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特開2024-90970ポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物およびその成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090970
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物およびその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20240627BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20240627BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20240627BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240627BHJP
   C08G 64/04 20060101ALI20240627BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240627BHJP
   C08G 63/64 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K5/00
C08K5/524
C08K5/13
C08G64/04
G02B1/04
C08G63/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207196
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】磯江 晋輔
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CG041
4J002EJ028
4J002EJ038
4J002EJ048
4J002EQ016
4J002EU026
4J002EU036
4J002EU179
4J002EW067
4J002FD059
4J002FD067
4J002FD068
4J002FD096
4J002GP01
4J029AA08
4J029AB07
4J029AC02
4J029AE04
4J029BB11C
4J029CB06A
4J029CC09
4J029HA01
4J029HB03A
4J029HC05A
4J029JB131
4J029JF321
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE06
(57)【要約】
【課題】耐湿熱性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、さらに吸収特性の熱安定性および光安定性に優れるポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式[1]で示されるジオール成分をモノマー成分として含むポリ(エステル)カーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)650~750nmに吸収極大の一つを有する色素(B成分)0.001~0.2重量部、(C)亜リン酸エステル系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤(C成分)0.001~0.4重量部を含有する樹脂組成物であって、400~650nmにおける厚さ0.2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が60%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式[1]で示されるジオール成分をモノマー成分として含むポリ(エステル)カーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)650~750nmに吸収極大の一つを有する色素(B成分)0.001~0.2重量部、(C)亜リン酸エステル系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤(C成分)0.001~0.4重量部を含有する樹脂組成物であって、400~650nmにおける厚さ0.2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が60%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【化1】
(上記[1]式において、環Zは(同一または異なる)芳香族基または縮合多環式芳香族基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、芳香族基を含有してもよい炭素原子数1~12または1~20の炭化水素基を示し、Ar及びArは水素原子または炭素原子数6~10の置換基を含有してもよい芳香族基を示し、L及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を有し、m及びnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
【請求項2】
A成分が、上記一般式[1]で示されるジオール成分をモル比で15%以上含有するポリ(エステル)カーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
B成分がアゾ系色素、アントラキノン系色素、キノリン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、メチン系色素および複素環系色素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する色素であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
B成分がフタロシアニン系色素およびペリレン系色素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する色素であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
C成分が亜リン酸エステル系熱安定剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
A成分100重量部に対し、(D)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D成分)0.01~2重量部を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形品。
【請求項8】
レンズ用である請求項7に記載の樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐湿熱性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、さらに吸収特性の熱安定性および光安定性に優れるポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンや車載カメラ等の撮像装置に適用されるレンズユニットにおいては、画質向上のために近赤外光カットが要求される。近赤外光カット技術には、表面に近赤外光カットコート処理を施す手法などがあるが、高コスト、処理工程増のデメリットから、レンズそのものへの近赤外光カット機能を付与することが求められている。またレンズ用の素材としては、良好な透明性を有し、耐衝撃性および耐熱性に優れ、かつ化学構造により屈折率が調整可能なポリ(エステル)カーボネート樹脂へのニーズは大きい。
【0003】
波長選択性を有するポリカーボネート樹脂に関する検討は、過去にも実施されている。このうち、特許文献1および特許文献2については一般的な芳香族ポリカーボネート樹脂を基本組成としており、本明細書で記載するポリ(エステル)カーボネート樹脂での内容に関する記載はない。また特許文献3、特許文献4および特許文献5についても、本明細書で記載するポリ(エステル)カーボネート樹脂での内容に関する記載がなく、また当該樹脂での吸収特性の熱安定性および光安定性の向上技術に関する記述もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4653027号公報
【特許文献2】特開2021-25029号公報
【特許文献3】特開2017-129881号公報
【特許文献4】特開2017-115032号公報
【特許文献5】特開2020-172614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐湿熱性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、さらに吸収特性の熱安定性および光安定性に優れるポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、レンズ用に用いられる特定のポリ(エステル)カーボネート樹脂に特定の色剤および熱安定剤を添加した樹脂組成物により、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち本発明者は、上記課題が下記のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物およびその成形品により達成されることを見出した。
【0007】
1.(A)下記一般式[1]で示されるジオール成分をモノマー成分として含むポリ(エステル)カーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)650~750nmに吸収極大の一つを有する色素(B成分)0.001~0.2重量部、(C)亜リン酸エステル系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤(C成分)0.001~0.4重量部を含有する樹脂組成物であって、400~650nmにおける厚さ0.2mmに成形した成形品の厚さ方向の光線透過率の平均値が60%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【0008】
【化1】
(上記[1]式において、環Zは(同一または異なる)芳香族基または縮合多環式芳香族基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、芳香族基を含有してもよい炭素原子数1~12または1~20の炭化水素基を示し、Ar及びArは水素原子または炭素原子数6~10の置換基を含有してもよい芳香族基を示し、L及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を有し、m及びnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
【0009】
2.A成分が、上記一般式[1]で示されるジオール成分をモル比で15%以上含有するポリ(エステル)カーボネート樹脂であることを特徴とする前項1に記載の樹脂組成物。
3.B成分がアゾ系色素、アントラキノン系色素、キノリン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、メチン系色素および複素環系色素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する色素であることを特徴とする前項1または2に記載の樹脂組成物。
4.B成分がフタロシアニン系色素およびペリレン系色素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する色素であることを特徴とする前項3に記載の樹脂組成物。
5.C成分が亜リン酸エステル系熱安定剤であることを特徴とする前項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.A成分100重量部に対し、(D)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D成分)0.01~2重量部を含有する前項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.前項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂成形品。
8.レンズ用である前項7に記載の樹脂成形品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、耐湿熱性に優れ、かつそれよりなる成形品が波長選択的な吸収特性を有し、さらに吸収特性の熱安定性および光安定性に優れるため、スマートフォンや車載カメラ等の撮像装置における高画質化に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A成分:ポリ(エステル)カーボネート樹脂)
本発明のA成分は、ポリ(エステル)カーボネート樹脂である。なお、ポリ(エステル)カーボネート樹脂は、ポリエステルカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂を包含する。
【0012】
<モノマー成分(ジオール成分)>
本発明においてA成分として使用されるポリ(エステル)カーボネート樹脂は、下記一般式[1]で示されるジオール成分をモノマー成分として含有する。
【0013】
【化2】
(上記[1]式において、環Zは(同一または異なる)芳香族基または縮合多環式芳香族基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、芳香族基を含有してもよい炭素原子数1~12または1~20の炭化水素基を示し、Ar及びArは水素原子または炭素原子数6~10の置換基を含有してもよい芳香族基を示し、L及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を有し、m及びnはそれぞれ独立に0または1を示す。)
【0014】
上記一般式[1]で示される化合物は、LおよびLがエチレン基であり、mおよびnが1であり、R、R、ArおよびArが水素原子であり、Zがベンゼン環である9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、BPEFと略すことがある)、LおよびLがエチレン基であり、mおよびnが1であり、RおよびRがフェニル基であり、ArおよびArが水素原子であり、Zがベンゼン環である9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)―3-フェニルフェニル]フルオレン(以下、OPBPEFと略すことがある)、もしくはmおよびnが0であり、R、Rがメチル基であり、ArおよびArが水素原子であり、Zがベンゼン環であるビスクレゾールフルオレンであることが好ましい。
【0015】
また、上記式[1]で示される化合物として、下記式[1-1]で表される化合物も好ましく用いられる。
【化3】
(上記式[1-1]において、R21~R36はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素原子数1~12の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、R29とR30、R30とR31、R31とR32、R33とR34、R34とR35及びR35とR36の組のうち、一組は互いに縮合して環を形成し、L及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を示す。)
【0016】
具体的には、上記式[1-1]で表されるジオールとしては、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-1,2-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-1,2-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-1,2-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,3-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-2,3-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-2,3-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-3,4-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-3,4-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-3,4-ベンゾフルオレン等が挙げられる。その中でも9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,3-ベンゾフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ベンゾフルオレンが好ましく、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,3-ベンゾフルオレンがより好ましい。これらは単独で使用してもよく、又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
上記式[1]で示される化合物として、下記式[1-2]で表される化合物も好ましく用いられる。
【化4】
(上記式[1-2]において、環Zは(同一又は異なって)芳香族基を示し、R37及びR38はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~12の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、Ar及びArは、水素原子または炭素原子数6~10の置換基を含有してもよい芳香族基を示し、L及びLはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、j及びkはそれぞれ独立に0以上の整数を示し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
【0018】
さらに、上記式[1-2]において、環Zがナフタレン環であり、ArおよびArが、R37およびR38と同じ化学基から選択されるジオールも好適に用いられる。具体的には、上記式[1-2]で表されるフルオレン系ジオールとしては、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)フルオレン等が挙げられる。
【0019】
またA成分は下記一般式[2]で示されるジオール成分を含んでいても良い。
【化5】
(上記[2]式において、R11及びR12は、夫々独立して、炭素原子数1~10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、o及びpは各々独立して0以上の整数を示す。R13~R20は、夫々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は炭素原子数1~20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示す。)
【0020】
13~R20は、好ましくは夫々独立して、水素原子、炭素原子数1~12の芳香族基を含んでもよい炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子である。上記一般式[2]で示されるジオール成分は、R11およびR12がエチレン基であり、oおよびpが1であり、R13~R20が水素原子である2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフチル(以下、BHEBと略すことがある)、もしくはoおよびpが0であり、R13~R20が水素原子である1,1’-ビ-2-ナフトールであることがより好ましい。
【0021】
A成分中の上記一般式[1]で示されるジオール成分の含有量は、モル比で15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましい。該含有量が15%未満である場合、樹脂の屈折率がレンズ材として求められる屈折率よりも低くなる場合がある。なお、該含有量の上限は特に限定されないが、95%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
【0022】
これらのジオールは、カーボネートエステルとの重合反応に使用されるだけではなく、ポリエステルカーボネートを製造するための中間生成物を得るためにも使用することができる。
【0023】
<モノマー成分(カーボネートエステル)>
本発明のポリ(エステル)カーボネートの製造方法で用いるカーボネートエステルとしては、ポリ(エステル)カーボネートの製造に通常用いられるカーボネートエステルを使用することができる。
【0024】
カーボネートエステルとしては、例えば、置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1~4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0025】
<モノマー(ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体)>
本発明のポリ(エステル)カーボネートの製造方法が、ポリエステルカーボネートの製造方法である場合に、中間生成物を得る工程で使用されるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、本分野で通常使用される中間生成物の製造のために知られたジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を使用することができる。
【0026】
ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチル、9,9-ビス(カルボキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルエチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシブチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルブチル)フルオレン、9,9-ビス(5-カルボキシペンチル)フルオレン、9,9-ビス(カルボキシシクロヘキシル)フルオレン等の多環式芳香族ジカルボン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられ、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチルが好ましい。これらは単独又は二種類以上組み合わせて用いてもよい。また、エステル形成性誘導体としては、上記のカルボン酸の酸クロライドや、メチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル等のエステル類を用いてもよい。
【0027】
ジカルボン酸として、例えば、下記式[3]で表される化合物も好ましく用いられる。
【化6】
(上記〔3〕式において、R及びRは、夫々独立して、炭素原子数1~10の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示し、n及びmは各々独立して0以上の整数を示す。R~R10は、夫々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は炭素原子数1~20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基を示す。)
【0028】
上記式[3]で表されるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、2,2’-ジカルボキシ-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-カルボキシエトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(3-カルボキシプロポキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ジメトキシカルボニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(メトキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-メトキシカルボニルエトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(3-メトキシカルボニルプロポキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ジエトキシカルボニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(エトキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-エトキシカルボニルエトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(3-エトキシカルボニルプロポキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ジフェノキシカルボニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(フェノキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-フェノキシカルボニルエトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(3-フェノキシカルボニルプロポキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ジtert-ブトキシカルボニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(tert-ブトキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-tert-ブトキシカルボニルエトキシ)-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(3-tert-ブトキシカルボニルプロポキシ)-1,1’-ビナフチル等が挙げられる。これらの中でも、R及びRがメチレン基であり、m及びnが1であり、R~R10が水素原子である2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチル(以下、BCMBと略すことがある。)又はそのエステル形成誘導体が最も好ましい。
【0029】
(B成分:650~750nmに吸収極大の一つを有する色素)
本発明においてB成分として使用される色素は、650~750nmに吸収極大の一つを有する色素である。B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.001~0.2重量部であり、0.002~0.15重量部であることが好ましく、0.003~0.1重量部であることがより好ましい。B成分の含有量が0.001重量部未満である場合、0.2mm厚みおよび1.0mm厚みにおいて、700nmでの近赤外光吸収性(吸光度)が不十分となる。一方、0.2重量部を超える場合は、0.2mm厚みおよび1.0mm厚みの成形品の400~650nmでの良好な可視光透過性が得られない。
【0030】
色素は、染料(有機、無機)、顔料(有機、無機)等から選択することができ、本発明が目的とするポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物を得ることができる限り特に制限されることはない。色素としては、染料の方が粒子の表面での光乱反射がないため、染料を用いることが好ましい。染料系色素としては、例えば、アゾ系色素、アントラキノン系色素、キノリン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、メチン系色素および複素環系色素などが挙げられる。その中でも、耐熱性が高く可視光透過性への影響が少ない、フタロシアニン系色素およびペリレン系色素がより好ましい。
【0031】
(C成分:熱安定剤)
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱安定剤を含有し、亜リン酸エステル系熱安定剤を含有することが好ましい。亜リン酸エステル系熱安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。さらに、吸収特性の熱安定性および光安定性を向上させる効果を有する。なお、亜リン酸エステル系熱安定剤以外のリン系熱安定剤を使用した場合、吸収特性の熱安定性および光安定性の向上効果が不十分となる。
【0032】
亜リン酸エステル系熱安定剤としては、亜リン酸およびそのエステルが挙げられる。具体的には、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
【0033】
フェノール系熱安定剤としては、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
【0034】
これらの中で、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
【0035】
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.001~0.4重量部であり、0.003~0.3重量部であることが好ましく、0.005~0.2重量部であることがより好ましい。C成分の含有量が0.001重量部未満の場合、吸収特性の熱安定性および光安定性が悪化する。一方、0.4重量部を超えると、樹脂組成物の耐湿熱性が悪化する。
【0036】
(D成分:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)、および2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾ-ル、並びに2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2-(2’―ヒドロキシ-5-アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2-ヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格を含有する化合物が好適に例示される。それらの中でも、チヌビン234(BASFジャパン(株))に代表される2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、チヌビン326(BASFジャパン(株))に代表される2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールがより好ましい。
【0037】
D成分の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01~2重量部であることが好ましく、0.03~1重量部であることがより好ましく、0.05~0.5重量部であることがさらに好ましい。D成分の含有量が0.01重量部未満である場合、吸収特性の光安定性向上効果が大きくない場合があり、一方、2重量を超えると、樹脂組成物の熱安定性が低下する場合がある。
【0038】
(その他の添加剤)
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物には、その熱安定性、意匠性の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下、これらの添加剤について具体的に説明する。
【0039】
(I)C成分以外の熱安定剤
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物には、前記亜リン酸エステル系熱安定剤およびフェノール系熱安定剤以外の熱安定剤を配合することもできる。かかる熱安定剤としては、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
【0040】
具体的にホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
【0041】
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。上記リン系熱安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系熱安定剤の中でもトリメチルホスフェートに代表されるアルキルホスフェート化合物が配合されることが好ましい。またかかるアルキルホスフェート化合物と、ホスファイト化合物および/またはホスホナイト化合物との併用も好ましい態様である。
【0042】
さらに、かかる熱安定剤として、例えば3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤も好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7-233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP-136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP-2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0005~0.05重量部、より好ましくは0.001~0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール-3-ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の含有量は、A成分100重量部に対して、好ましくは0.001~0.1重量部、より好ましくは0.01~0.08重量部である。本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。かかるエポキシ化合物の含有量は、A成分100重量部に対し、0.003~0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004~0.15重量部であり、さらに好ましくは0.005~0.1重量部である。
【0043】
(II)離型剤
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
【0044】
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1~20の一価または多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。高級脂肪酸としては、炭素原子数10~30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
【0045】
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の含有量は、A成分100重量部に対し、0.01~5重量部であることが好ましい。
【0046】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式ニ軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。
【0047】
<成形品について>
上記の如く得られた本発明のポリ(エステル)カーボネート樹脂組成物は通常前記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品および射出成形品にすることも可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また本発明の樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シートを成形することも可能である。
【実施例0048】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は断りの無い限り、重量部である。なお、評価は下記の方法によって実施した。
【0049】
[樹脂組成物の評価]
1.700nmにおける吸光度
下記方法にて作製した厚み0.2mmの連続成形品について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製V-770)を用い、300~2500nmの範囲で分光光線透過率を測定した。得られた分光スペクトルから、700nmでの光線透過率T(0.2)を読み取った。さらに、下記式(1)より吸光度Ai(0.2)を算出した。
吸光度(Ai(0.2))=-lоg10(T(0.2)/100) (1)
【0050】
2.吸収特性の熱安定性
「1.700nmにおける吸光度」と同様の方法で、厚み1.0mmの連続成形品の吸光度Ai(1.0)を算出した。滞留成形品についても同様の方法で、吸光度Ar(1.0)を算出した。Ar(1.0)/Ai(1.0)が0.9以上の場合を◎、0.8以上0.9未満の場合を〇、0.8未満の場合を×とした。
【0051】
3.吸収特性の光安定性
「1.700nmにおける吸光度」と同様の方法で、厚み1.0mmの光暴露品の吸光度Ax(1.0)を算出した。Ax(1.0)/Ai(1.0)が0.9以上の場合を◎、0.8以上0.9未満の場合を〇、0.8未満の場合を×とした。
【0052】
4.初期の光学特性
「1.700nmにおける吸光度」と同様の方法で、厚み0.2mmおよび1.0mmの連続成形品について分光光線透過率を測定した。得られた分光スペクトルより、厚み0.2mmおよび1.0mmの連続成形品の400~650nmにおける光線透過率の平均値Ti(0.2)およびTi(1.0)を算出した。Ti(0.2)≧60かつAi(0.2)≧0.1またはTi(1.0)≧60かつAi(1.0)≧0.1を満たす場合を○、満たさない場合を×とした。
【0053】
5.樹脂組成物の耐湿熱性(粘度平均分子量)
下記方法にて作製した樹脂ペレット(未処理品)の粘度平均分子量(M)および樹脂ペレット(湿熱処理品)の粘度平均分子量(M)を、下記の方法で測定した。M-M<1,000を満たす場合を○、満たさない場合を×とした。
粘度平均分子量(M)は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにペレット0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式によりを算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0054】
[実施例1~20、比較例1~5]
[樹脂ペレットの作製]
表2および表3に示す成分および含有量に基づき、タンブラーを用いて各種配合成分を混合し二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α)を用いてシリンダー温度270℃にて溶融混練し、各種ペレットを得た。使用した成分は、それぞれ次のとおりである。
【0055】
[射出成形による成形品の作製]
上記方法にて得られたペレットを、120℃で5時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製射出成形機NEX140IV)を使用し、シリンダー温度300℃、金型温度120℃の条件で試験片を成形した。成形は、連続して成形し、シリンダー中に樹脂が存在する状態で10分間射出を中止した後再度成形を実施した。射出を途中で停止することなく連続的に成形したものを連続成形品、シリンダー中に樹脂が存在する状態で10分間射出を中止した後に成形したものを滞留成形品とした。
【0056】
[成形品の光暴露処理]
上記方法にて得られた連続成形品を、キセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)NX75Z)を用い、ブラックパネル温度63℃、槽内温度50℃、相対湿度50%、照射強度0.35W/m(@340nm)の条件にて1000時間の光暴露処理を実施した成形品を光暴露品とした。
【0057】
[ペレットの湿熱処理]
上記方法にて得られた樹脂ペレットを、恒温恒湿器(エスペック(株)PR-3J)を用い、温度80℃、湿度85%の条件にて1000時間の湿熱処理を実施したペレットを湿熱処理ペレットとした。
【0058】
(A成分)
A-1:下記製造方法により調製されたポリ(エステル)カーボネート樹脂
BPEF30.00kg、テレフタル酸ジメチル(DMT)3.32kg、ジフェニルカーボネート(DPC)11.72kg、チタンテトラブトキシド2.9gを精留塔付き撹拌槽(第1槽)に投入した。その後、窒素置換を3度行った後、ジャケットを180℃に加熱し、原料を溶融させた。完全溶解後、20分かけて80kPaまで減圧すると同時に、60℃/hrの速度でジャケットを260℃まで昇温し、エステル交換反応を行った。副生するモノヒドロキシ化合物の留出量が7L(理論量の67%)に到達したところで、窒素を徐々に封入し、0.15MPaまで加圧した。その後、プレポリマーを第1槽から精留塔なしの撹拌槽(第2槽)へ送液した。第2槽において、ジャケットを260℃に保持したまま、20分かけて40kPa、さらに、100分かけて0.13kPaまで減圧し、260℃、0.13kPa以下の条件下で30分重合反応を行った。反応終了後、生成したポリ(エステル)カーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
【0059】
A-2:下記製造方法により調製されたポリ(エステル)カーボネート樹脂
BPEF30.00kg、DMT2.49kg、イソフタル酸ジメチル(DMI)0.83kg、DPC11.72kg、チタンテトラブトキシド2.9gを精留塔付き撹拌槽(第1槽)に投入する以外はA-1と同様の方法でポリ(エステル)カーボネート樹脂を調製した。
【0060】
A-3:下記製造方法により調製されたポリ(エステル)カーボネート樹脂
BPEF30.00kg、DMT3.32kg、DPC12.82kg、チタンテトラブトキシド2.9gを精留塔付き撹拌槽(第1槽)に投入する以外はA-1と同様の方法でポリ(エステル)カーボネート樹脂を調製した。
【0061】
A-4:下記製造方法により調製されたポリ(エステル)カーボネート樹脂
BPEF14.66kg、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(SPG)5.36kg、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール(BisTMC)5.28kg、DPC15.15kgおよび触媒として濃度60mmol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液5.61mLを、窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、10分間かけて減圧度を20kPaに調整した。60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、フェノールの流出量が70%になった後で1時間かけて反応器内圧を133Pa以下とした。合計3.5時間撹拌して反応を行い、反応終了後、生成したポリ(エステル)カーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。
【0062】
A-5:下記製造方法により調製されたポリ(エステル)カーボネート樹脂
BPEFを16.13kg、SPGを6.43kg、BisTMCを3.17kgに変更したこと以外はA-4と同様の方法でポリ(エステル)カーボネート樹脂を調製した。
得られたA成分の原料組成比および一般式[1]で示されるのジオール成分の含有比率(モル比)を表1に記載する。
【0063】
【表1】
【0064】
(B成分)
B-1:ペリレン系色素Lumogen IR-765(BASFジャパン(株))
B-2:フタロシアニン系色素FDR-003(山田化学工業(株))
(C成分)
C-1:亜リン酸エステル系熱安定剤PEP36((株)ADEKA)
C-2:フェノール系熱安定剤AO-50((株)ADEKA)
C-3(比較例):リン酸エステル系熱安定剤AX-71((株)ADEKA)
(D成分)
D-1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤シーソーブ709(シプロ化成(株))
D-2:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン234(BASFジャパン(株))
D-3:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤チヌビン326(BASFジャパン(株))
(その他成分)
E:離型剤リケマールS-100A(理研ビタミン(株))
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
表2および表3に記載の実施例の樹脂組成物は、いずれも耐湿熱性に優れ、かつ波長選択制御性を有し、さらに吸収特性の熱安定性および光安定性に優れるため、スマートフォンや車載カメラ等の撮像装置に適用されるレンズの画質向上が期待できる。