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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090918
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240627BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240627BHJP
【FI】
A01B69/00 303V
A01B69/00 301
A01B69/00 303M
G05D1/02 W
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207105
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】山田 信芳
(72)【発明者】
【氏名】田井 義浩
(72)【発明者】
【氏名】矢守 愛史
(72)【発明者】
【氏名】池田 一生
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB06
2B043DC03
2B043EE02
2B043EE05
2B043EE06
5H301AA03
5H301BB01
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG14
5H301GG16
5H301HH01
5H301HH11
5H301HH18
5H301LL01
5H301LL08
(57)【要約】
【課題】 従来の田植え機などのような作業車両については、車体の自動走行が必ずしも容易ではない。
【解決手段】直線経路や、直進経路から直線経路への移行のために車体を旋回させる自動運転制御を行うコントローラーを備え、前記経路において走行が不可能であると判断した場合には、別の経路へ変更し、前記コントローラーは、隣接する直線経路へ前記旋回させられるタイミングで、前記隣接する直線経路への旋回が可能であるか不可能であるかを判断し、前記隣接する直線経路への前記旋回が不可能であると判断した場合には、前記隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回を行い、別の直進経路へ旋回することを報知する報知具を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線経路や、直進経路から直線経路への移行のために車体(100)を旋回させる自動運転制御を行うコントローラー(500)を備え、
前記経路において走行が不可能であると判断した場合には、別の経路へ変更することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記コントローラー(500)は、隣接する直線経路へ前記旋回させられるタイミングで、前記隣接する直線経路への旋回が可能であるか不可能であるかを判断し、前記隣接する直線経路への前記旋回が不可能であると判断した場合には、前記隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回を行い、
別の直進経路へ旋回することを報知する報知具を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記報知具は遠隔操作具であり、経路に沿った自動運転の開始・停止と、前後進の操作が行え、
経路から一定距離ズレると自動運転走行経路の異常として前記報知具が報知することを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
経路に沿った自動運転の操舵に対して負荷を検出すると、ステアリングを手動操作したとして前記報知具が報知することを特徴とする請求項2または3に記載の作業車両。
作業車両。
【請求項5】
経路に沿った自動運転中に障害物を検出して停止した場合、報知具が報知することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車体へ昇降可能に取付けられた植付け装置と、ステアリングハンドルを駆動するステアリングモーターと、ステアリングモーターにステアリングハンドルを駆動させることにより、車体の直進制御を行う制御装置と、を有する田植え機などのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-24541号公報
【特許文献2】特開2002-335720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような作業車両については、車体の自動走行が必ずしも容易ではない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、車体の自動走行制御を行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、直線経路や、直進経路から直線経路への移行のために車体(100)を旋回させる自動運転制御を行うコントローラー(500)を備え、
前記経路において走行が不可能であると判断した場合には、別の経路へ変更することを特徴とする作業車両である。
【0007】
第2の本発明は、前記コントローラー(500)は、隣接する直線経路へ前記旋回させられるタイミングで、前記隣接する直線経路への旋回が可能であるか不可能であるかを判断し、前記隣接する直線経路への前記旋回が不可能であると判断した場合には、前記隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回を行い、
別の直進経路へ旋回することを報知する報知具を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0008】
第3の本発明は、前記報知具は遠隔操作具であり、経路に沿った自動運転の開始・停止と、前後進の操作が行え、
経路から一定距離ズレると自動運転走行経路の異常として前記報知具が報知することを特徴とする請求項2に記載の作業車両である。
【0009】
第4の本発明は、経路に沿った自動運転の操舵に対して負荷を検出すると、ステアリングを手動操作したとして前記報知具が報知することを特徴とする請求項2または3に記載の作業車両である。
【0010】
第5の本発明は、経路に沿った自動運転中に障害物を検出して停止した場合、報知具が報知することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明により、車体の自動走行を行うことが可能である。
【0012】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、車体の旋回制御を行うことが可能である。
【0013】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、利便性の高い車体の自動運転を行うことが可能である。
【0014】
第4の本発明により、第2または第3の本発明の効果に加えて、利便性の高い車体の自動運転を行うことが可能である。
【0015】
第5の本発明により、第1または第2の本発明の効果に加えて、利便性の高い車体の自動運転を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
図2】本発明における実施の形態の田植え機のブロック図
図3】本発明における実施の形態の田植え機の旋回制御の説明図(その一)
図4】本発明における実施の形態の田植え機の旋回制御の説明図(その二)
図5】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図
図6】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図(その一)
図7】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図(その二)
図8】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図(その三)
図9】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機枕地工程の説明図(その一)
図10】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機枕地工程の説明図(その二)
図11】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機枕地工程の説明図(その三)
図12】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機エラー表示の説明図
図13】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機舵角センサーセット方法の説明図
図14】(a)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動作業開始位置設定の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動作業開始位置設定の説明図(その二)
図15】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機アシスト機能の説明図(その一)
図16】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機アシスト機能の説明図(その二)
図17】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機リモートコントローラー接続状態アイコンの説明図
図18】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機遠隔操作状態表示の説明図
図19】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機作業エリア取得状態表示の説明図
図20】本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動走行画面レイアウトの説明図
図21】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機苗取り量アイコンの説明図
図22】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機横送り回数アイコンの説明図
図23】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機自動走行アイコンの説明図
図24】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機植付け深さアイコンの説明図
図25】本発明における実施の形態の田植え機の田植え機油圧感度アイコンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0019】
はじめに、図1および2を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0020】
ここに、図1は本発明における実施の形態の田植え機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の田植え機のブロック図である。
【0021】
本実施の形態の田植え機は、複数の平行な直線経路に沿って走行する田植え機であって、本発明における作業車両の例である。
【0022】
田植え機の動作について説明しながら、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0023】
本実施の形態の田植え機は、操縦装置240における手動操縦操作または自動操縦操作に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で走行しながら、整地フロート261を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け装置230により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0024】
走行装置220ならびに苗植付け装置230、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置300および副変速装置400などを介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0025】
つぎに、図1から4を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0026】
ここに、図3および4は、本発明における実施の形態の田植え機の旋回制御の説明図(その一および二)である。
【0027】
コントローラー500は、直線経路から直線経路への移行のために車体100を旋回させる旋回制御を行う。
【0028】
スムーズな植付け経路への進入を実現する旋回制御がつぎの通り行われるので、圃場の荒れが発生しにくい。
【0029】
コントローラー500は、隣接する直線経路へ旋回させられる車体100の方向に基づく所定のタイミングで、隣接する直線経路への旋回が可能であるか不可能であるかを判断し、隣接する直線経路への旋回が不可能であると判断した場合には、(A)後進を行った後に隣接する直線経路への旋回を行ってもよいし、(B)隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回を行ってもよい。
【0030】
車体100の方向は、たとえば、GNSSの位置情報を利用して検出される。(A)後進が行われる具体的な後進距離の決定、および(B)スキップされる直線経路のつぎの直線経路、またはさらに遠い直線経路のような別の直線経路の具体的な選択も、たとえば、GNSSの位置情報を利用して車体100と直線経路との間の位置関係などに基づいて行われる。スキップが繰返されて走行が行われない直線経路が飛び飛びに発生する場合などには、それらの直線経路の走行は、たとえば、最後にまとめて行われてもよいことは言うまでもない。
【0031】
所定のタイミングは、隣接する直線経路へ旋回させられる車体100の方向が直線経路の方向と直交する方向になったタイミングであることが望ましい。
【0032】
所定のタイミングは隣接する直線経路へ旋回させられる車体100の方向が直線経路の方向と直交する方向になったタイミングでない態様も、考えられる。しかしながら、このような態様においては、直線経路の方向、または直線経路の方向と直交する方向に関する、直線経路の進入入り口までの距離の正確な認識などが車体100の方向のズレに起因して困難となり、旋回制御を確実に行ないにくいことがある。
【0033】
車体100は、所定のタイミングで停止していることが望ましい。
【0034】
車体100は所定のタイミングで停止していない態様も、考えられる。しかしながら、このような態様においては、直線経路の方向、または直線経路の方向と直交する方向に関する、直線経路の進入入り口までの距離の正確な認識などが車体100の動きに起因して困難となり、旋回制御を確実に行ないにくいことがある。
【0035】
図3および4を主として参照しながら、より具体的に説明するとつぎの通りである。
【0036】
コントローラー500は、隣接する直線経路S1へ旋回させられる車体100の方向に基づく所定のタイミングで、隣接する直線経路S1への旋回が可能であるか不可能であるかを判断する。
【0037】
もちろん、コントローラー500は、隣接する直線経路S1への旋回が可能であると判断した場合には、隣接する直線経路S1への旋回を行う。
【0038】
(A)図3に示された態様においては、コントローラー500は、隣接する直線経路S1への旋回が不可能であると判断した場合には、後進を行った後に隣接する直線経路S1への旋回を行う。
【0039】
典型的には、直進工程の終了にともない開始されて一時的に停止された旋回が再開された後に、直進工程を基準として90度の旋回が完了したとき、矢印で示された向きに沿った走行が再び一時的に停止され、つぎの経路への進入が不可能である場合には、つぎの経路への進入が可能になるまで直進による後進が行われ、その後に旋回が再開される制御を行うロボット田植え機のようなシステムが、考えられる。
【0040】
(B)図4に示された態様においては、コントローラー500は、隣接する直線経路S1への旋回が不可能であると判断した場合には、隣接する直線経路S1をスキップして別の直線経路S2への旋回を行う。
【0041】
典型的には、直進工程の終了にともない開始されて一時的に停止された旋回が再開された後に、直進工程を基準として90度の旋回が完了したとき、矢印で示された向きに沿った走行が再び一時的に停止され、つぎの経路への進入が不可能である場合には、つぎの経路である第N番目の経路はスキップされて第(N+1)番目の経路への進入が行われ、その後に、第N番目の経路の植付け走行、および第(N+2)番目の経路の植付け走行がこの順に行われるように走行経路を生成するロボット田植え機のようなシステムが、考えられる。
【0042】
つぎの経路である第N番目の経路はスキップされる、上述された旋回制御は、望ましくは、二回連続して行われない。これは、旋回制御は二回連続して行われると、植付け走行が二回行われる経路が発生するからである。
【0043】
コントローラー500は、隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回を行い、別の直線経路に沿った走行の後に、スキップされた直線経路への旋回を行うとき、スキップされた直線経路へ旋回させられる車体100の方向に基づく所定のタイミングで、スキップされた直線経路への旋回が可能であるか不可能であるかを判断し、(B1)スキップされた直線経路への旋回が可能であると判断した場合には、スキップされた直線経路への旋回を行い、(B2)スキップされた直線経路への旋回が不可能であると判断した場合には、後進を行った後にスキップされた直線経路への旋回を行う。
【0044】
このような所定のタイミングは、スキップされた直線経路へ旋回させられる車体100の方向が直線経路の方向と直交する方向になったタイミングであることが望ましい。
【0045】
車体100は、このような所定のタイミングで停止していることが望ましい。
【0046】
図4を主として参照しながら、より具体的に説明するとつぎの通りである。
【0047】
コントローラー500は、隣接する直線経路S1をスキップして別の直線経路S2への旋回を行い、別の直線経路S2に沿った走行の後に、スキップされた直線経路S1への旋回を行うとき、スキップされた直線経路S1へ旋回させられる車体100の方向に基づく所定のタイミングで、スキップされた直線経路S1への旋回が可能であるか不可能であるかを判断する。
【0048】
(B1)コントローラー500は、スキップされた直線経路S1への旋回が可能であると判断した場合には、スキップされた直線経路S1への旋回を行う。
【0049】
したがって、スキップされた直線経路への旋回が可能である場合には、そのままスキップされた直線経路への旋回を行うことができる。
【0050】
旋回時の走破性が低下すると、デフロックまたは旋回内側後輪の駆動などを利用して走破性を向上させて旋回を行う乗用型田植え機においては、圃場の荒れが発生しやすい。そして、デフロックまたは旋回内側後輪の駆動などが利用されても、スタックの場合には、作業者の判断で車体100をスタック状態から脱出させる必要があることがしばしばである。したがって、ロボット田植え機においても、スリップまたはスタックなどに対処するための旋回時の高度な制御が必要である。
【0051】
コントローラー500は、車体100がスリップまたはスタックにより次工程へ旋回することができるか否かを判断し、車体100が次工程へ旋回することができないと判断すると、一工程スキップにより次々工程への旋回動作を行う。次々工程の植付け作業が終了した後に、一工程スキップにより発生した植付け未作業工程へ向けての戻りの旋回動作が行われ、植付け未作業工程の植付け作業が終了した後に、植付け済作業工程のスキップをともなう通常の旋回動作が行われることは、言うまでもない。
【0052】
旋回時のスリップまたはスタックによる作業中断、および無理な旋回動作に起因する圃場における土壌の荒れが抑制されるように、旋回中の複雑な駆動制御およびステアリング制御は不要であるので、簡素な制御で植付け作業を継続することができるロボット田植え機が実現される。
【0053】
(B2)コントローラー500は、スキップされた直線経路S1への旋回が不可能であると判断した場合には、後進を行った後にスキップされた直線経路S1への旋回を行う。
【0054】
したがって、スキップされた直線経路への旋回が不可能である場合にも、後進を行った
後にスキップされた直線経路への旋回を行うことができる。
【0055】
後進を行った後に隣接する直線経路への旋回が行われるモードと、隣接する直線経路をスキップして別の直線経路への旋回が行われるモードと、の間のモード切替え、およびこれらの旋回制御動作のオンオフなどは、操作パネルのダイヤル設定操作、液晶モニター設定操作、またはリモートコントローラー設定操作により操作可能であってもよい。また、リモートコントローラーへスキップして別の直線経路への旋回が行われることを報知してもよい。経路において走行が不可能であると判断した場合には、別の経路へ変更する旨をリモートコントローラーへ報知してもよい。
【0056】
つぎに、図1から4を主として参照しながら、本実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0057】
<ロボット田植え機自動調整機能>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図である図5も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能について説明する。
【0058】
測位衛星の信号に基づいて車体位置を検出する車体位置検出装置を有する乗用田植え機は、植付け部が上昇させられて植付け作業が行われていない状態での旋回が行われた旋回エリアを記録する旋回エリア記録装置と、旋回跡が圃場面に形成されている、旋回エリア記録装置で記録された旋回エリアでの植付け作業が行われるとき、油圧感度を自動的に鈍化させる調整とともにローター高さを小さくする自動調整装置を有してもよい。植付け性能を向上させるためのこのような自動調整エリアは、植付けエリア取得のときに設定されるのではなく、自動走行のときに作成されてもよい。
【0059】
<ロボット田植え機走行経路逸脱解消機能>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能の説明図(その一から三)である図6から8も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動調整機能について説明する。
【0060】
ロボット田植え機の旋回において、車輪が空転して田植え機が動けなくなった場合には、車速を減少させて操舵角を緩和する制御で脱出を行うとともに、走行経路逸脱が発生していれば、後進による軌道修正、または一工程スキップによる対処が行われることにより、車輪の空転にともなうスリップが自動運転において発生しても、田植え機が動けないスリップ状態を解消することができる機能が、考えられる(図6参照)。
【0061】
車輪が空転して田植え機が動けなくなるこのようなスリップ事象は、GNSS位置情報、植付け走行経路情報、前輪パルス情報、または後輪パルス情報などから判断される(図7参照)。
【0062】
田植え機が動けなくなっていることが検出されたとき、電動デフロックが利用されてもよいが、スリップ状態を電動デフロック作動により解消することができなければ、車速を減少させて操舵角を緩和する制御で脱出を行う機能が、考えられる(図8参照)。
【0063】
車速を減少させて操舵角を緩和するこのような制御の後に、スリップ状態の解消がGNSS位置情報、植付け走行経路情報、前輪パルス情報、または後輪パルス情報などから判断され、操舵角の緩和が停止され、旋回が再開されてもよい。
【0064】
<ロボット田植え機枕地工程>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機枕地工程の説明図(その一から三)である図9から11も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機枕地工程について説明する。
【0065】
資材が補給される圃場辺の対辺である圃場辺Eaの近傍においては、圃場辺Eaに平行な枕地植付けが手植えにより最終的に行われる、ロボット田植え機の植付け経路生成システムが、考えられる。これは、たとえば、ティーチング工程および後の自動運転の内周植付け行程の2つの工程において圃場辺Eaに平行な植付けが行われると、風通しが悪くなって病気の発生が惹起されやすいからである。より具体的には、風通しが良くなって病気の発生が惹起されにくくなるように稼働する、つぎのような自動植付け走行のための植付け経路生成システムが、考えられる。
【0066】
圃場の外周で植付けを行いながらティーチング作業を行うことができるロボット田植え機において、圃場辺Eaに平行な枕地植付けは行われないように、ティーチング工程が行われる(図9参照)。
【0067】
このようなティーチング工程の後の自動運転の往復植付け行程においては、旋回が圃場辺Eaの近傍の枕地スペースを利用することにより行われ、往復植付け行程および条合わせ工程の植付け経路に平行な圃場辺Ebの近傍における一工程に対応するスペースは、圃場辺Eaの近傍における一工程に対応する枕地スペースとともに、往復植付け行程が終わったとき、植付けなしの状態で残る(図10参照)。
【0068】
往復植付け行程の後の内周植付け行程においては、圃場辺Ebの近傍における一工程に対応するスペースにおいては自動的な植付けが行われるが、植付けなしの状態で残っている圃場辺Eaの近傍においては、自動的な枕地植付けが行われてもよいが、望ましくは、自動的な枕地植付けなしに、風通しが良くなるように枕地植付けが手植えにより最終的に行われる(図11参照)。
【0069】
<ロボット田植え機エラー表示>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機エラー表示の説明図である図12も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機エラー表示について説明する。
【0070】
ロボット田植え機において、液晶モニター、積層灯、タブレット、ロボット田植え機操作用リモートコントローラー、または自動運転モニターなどのようなガジェットの警告で、センサーなどにより検出された田植え機の異常を表示する機能が、考えられる。無人走行において発生したエラーは確認しにくいことがあるが、畦からでも田植え機の異常を確認することができる。
【0071】
<ロボット田植え機舵角センサーセット方法>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機舵角センサーセット方法の説明図である図13も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機舵角センサーセット方法について説明する。
【0072】
ロボット田植え機において、不適正な舵角センサーセットにともなうミスが防止されるように、舵角センサーセットがジョグダイヤルなどを利用するボタン操作で行われる構成が、考えられる。これは、舵角センサーセットがキーオン時に自動的に行われる構成においては、ハンドル状態が直進状態ではないにもかかわらずキーオンが行われると、正常な自動運転がしばしば実現されないからである。
【0073】
具体的には、田植え機のキーオンまたはエンジン始動が行われたとき、ハンドルがまっすぐである状態を実現させてその後にジョグダイヤルを押す操作をユーザーに促す、液晶モニターなどにおけるポップアップ表示またはアナウンスが行われる。
【0074】
ジョグダイヤルがこのような状態において押されると、舵角センサーセットはハンドルがまっすぐである状態に対応する舵角センサー位置で適正に行われる。
【0075】
舵角センサーの状態を確認する機能が、考えられる。
【0076】
具体的には、液晶モニターのモード設定で舵角センサーの状態を確認するモードが選択されると、舵角センサーが認識している、ハンドルがまっすぐである状態が実現されように、操舵モーターが動作する。したがって、操舵モーターが動作した後に、ハンドルがまっすぐであれば、舵角センサーセットは適正に行われていると理解される。
【0077】
方位角認識動作が行われているとき、舵角センサーセットが行われる構成が、考えられる。
【0078】
具体的には、エンジンがオンであるとき、まっすぐに前進または後進を行う操作をユーザーに促す、液晶モニターなどにおけるポップアップ表示またはアナウンスが行われる。
【0079】
前進または後進を行われていることは、前輪回転センサーまたは後輪回転センサーのパルス値を利用して認識されてもよいし、GNSSまたはRTKの位置情報などを利用して認識されてもよい。
【0080】
<ロボット田植え機自動作業開始位置設定>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動作業開始位置設定の説明図(その一および二)である図14(a)および14(b)も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動作業開始位置設定について説明する。
【0081】
ロボット田植え機において、ティーチング作業開始位置側またはティーチング作業完了側をティーチング作業完了後の自動作業開始位置としてジョグダイヤルで自由に変更するための液晶モニター表示により、自動作業開始位置選択を行うことができる機能が、考えられる。ティーチング作業の手順で自動作業の開始位置は、自動的に決定されないで、後から変更可能であるので、作業経路は後から変更可能であり、ティーチングの失敗への対処は容易であり、作業の効率性が向上される。
【0082】
自動運転開始位置を設定する画面が液晶モニターに表示され、ジョグダイヤルを回すことにより、自動作業開始位置としてティーチング作業開始位置側またはティーチング作業完了側を選択することができる機能が実現される。
【0083】
たとえば、ジョグダイヤルを左に回すと自動作業がティーチング作業開始位置側から開始され、ジョグダイヤルを右に回すと自動作業がティーチング作業完了位置側から開始される。
【0084】
<ロボット田植え機アシスト機能>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機アシスト機能の説明図(その一および二)である図15および16も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機アシスト機能について説明する。
【0085】
ロボット田植え機において、往復工程で消費する苗の量を自動で計算する機能が、考えられる。一往復で消費する苗の量が把握可能であるので、補給回数を削減することができる。
【0086】
内周工程前に残りの苗の量に合わせて苗取り量を調整する機能が、考えられる。苗残りおよび苗不足が発生しにくいので、苗は効率的に利用される。
【0087】
残りの苗の量は、内周工程の前にモニターパネルに入力されてもよい(図15参照)。
【0088】
植付け幅の調整工程が開始されたタイミングをランプまたはブザーで報知する機能が、考えられる。いわゆる畦クラッチが突然にオフされたり、斜め方向における走行が行われたりするので、エラーが発生したように見えることがあるが、ユーザーの勘違いがランプまたはブザーでの報知により抑制され、自動運転の状況が理解しやすくなる。
【0089】
GNSS位置情報がロストされたた状態からの復帰するタイミングは、田植え機またはリモートコントローラーのブザー鳴動、またはリモートコントローラーの振動で報知されてもよい。GNSS位置情報の復帰タイミングが、理解しやすくなる。また、リモートコントローラーは、田植え機の自動運転の開始・停止と、前後進の操作が行える。
【0090】
畦の端ではない進入路が設定可能である経路設定機能が、考えられる。進入路はしばしば畦の端であるが、畦の端に進入路があることが経路作成の前提条件ではなくなるので、さまざまな圃場への柔軟な対処が実現される。
【0091】
進入路が畦の端ではないとき、たとえば、リモートコントローラー、液晶モニター、モニターパネルのボタン、またはモバイル端末の操作などを利用することにより、進入路の位置情報がそのような進入路から圃場への進入タイミングで認識可能であってもよい。また、経路から一定距離ズレると自動運転走行経路の異常としてリモートコントローラーに
報知してもよい。また、自動運転中にステアリングを手動操作した場合、経路に沿った自動運転の操舵に対して負荷が掛かったと認識し、リモートコントローラーに報告してもよい。
【0092】
自動運転モードでは、進入路の延長線上にある一工程とそれに隣接する一工程が残されるように、往復行程が行われてもよい(図16参照)。
【0093】
畦クラッチのオンオフが自動運転において行われたとき、田植え機側のブザーが鳴動されてもよいし、リモートコントローラーのランプ点滅パターンが変化させられてもよい。自動運転の状況が、理解しやすくなる。また、自動運転中に圃場の障害物を検知する障害物センサーを機体に設け、障害物を検出すると機体が停止し、機体が停止したことをリモートコントローラーに報知してもよい。
【0094】
自動運転におけるティーチングモードの第一工程経路に沿った植付けが行われているとき、田植え機側のブザーが鳴動されてもよいし、リモートコントローラーのランプ点滅パターンが変化させられてもよい。自動運転の状況が、理解しやすくなる。
【0095】
自動運転乗車モードおよび自動運転無人モードが、選択可能に実装されてもよい。たとえば、前後進切替わりに起因するショックは必ずしも小さくないので、ユーザーの乗車にともなう危険性が低減され、安全性が向上される。
【0096】
このような自動運転乗車モードおよび自動運転無人モードは、リモートコントローラー操作、液晶モニター操作、または田植え機モニターパネルボタン操作により選択可能であってもよい。
【0097】
<ロボット田植え機圃場管理機能>
GNSS受信機を有するロボット田植え機において、圃場における田植えが完了すると、圃場の水管理システムとの連動が行われ、水が圃場へ自動的に入れられる機能が、考えられる。田植え機が水管理システムと連動するので、田植え機の操作だけで水管理も行うことができ、省力化が実現される。
【0098】
直近で取得されたGNSS位置情報などに基づいて田植え機が圃場エリアの外に出たことが認識され、他の圃場エリアでの植付け動作が一定距離にわたって行われたとき、圃場の水管理システムに信号が発信されて水が圃場に入れられてもよい。植付け動作の認識は、植付けクラッチモーター周辺のセンサー、後輪回転センサー、GNSS位置情報、前輪回転センサーなどを利用して行われる。田植え機が圃場から出ていないにもかかわらず水が圃場へ入れられてしまう誤作動のような水管理システムの動作は、抑制される。
【0099】
直近で取得されたGNSS位置情報などに基づいて田植え機が圃場エリアの外に出たことが認識され、他の圃場エリアでのエリア取得が完了したとき、圃場の水管理システムに信号が発信されて水が圃場に入れられてもよい。たとえば、GNSS位置情報が取得された他の圃場エリアが直前の圃場エリアと重なる場合には、水が入れられなくてもよい。田植え機が圃場から出ていないにもかかわらず水が圃場へ入れられてしまう誤作動のような水管理システムの動作は、抑制される。
【0100】
直近で取得されたGNSS位置情報などに基づいて田植え機が圃場エリアの外に出たことが認識され、他の圃場エリアでの移動動作がセンターフロート接地状態で一定距離にわたって行われたとき、圃場の水管理システムに信号が発信されて水が圃場に入れられてもよい。センターフロート接地状態での移動動作の認識は、センターフロート周辺のセンサー、昇降リンク周辺のセンサー、後輪回転センサー、GNSS位置情報、前輪回転センサーなどを利用して行われる。田植え機が圃場から出ていないにもかかわらず水が圃場へ入れられてしまう誤作動のような水管理システムの動作は、抑制される。
【0101】
直近で取得されたGNSS位置情報などに基づいて田植え機が圃場エリアの外に出たことが認識され、他の圃場エリアでの移動動作がローター駆動状態で一定距離にわたって行われたとき、圃場の水管理システムに信号が発信されて水が圃場に入れられてもよい。ローター駆動状態での移動動作の認識は、ローターケース周辺のセンサー、昇降リンク周辺のセンサー、後輪回転センサー、GNSS位置情報、前輪回転センサーなどを利用して行われる。田植え機が圃場から出ていないにもかかわらず水が圃場へ入れられてしまう誤作動のような水管理システムの動作は、抑制される。
【0102】
ロボット田植え機の植付け作業において、内周工程から畦際で行われる最後の一工程への移行のとき、自動運転モードから手動運転モードへのモード切替えが行われるので、このようなモード切替えに応じて、圃場の水管理システムに信号が発信されて水が圃場に入れられてもよい。田植え機が圃場から出ていないにもかかわらず水が圃場へ入れられてしまう誤作動のような水管理システムの動作は、抑制される。
【0103】
植付け状態が苗タンクの上方に設けられた一台のカメラで認識され、欠株が発生した箇所はマップで表示される機能が、考えられる。8条の植付け状態は苗タンクの上方に設けられた一台のカメラで監視可能であるので、コストの低減が期待される。
【0104】
植付け状態が苗タンクの両端に設けられた二台のカメラで認識され、欠株が発生した箇所はマップで表示される機能が、考えられる。8条の植付け状態は苗タンクの両端に設けられた二台のカメラで監視され、監視範囲が狭い廉価なカメラが利用可能であるので、コストの低減が期待される。
【0105】
上述されたカメラで作成された欠株箇所のデータに基づいて、田植え機と協働して自動的に補植作業を行うためのドローンを利用することにより、省力化が実現される。
【0106】
<自律走行田植え機直進アシスト>
自律走行機能を有する田植え機において、マニュアル走行モードと自律走行モードとの間での切替えがスイッチなどの切替え手段により行われ、直進アシストを何れのモードでも利用することができる仕様が、考えられる。直進アシストがマニュアル走行モードでのみ有効に利用可能である仕様も考えられるが、ティーチング、畦寄せ、最終工程の枕地植えのようなマニュアル操作は自律走行モードの途中においても行われるので、自律走行モードへの移行にかかわらず、直進アシストを利用しながらマニュアル操作による直進走行を行うことができる仕様は利便性が高い。
【0107】
作業領域のティーチング時に取得された位置情報の一部を利用して、直進アシストの基準点であるA点およびB点が設定され、直進アシストが行われてもよい。ティーチング経路に沿った直進走行はしばしば理想的であるが、直進走行が行われるたびに基準点が取得される仕様においては、直進アシストの基準点とティーチング経路との間の連関性が直進アシスト時に得られない。ティーチング時に取得された位置情報の一部を利用して直進アシストを行うことにより、自動運転が行われる自律走行モードにおけるマニュアル走行においても、自動走行経路に沿った直進走行を容易に実現することができる。
【0108】
いわゆる走行経路情報を利用して、直進アシストの基準点であるA点およびB点が設定され、直進アシストが行われてもよい。
【0109】
旋回前の植付け経路である、直前の走行経路の情報を走行経路情報として利用して、直進アシストの基準点であるA点およびB点が設定され、直進アシストが行われてもよい。直前の走行経路の情報が利用されるので、直進アシストへの移行は容易であり、直進アシスト機能を基準点取得および基準点選択なしにオンすることができる。
【0110】
生成された自律走行直線経路の任意の二点が、直進アシストの基準点として選択されてもよい。自律走行モードの途中において直進アシストを利用しながらマニュアル走行を行う場合には、直進アシストの基準点を設定するための経路として植付けなしの余計な走行経路が必要である仕様も考えられるが、自律走行直線経路の任意の二点を直進アシストの基準点として選択することにより、マニュアル走行モードと自律走行モードとの間での切替えがスムーズに行われるのみならず、隣接植付け条間隔および直進性の精度が作業者の運転技術に起因してバラつきにくい、自律走行直線経路の植付け条に整合した精度の高い美的なマニュアル植付けが直進アシスト機能を利用して実現される。
【0111】
生成された走行予定経路および、植付けが実際に行われた経路である、実植付け経路が表示されるモニターのマップにおいて、直進アシストの基準点であるA点およびB点、およびこれらの基準点が両端である線分の内の少なくとも一方は、重畳的に表示されてもよい。自動走行経路と直進アシストの基準点との間の関係がマップ確認で理解しやすくなるので、特に、自律走行モードからマニュアル走行モードへの切替えが行われたとき、ユーザーの勘違いなどに起因する間違いなしに植付けを行うことができる。
【0112】
上述されたモニターのマップにおいて表示された自律走行のためのティーチング経路から一辺が選択され、選択された一辺が直進アシストの基準線として利用されてもよい。このような選択操作はマップ確認を利用しながら行われるので、ユーザーの勘違いなどに起因する間違いは惹起されにくい。たとえば、多角形形状の圃場においては、隣接する多角形の頂点から決定される、多角形の辺が直進アシストの基準線として利用されることが通常であるので、直進アシストの基準点であるA点およびB点の選択の必要なしに、ティーチング経路によって与えられる一辺が直進アシストの基準線として選択可能である。
【0113】
仕上げ工程である最終工程の枕地植えのようなマニュアル操作において、直進アシストの基準点であるA点およびB点は、ティーチング時に取得された座標情報などを利用することにより最終工程の開始の認識にともなって自動的に設定されてもよい。直進アシストの基準点を最終工程の一工程のために取得して直進アシストを利用することは、手間がかかるので、必ずしも現実的ではないが、このような基準点が自動的に設定されるので、直進性の精度が作業者の運転技術に起因してバラつきにくい、精度の高い美的なマニュアル植付けが直進アシスト機能を利用して実現される。
【0114】
マニュアル操作が自律走行モードの途中において行われるとき、直進アシスト機能が利用可能であるか否かがモニターのような表示デバイスまたはその他のアナウンスデバイスなどにより報知されてもよい。直進アシストの基準点を設定するための経路として植付けなしの余計な走行経路が必要である仕様においても、基準点取得がすでに行われているか否かがこのような報知で認識可能であるので、作業者は、A点およびB点の取得工程なども考慮し、直進アシスト機能を利用するか否かを自身で判断することができる。
【0115】
<田植え機その場植え動作>
苗が車体停止状態においてその場で植えられる、ピタ植えとも呼ばれるその場植えにおいて、植付け走行開始時に畦際などの停止地点で一株の苗を植えた後に走行を開始するために、植付け部駆動が走行部駆動とは独立的なHST駆動またはモーター駆動により行われ、畦際の植え漏れの発生が抑制される仕様が、考えられる。
【0116】
植付け部が接地しており、植付けクラッチの状態がオン状態に切替えられたとき、一株の苗のみがその場で植付けられるように、植付け部回転をともなう植付け部駆動を走行部駆動なしに行うための制御が必要である。
【0117】
たとえば、植付け部が接地しており、植付けクラッチの状態がオン状態であるとき、レバー位置が前進側位置になるようにHSTレバーが倒されると、走行部駆動なしの植付け部回転により、一株の苗のみがその場で植付けられるように、植付け部駆動制御が行われる。
【0118】
このような植付け部駆動制御においては、一株の苗のみをその場で植付けるための植付け部回転は高速度の回転として行われるが、その後の植付け部回転は車速に整合した通常速度の回転として行われる制御が望ましい。
【0119】
<田植え機リモートコントローラー接続状態アイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機リモートコントローラー接続状態アイコンの説明図である図17も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機リモートコントローラー接続状態アイコンについて説明する。
【0120】
リモートコントローラー接続状態を示すアイコン表示が、考えられる。
【0121】
情報量が多い画面で効率的にリモートコントローラー接続状態を伝達することができる。
【0122】
<田植え機遠隔操作状態表示>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機遠隔操作状態表示の説明図である図18も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機遠隔操作状態表示について説明する。
【0123】
遠隔操作の2つの状態を示す表示において、(1)遠隔操作が可能である状態、および(2)遠隔操作が不可能である状態が、考えられる。
【0124】
田植え機遠隔操作状態表示により、遠隔操作が可能であるか否かを容易に判断することができる。
【0125】
<田植え機作業エリア取得状態表示>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機作業エリア取得状態表示の説明図である図19も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機作業エリア取得状態表示について説明する。
【0126】
ロボット田植え機の自動走行に必要な作業エリアの取得状態の表示において、(状態1)作業エリア未取得状態、(状態2)作業エリア取得状態、および(状態3)サブ経路がある作業エリア取得状態が、考えられる。
【0127】
情報量が多い画面で作業エリア取得状態を効率的に伝達することができる。
【0128】
<ロボット田植え機自動走行画面レイアウト>
本発明における実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動走行画面レイアウトの説明図である図20も参照しながら、本実施の形態の田植え機のロボット田植え機自動走行画面レイアウトについて説明する。
【0129】
ロボット田植え機自動走行画面レイアウトにおいて、(1)画面左側のタブ内で植付けに必要な情報表示を行う機能、(2)画面右側上でロボットのモードを表示する機能、(3)画面右側中段でロボットモードの状態を表示する機能、(4)画面右下のロボットONアイコンでロボットモード切替えスイッチの状態を表示する機能、(5)画面右側のリモートコントローラーアイコンでリモートコントローラーが接続状態を表示する機能、および(6)画面右下の圃場チェックアイコンで作業エリアの取得状態を表示する機能が、考えられる。
【0130】
自動走行を開始するための複数の条件が存在するため、状況が把握できなければ自動走行を開始することは困難である。
【0131】
ロボットの自動走行を開始するためには、(1)GNSS受信状態条件、(2)ロボットモード切替えスイッチオン条件、(3)リモートコントローラー接続済み条件、および(4)作業エリア取得済み条件のような四つの条件をクリアする必要がある。これら四つの表示状態が活性状態であって、「自動OK」のような表示が状態表示において表示されていれば、自動走行は可能である。四つの条件をクリアするためにこの順番で操作を行うことにより、自動走行を容易に開始することができる。
【0132】
<田植え機苗取り量アイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機苗取り量アイコンの説明図である図21も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機苗取り量アイコンについて説明する。
【0133】
苗取り量を示すアイコン表示が、考えられる。
【0134】
情報量が多い画面で苗取り量を効率的に伝達することができる。
【0135】
<田植え機横送り回数アイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機横送り回数アイコンの説明図である図22も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機横送り回数アイコンについて説明する。
【0136】
横送り回数を示すアイコン表示が、考えられる。
【0137】
情報量が多い画面で横送り回数の設定値を効率的に伝達することができる。
【0138】
<田植え機自動走行アイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機自動走行アイコンの説明図である図23も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機自動走行アイコンについて説明する。
【0139】
(1)自動走行が行われている状態、(2)自動走行が可能である状態、および(3)自動走行が不可能である状態のような自動走行に関する三つの状態を示す表示が、考えられる。
【0140】
自動走行が開始可能であるか否かを容易に判断することができる。
【0141】
<田植え機植付け深さアイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機植付け深さアイコンの説明図である図24も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機植付け深さアイコンについて説明する。
【0142】
植付け深さを示すアイコン表示が、考えられる。
【0143】
情報量が多い画面で植付け深さの設定値を効率的に伝達することができる。
【0144】
<田植え機油圧感度アイコン>
本発明における実施の形態の田植え機の田植え機油圧感度アイコンの説明図である図25も参照しながら、本実施の形態の田植え機の田植え機油圧感度アイコンについて説明する。
【0145】
油圧感度を示すアイコン表示が、考えられる。
【0146】
情報量が多い画面で油圧感度の設定値を効率的に伝達することができる。
【0147】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0148】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0149】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0150】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0151】
リモートコントローラーでエラー履歴を確認できる機能を設けてもよい。また、主変速レバーのグリップ部に、自動走行中の車速を1段速くできるスイッチ有してもよい。
【0152】
後輪回転数による算出距離がGNSSセンサーによる算出距離より長い場合は苗取り量を少なくし後輪回転数による算出距離がGNSSセンサーによる算出距離より短い場合は苗取り量を多くするよう制御する。また、植付部下げ時には、その油圧モーターで充電してもよい。また、畔植え時、内側となる車輪のトルク配分を大きくして、直進性を向上させてもよい。
【0153】
GNSSで測位し自動走行する田植機において車両情報設定機能を有し、車両設定モードで同一直線状を正逆方向に各1回以上走行しGNSSの左右の位置に差がある場合に左右差の1/2ずらした位置を車両のセンター位置として登録する機能を有してもよい。
【0154】
GNSSで測位し自動走行する田植機において車両情報設定機能を有し、後輪クラッチ切位置を補助車輪の有り無しを設定することにより最適値に変更できる構成としてもよい。
【0155】
表示する経路画面において、ティーチングを示す線を着色の点線にする構成としてもよい。
【0156】
可変モーターHSTを搭載することにより、モーターを可変とすることで、常時HSTを一定圧以上で使用することにより、高効率を実現するものであるが、ギヤ変速と比較して、HST内部漏れによるスリップ率の悪化が課題として挙がっており、走行負荷が大きいほど、スリップ率が悪化する。車軸に設置したロードセルによって、走行負荷を検知し、その負荷に応じて、あらかじめ設定された本来の車速に戻すための補正電流値を、HSTポンプ側サーボソレノイドに与え、ポンプ側シャバンの傾きを調整し、車速の低下(スリップ率の増加)を防止してもよい。
【0157】
また、車軸に設置したトルクセンサによって、走行負荷を検知し、その負荷に応じて、あらかじめ設定された本来の車速に戻すための補正電流値を、HSTポンプ側サーボソレノイドに与え、ポンプ側シャバンの傾きを調整し、車速の低下(スリップ率の増加)を防止してもよい。
【0158】
GNSSを用いた位置測位と機体幅の記憶GNSS測位データと植付幅から重なって植えている部分を計算し、自動で施肥条切りを行う構成としてもよい。
【0159】
予備苗枠を回動させるスイッチによる操作を検知したとき、リモートコントローラーの画面から、他の画面に強制的に遷移させることで、リモートコントローラーによる予備苗枠の操作を拒否する構成としてもよい。
【0160】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0161】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0162】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0163】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明における作業車両は、車体の旋回制御を行うことができ、田植え機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0165】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 苗植付け装置
240 操縦装置
250 施肥装置
260 整地装置
261 整地フロート
300 主変速装置
400 副変速装置
500 コントローラー
S1、S2 直線経路
Ea、Eb 圃場辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25