(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090911
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】プログラム、確率補正方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/53 20140101AFI20240627BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20240627BHJP
【FI】
A63F13/53
A63F13/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207094
(22)【出願日】2022-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月19日、令和4年10月21日、WEBサイトで公開
(71)【出願人】
【識別番号】595000427
【氏名又は名称】株式会社コーエーテクモゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 幸芳
(72)【発明者】
【氏名】坂口 直哉
(57)【要約】
【課題】確率をゲーム画面に表示するゲームにおいて、確率の偏りによるプレイヤのストレスを抑制する新たな仕組みを提供すること。
【解決手段】情報処理装置に、表示用の確率をゲーム画面に表示する表示手順、前記表示用の確率に応じた処理用の確率でゲーム処理を実行する実行手順、を実行させるためのプログラムが提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に、
表示用の確率をゲーム画面に表示する表示手順、
前記表示用の確率に応じた処理用の確率でゲーム処理を実行する実行手順、
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記表示用の確率及び前記処理用の確率はゲーム内における行動の成功率であって、
前記実行手順は、前記表示用の成功率のうち一部の範囲又は全部の範囲において、前記表示用の成功率を上昇させるように補正した前記処理用の成功率でゲーム処理を実行する
請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記実行手順は、前記表示用の成功率と前記処理用の成功率とを対応付けて記憶する成功率テーブルから前記表示用の成功率に対応する前記処理用の成功率を取得する
請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記実行手順は、前記表示用の成功率のうち、所定値よりも低い前記表示用の成功率をそのまま前記処理用の確率として利用する
請求項2記載のプログラム。
【請求項5】
前記表示用の確率及び前記処理用の確率はゲーム内における行動の失敗率であって、
前記実行手順は、前記表示用の失敗率のうち一部の範囲又は全部の範囲において、前記表示用の失敗率を減少させるように補正した前記処理用の失敗率でゲーム処理を実行する
請求項1記載のプログラム。
【請求項6】
前記実行手順は、プレイヤキャラクタとノンプレイヤキャラクタとが対戦するゲームにおいて、前記プレイヤキャラクタの前記表示用の確率を補正した処理用の確率で前記プレイヤキャラクタのゲーム処理を実行し、前記ノンプレイヤキャラクタの前記表示用の確率をそのまま前記処理用の確率として前記ノンプレイヤキャラクタのゲーム処理を実行する
請求項1乃至5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
情報処理装置が、
表示用の確率をゲーム画面に表示する表示ステップと、
前記表示用の確率に応じた処理用の確率でゲーム処理を実行する実行ステップと、
を行う確率補正方法。
【請求項8】
表示用の確率をゲーム画面に表示するように構成された画面生成部と、
前記表示用の確率に応じた処理用の確率でゲーム処理を実行するように構成された実行制御部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、確率補正方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置を用いたゲームにおいて、ゲーム処理に利用する確率をゲーム画面に表示してプレイヤに伝える技術は、従来から知られている。例えば特許文献1には、敵キャラクタの捕縛を試みることができるネットワークゲームにおいて、捕縛成功率を視覚的に表示させ、捕縛成功率の変動に基づいて、ユーザに対してリアルタイムに捕縛成功率を伝える技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある事柄の確率は試行回数が少ないと、偏り(確率の偏り)が生じる場合がある。確率の偏りとは、統計的確率が数学的確率に一致しないことをいう。なお、ある事柄の確率の試行回数を増やせば増やすほど、統計的確率と数学的確率とは近づく。
【0005】
例えばゲーム処理では確率の試行回数が少なく、ゲーム画面に表示された成功率などの確率がプレイヤの感じる確率の印象と異なる場合がある。ゲーム画面に確率が表示されているゲームでは、プレイヤが確率を認識できるため、確率の偏りがプレイヤにとって不利な方向に生じると、プレイヤにストレスを与えてしまうという問題があった。
【0006】
本開示は、確率をゲーム画面に表示するゲームにおいて、確率の偏りによるプレイヤのストレスを抑制する新たな仕組みを提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様は、情報処理装置に、表示用の確率をゲーム画面に表示する表示手順、前記表示用の確率に応じた処理用の確率でゲーム処理を実行する実行手順、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、確率をゲーム画面に表示するゲームにおいて、確率の偏りによるプレイヤのストレスを抑制する新たな仕組みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るゲーム画面の一例のイメージ図である。
【
図6】本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
[システム構成]
まず、一実施形態に係るシステム構成について
図1を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。一実施形態に係る情報処理システムは例えば
図1(A)又は
図1(B)に示すように構成される。
図1(A)は、情報処理装置10により構成される情報処理システムの一例である。
図1(B)は、情報処理装置10とサーバ装置14とがネットワーク18を介して通信可能に接続された構成の情報処理システムの一例である。
【0012】
図1(A)の情報処理装置10はコンピュータである。
図1(A)の情報処理装置10はプレイヤからの操作をタッチパネル、コントローラ、キーボード、又はマウス等で受け付けて、操作に応じた情報処理を実行し、実行結果を画像及び音などにより出力する。
【0013】
また、
図1(B)の情報処理装置10及びサーバ装置14は、
図1(A)と同様なコンピュータである。サーバ装置14は情報処理装置10との間でデータを送受信し、情報処理装置10がプレイヤから受け付けた操作に応じた情報処理を実行し、実行結果を情報処理装置10に提供する。情報処理装置10はサーバ装置14から提供された実行結果を画像及び音などにより出力する。
【0014】
サーバ装置14はクラウドコンピュータにより実現してもよい。なお、
図1(B)に示したサーバ装置14の個数は、1つに限定されるものではなく、2つ以上で分散処理してもよい。サーバ装置14は情報処理装置10へのプログラム(アプリケーション)などのダウンロード処理、プレイヤのログイン処理、又は各種データベースを管理する処理などに利用してもよい。なお、
図1のシステム構成は一例である。
【0015】
図1に示した情報処理システムは、例えばゲームシステム、ソーシャルネットワーキングサービスシステム、又はメタバースシステム等である。本実施形態は、処理に何らかの確率を利用する情報処理システムであって、その確率を画面に表示する様々な情報処理システムに適用可能である。
【0016】
例えば
図1の情報処理システムは、プレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタを表示して対戦させる対戦型ゲームのゲーム画面に攻撃や防御の成功率又は失敗率等の確率を表示するゲームシステムへの適用可能である。プレイヤキャラクタはプレイヤが操作する表示オブジェクトである。ノンプレイヤキャラクタはコンピュータが操作する表示オブジェクトである。
【0017】
[ハードウェア構成]
本実施形態に係る情報処理装置10は、例えば
図2に示すように構成される。サーバ装置14の構成は情報処理装置10と同様であるため、説明を省略する。
図2は本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
図2の情報処理装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)100、記憶装置102、通信装置104、入力装置106、及び出力装置108を有する。CPU100はプログラムに従って情報処理装置10を制御する。記憶装置102は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージである。記憶装置102はCPU100で実行するプログラム及びデータを記憶する。
【0019】
通信装置104は、通信を制御するネットワーク回路などの通信デバイスである。入力装置106は、タッチパッド、コントローラ、マウス、キーボード、カメラ、マイクなどの入力デバイスである。また、出力装置108はディスプレイ、スピーカなどの出力デバイスである。タッチパネルは入力装置106の一例であるタッチパッドと出力装置108の一例であるディスプレイとを組み合わせることで実現される。
図2のハードウェア構成は一例である。例えば情報処理装置10は、スマートフォン、携帯ゲーム機、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット端末、家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置等であってもよい。また、情報処理装置10はグラフィックプロセッサユニット(GPU)及びデジタルサウンドプロセッサ(DSP)を有していてもよい。
【0020】
[機能構成]
以下では、
図1(A)に示した情報処理装置10がゲームに関する処理を行う例を説明するが、
図1(B)に示した情報処理装置10とサーバ装置14とが連携してゲームに関する処理を行うようにしてもよい。
図3では対戦型ゲームの例を説明する。
【0021】
図3は、情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3に示す情報処理装置10は、制御部20、操作受付部22、出力制御部24、通信部26、及び記憶部28を有する構成である。
【0022】
図3の記憶部28は、プログラム40、キャラクタ情報42、及び確率テーブル44を記憶する。プログラム40は後述するようなゲームに関する処理を情報処理装置10に実行させる。キャラクタ情報は対戦型ゲームで対戦させるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタに関する情報である。
【0023】
例えばキャラクタ情報は、ゲーム画面にプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタを表示する為の画像データ、対戦に必要なプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの能力情報などが含まれる。能力情報は、例えばプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタのヒットポイントの情報、命中率の情報、回避率の情報、使用可能な技の情報などが含まれる。
【0024】
確率テーブル44は、例えばプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動が成功する確率(成功率)について、後述するように表示用の成功率と処理用の成功率とを対応付けて記憶している。また、確率テーブル44は、例えばプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動が失敗する確率(失敗率)について、表示用の失敗率と処理用の失敗率とを対応付けて記憶していてもよい。成功率又は失敗率はゲーム画面に表示する確率の一例である。例えば成功率は、攻撃が命中する確率、攻撃を回避する確率、又は攻撃が発動する確率などである。失敗率は、攻撃が命中しない確率、攻撃を回避できない確率、又は攻撃が発動しない確率などである。なお、成功率は、アイテム合成が成功する確率、ステータス強化が成功する確率、又は追加スキルが発動する確率などであってもよい。失敗率は、アイテム合成が失敗する確率、ステータス強化が失敗する確率、又は追加スキルが発動しない確率などであってもよい。記憶部28は、記憶装置102により実現されてもよいし、通信部26により通信可能に接続された記憶装置により実現されてもよい。
【0025】
制御部20は情報処理装置10の全体の制御を行う。制御部20はCPU100がプログラム40に記載された処理を実行することにより実現される。制御部20は、ゲーム制御部50、画面生成部52、及び実行制御部54を有する構成である。
【0026】
ゲーム制御部50は、ゲームに関する全体の制御を行う。画面生成部52はゲーム画面を生成する。画面生成部52が生成するゲーム画面には、プレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動の表示用の成功率又は失敗率が表示される。例えば画面生成部52は、プレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動として選択が可能な技の表示用の成功率又は失敗率が表示されるようにゲーム画面を生成する。画面生成部52が生成するゲーム画面は仮想のゲーム空間を表現するものである。仮想のゲーム空間は二次元空間であっても三次元空間であってもよい。
【0027】
実行制御部54はプレイヤキャラクタの行動の表示用の成功率又は失敗率を補正した処理用の成功率又は失敗率でゲーム処理を実行する。ゲーム処理は、例えばゲーム内のプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタに攻撃又は回避などの行動を行わせる処理である。例えば実行制御部54は選択されたプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動の表示用の成功率又は失敗率でなく、その表示用の成功率又は失敗率に対応付いた処理用の確率でプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を行う。
【0028】
操作受付部22は入力装置106に対するプレイヤの各種操作を受け付ける。出力制御部24は制御部20の制御に従って各種のゲーム画面及びゲーム音を出力装置108に出力する。
【0029】
操作受付部22はCPU100がプログラム40に従って入力装置106を制御することにより実現される。また、出力制御部24は、CPU100がプログラム40に従って出力装置108を制御することにより実現される。入力装置106に対するプレイヤの各種操作とは、CPU100に処理を実行させるため、プレイヤが操作受付部22を操る操作をいう。出力制御部24は、制御部20の制御に従い、各種ゲーム画面及びゲーム音の出力を行う。通信部26は、ネットワーク18等を介して通信する。通信部26はCPU100がプログラム40を実行し、通信装置104を制御することにより実現される。
【0030】
まず、プレイヤキャラクタの行動の表示用の成功率を補正した処理用の成功率でゲーム処理を実行する例について説明する。
【0031】
図4は確率テーブルの一例の構成図である。
図4(A)に示すように、確率テーブルは表示用の成功率、補正値、及び処理用の成功率を項目として有する。表示用の成功率はゲーム画面に表示する成功率であって、プレイヤに認識させる成功率となる。補正値は表示用の成功率を補正する為の値である。処理用の成功率は補正値により表示用の成功率を補正した成功率であって、ゲーム処理で利用する成功率となる。例えば確率テーブルは「1%」刻みの表示用の成功率と対応付けて、101個の表示用の成功率を処理用の成功率と対応付けて記憶する。なお、
図4(A)の確率テーブルは、補正値を省略した構成であってもよいし、処理用の成功率を省略し、表示用の成功率及び補正値から処理用の成功率を算出する構成であってもよい。
【0032】
図4(B)は表示用の成功率と処理用の成功率との関係を示している。
図4(B)の点線は表示用の成功率を示す。
図4(B)の実線は処理用の成功率を示す。
図4(B)に実線で示した処理用の成功率は、
図4(B)に点線で示した表示用の成功率を補正値で補正した値となる。
【0033】
図4(B)に示したように、処理用の成功率は表示用の成功率の少なくとも一部を補正値によって上昇させるように補正されている。また、
図4(B)に示したように、処理用の成功率は所定値よりも低い表示用の成功率を、そのまま(補正値が「0」)で利用している。
【0034】
図4(B)に示した表示用の成功率と処理用の成功率とは、以下のような問題点を解決するように設定されている。プレイヤはゲーム画面に表示される成功率により、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選結果を予想する。例えばプレイヤは表示用の成功率が高ければ、抽選結果に対する期待が高くなる。このような場合に、確率の偏りにより抽選結果がプレイヤにとって不利となると、プレイヤが感じるストレスが大きくなる。
【0035】
そこで、本実施形態では抽選結果に対するプレイヤの期待が大きい表示用の成功率に対して補正値を上乗せした処理用の成功率で、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を行うことで、プレイヤが感じるストレスを抑制する。
【0036】
また、プレイヤは表示用の成功率が低ければ、抽選結果に対する期待が低くなる。このような場合、プレイヤは抽選結果がプレイヤにとって不利となる可能性が高いことを覚悟しているため、確率の偏りにより抽選結果がプレイヤによって不利となっても、プレイヤが感じるストレスが小さくなる。
【0037】
そこで、本実施形態では所定値よりも成功率が低く抽選結果に対するプレイヤの期待が小さい表示用の成功率について、補正値を上乗せしていない処理用の成功率で、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を行う。なお、補正値を上乗せするか否かを判定する為の所定値は、抽選結果に対するプレイヤの期待を考慮して決定すればよい。
【0038】
このように、本実施形態では表示用の成功率に対して一律に補正値を上乗せした処理用の成功率とせず、抽選結果に対するプレイヤの期待を考慮して、補正値を上乗せすべき少なくとも一部の処理用の成功率を上昇させている。例えば補正値は、表示用の成功率「100%~80%」に対応付いた処理用の成功率が「100%~90%」程度となるように設定する。また、補正値は表示用の成功率「80%~60%」に対応付いた処理用の成功率が「90%~70%」程度となるように設定する。また、補正値は表示用の成功率「60%~40%」に対応付いた処理用の成功率が「70%~50%」程度となるように設定する。なお、補正値は表示用の成功率「25%以下」に対応付いた処理用の成功率が表示用の成功率から補正されないように設定する。
【0039】
本実施形態では例えば表示用の成功率が「80%」場合、プレイヤが抽選の結果が成功であることを大きく期待するため、処理用の成功率を「90%」程度に補正できる。表示用の成功率が「25%以下」場合、プレイヤが抽選の結果が成功であることをあまり期待していないと考えられるため、処理用の成功率を補正しない。
【0040】
また、
図4の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、例えばプレイヤキャラクタとノンプレイヤキャラクタとが対戦する対戦型ゲームにおいて、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を補正した処理用の成功率で行い、ノンプレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を補正していない処理用の成功率(表示用の成功率)で行ってもよい。
【0041】
また、
図4の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、例えばプレイヤキャラクタとプレイヤキャラクタとが対戦する対戦型ゲームにおいて、両方のプレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を補正していない処理用の成功率(表示用の成功率)で行うようにしてもよいし、両方のプレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を、補正した処理用の成功率で行うようにしてもよい。
【0042】
[処理]
以下、本実施形態に係る情報処理システムの処理について説明する。ここでは、
図5に示すようなゲーム画面において、プレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタを表示して対戦させる対戦型ゲームの例を説明する。
【0043】
図5は本実施形態に係るゲーム画面の一例のイメージ図である。ゲーム画面1000はプレイヤキャラクタ1002、ノンプレイヤキャラクタ1004、プレイヤキャラクタ1002の行動選択欄1006、ノンプレイヤキャラクタ1004の行動選択欄1008を表示する。また、ゲーム画面1000はプレイヤキャラクタ1002の表示用の成功率1010、ノンプレイヤキャラクタ1004の表示用の成功率1012を表示する。
【0044】
プレイヤはプレイヤキャラクタ1002に行わせたい行動を行動選択欄1006から選択できる。プレイヤキャラクタ1002の表示用の成功率1010は、行動選択欄1006において選択中の行動の表示用の成功率である。プレイヤはプレイヤキャラクタ1002の表示用の成功率1010を確認しながら、プレイヤキャラクタ1002に行わせたい行動を行動選択欄1006から選択できる。
【0045】
なお、表示用の成功率は、行動選択欄1006から選択中の行動から決定するようにしてもよいし、プレイヤキャラクタ1002及びノンプレイヤキャラクタ1004の能力情報などを加味して決定するようにしてもよい。
【0046】
コンピュータはノンプレイヤキャラクタ1004に行わせたい行動を行動選択欄1008から選択できる。ノンプレイヤキャラクタ1004の表示用の成功率1012は、行動選択欄1008において選択中の行動の表示用の成功率である。表示用の成功率は、行動選択欄1008から選択中の行動から決定するようにしてもよいし、プレイヤキャラクタ1002及びノンプレイヤキャラクタ1004の能力情報などを加味して決定するようにしてもよい。
【0047】
情報処理装置10は、例えば
図6に示すような手順で、本実施形態に係る確率補正方法の処理を実行する。
図6は本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【0048】
ステップS100において、情報処理装置10は例えば
図5のゲーム画面1000の生成に必要なキャラクタ情報42などの情報を記憶部28から読み出し、ゲーム画面1000の画像データを生成する。ステップS102において、情報処理装置10はステップS100で生成した画像データに従って表示制御を行い、出力装置108にゲーム画面1000を表示させる。
【0049】
プレイヤはゲーム画面1000に表示された表示用の成功率1010を確認することにより、行動選択欄1006において選択中の行動が抽選により行われる可能性を考慮しながら、プレイヤキャラクタ1002に行わせたい行動を指定できる。なお、ゲーム画面1000がプレイヤから受け付ける操作は、成功率を利用する操作以外も含まれる。
【0050】
ステップS104において、情報処理装置10はプレイヤから操作を受け付けたか否かを判定する。プレイヤから操作を受け付けていなければ、情報処理装置10はステップS114の処理に進む。また、プレイヤから操作を受け付けていれば、情報処理装置10はステップS106の処理に進む。
【0051】
ステップS106において、情報処理装置10はプレイヤから受け付けた操作が、成功率を利用する操作か否かを判定する。例えばプレイヤが行動選択欄1006からプレイヤキャラクタ1002に行わせたい行動を指定する操作は、成功率を利用する操作の一例である。成功率を利用する操作でなければ、情報処理装置10はステップS108の処理に進む。ステップS108において、情報処理装置10は成功率を利用しない操作に応じた処理を実行し、ステップS114の処理に進む。
【0052】
一方、ステップS106において成功率を利用する操作であると判定すると、情報処理装置10はステップS110の処理に進む。ステップS110において、情報処理装置10はプレイヤが行動選択欄1006から指定した行動の表示用の成功率1010に対応付いた処理用の成功率を確率テーブル44から取得する。
【0053】
例えば
図5のゲーム画面1000であれば、情報処理装置10は表示用の成功率「90%」を上昇させた例えば「97%」の処理用の成功率を取得する。ステップS110で取得する処理用の成功率は、抽選結果に対するプレイヤの期待が高い範囲において表示用の成功率1010よりも高くなるように補正されている。
【0054】
ステップS112に進み、情報処理装置10はゲーム画面1000においてプレイヤが認識した表示用の成功率1010でなく、表示用の成功率1010と対応付いた処理用の成功率を利用して、プレイヤの操作に応じた処理を実行する。例えば情報処理装置10はプレイヤが行動選択欄1006から指定した行動の可否の抽選を、表示用の成功率1010でなく、表示用の成功率1010に対応付いた処理用の成功率を利用して行う。
【0055】
このように、本実施形態では抽選結果に対するプレイヤの期待が高い範囲において表示用の成功率1010よりも高くなるように補正されている処理用の成功率を用いることができる。したがって、プレイヤはゲーム画面1000において確認した表示用の成功率1010よりも有利な確率で抽選を行うことができ、抽選結果に対してプレイヤが感じるストレスを抑制できる。
【0056】
ステップS114に進み、情報処理装置10はゲームが終了か判定する。ゲームが終了でなければ情報処理装置10はステップS100の処理に戻り、
図6のフローチャートの処理を続ける。ゲームが終了であれば情報処理装置10は
図6のフローチャートの処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、確率をゲーム画面に表示するゲームにおいて、確率の偏りによるプレイヤのストレスを抑制する新たな仕組みを提供できる。
【0058】
[他の実施形態]
図4の確率テーブルは一例であって、例えば
図7に示すように、行動の種類ごとに表示用の成功率と処理用の成功率とを対応付ける構成であってもよい。
図7に示した確率テーブルによれば、プレイヤからの操作を受け付ける行動の種類ごとに、
図4(B)に示したような表示用の成功率と処理用の成功率との関係を記憶できる。
【0059】
また、
図4又は
図7の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、プレイヤのレベルによって行ったり行わなかったりしてもよい。例えば
図4又は
図7の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、初心者のプレイヤに対して行い、ベテランのプレイヤに対して行わないようにしてもよい。
【0060】
また、
図4又は
図7の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、ゲームの難易度などによって行ったり行わなかったりしてもよい。さらに、
図4又は
図7の確率テーブルを用いた補正値の上乗せは、ゲームの序盤に行わず、ゲームの終盤に行うなど、ゲーム内の経過時間によって行ったり行わなかったりしてもよい。
【0061】
さらに、
図4又は
図7の確率テーブルは一例であって、補正値によって失敗率を減少させる確率テーブルであってもよい。失敗率を減少させる確率テーブルの場合は、表示用の失敗率及び処理用の失敗率を項目として有する。表示用の失敗率はゲーム画面に表示する失敗率であって、プレイヤに認識させる失敗率となる。処理用の失敗率は補正値により表示用の失敗率を補正した失敗率であって、ゲーム処理で利用する失敗率となる。
【0062】
処理用の失敗率は表示用の失敗率の少なくとも一部を補正値によって減少させるように補正されている。また、処理用の失敗率は所定値よりも高い表示用の失敗率を、そのまま利用する。
【0063】
プレイヤはゲーム画面に表示される失敗率により、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選結果を予想する。例えばプレイヤは表示用の失敗率が低ければ、抽選結果に対する期待が高くなる。このような場合に、確率の偏りにより抽選結果がプレイヤにとって不利となると、プレイヤが感じるストレスが大きくなる。
【0064】
そこで、本実施形態では抽選結果に対するプレイヤの期待が大きい表示用の失敗率を補正値により減少させた処理用の失敗率で、プレイヤキャラクタの行動の可否の抽選を行うことで、プレイヤが感じるストレスを抑制する。
【0065】
このように、本実施形態では表示用の失敗率に対して一律に補正値を減少した処理用の失敗率とせず、抽選結果に対するプレイヤの期待を考慮して、補正値を減少すべき少なくとも一部の処理用の失敗率を減少させている。例えば補正値は、表示用の失敗率「0%~20%」に対応付いた処理用の失敗率が「0%~10%」程度となるように設定する。また、補正値は表示用の失敗率「20%~40%」に対応付いた処理用の失敗率が「10%~30%」程度となるように設定する。また、補正値は表示用の失敗率「40%~60%」に対応付いた処理用の失敗率が「30%~50%」程度となるように設定する。なお、補正値は表示用の失敗率「75%以上」に対応付いた処理用の失敗率が表示用の失敗率から補正されないように設定する。
【0066】
開示した一実施形態の情報処理装置10、サーバ装置14は例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。また、上記した複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 情報処理装置
14 サーバ装置
18 ネットワーク
20 制御部
44 確率テーブル
50 ゲーム制御部
52 画面生成部
54 実行制御部
1000 ゲーム画面
1002 プレイヤキャラクタ
1004 ノンプレイヤキャラクタ
1010、1012 表示用の成功率