(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090869
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 23/37 20060101AFI20240627BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G01G23/37 Z
G01G11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207042
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】山川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】杉内 創
(57)【要約】
【課題】表示部に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる、計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置1は、物品Pを計量し、計量に関連する計量信号を出力する計量部15と、計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が、予め設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する良否判定部19Aと、計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値を表示する表示操作部17と、表示操作部17に表示される重量値の目量を変更する目量設定部19Bと、を備える。良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって目量が変更された場合、変更後の目量に対応して判定条件を変更する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を計量し、計量に関連する計量信号を出力する計量部と、
前記計量信号に基づいて算出される前記物品の重量値が、予め設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する良否判定部と、
前記計量信号に基づいて算出される前記物品の重量値を表示する表示部と、
前記表示部に表示される重量値の目量を変更する目量設定部と、を備え、
前記良否判定部は、前記目量設定部によって前記目量が変更された場合、変更後の前記目量に対応する前記判定条件に変更する、計量装置。
【請求項2】
前記良否判定部は、前記目量設定部において設定可能な最小目量に対応する前記判定条件を基準判定条件として記憶すると共に、前記目量が変更された場合にどのように前記基準判定条件を変更するかという規則を記憶する記憶部と通信可能に構成されており、前記目量設定部によって前記目量が変更されると、前記規則に基づいて前記基準判定条件を変更する、請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記判定条件は、目標重量となる基準値、目標重量からの許容値である上限値及び下限値の少なくとも一つを含み、
前記良否判定部は、前記基準値については四捨五入処理、前記上限値については切り上げ処理、前記下限値については切り下げ処理をなすという前記規則に基づいて前記基準判定条件を変更する、請求項2記載の計量装置。
【請求項4】
前記物品を搬送する搬送部を更に備え、
前記計量部は、前記搬送部を搬送中の前記物品を計量する、請求項1又は2記載の計量装置。
【請求項5】
前記物品を前記搬送部から振り分ける振分部を更に備え、
前記振分部は、前記良否判定部により前記判定条件を満たさないと判定された前記物品を前記搬送部から振り分ける、請求項4に記載の計量装置。
【請求項6】
前記計量部における秤量を設定する秤量設定部を更に備え、
前記良否判定部は、前記秤量のそれぞれに対応する前記目量を記憶する記憶部と通信可能に構成されており、前記秤量設定部によって前記秤量が変更されると、変更後の前記秤量に関連付けて記憶されている前記目量に対応して前記判定条件を変更する、請求項1又は2記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品(計量対象物)の重量を計量する計量装置が知られている。このような計量装置の中には、表示目量を切り替える機能が設けられている装置がある(例えば、特許文献1)。作業者は、ボタン等を操作することによって、所望の表示目量に切り替えることができる。また、このような計量装置の中には、計量結果が、予め記憶させた(プリセットされた)所定の計量値の範囲内であるか否か(判定条件に合致するか否か)を判定する判定機能を有している装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
判定機能を有する計量装置において表示目量を切り替えた場合、判定条件も表示目量に対応した数値に再設定(変更)する必要がある。このため、上記従来の計量装置では、作業者は、表示目量を切り替えるたびに判定条件を再設定する作業を行っていた。このような作業は、作業者にとって作業負担が大きく、特に、計量対象物の種類ごとに判定条件が記憶されている等、予め設定される判定条件が多い装置では、その負担が顕著になることから改善が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、表示部に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる、計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る計量装置は、物品を計量し、計量に関連する計量信号を出力する計量部と、計量信号に基づいて算出される物品の重量値が、予め設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する良否判定部と、計量信号に基づいて算出される物品の重量値を表示する表示部と、表示部に表示される重量値の目量を変更する目量設定部と、を備え、良否判定部は、目量設定部によって目量が変更された場合、変更後の目量に対応する判定条件に変更する。
【0007】
変更後の目量に対応する判定条件とは、変更後の目量の単位(細かさ)に合わせて値が変更された判定条件のことをいう。この構成の計量装置では、目量設定部によって目量が変更された場合には、作業者が変更後の目量に対応した判定条件を再設定する作業を行わなくても、良否判定部によって自動的に変更後の目量に対応した判定条件に変更される。これにより、表示部に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【0008】
(2)上記(1)記載の計量装置において、本発明の一側面に係る計量装置では、良否判定部は、目量設定部において設定可能な最小目量に対応する判定条件を基準判定条件として記憶すると共に、目量が変更された場合にどのように基準判定条件を変更するかという規則を記憶する記憶部と通信可能に構成されており、目量設定部によって目量が変更されると、規則に基づいて基準判定条件を変更してもよい。この構成では、必要最低限の情報を初期設定値として設定しておけばよいので、作業者が判定条件を設定する際の作業負担が軽くなる。
【0009】
(3)上記(2)記載の計量装置において、判定条件は、目標重量となる基準値、目標重量からの許容値である上限値及び下限値の少なくとも一つを含み、良否判定部は、基準値については四捨五入処理、上限値については切り上げ処理、下限値については切り下げ処理をなすという規則に基づいて基準判定条件を変更してもよい。この構成では、判定条件として基準値、上限値及び下限値の少なくとも一つが設定されている場合であっても、これらの判定条件を変更後の目量に対応させて変更することができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れかに記載の計量装置において、物品を搬送する搬送部を更に備え、計量部は、搬送部を搬送中の物品を計量してもよい。この構成では、搬送部を搬送中の物品を計量する計量装置であっても、表示部に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【0011】
(5)上記(4)記載の計量装置において、物品を搬送部から振り分ける振分部を更に備え、振分部は、良否判定部により判定条件を満たさないと判定された物品を搬送部から振り分けてもよい。この構成では、判定条件を満たさないと判定された物品を搬送部から自動的に排除できる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れかに記載の計量装置において、計量部における秤量を設定する秤量設定部を更に備え、良否判定部は、秤量のそれぞれに対応する目量を記憶する記憶部と通信可能に構成されており、秤量設定部によって秤量が変更されると、変更後の秤量に関連付けて記憶されている目量に対応して判定条件を変更してもよい。この構成では、秤量を切り替えれば、表示部に表示される目量が秤量に対応する目量に自動的に切り替わる計量装置であっても、変更後の目量に合わせた判定条件に再設定する手間を削減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、表示部に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る計量装置の正面図である。
【
図2】
図2は、記憶部に記憶されている目量に対応する基準判定条件の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、
図1の表示操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る計量装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る計量装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る計量装置の表示操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して一実施形態に係る計量装置1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示されるように、計量装置1は、複数の物品Pを連続して搬送しながら計量する計量検査装置10と、計量検査装置10の計量結果に基づいて当該物品Pを良品と不良品とに振り分ける振分装置30と、を備える。物品Pの種類は、特に限定されないが、例えば、加工食品、原材料、機械部品等を挙げることができる。物品Pは、例えば、食品等の内容物が収容された缶詰、箱体又は容器であってもよい。物品Pの外形形状は、種々の形状であってもよい。計量検査装置10は、搬送部11と、架台13と、計量部15と、表示操作部(表示部)17と、制御部19と、記憶部21と、を備える。
【0017】
搬送部11は、物品Pを搬送方向に沿って搬送可能な搬送装置であり、例えばコンベアである。搬送部11は、第一コンベア11Aと、第二コンベア11Bと、を備える。第一コンベア11A及び第二コンベア11Bのそれぞれは、例えば、ローラ、モータ等の回転体、及び搬送ベルト等を有する。第一コンベア11A及び第二コンベア11Bは、搬送方向の上流側からこの順番で配置される。第一コンベア11Aは、第二コンベア11Bに物品Pを搬入するコンベアである。第二コンベア11Bは、第一コンベア11Aから搬送された物品Pを計量しつつ、振分装置30に搬入するコンベアである。
【0018】
第二コンベア11Bには、後段にて詳述する計量部15が装着されている。このため、第一コンベア11Aから搬入される物品Pは、第二コンベア11B上にて計量される。また、第二コンベア11Bの上流側及び下流側のそれぞれには、物品Pの有無を検知するセンサが設けられてもよい。この場合、物品Pの全体が第二コンベア11B上に位置しているか否かを容易に判断できる。
【0019】
架台13は、搬送部11及び計量部15を支持する部材であり、第二コンベア11Bの下方にて床Fに固定される。架台3は、計量部15を収容する本体13A及び本体13Aを支持する複数の脚13Bを有する。
【0020】
計量部15は、第二コンベア11B上に位置する物品Pの重量を計量する部位であり、計量に関連する計量信号を出力する。計量部15は、負荷に応じた圧縮及び引張を受ける起歪体15Aと、起歪体15Aに貼付されると共に歪曲量に応じて電気抵抗値が変化する歪みゲージ15Bと、を備える。起歪体15Aは、いわゆるロバーバル型の形状を有する。起歪体15Aは、第二コンベア11Bを支持する可動剛体部15Cに接続される可動端ブロック15Aaと、架台13に固定される固定剛体部15Dに接続される固定端ブロック15Abと、を有する。歪みゲージ15Bは、ホイートストンブリッジ回路を構成するように接続されている。計量部15では、歪みゲージ15Bにおける電気抵抗値の変化が、ホイートストンブリッジ回路によって検出され、重量値(計量信号)として算出される。
【0021】
制御部19は、計量装置1における各部を制御する部分である。制御部19は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。制御部19は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。制御部19は、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって、
図4に示される良否判定部19A、目量設定部19Bが形成される。良否判定部19A、目量設定部19Bにおける各種処理は、CPUの制御のもと実行される。
【0022】
良否判定部19Aは、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が、物品Pの種類ごとに予め設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する。本実施形態では、記憶部21等に予め記憶された判定条件、又は後段にて詳述する規則に基づいて変更される判定条件を満たしているか否かを判定する。本実施形態の良否判定部19Aは、計量された物品Pの重量値が目標重量となる基準値以上であるか否か検査する第一検査と、計量された物品Pの重量値が目標重量からの許容値である下限値と上限値との間の範囲に収まっているか否かを検査する第二検査と、を実施する。本実施形態の記憶部21等には、第一検査を実施するときの判定条件である基準値が物品Pの種類ごとに記憶され、第二検査を実施するときの判定条件である上限値と下限値とが物品Pの種類ごとに記憶されている。
【0023】
記憶部21等には、物品Pの種類ごとに、目量設定部19Bにおいて設定可能な一つの目量に対応する判定条件が記憶されている。
図2に示されるように、本実施形態では、0.2gを目量としたときの判定条件(基準値、下限値及び上限値)が初期設定値として記憶されている。良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって目量を0.2gとするモードが設定されている場合、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が、記憶部21等に初期設定値として設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する。すなわち、良否判定部19Aは、上記第一検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が25.4g以上の場合に良品と判定され、上記第二検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が24.4g以上26.4g以下の場合に良品と判定される。
【0024】
目量設定部19Bは、表示操作部17に表示される重量値の目量を変更する。目量とは、その秤において確認することができる計量結果の最小表示(表示の最小単位又は表示の最小ステップ)をいう。例えば、計量結果が0.2g単位で表示されるとき、その目量は0.2gであり、計量結果が1g単位で表示されるとき、その目量は1gである。目量設定部19Bは、表示操作部17に表示される設定ボタンB1を介して、作業者に目量を変更させることができる。本実施形態の目量設定部19Bは、設定ボタンB1が押下されることで、目量を0.2gとするモードと目量を1gとするモードとを選択可能な選択画面を表示操作部17に表示させ、選択画面を介して作業者から所望のモードを受け付ける。目量設定部19Bは、選択画面を介して受け付けたモードに基づいて、表示操作部17に表示される重量値の目量を変更する。
【0025】
商品設定部19Dは、検査対象となる物品Pの種類を設定する。商品設定部19Dは、表示操作部17に表示される商品選択ボタンB2を介して、作業者に検査対象となる物品Pの種類を設定させることができる。本実施形態の商品設定部19Dは、商品選択ボタンB2が押下されることで、物品Pの種類一覧画面を表示操作部17に表示させ、種類一覧画面を介して選択された物品Pの種類に基づいて、検査対象となる物品Pの種類を設定する。
【0026】
記憶部21等には、物品Pの種類ごとに、目量設定部19Bにおいて設定可能な一つの目量に対応する判定条件が記憶されている。本実施形態では、目量設定部19Bにおいて設定可能な目量(0.2gと1g)のうち、最小の目量(0.2g)に対応する判定条件が記憶されている。
図2に示されるように、本実施形態では、0.2gを目量としたときの判定条件(基準値、下限値及び上限値)が初期設定値として記憶されている。良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって目量を0.2gとするモードが設定されている場合、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が、記憶部21等に初期設定値として設定された判定条件を満たしているか否かを判定し、判定した結果を出力する。
【0027】
良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって、表示操作部17に表示される物品Pの重量値の目量が変更された場合、判定条件を変更後の目量に対応して変更する。例えば、目量設定部19Bによって、表示操作部17に表示される物品Pの重量値の目量を0.2gとするモードから1gとするモードに変更された場合、検査対象となる物品Pの上記判定条件を変更後の目量(1g)に対応して変更する。
【0028】
本実施形態では、記憶部21には、目量設定部19Bにおいて設定可能な最小の目量(最も細かい目量)に対応する判定条件が初期設定値(基準判定条件)として記憶されている。最小の目量とは、設定可能な複数の目量の中で、一番小さな単位を有する目量を意味する。例えば、設定可能な複数の目量が0.2g、0.5g、1gである場合、0.2gが最小の目量となる。また、本実施形態の記憶部21には、目量が変更された場合にどのように初期設定値を変更するかという規則(変更ポリシー)が記憶されている。規則は、例えば、
図2に示されるように、目量が0.2gから1gに変更された場合、基準値については初期設定値の小数点第一位を四捨五入し、下限値については初期設定値の小数点第一位を切り上げし、上限値については初期設定値の小数点第一位を切り下げするといった内容である。
【0029】
良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって目量が変更された場合、上述したような規則に基づいて初期設定値を変更する。なお、初期設定値の変更(すなわち新たな判定条件)は、物品Pの良否判定を行う度に算出されてもよいし、次に目量が変更されるまで一時的にRAM又は記憶部21等に記憶されてもよい。
【0030】
上記規則によって基準値、下限値及び上限値の初期設定値がどのように変更されるかについて具体的に説明する。基準値、下限値及び上限値の初期設定値がそれぞれ25.4g、24.4g、26.4gと設定されている場合、上記規則に基づいて設定される変更設定値は、それぞれ25g、24g、27gとなる。目量設定部19Bによって1gに目量が変更される前では、良否判定部19Aは、上記第一検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が25.4g以上の場合に良品と判定し、上記第二検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が24.4g以上26.4g以下の場合に良品と判定していたところ、目量設定部19Bによって1gに目量が変更された場合、良否判定部19Aは、上記第一検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が25g以上の場合に良品と判定し、上記第二検査においては、計量部15から出力される計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値が24g以上27g以下の場合に良品と判定するようになる。
【0031】
表示操作部17は、計量装置1の状態を表示すると共に、計量装置1における各部を操作可能に設けられている。表示操作部17は、例えば、制御部19から出力される表示情報に基づく画像を表示する表示機能を有すると共に、作業者等による操作(入力)を受け付ける操作機能を有する。表示操作部17には、例えばタッチパネルが採用される。表示操作部17に表示される情報は制御部19によって制御され、表示操作部17を介して操作(入力)された情報を制御部19によって取得される。
【0032】
表示操作部17に表示される情報は、
図3に示されるように、主に、検査対象となる物品Pの種類名(商品名)、設定されている目量を表示すると共に目量を設定するための設定ボタンB1、検査対象となる物品Pの種類を選択するための商品選択ボタンB2、計量動作を開始させる開始ボタンB3、判定条件、検査対象となる物品Pの種類に対応する判定条件、計量部15が出力する計量信号に基づいて算出される物品Pの重量値、判定結果等である。
【0033】
表示操作部17に表示される物品Pの重量値は、上段にて説明したとおり、目量設定部19Bによって目量の設定(モード)が切り替えられると、設定された目量に合わせて、表示単位が切り替える。表示操作部17に表示される判定条件は、商品設定部19Dによって設定される物品Pの種類に応じて表示される内容が切り替わる。また、表示操作部17に表示される判定条件は、良否判定部19Aによって変更がされた場合(規則に基づいて変更がなされた場合)、変更後の判定条件が表示される。
【0034】
振分装置30は、搬送部31と、架台33と、振分部35と、を備える。搬送部31は、物品Pを搬送方向に沿って搬送可能な搬送装置であり、例えばコンベアである。搬送部31は、第三コンベア31Aと、第四コンベア31Bと、を備える。第三コンベア31A及び第四コンベア31Bのそれぞれは、例えば、ローラ、モータ等の回転体、及び搬送ベルト等を有する。第三コンベア31A及び第四コンベア31Bは、搬送方向の上流側からこの順番で配置される。
【0035】
架台33は、搬送部31及び振分部35を支持する部材であり、第三コンベア31A及び第四コンベア31Bの下方にて床Fに固定される。架台33は、振分部35を収容する本体33A及び本体33Aを支持する複数の脚33Bを有する。
【0036】
振分部35は、物品Pを搬送部31から振り分ける部分である。振分部35は、制御部19によって判定条件を満たさないと判定された物品Pを搬送部31から振り分ける。なお、振分部35も、制御部19によって制御される。振分部35は、第三コンベア31A及び第四コンベア31Bを水平搬出状態(
図1において実線表示)とドロップ搬出状態(
図2において破線表示)とに切り替え可能に構成する。振分部35は、第三コンベア31A及び第四コンベア31Bを水平搬出状態にしたとき、物品Pを下流側に搬送し、第三コンベア31A及び第四コンベア31Bをドロップ搬出状態にしたとき、搬送系外に物品を排出する。
【0037】
振分部35は、良否判定部19Aによって良品と判定された物品Pが振分装置30を通過する際に第三コンベア31A及び第四コンベア31Bを水平搬出状態に切り替え、良否判定部19Aによって不良品と判定された物品Pが振分装置30を通過する際に第三コンベア31A及び第四コンベア31Bをドロップ搬出状態に切り替える。系外に排出された物品Pは、第四コンベア31Bの下方に配置された箱39等に収容される。
【0038】
上記実施形態の計量装置1における作用効果について説明する。物品Pの良否を判定する判定条件は、目量に合わせた値が設定されている。例えば、目量が0.2g単位であれば、判定条件も0.2g単位で値が設定され、目量が1g単位であれば、判定条件も1g単位で値が設定される。したがって、計量装置1において表示操作部17に表示される物品Pの重量値の目量を変更すると、物品Pの良否判定を行うための判定条件の値も、変更後の目量の単位に合わせて変更する必要がある。従来の計量装置1においては、目量を変更すると、同時に変更後の目量に合わせた判定条件も入力をし直す必要があり、多くの商品(物品Pの種類)を管理する計量装置では、作業者の作業負担は大きかった。また、計量装置においては、目量が細かい場合には、外乱の影響を受けやすく、重量値の表示が変動しやすく(ちらつきやすく)なるところ、目量を粗く変更することによって上述のような変動は低減される。このような事情から、秤量とは関係無く目量を変更したいという要望がある。
【0039】
上記実施形態の計量装置1では、目量設定部19Bが設けられているので、目量を容易に変更することができる。また、上記実施形態の計量装置1では、目量設定部19Bによって目量が変更された場合には、作業者が変更後の目量に対応した判定条件を再設定する作業を行わなくても、良否判定部19Aによって自動的に変更後の目量に対応した判定条件に変更される。これにより、従来の計量装置では、目量が変更された場合には判定条件がクリアされるので作業者による再設定作業が必須であったところ、上記実施形態の計量装置1では、表示操作部17に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【0040】
上記実施形態の計量装置1では、良否判定部19Aは、目量設定部19Bにおいて設定可能な最小目量に対応する判定条件を基準判定条件として記憶すると共に、目量が変更された場合にどのように基準判定条件を変更するかという規則を記憶する記憶部21と通信可能に構成されている。そして、良否判定部19Aは、目量設定部19Bによって目量が変更されると、規則に基づいて基準判定条件を変更することによって変更後の目量に対応した判定条件に変更される。この構成では、必要最低限の情報を初期設定値として設定しておけばよいので、作業者が初期に判定条件を設定する際の作業負担が軽くなる。
【0041】
上記実施形態の計量装置1では、判定条件は、目標重量となる基準値、目標重量からの許容値である上限値及び下限値を含んでいる。良否判定部19Aは、基準値については四捨五入処理、上限値については切り上げ処理、下限値については切り下げ処理をなすという規則に基づいて基準判定条件を変更している。この構成では、判定条件として基準値、上限値及び下限値が設定されている場合であっても、これらの判定条件を変更後の目量に対応させて変更することができる。
【0042】
上記実施形態の計量装置1では、計量部15は、搬送部11によって搬送中の物品Pを計量している。この構成では、搬送部11によって搬送中の物品Pを計量する計量装置1であっても、表示操作部17に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【0043】
上記実施形態の計量装置1では、振分部35は、良否判定部19Aにより判定条件を満たさないと判定された物品Pを搬送部11から振り分けて系外に排出している。この構成では、判定条件を満たさないと判定された物品Pを搬送部11から自動的に排除できる。
【0044】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
上記実施形態では、表示操作部17に表示される重量値の目量を変更したときに、検査時における判定条件が自動的に切り替わる構成の計量装置1を例に挙げて説明したが、例えば、秤量に合わせて目量が切り替わるマルチレンジ対応の検査装置に適用されてもよい。この場合、制御部19では、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって、
図4に示される良否判定部19A、目量設定部19Bに加え、秤量設定部19Cが形成される。
【0046】
秤量設定部19Cは、計量部15における秤量を設定する。秤量とは、その秤で計量できる最大の重量値をいう。変形例に係る計量検査装置10では、秤量に合わせて適切な目量が設定されることが好ましい。そこで、変形例の計量装置1では、秤量に対して適切な目量が関連付けた目量情報が記憶部21等に記憶されている。
図3に示されるような上記実施形態の設定ボタンB1とは異なり、
図6に示されるように、変形例の設定ボタンB1には、秤量と、秤量に対する適切な目量と、が併記されている。
【0047】
秤量設定部19Cは、表示操作部17に表示される設定ボタンB1を介して、作業者に秤量を変更させることができる。本実施形態の秤量設定部19Cは、設定ボタンB1が押下されることで、秤量を600gとするモードと秤量を1500gとするモードとを選択可能な選択画面を表示操作部17に表示させ、選択画面を介して受け付けたモードに基づいて、計量部15における秤量を設定する。
【0048】
本変形例では、秤量設定部19Cによって秤量が変更されると目量設定部19Bによって目量が変更される。すなわち、秤量の設定値と目量の設定値とは互いに連動する。例えば、本変形例では、秤量が600gに設定されると目量が0.05gに設定され、秤量が1500gに変更されると目量が0.1gに変更される。なお、目量設定部19Bによって目量が変更されると秤量設定部19Cによって秤量が変更される構成であってもよい。また、上記実施形態と同様に、記憶部21には、目量設定部19Bにおいて設定可能な最小の目量(0.05g)に対応する判定条件が初期設定値として記憶されている。また、記憶部21には、目量が0.05gから0.1g変更された場合にどのように初期設定値を変更するかという規則(変更ポリシー)が記憶されている。
【0049】
変形例に係る計量装置1では、良否判定部19Aは、秤量のそれぞれに対応する目量を記憶する記憶部21と通信可能に構成されている。そして、良否判定部19Aは、秤量設定部19Cによって秤量が変更されると、変更後の秤量に関連付けて記憶されている目量に対応して判定条件を変更している。この構成では、秤量を切り替えれば、表示操作部17に表示される目量が秤量に対応する目量に自動的に切り替わる計量装置1であっても、変更後の目量に合わせた判定条件に再設定する手間を削減できる。
【0050】
上記実施形態の計量装置1では、良品及び不良品を判定するための判定条件として、基準値と、下限値及び上限値とが設定されている例を挙げて説明したが、基準値のみであってもよいし、下限値及び上限値のみであってもよい。
【0051】
上記実施形態及び上記変形例の計量装置1では、目量設定部19Bにおいて設定可能な最小の目量(最も細かい目量)に対応する判定条件を基準判定条件(初期設定値)として記憶され、目量設定部19Bによって目量が変更された場合には、変更後の目量に合わせた判定条件とするために、予め記憶された規則に基づいて基準判定条件を変更(算出)する処理を行うことを例に挙げて説明したがこれに限定されない。
【0052】
例えば、記憶部21には、物品Pの種類ごとに、目量設定部19Bにおいて設定可能な目量の全てに対応する判定条件を記憶させておき、目量設定部19Bによって目量が変更されると、良否判定部19Aは、変更された目量に対応する判定条件を記憶部21から読み出すように構成してもよい。
【0053】
上記実施形態の計量装置1では、目量設定部19Bは、二段階の目量の切り替えが可能な例を挙げて説明したが、例えば、0.1g単位の目量と、0.2g単位の目量と、1g単位の目量との三段階の切り替えが可能な構成としてもよい。この場合も、目量設定部19Bにおいて設定可能な最小の目量(最も細かい目量)に対応する判定条件を基準判定条件(初期設定値)と、0.1g単位の目量に対応する判定条件を、0.2g単位の目量に対応する判定条件に変更するための第一規則と、0.2g単位の目量に対応する判定条件を、1g単位の目量に対応する判定条件に変更するための第二規則と、を記憶部21等に記憶させればよい。これにより、目量設定部19Bによって目量が変更されたときは、良否判定部19Aは、上述したような第一規則及び第二規則に基づいて変更された目量に対応する判定条件を算出できる。また、0.1g単位の目量に対応する判定条件を、1g単位の目量に対応する判定条件に変更するための第三規則を記憶部21等に記憶させてもよい。
【0054】
なお、このような変形例において、目量設定部19Bが、粗い目量の設定から細かな目量に設定を変更する場合には、上述したような規則に基づいて判定条件を変更するのではなく、判定条件を一度リセットして(基準判定条件に戻り)、変更後の目量に合わせた判定条件に変更をする。すなわち、良否判定部19Aが1g単位の目量(又は0.2g単位の目量)に対応する判定条件を、0.1g単位の目量に対応する判定条件に変更するためには、記憶部21等に記憶されている基準判定条件を読み出して設定すればよい。また、1g単位の目量に対応する判定条件を、0.2g単位の目量に対応する判定条件に変更するためには、記憶部21等に記憶されている基準判定条件に対して第一規則を適用して、0.2g単位の目量に対応する判定条件を算出してすればよい。
【0055】
上記実施形態及び上記変形例では、振分装置30の一例として、ドロップアップベルト式振分装置を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、アームを用いたアーム式振分装置、プッシャ装置を用いたプッシャ式振分装置、ドロップフラップ式振分装置、エアジェット式振分装置、及びフィン式振分装置等を採用してもよい。
【0056】
上記実施形態及び変形例の計量装置1は、搬送部11によって搬送中の物品Pを計量する計量部15を例に挙げて説明したが、この計量部15に変えて、
図5に示されるような、静止状態の物品Pを計量する台秤103を採用してもよい。すなわち、変形例に係る計量装置100は、タブレット端末101と、台秤103と、を備える。より詳細には、タブレット端末101は、上記実施形態の表示操作部17と、制御部19と、記憶部21と、を有している。台秤103は、上記実施形態の計量部15を有している。変形例に係る計量装置100は、台秤103に載置された物品Pが所定の判定条件を満たしているか否かを判定する装置である。
【0057】
このような変形例に係る計量装置100であっても、目量設定部19Bによって目量が変更された場合には、作業者が変更後の目量に対応した判定条件を再設定する作業を行わなくても、良否判定部19Aによって自動的に変更後の目量に対応した判定条件に変更される。これにより、表示操作部17に表示される目量を切り替えたときに判定条件を再設定する手間を削減できる。
【0058】
上記実施形態及び上記変形例の構成に加え、計量装置1は、物品Pの種類(商品)ごとに目量設定部19Bにおいて設定可能な一つの目量に対応する判定条件が記憶されているデータに対し、上述した規則に基づいて、変更後の目量に合わせた判定条件を算出し、物品Pの種類(商品)ごとに目量設定部19Bにおいて設定可能な目量の全てに対応する判定条件が関連付けられたデータを生成する装置又はプログラムを有していてもよい。この装置及びプログラムによれば、例えば、秤量ごとに決められた目量を設定する必要性が生じた場合であっても、目量ごとの判定基準を容易に準備することができる。これにより、目量に合わせた判定基準を利用して良否判定を行うことが容易となる。
【符号の説明】
【0059】
1…計量装置、10…計量検査装置、11…搬送部、15…計量部、17…表示操作部(表示部)、19…制御部、19A…良否判定部、19B…目量設定部、19C…秤量設定部、21…記憶部、30…振分装置、31…搬送部、35…振分部。