(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090872
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 19/26 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H02K19/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207051
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】村田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】末長 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中根 優人
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619AA01
5H619BB02
5H619BB06
5H619BB13
5H619PP01
5H619PP02
5H619PP13
(57)【要約】
【課題】回転電機において、電気的な損失を低減するとともに、低コストで小型化できるようにする。
【解決手段】固定子1と、回転子2と、固定子1よりも反原動機側に設けられ、環状の励磁機固定子鉄心としての固定子鉄心15aと当該固定子鉄心15aの内径側に配置された永久磁石15bとから構成される励磁機固定子15と、固定子鉄心15aの内側に設けられ、回転軸3に固定された励磁機回転子鉄心としての回転子鉄心6aと当該回転子鉄心6aに設けられた励磁機回転子巻線としての回転子巻線6bとから構成される励磁機回転子6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転数が変動し、発電の出力を出力調整装置で制御する回転電機であり、
環状の固定子鉄心と当該固定子鉄心に設けられた固定子巻線とから構成される固定子と、
前記固定子鉄心の内側に設けられ、原動機側の軸受け及び反原動機側の軸受けにより支持される回転軸に固定された回転子鉄心と当該回転子鉄心に設けられた回転子巻線とから構成される磁極を有する回転子と、
前記固定子よりも反原動機側に設けられ、環状の励磁機固定子鉄心と当該励磁機固定子鉄心の内径側に配置された永久磁石とから構成される励磁機固定子と、
前記励磁機固定子鉄心の内側に設けられ、前記回転軸に固定された励磁機回転子鉄心と当該励磁機回転子鉄心に設けられた励磁機回転子巻線とから構成される励磁機回転子と
を備える
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記励磁機固定子は、前記固定子と前記反原動機側の軸受けとの間に設けられ、
前記固定子と、前記回転子と、前記回転軸と、前記励磁機固定子と、前記励磁機回転子とを覆うフレームをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記固定子と、前記回転子と、前記回転軸における原動機側の一端部分及び反原動機側の他端部分を除く部分とを覆うフレームをさらに備え、
前記励磁機固定子と前記励磁機回転子は、前記フレームの外側に突出している、前記回転軸における反原動機側の他端部分に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記励磁機固定子は、
前記フレームにおける反原動機側の他端の外側に設けられた前記反原動機側の軸受けに取り付けられ、
前記励磁機回転子は、
前記フレームの外側に突出している前記回転軸における前記反原動機側の他端部分に固定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機などの回転電機に係り、特に回転数可変型の回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータで制御が必要な回転数可変型の回転電機としてブラシレス回転電機がある。この種の回転電機としては、回転子に電磁石を用いた電磁石型の同期発電機と、永久磁石を用いた永久磁石型の同期発電機とがある。ここで
図3に、回転子に電磁石を用いた電磁石型の同期発電機であるブラシレス回転電機300の構造を示す。
【0003】
このブラシレス回転電機300は、主に固定子1と、回転子2と、回転軸3と、軸受け4と、励磁機固定子5と、励磁機回転子6と、副励磁用PMG固定子7と、副励磁用PMG回転子8と、発電機フレーム9から構成される。尚、PMGは、Permanent Magnet Generator(永久磁石発電機)の略である。
【0004】
固定子1は、環状の電磁鋼板を軸方向(図中左右方向)に積層した固定子鉄心1aと、固定子鉄心1a内径側のスロットに収められた固定子巻線1bとから構成される。回転子2は、環状の固定子1の内側に設けられた突極型磁極であり、電磁鋼板を軸方向に積層した回転子鉄心2aと、当該回転子鉄心2aに巻回された回転子巻線2bとから構成される。この回転子2は、当該回転子2の中心軸を通る回転軸3に固定されている。回転軸3は、回転子2よりも軸方向(図中左右方向)に長く、一端側(図中左側であり原動機側)と他端側(図中右側であり反原動機側)がそれぞれ軸受け4によって回転可能に支持されていて、一端が原動機と直結されている。
【0005】
励磁機固定子5は、固定子1と回転軸3の他端側を支持する軸受け4との間に設けられている。この励磁機固定子5は、環状の電磁鋼板を軸方向に積層した固定子鉄心5aと、固定子鉄心5a内径側のスロットに収められた固定子巻線5bから構成される。励磁機回転子6は、環状の励磁機固定子5の内側に設けられ、電磁鋼板を軸方向に積層した回転子鉄心6aと、当該回転子鉄心6a外径側のスロットに収められた回転子巻線6bとから構成される。この励磁機回転子6も、当該励磁機回転子6の中心軸を通る回転軸3に固定されている。
【0006】
副励磁用PMG固定子7は、回転軸3の他端側に設けられている。この副励磁用PMG固定子7は、環状の電磁鋼板を軸方向に積層した固定子鉄心7aと、固定子鉄心7a内径側のスロットに収められた固定子巻線7bとから構成される。副励磁用PMG回転子8は、環状の副励磁用PMG固定子7の内側に設けられ、円柱状の鉄心8aと、当該鉄心8a外径側に設けられた永久磁石8bとから構成される。この副励磁用PMG回転子8は、回転軸3の他端(図中右端)に固定されている。つまり回転軸3は、回転子2、励磁機回転子6、副励磁用PMG回転子8とともに回転するようになっている。
【0007】
発電機フレーム9は、固定子1と、回転子2と、回転軸3の一部分(一端部分と他端部分を除く部分)と、励磁機固定子5と、励磁機回転子6とを覆うように設けられている。この発電機フレーム9の一端と他端の外側に、それぞれ軸受け4が設けられていて、回転軸3は一端部分と他端部分が、それぞれ発電機フレーム9の外側に突出するように設けられている。そして、この回転軸3の他端側、つまり発電機フレーム9の他端の外側に、副励磁用PMG固定子7と副励磁用PMG回転子8が設けられている。
【0008】
このような構成のブラシレス回転電機(つまり従来のブラシレス回転電機)300は、原動機により回転軸3を回転させることで発電するようになっている。一定の回転数を与えることができる原動機としては、エンジン、タービン、水車等があるが、ここでは、回転数が変動するものや、自然エネルギーを利用した不安定なもの、船舶用の軸発電機等、回転速度を変動させて使用する原動機を対象とする。
【0009】
つづけて、ブラシレス回転電機300が、回転力を電力に変換する過程について簡単に説明する。初めに原動機を用いて回転軸3を回転させる。このとき、回転軸3に固定された回転子2、励磁機回転子6、及び副励磁用PMG回転子8も同様に回転する。ここで、副励磁用PMG回転子8に永久磁石8bが設けられている為、副励磁用PMG回転子8が回転すると回転磁界が形成される。この回転磁界が、副励磁用PMGの固定子巻線7bと鎖交することで電磁誘導が起こる。これにより副励磁用PMGの固定子巻線7bに電圧が発生して交流電流が流れる。この交流電流は、外部の発電機制御盤に設けられた自動電圧調整器(以下、AVR:Auto Voltage Regulato)10により直流電流に変換され、励磁機の固定子巻線5bに供給される。
【0010】
尚、図示していないが副励磁用のPMGを有していないブラシレス回転電機もあり、この場合、励磁用の電源をブラシレス回転電機の出力側から供給し、AVR10を介して励磁機の固定子巻線5bに供給するようになっている。
【0011】
図3に戻り、AVR10から励磁機の固定子巻線5bに直流電流を流すと、アンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が、励磁機の回転子巻線6bと鎖交することで電磁誘導が起こる。これにより励磁機の回転子巻線6bに電圧が発生して交流電流が流れる。この交流電流は、回転軸3に設けた図示しない整流器により直流電流に変換され、回転子巻線2bに供給される。
【0012】
回転子巻線2bに直流電流を流すと、アンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が、固定子巻線1bと鎖交することで電磁誘導が起こる。これにより固定子巻線1bに電圧が発生して交流電流が流れ、この交流電流が外部負荷に供給される。ブラシレス回転電機300は、このようにして回転力を電力に変換するようになっているが、上述したように原動機の回転数が変動することから、発電機として出力する交流電流の周波数が一定とならず、図示しないインバータによる周波数調整が必要となる。
【0013】
また図示していないが、ブラシレス回転電機では、回転子の磁極を永久磁石型にすることで、励磁機と副励磁用のPMGとAVRを省略した構造にすることも可能であるが、この場合、永久磁石の使用量が増加する為、製造コスト等が増加してしまう。
【0014】
従来のインバータで制御する、電磁石型の同期発電機に関する文献としては例えば下記の特許文献1があり、また永久磁石型の同期発電機に関する文献としては例えば下記の特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4-322151号公報
【特許文献2】特開2004-282889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の回転電機は、副励磁用のPMGもしくは回転電機の出力側から供給された交流電流をAVRにより直流電流に変換して再度回転電機内の励磁機固定子巻線へ入力する構造となっている為、電気的な損失が多く、部品数も多くなり、回転電機本体を小型化することが難しい。
【0017】
また従来の回転電機は、出力電圧を調整する為にAVRを用いているが、回転電機の出力側に設けられている周波数調整用のインバータでも出力電圧の調整が可能であり、AVRとインバータとで制御機能が干渉(重複)しているという問題もある。この問題を解決する為に、回転電機本体の回転子の磁極を永久磁石型にする方法もあるが、この場合、高価な永久磁石の使用量が増加して、回転電機の製造コスト等が増加してしまう。
【0018】
このように、従来の回転電機は、電気的な損失が多く、低コストで小型化することが難しいという問題を有していた。
【0019】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、回転電機において、電気的な損失を低減するとともに、低コストで小型化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明による回転電機は、回転数が変動し、発電の出力を出力調整装置で制御する回転電機であり、環状の固定子鉄心と当該固定子鉄心に設けられた固定子巻線とから構成される固定子と、前記固定子鉄心の内側に設けられ、原動機側の軸受け及び反原動機側の軸受けにより支持される回転軸に固定された回転子鉄心と当該回転子鉄心に設けられた回転子巻線とから構成される磁極を有する回転子と、前記固定子よりも反原動機側に設けられ、環状の励磁機固定子鉄心と当該励磁機固定子鉄心の内径側に配置された永久磁石とから構成される励磁機固定子と、前記励磁機固定子鉄心の内側に設けられ、前記回転軸に固定された励磁機回転子鉄心と当該励磁機回転子鉄心に設けられた励磁機回転子巻線とから構成される励磁機回転子とを備える。
【0021】
このように、回転子ではなく励磁機固定子に永久磁石を用いる構成により、永久磁石の使用量を抑えることができ、また励磁機固定子へ直流電流を供給することなく発電可能となる為、電気的な損失を低減することができるとともに、副励磁用PMGとAVRを省略して部品数を削減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回転電機において、電気的な損失を低減するとともに、低コストで小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施の形態に係る回転電機の断面図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る回転電機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
[1.第1の実施の形態]
まず本発明による第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による第1の実施の形態に係るブラシレス回転電機100の構成例を示す断面図である。このブラシレス回転電機100は、インバータ20で制御が必要な回転数可変型の回転電機であり、発電機として使用されるものである。尚、インバータ20は、例えば外部の発電機制御盤に設けられている。
【0026】
ここで
図1は、
図3に対応する図であり、
図1に示す第1の実施の形態に係る回転電機の構成部品のうち、
図3に示す従来の回転電機の構成部品と同一又は類似の構成部品については、同一符号を付すとともに詳しい説明は適宜省略する。
【0027】
第1の実施の形態に係るブラシレス回転電機100は、主に固定子1と、回転子2と、回転軸3と、軸受け4と、励磁機固定子15と、励磁機回転子6と、発電機フレーム9から構成される。このうち、固定子1と、回転子2と、回転軸3と、軸受け4と、励磁機回転子6と、発電機フレーム9は、
図3に示す従来のブラシレス回転電機300の構成部品と同一又はほぼ同一の為、詳しい説明は省略する。尚、原動機側の軸受け4については省略される場合もある。
【0028】
励磁機固定子15は、固定子1と回転軸3の他端側を支持する軸受け4との間に設けられている。この励磁機固定子15は、環状の電磁鋼板を軸方向に積層した固定子鉄心15aと、当該固定子鉄心15a内径側に設けられた永久磁石15bとから構成される。永久磁石15bは、固定子鉄心15a内径側の表面(つまり固定子鉄心15aの内周面)もしくは固定子鉄心15a内径側の内部(つまり固定子鉄心15aの内周面に近い内部)に設けられていて、複数個が固定子鉄心15aの周方向に等配されている(つまり同一サイズの複数の永久磁石15bが固定子鉄心15aの周方向に等間隔で配置されている)。励磁機回転子6は、環状の励磁機固定子15の内側に設けられていて、回転軸3に固定されている。ブラシレス回転電機100の構成は、以上のようになっている。
【0029】
ここで、ブラシレス回転電機100が、回転力を電力に変換する過程について簡単に説明する。初めに原動機を用いて回転軸3を回転させる。このとき、回転軸3に固定された回転子2、励磁機回転子6も同様に回転する。ここで、励磁機固定子15に永久磁石15bが設けられている為、励磁機回転子6が回転すると回転磁界が形成される。この回転磁界が、励磁機回転子6の回転子巻線6bと鎖交することで電磁誘導が起こる。これにより回転子巻線6bに電圧が発生して交流電流が流れる。この交流電流は、回転軸3に設けた図示しない整流器により直流電流に変換され、回転子巻線2bに供給される。
【0030】
回転子巻線2bに直流電流を流すと、アンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が、固定子巻線1bと鎖交することで電磁誘導が起こる。これにより固定子巻線1bに電圧が発生して交流電流が流れ、この交流電流がインバータ20により周波数調整されて外部負荷に供給される。ブラシレス回転電機100は、このようにして回転力を電力に変換する(つまり発電する)ようになっている。
【0031】
ここまで説明したように、第1の実施の形態に係るブラシレス回転電機100は、回転数が変動し、発電の出力を出力調整装置としてのインバータ20で制御する回転電機であり、環状の固定子鉄心1aと当該固定子鉄心1aに設けられた固定子巻線1bとから構成される固定子1と、固定子鉄心1aの内側に設けられ、原動機側の軸受け4及び反原動機側の軸受け4により支持される回転軸3に固定された回転子鉄心2aと当該回転子鉄心2aに設けられた回転子巻線2bとから構成される磁極を有する回転子2と、固定子1よりも反原動機側(つまり固定子1と反原動機側の軸受け4との間)に設けられ、環状の励磁機固定子鉄心としての固定子鉄心15aと当該固定子鉄心15aの内径側に配置された永久磁石15bとから構成される励磁機固定子15と、固定子鉄心15aの内側に設けられ、回転軸3に固定された励磁機回転子鉄心としての回転子鉄心6aと当該回転子鉄心6aに設けられた励磁機回転子巻線としての回転子巻線6bとから構成される励磁機回転子6とを備える。
【0032】
このように、ブラシレス回転電機100は、回転子2ではなく回転子2よりも小型の励磁機固定子15に永久磁石15bを用いる構成により、回転子2に永久磁石を用いる場合と比較して永久磁石15bの使用量を抑えることができる。またブラシレス回転電機100は、励磁機固定子15へ直流電流を供給することなく発電可能となる為、電気的な損失を低減することができるとともに、副励磁用PMGとAVRを省略して部品数を削減することができる。
【0033】
さらにブラシレス回転電機100では、副励磁用PMGとAVRを省略したことにより、回転子巻線2bに流れる界磁電流の調整、すなわちブラシレス回転電機100側での出力調整を行うことはできないが、ブラシレス回転電機100の出力側に設けられたインバータ20により出力電圧の調整が可能となっている。
【0034】
かくして、第1の実施の形態に係るブラシレス回転電機100によれば、電気的な損失を低減するとともに、低コストで小型化できる。
【0035】
[2.第2の実施の形態]
次に本発明による第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、励磁機(励磁機固定子15及び励磁機回転子6)の配置が第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。よって、ここでは主に、励磁機の配置について説明する。
【0036】
図1に対応する
図2に示すように、第2の実施の形態に係るブラシレス回転電機200は、励磁機固定子15及び励磁機回転子6が発電機フレーム9の内側ではなく外側に設けられている。具体的には、発電機フレーム9は、固定子1と、回転子2と、回転軸3の一部分(一端部分と他端部分を除く部分)を覆うように設けられている。この発電機フレーム9の一端と他端の外側に、それぞれ軸受け4が設けられていて、回転軸3は一端部分と他端部分が、それぞれ発電機フレーム9の外側に突出するように設けられ、さらに回転軸3の他端部分(図中右端部分)が軸受け4のさらに外側に突出するように設けられている。そしてこの回転軸3の他端部分、つまり軸受け4の外側に突出している部分に、励磁機固定子15及び励磁機回転子6が設けられている。
【0037】
励磁機固定子15は、第1の実施の形態と同様、環状の電磁鋼板を軸方向に積層した固定子鉄心15aと、当該固定子鉄心15a内径側に設けられた永久磁石15bとから構成される。励磁機回転子6は、環状の励磁機固定子15の内側に設けられていて、回転軸3に固定されている。
【0038】
励磁機固定子15と励磁機回転子6と回転軸3の他端部分は、例えば回転軸3の他端側を支持する軸受け4に取り付けられた励磁機フレーム16により覆われている。励磁機固定子15は、この励磁機フレーム16を介して、回転軸3の他端側を支持する軸受け4に取り付けられている。ブラシレス回転電機200の構成は、以上のようになっている。尚、ブラシレス回転電機200が、回転力を電力に変換する過程については第1の実施の形態と同様の為、説明は省略する。
【0039】
ここまで説明したように、第2の実施の形態に係るブラシレス回転電機200は、固定子1と、回転子2と、回転軸3の一部分(原動機側の一端部分と反原動機側の他端部分を除く部分)を覆うように発電機フレーム9を設け、発電機フレーム9の一端及び他端の外側に、回転軸3の一端側を支持する軸受け4と他端側を支持する軸受け4を設け、回転軸3の他端部分が他端側の軸受け4のさらに外側に突出するようにした。そして、発電機フレーム9の他端の外側に設けられている軸受け4に励磁機固定子15を取り付け、回転軸3の他端部分に励磁機回転子6を固定するようにした。
【0040】
このように、永久磁石式の励磁機である励磁機固定子15と励磁機回転子6を発電機フレーム9の外側に設けたことにより、発電機フレーム9を小型化することができる。また励磁機固定子15と励磁機回転子6が、発電機フレーム9の他端側(反原動機側)の外部に設けられている為、励磁機固定子15と励磁機回転子6のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0041】
すなわち、第2の実施の形態に係るブラシレス回転電機200によれば、第1の実施の形態で得られる効果にくわえて、発電機フレーム9の小型化と、メンテナンスの容易さという効果を得ることができる。
【0042】
[3.他の実施の形態]
次に本発明による他の実施の形態(変形例)について説明する。上述した第1の実施の形態では、ブラシレス回転電機100の出力を調整する出力調整装置としてインバータ20を用いたが、インバータ20の代わりに、インバータ20と同様の機能を有する他の出力調整装置を用いてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0043】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、同期発電機の構成を有する回転電機に本発明を適用した。これに限らず、励磁機を備えた構成の回転電機であれば、上述した第1及び第2の実施の形態の構成とは一部が異なる構成の回転電機に本発明を適用してもよい。
【0044】
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、同期機発電機等の回転電機で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1……固定子、1a、5a、15a……固定子鉄心、1b、5b……固定子巻線、2……回転子、2a、6a……回転子鉄心、2b、6b……回転子巻線、3……回転軸、4……軸受け、5、15……励磁機固定子、6……励磁機回転子、9……発電機フレーム、10……AVR、15b……永久磁石、20……インバータ、100、200、300……ブラシレス回転電機。