(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090981
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナ
(51)【国際特許分類】
B02C 13/16 20060101AFI20240627BHJP
B02C 13/282 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B02C13/16
B02C13/282
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207214
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳彦
(72)【発明者】
【氏名】田上 弘俊
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065AA16
4D065AA18
4D065BB11
4D065EB20
4D065ED06
(57)【要約】
【課題】筒状のシェルの上部に配設された投入フードが破損・摩耗することを極力回避することができる竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナを提供する。
【解決手段】筒状のシェルと、前記シェルの内周に固定されたシェルライナと、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配され、前記シェルライナとの間で被破砕物を破砕する破砕機構を備えたロータと、前記ロータの上部で回転可能に配されたブレーカと、を備えた竪型破砕機であって、前記シェルライナは、第1ライナ部5Aと、前記第1ライナ部よりも径方向内側に突出する第2ライナ部とが、前記シェルの内周に沿って交互に配列され、前記第1ライナ部5Aの上端部に、内側へ向けて突出する鍔部55を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシェルと、前記シェルの内周に固定されたシェルライナと、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配され、前記シェルライナとの間で被破砕物を破砕する破砕機構を備えたロータと、前記ロータの上部で回転可能に配されたブレーカと、を備えた竪型破砕機であって、
前記シェルライナは、第1ライナ部と、前記第1ライナ部よりも径方向内側に突出する第2ライナ部とが、前記シェルの内周に沿って交互に配列され、
前記第1ライナ部の上端部に、内側へ向けて突出する鍔部を備えている竪型破砕機。
【請求項2】
前記シェルの上部に投入フードが配設され、
平面視で、前記投入フードの下端内面が、前記シェルライナの上端内面と同一位置または径方向外方に位置するように構成されている請求項1記載の竪型破砕機。
【請求項3】
前記第1ライナ部のうち前記ロータの回転方向の前方側の端部に、第2ライナ部の厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部を備えている請求項1記載の竪型破砕機。
【請求項4】
前記突出部は、前記第1ライナ部の内壁面に前記端部に向けて径方向内側に傾斜する傾斜部を備えている請求項3記載の竪型破砕機。
【請求項5】
第1ライナ部の内壁面は、前記鍔部と前記突出部を除いて平面に形成されている請求項3または4記載の竪型破砕機。
【請求項6】
筒状のシェルの内周に固定され、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配されたロータに備えた破砕機構との間で被破砕物を破砕する竪型破砕機のシェルライナであって、
第1ライナ部と、前記第1ライナ部よりも径方向内側に突出する第2ライナ部とが、前記シェルの内周に沿って交互に配列され、
前記第1ライナ部の上端部に、内側へ向けて突出する鍔部を備えている竪型破砕機のシェルライナ。
【請求項7】
前記シェルの内周に固定された状態で、平面視で前記シェルライナの上端内面が、前記シェルの上部に配設された投入フードの下端内面と同一位置または径方向内方に位置するように構成されている請求項6記載の竪型破砕機のシェルライナ。
【請求項8】
前記第1ライナ部のうち前記ロータの回転方向の前方側の端部に、第2ライナ部材の厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部を備えている請求項6記載の竪型破砕機のシェルライナ。
【請求項9】
前記突出部は、前記第1ライナ部材の内壁面に前記端部に向けて径方向内側に傾斜する傾斜部を備えている請求項8記載の竪型破砕機のシェルライナ。
【請求項10】
第1ライナ部の内壁面は、前記鍔部と前記突出部を除いて平面に形成されている請求項8または9記載の竪型破砕機のシェルライナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄された家電製品等の塊状の産業廃棄物を破砕処理するために竪型破砕機が用いられている。
【0003】
竪型破砕機は、下端から上端にかけて次第に拡径する筒状のシェルと、前記シェルの内周に固定されたシェルライナと、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配され、前記シェルライナとの間で被破砕物を破砕する破砕機構を備えたロータと、前記破砕機構の上部で前記縦軸心周りに回転するブレーカ等を備えている。
【0004】
シェルの内部に投入された塊状の廃棄物は、先ずブレーカに打撃されて粗破砕され、続いて筒状シェルの内周部に取り付けられたシェルライナとロータに備えた破砕機構との間で破断処理されて砕片化され、シェルライナとロータとの間の隙間からロータ下部に配置されたディスチャージリングに落下する。
【0005】
ディスチャージリングに落下した砕片は、縦軸心となる回転軸と同軸に軸支されたスイーパの掃引によりディスチャージリングの周壁に形成された開口部から排出部へと掃き出される。
【0006】
特許文献1には、内側にシェルライナを固定した筒状のシェルの中心に設けた回転軸に、ブレーカライナやグラインダなどを設けた破砕機が開示されている。当該破砕機は、シェルの内側に固定したシェルライナを凸部と凹部を有する凹凸シェルライナと、この凹凸シェルライナの凸部より低い低シェルライナを適当な配列で配置固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
竪型破砕機では、シェルの上部に投入フードが配設され、投入フードから被破砕物がシェルの内部に投入されるように構成されているのであるが、ブレーカの打撃を受けた被破砕物がシェルより上方に弾き飛ばされることがあり、弾き飛ばされた被破砕物が投入フードの開口端に衝突して、投入フードの開口下端部が損傷したり、摩耗が早くなる場合があるという問題があった。
【0009】
図4(a),(b),(c)には、上述した従来のシェルライナの一例が示されている。
図4(a)に示すように、筒状のシェル5の内周に、第1ライナ部5Aと、第1ライナ部5Aよりも径方向内側に突出する厚肉の第2ライナ部5Bとが、シェル5の内周に沿って交互に配列されている。
図4(b)には、第1ライナ部5Aの平面、正面、底面の説明図が示され、
図4(c)には、
図4(a)の一部拡大図が示されている。第1ライナ部5Aの内側面は平面に形成されている。
【0010】
図4(a),(c)に示すように、一点鎖線の矢印で示す方向にロータ及びブレーカが回転すると、被破砕物がロータに備えたグラインダ(破砕機構の一例)やブレーカとシェルライナとの間で破砕処理されて、砕片がディスチャージリングに落下する。
【0011】
破砕処理により生じた砕片は、ロータの回転に伴って第1ライナ部5Aの内表面で回転方向に沿って摺動しながら移動し、第1ライナ部5Aよりも厚肉の第2ライナ部5Bと衝突してさらに破砕される。このとき、遠心力の作用を受けながら第1ライナ部5Aに沿って摺動移動する砕片により、ロータの回転方向の前方側の端部52、つまりロータの回転方向に沿う第2ライナ部5Bと隣接する端部52近傍の摩耗が進み、或いは第1ライナ部5Aの端部52と第2ライナ部5Bの間の僅かな隙間に砕片が入り込むことによる端部52の摩耗が進む結果、第1ライナ部5Aを頻繁に交換する必要があるという問題もあった。
【0012】
本発明の第1の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、筒状のシェルの上部に配設された投入フードが破損・摩耗することを極力回避することができる竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナを提供する点にあり、第2の目的は、シェルライナの摩耗を極力抑制可能な竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明による竪型破砕機のブレーカ構造の第一の特徴構成は、筒状のシェルと、前記シェルの内周に固定されたシェルライナと、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配され、前記シェルライナとの間で被破砕物を破砕する破砕機構を備えたロータと、前記ロータの上部で回転可能に配されたブレーカと、を備えた竪型破砕機であって、前記シェルライナは、第1ライナ部と、前記第1ライナ部よりも径方向内側に突出する第2ライナ部とが、前記シェルの内周に沿って交互に配列され、前記第1ライナ部の上端部に、内側へ向けて突出する鍔部を備えている点にある。
【0014】
投入フードからシェルの内部に投入された被破砕物が、ブレーカの打撃を受けて上方に弾き飛ばされることがあっても、第1ライナ部の上端部に備えた鍔部により被破砕物が受け止められる、または軌道が変えられるので、投入フードの開口下端部の損傷・摩耗が回避できるようになる。
【0015】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シェルの上部に投入フードが配設され、平面視で、前記投入フードの下端内面が、前記シェルライナの上端内面と同一位置または径方向外方に位置するように構成されている点にある。
【0016】
平面視で、投入フードの下端内面が、シェルライナの上端内面と同一位置または径方向外方に位置すると、仮に鍔部に衝突した被破砕物がさらに投入フードの開口下端部と衝突することが回避される。
【0017】
同第三の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記第1ライナ部のうち前記ロータの回転方向の前方側の端部に、第2ライナ部の厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部を備えている点にある。
【0018】
ロータの回転に従って砕片が第1ライナ部の平面に沿って摺動移動する際に、先ず突出部が摩耗代として機能することとなり、第1ライナ部の頻繁な交換を回避することができる。
【0019】
同第四の特徴構成は、上述した第三の特徴構成に加えて、前記突出部は、前記第1ライナ部の内壁面に前記端部に向けて径方向内側に傾斜する傾斜部を備えている点にある。
【0020】
遠心力の作用を受けながら第1ライナ部に沿って摺動移動する砕片が傾斜部に差し掛かると、傾斜部が遠心力に抗して砕片を径方向内側へ案内することとなり、砕片が第1ライナ部の端部と第2ライナ部の間の僅かな隙間に入り込むことが効果的に抑制される。
【0021】
同第五の特徴構成は、上述した第三または第四の特徴構成に加えて、第1ライナ部の内壁面は、前記鍔部と前記突出部を除いて平面に形成されている点にある。
【0022】
第1ライナの内面を平面にすることで、ロータ(グラインダ)との距離に変化を持たせることができ、破砕効果を促進させることができる。
【0023】
上述の目的を達成するため、本発明による竪型破砕機のシェルライナの第一の特徴構成は、筒状のシェルの内周に固定され、前記シェルの内側で縦軸心周りに回転可能に配されたロータに備えた破砕機構との間で被破砕物を破砕する竪型破砕機のシェルライナであって、第1ライナ部と、前記第1ライナ部よりも径方向内側に突出する第2ライナ部とが、前記シェルの内周に沿って交互に配列され、
前記第1ライナ部の上端部に、内側へ向けて突出する鍔部を備えている点にある。
【0024】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シェルの内周に固定された状態で、平面視で前記シェルライナの上端内面が、前記シェルの上部に配設された投入フードの下端内面と同一位置または径方向内方に位置するように構成されている点にある。
【0025】
同第三の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記第1ライナ部のうち前記ロータの回転方向の前方側の端部に、第2ライナ部材の厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部を備えている点にある。
【0026】
同第四の特徴構成は、上述した第三の特徴構成に加えて、前記突出部は、前記第1ライナ部材の内壁面に前記端部に向けて径方向内側に傾斜する傾斜部を備えている点にある。
【0027】
同第五の特徴構成は、上述した第三または第四の特徴構成に加えて、第1ライナ部の内壁面は、前記鍔部と前記突出部を除いて平面に形成されている点にある。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、筒状のシェルの上部に配設された投入フードが破損・摩耗することを極力回避することができるとともに、シャルライナの交換頻度を低減できる竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】(a)はシェルの縦断面図、(b)は
図2(a)のA視平面図、(c)は
図2(a)のB視平面図
【
図3】(a)は上部に設置される第1ライナ部の平面、正面、底面を示す説明図、(b)は下部に設置される第1ライナ部の平面、正面、底面を示す説明図、(c)は鍔部の断面構造を示し、
図3(a)のC-C断面図、(d)は
図3(a)のD-D断面図
【
図4】(a)はシェルに配された従来のシェルライナの説明図、(b)は従来の第1ライナ部の平面、正面、底面を示す説明図、(c)は摩耗のメカニズムの説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明による竪型破砕機及び竪型破砕機のシェルライナを、図面を参照して説明する。
図1に示すように、竪型破砕機1は、大型の家電製品などの被破砕物を破砕処理する装置で、破砕機本体10と投入フード20を備えている。破砕機本体10は、コンクリート製の床に固定された装置フレーム2と、装置フレーム2に固定された電動モータ3と、装置フレーム2に固定された筒状のディスチャージリング4と、ディスチャージリング4の上部に配置された筒状のシェル5を備えている。
【0031】
図2(a)から
図2(c)に示すように、シェル5は下部から上部にかけて次第に拡径するように構成された断面が略円形の筒状に形成されている。シェル5の内側には、第1ライナ部5Aと、第1ライナ部5Aよりも肉厚に形成され、径方向内側に突出する第2ライナ部5Bとが、上下二段にシェル5の内周に沿って交互に配列されている。第1ライナ部5Aと第2ライナ部5Bの配置は、上段と下段で異なり、逆順になっている。つまり、上段に配した第1ライナ部5Aの下方に第2ライナ部5Bが配置され、上段に配した第2ライナ部5Bの下方に第1ライナ部5Aが配置されている。以下の説明では、上段の第1ライナ部5Aを符号5A(UPR)、下段の第1ライナ部5Aを符号5A(LWR)と記す。
【0032】
図1に戻り、シェル5の中心に鉛直軸心となる回転軸6が設けられ、回転軸6の周りに回転するロータ7とブレーカ8がシェル5の内部に配されている。ロータ7は上下に複数枚の円盤が間隔を隔てて配置され、円盤の外周部で各円盤間に形成される空間に、破砕機構として機能する遊転自在のグラインダ9が複数配置されている。
【0033】
電動モータ3と回転軸6とが駆動連結機構を介して駆動連結され、電動モータ3の回転に伴ってロータ7とブレーカ8が回転される。シェル5の内部に投入された被破砕物は、ロータ7の打撃やシェルライナとの衝突により粗粉砕され、さらにグラインダ9と第1ライナ部5A及び第2ライナ部5Bとの間で細破砕される。
図1中、一点鎖線で示す矢印はロータ7の回転方向を示す。
【0034】
砕片となった被破砕物は、ロータ7の最下段の円盤とその外周に配置されたチョークリングとの間に形成される空隙からディスチャージリング4に落下し、ディスチャージリング4に設置され回転軸と一体に回転するスイーパによってディスチャージリング4の内部で掃引されて、装置フレーム2に形成された排出口11から排出される。
【0035】
投入フード20は、シェル7の上部に設けられ、コンベア機構(図示せず)により搬送された被破砕物が投入フード20の側壁に形成された投入口21からシェル5に落下投入される。なお、投入フード20の天面には爆風排除ダクト22が設けられ、投入フード20の背面にはロータ7とブレーカ8を吊り上げるホイストなどのクレーン機構を持ち込む開閉扉を備えている。
【0036】
図3(a)には、上から順番に上段に配置される第1ライナ部5A(UPR)の平面図、正面図、底面図が示され、
図3(b)には、上から順番に下段に配置される第1ライナ部5A(LWR)の平面図、正面図、底面図が示されている。図中、符号hは、ボルトが挿通する取付孔を示す。
【0037】
第1ライナ部5A(UPR),5A(LWR)は、シェル5の内壁と対向する対向面50がシェル5の内周面に沿うように弧状に形成されている。そして、シェル5に取付けた状態でシェル5の内側に向く内壁面51は、一端部52側を除いて平面に形成されている。第1ライナ部5A(UPR),5A(LWR)の横幅は、下部から上部に次第に拡径するシェル5の内径に沿うように、下方から上方に向けて次第に幅広に形成されている。
【0038】
図3(a),
図3(c)に示すように、上段に配される第1ライナ部5A(UPR)の上端部には、内側へ向けて突出する鍔部55が形成されている。
そして、シェル5の上部に配設された投入フード20の下端内面が、平面視でライナ部5A,5Bの上端内面と同一位置または径方向外方に位置するように構成されている。
【0039】
上述の構成を採用すると、投入フード20からシェル5の内部に投入された被破砕物が、ブレーカ8の打撃を受けて上方に弾き飛ばされることがあっても、第1ライナ部5Aの上端部に備えた鍔部55により被破砕物が受け止められる、または軌道が変えられるので、投入フード20の開口下端部の損傷・摩耗が回避できるようになる。また、仮に鍔部55に衝突した被破砕物がさらに上方に弾かれても、投入フード20の開口下端部と衝突することが回避される。
【0040】
図3(a),
図3(d)に示すように、第1ライナ部5Aのうちロータ7の回転方向の前方側の端部52に、第2ライナ部5Bの厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部53を備えている。
【0041】
ロータ7の回転に従って砕片が第1ライナ部5Aの平面に沿って摺動移動する際に、先ず突出部53が摩耗代として機能することとなり、第1ライナ部5Aの頻繁な交換を回避することができる。
【0042】
さらに、突出部53は、第1ライナ部5Aの内壁面51に端部52に向けて径方向内側に傾斜する傾斜部54を備えている。遠心力の作用を受けながら第1ライナ部5Aに沿って摺動移動する砕片が傾斜部54に差し掛かると、傾斜部54が遠心力に抗して砕片を径方向内側(回転軸心側)へ案内することとなり、砕片が第1ライナ部5Aの端部52と第2ライナ部5Bの間の僅かな隙間に入り込むことが効果的に抑制される。
【0043】
本実施形態では、第1ライナ部5A(UPR)は一辺が凡そ400mmの逆台形形状に形成され、第1ライナ部5A(LWR)は一辺が凡そ350mmの逆台形形状に形成されている。また、鍔部55の突出方向への厚みは約20mm、上下幅は約30mmに形成されている。
【0044】
シェル5の径方向内側に向けた突出部53の突出高さは、第2ライナ部5Bの厚さより30~50mm程度低く設定されている。即ち、第2ライナ部5Bの厚さ以内で径方向内側に向けて突出する突出部53となる。なお、これら一連の数値は、竪型破砕機1の規模により適宜選択される値であり、例示に過ぎない。
【0045】
上述した実施形態では、突出部53が第1ライナ部5Aのうちロータ7の回転方向と対向する端部52に形成された例を説明したが、ロータ7の回転方向が一方向ではなく、正逆双方に回転可能に構成された竪型破砕機1では、第1ライナ部5Aの両側端部の其々に突出部53を形成することができる。
【0046】
上述した実施形態では、第1ライナ部5Aの内壁面51は、鍔部55と突出部53を除いて平面に形成されているが、第1ライナ部5Aの内壁面51に、グラインダ9との間で被破砕物を細破砕する凸条が形成されていてもよい。当該凸条は、第1ライナ部5Aの内壁面51に、上下方向に沿う姿勢に形成されていればよく、上下方向に対して傾斜姿勢で構成されていてもよい。
【0047】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、形状、サイズ等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1:竪型破砕機
2:装置フレーム
3:電動モータ
4:ディスチャージリング
5:シェル
5A:第1ライナ部
5B:第2ライナ部
50:対向面
51:内壁面
52:一端部(端部)
53:突出部
54:傾斜部
55:鍔部
6:回転軸
7:ロータ
8:ブレーカ
9:グラインダ
10:破砕機本体
20:投入フード