(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090928
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65D81/34 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207123
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】592141891
【氏名又は名称】株式会社熊谷
(71)【出願人】
【識別番号】000219912
【氏名又は名称】東京インキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140394
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 康次
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正巳
(72)【発明者】
【氏名】荒木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 渉
(72)【発明者】
【氏名】川邉 和也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 彩香
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BC12
3E013BC14
3E013BE01
3E013BF42
(57)【要約】
【課題】電子レンジ調理の際に絶縁破壊によるスパークを起こすことで蒸通口を形成可能な高輝度インキ層を備えた電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【解決手段】電子レンジ加熱用包装体100は、基材層12と、シーラント層13と、高輝度インキ層15と、が形成された第1シート部材1を備える。高輝度インキ層15は、厚みと長さとのアスペクト比が100~3000となる薄板フレーク状の蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物である。高輝度インキ層15には、複数の非スパーク部と、非スパーク部の間を接続するスパーク部と、が形成される。スパーク部では、非スパーク部に比べ、非スパーク部の間を接続する方向に直交する方向の断面積が減少し、又は、蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態が不均一である。これにより、スパーク部は、非スパーク部に比べ、マイクロ波照射時の電気抵抗値が高くなり、絶縁破壊が起こり易い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部材を備えた電子レンジ加熱用包装体であって、
第1シート部材には、基材層と、シーラント層と、高輝度インキ層と、が形成され、
前記高輝度インキ層は、平均厚みと平均長さとのアスペクト比が100~3000となる薄板フレーク状の蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物であり、
前記高輝度インキ層には、複数の非スパーク部と、前記非スパーク部の間を接続するスパーク部と、が形成され、
前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、前記非スパーク部の間を接続する方向に直交する方向の断面積が減少し、又は、前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態が不均一であることにより、前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、マイクロ波が照射された時の電気抵抗値が高いこと
を特徴とする高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体。
【請求項2】
前記高輝度インキ層は0.1~3μmの膜厚を有し、かつ、
前記高輝度インキ層には10~50nmの板厚を有した前記蒸着アルミニウム顔料が積層されていること
を特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項3】
前記非スパーク部は前記インキ組成物が一定の第1厚みで形成された第1領域であり、
前記スパーク部は、前記インキ組成物が第1厚みと同一の第2厚みで形成された領域と、空隙孔が複数、穿孔された領域とを含んだ第2領域であり、かつ、
第2領域は細長い帯を成し、かつ、前記空隙孔は個々に離間しながら前記帯に沿って、ミシン目状に穿孔されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項4】
前記非スパーク部は前記インキ組成物が一定の第1厚みで形成された第1領域であり、
前記スパーク部は、前記インキ組成物が第1厚みより小さな第2厚みで形成された第2領域であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項5】
前記高輝度インキ層と前記基材層との間には前記インキ組成物以外の第2インキ組成物から構成された障害物層が形成され、かつ、該障害物層に対して前記スパーク部が重畳的に積層されており、
前記スパーク部内の前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態は、前記非スパーク部内の蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態に比べ、不均一であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項6】
第1シート部材を用意する第1工程と、
第2シート部材又はトレー容器を用意する第2工程と、
第1シート部材と、第2シート部材又は前記トレー容器と、を熱溶着する工程と、
を含んだ電子レンジ加熱用包装体の製造方法であって、
第1工程は、
基材層となるフィルムを用意する第1a工程と、
前記基材層の内面側又は外面側に、蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物を塗布して高輝度インキ層を部分的に形成する第1b工程と、
シーラント層となるフィルムを用意して、前記基材層の前記内面側に更に接着して積層する第1c工程と、
を含み、
第1b工程では、前記蒸着アルミニウム顔料に、平均厚みと平均長さとのアスペクト比が100~3000となる薄板フレーク状のものを使用し、
第1b工程では、前記高輝度インキ層に、複数の非スパーク部と、前記非スパーク部の間を接続するスパーク部と、が形成されるように前記インキ組成物を塗布し、かつ、
第1b工程では、前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、前記非スパーク部の間を接続する方向に直交する方向の断面積が減少し、又は、前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態が不均一になるように前記インキ組成物を塗布すること
を特徴とする高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【請求項7】
第1b工程では、前記高輝度インキ層は0.1~3μmの膜厚を有し、かつ、該高輝度インキ層には10~50nmの板厚を有した前記蒸着アルミニウム顔料が積層されるように前記インキ組成物を塗布すること
を特徴とする請求項6に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【請求項8】
第1b工程では、一定の第1厚みを有した前記インキ組成物により前記非スパーク部を形成し、かつ、第1厚みと同一の第2厚みを有した前記インキ組成物により前記スパーク部を形成するとともに、該スパーク部内に空隙孔を複数、穿孔し、さらに、
第1b工程では、前記スパーク部を細長い帯に形成し、かつ、該帯に沿って前記空隙孔を個々に離間させながらミシン目状に穿孔すること
を特徴とする請求項6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【請求項9】
第1b工程では、一定の第1厚みを有した前記インキ組成物により前記非スパーク部を形成し、かつ、第1厚みより小さな第2厚みを有した前記インキ組成物により前記スパーク部を形成すること
を特徴とする請求項6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【請求項10】
第1b工程にて、前記基材層上の前記スパーク部の積層予定領域に、前記インキ組成物以外の第2インキ組成物を予め塗布して障害物層を形成し、
前記障害物層に対して前記スパーク部が重畳的に積層されるよう、前記インキ組成物を前記基材層に塗布すること
を特徴とする請求項6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱用包装体に関し、より具体的には、高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗ではプラスチック包材で完全密封された食品が陳列され、その一部の食品では電子レンジでの加熱調理が想定されている。電子レンジでの加熱調理の際、包材内の食品が温まって蒸気が発生するため、これを安全に逃がす技術が様々提案され、市場でも多く見られるようになった。
【0003】
(嵌込み蓋を用いた食品包装技術)
とりわけコンビニエンスストアでは、弁当や総菜はプラスチック製容器に盛り付けた後、容器上方から、200μm程度の厚さを有したプラスチック製蓋を嵌め込んだ形態で販売されているもの(以下「嵌込み蓋」とも言う。)が多い。
【0004】
(トップシール包装)
しかしながら、資源削減の要求に対応して、比較的肉厚の上記嵌込み蓋ではなく、より薄厚(50~80μm程度)のプラスチック製複合フィルムを使って容器の上部開口部の外縁に密封(熱シール)する形態(以下「トップシール包装」とも言う。)に変更する動きがある。
【0005】
このトップシール包装は食品の密封性が高く、空気に代えて不活性ガスを充填することも可能であるため、食品の消費期限を延長できる利点もある。例えば、従来、製造日+1日程度だった弁当や総菜類の消費期限を数日以上延ばすことができれば、食品ロスを格段に減らすことができるため、コンビニエンスストアでは既にこのトップシール包装技術をサラダや一部惣菜の包装に採用し、普及し始めている。
【0006】
従来の嵌込み蓋で覆われた食品(例えば弁当類)の蓋面には貫通孔が開いており、加熱時にその貫通孔から食品の蒸気が抜けるため、消費者や店員は何の手間も掛けることなく食品を電子レンジに入れて温めることができた。
【0007】
(電子レンジ加熱用包装体(トップシール包装体)の課題)
しかしながら、密封性を高めたトップシール包装体の場合は貫通孔が予め開けられていないため、レンジ加熱の前に蓋(フィルム)の端を少し剥がすなどして蒸気抜け口を用意しなければならない。
【0008】
なお、コンビニエンスストアの店頭でトップシール包装体を温める場合、そのフィルムの一部を店員が剥がす作業が必要になるが、感染症対策の一環として作業前に手の消毒も必要となる。このように剥離作業や消毒作業等の余分な手間が増えるだけでなく、これらの作業をどの店員も間違いなく実行するためのマニュアルも必要になってしまう。一方、コンビニエンスストアの店頭ではなく消費者が自宅等に食品(包装体)を持ち帰って温める場合には、レンジ使用前に消費者自身が蓋(フィルム)の一部を開けるという事前作業が必要となるが、この事前作業を忘れると包装体の破裂や食品の飛散などの事故につながる虞がある。
【0009】
以上のことから、食品の密封性を維持しながら、レンジ調理前にフィルムを予め剥がすことなく、レンジ調理時に自動的に蒸気が抜ける「自動蒸通機構」を持ったトップシール包装体が求められている。
【0010】
(先行技術(特許文献1))
トップシール包装体への上記需要に対し、本願発明者らは電子レンジのマイクロ波で発熱する導電性材料(インキ)を含んだ導電性発熱層をフィルムに印刷した技術を既に提案している(特許文献1)。このインキをトレー(容器)とフィルム(蓋)との間の熱シール領域内に部分的に印刷しておくことで、レンジ調理時には導電性発熱層が加熱・弱化され、内容物から発生した蒸気圧により、その弱化部分の熱シールが剥がれてフィルムが開口するため、トレー内の蒸気を安全に排出することができる。
【0011】
(特許文献1の問題点1)
しかしながら、特許文献1の包装体では、容器と蓋とが接触する熱シール領域内に導電性発熱層(つまり弱化部分)を形成する必要があるが、通常、容器の上部開口部の外周縁に沿って蓋が熱シールされるため、弱化部分(蒸通口)の位置は蓋の外周縁に限定される。特許文献1のように蓋の外周縁に蒸通口が形成される包装体により、スープ類や麺類のような汁物の食品を包装した場合には、レンジ調理後の包装体を少し傾けただけで蒸通口から汁がこぼれ出てしまう虞がある。また、コンビニエンスストア店頭で包装体を温めた場合、これを持ち帰る際に湯こぼれへの細心の注意が必要となる。
【0012】
(特許文献1の問題点2)
また特許文献1の包装体の場合、弱化部分を開口(蒸通)させるには、包装体内の蒸気圧が熱シール強度を超える内部圧力に上昇するまで包装体を温める必要がある。しかしながら、弱化部分以外の部分でも熱シール強度が低い場合、弱化部分が完全に開口するまでに他の外縁箇所の熱シールも剥がれてしまうという問題がある。加えて、トレー容器の剛性が低い場合には内部圧力が高まるとトレー容器が塑性変形してしまうといった不具合につながりかねない。
【0013】
(先行技術(特許文献2))
また、特許文献2には、マイクロ波を照射することにより、包装体の蓋フィルムに所望の切れ目を形成することができる破断用ラベルが開示されている(特に、該文献の図面9を参照)。
【0014】
(特許文献2の問題点)
しかしながら、特許文献2の包装体を実現するには、蓋フィルムに破断用ラベルを個別に貼付する工程が必要であり、グラビア印刷で包装体を量産する製造現場には不向きで、生産性が低下してしまう。また、破断用ラベルが蓋フィルム面に確実に密着していないと切れ目形成の効果を発揮し得ないため、ラベルの検品作業も必要となろう。
【0015】
(先行技術(特許文献3))
また、特許文献3には、蓋フィルム面に、平面視三角形状又は平面視四角形状の金属膜が複数併設されるようパターニングされた包装体が開示されている。このパターニングは、フィルム面に金属蒸着層を蒸着することが好ましいと記載されている。
【0016】
(特許文献3の問題点)
しかしながら、特許文献3のような金属膜(金属箔)を蓋フィルム面上に積層する製法は技術的に困難であり、包装体製造に通常使用されるグラビア印刷の量産工程上で実現できるものではない。フィルム面上に予め金属蒸着層を蒸着することも考えられるが、決して安価に製造できるものでは無いし、このような金属膜を貼着した包装体が実際に商品化された例は無いと本願発明者らは考える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第6709931号公報
【特許文献2】特開2012-176805号公報
【特許文献3】特開2011-46419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電子レンジ調理の際にマイクロ波を照射して絶縁破壊(スパーク)を起こすことで蒸通口を形成可能な高輝度インキ層を備えた電子レンジ加熱用包装体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、特殊な形状の蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物を用いて包装体内に高輝度インキ層を形成し、かつ、この高輝度インキ層に非スパーク部と、この非スパーク部に比べマイクロ照射時の電気抵抗値が高いスパーク部とが形成されるように塗布(印刷パターニング)することで、トップシール包装体内に、上記課題を解消可能な自動蒸通機構を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
また、本発明者らは、上述の自動蒸通機構を、トップシール包装体に限らず、その他の包装形態(例えば、ピロー包装用フィルム、背貼袋、スタンディングパウチ、三方シール袋)の包装体上に形成した場合でも同様のメリットがあることを突き止めた。
【0021】
すなわち、本発明は、例えば、次の構成・特徴を採用するものである。
(態様1)
第1シート部材を備えた電子レンジ加熱用包装体であって、
第1シート部材には、基材層と、シーラント層と、高輝度インキ層と、が形成され、
前記高輝度インキ層は、平均厚みと平均長さとのアスペクト比が100~3000となる薄板フレーク状の蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物であり、
前記高輝度インキ層には、複数の非スパーク部と、前記非スパーク部の間を接続するスパーク部と、が形成され、
前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、前記非スパーク部の間を接続する方向に直交する方向の断面積が減少し、又は、前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態が不均一であることにより、前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、マイクロ波が照射された時の電気抵抗値が高いこと
を特徴とする高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体。
(態様2)
前記高輝度インキ層は0.1~3μmの膜厚を有し、かつ、
前記高輝度インキ層には10~50nmの板厚を有した前記蒸着アルミニウム顔料が積層されていること
を特徴とする態様1に記載の電子レンジ加熱用包装体。
(態様3)
前記非スパーク部は前記インキ組成物が一定の第1厚みで形成された第1領域であり、
前記スパーク部は、前記インキ組成物が第1厚みと同一の第2厚みで形成された領域と、空隙孔が複数、穿孔された領域とを含んだ第2領域であり、かつ、
第2領域は細長い帯を成し、かつ、前記空隙孔は個々に離間しながら前記帯に沿って、ミシン目状に穿孔されていること
を特徴とする態様1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
(態様4)
前記非スパーク部は前記インキ組成物が一定の第1厚みで形成された第1領域であり、
前記スパーク部は、前記インキ組成物が第1厚みより小さな第2厚みで形成された第2領域であること
を特徴とする態様1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
(態様5)
前記高輝度インキ層と前記基材層との間には前記インキ組成物以外の第2インキ組成物から構成された障害物層が形成され、かつ、該障害物層に対して前記スパーク部が重畳的に積層されており、
前記スパーク部内の前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態は、前記非スパーク部内の蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態に比べ、不均一であること
を特徴とする態様1又は2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
(態様6)
第1シート部材を用意する第1工程と、
第2シート部材又はトレー容器を用意する第2工程と、
第1シート部材と、第2シート部材又は前記トレー容器と、を熱溶着する工程と、
を含んだ電子レンジ加熱用包装体の製造方法であって、
第1工程は、
基材層となるフィルムを用意する第1a工程と、
前記基材層の内面側又は外面側に、蒸着アルミニウム顔料を含んだインキ組成物を塗布して高輝度インキ層を部分的に形成する第1b工程と、
シーラント層となるフィルムを用意して、前記基材層の前記内面側に更に接着して積層する第1c工程と、
を含み、
第1b工程では、前記蒸着アルミニウム顔料に、平均厚みと平均長さとのアスペクト比が100~3000となる薄板フレーク状のものを使用し、
第1b工程では、前記高輝度インキ層に、複数の非スパーク部と、前記非スパーク部の間を接続するスパーク部と、が形成されるように前記インキ組成物を塗布し、かつ、
第1b工程では、前記スパーク部では、前記非スパーク部に比べ、前記非スパーク部の間を接続する方向に直交する方向の断面積が減少し、又は、前記蒸着アルミニウム顔料同士の積層状態が不均一になるように前記インキ組成物を塗布すること
を特徴とする高輝度インキを利用した電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
(態様7)
第1b工程では、前記高輝度インキ層は0.1~3μmの膜厚を有し、かつ、該高輝度インキ層には10~50nmの板厚を有した前記蒸着アルミニウム顔料が積層されるように前記インキ組成物を塗布すること
を特徴とする態様6に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
(態様8)
第1b工程では、一定の第1厚みを有した前記インキ組成物により前記非スパーク部を形成し、かつ、第1厚みと同一の第2厚みを有した前記インキ組成物により前記スパーク部を形成するとともに、該スパーク部内に空隙孔を複数、穿孔し、さらに、
第1b工程では、前記スパーク部を細長い帯に形成し、かつ、該帯に沿って前記空隙孔を個々に離間させながらミシン目状に穿孔すること
を特徴とする態様6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
(態様9)
第1b工程では、一定の第1厚みを有した前記インキ組成物により前記非スパーク部を形成し、かつ、第1厚みより小さな第2厚みを有した前記インキ組成物により前記スパーク部を形成すること
を特徴とする態様6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
(態様10)
第1b工程にて、前記基材層上の前記スパーク部の積層予定領域に、前記インキ組成物以外の第2インキ組成物を予め塗布して障害物層を形成し、
前記障害物層に対して前記スパーク部が重畳的に積層されるよう、前記インキ組成物を前記基材層に塗布すること
を特徴とする態様6又は7に記載の電子レンジ加熱用包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子レンジ加熱用包装体では、フィルム(第1シート部材)内に上述した構成の高輝度インキ層が形成されているため、包装体にマイクロ波が照射されると、インキ層内に多数積層された薄板フレーク状の蒸着アルミニウム顔料が帯電し、隣接した顔料の間に電位差が生まれ、インキ層内に電流が流れることでジュール熱が発生する。
【0023】
さらに、高輝度インキ層には、上述した構成のスパーク部と、非スパーク部とが形成されるよう印刷されているため、マイクロ波が照射され続けると、電流の流れにくいスパーク部にて絶縁破壊が生じ、第1シート部材を貫通する蒸通口(蒸気抜け口)が形成されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明(実施例1)の包装体全体の構造を示した斜視図及び断面図、並びにその一部(上部中央の自動蒸通機構)の構造を示した部分拡大断面図である。
【
図2】第1シート部材(ラミネート層)の積層配置の変形例を示した部分拡大断面図である。
【
図3】本発明の蒸着アルミニウム顔料の形状と従来の顔料の形状とを対比説明した概略図である。
【
図4】高輝度インキ層の印刷パターン(第1パターン)を例示した図である。
【
図5】高輝度インキ層の印刷パターン(第2パターン)を例示した図である。
【
図6】高輝度インキ層の印刷パターン(第3パターン)を例示した図である。
【
図7】本発明の包装体の製造方法を構成する各工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な実施態様に何等限定されるものではない。なお、各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
【0026】
(高輝度インキについて)
本発明では電子レンジ加熱用包装体の蒸通口(自動蒸通機構)の形成にあたり、新規なインキ組成物(高輝度インキ)を利用している。このインキ組成物は、蒸着アルミニウム顔料15bと、熱可塑性樹脂15a、溶媒(好ましくは有機溶剤)と、脂肪酸とを含有する。この蒸着アルミニウム顔料15bの存在により、インキ組成物は銀色を呈する。なお、蒸着アルミニウム顔料15bは、このインキ組成物中に0.5~15質量%だけ含有されることが好ましい。下限(0.5質量%)未満になるとインキ組成物中の顔料15b,15b同士が接触しづらくなり、本発明の効果(後述のマイクロ波照射時の帯電や絶縁破壊)が充分に発揮されなくなる。一方、上限(15質量%)を超えると、インキ組成物中に顔料15bが過剰となり、インキ組成物の製造時やその後の包装体100の製造時(後述の高輝度インキ層15の塗布時)にインキ組成物の流動性の低下を招くばかりでなく、製造コストの上昇も招いてしまう。
【0027】
(蒸着アルミニウム顔料)
ここで、蒸着アルミニウム顔料15bは、
図3(a)及び(b)の符号15bに示すように、断面視で「薄板フレーク状(鱗片状)」を成すアルミニウム粉末である。より具体的には、この顔料15bの平均厚みt
pと平均長さL
pとのアスペクト比(AR=L
p/tp)がAR=100~3000となるように成形されていることを特徴とする。前述の平均厚みt
pは10~50nmが好ましい。従って平均厚みt
pが10nmの場合、これに対応した平均長さL
pは1~30μmであり、平均厚みt
pが50nmの場合、これに対応した平均長さL
pは5~150μmである。
【0028】
上記顔料15bは、後述の従来の同種の顔料(アルミペースト)に比べ、極めて高いアスペクト比ARを有しているため、フィルム(基材層12)印刷後のインキ層15内で各顔料15bが同方向に整然と並ぶように配向され易い。同方向に整然と並んだ顔料15b同士は接点が多く(接触面積が大きく)なるとともに、より均一な顔料充填状態となるため、マイクロ波を受けると顔料15b(を含んだインキ層15)に電流が均一に流れ易くなる。
【0029】
(従来の顔料)
一方、
図3(c)の符号150bに従来の顔料(例えば、アルミペースト)の形状を示す。符号150aは顔料150bを取り囲む樹脂である。この従来の顔料150bは通常のアルミペースト状銀色インキを製造する際に使用される。この顔料150bは本発明の顔料15bに比べ、塊状であり、対応するアスペクト比AR=<100である。このため、フィルム印刷後のインキ層150内で各顔料150bが同方向に配向されにくく、不均一な顔料充填状態となるため、マイクロ波を受けたときに顔料150b(を含んだインキ層150)に電流が均一に流れにくくなる。
【0030】
(樹脂)
熱可塑性樹脂15aとして、通常のグラビア印刷インキに使用される樹脂が挙げられるが、セラック樹脂、ロジン類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂の中から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることがより好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキであってもよい。
【0031】
(溶媒)
本発明のインキ組成物は溶媒を含んでもよい。特にグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキの場合の溶媒としては、樹脂15aを該溶媒中に溶解または分散させるものであればよい。例えば、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキに通常使用される以下の有機溶剤および/または水が挙げられる。
【0032】
有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられる。
【0033】
前述の脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプチル酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エレオステアリン酸、エライジン酸、ステアリドン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、パウリン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
【0034】
脂肪酸には、炭素数が2以上36以下のジカルボン酸を使用してもよく、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、オキソコハク酸、メチルマロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、アジピン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、テトラメチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、エイコサン二酸、ダイマー酸などが挙げられる。
【0035】
脂肪酸は、この他にも乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸であってもよい。例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などが挙げられる。
【実施例0036】
図1(a)は、実施例1に係る電子レンジ加熱用包装体100を示した斜視図である。
図1(b)は、包装体100の概略断面図を示した図である。
図1(c)は、
図1(b)中の円C(破線)で囲んだ部分を示す部分拡大拡大図である。
【0037】
(実施例1に係るトップシール包装体(トレーパック)の概略)
実施例1に示す包装体100は、第1シート部材1と、トレー容器2とを備えたトレーパックの形態である。第1シート部材1とトレー容器2は、互いの周縁部11,21にて熱溶着(ヒートシール)され、食材3等が封入された内部空間4を形成する。
【0038】
(第1シート部材の断面構造)
図1(c)は、この自動蒸通機構5(5A)を有する部分の断面構造を拡大して示す。第1シート部材1は、耐熱性を有したフィルム状の基材層12と、フィルム状のシーラント層13と、この基材層12とシーラント層13とを接着剤で接続する接着剤層14と、を備える。
【0039】
なお、基材層12をシーラント層13に接着する前に、基材層12の一方の面側(
図1(c)に示す例ではシーラント層13に対向する内面側)に高輝度インキ層15及び印刷層16が塗布されている。つまり、基材層12は高輝度インキ層15及び印刷層16と一体になった状態で、接着剤層14を介してシーラント層13に接続される。このように、互いに異なる材料からなるフィルム12,13が積層されたものを「複層ラミネートフィルム」又は「ラミネート層」とも呼ぶ。
【0040】
(高輝度インキ層の積層配置に係る変形例(単層の基材層))
なお、高輝度インキ層15(本明細書では、単に「インキ層」とも呼ぶ。)の自動蒸通機構5(5A)の積層構造は
図1(c)に示す例に限定されない。例えば、
図2(a)の変形例5(5B)に示すように、基材層12(12a)を接着剤層14によりシーラント層13に接着する前に、基材層12の他方の面側(シーラント層13から離れた外面側)に高輝度インキ層15及び印刷層16を塗布するようにしてもよい。
【0041】
(高輝度インキ層の積層配置に係る変形例(2層の基材層))
また、商品販売上の観点から、基材層12は複数の層(例えば、
図2(b)~(d)に示す第1・第2基材層12a,12b)で形成されていてもよい。
図2(b)に示す変形例5(5C)では、第1基材層12aと第2基材層12bとが接着剤(接着剤層14’)により接続される前に、第1基材層12aの内面側に高輝度インキ層15及び印刷層16が予め塗布されている。こうして一体化された第1・第2基材層12a,12bは、接着剤(接着剤層14)によりシーラント層13に接続されて最終的なラミネート層を形成する。
【0042】
図2(c)の変形例5(5D)では、外面側(シーラント層13から離れた側)に高輝度インキ層15及び印刷層16が予め塗布された第1基材層12aの更に外面側に第2基材層12bを配置し、これらの間を接着剤(接着剤層14’)により接続した構成を示す。こうして一体化された第1・第2基材層12a,12bは、その内面側(シーラント層13に近い側)に接着剤(接着剤層14)を介在させることにより、シーラント層13に接続されて最終的なラミネート層を形成する。
【0043】
図2(d)の変形例5(5E)では、一方の面側(図示では内面側)に高輝度インキ層15及び印刷層16が予め塗布された第1基材層12aの他方の面(図示では外面側)に第2基材層12bを配置し、これらの間を接着剤(接着剤層14’)により接続した構成を示す。こうして一体化された第1・第2基材層12a,12bは、その内面側に、接着剤(接着剤層14)によりシーラント層13に接続されて最終的なラミネート層を形成する。
【0044】
(基材層の材料)
なお、上述の基材層12(12a,12b)の素材として、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の延伸フィルム材料を用いることが望ましいが、これらに限定されない。
【0045】
(シーラント層の材料)
また、上述のシーラント層13の素材として、例えば、無延伸ポリプロピレン等の無延伸フィルム材料を用いることが望ましいが、必ずしもこれに限定されない。
【0046】
(高輝度インキ層の概要)
上述したように、本実施例では第1シート部材1の平面視中央(断面視では、基材層12とシーラント層13との間)に、高輝度インキ層15が形成されていることに留意されたい。ここで、高輝度インキ層15は、
図3(a)に示すように、熱可塑性樹脂15a内に蒸着アルミニウム顔料(以下、単に「顔料」とも呼ぶ。)15bを含んだインキ組成物である。なお、この顔料15bの他に、熱可塑性樹脂15a(例えばセラック樹脂)、有機溶媒(例えば、トルエン)、脂肪酸(例えば、酢酸)を配合してインキ組成物が作製される。
【0047】
(薄板フレーク状の顔料)
加えて、本発明の蒸着アルミニウム顔料15bは、
図3(b)に示すように、平均厚みt
pと平均長さL
pとのアスペクト比(AR=L
p/t
p)がAR=100~3000となる薄板フレーク状に形成されていることに留意されたい。高輝度インキ層15は、好ましくは、0.1~3μmの膜厚t
iを有し、かつ、該インキ層15には10~50nmの板厚t
pを有した蒸着アルミニウム顔料15bが積層されていることが好ましい。
【0048】
(スパーク部と非スパーク部の形成)
そして、高輝度インキ層15には、複数の非スパーク部NSPと、これらの非スパーク部NSP,NSPの間を接続するスパーク部SPとが形成されるように印刷(好ましくはグラビア印刷)されている。スパーク部SPでは、非スパーク部NSPに比べ、蒸着アルミニウム顔料15b(言い換えれば、非スパーク部NSP間の接続(連結)方向と直交する方向の断面積)が減少し、又は、蒸着アルミニウム顔料15b同士の積層状態が不均一であることにより、スパーク部SPは、非スパーク部NSPに比べ、マイクロ波照射時の電気抵抗値が高くなることに留意されたい。
【0049】
(高輝度インキ層での帯電及び発熱の原理)
本発明(本実施例)の包装体100では、第1シート部材1内に上述した構成の高輝度インキ層15が形成されているため、包装体100にマイクロ波が照射されると、インキ層15内に多数積層された薄板フレーク状の顔料15bが帯電し、隣接した顔料15b,15bの間に電位差が生まれ、インキ層15内に電流が流れることでジュール熱が発生する。
【0050】
(スパーク部での絶縁破壊)
さらに、高輝度インキ層15には、上述した構成のスパーク部SPと、非スパーク部NSPとが形成されるよう印刷されているため、電子レンジ加熱より、マイクロ波が包装体100へ照射され続けると、電流の流れにくいスパーク部SPにて絶縁破壊が生じ、第1シート部材1を貫通する蒸通口(蒸気抜け口)が形成されるようになる。
【0051】
(高輝度インキ層の印刷パターンの例示1)
図4(a)は、高輝度インキ層15の印刷パターン(第1パターンP
1)を例示した図(インキ層15の平面図の一部)である。この第1パターンP
1では、非スパーク部NSPはインキ組成物が一定の第1厚みt
1で形成された第1領域A
1(図示では島状の領域)であり、スパーク部SPは、インキ組成物が第1厚みt
1と同一の第2厚みt
2で形成された領域A
2と、空隙孔HLが複数、穿孔された領域とを含んだ第2領域(図示では空隙で破断された帯状の領域)であることを特徴とする。なお、この例の第1・第2厚みt
1,t
2は、通常、上述のインキ層15の膜厚t
iと同じになる。
【0052】
ここで、第2領域は細長い帯を成し、かつ、空隙孔HLは個々に離間しながら前記帯に沿って、ミシン目状に穿孔されていることが好ましい。なお、
図4(b)は第1パターンP
1の領域A
2を通過するように
図4(a)のB-B線上でインキ層15を破断した断面図を示す。一方、
図4(c)は空隙孔HLを通過するように
図4(a)のC-C線上でインキ層15を破断した断面図を示す。また、
図4(d)は
図4(a)のD-D線上でインキ層15を破断した断面図を示す。
【0053】
(高輝度インキ層の印刷パターンの例示2)
図5(a)は高輝度インキ層15の印刷パターン(第2パターンP
2)を例示した図(平面図の一部)である。この第2パターンP
2では、非スパーク部NSPは、前述した第1パターンP
1と同様にインキ組成物が一定の第1厚みt
1(通常、上述のインキ層15の膜厚t
iと同じ寸法)で形成された第1領域A
1(図示では島状の領域)である。一方、スパーク部SPは、インキ組成物が第1厚みt
1より小さな第2厚みt
2で形成された第2領域A
2(図示では溝状の領域)であることが好ましい。なお、
図5(b)は
図5(a)のB-B線上でインキ層15を破断した断面図を示す。一方、
図5(d)は第2領域A
2の長手方向を通過するように
図5(a)のD-D線上でインキ層15を破断した断面図を示す。
【0054】
なお、この変形例の第2領域A
2は、その第2厚みt
2が第1領域の第1厚みt
1より小さければよく、図示の配置に制約されない。例えば、第2領域A
2をインキ層15の厚み方向の下端に配置せずに、厚み方向の中央付近(
図5(c)に示す第2パターンP
2の変形例を参照)や上端(図示せず)に配置しても構わない。
【0055】
(高輝度インキ層の印刷パターンの例示3)
図6(a)に高輝度インキ層15の印刷パターン(第3パターンP
3)を例示した図である。この第3パターンP
3では、非スパーク部NSPはインキ組成物が一定の第1厚みt
1で形成された第1領域A
1であり、スパーク部SPも第1厚みt
1と略同様の第2厚みt
2で形成された領域A
2である。しかしながら、スパーク部SPでは、後述の第3領域A
3が予め塗布されているため、その第3厚みt
3の分だけ印刷層16やシーラント層13の側へ押し出された形状を成すことに留意されたい。なお、
図6(b)は
図6(a)のB-B線上でインキ層15を破断した断面図を示す。一方、
図6(c)は
図6(b)中の丸印Cで囲った第2領域A
2の概略拡大断面図を示す。
【0056】
しかしながら、このスパーク部SP内の蒸着アルミニウム顔料15b同士の積層状態は、非スパーク部NSP内の蒸着アルミニウム顔料15b同士の積層状態に比べ不均一になっていることに留意されたい(
図6(c)参照)。一方、非スパーク部NSP内の顔料15b同士の積層状態は、先に示した
図3(a)のように均一に整然と並んだ状態に成形される。
【0057】
スパーク部SPに顔料の不均一性を生ぜしめるには、例えば、後述の本発明の製造工程にて、スパーク部SPの上部(
図6(b)参照)又は下部(図示せず)に当たる場所にインキ組成物とは別素材(つまり、障害物層の役目を果たす第3厚みt
3を有した第3領域A
3)を基材層12に予め重畳的に塗布しておくことが挙げられる。これにより、スパーク部SPが非スパーク部NSPに比べて厚くなり、グラビア印刷の際にスパーク部SPのみに余計な力が掛かるなどして、スパーク部SP内の顔料15bが比較的に不均一になるのである。
この工程S2bが終了すれば、周縁部の一部(例えば、三辺)が熱溶着された包装体が製造される。この後、開口した残りの周縁部(例えば、一辺)から、該包装体の内部空間内に所望の食材を詰め込む(詰め込み工程S3a)。食材の詰込みが完了した後、残りの周縁部にも熱溶着を行えば、包装体の内部空間内の食材を完全に密封することができる(密封工程S4a)。