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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090919
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】柱端接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240627BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E04B1/58 506L
E04B1/58 511L
E04B1/26 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207108
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100096611
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 清
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西濱 惇矢
(72)【発明者】
【氏名】河合 貴史
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC23
2E125AE01
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG41
2E125BB09
2E125CA05
2E125CA13
2E125CA14
2E125CA19
(57)【要約】
【課題】扁平な矩形断面の木製の柱を基礎又は梁に強固に接合するとともに、横差し梁を柱の側面に突き当てるように接合することを可能とする。
【解決手段】
断面形状が扁平な柱1の端面の長辺方向における両端部に切り欠き11を設け、切り欠き内に接合金具10を配置する。接合金具は、柱の軸線方向に貫入される第1の接合ボルト12によって該柱に固定するとともに、梁に埋め込まれた第2の接合ボルト14によって梁に固定する。第1の接合ボルト12は、接合金具10の中心より柱1の中央側によった位置で該接合金具を固定するものであり、接合金具は、梁と柱との双方に当接された状態で、第1の接合ボルト12による固定位置より柱の端面の長辺方向における端縁に向かって伸長されたものとする。横差し梁3は、第1の接合ボルトより接合金具が伸長された側で柱に一部が埋め込まれた梁接合金具20によって該柱と接合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面の形状がほぼ矩形で一辺の長さが隣接する他の一辺の長さより大きい扁平な木質材料からなる柱を、該柱の端面を他の部材である被接合部材に突き当てるように接合するとともに、該柱の側面に端面を突き当てるように横差し梁を接合する柱端接合構造であって、
前記柱の端面の長辺方向における両端部に、それぞれ切り欠きが設けられ、
前記切り欠き内に、前記柱と前記被接合部材とを接合するための接合金具が配置され、
前記接合金具は、前記柱の軸線方向に貫入される第1の接合ボルトによって該柱に固定されるとともに、前記第1の接合ボルトとほぼ同一軸線上で前記被接合部材に埋め込まれた第2の接合ボルトによって該被接合部材に固定されており、
前記第1の接合ボルトは、前記接合金具の中心より前記柱の端面の長辺方向における中央側によった位置で該接合金具を固定するものであり、
前記接合金具は、前記切り欠き内のほぼ水平な面と該水平な面と対向する前記被接合部材の対向面との双方に当接された状態で、前記第1の接合ボルトによる固定位置より前記柱の端面の長辺方向の端縁に向かって伸長されており、
前記横差し梁は、前記第1の接合ボルトより前記接合金具が伸長された側で前記柱に固定された梁接合金具によって該柱と接合されていることを特徴とする柱端接合構造。
【請求項2】
前記接合金具は、前記第2の接合ボルトより前記柱の端面の長辺方向の端縁側で第3の接合ボルトによって前記被接合部材に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の柱端接合構造。
【請求項3】
前記被接合部材は、前記柱の上端面の上に載せ掛けるように支持される梁であり、
前記横差し梁は、上面が前記梁の上面より低くなる位置で該柱に接合されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造。
【請求項4】
前記被接合部材は、床を支持する梁又はコンクリートで形成された基礎であって、前記柱は前記梁上又は前記基礎上に立設されるものであり、
前記横差し梁は、上面が前記梁に支持された床の上面より高くなる位置、又は前記基礎上で支持される床の上面より高くなる位置で前記柱に接合されるものであること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造。
【請求項5】
前記柱の端面の長辺方向における端部側で前記接合金具に連続し又は接合され、前記柱の幅の狭い側面の端部に押し付けられる割れ抑止部材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造。
【請求項6】
前記柱に固定され、前記横差し梁を接合するための前記梁接合金具が、前記柱の前記被接合部材と接合された端面側に延長され、前記接合金具に結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物における木製の柱の端部と梁、基礎等の被接合部材とを接合する接合構造に係り、特に木製の柱の軸線方向に埋め込まれた接合ボルト及びこの接合ボルトによって柱に固定される接合金具を介して被接合部材を接合する柱端接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造建築物において、木製の柱と木製の梁とを、又は木製の柱と基礎等とを曲げモーメントの伝達が可能ないわゆる剛結合とし、構造躯体をラーメン構造とする提案がなされている。このような構造では、地震時のように水平方向の力が反転して繰り返し作用するときに、柱と梁との接合部又は柱と基礎との接合部に曲げモーメントが生じる。この曲げモーメントに対して接合部が充分な強度を維持する必要がある。
【0003】
木製の柱を用いたラーメン構造体の接合構造は、例えば特許文献1に記載されているものがある。
この接合構造は、木製の柱が扁平な矩形断面を有するものとなっており、断面の長辺方向における両端部が接合金具を介して木製の梁又は基礎に接合されたものである。この接合構造は、以下のような構成となっている。
柱の端部には、端面の長辺方向における両端部に切り欠きが設けられており、切り欠き内から柱の軸線方向にそれぞれスクリュー部材がねじ込まれている。これらのスクリュー部材には端面から軸線方向にねじ穴が形成されており、これらのねじ穴にねじ込まれたボルトによって接合金具が柱に固定されている。そして、柱と梁との接合部では梁にもスクリュー部材がねじ込まれ、スクリュー部材の軸線方向に設けられたねじ穴にねじ込まれたボルトによって接合金具が梁に固定される。これにより、柱と梁とが接合金具を介して接合される。一方、柱と基礎との接合部では基礎に一端が埋め込まれたアンカーボルトとこれにねじり合わされるナットとによって接合金具が基礎に固定される。これにより、柱が基礎に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-077611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅等の建築物では多様な構造、間取りが求められ、一階の床又は上層階の床から段差を設けた床いわゆるスキップフロアを含む構造が求められることがある。このようなスキップフロアは、基礎又は梁上に立設された柱の側面に突き当てるように接合した横差し梁によって支持することができる。
しかし、引用文献1に記載されているように断面が扁平な木製の柱が基礎又は梁に接合されていると、柱の端部付近には軸線方向にスクリュー部材等が埋め込まれており、横差し梁を接合するための金具がスクリュー部材等と干渉することになる。
一方、干渉を回避するようにスクリュー部材等の埋め込み位置を変更すると、柱と梁又は基礎との接合部で曲げモーメントに対する耐力が低下するおそれが生じる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、扁平な矩形断面の木製の柱を基礎又は梁に強固に接合するとともに、横差し梁を柱の側面に突き当てるように接合することができる柱端接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 断面の形状がほぼ矩形で一辺の長さが隣接する他の一辺の長さより大きい扁平な木質材料からなる柱を、該柱の端面を他の部材である被接合部材に突き当てるように接合するとともに、該柱の側面に端面を突き当てるように横差し梁を接合する柱端接合構造であって、 前記柱の端面の長辺方向における両端部に、それぞれ切り欠きが設けられ、 前記切り欠き内に、前記柱と前記被接合部材とを接合するための接合金具が配置され、 前記接合金具は、前記柱の軸線方向に貫入される第1の接合ボルトによって該柱に固定されるとともに、前記第1の接合ボルトとほぼ同一軸線上で前記被接合部材に埋め込まれた第2の接合ボルトによって該被接合部材に固定されており、 前記第1の接合ボルトは、前記接合金具の中心より前記柱の端面の長辺方向における中央側によった位置で該接合金具を固定するものであり、 前記接合金具は、前記切り欠き内のほぼ水平な面と該水平な面と対向する前記被接合部材の対向面との双方に当接された状態で、前記第1の接合ボルトによる固定位置より前記柱の端面の長辺方向の端縁に向かって伸長されており、 前記横差し梁は、前記第1の接合ボルトより前記接合金具が伸長された側で前記柱に固定された梁接合金具によって該柱と接合されている柱端接合構造を提供する。
【0008】
この柱端接合構造では、柱から第1の接合ボルト、接合金具、第2の接合ボルトを介して被接合部材に引張力が伝達され、柱と被接合部材との間で曲げモーメントが作用したときの引張側で引張力に抵抗するものとなる。そして、引張力を負担する第1の接合ボルトは、柱の端面の長辺方向において接合金具の中心より柱の中央側で該柱に貫入されているが、圧縮側では接合金具が柱の端面の端縁側に伸長され、柱と被接合部材との間で圧縮力を伝達する。これにより、引張力を負担する部材から圧縮縁までの距離を大きく設定することができ、曲げモーメントに対して大きな抵抗力を維持することができる。
また、第1の接合ボルトを柱の幅の狭い側面より離れた位置に貫入することができ、第1の接合ボルトの貫入位置より幅の狭い側面側に梁接合金具を埋め込んで横差し梁を強固に支持することができる。
なお、第1の接合ボルトとほぼ同一軸線上に配置される第2の接合ボルトは、第1の接合ボルトから接合金具を介して第2の接合ボルトに引張力が円滑に伝達される範囲であれば、厳密に同一軸線上でないものも含むものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の柱端接合構造において、 前記接合金具は、前記第2の接合ボルトより前記柱の端面の長辺方向の端縁側で第3の接合ボルトによって前記被接合部材に結合されているものとする。
【0010】
この柱端接合構造では、接合金具が被接合部材に第3の接合ボルトによって結合されることにより被接合部材に強固に固定され、地震時や大きな風圧が作用するときにも十分な強度を有するものとなる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造において、 前記被接合部材は、前記柱の上端面の上に載せ掛けるように支持される梁であり、 前記横差し梁は、上面が前記梁の上面より低くなる位置で該柱に接合されるものとする。
【0012】
この柱端接合構造では、柱と梁とを曲げモーメントに抵抗することができるように強固に接合することができるとともに、梁によって支持される床から段差を設けて低い位置に、横差し梁で支持されたスキップフロアを設けることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造において、 前記被接合部材は、床を支持する梁又はコンクリートで形成された基礎であって、前記柱は前記梁上又は前記基礎上に立設されるものであり、 前記横差し梁は、上面が前記梁に支持された床の上面より高くなる位置、又は前記基礎上で支持される床の上面より高くなる位置で前記柱に接合されるものとする。
【0014】
この柱端接合構造では、梁とこの梁上に立設される柱の下端部と、又はコンクリートの基礎と柱の下端部とを曲げモーメントに抵抗することができるように強固に接合することができるとともに、一階の床又は上層階の床から段差を設けて高くなった位置に、横差し梁で支持されたスキップフロアを設けることが可能となる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造において、 前記柱の端面の長辺方向における端部側で前記接合金具に連続し又は接合され、前記柱の幅の狭い側面の端部に押し付けられる割れ抑止部材を有するものとする。
とする。
【0016】
柱の側面に突き当てるように横差し梁を接合すると、柱には木目に沿って割れを生じさせる方向の引張力が作用することがある。特に、柱の幅の狭い側面に突き当てるように横差し梁を接合すると横差し梁と柱との接合部に作用する曲げモーメントによって上記引張力が強く作用するおそれがある。この柱端接合構造では、第1の接合ボルトで柱に強固に固定された接合金具と連続する又は接合された割れ抑止部材によって柱の狭い側面の端部を押さえることができ、柱の割れが抑制される。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の柱端接合構造において、 前記柱に固定され、前記横差し梁を接合するための前記梁接合金具が、前記柱の前記被接合部材と接合された端面側に延長され、前記接合金具に結合されているものとする。
【0018】
この柱端接合構造では、横差し梁を接合するための梁接合金具が柱に強固に固定されるとともに接合金具に連結され、接合金具を柱の端面から引き離す方向への力に抵抗する。したがって、接合金具を介して柱と被接合部材との間に作用する引張力に対して大きな耐力を有する接合構造となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の柱端接合構造では扁平な矩形断面の木製の柱を基礎又は梁に強固に接合するとともに、横差し梁を柱の側面に突き当てるように接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態である柱端接合構造の正面図である。
図2図1に示す柱端接合構造の一部を拡大して示す断面図である。
図3図1に示す柱端接合構造の柱に接合金具及び横差し梁を接合する状態を示す斜視図である。
図4図1に示す柱端接合構造で使用される接合金具の平面図、側面図、正面図及び底面図である。
図5図1に示す柱端接合構造で使用される第1の接合ボルト及び第1の接合ボルトにねじり合わせて接合金具と結合するための柱側結合ボルトを示す側面図である。
図6】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態を示す正面図である。
図7】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態を示す斜視図である。
図8】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態を示す正面図である。
図9図8に示す柱端接合構造の一部を示す斜視図である。
図10】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態を示す正面図である。
図11図10に示す柱端接合構造の一部を示す斜視図である。
図12】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態を示す正面図である。
図13】本発明に係る柱端接合構造の他の実施形態であって、柱と基礎とを接合する例を示す正面図である。
図14図13に示す柱端接合構造で用いられる接合金具の平面図、側面図、正面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である柱端接合構造を示す正面図である。また、図2は同じ接合構造の一部を拡大して示す断面図であり、図3は柱に接合金具及び横差し梁を接合する状態を示す斜視図である。
この柱端接合構造は、断面形状がほぼ矩形で一辺の長さが隣接する他の一辺の長さより大きい扁平な木質材料からなる柱1を立設し、その上に柱1の断面の長辺方向に軸線を有する木製の梁2を載せ掛けるように接合するものである。そして、上記梁2より低い位置で柱1の幅の狭い側面1aに端面を突き当てるように横差し梁3を接合するものとなっている。
上記梁2は、梁の高さが幅よりも大きい扁平な断面を有するものであり、上記柱1と曲げモーメントの伝達が可能に接合され、ラーメン構造として木造建築物の構造躯体を構成している。
【0022】
上記柱1と上記梁2とは、図2に示すように接合金具10を介して接合されている。柱1には上端面の長辺方向における両端部に矩形の切り欠き11が設けられ、接合金具10はこれらの切り欠き11内にそれぞれ配置される。そして、柱1には上記切り欠き内の水平面から柱1の軸線方向に第1の接合ボルト12がねじ込まれ、第1の接合ボルト12と、この第1の接合ボルト12の端面から軸線方向に設けられたボルト穴にねじり合わされた柱側結合ボルト13によって柱1と接合金具10とが接合されている。一方、梁2には該梁を上下に貫通するようにねじ込まれた第2の接合ボルト14と、この第2の接合ボルト14の端面から軸線方向に設けられたボルト穴にねじり合わされた梁側結合ボルト15とによって接合金具10が接合されている。
【0023】
上記接合金具10は金属で形成され、図4に示すように平面形状が柱1の端面の長辺方向に長い長方形となっており、上板10aと下板10bとこれらを上下に連結する側板10c及び背面板10dとで箱状になっている。そして、2つの側板間には2つの中間板10eが設けられ、箱状となった内側が長手方向に3つの空間が並ぶように仕切られている。この接合金具10は、下板10bが切り欠き内のほぼ水平な面に当接され、上板10aが梁2の底面に当接して固定される。
なお、上記接合金具10は、上板10aと下板10bとの間で引張力又は圧縮力が作用したときに大きな変形が生じたり、柱側結合ボルト13及び梁側結合ボルト15より先に破壊が生じたりすることがないように、十分な強度と剛性を備えるものとするのが望ましい。
【0024】
第1の接合ボルト12は、図5に示すように棒状の鋼部材である軸部12aの側面に螺旋状の張り出し部12bを有するスクリュー部材であり、柱1にあらかじめ形成された穴にねじ込まれた状態で張り出し部12bが柱1と係合し、引き抜きに対して大きな抵抗力を有するものである。
この第1の接合ボルト12には、柱1の上端面から鉛直下方にねじ込まれた状態で上方となる端面から軸線方向にボルト穴が形成されており、ボルト穴は第1の接合ボルト12の全長のほぼ中間位置にまで及ぶ深さとなっている。そして、底部に雌ねじが形成され、柱側結合ボルト13がねじり合わされるものである。
【0025】
この第1の接合ボルト12にねじり合わされる柱側結合ボルト13は、図5に示すように、鍔状部13aと、この鍔状部13aから第1の接合ボルト12にねじ込まれる前方側へ突き出した前方軸部13bと、鍔状部13aから前方軸部と同軸上で後方側に突き出した後方軸部13cとを有するものである。
上記前方軸部13bは、先端部に雄ねじが形成されており、第1の接合ボルト12の端面からボルト穴に挿入して底部の雌ねじにねじり合わせ、鍔状部13aが第1の接合ボルト12の端面に圧接されるまでねじ込むことができるものである。
一方、後方軸部13cは、接合金具10の下板10bに設けられた円孔10fに挿通され、ねじり合わされたナット16と鍔状部13aとの間に接合金具の下板10bを挟み込んで締め付けている。
【0026】
上記第1の接合ボルト12は、接合金具10の仕切られた3つの空間のうち、最も柱の中心側にある空間と対応する位置にねじ込まれている。したがって、第1の接合ボルト12にねじ込まれた柱側結合ボルト13の後方軸部13cは接合金具10の最も中心側の空間内に突き出し、この空間内でナット16がねじり合わされ、接合金具の下板10bを柱側結合ボルト13の鍔状部13aに絞め付けている。そして、接合金具10は柱1に設けられた切り欠き11内で柱1の端面の長辺方向に長く、短辺近くにまで及ぶ範囲で柱の切り欠き内の水平面に当接されている。
【0027】
柱1の上部で切り欠き11が設けられた位置の下側には、柱1の幅の狭い側面1aから幅の広い側面1bに沿った方向へほぼ水平に長ビス17がねじ込まれている。長ビス17は、第1の接合ボルト12との干渉を回避するように柱の幅の狭い側面1aで中央より両側によった位置にねじ込まれており、先端が第1の接合ボルト12の両側を通過して柱1の中心側に突き出す位置まで達するものである。
【0028】
一方、梁にねじ込まれた第2の接合ボルト14は、第1の接合ボルト12とほぼ同軸上にねじ込まれたものであり、第1の接合ボルト12と同様に、外周面に螺旋状の張り出し部を有するスクリュー部材である。この第2の接合ボルト14にも端面には軸線方向にボルト穴が設けられているが、このボルト穴は第1の接合ボルト12に設けられたボルト穴より浅く、ほぼ全長にわたって雌ねじが形成されている。
上記第2の接合ボルト14のボルト穴にねじ込まれる梁側結合ボルト15は、頭部がなく全長にわたって雄ねじが形成されたものである。そして、第2の接合ボルト14のボルト穴にねじ込まれた状態で接合金具の上板10aに設けられた円孔10gに挿通され、ねじり合わされたナット18と第2の接合ボルト14の端面との間に接合金具の上板10aを挟み込んで締め付けることができるものである。
【0029】
上記横差し梁3は、図1図2、及び図3に示すように、梁2の下方で柱1の幅の狭い側面1aに端面を突き当てるように接合されており、梁接合金具20によって端部が柱に支持されている。
梁接合金具20は、柱に埋め込むように固定されるアンカー部材21と、横差し梁3を支持する梁受け金物22と、梁受け金物22を柱1に固定するための取り付けボルト23とで主要部が構成されている。
梁受け金物22は、鋼板を加工したものであり、柱1に当接して固定される取り付け部22aと、この取り付け部22aの両側部から横差し梁3の軸線方向に突き出した2つの平行な張出板部22bとを有するものである。取り付け部22aは、柱1の取り付け面に向かって突き出した凸部22cを備えており、柱1の取り付け面に形成された凹部1cに嵌め入れられる。柱1には、該柱の幅の狭い側面1aと平行で水平な貫通孔1dが設けられ、この貫通孔1dに円筒状のアンカー部材21が嵌め入れられている。この円筒状となったアンカー部材21の側面には、雌ねじが切削されたねじ穴21aが形成されている。梁受け金物の凸部22cに設けられた穴及び柱の凹部1cからほぼ水平に切削され、アンカー部材21のねじ穴21aにいたる穴に取り付けボルト23を挿通し、アンカー部材のねじ穴21aにねじり合わせて締め付けることにより、梁受け金物22を柱1に固定するものである。
【0030】
一方、横差し梁3の端部には、鉛直方向の2つのスリット3aが設けられている。これらのスリット3aは、梁受け金物22の2つの張出板部22bの厚さ、寸法及び間隔と対応するものであり、張出板部22bをスリット3a内に差し入れた状態で横差し梁3の端面を柱1の側面に突き当てることができるものとなっている。
また、横差し梁3の端部には、水平方向に貫通する複数のピン孔3bが設けられており、このピン孔3bにドリフトピン24が挿通される。ドリフトピン24はスリット3aに差し入れられた張出板部22bに形成されている貫通孔22dに挿通され、最上部のドリフトピン24aはピン受け凹部22eに係止される。これにより、横差し梁3の端部は梁受け金物22に固定され、横差し梁3の端部が柱1に支持される。
【0031】
上記柱1と梁2とを含む構造躯体において地震時等の水平力が、上記柱1と梁2との軸線を含む面内方向に作用すると、上記柱端接合構造による柱1と梁2との接合部には曲げモーメントが生じる。これにより、柱1の上端面の長手方向における両端部に設けられた2つの接合金具10のうちの一方には第1の接合ボルト12及び第2の接合ボルト14を介して引張力が作用する。また、他方の接合金具10には、第1の接合ボルト12と第2の接合ボルト14との間で圧縮力が作用するとともに、梁2の下面及び柱1の切り欠き内の水平面との間で圧縮力が作用する。このとき、柱1の端面の長手方向に長辺を有する接合金具の上板10a及び下板10bは第1の接合ボルト12及び第2の接合ボルト14で固定された位置から柱1の上端面の短辺近くまで柱1と梁2とに圧接されている。これにより、引張力が作用する第1の接合ボルト12及び第2の接合ボルト14の位置から圧縮力が作用する接合金具10の縁辺までの長さが大きくなっており、曲げモーメントに対して大きな耐力を有するものとなる。
【0032】
また、第1の接合ボルト12は、接合金具10の長手方向における柱1の中心側で柱1にねじ込まれており、第1の接合ボルト12と柱1の幅の狭い側面1aとの間には、横差し梁3を接合するためのアンカー部材21等を埋め込むのに十分な間隔が設けられている。したがって、柱1に埋め込んだアンカー部材21を用いて梁受け金物22を柱に固定し、横差し梁3を強固に接合することができる。そして、長ビス17によって補強されるとともに、第1の接合ボルト12が横差し梁3を接合するためのアンカー部材21等と離れた位置にねじ込まれていることによって第1の接合ボルト12がねじ込まれた位置で柱1に割れが生じるのが抑制される。
【0033】
図6は、本発明の他の実施形態である柱端接合構造を示す正面図である。
この接合構造では、図1に示す接合構造と同様に、柱1にねじ込まれた第1の接合ボルト12、柱1の上端部の切り欠き内に配置される接合金具10、及び梁2にねじ込まれた第2の接合ボルト14を用いて柱1と梁2とを接合するものである。そして、横差し梁3も、図1に示す接合構造と同様に梁受け金物22を介して柱1に支持されている。
一方、この接合構造では、梁2に第2の接合ボルト14の他に第3の接合ボルト19がねじ込まれている。この第3の接合ボルト19は、第2の接合ボルト14と同じ構成となっており、第2の接合ボルト14より柱1の上端面の長手方向における端部側にねじ込まれ、接合金具10を固定するものとなっている。
このような柱端接合構造では、接合金具10が梁2に強固に固定され、接合金具10から第2の接合ボルト14及び第3の接合ボルト19に分散して引張力が作用するものとなる。
【0034】
図7は、本発明の他の実施形態である柱端接合構造であって、横差し梁4が柱1の幅の広い側面1bに突き当てるように接合される例を示す斜視図である。
柱1と梁2とは、図1又は図6に示す柱端接合構造と同様に接合されるものである。
横差し梁4は、柱1の幅の広い側面1bの側縁に沿った位置に接合されており、柱1の幅の広い側面1bに固定された梁受け金物(図示しない)を介して支持されている。梁受け金物は、柱の幅の狭い側面1aから穿設された穴に埋め込まれたアンカー部材25に、幅の広い側面1bから差し入れてねじり合わされた取り付けボルト(図示しない)によって柱1に固定されている。そして、図1に示す柱端接合構造と同様に加工された横差し梁4のスリット4aに梁受け金物の張出板部が差し入れられ、ドリフトピン26によって固定されるものである。
このように横差し梁を柱1の幅の広い側面に沿った方向に限らず、直角となる方向に接合することもでき、スキップフロアを有する間取りの自由度が向上する。
【0035】
図8は、本発明の他の実施形態である柱端接合構造の正面図であり、図9は、同じ接合構造の横差し梁の接合部及び接合金具の柱への取り付け状態を示す斜視図である。
この柱端接合構造は、図6に示す接合構造と同様に柱1と梁2と、及び柱1と横差し梁3とが接合されている。そして、図6に示す構造に加えて、横差し梁3に近い位置にある接合金具10には、柱の上端部で割れが生じるのを抑える割れ抑止部材として割れ防止板31が取り付けられている。
割れ防止板31は、鋼からなる板状の部材であり、接合金具10の側板10cに取り付け部材32を介してボルト33で締め付け、固定されている。そして、割れ防止板31の下部は柱1の幅の狭い側面1aの上部に押圧されている。
取り付け部材32は、金属からなるものであり、互いに平行となった鉛直面を有するものであって、これらの鉛直面が割れ防止板31と接合金具の側板10cとに圧接される。そして、割れ防止板31を接合金具10に強固に固定するとともに、割れ防止板31が柱の幅の狭い側面1aに押圧されるように、接合金具の側板10cと割れ防止板31との間隔を調整するものである。
【0036】
横差し梁3上に荷重が作用したとき、又は地震時等の水平力が作用したときには横差し梁3と柱1との接合部には梁受け金物22を介して負の曲げモーメントが作用することがある。柱1の上部における側面に負の曲げモーメントが作用すると柱1の上部には水平方向の引張力が作用する。このような引張力によって柱1の第1の接合ボルト12がねじ込まれた位置又はアンカー部材21が挿入された位置で上下方向に割れが発生するおそれが生じる。このような引張力に対して長ビス17で抵抗するとともに、上記割れ防止板31が柱1の側面を押さえて割れを防止するものである。
【0037】
図10は、本発明の他の実施形態である柱端接合構造の正面図であり、図11は、同じ接合構造の横差し梁の接合部及び接合金具の柱への取り付け状態を示す斜視図である。
この柱端接合構造も、図6に示す接合構造と同様に柱1と梁2と、及び柱1と横差し梁3とが接合されている。そして、この接合構造では、図11に示すように横差し梁3を接合する梁受け金物41は取り付けボルト47によって柱1に固定されるものであるが、取り付け部41aと連続して上方に延長された上方延長部41bを有するものとなっている。上方延長部41bの上部は接合金具の側板10cと対向するものである。接合金具の側板10cと梁受け金物41の上方延長部41bとの間には取り付け部材42が介挿され、ボルト43で締め付けて上方延長部41bが接合金具10に連結されている。取り付け部材42は、図8に示す接合構造で接合金具10と割れ防止板31との間に介挿されているものと同じものを用いることができる。
【0038】
図6に示す接合構造では、接合金具10は梁2に対して第2の接合ボルト14と第3の接合ボルト19によって固定されているが、柱1に対しては第1の接合ボルト12のみで接合されており、柱1と接合金具10との間の引張力に対する接合強度は、梁2と接合金具10との接合強度より劣るものとなる。これに対し、図10及び図11に示す接合構造では、柱1と接合金具10とが第1の接合ボルト12によって接合されるとともに、柱1に固定された梁受け金物41の上方延長部41bが接合金具10に連結され、接合金具10と柱1との間に作用する引張力の一部を負担する。これにより、接合金具10と柱1との間の接合強度は、2つの接合ボルトを用いて接合された梁2と接合金具10との接合強度に近いものとなり、梁2と柱1との接合強度を増大させることができる。
なお、図10に示すように梁受け金物41を延長して接合金具10と柱1との間の補強を行うときには、横差し梁3に近い位置にある接合金具10のみでなく、柱1の上端面の他端側にある接合金具10’と柱1との接合も補強するのが望ましい。このときには、梁受け金物41を構成する鋼板と同等の鋼板からなる補強板44を用い、図10に示すように取り付け部材45を介して補強板44を接合金具10’に結合するとともに補強板44の下部はビス46等を用いて柱1に結合することができる。
【0039】
図12は、本発明の他の実施形態である柱端接合構造であって、図8に示す接合構造と同様に柱1の割れを防止する機能と、図10に示す接合構造と同様に接合金具10と柱1との接合を補強する機能とを併せて備えるものである。
この接合構造の柱1と梁2と、及び柱1と横差し梁3とは、図10に示す接合構造と同様の構成で接合されており、横差し梁3を接合する梁受け金物51は接合金具10と連結される上方延長部51aを備えている。接合金具10と上方延長部51aとの間には取り付け部材52を介挿するとともに、この上方延長部51aの接合金具10と対向する面の背面側に割れ防止板53を重ね合わせ、上方延長部51aとともにボルト54で接合金具10に締め付けられている。
また、もう一方の接合金具10’すなわち柱1の反対側に配置された接合金具10’は、図10に示す接合構造と同様に補強板55によって柱1との接合を補強するのが望ましい。
このような接合構造では、柱1の上部の割れを有効に防止するとともに、柱1と梁2との間に作用する曲げモーメントに対して大きな耐力を有するものとなる。
【0040】
以上に説明した実施の形態は、柱1の上に載せ掛けるように梁2を接合するもので、横差し梁3は上面が柱1に固定される接合金具10の下面より低い位置となるように接合されるものであるが、上面を梁2の上面より低い位置で接合金具の下面より高い位置にして接合することもできる。
【0041】
一方、本発明は柱の下端を梁又は基礎に接合するものであってもよい。
柱を梁の上に立設して接合するときには、梁と柱の下端部との接合を図1又は図6に示す接合構造と上下を逆にして同様に接合することができる。そして横差し梁も同様の構造で柱の下端付近に接合することができる。
【0042】
柱を基礎上に立設し、柱の下端部を基礎と接合するときには、図13に示すような構成とすることができる。
この接合構造では、柱5の下端面の長辺方向における両端部に切り欠きが設けられこれらの切り欠き内にそれぞれ接合金具60が配置される。そして、これらの接合金具60は上面を柱5に設けられた切り欠き内の水平な面に当接され、スクリュー部材である第1の接合ボルト61及び柱側結合ボルト62によって柱5に固定される。接合金具60の下板60bは基礎6上に当接され、第2の接合ボルト及び第3の接合ボルトであるアンカーボルト63によってコンクリートの基礎6に固定される。なお、基礎6の上面はモルタル層6aによって平坦に仕上げられている。
【0043】
接合金具60は、図4に示す接合金具10と同様に金属で形成され、図14に示すように上板60aと下板60bとこれらを上下に連結する側板60c及び背面板60dとで箱状になっている。2つの側板60c間には2つの中間板60eが設けられ、箱状となった内側が3つの空間に仕切られている。ただし、この接合金具60では下板60bが、側板60c及び背面板60dが立ち上げられた範囲より左右及び前後に張り出しており、基礎6への当接面が拡大されている。
接合金具60の平面形状は柱5の下端面の長辺方向に長い長方形となっており、長辺が柱5の下端面の長辺に沿った方向となるように配置される。そして、第1の接合ボルト61は、接合金具60の長辺方向における柱5の中心側で柱5にねじ込まれている。第1の接合ボルトには端面から軸線方向にボルト穴が形成されており、このボルト穴にねじ込まれた柱側結合ボルト62が接合金具の上板60aに設けられた円孔60gに挿通される。そして、この柱側結合ボルト62にねじり合わされたナット67を締め付けて接合金具60と第1の接合ボルト61とが結合される。これにより、接合金具60が柱5に固定されている。
【0044】
一方、2つの接合金具60は、それぞれが第2の接合ボルト及び第3の接合ボルトである2本のアンカーボルト63で基礎6に固定される。アンカーボルト63は下部が基礎6のコンクリート内に埋め込まれ、上端部が基礎上に突出したものである。突出する部分は接合金具60の下板60bに設けられた円孔60fに挿通され、偏心座金66を下板60bとの間に挟み込んでナット64がねじり合わされる。このナット64によって下板60bを基礎6に締め付け、接合金具60を固定するものとなっている。上記偏心座金66は、円形の鋼板材からなり、中心から半径方向へ長軸を有する長孔が設けられたものである。このような偏心座金66を使用することにより、アンカーボルト63との相対位置を調整して接合金具60を基礎6に固定することが可能となっている。
【0045】
横差し梁7は、柱5の幅の狭い側面に端面を突き当てるように接合されており、上面が土台8上に支持される床(図示していない)の床面より高くなる位置に支持されている。この横差し梁7を柱5と接合する構造は、図1に示す接合構造と同様に梁受け金物65等を含む梁接合金具を用いた構造を採用することができる。
【0046】
このような柱端接合構造では、地震時等の水平力によって柱5の下端と基礎6との接合部に曲げモーメントが作用したときに、柱5の下端部の引張側では第1の接合ボルト61、接合金具60及びアンカーボルト63を介して引張力に抵抗するものとなる。また、圧縮側では、第1の接合ボルト61と基礎6との間で接合金具60に圧縮力が作用するとともに、柱5の切り欠き内における水平面から接合金具60に圧縮力が作用する。したがって、第1の接合ボルト61の結合位置から柱5の端縁に近い位置まで伸長された接合金具60を介して基礎6に圧縮力が伝達される。これにより、曲げモーメントに対して大きな耐力を有するとともに、第1の接合ボルト61と干渉することなく横差し梁7を接合することができる。
また、このように柱5の下端を基礎6に接合するときにも、図8及び図9示す割れ防止板31を取り付けて柱5の下端部の割れを防止することができる。さらに、図10及び図11に示す梁受け金物51の上方延長部51aに替えて、梁受け金物65が下方へ延長された下方延長部を有するものとし、この下方延長部を接合金具60に結合することもできる。これにより、柱5の下端と基礎6との接合を補強することができる。
【0047】
以上に説明した柱端接合構造はいずれも本発明の実施の形態であって、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜に設計して実施することができる。
例えば、第1の接合ボルト、第2の接合ボルト及び第3の接合ボルトは、上記の実施の形態でスクリュー部材としているが、柱に穿設された穴に挿入して接着剤で固定する棒状の部材等を採用することができる。また、第1の接合ボルト、第2の接合ボルト及び第3の接合ボルトは端面から軸線方向にボルト穴を設け、柱側結合ボルト又は梁側結合ボルトをねじ入れるものとなっているが、このような構造に限定されるものではない。例えば、第1、第2及び第3の接合ボルトを梁又は柱から突き出すように固定しておき、外周面に形成された雄ねじにねじり合わされたナットを締め付けて接合金具を固定するもの等、接合金具を柱又は梁に強固に固定することができる構造を適宜に採用することができる。
【0048】
また、横差し梁を柱に接合する構造においても、梁受け金物を柱に固定する構造、梁受け金物の形態は、本発明の範囲内で適宜に設計することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:柱, 1a:柱の幅の狭い側面, 1b:柱の幅の広い側面, 1c:凹部, 1d:貫通孔, 2:梁, 3:横差し梁, 3a:スリット, 3b:ピン孔, 4:横差し梁, 4a:スリット, 5:柱, 6:基礎, 6a:基礎の上面に形成されたモルタル層, 7:横差し梁, 8:土台,
10:接合金具, 10a:上板, 10b:下板, 10c:側板, 10d:背面板, 10e:中間板, 10f:下板に設けられた円孔, 10g:上板に設けられた円孔, 11:柱に設けられた切り欠き 12:第1の接合ボルト, 12a:軸部, 12b:張り出し部, 13:柱側結合ボルト, 13a:鍔状部, 13b:前方軸部, 13c:後方軸部, 14:第2の接合ボルト, 15:梁側結合ボルト, 16:ナット. 17:長ビス, 18:ナット, 19:第3の接合ボルト,
20:梁接合金具, 21:アンカー部材, 21a:アンカー部材に設けられたねじ穴, 22:梁受け金物, 22a:梁受け金物の取り付け部, 22b:張出板部, 22c:凸部, 22d:張出板部に形成された貫通孔, 22e:ピン受け凹部, 23:取り付けボルト, 24:ドリフトピン, 24a:最上部のドリフトピン, 25:アンカー部材, 26:ドリフトピン,
31:割れ防止板, 32:取り付け部材, 33:ボルト,
41:梁受け金物, 41a:梁受け金物の取り付け部, 41b:梁受け金物の上方延長部, 42:取り付け部材, 43:ボルト, 44:補強板, 45:取り付け部材,46:ビス, 47:取り付けボルト,
51:梁受け金物, 51a:上方延長部, 52:取り付け部材, 53:割れ防止板, 54:ボルト, 55:補強板,
60:接合金具, 60a:上板, 60b:下板, 60c:側板, 60d:背面板,60e:中間板, 60f:下板に設けられた円孔, 60g:上板に設けられた円孔, 61:第1の接合ボルト, 62:柱側結合ボルト, 63:アンカーボルト, 64:ナット, 65:梁受け金物, 66:偏心座金, 67:ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14