(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090942
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/41 20060101AFI20240627BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20240627BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L29/44 S
H01L21/288 E
H01L29/80 F
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207149
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB07
4M104BB09
4M104CC01
4M104DD08
4M104DD17
4M104DD34
4M104DD37
4M104DD52
4M104DD63
4M104DD65
4M104DD68
4M104EE17
4M104FF06
4M104FF07
4M104FF18
4M104GG12
4M104HH09
4M104HH16
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS02
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV06
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC11
5F102HC16
5F102HC19
5F102HC21
5F102HC30
(57)【要約】
【課題】絶縁層の剥離を抑制できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた金属層と、前記金属層を覆う第2絶縁層と、を有し、前記金属層は、側面を備えた基部と、前記基部の上に設けられた傘部と、を有し、前記傘部は、前記側面に連なり、前記第1絶縁層に対向する第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に設けられた金属層と、
前記金属層を覆う第2絶縁層と、
を有し、
前記金属層は、
側面を備えた基部と、
前記基部の上に設けられた傘部と、
を有し、
前記傘部は、
前記側面に連なり、前記第1絶縁層に対向する第1面と、
前記第1面とは反対の第2面と、
を有し、
前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する、半導体装置。
【請求項2】
前記第2面の表面粗さSaは、前記側面の表面粗さSaよりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2面の表面粗さSaは、前記側面の表面粗さSaの10倍以上である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2面は、凸面である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2面は、前記第1面に連なる、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記側面と前記第1面との境界と、前記第1面の端部との間の距離は、0.1μm以上2.0μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属層は、金層である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁層は、窒化シリコン層である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1絶縁層の上に、開口部を備えたマスクを形成する工程と、
前記開口部の内側および前記マスクの上にめっき層を形成する工程と、
前記めっき層を形成する工程の後に、前記マスクを除去する工程と、
前記マスクを除去する工程の後に、前記めっき層を覆う第2絶縁層を形成する工程と、
を有し、
前記めっき層は、
前記マスクの除去の前に前記開口部の内壁面に直接接触する側面を備えた基部と、
前記基部の上に設けられた傘部と、
を有し、
前記傘部は、
前記側面に連なり、前記マスクの除去の前に前記マスクの上面に直接接触する第1面と、
前記第1面とは反対の第2面と、
を有し、
前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体層の上に絶縁層が形成され、絶縁層の上に密着層が形成され、密着層の上にシード層が形成され、シード層の上にめっき層が形成された半導体装置がある。密着層、シード層およびめっき層は表面保護用の絶縁層に覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、表面保護用の絶縁層が、シード層およびめっき層から剥離することがある。表面保護用の絶縁層の剥離は、水分の侵入等による電気的特性の劣化を引き起こし得る。
【0005】
本開示は、絶縁層の剥離を抑制できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた金属層と、前記金属層を覆う第2絶縁層と、を有し、前記金属層は、側面を備えた基部と、前記基部の上に設けられた傘部と、を有し、前記傘部は、前記側面に連なり、前記第1絶縁層に対向する第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、絶縁層の剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図13】
図13は、側面および上面の表面粗さSaの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に設けられた金属層と、前記金属層を覆う第2絶縁層と、を有し、前記金属層は、側面を備えた基部と、前記基部の上に設けられた傘部と、を有し、前記傘部は、前記側面に連なり、前記第1絶縁層に対向する第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する。
【0011】
金属層が基部および傘部を有し、第1絶縁層に対向する第1面を傘部が有する。すなわち、平面視で、傘部は基部よりも広い。また、第2絶縁層が傘部の第2面および基部の側面に直接接触する。従って、傘部が設けられていない場合と比較して、第2絶縁層と金属層との接触面積が大きく、金属層と第2絶縁層との間に良好な密着性が得られる。このため、第2絶縁層の金属層からの剥離を抑制できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第2面の表面粗さSaは、前記側面の表面粗さSaよりも大きくてもよい。この場合、第2絶縁層と金属層との間により大きな接触面積が得られ、より優れた密着性が得られる。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第2面の表面粗さSaは、前記側面の表面粗さSaの10倍以上であってもよい。第2面の表面粗さSaの側面の表面粗さSaに対する比が大きいほど、密着性の向上の効果が大きい。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記第2面は、凸面であってもよい。この場合、第2面の面積を大きくしやすい。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第2面は、前記第1面に連なってもよい。この場合、第2面の面積を大きくしやすい。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記側面と前記第1面との境界と、前記第1面の端部との間の距離は、0.1μm以上2.0μm以下であってもよい。この距離が大きいほど、平面視で、第2面を広くしやすく、第2面の面積を大きくしやすい。その一方で、この距離が過剰であると、金属層の近傍に配置されている配線等との間でショートが生じやすくなるおそれがある。
【0017】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記金属層は、金層であってもよい。この場合、金属層に低い電気抵抗を得やすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記第2絶縁層は、窒化シリコン層であってもよい。この場合、金属層を水分の侵入等から保護しやすい。
【0019】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1絶縁層の上に、開口部を備えたマスクを形成する工程と、前記開口部の内側および前記マスクの上にめっき層を形成する工程と、前記めっき層を形成する工程の後に、前記マスクを除去する工程と、前記マスクを除去する工程の後に、前記めっき層を覆う第2絶縁層を形成する工程と、を有し、前記めっき層は、前記マスクの除去の前に前記開口部の内壁面に直接接触する側面を備えた基部と、前記基部の上に設けられた傘部と、を有し、前記傘部は、前記側面に連なり、前記マスクの除去の前に前記マスクの上面に直接接触する第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を有し、前記第2絶縁層は、前記側面、前記第1面および前記第2面に直接接触する。
【0020】
めっき層が基部および傘部を有し、マスクの除去の前にマスクの上面に直接接触する第1面を傘部が有する。すなわち、平面視で、傘部は基部よりも広い。また、第2絶縁層が傘部の第2面および基部の側面に直接接触する。従って、第2絶縁層の金属層からの剥離を抑制できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。本開示において、「平面視」とは、対象物を上方か見ることをいい、「平面形状」とは、対象物を上方から見た形状のことをいう。
【0022】
実施形態はGaN系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置1は、主として、基板11と、半導体層12と、ゲート電極21Gと、ソース電極21Sと、ドレイン電極21Dとを有する。半導体装置1は、更に、バリアメタル層22Sおよび22Dと、密着層23Sおよび23Dと、シード層24Sおよび24Dと、めっき層25Sおよび25Dと、絶縁層31、32および34とを有する。
【0024】
基板11は、例えば炭化珪素(SiC)基板である。半導体層12は基板11の上に設けられている。半導体層12は、例えばガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層(チャネル層)および電子供給層(バリア層)等の高電子移動度トランジスタの一部を構成する。
【0025】
ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dは半導体層12の上に設けられている。ソース電極21Sおよびドレイン電極21DはY軸方向に平行に延びる。ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dは半導体層12にオーミック接触している。ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dは、例えばアルミニウム(Al)電極である。
【0026】
絶縁層31は半導体層12の上に設けられている。絶縁層31はソース電極21Sおよびドレイン電極21Dを覆う。絶縁層31に、ソース電極21Sの一部が露出する開口部31Sと、ドレイン電極21Dの一部が露出する開口部31Dとが形成されている。開口部31Sおよび31DはY軸方向に平行に延びる。絶縁層31は、例えば窒化シリコン(SiN)層である。
【0027】
バリアメタル層22Sは、開口部31Sの内側において、ソース電極21Sの上に設けられている。バリアメタル層22Dは、開口部31Dの内側において、ドレイン電極21Dの上に設けられている。バリアメタル層22Sおよび22DはY軸方向に平行に延びる。バリアメタル層22Sおよび22Dは、例えばチタンタングステン(TiW)合金層である。
【0028】
絶縁層32は絶縁層31の上に設けられている。絶縁層32はバリアメタル層22Sおよび22Dを覆う。絶縁層32に、バリアメタル層22Sの一部が露出する開口部32Sと、バリアメタル層22Dの一部が露出する開口部32Dとが形成されている。開口部32Sおよび32DはY軸方向に平行に延びる。絶縁層32は、例えば窒化シリコン(SiN)層である。絶縁層31および32は層間絶縁膜33に含まれる。絶縁層32は第1絶縁層の一例である。
【0029】
密着層23Sは絶縁層32の上に開口部32Sを通じてバリアメタル層22Sに接触するように形成されている。密着層23Sは、開口部32Sの内側においてバリアメタル層22Sの上面に直接接触する。密着層23Sは、更に、開口部32Sの内壁面と、絶縁層32の上面とに直接接触する。密着層23Dは絶縁層32の上に開口部32Dを通じてバリアメタル層22Dに接触するように形成されている。密着層23Dは、開口部32Dの内側においてバリアメタル層22Dの上面に直接接触する。密着層23Dは、更に、開口部32Dの内壁面と、絶縁層32の上面とに直接接触する。密着層23Sおよび23DはY軸方向に平行に延びる。密着層23Sおよび23Dは、例えばチタン(Ti)層である。密着層23Sおよび23Dが、チタンタングステン(TiW)合金層、タンタル(Ta)層、クロム(Cr)層、モリブデン(Mo)層またはニオブ(Nb)層であってもよい。
【0030】
シード層24Sは密着層23Sの上に設けられている。シード層24Dは密着層23Dの上に設けられている。シード層24Sおよび24Dは、例えば金(Au)層である。シード層24Sおよび24Dの厚さは、例えば100nm程度である。
【0031】
めっき層25Sはシード層24Sの上に設けられている。めっき層25Dはシード層24Dの上に設けられている。めっき層25Sおよび25Dは、例えば金(Au)層である。めっき層25Sおよび25Dの厚さは、例えば4μm程度である。シード層24Sおよびめっき層25Sは金属積層体26Sに含まれる。シード層24Dおよびめっき層25Dは金属積層体26Dに含まれる。金属積層体26Sおよび26Dは金属層の一例である。
【0032】
金属積層体26Sは、基部27Sと、傘部28Sとを有する。基部27Sは、密着層23Sの上に設けられており、側面70Sを備える。基部27Sの下面は密着層23Sの上面に直接接触する。傘部28Sは基部27Sの上に設けられており、絶縁層32に対向する下面61Sと、下面61Sとは反対の上面62Sとを備える。下面61Sは絶縁層32の上面32Aに平行である。下面61Sが上面32Aと完全に平行でなくてもよく、下面61Sと上面32Aとのなす角が0°以上20°以下であってもよい。すなわち、下面61Sは、上面32Aとの間でなす角が0°以上20°以下の面であってもよい。下面61Sは基部27Sの側面70Sに連なる。上面62Sの表面粗さSaは、側面70Sの表面粗さSaよりも大きい。例えば、傘部28Sはドーム状の形状を有する。例えば、上面62Sは凸面であり、下面61Sに連なる。平面視で、傘部28Sは基部27Sよりも広く、基部27Sの輪郭は傘部28Sの輪郭の内側にある。下面61Sは第1面の一例であり、上面62Sは第2面の一例である。
【0033】
金属積層体26Dは、基部27Dと、傘部28Dとを有する。基部27Dは、密着層23Dの上に設けられており、側面70Dを備える。基部27Dの下面は密着層23Dの上面に直接接触する。傘部28Dは基部27Dの上に設けられており、絶縁層32に対向する下面61Dと、下面61Dとは反対の上面62Dとを備える。下面61Dは絶縁層32の上面32Aに平行である。下面61Dが上面32Aと完全に平行でなくてもよく、下面61Dと上面32Aとのなす角が0°以上20°以下であってもよい。すなわち、下面61Dは、上面32Aとの間でなす角が0°以上20°以下の面であってもよい。下面61Dは基部27Dの側面70Dに連なる。上面62Dの表面粗さSaは、側面70Dの表面粗さSaよりも大きい。例えば、傘部28Dはドーム状の形状を有する。例えば、上面62Dは凸面であり、下面61Dに連なる。平面視で、傘部28Dは基部27Dよりも広く、基部27Dの輪郭は傘部28Dの輪郭の内側にある。下面61Dは第1面の一例であり、上面62Dは第2面の一例である。
【0034】
層間絶縁膜33に開口部33Gが形成されている。開口部33GはY軸方向に平行に延びる。開口部33Gは、平面視でソース電極21Sとドレイン電極21Dとの間にある。ゲート電極21Gは層間絶縁膜33の上に設けられており、開口部33Gを通じて半導体層12にショットキー接触している。ゲート電極21GはY軸方向に平行に延びる。ゲート電極21Gは、例えば、上方に向かって順に積層されたニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層および金(Au)層を有する。
【0035】
絶縁層34は絶縁層32の上に設けられている。絶縁層34は、金属積層体26Sと、密着層23Sと、金属積層体26Dと、密着層23Dと、ゲート電極21Gとを覆う。絶縁層34は、密着層23Sの側面と、基部27Sの側面70Sと、傘部28Sの下面61Sおよび上面62Sとに直接接触する。絶縁層34は、密着層23Dの側面と、基部27Dの側面70Dと、傘部28Dの下面61Dおよび上面62Dとに直接接触する。絶縁層34は、例えば窒化シリコン(SiN)層である。
【0036】
例えば、絶縁層34と密着層23Sとの間の密着性は絶縁層34と金属積層体26Sとの密着性より高く、絶縁層34と密着層23Dとの間の密着性は絶縁層34と金属積層体26Dとの密着性より高い。絶縁層34は第2絶縁層の一例である。
【0037】
次に、実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。
図2から
図12は、実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0038】
まず、
図2に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、基板11の上に半導体層12を形成する。次に、半導体層12の上にソース電極21Sおよびドレイン電極21Dを形成する。ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dの形成では、成長マスクを用いた蒸着法による金属層、例えばAl層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。次に、ソース電極21Sおよびドレイン電極21Dを覆う絶縁層31を半導体層12の上に形成する。絶縁層31は、例えばプラズマCVD法により形成できる。
【0039】
次に、
図3に示すように、絶縁層31に開口部31Sおよび31Dを形成する。開口部31Sおよび31Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。絶縁層31のエッチングには、例えばフッ素(F)を含む反応性ガスが用いられる。絶縁層31のエッチング後にレジストパターンを除去する。
【0040】
次に、
図4に示すように、開口部31Sの内側においてソース電極21Sの上にバリアメタル層22Sを形成し、開口部31Dの内側においてドレイン電極21Dの上にバリアメタル層22Dを形成する。バリアメタル層22Sおよび22Dの形成では、例えばスパッタ法による金属層、例えばTiW層の形成を行い、エッチングマスクを用いたエッチングによるパターニングを行う。バリアメタル層22Sおよび22Dのエッチング後にエッチングマスクを除去する。
【0041】
次に、
図5に示すように、バリアメタル層22Sおよび22Dを覆う絶縁層32を絶縁層31の上に形成する。絶縁層32は、例えばプラズマCVD法により形成できる。次に、絶縁層32に開口部32Sおよび32Dを形成する。開口部32Sおよび32Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いたRIEを行う。絶縁層32のエッチングには、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。絶縁層32のエッチング後にレジストパターンを除去する。
【0042】
次に、
図6に示すように、レジストパターン101を絶縁層32の上に形成する。レジストパターン101は、平面視でめっき層25Sを形成する領域よりも若干広い開口部101Sと、平面視でめっき層25Dを形成する領域よりも若干広い開口部101Dとを有する。次に、上側の全面に、密着層23Sおよび23Dとなる金属層123、例えばTi層と、シード層24Sおよび24Dとなる金属層124、例えばAu層とをこの順で形成する。金属層123および124は、例えばスパッタ法により形成できる。
【0043】
次に、
図7に示すように、レジストパターン102を金属層124の上に形成する。レジストパターン101は、めっき層25Sが形成される開口部102Sと、めっき層25Dが形成される開口部102Dとを有する。レジストパターン102の厚さは、開口部102Sに面する部分でめっき層25Sよりも薄く、開口部102Dに面する部分でめっき層25Dよりも薄くなるようにする。例えば、レジストパターン102の厚さは2μmである。レジストパターン102はマスクの一例であり、開口部102Sおよび102Dは開口部の一例である。
【0044】
次に、
図8に示すように、開口部102Sの内側において金属層124の上にめっき層25Sを形成し、開口部102Dの内側において金属層124の上にめっき層25Dを形成する。めっき層25Sおよび25Dの形成では、例えば金属層124を給電経路として用いた電解めっきを行う。
【0045】
めっき層25Sは、開口部102Sの内側だけでなく、開口部102Sから溢れるようにして、レジストパターン102の上にも形成する。めっき層25Sの上面が凸面となってもよい。めっき層25Dは、開口部102Dの内側だけでなく、開口部102Dから溢れるようにして、レジストパターン102の上にも形成する。めっき層25Dの上面が凸面となってもよい。めっき層25Sの側面がレジストパターン102の開口部102Sの内壁面に直接接触するのに対し、めっき層25Sの上面は固体に直接接触しない。このため、めっき層25Sの上面の表面粗さSaがめっき層25Sの側面の表面粗さSaよりも大きくなる。また、めっき層25Dの側面がレジストパターン102の開口部102Dの内壁面に直接接触するのに対し、めっき層25Dの上面は固体に直接接触しない。このため、めっき層25Dの上面の表面粗さSaがめっき層25Dの側面の表面粗さSaよりも大きくなる。
【0046】
次に、
図9に示すように、レジストパターン102を除去する。次に、金属層124および123の、めっき層25Sの基部27Sに含まれる部分に覆われていない部分と、金属層124および123の、めっき層25Dの基部27Dに含まれる部分に覆われていない部分とをエッチングにより除去する。この結果、金属層123から密着層23Sおよび23Dが形成され、金属層124からシード層24Sおよび24Dが形成される。シード層24Sおよびめっき層25Sを含む金属積層体26Sは、基部27Sと、傘部28Sとを有し、シード層24Dおよびめっき層25Dを含む金属積層体26Dは、基部27Dと、傘部28Dとを有する。基部27Sの側面70Sは、レジストパターン102の除去前に開口部102Sの内壁面に直接接触していた面である。基部27Dの側面70Dは、レジストパターン102の除去前に開口部102Dの内壁面に直接接触していた面である。傘部28Sの下面61Sは、側面70Sに連なり、レジストパターン102の除去前にレジストパターン102の上面に直接接触していた面である。傘部28Dの下面61Dは、側面70Dに連なり、レジストパターン102の除去前にレジストパターン102の上面に直接接触していた面である。
【0047】
次に、
図10に示すように、レジストパターン101を除去する。次に、熱処理を行う。例えば、熱処理の温度は350℃程度とし、熱処理の時間は30分間程度とする。熱処理の結果、めっき層25S中の不純物、例えば炭素(C)がめっき層25Sの表面の近傍に凝集し、めっき層25D中の不純物、例えばCがめっき層25Dの表面の近傍に凝集する。次に、ドライエッチングにより、めっき層25Sおよびシード層24Sを含む金属積層体26Sの表層部と、めっき層25Dおよびシード層24Dを含む金属積層体26Dの表層部とを除去する。ドライエッチングの結果、不純物が凝集した部分がめっき層25Sおよび25Dから除去される。
【0048】
次に、
図11に示すように、絶縁層31および32を含む層間絶縁膜33に開口部33Gを形成する。開口部33Gの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いたRIEを行う。層間絶縁膜33のエッチングには、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。層間絶縁膜33のエッチング後にレジストパターンを除去する。次に、絶縁層32の上に、開口部33Gを通じて半導体層12にショットキー接触するゲート電極21Gを形成する。ゲート電極21Gの形成では、成長マスクを用いた蒸着法による金属層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ゲート電極21Gは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0049】
次に、
図12に示すように、絶縁層34を絶縁層32の上に形成する。絶縁層34は、例えばプラズマCVD法により形成できる。絶縁層34は、金属積層体26Sと、密着層23Sと、金属積層体26Dと、密着層23Dと、ゲート電極21Gとを覆う。絶縁層34は、密着層23Sの側面と、基部27Sの側面70Sと、傘部28Sの下面61Sおよび上面62Sとに直接接触する。絶縁層34は、密着層23Dの側面と、基部27Dの側面70Dと、傘部28Dの下面61Dおよび上面62Dとに直接接触する。
【0050】
このようにして、実施形態に係る半導体装置1を製造できる。
【0051】
実施形態に係る半導体装置1においては、金属積層体26Sが基部27Sおよび傘部28Sを有し、絶縁層32に対向する下面61Sを傘部28Sが有する。すなわち、平面視で、傘部28Sは基部27Sよりも広い。また、絶縁層34が傘部28Sの上面62Sおよび基部27Sの側面70Sに直接接触する。従って、傘部28Sが設けられていない場合と比較して、絶縁層34と金属積層体26Sとの接触面積が大きく、金属積層体26Sと絶縁層34との間に良好な密着性が得られる。このため、絶縁層34の金属積層体26Sからの剥離を抑制できる。
【0052】
同じく、金属積層体26Dが基部27Dおよび傘部28Dを有し、絶縁層32に対向する下面61Dを傘部28Dが有する。すなわち、平面視で、傘部28Dは基部27Dよりも広い。また、絶縁層34が傘部28Dの上面62Dおよび基部27Dの側面70Dに直接接触する。従って、傘部28Dが設けられていない場合と比較して、絶縁層34と金属積層体26Dとの接触面積が大きく、金属積層体26Dと絶縁層34との間に良好な密着性が得られる。このため、絶縁層34の金属積層体26Dからの剥離を抑制できる。
【0053】
上面62Sの表面粗さSaが側面70Sの表面粗さSaよりも大きい場合、絶縁層34と金属積層体26Sとの間により大きな接触面積が得られ、より優れた密着性が得られる。上面62Dの表面粗さSaが側面70Dの表面粗さSaよりも大きい場合、絶縁層34と金属積層体26Dとの間により大きな接触面積が得られ、より優れた密着性が得られる。上面62S、62Dの表面粗さSaが側面70S、70Dの表面粗さSaの10倍以上であってもよく、20倍以上であってもよく、30倍以上であってもよく、40倍以上であってもよい。上面62S、62Dの表面粗さSaの側面70S、70Dの表面粗さSaに対する比が大きいほど、密着性の向上の効果が大きい。
【0054】
上面62Sが凸面であることで、上面62Sの面積を大きくしやすく、上面62Dが凸面であることで、上面62Dの面積を大きくしやすい。また、上面62Sが下面61Sに連なることでも、上面62Sの面積を大きくしやすく、上面62Dが下面61Dに連なることでも、上面62Dの面積を大きくしやすい。
【0055】
側面70S、70Dと下面61S、61Dとの境界と、下面61S、61Dの端部との間の距離は、例えば0.1μm以上2.0μm以下であり、0.3μm以上1.8μm以下であってもよく、0.5μm以上1.5μm以下であってもよい。この距離が大きいほど、平面視で、上面62S、62Dを広くしやすく、上面62S、62Dの面積を大きくしやすい。その一方で、この距離が過剰であると、当該金属積層体26S、26Dの近傍に配置されている配線等との間でショートが生じやすくなるおそれがある。側面70S、70Dと下面61S、61Dとの境界と、下面61S、61Dの端部との間の距離は、例えば電子顕微鏡観察により測定できる。
【0056】
金属積層体26SがAu層であることで、金属積層体26Sに低い電気抵抗を得やすく、金属積層体26DがAu層であることで、金属積層体26Dに低い電気抵抗を得やすい。また、密着層23SがTi層、TiW合金層、Ta層、Cr層、Mo層またはNb層であることで、絶縁層32と金属積層体26Sとの間に良好な密着性が得やすく、密着層23DがTi層、TiW合金層、Ta層、Cr層、Mo層またはNb層であることで、絶縁層32と金属積層体26Dとの間に良好な密着性が得やすい。
【0057】
絶縁層34がSiN層であることで、金属積層体26S、金属積層体26D、密着層23Sおよび密着層23Dを水分の侵入等から保護しやすい。
【0058】
本願発明者は、実際に上記の実施形態にならって金属積層体26S、26Dに相当する金属層を形成し、原子間力顕微鏡(atomic force microscopy:AFM)を用いて金属層の観察を行った。この観察の際に、側面70S、70Dに相当する側面の表面粗さSaと、上面62S、62Dに相当する上面の表面粗さSaとを測定した。この結果を
図13に示す。
図13の縦軸は表面粗さSa(線形スケール)を示すが、上面の表面粗さSaは側面の表面粗さSaの50倍程度であった。
【0059】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:半導体装置
11:基板
12:半導体層
21D:ドレイン電極
21G:ゲート電極
21S:ソース電極
22D、22S:バリアメタル層
23D、23S:密着層
24D、24S:シード層
25D、25S:めっき層
26D、26S:金属積層体
27D、27S:基部
28D、28S:傘部
31、32、34:絶縁層
31D、31S、32D、32S、33G:開口部
32A、62D、62S:上面
33:層間絶縁膜
61D、61S:下面
70D、70S:側面
101、102:レジストパターン
101D、101S、102D、102S:開口部
123、124:金属層