(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009089
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】油圧ポンプ及び建設機械
(51)【国際特許分類】
F04B 1/22 20060101AFI20240112BHJP
F04B 1/122 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/128 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/2021 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/2035 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/2064 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/2078 20200101ALI20240112BHJP
F04B 1/2092 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
F04B1/22
F04B1/122
F04B1/128
F04B1/2021
F04B1/2035
F04B1/2064
F04B1/2078
F04B1/2092
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194361
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2019156602の分割
【原出願日】2019-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】赤見 俊也
(57)【要約】
【課題】油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプ及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧ポンプは、ケーシングと、回転軸と、シリンダブロックと、複数のピストンと、弁板19と、斜板とを備えている。弁板は、シリンダブロックに重なるように中心軸線C1に沿って配置され、シリンダ穴に通じる吸入口64及び吐出口66を有する。シリンダブロックと隣り合う端面19aに溝部65を有する。溝部65は、吸入口64のうち、内側リング凹部62に対向する内側部位64aに通じている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じる連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項2】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
吸入通路及び吐出通路を有する弁板と、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされて前記シャフトと一体となって回転するとともに前記弁板に前記軸線に沿って配置され、前記吸入通路及び前記吐出通路に通じるシリンダ室を有し、前記弁板と隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じる連通路を有するシリンダブロックと、
を備える油圧ポンプ。
【請求項3】
前記連通路は、前記シリンダブロックと前記弁板との隣り合う面のうち、前記画定する面以外に開口する
請求項1又は請求項2に記載の油圧ポンプ。
【請求項4】
前記連通路は、
前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、又は
前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹み
のいずれか一方を含む
請求項3に記載の油圧ポンプ。
【請求項5】
前記連通路は、前記吐出通路の近傍に位置する
請求項1又は請求項2に記載の油圧ポンプ。
【請求項6】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するとともに第1画定面に形成された第1連通路を有するシリンダブロックと、 前記シリンダブロックの前記第1画定面に重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記第1画定面と隣り合い、かつ前記吸入通路を画定する第2画定面の前記第1連通路と前記軸線方向で対向する位置に形成され前記第1連通路とともに前記吸入通路の少なくとも一部に通じる第2連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項7】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹み、及び前記吸入通路の少なくとも一部と前記内側リング凹み又は前記外側リング凹みのいずれか一方に通じる連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の油圧ポンプが搭載された車体を備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプ及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプとしては、油圧ショベル等の建設機械に搭載された各種油圧アクチュエータに作動油を供給するための斜板式可変容量型油圧ポンプがある。この種の油圧ポンプは、ケーシング内に回転自在に支持された回転軸を有している。回転軸の外周面には、シリンダブロックが嵌め合わされ固定されている。回転軸とシリンダブロックとは、一体となって回転する。シリンダブロックには、複数のシリンダ穴(シリンダ室)が設けられている。各シリンダ穴に、ピストンが挿入されている。そして、シリンダ穴とピストンとによりシリンダ室を構成している。
【0003】
また、ピストンには、シリンダ室が形成されている側の端部とは反対側端に、ケーシングに対して回転自在に支持された斜板が設けられている。斜板の回転軸線は、シリンダブロックの回転軸線と直交している。各ピストンの斜板側の端部には、斜板に対して移動可能なシューが取り付けられている。各シューは、シュー保持部材によって一体的に保持されている。シュー保持部材は、回転軸の外周面に嵌め合わされている押圧部材によって斜板に向かって押されている。
【0004】
このような構成のもと、ピストンは、斜板に沿って摺動されるとともに、斜板によってシリンダ穴内での変位が規制される。斜板に沿ってピストンが摺動すると、このピストンがシリンダ穴内をスライド移動する。これによって生じるシリンダ室の容積の変化を利用し、所定の流量で作動油が吐出される。斜板の傾き角度が変化すると、ピストンのシリンダ穴内でのスライド移動量が変化するので、油圧ポンプの吐出量が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、建設機械は、モデルチェンジ毎に冷却装置(オイルクーラ)が小型化され、油圧機器に良好なヒートバランスが求められる。特にミニショベルは、機体サイズが小さく、大型の冷却装置を配置することは困難である。
一方、従来の油圧ポンプは、回転するシリンダブロックと、ケーシング内に固定されている弁板とが作動油を介して隣り合い、隣り合う面の摩擦により作動油が発熱して高温になる。発熱して高温になった作動油の一部がシリンダブロックと弁板との間の空隙からケーシング内に漏れ出して滞留し、油圧ポンプのヒートバランスを好適に保つことが難しくなることが考えられる。
あるいは、シリンダブロックと弁板との間の空隙からケーシング内に漏れ出して滞留した高温の作動油を、案内路を経て吸入側へ戻したり、タンクへ戻したりする構成が考えられる。しかし、これらの構成を採用しても、ケーシング内に高温の作動油が滞留することにより油圧ポンプのヒートバランスを好適に保つことは難しい。
【0007】
本発明は、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプ及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る油圧ポンプは、ケーシングと、前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じる連通路を有する弁板と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る油圧ポンプは、ケーシングと、前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、吸入通路及び吐出通路を有する弁板と、前記シャフトの外周面に嵌め合わされて前記シャフトと一体となって回転するとともに前記弁板に前記軸線に沿って配置され、前記吸入通路及び前記吐出通路に通じるシリンダ室を有し、前記弁板と隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じる連通路を有するシリンダブロックと、を備える。
【0010】
上記のように構成することで、回転するシリンダブロックと固定されている弁板とが作動油を介して隣り合い、隣り合う面の摩擦により発熱して高温になる作動油を、溝を経て吸入口に吸入できる。このため、吸入口に吸入した高温の作動油を、ケーシングの内部に滞留させることなく、シリンダ室を経て吐出口から吐出させることができる。これにより、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる。
【0011】
上記構成であって、前記連通路は、前記シリンダブロックと前記弁板との隣り合う面のうち、前記画定する面以外に開口してもよい。
【0012】
このように構成することで、回転するシリンダブロックと固定されている弁板との作動油を介して隣り合う面の摩擦により、発熱して高温になる作動油を外部空間(吸入部を画定する面以外の外部)から吸入口に円滑に吸入できる。
【0013】
上記構成であって、前記連通路は、前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、又は前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹みのいずれか一方を含んでもよい。
【0014】
このように構成することで、内側リング凹みの高温になった作動油を、溝を経て吸入口に円滑に吸入できる。これにより、回転軸付近の高温になった作動油を、吸入口から吸入して吐出口から吐出でき、油圧ポンプの温度の上昇を抑制できる。
また、外側リング凹みの高温になった作動油を、溝を経て吸入口に円滑に吸入できる。これにより、シリンダブロックと弁板との間で高温になる作動油を、吸入口から吸入して吐出口から吐出でき、油圧ポンプの温度の上昇を抑制できる。
【0015】
上記構成であって、前記連通路は、前記吐出通路の近傍に位置してもよい。
【0016】
このように構成することで、吐出口から漏れ出た高温の作動油を溝に良好に導くことができる。これにより、吐出口から漏れ出た高温の作動油を、溝を経て吸入口に円滑に吸入できる。
また、吐出口の作動油がそのまま溝に導かれないので、油圧ポンプの吐出流量が悪化してしまうことも防止できる。
【0017】
本発明の他の態様に係る油圧ポンプは、ケーシングと、前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するとともに第1画定面に形成された第1連通路を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの前記第1画定面に重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記第1画定面と隣り合い、かつ前記吸入通路を画定する第2画定面の前記第1連通路と前記軸線方向で対向する位置に形成され前記第1連通路とともに前記吸入通路の少なくとも一部に通じる第2連通路を有する弁板と、を備える。
【0018】
このように構成することで、回転するシリンダブロックと固定されている弁板とが作動油を介して隣り合い、隣り合う面の摩擦により発熱して高温になる作動油を、溝を経て吸入口に吸入できる。このため、吸入口に吸入した高温の作動油を、ケーシングの内部に滞留させることなく、シリンダ室を経て吐出口から吐出させることができる。これにより、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る油圧ポンプは、ケーシングと、前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹み、及び前記吸入通路の少なくとも一部と前記内側リング凹み又は前記外側リング凹みのいずれか一方に通じる連通路を有する弁板と、を備える。
【0020】
このように構成することで、回転するシリンダブロックと固定されている弁板とが作動油を介して隣り合い、隣り合う面の摩擦により発熱して高温になる作動油を、内側リング凹みや外側リング凹みから溝を経て吸入口に吸入できる。このため、吸入口に吸入した高温の作動油を、ケーシングの内部に滞留させることなく、シリンダ室を経て吐出口から吐出することができる。これにより、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる。
【0021】
本発明の他の態様に係る建設機械は、上述の油圧ポンプが搭載された車体を備える。
【0022】
このように構成することで、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させてヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプを備えた建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
上述の油圧ポンプ及び建設機械は、油圧ポンプの温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態における建設機械の概略構成図。
【
図2】本発明の実施形態における油圧ポンプの断面図。
【
図5】本発明の実施形態の第1変形例における弁板を示す断面図。
【
図6】本発明の実施形態の第1変形例における弁板の平面図。
【
図7】本発明の実施形態の第2変形例における弁板を示す断面図。
【
図8】本発明の実施形態の第2変形例における弁板の平面図。
【
図9】本発明の実施形態の第3変形例の弁板における
図10のIV-IV線に沿った断面図。
【
図10】本発明の実施形態の第3変形例における弁板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
<建設機械>
図1は、建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルである。建設機械100は、旋回体(請求項における車体に相当)101と、走行体(請求項における車体に相当)102とを備えている。旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、油圧ポンプ1が搭載されている。
【0027】
旋回体101は、操作者が搭乗可能なキャブ103と、キャブ103に一端が揺動自在に連結されているブーム104と、ブーム104のキャブ103とは反対側の他端(先端)に揺動自在に一端が連結されているアーム105と、アーム105のブーム104とは反対側の他端(先端)に揺動自在に連結されているバケット106とを備えている。また、キャブ103内には、油圧ポンプ1が設けられている。この油圧ポンプ1から吐出される作動油によって、キャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106が駆動される。
【0028】
<油圧ポンプ>
図2は、油圧ポンプ1の断面図である。
図2に示すように、油圧ポンプ1は、いわゆる斜板式可変容量型油圧ポンプである。油圧ポンプ1は、ケーシング2と、ケーシング2の内部に回転自在に支持されたシャフト3と、ケーシング2の内部に収納され、シャフト3に固定されているシリンダブロック4と、ケーシング2内に傾き角度が変更可能に収納され油圧ポンプ1から吐出される作動油の吐出量を制御する斜板5と、斜板5の傾き角度を制御する第1付勢部6及び第2付勢部7とを備えている。
なお、
図2では、説明を分かりやすくするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明では、シャフト3の中心軸線(請求項における軸線に相当)C1と平行な方向を軸方向と称し、シャフト3の回転方向を周方向と称し、シャフト3の径方向を単に径方向と称する。
【0029】
ケーシング2は、開口部9aを有する箱状のケーシング本体9と、ケーシング本体9の開口部9aを閉塞するフロントフランジ10とを備えている。
ケーシング本体9には、開口部9aとは反対側の底部9bに、シャフト3の一端を回転自在に支持する軸受11が設けられている。ケーシング本体9の側面9cには、内面側に、第2付勢部7の後述する付勢ロッド46をガイドする第1ガイド部49が設けられている。ケーシング本体9の底部9bには、第1ガイド部49に通じる取付凹部48が形成されている。取付凹部48には、第2付勢部7の後述する付勢ピンユニット50が取り付けられる。
【0030】
さらに、ケーシング本体9には、吸入通路71(
図3参照)及び吐出通路72(
図3参照)が形成されている。吸入通路71は、図示しないタンクに接続されている。吐出通路72は、図示しない制御弁等を介してキャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106に接続されている。
【0031】
フロントフランジ10には、ケーシング本体9側の内面10aに、斜板支持部30が突出形成されている。斜板支持部30は、斜板5を傾き角度が変更可能に支持する。斜板支持部30には、径方向からみて半円形状の凹部30aが形成されている。この凹部30aに、斜板5が支持される。
また、フロントフランジ10には、径方向外側に、雄ネジ状のストッパ40が設けられている。ストッパ40は、斜板5の一部が支持されて斜板5の傾き角度を規制する。フロントフランジ10に対してストッパ40を回すことにより、フロントフランジ10の内面10a側からのストッパ40の突出量が変化する。これにより、斜板5の傾き角度が規制される。
【0032】
また、フロントフランジ10には、シャフト3を挿通可能な貫通孔13が形成されている。この貫通孔13に、シャフト3の他端側を回転自在に支持する軸受14が設けられている。また、貫通孔13には、軸受14よりもケーシング本体9とは反対側(フロントフランジ10の外側)に、オイルシール15が設けられている。軸受14及びオイルシール15を介し、シャフト3の他端がフロントフランジ10の外側に突出されている。オイルシール15は、内部からの油の流出を防止するとともに、フロントフランジ10とシャフト3との間から異物等の侵入を防止する。
【0033】
シャフト3におけるオイルシール15を介して突出された他端には、第1スプライン3aが形成されている。この第1スプライン3aを介し、図示しないエンジン等の動力源とシャフト3とが連結される。シャフト3の外周面3cにおける斜板5よりもケーシング本体9の底部9b側、つまり、シャフト3の軸方向中央には、第2スプライン3bが形成されている。シャフト3の外周面3cには、第2スプライン3bに対応する箇所に、シリンダブロック4が嵌め合わされている。
第1スプライン3a及び第2スプライン3bは、図示しない専用の工具(カッター等)により、例えばシャフト3の外周面3cに切削加工を施すことにより形成される。
【0034】
シリンダブロック4は、円柱状に形成されている。シリンダブロック4の径方向中央には、シャフト3を挿入又は圧入可能な貫通孔16が形成されている。貫通孔16にもスプライン16aが形成されている。このスプライン16aとシャフト3の第2スプライン3bとがスプライン結合される。これにより、シャフト3とシリンダブロック4とが一体となって回転する。
【0035】
貫通孔16の軸方向中央から端部4aに至る間には、シャフト3の周囲を取り囲むように凹部20が形成されている。また、貫通孔16の軸方向中央から斜板5側に至る間には、内周面の一部に、シリンダブロック4を軸方向に貫通する貫通孔25が形成されている。凹部20には、後述のスプリング23及びリテーナ24a,24bが収納される。貫通孔25には、後述の連結部材26が軸方向に移動可能に収納される。
【0036】
また、シリンダブロック4には、シャフト3の周囲を取り囲むように複数のシリンダ穴17が形成されている。シリンダ穴17は、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、シリンダ穴17は軸方向に沿って形成されており、斜板5側が開口されている。シリンダブロック4におけるフロントフランジ10とは反対側の端部4aには、各シリンダ穴17に対応する位置に、これらシリンダ穴17とシリンダブロック4の外部とを接続する連通孔18が形成されている。
【0037】
図3は、
図2のIII部を拡大して示す断面図である。
図4は、弁板19の平面図である。
図2、
図3、
図4に示すように、シリンダブロック4の端部4aには、この端部4aの端面(請求項における弁板の面に隣り合う面、第1画定面に相当)4bにシャフト3の中心軸線C1に沿って重なるように、円板状の弁板19が設けられている。弁板19は、ケーシング本体9に固定されている。弁板19は、シリンダブロック4がシャフト3とともに回転する場合であっても、ケーシング2(ケーシング本体9)に対して静止している。
【0038】
弁板19は、シャフト3が中心軸線C1に沿って貫通する差込孔61が中央に形成され、外形が円形に形成されている。弁板19は、径方向内側に配置された内側リング凹部(請求項における内側リング凹みに相当)62と、径方向外側に配置された外側リング凹部(請求項における外側リング凹みに相当)63と、吸入口(請求項における吸入通路に相当)64と、溝部(請求項における連通路に相当)65と、吐出口(請求項における吐出通路に相当)66とを有する。シリンダブロック4の端面4bと、弁板19のうちのシリンダブロック4の端面4bに対向する端面(請求項におけるシリンダブロックの面に隣り合う面、第2画定面に相当)19aとが重なり合うことにより、吸入口64及び吐出口66が画定される。なお、吸入口64及び吐出口66は、これら吸入口64及び吐出口66を構成する通路全体を指しており、この通路の端のみを指しているものではない。
【0039】
内側リング凹部62は、軸方向からみて略円環状に形成されている。内側リング凹部62は、弁板19の端面19aに開口されている。内側リング凹部62は、差込孔61に沿って径方向の内側に環状に形成され、吸入口64及び吐出口66に対してシャフト3の径方向の内側に位置する。
外側リング凹部63は、軸方向からみて略円環状に形成されている。外側リング凹部63は、弁板19のうちシリンダブロック4の端面4bに対向する端面19aに開口されている。外側リング凹部63は、弁板19の外周面19bに沿って径方向の外側に環状に形成され、吸入口64及び吐出口66に対してシャフト3の径方向の外側に位置する。
【0040】
吸入口64は、弁板19の内側リング凹部62と外側リング凹部63との径方向の間で、かつ周方向の一方側に形成されている。吸入口64は、内側リング凹部62と外側リング凹部63とに沿って湾曲状に形成され、シリンダブロック4の各連通孔18に通じるように弁板19の厚さ方向に貫通形成されている。吸入口64は、シリンダブロック4の各連通孔18を経て各シリンダ穴17に通じている。
【0041】
さらに、弁板19の端面19aには、溝部65が形成されている。溝部65は、吸入口64のうち少なくとも一部(具体的には、内側リング凹部62に対向する内側部位のほぼ全体)64aに通じ、かつ内側リング凹部62に通じている。換言すれば、溝部65は、内側リング凹部62に開口する開口部65aを有する。さらに換言すると、溝部65は、吸入口64及び吐出口66を画定する端面19a以外の外部(内側リング凹部62)に開口部65aを有する。吸入口64のうち、内側リング凹部62に対向する内側部位64aが溝部65(開口部65a)を経て内側リング凹部62に通じている。
【0042】
また、弁板19には、内側リング凹部62と外側リング凹部63との径方向の間で、周方向の他方側、つまり、吸入口64の反対側に吐出口66が形成されている。吐出口66は、径方向内側の第1吐出口66aと、径方向外側の第2吐出口66bとを有する。第1吐出口66a及び第2吐出口66bは、内側リング凹部62と外側リング凹部63とに沿って湾曲状に形成され、シリンダブロック4の各連通孔18に通じるように弁板19の厚さ方向に貫通形成されている。各吐出口66a,66bは、シリンダブロック4の各連通孔18を経て各シリンダ穴17に通じている。
【0043】
弁板19の吸入口64、及びシリンダブロック4の連通孔18を経て、各シリンダ穴17とケーシング本体9に形成された吸入通路71とが通じる。また、弁板19の吐出口66、及びシリンダブロック4の連通孔18を経て、各シリンダ穴17とケーシング本体9に形成された吐出通路72とが通じる。
【0044】
ここで、ケーシング本体9に弁板19が固定されている。この状態で、シリンダブロック4をシャフト3とともに回転することにより、シリンダ穴17がシリンダブロック4の回転状態に応じて、弁板19の吸入口64及び吐出口66に通じる。これにより、シリンダ穴17は、シリンダブロック4の回転状態に応じて、弁板19の吸入口64を経て吸入通路71から作動油が吸入される状態と、弁板19の吐出口66を経て吐出通路72に作動油を吐出する状態とに切り替えられる。
【0045】
各シリンダ穴17には、ピストン21が軸方向に沿って移動自在に収納されている。シリンダ穴17にピストン21が収納されることにより、ピストン21は、シャフト3及びシリンダブロック4の回転に伴い、シャフト3の中心軸線C1回りに公転する。
ピストン21における斜板5側の端部には、球状の凸部28が一体形成されている。また、ピストン21の内部は、空洞に形成されている。この空洞は、シリンダ穴17内の作動油で満たされている。したがって、ピストン21の往復動は、シリンダ穴17への作動油の吸入及び吐出と連関されている。つまり、ピストン21がシリンダ穴17から引き出される際には、シリンダ穴17の内部に吸入通路71及び吸入口64から作動油が吸入される。また、ピストン21がシリンダ穴17の内部に進入する際には、シリンダ穴17の内部から吐出口66及び吐出通路72に作動油が吐出される。
【0046】
図2に示すように、シリンダブロック4の凹部20に収納されたスプリング23は、例えばコイルスプリングである。スプリング23は、凹部20に収納された2つのリテーナ24a,24bの間で圧縮されている。このため、スプリング23は、その弾性力によって伸長する向きに付勢力を生じる。スプリング23の付勢力は、2つのリテーナ24a,24bのうちの一方のリテーナ24bを介し連結部材26に伝達される。連結部材26よりもフロントフランジ10側、つまり、シリンダブロック4と斜板5との間には、シャフト3の外周面3cに、押圧部材27が嵌め合わされている。
【0047】
押圧部材27は、略円筒状に形成されている。押圧部材27のうち連結部材26側の端面に、連結部材26が当接される。連結部材26が受けたスプリング23の付勢力は、押圧部材27に伝達される。押圧部材27は、後述のシュー保持部材29に当接され、シュー保持部材29を斜板5側に向かって押す。
【0048】
シリンダブロック4の各シリンダ穴17に収納された各ピストン21には、これらピストン21の凸部28に、シュー22が取り付けられている。シュー22の凸部28を受け入れる側の面には、凸部28の形状に対応するように球状の凹部22aが形成されている。この凹部22aにピストン21の凸部28が嵌め込まれる。これにより、ピストン21の凸部28に対し、シュー22が回転自在に連結される。
各シュー22は、シュー保持部材29によって一体的に保持されている。このシュー保持部材29が、押圧部材27によって斜板5側に押される。さらに、押圧部材27によって、シュー保持部材29を介して各シュー22が斜板5側に押される。
【0049】
斜板5は、回転して傾くことにより、各ピストン21の軸方向に沿う方向への変位を規制する役割を有している。斜板5は、シリンダブロック4側からみて円環状の斜板本体31を有している。斜板本体31の径方向中央には、軸方向に貫通する挿通孔32が形成されている。挿通孔32に、シャフト3が挿通(貫通)される。斜板本体31のシリンダブロック4側には、平坦な摺動面31aが形成されている。この摺動面31aに、各シュー22が移動可能に押されている。
【0050】
斜板本体31の摺動面31aの背面側に、2つの支持凸部33,34が挿通孔32を中心にして、径方向のうち紙面表裏方向において対向配置されている。2つの支持凸部33,34は、フロントフランジ10に斜板5を傾き角度が変更可能に支持させるためのものである。各支持凸部33,34は、径方向からみて半円状に形成されており、円弧面33a,34aを有している。これら円弧面33a,34aがフロントフランジ10側を向くように、各支持凸部33,34が斜板本体31から突出するように形成されている。
【0051】
各支持凸部33,34の円弧面33a,34aは、フロントフランジ10に突出形成された斜板支持部30の凹部30aに移動可能に当接されている。凹部30aに円弧面33a,34aが摺動されることにより、フロントフランジ10に対して斜板5が回転される。
斜板本体31の径方向側部には、挿通孔32を中心に径方向で対向する第1被付勢部37及び第2被付勢部38が一体成形されている。第1被付勢部37及び第2被付勢部38の対向する方向は、2つの支持凸部33,34が対向する方向と直交している。第1被付勢部37及び第2被付勢部38は、斜板本体31から径方向外側に向かって延出されている。第2被付勢部38のフロントフランジ10側の面38aが、フロントフランジ10に設けられたストッパ40に当接される。
【0052】
第1被付勢部37の径方向外側(先端側)には、各支持凸部33,34の突出方向とは反対側の面(シリンダブロック4側の面)に、連結凹部39が形成されている。連結凹部39に、第1付勢部6が連結される。連結凹部39は、軸方向からみて円形状に形成されている。
第2被付勢部38には、各支持凸部33,34の突出方向とは反対側の面(シリンダブロック4側の面)のほぼ全体に、当接面41が形成されている。当接面41は、第2被付勢部38を平坦に切除することにより形成される。当接面41に、第2付勢部7が当接される。
【0053】
このように構成された斜板5は、フロントフランジ10に対して回転することにより、第1被付勢部37や第2被付勢部38がフロントフランジ10に接近、離間するように傾く。
ここで、斜板5の傾き角度は、摺動面31aとシャフト3に直交している面とのなす角度をいう。つまり、この角度が小さいほど斜板5の傾き角度は小さくなる。
【0054】
第1付勢部6は、斜板5の傾き角度が大きくなる向きに斜板5を付勢する。第1付勢部6は、ケーシング本体9の底部9b側に配置された第1リテーナ42と、斜板5側に配置された第2リテーナ43と、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間に配置された第1スプリング44及び第2スプリング45とを備えている。
第2リテーナ43における斜板5側には、球状の連結凸部43aが突出形成されている。この連結凸部43aが斜板5の連結凹部39に当接されることにより、斜板5に対して第2リテーナ43が回転自在に連結される。
【0055】
第1スプリング44は、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で圧縮されている。このため、第1スプリング44は、その弾性力によって第1スプリング44が伸長する向きに付勢力を生じる。
第2スプリング45は、第1スプリング44の内側に配置されている。このため、第2スプリング45の外径は、第1スプリング44の外径よりも小さい。第2スプリング45は、第2リテーナ43に固定されている。
【0056】
第2スプリング45は、斜板5の傾き角度が大きい状態(
図2に示す状態)では、第1リテーナ42から離間されている。これにより、斜板5の傾き角度が大きい場合、斜板5には第1スプリング44の付勢力のみが作用される。
これに対し、斜板5の傾き角度が小さくなると、ある傾き角度のときに第2スプリング45が第1リテーナ42に接触する。さらに斜板5の傾き角度が小さくなると、第2スプリング45も第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で圧縮される。これにより、斜板5には、第1スプリング44及び第2スプリング45の両方の付勢力が作用する。
【0057】
このように、第1付勢部6は、斜板5の傾き角度に応じて、その付勢力を段階的に変化させることができる。なお、第2スプリング45は、第2リテーナ43に固定されるものに限られず、第1リテーナ42に固定されるようにしてもよい。また、第1リテーナ42及び第2リテーナ43のいずれにも固定されず、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で移動可能にされていてもよい。
【0058】
第2付勢部7は、第1付勢部6による斜板5への付勢力と反対向きの付勢力を斜板5に作用させる。とりわけ、第2付勢部7は、第1付勢部6による斜板5の傾き角度が大きくなる向きへの付勢力に抗して、斜板5の傾き角度が小さくなる向きに斜板5を付勢する。 第2付勢部7は、付勢ロッド46と付勢ピンユニット50とを備えている。付勢ピンユニット50は、ユニットケース51と、複数の付勢ピン52,53とを主構成としている。なお、
図2では、複数の付勢ピン52,53が2本のみ図示されているが、複数の付勢ピン52,53は、例えば4本設けられている。
【0059】
ユニットケース51は、ケーシング本体9の取付凹部48に嵌め込まれるように取り付けられている。ユニットケース51における斜板5側には、複数の付勢ピン52,53をガイドする複数の第2ガイド部54が設けられている。第2ガイド部54は、ユニットケース51を軸方向に沿って貫通する孔である。また、ユニットケース51における斜板5とは反対側には、複数の第2ガイド部54のうちの1つに通じるシリンダ穴(請求項におけるシリンダ室に相当)55が設けられている。シリンダ穴55は、ユニットケース51の第2ガイド部54とは反対側に開口されている。このシリンダ穴55の開口部は、キャップ部材57によって閉塞されている。
【0060】
シリンダ穴55内には、円柱状の付勢ピストン56がシリンダ穴55に対して軸方向に移動自在に配置されている。
第2ガイド部54には、各付勢ピン52,53が軸方向に移動可能に収納されている。複数の付勢ピン52,53のうちの一方の付勢ピン52は、他方の付勢ピン53よりも長く形成されている。このような一方の付勢ピン52が、シリンダ穴55に通じる第2ガイド部54に収納されている。一方の付勢ピン52の斜板5とは反対側端は、シリンダ穴55に突出されている。
【0061】
第2ガイド部54には、例えば油圧ポンプ1から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等が入力される。シリンダ穴55には、例えばコントロールバルブで生成された信号圧等が入力される。各付勢ピン52,53は、各付勢ピン52,53に対応する信号圧に応じ、付勢ロッド46を斜板5に向かって付勢する。
【0062】
付勢ロッド46は、斜板5の当接面41と各付勢ピン52,53との間に配置されている。付勢ロッド46は、軸方向に長くなるように円柱状に形成されており、ケーシング本体9の第1ガイド部49によって軸方向に移動可能にガイドされている。
付勢ロッド46の当接面41側の端部には、球状面46aが形成されている。このため、斜板5の傾き角度の変化に起因して斜板5(当接面41)と付勢ロッド46とのなす角度が変化しても斜板5に対する付勢力を球状面46aから当接面41へ適切に伝達することができる。
【0063】
<油圧ポンプの動作>
次に、油圧ポンプ1の動作について説明する。
油圧ポンプ1は、シリンダ穴17からの作動油の吐出(及びシリンダ穴17への作動油の吸入)に基づく駆動力を出力する。
より具体的には、まず、エンジン等の動力源からの動力によってシャフト3を回転させることにより、シャフト3と一体となってシリンダブロック4が回転される。シリンダブロック4の回転に伴い、シャフト3の中心軸線C1回りにピストン21が公転される。
【0064】
各ピストン21の凸部28に取り付けられた各シュー22は、スプリング23の付勢力によって、斜板5の傾き角度にかかわらず斜板5の摺動面31aに対して適切に追従して押し当てられる。また、ピストン21の凸部28は球状に形成されているとともに、この凸部28が嵌め込まれるシュー22の凹部22aも球状に形成されている。また、押圧部材27によって、シュー保持部材29を介して各シュー22が斜板5側に押されている。このため、斜板5の傾き角度が変化しても、各シュー22は斜板5の傾きに追従して摺動面31aに適切に追従して押し当てられる。
【0065】
シリンダブロック4の回転に伴い、シャフト3の中心軸線C1回りにピストン21が公転されると、各シュー22も斜板5の摺動面31a上をシャフト3の中心軸線C1回りに公転しながら摺動される。これにより、各シリンダ穴17内で各ピストン21が軸方向に沿って移動され、各ピストン21が往復動作される。このように、斜板5は、各ピストン21の軸方向に沿う方向への変位を規制する。ピストン21の往復動作に応じて一部のシリンダ穴17からは作動油が吐出されるとともに、他のシリンダ穴17には作動油が吸入され、油圧ポンプが実現される。
【0066】
ここで、斜板5(摺動面31a)の傾き角度が変化すると、ピストン21の往復動のストローク(摺動距離)が変化する。すなわち、斜板5の傾き角度が大きいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ穴17に対する作動油の吸引量及び吐出量は大きくなる。これに対し、斜板5の傾き角度が小さいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ穴17に対する作動油の吸引量及び吐出量は小さくなる。斜板5の傾き角度が0度の場合には、シャフト3の中心軸線C1回りにピストン21が公転しても各ピストン21は往復動されない。このため、各シリンダ穴17からの作動油の吐出量もゼロになる。
【0067】
また、フロントフランジ10には、径方向外側に、雄ネジ状のストッパ40が設けられている。このため、斜板5の傾き角度を小さくしていくと、この斜板5がストッパ40に当接される。ストッパ40は、回転させることにより斜板5に対して進退可能である。したがって、斜板5の最小傾き角度は、ストッパ40を斜板5に対して進退させることにより適宜調整することができる。
【0068】
次に、斜板5の回転動作について説明する。
斜板5は、第1付勢部6により、斜板5の傾き角度が大きくなる向きに付勢される。また、斜板5は、第2付勢部7により、斜板5の傾き角度が小さくなる向きに付勢される。斜板5は、第1付勢部6の付勢力による斜板5の回転軸線回りのモーメント(
図2では反時計回りのモーメント)と、第2付勢部7による斜板5の回転軸線回りのモーメント(
図2では時計回りのモーメント)との大きさが等しくなる位置に傾いて停止する。
以下、
図2における反時計回りのモーメントを単に反時計回りのモーメントという。また、
図2における時計回りのモーメントを単に時計回りのモーメントという。
【0069】
つまり、第2付勢部7による時計回りのモーメントを大きくすると、斜板5の傾き角度が小さくなる。この分、第1付勢部6の第1スプリング44や第2スプリング45が圧縮されて第1付勢部6による反時計回りのモーメントも大きくなる。これにより、第2付勢部7による時計回りのモーメントと第1付勢部6による反時計回りのモーメントとが等しくなり、斜板5が所定の傾きで停止する。
【0070】
一方、第2付勢部7による時計回りのモーメントを小さくすると、第1付勢部6の第1スプリング44や第2スプリング45の付勢力が勝って斜板5の傾き角度が大きくなる。これに伴って第1スプリング44や第2スプリング45が伸長されると、第1付勢部6による付勢力が小さくなる。これにより、第2付勢部7による時計回りのモーメントと第1付勢部6による反時計回りのモーメントとが等しくなり、斜板5が所定の傾きで停止する。
【0071】
第2付勢部7による時計回りのモーメントを変化させる場合、斜板5への付勢ロッド46の付勢力を変化させる。つまり、例えば、第2付勢部7の第2ガイド部54には、油圧ポンプ1から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等が入力される。シリンダ穴55には、例えばコントロールバルブで生成された信号圧等が入力される。これら信号圧の大きさに応じ、各付勢ピン52,53が付勢ロッド46を付勢する。これにより、斜板5への付勢ロッド46の付勢力が変化する。
【0072】
続いて、
図2、
図3、
図4に基づいて、油圧ポンプ1のヒートバランスを好適に保つ動作について説明する。
図2、
図3、
図4に示すように、シリンダブロック4をシャフト3とともに回転することにより、各シリンダ穴17及び各連通孔18がシャフト3の中心軸線C1回りに公転する。この状態で、弁板19はケーシング本体9に固定されている。よって、シリンダブロック4の回転状態に応じて、各シリンダ穴17が各連通孔18を経て弁板19の吸入口64及び吐出口66に通じる。
【0073】
これにより、シリンダ穴17は、シリンダブロック4の回転状態に応じて、作動油を吸入される吸入状態と、作動油を吐出する吐出状態とに切り替えられる。具体的には、シリンダ穴17は、吸入状態で吸入通路71の作動油を、弁板19の吸入口64を経て連通孔18からシリンダ穴17の内部に吸入する(
図3における矢印A参照)。また、シリンダ穴17は、吐出状態でシリンダ穴17の内部の作動油を、連通孔18を経て弁板19の吐出口66から吐出通路72に吐出する(
図3における矢印B参照)。
【0074】
ここで、シリンダブロック4と弁板19との隣り合う端面4b,19aの間には、作動油による油膜が形成されている。この油膜は、隣り合う端面4b,19aの摩擦により発熱して高温になる。発熱して高温になった作動油の一部が隣り合う端面4b,19aの間から内側リング凹部62や外側リング凹部63に漏れ出す。
【0075】
内側リング凹部62は、吸入口64のうち、内側リング凹部62に対向する内側部位64aに溝部65(開口部65a)を経て通じている。このため、隣り合う端面4b,19aの摩擦により発熱して高温になった作動油を、内側リング凹部62から溝部65(開口部65a)を経て吸入口64に円滑に吸入できる(
図3における矢印C参照)。溝部65から吸入口64に吸入した高温の作動油を、連通孔18を経てシリンダ穴17の内部に円滑に吸入できる(
図3における矢印D参照)。
シリンダ穴17の内部に吸入した高温の作動油を、シリンダ穴17の吐出状態で連通孔18を経て弁板19の吐出口66から吐出通路72に円滑に吐出できる(
図3における矢印B参照)。
【0076】
この結果、隣り合う端面4b,19aの空隙(油膜が形成される箇所、以下、空隙は同様の意味をもつ)68から内側リング凹部62に流出した(漏れ出した)高温の作動油を、ケーシング2の内部に滞留させることなく、各シリンダ穴17を経て吐出口66から円滑に吐出することができる。これにより、油圧ポンプ1の温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプ1を提供できる。
【0077】
図1に戻って、油圧ポンプ1は、建設機械100の旋回体101に搭載されている。このように構成することで、油圧ポンプ1の温度の上昇を抑制させてヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプ1を備えた建設機械100を提供できる。
【0078】
なお、上述の実施形態では、シリンダブロック4と弁板19との隣り合う端面4b,19aのうち、弁板19の端面19aに溝部65を形成した場合について説明した。この溝部65(開口部65a)を経て内側リング凹部62を吸入口64に通じさせる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、シリンダブロック4の端面4bに溝部65b(
図3における2点鎖線参照)を形成し、この溝部を経て内側リング凹部62を吸入口64に通じさせてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、吸入口64のうち、内側リング凹部62に対向する内側部位64aのほぼ全体に、溝部65が形成されている場合について説明した。そして、吸入口64のうち、内側部位64aが溝部65(開口部65a)を経て内側リング凹部62に通じている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、吸入口64の内側部位64aのうちの一部に溝部65を形成し、この溝部65を経て吸入口64と内側リング凹部62とが通じていればよい。また、溝部65に代わって弁板19を厚さ方向に貫通する貫通孔としてもよい。
【0080】
[第1変形例]
図5は、第1変形例における弁板80を示す断面図である。
図6は、弁板80の平面図である。なお、
図5、
図6は、前述の
図3、
図4に対応している(以下の
図7、
図8、
図9、
図10についても同様)。また、前述の実施形態と同一態様には同一符号を付して説明を省略する(以下の変形例でも同様)。
【0081】
図2、
図5、
図6に示すように、弁板80におけるシリンダブロック4の端面4bと隣り合う端面(請求項におけるシリンダブロックの面に隣り合う面、第2画定面に相当)80aには、溝部(請求項における連通路に相当)82が形成されている。溝部82は、吸入口64のうち少なくとも一部(具体的には、外側リング凹部63に対向する外側部位)64bに通じ、かつ外側リング凹部63に通じている。換言すれば、溝部82は、外側リング凹部63に開口する開口部82aを有する。さらに換言すると、溝部82は、吸入口64及び吐出口66を画定する端面80a以外の外部(外側リング凹部63)に開口部82aを有する。吸入口64のうち、外側リング凹部63に対向する外側部位64bのほぼ全体が溝部82(開口部82a)を経て外側リング凹部63に通じている。
【0082】
このような構成のもと、隣り合うシリンダブロック4の端面4bと弁板80の端面80aとの摩擦により発熱して高温になった作動油を、外側リング凹部63から溝部82を経て吸入口64に円滑に吸入できる(
図5における矢印E参照)。溝部82から吸入口64に吸入した高温の作動油を、連通孔18を経てシリンダ穴17の内部に円滑に吸入できる(
図5における矢印F参照)。
シリンダ穴17の内部に吸入した高温の作動油を、上記実施形態と同様に、シリンダ穴17の吐出状態で円滑に吐出できる。
【0083】
このため、隣り合う端面4b,80aの空隙84から外側リング凹部63に流出した(漏れ出した)高温の作動油を、ケーシング2の内部に滞留させることなく、各シリンダ穴17を経て吐出口66から円滑に吐出することができる。これにより、油圧ポンプ1の温度の上昇を抑制させることによりヒートバランスを好適に保つことができる油圧ポンプ1を提供できる。
【0084】
上述の第1変形例では、シリンダブロック4と弁板80との隣り合う端面4b,80aのうち、弁板80の端面80aに溝部82を形成した場合について説明した。この溝部82を経て外側リング凹部63を吸入口64に通じさせる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、シリンダブロック4の端面4bに溝部82b(
図5における2点鎖線参照)を形成し、溝部を経て外側リング凹部63を吸入口64に通じさせてもよい。
【0085】
また、上述の第1変形例では、吸入口64のうち、外側リング凹部63に対向する外側部位64bのほぼ全体に、溝部82が形成されている場合について説明した。そして、吸入口64のうち、外側部位64bが溝部82(開口部82a)を経て外側リング凹部63に通じている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、吸入口64の外側部位64bのうちの一部に溝部82を形成し、この溝部82を経て吸入口64と外側リング凹部63とが通じていればよい。また、溝部82に代わって弁板19を厚さ方向に貫通する貫通孔としてもよい。
【0086】
[第2変形例]
図7は、第2変形例における弁板90を示す断面図である。
図8は、弁板90の平面図である。
図2、
図7、
図8に示すように、第2変形例は、いわゆる上述の実施形態と第1変形例とを組み合わせ、さらに上述の実施形態における溝部65と第1変形例の溝部82とをそれぞれ厚さ方向に貫通させた形状である。すなわち、弁板90におけるシリンダブロック4の端面4bと隣り合う端面(請求項におけるシリンダブロックの面に隣り合う面、第2画定面に相当)90aには、上述の実施形態の溝部65に代わって弁板90の厚さ方向に貫通する第1貫通孔121が形成されている。また、弁板90の端面90aには、溝部82に代わって弁板90の厚さ方向に貫通する第2貫通孔122が形成されている。
【0087】
第1貫通孔121は、吸入口64のうち少なくとも一部(具体的には、内側リング凹部62に対向する内側部位のほぼ全体)64aに通じ、かつ内側リング凹部62に通じている。すなわち、吸入口64のうち、内側リング凹部62に対向する内側部位64aが第1貫通孔121を経て内側リング凹部62に通じている。
また、第2貫通孔122は、吸入口64のうち少なくとも一部(具体的には、外側リング凹部63に対向する外側部位)64bに通じ、かつ外側リング凹部63に通じている。すなわち、吸入口64のうち、外側リング凹部63に対向する外側部位64bのほぼ全体が第2貫通孔122を経て外側リング凹部63に通じている。
【0088】
このような構成のもと、隣り合うシリンダブロック4の端面4bと弁板90の端面90aとの摩擦により発熱して高温になった作動油を、内側リング凹部62から第1貫通孔121を経て吸入口64に円滑に吸入できる(
図7における矢印G参照)。また、隣り合う端面4b,90aの摩擦により発熱して高温になった作動油を、外側リング凹部63から第2貫通孔122を経て吸入口64に円滑に吸入できる(
図7における矢印H参照)。
【0089】
第1貫通孔121及び第2貫通孔122から吸入口64に吸入した高温の作動油を、連通孔18を経てシリンダ穴17の内部に円滑に吸入できる(
図7における矢印I参照)。シリンダ穴17の内部に吸入した高温の作動油を、上記実施形態と同様に、シリンダ穴17の吐出状態で吐出口66から円滑に吐出できる。
【0090】
このため、隣り合う端面4b,90aの空隙92から内側リング凹部62及び外側リング凹部63に流出した(漏れ出した)高温の作動油を、ケーシング2の内部に滞留させることなく、各シリンダ穴17を経て吐出口66から一層円滑に吐出することができる。これにより、油圧ポンプ1の温度の上昇を一層良好に抑制させることによりヒートバランスを一層好適に保つことができる油圧ポンプ1を提供できる。
【0091】
上述の第2変形例では、弁板90の端面90aに第1貫通孔121及び第2貫通孔122を形成した場合について説明した。第1貫通孔121及び第2貫通孔122を経て内側リング凹部62及び外側リング凹部63を吸入口64に通じさせる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、シリンダブロック4の端面4bに上述の実施形態の溝部65bや第1変形例の溝部82b(いずれも
図7における2点鎖線参照)を形成し、各溝部65b,82bを経て内側リング凹部62及び外側リング凹部63を吸入口64に通じさせてもよい。
【0092】
[第3変形例]
図9は、第3変形例の弁板95における
図10のIV-IV線に沿った断面図である。
図10は、第3変形例における弁板95の平面図である。
図2、
図9、
図10に示すように、弁板95におけるシリンダブロック4の端面4bと隣り合う端面(請求項におけるシリンダブロックの面に隣り合う面、第2画定面に相当)95aには、溝部(請求項における連通路に相当)97が形成されている。溝部97は、吸入口64の少なくとも一部64cに通じている。さらに、溝部97は、シリンダブロック4と弁板95との隣り合う端面4b,95aの間で、吸入口64及び吐出口66の外部の空隙98に開口する開口部97aと、吐出口66の近傍に位置する先端部97bとを有する。
【0093】
このような構成のもと、隣り合うシリンダブロック4の端面4bと弁板90の端面95aとの摩擦により発熱して高温になった作動油を、空隙98及び溝部97を経て吸入口64に円滑に吸入できる(
図9における矢印J参照)。
ここで、溝部97は、先端部97bが吐出口66(具体的には、内側の吐出口66a)の近傍に位置する。このため、空隙98に漏れ出た高温の作動油を溝部97に良好に導くことができる。これにより、高温の作動油を、溝部97を経て吸入口64に一層円滑に吸入できる(
図9における矢印J参照)。
【0094】
溝部97から吸入口64に吸入した高温の作動油を、連通孔18を経てシリンダ穴17の内部に円滑に吸入できる(
図9における矢印K参照)。シリンダ穴17の内部に吸入した高温の作動油を、上記実施形態と同様に、シリンダ穴17の吐出状態で吐出口66から円滑に吐出できる。
このため、空隙98に流出した(漏れ出した)高温の作動油を、ケーシング2の内部に滞留させることなく、各シリンダ穴17を経て吐出口66から一層円滑に吐出することができる。これにより、油圧ポンプ1の温度の上昇を一層良好に抑制させることによりヒートバランスを一層好適に保つことができる油圧ポンプ1を提供できる。
【0095】
上述の第3変形例では、シリンダブロック4と弁板95との隣り合う端面4b,95aで弁板95の端面95aに溝部97を形成した場合について説明した。この溝部97を吸入口64に通じさせる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、シリンダブロック4の端面4bに溝部97c(
図9における2点鎖線参照)を形成し、この溝部を吸入口64に通じさせてもよい。
【0096】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲に、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100は油圧ショベルである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな建設機械に上述の油圧ポンプ1を採用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…油圧ポンプ、2…ケーシング、3…シャフト、3c…外周面、4…シリンダブロック、4b…シリンダブロックの端面(弁板の面に隣り合う面、第1画定面)、5…斜板、19,80,90,95…弁板、19a,80a,90a,95a…端面(シリンダブロックの面に隣り合う面、第2画定面)、21…ピストン、55…シリンダ穴(シリンダ室)、62…内側リング凹部(内側リング凹み)、63…外側リング凹部(外側リング凹み)、64…吸入口(吸入通路)、64a…内側部位(吸入通路の少なくとも一部)、64b…外側部位(吸入通路の少なくとも一部)、64c…吸入口の少なくとも一部(吸入通路の少なくとも一部)、65,65b,82,82b,97,97c…溝部(連通路)、65a,82a,97a…開口部、66…吐出口(吐出通路)、68,84,92,98…空隙、97b…先端部、100…建設機械、101…旋回体(車体)、102…走行体(車体)、121…第1貫通孔、122…第2貫通孔、C1…中心軸線(軸線)
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面のみに形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じる連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項2】
前記連通路は、前記シリンダブロックと前記弁板との隣り合う面のうち、前記画定する面以外に開口する
請求項1に記載の油圧ポンプ。
【請求項3】
前記連通路は、前記吐出通路の近傍に位置する
請求項1に記載の油圧ポンプ。
【請求項4】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
吸入通路及び吐出通路を有する弁板と、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされて前記シャフトと一体となって回転するとともに前記弁板に前記軸線に沿って配置され、前記吸入通路及び前記吐出通路に通じるシリンダ室を有し、前記弁板と隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され前記吸入通路の少なくとも一部に通じ前記ケーシング内の油を前記吸入通路に供給可能な連通路を有するシリンダブロックと、
を備える油圧ポンプ。
【請求項5】
前記連通路は、前記シリンダブロックと前記弁板との隣り合う面のうち、前記画定する面以外に開口する
請求項4に記載の油圧ポンプ。
【請求項6】
前記連通路は、
前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、又は
前記弁板の前記シリンダブロックと隣り合う面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹み
のいずれか一方を含む
請求項5に記載の油圧ポンプ。
【請求項7】
前記連通路は、前記吐出通路の近傍に位置する
請求項4に記載の油圧ポンプ。
【請求項8】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するとともに第1画定面に形成された第1連通路を有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの前記第1画定面に重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記第1画定面と隣り合い、かつ前記吸入通路を画定する第2画定面の前記第1連通路と前記軸線方向で対向する位置に形成され前記第1連通路とともに前記吸入通路の少なくとも一部に通じて開口する第2連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項9】
ケーシングと、
前記ケーシング内に軸線回りに回転自在に支持されるシャフトと、
前記シャフトの外周面に嵌め合わされ、前記シャフトと一体となって回転し、シリンダ室を有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに重なるように前記軸線に沿って配置され、前記シリンダ室に通じる吸入通路及び吐出通路を有し、前記シリンダブロックと隣り合う面で、かつ前記吸入通路を画定する面に形成され、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の内側に位置する内側リング凹み、前記吸入通路及び前記吐出通路に対して前記シャフトの径方向の外側に位置する外側リング凹み、及び前記吸入通路の少なくとも一部と前記内側リング凹み又は前記外側リング凹みのいずれか一方に通じて開口する連通路を有する弁板と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の油圧ポンプが搭載された車体を備える建設機械。