
【0071】
本体41は、下水を吸引する吸引孔412を側面411に有する。具体的には、吸引孔412は、円筒を呈する本体41の円周面に設けられている。本体41は、吸引孔412を通して本体41の内部に下水を吸引する。つまり、吸引孔412は、下水を吸引する入口となる。
【0072】
端部42は、本体41の一方の端部に設けられており、閉じている。つまり、下水は、端部42から吸引されることはなく、吸引孔412のみを通して本体41の内部に吸引される。
接続部43は、本体41の他方の端部に設けられている。つまり、接続部43は、端部42とは反対側の本体41の端部に設けられている。接続部43は、第1配管571(
図1参照)に接続される。これにより、採水用ストレーナ4の吸引孔412を通して吸引された下水は、第1配管571を流れてポンプ51に導かれる。
【0073】
延長部44は、
図7に表したように、本体41の側面411に付設されて、本体41の側面411から本体41の外側に向かって延びている。具体的には、延長部44は、円筒を呈する本体41の円周面に付設されて、本体41の円周面から本体41の径方向の外側に向かって延びている。
図6および
図7に表したように、延長部44は、板状を呈し、円筒を呈する本体41の軸413の方向において本体41の全長にわたって設けられている。
【0074】
図6に表したように、本実施形態に係る採水用ストレーナ4は、複数の吸引孔412を有する。複数の吸引孔412のうちの少なくとも一部は、延長部44の根元に設けられている。
【0075】
ここで、下水には、髪の毛や糸くずなどのし渣が含まれている。そのため、採水用ストレーナが下水を吸引する際に、し渣が採水用ストレーナ4に絡み付くことがある。本発明の得た知見によれば、し渣の絡み付きは、し渣が採水用ストレーナの周囲を一周して採水用ストレーナの全周に回り込み、し渣の両端部が撚り合わされることにより発生する。し渣の絡み付きは、一旦生ずると、し渣の絡み付きが生じた部分を起点として成長することがある。し渣の絡み付きが成長すると、下水を吸引する採水用ストレーナの吸引孔が閉塞し、採水用ストレーナが下水を吸引できなくなるおそれがある。
【0076】
これに対して、本実施形態に係る採水用ストレーナ4において、延長部44は、下水を吸引する吸引孔412が設けられた本体41の側面411に付設され、本体41の側面411から本体41の外側に向かって延びている。また、延長部44は、本体41の周囲の見かけ上の長さL1を本体41の側面411の周囲の長さよりも長くする。
【0077】
本実施形態に係る採水用ストレーナ4によれば、延長部44は、し渣が採水用ストレーナ4の周囲を一周して採水用ストレーナ4の全周に回り込み、し渣の両端部が撚り合わされることを抑えることができる。本発明者の得た知見によれば、本体41の周囲の見かけ上の長さL1が300mm以上である場合に、し渣が採水用ストレーナ4の周囲を一周して採水用ストレーナ4の全周に回り込み、し渣の両端部が撚り合わされることを有効的に抑えることができる。そのため、し渣の絡み付きが採水用ストレーナ4に生ずることを抑えることができる。これにより、下水を吸引する吸引孔412が下水に含まれるし渣により閉塞することを抑えることができる。
【0078】
また、本体41が円筒を呈するため、例えば孔を有する板状のパンチングメタル等の曲げ加工を行うことで円筒形の本体41を形成することができる。また、例えば板状の部材を本体41の円周面に溶接等により付設することで、本体41の円周面から本体41の径方向の外側に向かって延びる延長部44を形成することができる。これにより、本実施形態に係る採水用ストレーナ4は、比較的簡易的な構造で、吸引孔412がし渣により閉塞することを抑えることができる。
【0079】
延長部44は、円筒を呈する本体41の軸413の方向において本体41の全長にわたって設けられている。そのため、本体41の軸413の方向における本体41の全長にわたって、し渣の絡み付きが生ずることを抑えることができる。これにより、吸引孔412がし渣により閉塞することをより一層抑えることができる。
【0080】
また、本実施形態に係る採水用ストレーナ4では、1つのみの延長部44が、本体41の円周面に付設されている。そのため、採水用ストレーナ4が浸漬される下水に流れが生じている場合において、採水用ストレーナ4は、延長部44の延在方向が下水の流れに略平行になるような姿勢を取る。これにより、本実施形態に係る採水用ストレーナ4は、延長部44が下水の流れの抵抗となることを抑えることができる。
【0081】
さらに、複数の吸引孔412のうちの少なくとも一部が延長部44の根元に設けられているため、仮にし渣の絡み付きが採水用ストレーナ4に生じた場合であっても、吸引孔412の周辺すなわち延長部44の根元付近に空間を確保し、すべての吸引孔412がし渣により閉塞することを抑えることができる。
【0082】
次に、他の実施形態に係る採水用ストレーナを、図面を参照して説明する。
なお、他の実施形態に係る採水用ストレーナ4A、4Bの構成要素が、
図6~
図7に関して前述した第1実施形態に係る採水用ストレーナ4の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0083】
図8は、本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
図9は、
図8に表した切断面C-Cにおける断面図である。
図8および
図9に表した採水用ストレーナ4Aは、第2実施形態に係る採水用ストレーナである。
【0084】
図8および
図9に表したように、本実施形態に係る採水用ストレーナ4Aは、本体41と、端部42と、接続部43と、延長部44と、を備える。本実施形態に係る採水用ストレーナ4Aは、2つの延長部44を備える。2つの延長部44は、本体41の円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されている。つまり、2つの延長部44は、本体41の円周面の周方向において180°の間隔で離れた位置に付設されている。2つの延長部44は、本体41の周囲の見かけ上の長さL2を本体41の側面411の周囲の長さよりも長くする。他の構造は、
図6~
図7に関して前述した第1実施形態に係る採水用ストレーナ4の構成要素と同様である。
【0085】
本実施形態に係る採水用ストレーナ4Aによれば、採水用ストレーナ4Aが浸漬される下水に流れが生じている場合において、採水用ストレーナ4Aは、2つの延長部44の延在方向が下水の流れに略平行になるような姿勢をより確実に取る。これにより、本実施形態に係る採水用ストレーナ4Aは、延長部44が下水の流れの抵抗となることをより確実に抑えることができる。また、第1実施形態に係る採水用ストレーナ4に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0086】
図10は、本実施形態に係る採水用ストレーナを表す平面図である。
図11は、
図10に表した切断面D-Dにおける断面図である。
図12は、本実施形態に係る採水用ストレーナの軸方向が略水平になった状態を表す模式図である。
図10~
図12に表した採水用ストレーナ4Bは、第3実施形態に係る採水用ストレーナである。
なお、
図12は、
図10に表した切断面D-Dにおける断面図に相当する。
【0087】
図10および
図11に表したように、本実施形態に係る採水用ストレーナ4Bは、本体41と、端部42と、接続部43と、延長部44と、を備える。本実施形態に係る採水用ストレーナ4Bは、3つ以上の延長部44を備える。
図10および
図11に表した例において、採水用ストレーナ4Bは、4つの延長部44を備える。なお、本実施形態に係る採水用ストレーナ4Bが備える延長部44の数は、3つ以上であればよく、4つには限定されず、3つでもよく5つ以上であってもよい。以下の説明では、採水用ストレーナ4Bは、4つの延長部44を備える場合を例に挙げる。
【0088】
4つの延長部44は、本体41の円周面の周方向において均等間隔で離れた位置に付設されている。つまり、4つの延長部44は、本体41の円周面の周方向において90°の間隔で離れた位置に付設されている。4つの延長部44は、本体41の周囲の見かけ上の長さL3を本体41の側面411の周囲の長さよりも長くする。他の構造は、
図6~
図7に関して前述した第1実施形態に係る採水用ストレーナ4の構成要素と同様である。
【0089】
本実施形態に係る採水用ストレーナ4Bによれば、仮にし渣の絡み付きが採水用ストレーナ4Bに生じた場合であっても、3つ以上の延長部44は、吸引孔412の周辺に空間を確保し、吸引孔412がし渣により閉塞することを抑えることができる。また、
図12に表したように、円筒を呈する本体41の軸413の方向が略水平になった状態で採水用ストレーナ4Bが例えば下水処理場の池に浸漬された場合であっても、3つ以上の延長部44は、本体41の円周面(すなわち側面411)が下水処理場の池の底に存在する砂8に接触することを抑えることができる。これにより、下水処理場の池の底に存在する砂8が吸引孔412から吸引されることを抑えることができる。また、第1実施形態に係る採水用ストレーナ4に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0091】
2:採水装置、 3:本体、 4:採水用ストレーナ、 4A:採水用ストレーナ、 4B:採水用ストレーナ、 7:採水用ストレーナ、 8:砂、 31:蓋部、 32:上面、 33:飛散抑制部、 34:ステー、 35:車輪、 36:脚部、 41:本体、 42:端部、 43:接続部、 44:延長部、 51:ポンプ、 52:採水弁、 53:排水弁、 54:洗浄弁、 55:分岐継手、 56:流量計、 61:採水容器、 62:冷却容器、 63:ロードセル、 64:載置部、 71:制御部、 72:操作部、 73:洗浄液タンク、 311:軸、 312:蝶番、 313:下面、 314:上面、 315:把持部、 331:囲い部、 332:下端、 411:側面、 412:吸引孔、 413:軸、 521:採水配管、 522:先端、 531:排水配管、 571:第1配管、 572:第2配管、 573:第3配管、 574:第4配管、 575:第5配管、 576:第6配管、 577:第7配管、 578:第8配管、 579:第9配管、 581:第1継手、 582:第2継手、 583:第3継手、 584:第4継手、 611:下部、 612:上部、 621:開口、 641:保持部、 721:操作盤、 R1:採水経路、 R2:排水経路、 R3:洗浄液経路