(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090878
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】会計処理装置、会計処理方法、及び、会計処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207060
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 雅俊
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】期間損益の十分な開示及び把握を可能とする。
【解決手段】売上基準検出部が、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する。分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、戻入処理部が、売上基準が変更されるまでの分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う。また、算出部が、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する。データ生成部は、戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、前記分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出部と、
前記売上基準検出部により、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、売上基準が変更されるまでの前記分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理部と、
前記売上基準検出部により、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出部と、
前記戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、前記算出部により算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成部と、
を有する会計処理装置。
【請求項2】
前記売上基準検出部により、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されているが、次の分割会計期は、新たな会計期の最初の分割会計期に相当することが検出された場合、前記戻入処理部は、前記戻入処理は行わず、
前記算出部は、次の分割会計期に対して設定されている売上基準に基づいて、新たな会計期の売上及び原価を算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項3】
前記データ生成部は、前記仕訳データを生成する際、各前記売上基準に対応する売上及び原価の勘定科目がそれぞれ記憶されている記憶部を参照し、売上基準に応じた売上の勘定科目及び売上基準に応じた原価の勘定科目を付した仕訳データを生成すること、
を特徴とする請求項2に記載の会計処理装置。
【請求項4】
複数の前記売上基準は、発生した費用と同額の売上を計上する原価回収基準、及び、前記契約の履行の進捗度に応じて売上を計上する進行基準であること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の会計処理装置。
【請求項5】
売上基準検出部が、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、前記分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出ステップと、
前記売上基準検出ステップで、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、戻入処理部が、売上基準が変更されるまでの前記分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理ステップと、
前記売上基準検出ステップで、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、算出部が、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出ステップと、
データ生成部が、前記戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、前記算出ステップで算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成ステップと、
を有する会計処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、前記分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出部と、
前記売上基準検出部により、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、売上基準が変更されるまでの前記分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理部と、
前記売上基準検出部により、前記分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出部と、
前記戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、前記算出部により算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする会計処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計処理装置、会計処理方法、及び、会計処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2021年4月より適用が開始された「収益認識に関する会計基準」により、売上基準に応じた勘定科目を、PL(Profit and loss statement:損益計算書)上の注記として開示することが法令として求められている。
【0003】
売上基準に関する先行技術としては、特許文献1(特開2022-039638号公報)に、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、オペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短縮化することを可能として業務支援装置が開示されている。
【0004】
この業務支援装置は、原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成する。また、進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成する。また、原価回収基準又は進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する。
【0005】
これにより、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、オペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短縮化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、売上基準に応じた勘定科目で、売上仕訳を自動作成する場合、従来は、例えば原価回収基準から進行基準への変更等のように売上基準が切り替えられた場合でも、売上基準の切替月で既計上額との差額が計上されるだけであった。このため、従来の会計処理装置は、期間損益の開示及び把握には不十分なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、期間損益の十分な開示及び把握を可能とした会計処理装置、会計処理方法、及び、会計処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計処理装置は、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出部と、売上基準検出部により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、売上基準が変更されるまでの分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理部と、売上基準検出部により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出部と、戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、算出部により算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計処理方法は、売上基準検出部が、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出ステップと、売上基準検出ステップで、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、戻入処理部が、売上基準が変更されるまでの分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理ステップと、売上基準検出ステップで、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、算出部が、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出ステップと、データ生成部が、戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、算出ステップで算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0011】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計処理プログラムは、コンピュータを、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する売上基準検出部と、売上基準検出部により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、売上基準が変更されるまでの分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う戻入処理部と、売上基準検出部により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する算出部と、戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、算出部により算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、期間損益の十分な開示及び把握を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態の会計処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、プロジェクト基本情報管理マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、プロジェクト原価計算基本情報マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、売上基準マスタの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、月度期間マスタの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、売上基準別勘定科目マスタの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の会計処理装置の概要を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の会計処理装置の他の概要を説明するための図である。
【
図9】
図9は、工事発生から未成の状態での月次処理の流れを示す図である。
【
図10】
図10は、工事発生から未成の状態での月次処理の流れを示す図である。
【
図11】
図11は、工事発生から未成の状態での月次処理の流れを示す図である。
【
図14】
図14は、売上基準変更時の処理の流れを示す図である。
【
図16】
図16は、各工事の各四半期に設定されている売上基準等を示す図である。
【
図17】
図17は、プロジェクト状態データの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、プロジェクト進行基準売上データの一例を示す図である。
【
図19】
図19は、プロジェクト原価集計データの一例を示す図である。
【
図20】
図20は、プロジェクト原価集計データの一例を示す他の図である。
【
図21】
図21は、実施の形態の会計処理装置により、会計年月毎に生成された仕訳データの一例を示す図である。
【
図23】
図23は、実施の形態の会計処理装置により生成された仕訳データに基づいて作成された損益計算書の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、各工事の各四半期に設定されている売上基準等を示す図である。
【
図25】
図25は、プロジェクト状態データの一例を示す図である。
【
図26】
図26は、プロジェクト進行基準売上データの一例を示す図である。
【
図27】
図27は、プロジェクト原価集計データの一例を示す図である。
【
図28】
図28は、プロジェクト原価集計データの一例を示す図である。
【
図29】
図29は、初回売上基準変更時の動作を説明するための図である。
【
図30】
図30は、複数回売上基準変更時の動作を説明するための図である。
【
図31】
図31は、プロジェクト原価集計データの一例を示す図である。
【
図32】
図32は、期跨ぎ工事完成時の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した実施の形態となる会計処理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態の会計処理装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、スピーカ装置等が相当する。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワークに接続される。
【0016】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、期間損益の十分な開示及び把握を可能とする会計処理プログラムが記憶されている。また、この記憶部2には、後述するプロジェクト基本情報管理マスタ11、プロジェクト原価計算基本情報マスタ12、売上基準マスタ13、月度期間マスタ14、売上基準別勘定科目マスタ15が記憶されている。
【0017】
また、記憶部2には、後述するプロジェクト基本データ、プロジェクト受注データ、プロジェクト予算データ、プロジェクト仕入データ、プロジェクト状態データ、プロジェクト着地予想データ、プロジェクト進捗率データ、プロジェクト進行基準売上データ、プロジェクト原価集計データ等が記憶される。
【0018】
図2は、プロジェクト基本情報管理マスタ11の一例を示す図である。このプロジェクト基本情報管理マスタ11は、予算を作成する単位を設定するマスタであり、「プロジェクト予算単位区分」とされた項目名に対する設定値が記憶されている。
【0019】
一例として、設定値は、「0:プロジェクト単位」、「1:受注番号単位」、「2:受注明細単位」の中から選択して設定可能となっている。この
図2の例は、プロジェクト予算単位区分に対して、「0:プロジェクト単位」が、予算を作成する単位として設定された例である。
【0020】
次に、
図3は、プロジェクト原価計算基本情報マスタ12の一例を示す図である。プロジェクト原価計算基本情報マスタ12は、売上基準として、工事等の契約の進捗度に応じて売上を計上する「進行基準」を設定した場合に、売上を計上する単位及びタイミングを設定するマスタである。このプロジェクト原価計算基本情報マスタ12には、項目名として、「進行基準進捗率計算単位区分」及び「進行基準売上計上周期区分」が設けられている。
【0021】
「進行基準進捗率計算単位区分」としては、「0:プロジェクト単位」、「1:受注番号単位」、「2:受注明細単位」のうち、いずれかが選択可能となっている。この
図3の例は、「進行基準進捗率計算単位区分」として「0:プロジェクト単位」が、進行基準の売上を計上する単位として設定された例である。
【0022】
「進行基準売上計上周期区分」としては、「0:毎月」、「1:四半期」、「2:半期」及び「3:一期」のうち、いずれかが選択可能となっている。この
図3の例は、「進行基準売上計上周期区分」として「1:四半期」が、進行基準の売上を計上するタイミングとして設定された例である。
【0023】
次に、
図4は、売上基準マスタ13の一例を示す図である。この売上基準マスタ13は、「毎月」、「四半期」、「半期」及び「一期」等の契約履行期間に対する売上基準を選択して設定するマスタとなっている。一例として、
図4の例の場合、売上基準区分が「0」の「完成基準」、売上基準区分が「1」の「進行基準」、売上基準区分が「2」の「原価回収基準」が選択可能となっている。
【0024】
図5は、月度期間マスタ14の一例を示す図である。この月度期間マスタ14は、各会計年度の開始月日及び終了月日が記憶されている。後述するが、制御部3は、この月度期間マスタ14を参照することで、現在の会計年度又は会計年度の開始月日及び終了月日等を認識する。
【0025】
図6は、売上基準別勘定科目マスタ15の一例を示す図である。この売上基準別勘定科目マスタ15は、売上基準に応じた原価の勘定科目及び売上の勘定科目が設定されているマスタである。制御部3は、売上基準が変更されると、売上基準が変更される前の期間の原価の勘定科目及び売上の勘定科目を、この売上基準別勘定科目マスタ15に設定されている勘定科目に変換する。詳しくは、後述する。
【0026】
(会計処理装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている会計処理プログラムを実行することで、
図1に示すように、売上基準検出部21、データ生成部22、算出部23、戻入処理部24、表示制御部25、及び、記憶制御部26として機能する。
【0027】
売上基準検出部21は、プロジェクトの契約を履行することで発生した売上高を、それぞれ異なる算出形態で算出する複数の売上基準のうち、一会計期内の複数の分割会計期毎に設定された売上基準を含むプロジェクト状態データを、分割会計期の期末のタイミングで参照し、次の分割会計期に設定されている売上基準を検出する。
【0028】
なお、例えば4月~翌年3月が一会計期であり、四半期、半期、毎月等が「分割会計期」の一例である。
【0029】
戻入処理部24は、売上基準検出部21により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、売上基準が変更されるまでの分割会計期における売上及び原価の戻入処理を行う。
【0030】
算出部23は、売上基準検出部21により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されていることが検出された場合、変更後の売上基準に基づいて、売上基準が変更された分割会計期の売上及び原価を算出する。
【0031】
データ生成部22は、戻入処理を行う売上及び原価の仕訳データ、及び、算出部23により算出された変更後の売上基準の売上及び原価の仕訳データを生成する。
【0032】
また、売上基準検出部21により、分割会計期の期末及び次の分割会計期に対してそれぞれ異なる売上基準が設定されているが、次の分割会計期は、新たな会計期の最初の分割会計期に相当することが検出された場合、戻入処理部24は、戻入処理は行わず、算出部23は、次の分割会計期に対して設定されている売上基準に基づいて、新たな会計期の売上及び原価を算出する。このように売上基準の変更が翌期からであった場合、戻入処理を禁止することで、一期毎の売上及び原価の明確性を担保できる。
【0033】
また、データ生成部22は、仕訳データを生成する際、各売上基準に対応する売上及び原価の勘定科目がそれぞれ記憶されている記憶部の一例である売上基準別勘定科目マスタ15を参照し、売上基準に応じた売上の勘定科目及び売上基準に応じた原価の勘定科目を付した仕訳データを生成する。
【0034】
(概要)
次に、
図7を用いて、実施の形態の会計処理装置1の会計処理動作の概要を説明する。なお、以下、一例として「複数の売上基準」は、発生した費用と同額の売上を原価回収基準、及び、契約の履行の進捗度に応じて売上を計上する進行基準であり、「契約」は所定のプロジェクトの工事であることとして説明を進める。
【0035】
図7の例は、一期が4月~翌年3月であり、四半期毎に売上の会計を行う例である。また、
図7の例は、4月~6月の第一四半期及び7月~9月の第二四半期の売上基準に対しては「原価回収基準」の売上基準が設定されていたが、10月~12月の第三四半期及び翌年1月~3月の第四四半期の売上基準は、「進行基準」の売上基準に変更された例である。
【0036】
まず、実施の形態の会計処理装置1に対する「比較例」の場合、売上基準が切り替えられた場合でも、売上基準の切替月で既計上額との差額が計上されるだけであった。すなわち、
図7の例の場合、「進行基準」に切り替えられた第三四半期においては、1000万円の契約額に対して、進捗率が75%であるため、売上額は「1000万円×0.75=750万円」となる。この750万円から、第一四半期の200万円及び第二四半期の150万円を減算処理することで、差額が400万円となる。この400万円を、第三四半期の進行基準売上として計上していた。また、第三四半期の発生原価は「250万円」であるため、この「250万円」を第三四半期の原価として計上していた。
【0037】
また、売上基準が切り替えられたにも関わらず、第一四半期~第四四半期の売上に対しては「債権/進行基準売上」との同一の勘定科目が付されて仕訳計上され、第一四半期~第四四半期の原価に対しては「完成原価/仕掛原価」との同一の勘定科目が付されて仕訳計上されていた。このため、比較例の場合、期間損益の開示及び把握には不十分なものとなっていた。
【0038】
これに対して、実施の形態の会計処理装置1の場合、
図7に示すように、売上基準の切り替え前である第一四半期及び第二四半期の売上である「350万円」を、売上基準の切り替えを行った第三四半期で戻入処理する。そして、新たに切り替え後の売上基準である進行基準で、第一四半期~第三四半期の売上を算出し(1000万円×0.75=750万円)、この進行基準で算出した第一四半期~第三四半期の売上から、戻入処理した第一四半期及び第二四半期の売上を減算処理することで(750万円-350万円)、「400万円」の売上を算出し、これを第三四半期の売上として会計計上する。
【0039】
また、実施の形態の会計処理装置1は、進行基準が設定された第三四半期において発生した原価は「250万円」であるため、この「250万円」を第三四半期の原価として会計計上する。
【0040】
また、実施の形態の会計処理装置1は、仕訳データを生成する際、各売上基準に対応する売上及び原価の勘定科目がそれぞれ記憶された売上基準別勘定科目マスタ15を参照し、売上基準に応じた勘定科目を付した売上及び原価の仕訳データを生成する。具体的には、例えば
図7の第三四半期の例の場合、戻入処理による第一四半期及び第二四半期の計350万円の売上は、「原価回収売上/進行基準売上 350」等のように仕訳される。また、変更された売上基準(進行基準)で新たに算出された第三四半期の「400万円」の売上は、「債権/進行基準売上 400」等のように仕訳される。
【0041】
また、戻入処理による第一四半期及び第二四半期の計350万円の原価は、「進行基準原価/原価回収原価 350」等のように仕訳され、新たに発生した第三四半期の原価は、「進行基準原価/仕掛原価 250」等のように仕訳される。
【0042】
これにより、期の途中で売上基準を切り替えても、各四半期の売上及び原価の発生要因及び発生経路を明確化できる。また、売上基準に対応する勘定科目で売上及び原価を仕訳計上できる。このため、期間損益の十分な開示及び把握を可能とすることができる。
【0043】
また、
図8は、実施の形態の会計処理装置の他の概要を説明するための図である。この
図8に示す第四四半期は、
図7に示した第三四半期で設定されていた進行基準の売上基準が、原価回収基準に変更された例である。実施の形態の会計処理装置1は、この場合も上述と同様に、切り替え前の進行基準で算出した「750万円」の売上及び「600万円」の原価をそれぞれ戻入処理し、新たに設定された原価回収基準で売上(100万円)を計算し直して計上し、また、第四四半期で発生した原価(250万円)を計上する。
【0044】
また、売上基準別勘定科目マスタ15が参照され、戻入処理による売上は「進行基準売上/原価回収売上 750」として仕訳計上され、戻入処理による原価は「原価回収原価/進行基準原価 600」として仕訳計上される。また、新たに算出された第四四半期の売上は、「債権/原価回収売上 100」等のように仕訳計上され、第四四半期で発生した原価は、「原価回収原価/仕掛原価 250」等のように仕訳計上される。
【0045】
また、この
図8は、X1年の1月~3月の第四四半期が終了することで、X2年の翌期に移行し、この翌期の4月~6月の第一四半期を経て、7月~9月の第二四半期で工事が完成したことを示している。また、この
図8は、X2年の翌期の第一四半期から契約額が「1000万円」から「1500万円」に増額されたことを示している。また、この
図8は、翌期の4月~6月の第一四半期から、売上基準が原価回収基準から進行基準に変更されたことを示している。
【0046】
ここで、このように工事期間が翌期に移行した場合、算出部23は、売上基準が変更された場合でも戻入処理を行わない(戻入処理を禁止する)。これにより、一期毎の売上の明確性を担保できる。
【0047】
この
図8に示す翌期の4月~6月の第一四半期の場合、工事の進捗率が「85%」であるとすると、算出部23は、「解約額1500万円×進捗率85%」の演算を行うことで、工事の進捗率に対応する「1275万円」の売上を算出する。そして、算出部23は、この進行基準に対応する「1275万円」の売上から、前の期の累計売上高である「850万円」を減算処理した「425万円」を、この翌期の第一四半期の売上として算出する。
【0048】
また、
図8に示す翌期の4月~6月の第一四半期の場合、売上基準別勘定科目マスタ15が参照され、翌期の第一四半期の「425万円」の売上は、「債権/進行基準売上 425」等のように仕訳計上される。また、この翌期の第一四半期に発生した「170万円」の原価は、「進行基準原価/仕掛原価 170」等のように仕訳計上される。
【0049】
次に、X2年の7月~9月である、翌期の第二四半期に工事が完成すると、算出部23は、「1500万円」の契約金額から一つ前の四半期となるX2年4月~6月の第一四半期までの既売上計上額である「1275万円」を減算処理し、工事完成期のX2年7月~9月の第二四半期の売上として「225万円」を算出する。また、この第二四半期に発生した「180万円」の原価を、第二四半期の原価とする。
【0050】
そして、売上基準別勘定科目マスタ15が参照され、翌期の第二四半期の「225万円」の売上は、「債権/進行基準売上 225」等のように仕訳計上される。また、この翌期の第二四半期に発生した「180万円」の原価は、「進行基準原価/原価回収原価 180」等のように仕訳計上される。
【0051】
(会計処理)
次に、実施の形態の会計処理装置1における会計処理を説明する。
【0052】
(工事発生から未成の状態での月次処理の流れ)
まず、工事発生から未成の状態での月次処理は、
図9~
図11のステップS1~ステップS9に示す処理の流れで実行される。
図9に示すステップS1では、データ生成部22が、業務オペレータにより入力された工事基本情報に基づいてプロジェクト基本データを生成して、記憶制御部26が記憶部2に登録(記憶)する。この
図9の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」の「A工事」に対して、「2:原価回収基準」の売上基準が最初の売上基準として設定されたプロジェクト基本データが登録された例である。
【0053】
次に、ステップS2では、業務オペレータにより入力された契約情報に基づいて、データ生成部22が、プロジェクト受注データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。この
図9の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」、受注番号が「PJ0001-001」、売上基準が「2:原価回収基準」の「A工事」に対して、「X1年4月1日」付けで「1000万円」の契約金額が設定されたプロジェクト受注データの例である。
【0054】
次に、ステップS3では、業務オペレータにより入力された工事の予算に基づいて、データ生成部22がプロジェクト予算データを生成する。この
図9の例は、「X1年4月5日付」で、A工事に対する「300万円」の「100:材料費」、及び、「500万円」の「200:外注費」が設定されたプロジェクト予算データの例である。
【0055】
次に、
図10に示すステップS4では、業務オペレータにより入力された仕入情報に基づいて、データ生成部22が、A工事に対する発生原価を示すプロジェクト仕入データを生成して、記憶制御部26が記憶部2に登録する。この
図10の例は、「X1年4月10日付」を仕入日として、A工事に対する「100万円」の「100:材料費」及び「100万円」の「200:外注費」が登録され、「X1年7月15日付」を仕入日として、A工事に対する「150万円」の「200:外注費」が登録された例である。
【0056】
次に、ステップS5では、データ生成部22が、会計年月時における売上基準、売上情報及び売上日を示すプロジェクト状態データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に記憶する。この
図10の例は、「X1年6月」を会計年月とする第一四半期に対しては、売上基準として「2:原価回収基準」が設定されたことを示している。また、プロジェクト状態データの登録時点では、工事も完成しておらず、売上も無いため、売上状態は「0:未成」で売上日は「空白」となる。
【0057】
次に、ステップS6では、データ生成部22が、業務オペレータにより入力された工事の最終着地見込を示すプロジェクト着地予想データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。この最終着地見込の金額が、次の進捗率計算時の分母として使用される。それ以外の金額項目は計算項目である。また、この例では、
図2に示したようにプロジェクト基本情報管理マスタ11に対して、プロジェクト予算単位区分が「0:プロジェクト単位」で設定されているため、プロジェクト番号の単位で着地予想が登録される。
【0058】
この
図10の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」の「A工事」に対する「100:材料費」の実行予算は「300万円」であり、当月発生原価が「100万円」、累計発生原価が「100万円」、今後予定原価が「200万円」であるため、最終着地見込を「300万円」とした例である。また
図10の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」の「A工事」に対する「200:外注費」の実行予算は「500万円」であり、当月発生原価が「100万円」、累計発生原価が「100万円」、今後予定原価が「400万円」であるため、最終着地見込を「500万円」とした例である。
【0059】
次に、
図11のステップS7では、データ生成部22が、算出部23により算出された進捗率を設定したプロジェクト進捗率データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。進捗率は、算出部23が「原価金額÷着地見込金額」の演算を行うことで算出する。ただ、この例の場合、売上基準として、
図10のステップS5で「2:原価回収基準」が設定された状態であるため、この時点では、進捗率は算出されない。
【0060】
次に、
図11のステップS8では、データ生成部22が、算出部23により算出された進行基準売上金額を、プロジェクト進行基準売上データに入力する。この
図11の例は、X1年の第一四半期の6月度において、「200万円」の進行基準売上金額が発生したことを示している。なお、「戻入区分」は、そのレコードの売上(又は原価)の戻入処理を行うか否かを示す情報である。「戻入区分」が「0:通常」の場合、そのレコードの売上又は原価の戻入処理は行われず、「戻入区分」が「1:戻入」の場合に、そのレコードの売上又は原価の戻入処理が行われるようになっている。
【0061】
最後に、ステップS9において、データ生成部22が、仕訳連携データ作成処理として、計上する売上及び原価の仕訳データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に記憶する。この仕訳データは、記憶部2内又は所定のネットワーク上に設けられた財務会計システムに計上される。
【0062】
(工事完成時の処理の流れ)
次に、工事完成時においては、
図12~
図13のステップS11~ステップS15に示す処理が実行される。
図12に示すステップS11では、データ生成部22が、業務オペレータにより入力された工事基本情報に基づいてプロジェクト基本データを生成して、記憶制御部26が記憶部2に登録(記憶)する。この
図12の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」の「A工事」に対して、「2:原価回収基準」の売上基準が最初の売上基準として設定されたプロジェクト基本データが登録された例である。
【0063】
次に、ステップS12では、業務オペレータにより入力された契約情報に基づいて、データ生成部22が、プロジェクト受注データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。この
図12の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」、受注番号が「PJ0001-001」、売上基準が「2:原価回収基準」の「A工事」に対して、「X1年4月1日」付けで「1000万円」の契約金額が設定されたプロジェクト受注データの例である。
【0064】
次に、ステップS13では、業務オペレータにより入力された工事の完成情報に基づいて、データ生成部22がプロジェクト売上データを生成する。この
図12の例は、X2年の第一四半期にA工事が完成し、「X2年3月31日付」で、A工事に対する「1000万円」の売上金額が発生したことを示す例である。
【0065】
次に、
図13に示すステップS14では、データ生成部22が、プロジェクト状態データに対して、会計年月、売上基準、売上状態及び売上日を入力したレコードを生成し、記憶制御部26が、この新たなレコードを記憶部2のプロジェクト状態データに付加する。
この
図13の例は、X2年の3月にA工事が完成し、そのときの売上基準は進行基準に変更されていたため、売上基準に「進行基準」が入力され、売上状態に「1:完成」が入力され、売上日に「X2年3月31日」が入力された新たなレコードが、プロジェクト状態データに付加された例である。
【0066】
最後に、ステップS15において、データ生成部22は、
図13に示すように、プロジェクト番号、会計年月、プロジェクト原価科目、原価金額、完成振替済フラグ、完成振替年月、及び、戻入区分を含むプロジェクト原価集計データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。
【0067】
(売上基準変更時の処理の流れ)
次に、売上基準変更時の処理を説明する。この売上基準変更時の処理は、
図14のステップS21~ステップS23に示す処理となる。
図14示すステップS21では、データ生成部22が、業務オペレータにより入力された工事基本情報に基づいてプロジェクト基本データを生成して、記憶制御部26が記憶部2に登録(記憶)する。この
図14の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」の「A工事」に対して、「2:原価回収基準」の売上基準が最初の売上基準として設定されたプロジェクト基本データが登録された例である。
【0068】
次に、ステップS22では、業務オペレータにより入力された契約情報に基づいて、データ生成部22が、プロジェクト受注データを生成し、記憶制御部26が記憶部2に登録する。この
図14の例は、プロジェクト番号が「PJ0001」、受注番号が「PJ0001-001」、売上基準が「2:原価回収基準」の「A工事」に対して、「X1年4月1日」付けで「1000万円」の契約金額が設定されたプロジェクト受注データの例である。ここまでは、上述と同様である。
【0069】
次に、業務オペレータは、売上基準を変更すべく、入力装置6を介して売上基準登録画面の表示を指定操作する。この指定操作が行われると、表示制御部25は、
図15に示す売上基準登録画面を表示部の一例である出力装置7を介して表示する。業務オペレータは、この売上基準登録画面に対して、売上基準を変更する四半期の会計年月を入力する。この
図15の例は、X1年6月~9月の工期に相当する第二四半期の会計年月(X1年9月)が入力された例である。
【0070】
表示制御部25は、入力された会計年月に基づいて、ステップS22で説明したプロジェクト受注データを参照し、
図15に示すように「X1年9月」の会計年月を含む各工事のプロジェクト番号、プロジェクト名、受注日、及び、契約金額を一覧表示する。この
図15の例は、工事A、工事C及び工事Dの受注日及び契約金額等が、「X1年9月」の会計年月を含む工事として一覧表示された例である。
【0071】
また、表示制御部25は、一覧表示された各工事のプロジェクト番号に隣接して、チェックボックスを表示する。業務オペレータは、売上基準を変更する工事のチェックボックスに対して、入力装置6を操作してチェックを入力する。
図15は、売上基準を変更する工事として、A工事が選択された例である。
【0072】
また、表示制御部21は、売上基準登録画面に対して、変更前の売上基準の表示欄、及び、変更する売上基準の選択欄を表示する。表示制御部25は、
図10のステップS5及び
図13のステップS14で説明したプロジェクト状態データを参照することで、チェックボックスにチェックが入力された工事に対して、「X1年9月」の会計年月に対して設定されている売上基準を検出する。そして、表示制御部25は、
図15に示す変更前の売上基準の表示欄に、「X1年9月」の会計年月に対して設定されている売上基準を表示する。
【0073】
一例ではあるが、表示制御部25は、変更前の売上基準の表示欄に、完成基準、原価回収基準、及び、進行基準を白丸のアイコンと共に一覧表示し、プロジェクト状態データに基づいて検出した売上基準の白丸のアイコンを黒丸のアイコンに変更して表示する。これにより、「X1年9月」の会計年月に対して設定されている変更前の売上基準を明示することができる。
図15の例は、A工事に対して現在、設定されている原価回収基準のアイコンが黒丸のアイコンとして表示された例である。
【0074】
また、これと共に表示制御部25は、完成基準、原価回収基準、及び、進行基準を白丸のオプションボタンと共に、変更後の売上基準の表示欄に一覧表示する。業務オペレータは、所望の売上基準のオプションボタンを選択操作することで、チェックボックスをチェックして選択した工事に対して変更する売上基準を選択する。
図15の例は、変更後の売上基準として進行基準が選択された例である。この場合、表示制御部25は、変更後の売上基準の表示欄の、進行基準のオプションボタンを黒丸で表示し、他の売上基準のオプションボタンは白丸で表示する。これにより、業務オペレータに対して、選択を行った売上基準を明確に示すことができる。
【0075】
次に、業務オペレータは、変更後の売上基準を選択した後、売上基準登録画面に「登録」の文字で示される登録ボタンを操作する。登録ボタンが操作されると、データ生成部22は、
図14のステップS23において、「X1年9月」の会計年月の第二四半期に対する売上基準を「1:進行基準」とするプロジェクト状態データのレコードを生成する。記憶制御部26は、このレコードを記憶部2のプロジェクト状態データに付加する。これにより、「X1年6月」の会計年月の第一四半期に対して設定されていた「2:原価回収基準」の売上基準が、「X1年9月」の会計年月の第二四半期から「1:進行基準」に変更されることが示される。
【0076】
次に、
図16に示すプロジェクト番号が「PJ0003」の「C工事」に基づいて、具体的な会計処理動作の流れを説明する。このプロジェクト番号が「PJ0003」の「C工事」に対して、会計年月が「X1年6月」の第一四半期の売上基準として「2:原価回収基準」が設定されていたが、会計年月が「X1年9月」の第二四半期には、「1:進行基準」に売上基準が変更されたとする。売上基準検出部21は、
図14のステップS23で説明したプロジェクト状態データを参照することで、
図17に示すように直近の会計年月時点の売上基準と当月の売上基準とを比較する。
【0077】
戻入処理部24は、データ生成部22の一機能として動作し、各四半期間で売上基準の変更があった場合は、
図18に示すように戻入データを作成する(戻入処理)。具体的には、
図18は、売上基準が「2:原価回収基準」から「1:進行基準」に変更されたため、戻入処理部24が、売上基準が原価回収基準の第一四半期の例えば「300万円」の進行基準売上金額の戻入区分を、「X1年9月」の会計年月の第二四半期において「1:戻入」とした例である(戻入処理)。
【0078】
戻入処理部24の「戻入処理」とは、このようにデータ生成部22の一機能として動作する戻入処理部24が、売上基準が変更された際に、売上基準が変更される前の売上に対して「1:戻入」との戻入区分を入力したプロジェクト進行基準売上データ(
図18参照)、及び、下記に説明するプロジェクト原価集計データ(
図20参照)等を生成する処理である。この戻入処理により、売上基準を変更する前の第一四半期の原価回収基準の「300万円」の進行基準売上金額を、「X1年9月」の会計年月の第二四半期において戻入処理(振り戻し処理)したことを示すことができる。
【0079】
また、これと共に、算出部23は、会計年月の第二四半期において設定された「進行基準」の売上基準に基づいて、「750万円」の進行基準売上金額を新たに算出する。データ生成部22は、「進行基準」の売上基準に基づいて算出された「750万円」の進行基準売上金額を入力したプロジェクト進行基準売上データのレコードを生成し、
図18に示すようにプロジェクト進行基準売上データに付加する。変更後の売上基準に応じた勘定科目で、戻入処理後に新たに算出した売上等の仕訳データを作成するため、当月において計上する売上計上額は「計上可能額から前回迄計上額を減算処理して算出した差額となる。
【0080】
また、
図18の例の場合、X1年6月の第一四半期の累計発生原価は、売上基準が原価回収基準であるため、算出部23は、累計発生原価=売上計上額=300万円として算出する。これに対して、X1年6月の第二四半期の累計発生原価は、売上基準が進行基準であるため、算出部23は、累計発生原価875万円÷実行予算2500万円=進捗率0.35として算出する。また、算出部23は、受注金額3000万円×進捗率0.35=計上可能額1050万円として算出する。また、算出部23は、計上可能額1050万円-前月迄の計上額300万円=当月計上額750万円として算出する。
【0081】
また、
図19及び
図20は、
図13のステップS15で説明したプロジェクト原価集計データの一例であり、このうち、
図20は、X1年9月の第二四半期において売上基準が原価回収基準から進行基準に変更されることで、上述の戻入処理が行われたことを示している。すなわち、売上基準検出部21は、プロジェクト状態データを参照することで、直近の会計年月時点の売上基準と当月の売上基準とを比較する。戻入処理部24は、売上基準の変更が売上基準検出部21で検出された場合、変更前の第一四半期の「300万円」の原価の戻入区分を「1:戻入」としたプロジェクト状態データを生成する戻入処理を行う。
【0082】
また、これと共に、算出部23は、第二四半期の会計年月の時点での累計発生原価である「875万円」から第一四半期に計上された原価である「300万円」を減算処理した「575万円」を、第二四半期の計上原価として算出する。データ生成部22は、この「575万円」の原価を入力したプロジェクト原価集計データのレコードを生成し、
図20に示すようにプロジェクト原価集計データに付加する。原価は、当月発生額を最新の売上基準に応じた勘定科目で仕訳計上する。
【0083】
次に、データ生成部22は、
図18に示したプロジェクト進行基準売上データ、
図20に示したプロジェクト原価集計データ、
図17に示したプロジェクト状態データ、及び、
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15に基づいて、
図21に示すように会計年月毎の仕訳データを生成する。
【0084】
図21は、X1年6月度の第一四半期及びX1年9月度の第二四半期の売上及び原価の仕訳データの一例である。プロジェクト番号が「PJ0003」の「C工事」を例に説明すると、この「PJ0003」の「C工事」において、X1年6月度の第一四半期で発生した売上は「300万円」であり、この期間の売上基準は「原価回収基準」である。
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15を参照すると、「原価回収基準」の売上に対する勘定科目は「403:原価回収売上」となっている。このため、データ生成部22は、「PJ0003」の「C工事」において、X1年6月度の第一四半期の「300万円」の売上に対して、「債権/原価回収売上 300」の仕訳データを生成して計上する。
【0085】
また、この「PJ0003」の「C工事」において、X1年6月度の第一四半期で発生した原価は「300万円」であり、この期間の売上基準は「原価回収基準」である。
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15を参照すると、「原価回収基準」の原価に対する勘定科目は「903:原価回収原価」となっている。このため、データ生成部22は、「PJ0003」の「C工事」において、X1年6月度の第一四半期の「300万円」の原価に対して、「原価回収原価/仕掛原価 300」の仕訳データを生成して計上する。
【0086】
一方、「PJ0003」の「C工事」において、X1年9月度の第二四半期で売上基準が原価回収基準から進行基準に変更されたことで、上述のように第二四半期の売上となる「300万円」の売上が戻入処理された。
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15を参照すると、進行基準の売上に対する勘定科目は「402:進行基準売上」となっている。このため、データ生成部22は、戻入処理した「300万円」の売上に対応する「原価回収売上/進行基準売上 300(戻入)」との仕訳データを生成して計上する。
【0087】
また、これと共に、データ生成部22は、X1年9月度の第二四半期に設定された進行基準の売上基準で再計算した750万円のX1年9月度の第二四半期の売上に対応する「債権/進行基準売上 750」の仕訳データを生成して計上する。
【0088】
また、原価に対しても同様であり、「PJ0003」の「C工事」において、X1年9月度の第二四半期で売上基準が原価回収基準から進行基準に変更されたことで、上述のように第二四半期の「300万円」の原価が戻入処理された。
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15を参照すると、進行基準の原価に対する勘定科目は「902:進行基準原価」となっている。このため、データ生成部22は、戻入処理した「300万円」の原価に対応する「進行基準原価/原価回収原価 300(戻入)」との仕訳データを生成して計上する。
【0089】
また、これと共に、データ生成部22は、X1年9月度の第二四半期の累計発生原価である「875万円」から第一四半期の計上原価である「300万円」を減算処理した「575」万円の仕訳データとして、
図6に示した売上基準別勘定科目マスタ15に基づいて、「進行基準原価/仕掛原価 575」とした仕訳データを生成して計上する。
【0090】
図22は、比較例の仕訳データであるが、売上基準が変更された場合でも、売上基準の切替月で既計上額との差額が計上されるだけである。また、原価回収基準と進行基準の勘定科目も同一であるため、期間損益の開示及び把握には不十分なものである。
【0091】
これに対して、実施の形態の会計処理装置1は、売上基準が変更となると、一旦、前の四半期までの売上及び原価を戻入処理し、変更された売上基準等に基づいて、新たに売上及び原価を算出する。また、戻入処理した売上、原価、及び、新たに算出した売上、原価は、変更後の売上基準に対応する勘定科目(
図6参照)で仕訳して計上する。これにより、
図23に示すように、期間損益の十分な開示及び把握を可能な損益計算書を作成することができる。
【0092】
(売上基準が複数回変更され、一会計期の翌期に工事が完成した場合)
次に、
図24(a)~
図24(c)に例示するように、売上基準が複数回変更され、一会計期の翌期に工事が完成した場合における実施の形態の会計処理装置1の会計処理動作を説明する。
図24(a)~
図24(c)の例は、X1年の4月~6月の第一四半期からプロジェクト番号が「PJ0004」の「D工事」が開始され、翌期のX2年7月~9月の第二四半期に工事が完成した例である。また、工事完成までの間、一期目の10月~12月の第三四半期に、売上基準が原価回収基準から進行基準に変更され、一期目の翌年1月~3月の第四四半期に、売上基準が進行基準から原価回収基準に変更され、さらに、翌期となる4月~6月の第一四半期に、売上基準が原価回収基準から進行基準に変更された例である。
【0093】
この場合、データ生成部22は、
図25に示すように、原価回収基準→原価回収基準→進行基準→原価回収基準→進行基準→進行基準の順に、売上基準が変更されたことを示すプロジェクト状態データを生成する。
【0094】
また、データ生成部22は、
図26に示すように、それぞれ売上基準が変更された、第四四半期(X1年12月)、翌年の第一四半期(X2年3月)において、上述の戻入処理を行ったことを示す戻入区分を「1:戻入」としたプロジェクト進行基準売上データを生成する。
【0095】
ここで、この例の場合、翌期となる「X2年6月」の第一四半期において、売上基準を原価回収基準から進行基準に変更している。しかし、実施の形態の会計処理装置1は、期を跨いで売上基準が変更された場合は、戻入処理は行わない。これにより、工事等の契約の売上及び原価を、一会計期毎に明確化することができる。
【0096】
また、データ生成部22は、
図27(a)~
図27(d)及び
図28(a)及び
図28(b)に示すプロジェクト原価集計データを生成する。このうち、
図27(a)は、X1年6月度の第一四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。
図27(b)は、X1年9月度の第二四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。
図27(c)は、X1年12月度の第三四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。
図27(d)は、翌年のX2年3月度の第四四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。また、
図28(a)は、翌期となるX2年6月度の第一四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。
図28(b)は、工事完成期となる、X2年9月度の第二四半期のプロジェクト原価処理で生成されたプロジェクト原価集計データである。
【0097】
原価の場合も上述の売上の場合と同様であり、このプロジェクト原価集計データに示すように、データ生成部22は、売上基準が変更された四半期で、原価に対して上述の戻入処理を行ったことを示す戻入区分を「1:戻入」としたプロジェクト原価主計データを生成する。なお、
図28(b)のX2年6月度のレコードに示すように、期を跨いで売上基準が変更された場合は、原価の戻入処理は行わない。
【0098】
(初回売上基準変更時の戻入処理実行判別動作)
次に、初回売上基準変更時における戻入処理の実行判別動作を説明する。
図29(a)は、X1年6月の第一四半期からX1年12月の第三四半期のプロジェクト進行基準売上データであり、
図29(c)は、X1年6月の第一四半期からX1年12月の第三四半期のプロジェクト状態データである。この
図29(a)及び
図29(c)に示すように、X1年12月度の第三四半期で売上基準が原価回収基準から進行基準に変更となっているとする。この場合、売上基準検出部21は、進行基準売上計算時において、
図29(c)に示すプロジェクト状態データを参照し、まず、X1年9月とX1年12月の売上基準を比較する。この場合、X1年9月の売上基準は原価回収基準であるのに対し、X1年12月の売上基準は進行基準であるため、売上基準は不一致となる。
【0099】
このため、売上基準検出部21は、次に、X1年6月の売上基準とX1年9月の売上基準を比較する。この場合、X1年6月の売上基準及びX1年9月の売上基準は共に原価回収基準であるため、売上基準が一致する。また、売上基準検出部21は、
図4に示した月度期間マスタ14を参照することで、X1年6月が、翌期の初回計上月(この例の場合、X2年6月)に相当するか否かを検出する。この場合、X1年6月は、一会計期目の初回計上月であるため、戻入処理部24が、上述の戻入処理を行い、データ生成部22が、変更された売上基準で、新たな売上を算出する。そして、データ生成部22が、
図29(b)に示すように、
図6の売上基準別勘定科目マスタ15を参照し、変更された売上基準に対応する売上の勘定科目を検出し、検出した勘定科目で
図29(b)に示す戻入処理した売上の仕訳データ及び変更された売上基準に基づいて新たに算出した売上の仕訳データを生成し会計計上する。
【0100】
(複数回売上基準変更時の戻入処理実行判別動作)
次に、複数回売上基準変更時における戻入処理の実行判別動作を説明する。
図30(a)は、X1年6月の第一四半期から翌年のX2年3月の第四四半期のプロジェクト進行基準売上データであり、
図30(c)は、X1年6月の第一四半期から翌年のX2年3月の第四四半期のプロジェクト状態データである。この
図30(a)及び
図30(c)に示すように、X1年12月度の第三四半期で売上基準が原価回収基準から進行基準に変更となり、さらに、X2年3月度の第四四半期で売上基準が進行基準から原価回収基準に変更となっているとする。この場合、売上基準検出部21は、進行基準売上計算時において、
図30(c)に示すプロジェクト状態データを参照し、まず、X1年12月とX2年3月の売上基準を比較する。この場合、X1年12月の売上基準は進行基準であるのに対し、X2年3月の売上基準は原価回収基準であるため、売上基準は不一致となる。
【0101】
このため、売上基準検出部21は、次に、X1年9月の売上基準とX1年12月の売上基準を比較する。この場合、X1年9月の売上基準が原価回収基準であり、X1年12月の売上基準が進行基準であるため、売上基準は不一致となる。これにより、戻入処理部24が、上述の戻入処理を行い、データ生成部22が、変更された売上基準で、新たな売上を算出する。そして、データ生成部22が、
図30(b)に示すように、
図6の売上基準別勘定科目マスタ15を参照し、変更された売上基準に対応する売上の勘定科目を検出し、検出した勘定科目で
図30(b)に示す戻入処理した売上の仕訳データ及び変更された売上基準に基づく売上の仕訳データを生成して会計計上する。
【0102】
なお、X1年9月の売上基準とX1年12月の売上基準が一致する場合、売上基準は変更されていないため、売上基準検出部21は、次に、X1年6月の売上基準とX1年9月の売上基準を比較する。
【0103】
また、
図30(a)は、プロジェクト進行基準売上データの例であるが、プロジェクト原価集計データも同様であり、
図31に示すように売上基準が変更された四半期に、前の四半期の原価が戻入処理され、変更された売上基準に基づいて新たに原価が算出されて仕訳計上される。この仕訳計上の際、
図6に示す売上基準別勘定科目マスタ15が参照され、変更された売上基準に対応する原価の勘定科目が検出される。そして、検出された勘定科目で戻入処理した原価の仕訳データ及び変更された売上基準に基づく原価の仕訳データが生成され、会計計上されることは上述のとおりである。
【0104】
(翌期に工事が完成した場合の動作)
次に、期を跨いで工事が完成した際の会計処理装置1の動作を説明する。
図32(a)は、工期がX1年6月から翌年のX2年9月までとなり、X2年9月に工事が完成した状態のプロジェクト進行基準売上データである。また、
図30(c)は、X1年6月から翌年のX2年9月(工事完成)までのプロジェクト状態データである。この例の場合、
図30(c)に示すように、最初の会計期の第四四半期であるX2年3月の売上基準は、原価回収基準であるのに対し、翌期の第一四半期であるX2年6月の売上基準は、進行基準に変更されている。
【0105】
すなわち、この例の場合、期を跨いで売上基準が変更されている。この場合、戻入処理部24による戻入処理は行われず、翌期の第一四半期であるX2年6月に発生した売上及び原価を用いて、X2年6月に設定されている進行基準の売上基準に基づいて、翌期の第一四半期であるX2年6月、及び、工事が完成した第二四半期であるX2年9月の売上及び原価が算出される。
【0106】
工事が完成した第二四半期であるX2年9月の算出された売上及び原価は、
図6に示す売上基準別勘定科目マスタ15に記憶されている進行基準の勘定科目に基づいて、
図32(c)に示すように「債権/進行基準売上 225」、「原価回収売上/完成工事高 200(戻入)」、「原価回収売上/完成工事高 150(戻入)」、「原価回収売上/完成工事高 400(戻入)」、「原価回収売上/完成工事高 100(戻入)」、「進行基準売上/完成工事高 650(戻入)」のように仕訳され、計上される。
【0107】
なお、翌期の第一四半期であるX2年6月と、第二四半期であるX2年9月の売上基準が異なるものであった場合、上述と同様に戻入処理が行われる。
【0108】
また、売上基準検出部21は、期毎、会計年月毎に売上基準の混在チェックを行う。売上基準が混在するチェック結果が得られた場合、データ生成部22は、期末の売上基準(通常)+戻入分のデータを生成する。また、データ生成部22は、売上基準が混在しないチェック結果が得られた場合、期末の売上基準でデータを生成する。金額は遡って集計される。
【0109】
最後に、
図33は、売上基準として進行基準が設定されたX1年12月度である、最初の期の第三四半期の売上及び原価の仕訳データ、及び、売上基準として原価回収基準が設定されたX2年3月度である、最初の期の第四四半期の売上及び原価の仕訳データである。上述のように、
図6に示す売上基準別勘定科目マスタ15が参照され、その四半期に対して設定されている売上基準に対応する勘定科目で売上及び原価の仕訳データが生成され、計上される。
【0110】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の会計処理装置1は、例えば原価回収基準から進行基準に変更等のように、売上基準の変更があった場合、原価回収基準での収益を赤伝計上(戻入処理)し、変更後の進行基準で新たに売上及び原価を算出して計上する。これにより、各四半期に設定された売上基準に対応する明確な売上及び原価を計上可能とすることができる。このため、期間損益の十分な開示及び把握を可能とすることができる。
【0111】
また、実施の形態の会計処理装置1は、各四半期に設定された売上基準に対応する勘定科目で売上及び原価を仕訳して計上することができる。これにより、各四半期の売上及び原価を、売上基準に応じた勘定科目で管理可能とすることができる。このため、期間損益のさらに十分な開示及び把握を可能とすることができる。
【0112】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0115】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0116】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0117】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0118】
また、会計処理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0119】
例えば、会計処理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて会計処理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0120】
また、この会計処理装置1の会計処理プログラムは、会計処理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0121】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための会計処理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0122】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した会計処理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0123】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0124】
また、会計処理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0125】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、建設業界全体、及び、収益認識基準により複数の売上基準が混在する業界に適用して好適である。
【符号の説明】
【0127】
1 会計処理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 プロジェクト基本情報管理マスタ
12 プロジェクト原価計算基本情報マスタ
13 売上基準マスタ
14 月度期間マスタ
15 売上基準別勘定科目マスタ
21 売上基準検出部
22 データ生成部
23 算出部
24 戻入処理部
25 表示制御部
26 記憶制御部