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特開2024-91002反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091002
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20240627BHJP
【FI】
G03F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207249
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】522212882
【氏名又は名称】株式会社トッパンフォトマスク
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大輔
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB03
2H195CA01
2H195CA07
2H195CA22
2H195CA24
(57)【要約】
【課題】本開示は、位相シフト効果を最大限に活用し、高い転写性(特にコントラスト)を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランク100は、基板11と、基板11上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層12と、反射層12上に形成され、反射層12を保護する保護層13と、保護層13上に形成され、EUV光を吸収する吸収層14と、を備え、吸収層14のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下であることを特徴とする。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備え、
前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下であることを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【請求項2】
前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
【請求項3】
前記吸収層は、25nm以上55nm以下の膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項4】
前記吸収層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項5】
前記吸収層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項6】
前記吸収層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項7】
前記吸収層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項8】
前記吸収層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項9】
開口数NAが0.33以上である露光機で使用される反射型フォトマスクを作製するために用いられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、パターンが形成されているEUV光を吸収する吸収パターン層と、を備え、
前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下であることを特徴とする反射型フォトマスク。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【請求項11】
前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
【請求項12】
前記吸収パターン層は、25nm以上55nm以下の膜厚であることを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
【請求項13】
前記吸収パターン層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であることを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
【請求項14】
前記吸収パターン層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
【請求項15】
前記吸収パターン層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
【請求項16】
前記吸収パターン層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項10に記載の反射型フォトマスク。
【請求項17】
前記吸収パターン層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の反射型フォトマスク。
【請求項18】
開口数NAが0.33以上である露光機で使用されることを特徴とする請求項10から請求項17のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。フォトリソグラフィにおける転写パターンの最小現像寸法は、露光光源の波長に大きく依存し、波長が短いほど最小解像寸法を小さくできる。このため、先端の半導体デバイスの製造プロセスにおける露光光源は、従来の波長193nmのArFエキシマレーザー光から、波長13.5nmのEUV(Extreme Ultraviolet)に置き換わってきている。
【0003】
ほとんどの物質がEUVに対して高い光吸収性をもつため、従来の光の透過を利用する屈折光学系が使用できないことから、露光機の光学系部材はレンズではなく、ミラーとなる。そのため、フォトマスクも従来の透過型から反射型のEUVフォトマスクとなる。また、EUVフォトマスクへの入射光とEUVフォトマスクで反射した反射光とが同軸上に設計できないことから、通常、EUVリソグラフィでは光軸をEUVフォトマスクの垂直方向から6°傾けてEUV光を入射し、マイナス6°の角度で反射する反射光を半導体基板に照射する手法が採用されている。
しかし、光軸を傾斜させることから、EUVフォトマスクに入射するEUV光がEUVフォトマスクのパターン(吸収層に形成された転写パターン、所謂吸収層パターン)の影を作ることにより、転写性能が悪化する問題が発生し得る。このように、今後、更なる微細化を行う為には、転写性能の改善が課題となる。
【0004】
現在のEUVフォトマスクでは、光吸収層として膜厚60~90nmのタンタル(Ta)を主成分とした膜が用いられている。このEUVフォトマスクでパターン転写の露光を行った場合、入射方向とマスクパターンの向きとの関係によっては、マスクパターンの影となるエッジ部分で、コントラストの低下を引き起こす恐れがある。これに伴い、半導体基板上の転写パターンのラインエッジラフネスの増加や、線幅が狙った寸法に形成できないなどの問題が生じ、転写性能が悪化する場合もある。
【0005】
この課題に対し、吸収層に消衰係数kが高い材料を用いてEUV反射率を抑える手法[例えば、特許文献1を参照]や、位相シフト効果を用いた手法[例えば、特許文献2を参照]が提案されている。
【0006】
反射型位相シフトマスクでは、吸収層を通り減光した反射光は、吸収層が形成されていない開口部で反射される光と位相差を持つ。このような反射型位相シフトマスクは、透過型位相シフトマスクと同様に、位相シフト効果を用いることにより、ウェハ上の光学像のコントラストが向上し、転写パターンの解像性を向上させることができる。
【0007】
例えば、特許文献2に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクは、位相差の最適値を170~190度としている。また、特許文献3に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクは、位相差の最適値を175~185度としている。これは従来の透過型位相シフトマスクの位相差の最適値である180度を含んだ値である。
【0008】
しかし、反射型位相シフトマスクの場合、EUV光が傾いて入射するため、反射光の一部は吸収層パターンのエッジ部分を通る。エッジ部分に当たった反射光はパターン中心部の反射光と位相がずれてしまうため、吸収層の最適な位相差は180度と異なり、より大きくなる。
このように、従来技術に係る反射型の位相シフトマスクでは、位相シフト効果を十分に活用できておらず、その転写性(特にコントラスト)は十分でなかった。
【0009】
なお、特許文献3に記載の技術では、EUVマスクの吸収層の屈折率nは0.935~0.963の範囲が好ましいとしているが、これは位相差をその最適値である180度としたときの値であり、より大きな位相差の場合、最適な屈折率nは0.935以下となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2018/159785号
【特許文献2】特許第6287099号
【特許文献3】特開2021-174003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、位相シフト効果を最大限に活用し、シャドーイング解消および高い転写性(特にコントラスト)を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであって、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクは、基板と、前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備え、前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下である。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【0013】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たしてもよい。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
【0014】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、25nm以上55nm以下の膜厚であってもよい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であってもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0019】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクは、開口数NAが0.33以上である露光機で使用される反射型フォトマスクを作製するために用いられてもよい。
【0021】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクは、基板と、前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、前記保護層上に形成され、パターンが形成されているEUV光を吸収する吸収パターン層と、を備え、前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下である。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【0022】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たしてもよい。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
【0023】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、25nm以上55nm以下の膜厚であってもよい。
【0024】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であってもよい。
【0025】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0026】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0027】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0028】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含んでいてもよい。
【0029】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクは、開口数NAが0.33以上である露光機で使用されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであれば、十分な位相シフト効果が得られ、シャドーイングを低減し、ウェハ転写性能(特にコントラスト)を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
図3】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクのNILSを示すグラフである。
図4】EUV光の波長における各金属材料の光学定数を示すグラフである。
図5】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。
図6】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
図7】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
図8】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
図9】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
図10】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの吸収層の光学定数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図面に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに限定されるものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0033】
(反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの構成)
図1は、本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランク100の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランク100は、基板11と、基板11上に形成された反射層12と、反射層12の上に形成された保護層13と、保護層13の上に形成された吸収層14と、を備えている。また、図2は、本発明の実施形態に係る反射型フォトマスク200の構成を示す概略断面図である。ここで、図2に示す本発明の実施形態に係る反射型フォトマスク200は、図1に示す本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランク100の吸収層14をパターニングして形成されている。以下、各層について詳細に説明する。
【0034】
(基板)
本発明の実施形態に係る基板11には、例えば、平坦なSi基板や合成石英基板等を用いることができる。また、基板11には、チタンを添加した低熱膨張ガラスを用いることができるが、熱膨張率の小さい材料であれば、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
また、後述する図5に示すように、基板11の反射層12を形成していない面に裏面導電膜15を形成することができる。裏面導電膜15は、反射型フォトマスク200を露光機に設置するときに静電チャックの原理を利用して固定するための膜である。
【0035】
(反射層)
本発明の実施形態に係る反射層12は、露光光であるEUV光(極端紫外光)を反射するものであればよく、EUV光に対する屈折率の大きく異なる材料の組み合わせによる多層反射膜(つまり、多層膜構造を有するEUV光反射膜)であってもよい。多層反射膜を含む反射層12は、例えば、Mo(モリブデン)とSi(シリコン)、またはMo(モリブデン)とBe(ベリリウム)といった組み合わせの層を40周期程度繰り返し積層することにより形成したものであってもよい。
【0036】
(保護層)
図2を参照して、本発明の実施形態に係る保護層13は、吸収パターン層14aを吸収層14のエッチングにより形成する際に、反射層12へのダメージを防ぐエッチングストッパとして機能する層である。なお、反射層12の材質やエッチング条件によっては、保護層13は設けなくてもかまわない。
保護層13は、吸収層14のパターン形成の際に行われるドライエッチングに対して耐性を有する材質で形成されていればよい。そのため、例えば、保護層13の材料はルテニウム(Ru)であってもよい。
【0037】
(吸収層及び吸収パターン層)
図1に示すように、吸収層14は、保護層13上に形成される層であり、露光光であるEUV光を吸収する層である。また、吸収層14は、転写するための微細パターンである吸収パターン層(転写パターン)14a(図2参照)を形成する層である。つまり、反射型フォトマスクブランク100の吸収層14の一部を除去することにより、即ち吸収層14をパターニングすることにより、図2に示す反射型フォトマスク200の吸収パターン(吸収パターン層14a)が形成される。
【0038】
吸収層14(吸収パターン層14a)が形成されている部分では、EUV光を吸収して一部の光を反射させる。一方、パターンの開口部(吸収層14がない部分)では、EUV光は保護層13を介して反射層12で反射する。吸収層14が形成されている部分からの反射光は、開口部からの反射光と所望の位相差を形成する。
【0039】
解像性を向上させるためには、吸収層14の位相差は、200度以上280度以下の範囲内が好ましく、215度以上270度以下の範囲内がさらに好ましく、230度以上260度以下の範囲内が最も好ましい。
【0040】
また、十分な位相シフト効果を得るためには、吸収層14の反射率は、絶対反射率で1%以上30%以下が好ましく、2%以上20%以下がさらに好ましい。ここで、「絶対反射率」とは、光源からの光を直接測定した光の量に対する実試料で反射した光の量の比率で計算された値をいう。つまり、入射光の強度を100%としたときの反射率を意味する。なお、本実施形態において「絶対反射率」の用語を用いたのは、多層反射膜(反射層12)の反射率(約66%)と吸収層14の反射率との比を意味する「相対反射率」と区別するためである。このように、本実施形態における「絶対反射率」は、「相対反射率」とは異なる概念である。
【0041】
一般に、吸収層14の、反射率及びパターニングした結果生じる開口部との位相差は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの各層の光学定数(屈折率n、消衰係数k)と膜厚、使用する光の波長が決まれば、一意に定まり、光学理論により計算で求めることができる(詳細は、例えば、応用物理工学選書3、吉田貞史「薄膜」、培風館、1990を参照)。つまり、本実施形態における「位相差」とは、吸収層14の反射光の位相と、反射層12の(開口部での)反射光の位相と、の差を意味する。
なお、本実施形態では、上記反射率及び上記位相差の算出に用いた屈折率n及び消衰係数kの各値は、EUV光を用いた実測値を用いた。
【0042】
EUVリソグラフィにおいて、EUV光は、反射型フォトマスクに対して斜めに入射され、反射層12で反射されるが、吸収層14(吸収パターン層14a)が光路の妨げとなる射影効果(シャドーイング)により、ウェハ(半導体基板)上への転写性能が悪化することがある。この転写性能の悪化は、EUV光を吸収する吸収層14の厚さを薄くすることで低減できることが知られている。
【0043】
吸収層14の膜厚は、60nm以下であることが好ましく、55nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが最も好ましい。吸収層14の膜厚が55nm以下である場合、従来のTa系吸収膜と比較して十分に射影効果を低減し、転写性能を向上させることができ、50nm以下である場合さらに射影効果を低減し、転写性能を大幅に向上させることができる。つまり、吸収層14の膜厚が55nm超であると、射影効果の影響が大きくなる場合がある。
なお、吸収層14の膜厚において、その下限値は特に制限されないが、20nm以上であると好ましく、25nm以上であるとさらに好ましい。吸収層14の膜厚が20nm未満であると、吸収層として機能しにくい場合がある。
【0044】
吸収層14の膜厚を薄くするとともに十分な位相シフト効果を得るためには、吸収層14を適正な位相差・反射率に設定する必要があり、そのためには屈折率n、消衰係数kの両方を適正な値にする必要がある。本発明者は鋭意検討した結果、α=k/(1-n)で規定される値(以下、便宜的に「α」を「光学パラメータ」とも称する)が転写性に影響するということを新たに見出した。また、従来知られていなかった、高NA(開口数)において、転写性が向上する光学パラメータαの数値範囲を新たに見出した。
以下、高NA(開口数)における転写性について、簡単に説明する。
【0045】
解像寸法は、レイリーの式CD=k1・λ/NAで表されるように、NAの値に反比例する。ここで、CDは解像寸法、k1は比例係数、λは露光波長、NAは開口数をそれぞれ示す。現時点で使われている露光機のNAは0.33であるが、解像寸法をより微細にするためにはレイリーの式よりNAを大きくすることが必要であり、次世代の露光機としてはNA:0.55が有力候補となっている。
しかしながら、従来技術に係る文献には高NAでの転写性について記載されたものは極めて少ない。例えば、特許文献2に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクは、位相差・反射率の評価は行っていたが、マスクパターンの転写性能(特に次世代向け露光機で使用されるNA:0.55)については評価しておらず、使用する材料、膜厚等によってはシャドーイング等の問題により、次世代露光機(NA:0.55)で良好な転写性能が得られない可能性がある。
【0046】
このような状況において、本発明者は、上述のように高NAにおいて転写性能の高い吸収層の屈折率n、消衰係数kの関係式を見出した。
つまり、本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであれば、十分な位相シフト効果が得られ、且つ高NA(開口数)のウェハ露光をした場合であっても、シャドーイングを低減し、ウェハ転写性能(特にコントラスト)を向上することが可能になる。そのため、本実施形態に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであれば、マスクパターンの更なる微細化が可能となる。
【0047】
このように、本実施形態に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであれば、特に次世代の高NA露光で良好なウェハ転写性能が得られるEUVマスクを提供することができる。具体的には、本実施形態に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、開口数NAが0.33以上である露光機でも使用可能な反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであって、下記式(1)~(2)を満たすものである。また、下記式(3)を満たせば、さらに好ましい。
α=k/(1-n)
0.12≦α≦0.6 ・・・式(1)
n≦0.935 ・・・式(2)
0.2≦α≦0.5 ・・・式(3)
【0048】
露光機の開口数NAは、上述のように0.33以上であれば好ましく、0.55以上であればより好ましい。
なお、汎用性の高い露光機を使用する場合には、その開口数NAは、0.33以上0.55以下の範囲内が好ましく、0.55が最も好ましい。
開口数NAが上記数値範囲内であれば、ウェハ転写性能(特にコントラスト)をより向上させることが可能になる。
【0049】
なお、本実施形態において、屈折率nの下限値は特に制限されないが、材料入手の容易さから0.87以上であれば問題がない。
【0050】
反射型フォトマスク200を用いてウェハ転写した際のウェハパターンのNILS(規格化空間像対数傾斜)は、反射型フォトマスク200の光学パラメータαの値に依存する。図3は、吸収層14(吸収パターン層14a)の屈折率n、消衰係数kを変化させ、NA(開口数)が0.55の露光条件で、ウェハ上の11nmのホールパターンを露光した場合のNILS(規格化空間像対数傾斜)をシミュレーションによって求めた結果である。本シミュレーションでは、屈折率nは0.88、0.89、0.91、0.925の4水準とし、各屈折率nの水準で消衰係数kを変化させることにより光学パラメータαを変化させている。また各nkにおいて、位相シフト効果が十分となる反射率2%以上であり、射影効果を低減できる膜厚55nm以下となる条件でNILSが最大となる最適な膜厚に設定している。
【0051】
NILS(規格化空間像対数傾斜)は、
NILS=w×dln(I)/dx ・・・式(1)
で求められるコントラストの値であり、反射型フォトマスク200を用いてウェハパターンを形成した際のウェハパターンの解像性の指標になる。ここで「w」は線幅を表し、「I」はエネルギー潜像の強度を表す。なお、NILSの値が大きい程、転写パターンのコントラストが高くなり解像性が高くなる。
【0052】
図3に示すように、NILSは光学パラメータαに依存する。光学パラメータαが0.12以上0.6以下の範囲内であれば既存のTa系材料よりもNILSが向上するため好ましい。また、光学パラメータαが0.2以上0.5以下の範囲内であればNILSが最大値に達するため、さらに好ましい。
【0053】
図4は、各金属材料のEUV光の波長13.5nmに対する光学定数を示すグラフである。図4のグラフの横軸は屈折率nを表し、縦軸は消衰係数kを示している。図4に示すように、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのそれぞれは、屈折率nが0.93より小さいため、吸収層14の材料として、これらの材料群を用いることにより射影効果を低減できることが分かる。なお、上述した「Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、Re」を、以下便宜的に「第1の材料群」と定義する。
【0054】
吸収層14の材料は、第1の材料群の元素を含んでいれば混合物であってもよい。混合物であれば、組成を変えることによって吸収層14の光学定数(屈折率n、消衰係数k)を制御することができ、所望の位相差と反射率を得ることができる。つまり、吸収層14は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料で構成されていれば好ましい。
【0055】
吸収層14の材料は、Rh及びPdの少なくとも一方を含むことがより好ましい。RhとPdは、第1の材料群の中でも特に屈折率nが小さく、さらに光学パラメータαが0.2以上0.5以下の範囲にあるため、これらの材料を含んでいれば吸収層14を所望の光学定数(屈折率n、消衰係数k)にすることが容易となる。なお、上述した「Rh、Pd」を、以下便宜的に「第2の材料群」と定義する。
【0056】
吸収層14の材料は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料で構成されていれば好ましい。Pt、Au、Ir、及びReは、上述した第1の材料群の中でも既存エッチング装置での加工性向上が期待できる材料であり、かつ、EUV露光装置のクリーニングの際に用いられる水素ラジカルに対する耐性が高い材料である。さらに屈折率nが0.92よりも小さいため、射影効果の低減が期待できる。なお、上述した「Pt、Au、Ir、Re」を、以下便宜的に「第3の材料群」と定義する。
【0057】
吸収層14の材料は、上述した第1の材料群、第2の材料群、または、第3の材料群に加えて、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含んでいてもよい。ここで、「Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、Al」を「第4の材料群」と定義する。吸収層14に第4の材料群が含まれていれば、既存エッチング装置での加工性向上、水素ラジカル耐性の向上が期待できる。
【0058】
吸収層14は、第1の材料群の元素のみで構成されていてもよいし、第2の材料群の元素のみで構成されていてもよいし、第3の材料群の元素のみで構成されていてもよい。また、第2の材料群と第3の材料群の元素とで構成されていてもよい。また、第1、第2、または第3の材料群の元素と、第4の材料群の元素とで構成されていてもよい。また、他の材料を含んでいてもよい。
【0059】
吸収層14を単一の材料(素材)で形成してもよいが、その場合には加工性や水素ラジカル耐性において優れているとは言えない場合がある。上記のように吸収層14を異なる材料群から選択された2つ以上の材料から形成することで加工性や水素ラジカル耐性にも優れた吸収層を形成することができる。
【0060】
また、吸収層14の上には、ハードマスク層(図示せず)を備えていてもよい。ハードマスク層には、Cr系膜またはSi系膜など、ドライエッチングに耐性がある材料が用いられる。
【0061】
[実施例]
以下、本開示を実施例によりさらに詳しく説明するが、本開示は実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
<実施例1>
図5に示す基板11として、低熱膨張性を有する合成石英基板を用いた。その基板11の上に、多層反射膜(反射層)12としてシリコン(Si)とモリブデン(Mo)とを一対とする積層膜を40枚(層)積層して形成した。多層反射膜12の膜厚は280nmとした。
次に、多層反射膜12上に、ルテニウム(Ru)を用いて膜厚が3.5nmになるようにキャッピング層(保護層)13を成膜した。これにより、基板11上には多層反射膜12及びキャッピング層13を有する反射部が形成された。
キャッピング層13の上に、パラジウム(Pd)と銀(Ag)とを含む吸収層14を膜厚が39nmになるように成膜した。吸収層14におけるパラジウム(Pd)と銀(Ag)との原子数比率をXPS(X線光電子分光法)で測定したところ、78:22であった。また、吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
次に、基板11の多層反射膜12が形成されていない側に、窒化クロム(CrN)を用いて100nmの厚さとなるように裏面導電膜15を成膜した。反射型フォトマスクブランク100を作成した。
【0063】
基板11上へのそれぞれの膜の成膜は、多元スパッタリング装置を用いた。各々の膜の膜厚は、スパッタリング時間で制御した。
【0064】
次に、反射型フォトマスク200の作製方法について、図6から図9を用いて説明する。図6に示すように、反射型フォトマスクブランク100の吸収層14の上に、ポジ型化学増幅型レジスト(SEBP9012:信越化学社製)を120nmの膜厚にスピンコートで塗布し、110℃で10分ベークし、レジスト膜16を形成した。
次に、電子線描画機(JBX3030:日本電子社製)によってレジスト膜16に所定のパターンを描画した。
その後、110℃、10分間のプリベーク処理を行い、次いでスプレー現像機(SFG3000:シグマメルテック社製)を用いて現像処理をした。これにより図7に示すように、レジストパターン16aを形成した。
【0065】
次に、レジストパターン16aをエッチングマスクとして、塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより、吸収層14のパターニングを行った。これにより、図8に示すように、吸収層14に吸収パターン(吸収パターン層)14aを形成した。
次に、レジストパターン16aの剥離を行い、図9に示す、本実施例による反射型フォトマスク200を作製した。
本実施例において、吸収層14に形成した吸収パターン14aは、NA(開口数)0.55のアナモルフィック照明の露光機で11nmのホールパターンに転写されるように設計した。すなわち、吸収パターン14aは、反射型フォトマスク200上で、x方向44nm、y方向88nmのホールパターンとした。
【0066】
上記のように形成した反射型フォトマスク200のホールパターンの寸法をSEMにより測長すると設計通りの寸法であった。
上記のように形成した実施例1について、波長13.5nmのEUV光を用いて、吸収層14の屈折率n、消衰係数kを測定(実測)した。その結果、実施例1の吸収層14の屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.88、k=0.055であった。よって、光学パラメータα(=k/(1-n))の値は0.458であった。
なお、以降の各実施例及び各比較例についても実施例1の場合と同様に、波長13.5nmのEUV光を用いて、吸収層14の屈折率n、消衰係数kを測定(実測)した。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.8%であり、位相差は259度であった。
【0067】
<実施例2>
吸収層14の材料をパラジウム(Pd)に変更し、膜厚34nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例2の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.875、k=0.045であった。よって、光学パラメータαの値は0.360であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.3%であり、位相差は256度であった。
【0068】
<実施例3>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)に変更し、膜厚35nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例3の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.875、k=0.03であった。よって、光学パラメータαの値は0.240であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は5.0%であり、位相差は245度であった。
【0069】
<実施例4>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)とルテニウム(Ru)が57:43の原子数比率で均質となる混合材料(RhRu)に変更し、膜厚44nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例4の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.88、k=0.025であった。よって、光学パラメータαの値は0.208であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は5.7%であり、位相差は275度であった。
【0070】
<実施例5>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)と銀(Ag)が89:11の原子数比率で均質となる混合材料(RuAg)に変更し、膜厚44nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例5の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.885、k=0.025であった。よって、光学パラメータαの値は0.217であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は6.4%であり、位相差は262度であった。
【0071】
<実施例6>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)と銀(Ag)が52:48の原子数比率で均質となる混合材料(RuAg)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例6の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.89、k=0.05であった。よって、光学パラメータαの値は0.455であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.3%であり、位相差は275度であった。
【0072】
<実施例7>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)と錫(Sn)が86:14の原子数比率で均質となる混合材料(RuSn)に変更し、膜厚42nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例7の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.895、k=0.025であった。よって、光学パラメータαの値は0.238であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は5.5%であり、位相差は243度であった。
【0073】
<実施例8>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)と錫(Sn)が60:40の原子数比率で均質となる混合材料(RuSn)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例8の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例8の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.91、k=0.04であった。よって、光学パラメータαの値は0.444であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.3%であり、位相差は268度であった。
【0074】
<実施例9>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)と銀(Ag)が75:25の原子数比率で均質となる混合材料(MoAg)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例9の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例9の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.915、k=0.025であった。よって、光学転写パラメータαの値は0.294であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は3.4%であり、位相差は265度であった。
【0075】
<実施例10>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)とインジウム(In)が86:14の原子数比率で均質となる混合材料(MoIn)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例10の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例10の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.925、k=0.02であった。よって、光学パラメータαの値は0.267であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は5.8%であり、位相差は227度であった。
【0076】
<実施例11>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)とインジウム(In)が68:32の原子数比率で均質となる混合材料(MoIn)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例11の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例11の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.925、k=0.035であった。よって、光学パラメータαの値は0.467であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.3%であり、位相差は231度であった。
【0077】
<実施例12>
吸収層14の材料であるPdAgの組成を原子数比率でPd:Ag=48:52となるように変更し、膜厚32nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例12の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例12の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.885、k=0.065であった。よって、光学パラメータαの値は0.565であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.4%であり、位相差は223度であった。
【0078】
<実施例13>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)に変更し、膜厚43nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例13の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例13の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.885、k=0.017であった。よって、光学パラメータαの値は0.148であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は14%であり、位相差は268度であった。
【0079】
<実施例14>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)とモリブデン(Mo)が84:16の原子数比率で均質となる混合材料(RuMo)に変更し、膜厚43nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例14の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例14の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.89、k=0.015であった。よって、光学パラメータαの値は0.136であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は14.2%であり、位相差は254度であった。
【0080】
<実施例15>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)とインジウム(In)が91:9の原子数比率で均質となる混合材料(MoIn)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例15の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例15の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.925、k=0.0149であった。よって、光学パラメータαの値は0.199であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は10.6%であり、位相差は227度であった。
【0081】
<実施例16>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)とインジウム(In)が60:40の原子数比率で均質となる混合材料(MoIn)に変更し、膜厚52nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例16の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例16の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.925、k=0.04であった。よって、光学パラメータαの値は0.533であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.2%であり、位相差は219度であった。
【0082】
<実施例17>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)と錫(Sn)が53:47の原子数比率で均質となる混合材料(RuSn)に変更し、膜厚45nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例17の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例17の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.915、k=0.045であった。よって、光学パラメータαの値は0.529であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.6%であり、位相差は213度であった。
【0083】
<実施例18>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)と銀(Ag)が43:57の原子数比率で均質となる混合材料(MoAg)に変更し、膜厚39nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例18の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例18の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.905、k=0.05であった。よって、光学パラメータαの値は0.526であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.3%であり、位相差は221度であった。
【0084】
<実施例19>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)と白金(Pt)が75:25の原子数比率で均質となる混合材料(IrPt)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例19の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例19の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.902、k=0.049であった。よって、光学パラメータαの値は0.496であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.0%であり、位相差は261度であった。
【0085】
<実施例20>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)と金(Au)が40:60の原子数比率で均質となる混合材料(IrAu)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例20の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例20の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.901、k=0.049であった。よって、光学パラメータαの値は0.499であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.0%であり、位相差は261度であった。
【0086】
<実施例21>
吸収層14の材料をレニウム(Re)と白金(Pt)が75:25の原子数比率で均質となる混合材料(RePt)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例21の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例21の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.909、k=0.045であった。よって、光学パラメータαの値は0.496であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は242度であった。
【0087】
<実施例22>
吸収層14の材料をレニウム(Re)と金(Au)が40:60の原子数比率で均質となる混合材料(ReAu)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例22の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例22の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.905、k=0.047であった。よって、光学パラメータαの値は0.499であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.4%であり、位相差は250度であった。
【0088】
<実施例23>
吸収層14の材料を白金(Pt)とモリブデン(Mo)が20:80の原子数比率で均質となる混合材料(PtMo)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例23の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例23の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.017であった。よって、光学パラメータαの値は0.204であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は6.0%であり、位相差は245度であった。
【0089】
<実施例24>
吸収層14の材料を白金(Pt)とモリブデン(Mo)が80:20の原子数比率で均質となる混合材料(PtMo)に変更し、膜厚40nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例24の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例24の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.898、k=0.049であった。よって、光学パラメータαの値は0.484であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.4%であり、位相差は247度であった。
【0090】
<実施例25>
吸収層14の材料を白金(Pt)とニオブ(Nb)が35:65の原子数比率で均質となる混合材料(PtNb)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例25の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例25の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.919、k=0.024であった。よって、光学パラメータαの値は0.300であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は3.2%であり、位相差は247度であった。
【0091】
<実施例26>
吸収層14の材料を白金(Pt)とニオブ(Nb)が80:20の原子数比率で均質となる混合材料(PtNb)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例26の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例26の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.900、k=0.049であった。よって、光学パラメータαの値は0.492であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.0%であり、位相差は261度であった。
【0092】
<実施例27>
吸収層14の材料を金(Au)とモリブデン(Mo)が25:75の原子数比率で均質となる混合材料(AuMo)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例27の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例27の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.018であった。よって、光学パラメータαの値は0.213であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は6.0%であり、位相差は245度であった。
【0093】
<実施例28>
吸収層14の材料を金(Au)とモリブデン(Mo)が95:5の原子数比率で均質となる混合材料(AuMo)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例28の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例28の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.900、k=0.050であった。よって、光学パラメータαの値は0.498であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.0%であり、位相差は261度であった。
【0094】
<実施例29>
吸収層14の材料を金(Au)とニオブ(Nb)が45:55の原子数比率で均質となる混合材料(AuNb)に変更し、膜厚54nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例29の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例29の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.026であった。よって、光学パラメータαの値は0.320であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は4.6%であり、位相差は246度であった。
【0095】
<実施例30>
吸収層14の材料を金(Au)とニオブ(Nb)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(AuNb)に変更し、膜厚40nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例30の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例30の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.903、k=0.047であった。よって、光学パラメータαの値は0.485であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.4%であり、位相差は247度であった。
【0096】
<実施例31>
吸収層14の材料を金(Au)とチタン(Ti)が65:35の原子数比率で均質となる混合材料(AuTi)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例31の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例31の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.039であった。よって、光学パラメータαの値は0.469であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.8%であり、位相差は247度であった。
【0097】
<実施例32>
吸収層14の材料を金(Au)とチタン(Ti)が85:15の原子数比率で均質となる混合材料(AuTi)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例32の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例32の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.907、k=0.046であった。よって、光学パラメータαの値は0.498であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.4%であり、位相差は250度であった。
【0098】
<実施例33>
吸収層14の材料を金(Au)とジルコニウム(Zr)が70:30の原子数比率で均質となる混合材料(AuZr)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例33の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例33の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.917、k=0.038であった。よって、光学パラメータαの値は0.453であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は258度であった。
【0099】
<実施例34>
吸収層14の材料を金(Au)とジルコニウム(Zr)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(AuZr)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例34の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例34の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.905、k=0.047であった。よって、光学パラメータαの値は0.497であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.4%であり、位相差は250度であった。
【0100】
<実施例35>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とモリブデン(Mo)が30:70の原子数比率で均質となる混合材料(IrMo)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例35の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例35の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.018であった。よって、光学パラメータαの値は0.217であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は6.0%であり、位相差は245度であった。
【0101】
<実施例36>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とモリブデン(Mo)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(IrMo)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例36の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例36の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.907、k=0.041であった。よって、光学パラメータαの値は0.441であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は3.3%であり、位相差は248度であった。
【0102】
<実施例37>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とタングステン(W)が50:50の原子数比率で均質となる混合材料(IrW)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例37の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例37の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.919、k=0.039であった。よって、光学パラメータαの値は0.481であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.8%であり、位相差は247度であった。
【0103】
<実施例38>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とタングステン(W)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(IrW)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例38の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例38の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.908、k=0.044であった。よって、光学パラメータαの値は0.475であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は242度であった。
【0104】
<実施例39>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とニオブ(Nb)が50:50の原子数比率で均質となる混合材料(IrNb)に変更し、膜厚54nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例39の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例39の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.920、k=0.025であった。よって、光学パラメータαの値は0.311であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は4.6%であり、位相差は246度であった。
【0105】
<実施例40>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とニオブ(Nb)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(IrNb)に変更し、膜厚47nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例40の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例40の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.908、k=0.041であった。よって、光学パラメータαの値は0.445であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.8%であり、位相差は252度であった。
【0106】
<実施例41>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とタンタル(Ta)が85:15の原子数比率で均質となる混合材料(IrTa)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例41の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例41の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.911、k=0.044であった。よって、光学パラメータαの値は0.497であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は242度であった。
【0107】
<実施例42>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とタンタル(Ta)が95:5の原子数比率で均質となる混合材料(IrTa)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例42の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例42の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.907、k=0.045であった。よって、光学パラメータαの値は0.481であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.4%であり、位相差は250度であった。
【0108】
<実施例43>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とバナジウム(V)が65:35の原子数比率で均質となる混合材料(IrV)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例43の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例43の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.918、k=0.038であった。よって、光学パラメータαの値は0.465であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.8%であり、位相差は247度であった。
【0109】
<実施例44>
吸収層14の材料をイリジウム(Ir)とバナジウム(V)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(IrV)に変更し、膜厚46nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例44の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例44の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.909、k=0.043であった。よって、光学パラメータαの値は0.471であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は242度であった。
【0110】
<実施例45>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とモリブデン(Mo)が45:55の原子数比率で均質となる混合材料(ReMo)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例45の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例45の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.920、k=0.021であった。よって、光学パラメータαの値は0.266であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は6.0%であり、位相差は245度であった。
【0111】
<実施例46>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とモリブデン(Mo)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(ReMo)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例46の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例46の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.916、k=0.037であった。よって、光学パラメータαの値は0.435であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は3.0%であり、位相差は255度であった。
【0112】
<実施例47>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とタングステン(W)が75:25の原子数比率で均質となる混合材料(ReW)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例47の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例47の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.920、k=0.038であった。よって、光学パラメータαの値は0.475であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.8%であり、位相差は247度であった。
【0113】
<実施例48>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とタングステン(W)が95:5の原子数比率で均質となる混合材料(ReW)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例48の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例48の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.916、k=0.040であった。よって、光学パラメータαの値は0.471であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.1%であり、位相差は258度であった。
【0114】
<実施例49>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とニオブ(Nb)が75:25の原子数比率で均質となる混合材料(ReNb)に変更し、膜厚54nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例49の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例49の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.920、k=0.031であった。よって、光学パラメータαの値は0.389であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.7%であり、位相差は250度であった。
【0115】
<実施例50>
吸収層14の材料をレニウム(Re)とニオブ(Nb)が90:10の原子数比率で均質となる混合材料(ReNb)に変更し、膜厚53nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例50の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した実施例50の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.917、k=0.037であった。よって、光学パラメータαの値は0.439であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は3.0%であり、位相差は255度であった。
【0116】
<比較例1>
比較例1では、従来のタンタル(Ta)を主材料とした既存膜を備えたフォトマスクを用いた。比較例1では、窒化タンタル(TaN)を用いて膜厚58nmになるよう吸収層を形成し、酸化タンタル(TaO)を用いて膜厚2nmになるよう最表層を形成して反射型フォトマスクを作製した。それ以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の反射型フォトマスクを作製した。
上記のように形成した比較例1のTaN吸収層の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.95、k=0.031であった。よって、光学パラメータαの値は0.62であった。
上記のように形成した比較例1の吸収層の波長13.5nmにおける絶対反射率は1.3%であり、位相差は160度であった。
【0117】
<比較例2>
吸収層14の材料をパラジウム(Pd)と銀(Ag)が31:69の原子数比率で均質となる混合材料(PdAg)に変更し、膜厚25nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した比較例2の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.89、k=0.07であった。よって、光学パラメータαの値は0.636であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.2%であり、位相差は178度であった。
【0118】
<比較例3>
吸収層14の材料をルテニウム(Ru)とモリブデン(Mo)が39:61の原子数比率で均質となる混合材料(RuMo)に変更し、膜厚51nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例3の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した比較例3の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.91、k=0.01であった。よって、光学パラメータαの値は0.111であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は24%であり、位相差は242度であった。
【0119】
<比較例4>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)と銀(Ag)が21:79の原子数比率で均質となる混合材料(MoAg)に変更し、膜厚31nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例4の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した比較例4の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.9、k=0.065であった。よって、光学パラメータαの値は0.650であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.7%であり、位相差は182度であった。
【0120】
<比較例5>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)に変更し、膜厚55nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例5の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した比較例5の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.925、k=0.005であった。よって、光学パラメータαの値は0.067であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は34%であり、位相差は227度であった。
【0121】
<比較例6>
吸収層14の材料をモリブデン(Mo)とインジウム(In)が52:48の原子数比率で均質となる混合材料(MoIn)に変更し、膜厚44nmになるように成膜した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例6の反射型フォトマスク200を作製した。
上記のように形成した比較例6の吸収層14の波長13.5nmにおける屈折率n、消衰係数kは、それぞれn=0.93、k=0.045であった。よって、光学パラメータαの値は0.643であった。
また、吸収層14の波長13.5nmにおける絶対反射率は2.6%であり、位相差は170度であった。
【0122】
<評価>
上述した実施例1~50、比較例1~6で得られた反射型フォトマスクについて、以下の方法で転写性能の評価を行った。また、コントラストは、NILS(Normalized Image Log-Slope:規格化空間像対数傾斜)値により評価した。
【0123】
ウェハ転写シミュレーションソフト(S-Litho EUV:シノプシス社製)を用いて評価を行った。反射型フォトマスクの吸収層の屈折率n、消衰係数k、膜厚を、各実施例・比較例で作成した通りの値に設定した。パターン形状についても各実施例・比較例で作成した通り、マスクスケールでx方向44nm、y方向88nmのホールパターンとした。照明条件は、NA0.55のアナモルフィック照明であり、照明形状はクエーサーとした。露光量は、ホールパターンがウェハ上で設計通りのx方向11nm、y方向11nmに転写するように設定し、ウェハ転写した際の空間像を用いてNILSの計算を行った。
以下の「◎」、「○」、「△」、「×」の4段階で評価した。
<評価基準>
コントラスト
◎:NILS値が2.7より大きい場合
○:NILS値が2.5以上であり、2.7以下である場合
△:NILS値が2.35より大きく2.5より小さい場合
×:NILS値が2.35以下である場合
以上の評価結果を表1~3に示す。
【0124】
なお、NILS値については、「○」以上の評価であれば、転写性能に問題はないため、合格とした。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
表1~3に、実施例1~50、比較例1~6の評価結果を示す。
【0129】
従来の膜厚60nmのタンタル(Ta)系吸収層を備えた比較例1の光学パラメータαは0.62、屈折率nは0.95であり、NILSは2.35であった。実施例1~50のように吸収パターン層14aの光学パラメータαが0.12以上0.6以下であり、屈折率nが0.935以下である場合には、比較例1と比べてNILSの値が大きく、コントラストが向上することが分かった。
また、光学パラメータαが0.6より大きい比較例2、4、6や、光学パラメータαが0.12より小さい比較例3、5と比べても、光学パラメータαが0.12以上0.6以下である実施例1~50はNILSが大きくコントラストが向上することが分かった。
【0130】
以下、表1~3及び、図10に示すグラフを用いて、各実施例及び各比較例のNILSを比較した結果について、詳細に説明する。図10は各実施例および各比較例の光学定数(屈折率n、消衰係数k)と転写性能の評価を図示したグラフである。図10中の4本の直線は上からそれぞれ光学パラメータαが0.6、0.5、0.2、0.12を示している。
【0131】
図10及び表1に示すように、光学パラメータαが0.458であり、屈折率nが0.88である実施例1のNILSの値は2.75であり、従来のタンタル(Ta)系吸収層を備えた比較例1に比べてその値(NILSの値)は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.360であり、屈折率nが0.875である実施例2のNILSの値は2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.240であり、屈折率nが0.875である実施例3のNILSの値は2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.208であり、屈折率nが0.88である実施例4のNILSの値は2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.217であり、屈折率nが0.885である実施例5のNILSの値は2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.445であり、屈折率nが0.89である実施例6のNILSの値は2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.238であり、屈折率nが0.895である実施例7のNILSの値は2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.444であり、屈折率nが0.91である実施例8のNILSの値は2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.294であり、屈折率nが0.915である実施例9のNILSの値は2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
【0132】
実施例1~9が示すように、光学パラメータαが0.2以上0.5以下であり、かつ屈折率nが0.92以下である場合、NILSが2.7以上となり、比較例1に比べてその値は15%以上向上する。
【0133】
図10及び表1に示すように、光学パラメータαが0.267であり、屈折率nが0.925である実施例10のNILSの値は2.62であり、比較例1に比べてその値は約12%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.467であり、屈折率nが0.925である実施例11のNILSの値は2.66であり、比較例1に比べてその値は約13%高くなっている。
【0134】
実施例10及び11が示すように、光学パラメータαが0.2以上0.5以下であり、かつ屈折率nが0.92より大きく0.935以下である場合、NILSが2.6以上となり、比較例1に比べてその値は10%以上向上する。
【0135】
図10及び表1に示すように、光学パラメータαが0.565であり、屈折率nが0.885である実施例12のNILSの値は2.67であり、比較例1に比べてその値は約14%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.148であり、屈折率nが0.885である実施例13のNILSの値は2.56であり、比較例1に比べてその値は約9%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.136であり、屈折率nが0.89である実施例14のNILSの値は2.58であり、比較例1に比べてその値は約10%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.199であり、屈折率nが0.925である実施例15のNILSの値は2.50であり、比較例1に比べてその値は約7%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.533であり、屈折率nが0.925である実施例16のNILSの値は2.58であり、比較例1に比べてその値は約10%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.529であり、屈折率nが0.915である実施例17のNILSの値は2.56であり、比較例1に比べてその値は約9%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.526であり、屈折率nが0.905である実施例18のNILSの値は2.66であり、比較例1に比べてその値は約13%高くなっている。
【0136】
実施例12~18に示すように、光学パラメータαが0.12以上0.62以下であり、かつ屈折率nが0.935以下である場合、NILSが2.5以上となり、比較例1に比べてその値は7%以上向上する。
【0137】
表2に示すように、光学パラメータαが0.496であり、屈折率nが0.902である実施例19のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.499であり、屈折率nが0.901である実施例20のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.496であり、屈折率nが0.909である実施例21のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.499であり、屈折率nが0.905である実施例22のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
【0138】
実施例19~22に示すように、屈折率nが小さく、かつ加工性と水素耐性に優れた第3の材料群のみの元素で構成された吸収層14(吸収パターン層14a)を形成した場合も、比較例1に比べてNILSが高くなっている。また、吸収層14(吸収パターン層14a)を形成する第3の材料群の元素の組み合わせが変わっても、光学パラメータαが0.2以上0.5以下であり、かつ屈折率nが0.92以下である場合、NILSが2.7以上となり、比較例1に比べてその値は15%以上向上する。
【0139】
表2に示すように、光学パラメータαが0.204であり、屈折率nが0.918である実施例23のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.484であり、屈折率nが0.898である実施例24のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.300であり、屈折率nが0.919である実施例25のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.492であり、屈折率nが0.900である実施例26のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.213であり、屈折率nが0.918である実施例27のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
【0140】
また、光学パラメータαが0.498であり、屈折率nが0.900である実施例28のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.320であり、屈折率nが0.918である実施例29のNILSは2.72であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.485であり、屈折率nが0.903である実施例30のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.469であり、屈折率nが0.918である実施例31のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.498であり、屈折率nが0.907である実施例32のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
【0141】
また、光学パラメータαが0.453であり、屈折率nが0.917である実施例33のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.497であり、屈折率nが0.905である実施例34のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.217であり、屈折率nが0.918である実施例35のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.441であり、屈折率nが0.907である実施例36のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.481であり、屈折率nが0.919である実施例37のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
【0142】
また、表3に示すように、光学パラメータαが0.475であり、屈折率nが0.908である実施例38のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.311であり、屈折率nが0.920である実施例39のNILSは2.72であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.445であり、屈折率nが0.908である実施例40のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.497であり、屈折率nが0.911である実施例41のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.481であり、屈折率nが0.907である実施例42のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
【0143】
また、光学パラメータαが0.465であり、屈折率nが0.918である実施例43のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.471であり、屈折率nが0.909である実施例44のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.266であり、屈折率nが0.920である実施例45のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.435であり、屈折率nが0.916である実施例46のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.475であり、屈折率nが0.920である実施例47のNILSは2.71であり、比較例1に比べてその値は約15%高くなっている。
【0144】
また、光学パラメータαが0.471であり、屈折率nが0.916である実施例48のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.389であり、屈折率nが0.920である実施例49のNILSは2.73であり、比較例1に比べてその値は約16%高くなっている。
また、光学パラメータαが0.439であり、屈折率nが0.917である実施例50のNILSは2.74であり、比較例1に比べてその値は約17%高くなっている。
【0145】
実施例23~50に示すように、屈折率nが小さい第3の材料群の元素に加えて、加工性と水素耐性に優れた第4の材料群の元素を含んだ材料で吸収層14(吸収パターン層14a)を形成した場合も、比較例1に比べてNILSが高くなっている。また、第3の材料群の元素と第4の材料群の元素との組み合わせや組成が変わっても、光学パラメータαが0.2以上0.5以下であり、かつ屈折率nが0.92以下である場合、NILSが2.7以上となり、比較例1に比べてその値は15%以上向上する。
【0146】
図10及び表3に示すように、光学パラメータαが0.636であり、屈折率nが0.89である比較例2のNILSの値は2.49であった。
また、光学パラメータαが0.111であり、屈折率nが0.91である比較例3のNILSの値は2.41であった。
また、光学パラメータαが0.650であり、屈折率nが0.9である比較例4のNILSの値は2.41であった。
【0147】
比較例2~4に示すように、光学パラメータαが0.12より小さい、または光学パラメータαが0.62より大きい場合、NILSは2.5よりも小さく、既存材料の比較例1と比べてNILSの向上量は6%未満にとどまった。
【0148】
図10及び表3に示すように、光学パラメータαが0.067であり、屈折率nが0.925である比較例5のNILSの値は1.90であった。
また、光学パラメータαが0.643であり、屈折率nが0.93である比較例6のNILSの値は2.29であった。
【0149】
比較例5及び6に示すように、光学パラメータαが0.12より小さい、または光学パラメータαが0.62より大きい値であり、屈折率nが0.92より大きい場合、NILSは既存材料の比較例1に比べて同等以下に悪化した。
【0150】
以上のように、基板11と、基板11上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する多層反射膜(反射層)12と、多層反射膜12上に形成され、多層反射膜12を保護するキャッピング層(保護層)13と、キャッピング層13上に形成され、EUV光を吸収する吸収層14(吸収パターン層14a)と、を備え、吸収層14(吸収パターン層14a)のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kが下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200であれば、既存材料で形成された反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクである比較例1と比べてNILSの値が大きく、コントラストが向上する。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【0151】
さらに、下記式(2)を満たす反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200であれば、既存材料で形成された反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクである比較例1と比べてNILSの値がさらに大きく、コントラストが向上する。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
【0152】
なお、本開示の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
【0153】
また、例えば、本発明は以下のような構成を取ることができる。
(1)
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備え、
前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下であることを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
(2)
前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たすことを特徴とする上記(1)に記載の反射型フォトマスクブランク。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
(3)
前記吸収層は、25nm以上55nm以下の膜厚であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の反射型フォトマスクブランク。
(4)
前記吸収層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
【0154】
(5)
前記吸収層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
(6)
前記吸収層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
(7)
前記吸収層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
(8)
前記吸収層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする上記(5)から(7)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
【0155】
(9)
開口数NAが0.33以上0.55以下の範囲内である露光機で使用される反射型フォトマスクを作製するために用いられることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
(10)
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、パターンが形成されているEUV光を吸収する吸収パターン層と、を備え、
前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下であることを特徴とする反射型フォトマスク。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
(11)
前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kは、下記式(2)を満たすことを特徴とする上記(10)に記載の反射型フォトマスク。
0.2≦k/(1-n)≦0.5 ・・・式(2)
(12)
前記吸収パターン層は、25nm以上55nm以下の膜厚であることを特徴とする上記(10)または(11)に記載の反射型フォトマスク。
【0156】
(13)
前記吸収パターン層は、EUV光に対する屈折率nが0.92以下であることを特徴とする上記(10)から(12)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(14)
前記吸収パターン層は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(10)から(13)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(15)
前記吸収パターン層は、Rh、及びPdのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(10)から(13)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(16)
前記吸収パターン層は、Pt、Au、Ir、及びReのうち少なくとも1種の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(10)から(13)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
【0157】
(17)
前記吸収パターン層は、Mo、W、Nb、Hg、Fe、Ta、V、Bi、Ti、Zr、Hf、C、B、Be、及びAlのうち少なくとも1種の元素をさらに含むことを特徴とする上記(10)から(16)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(18)
開口数NAが0.33以上0.55以下の範囲内である露光機で使用されることを特徴とする上記(10)から(17)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(19)
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備えた反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層を構成する材料の選択方法であって、
前記吸収層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kが下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下となるように前記吸収層を構成する材料の選択することを特徴とする吸収層を構成する材料の選択方法。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
(20)
基板と、
前記基板上に形成され、多層膜構造を有するEUV光を反射する反射層と、
前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に形成され、パターンが形成されているEUV光を吸収する吸収パターン層と、を備えた反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層を構成する材料の選択方法であって、
前記吸収パターン層のEUV光に対する屈折率nおよび消衰係数kが下記式(1)を満たし、且つEUV光に対する屈折率nが0.935以下となるように前記吸収パターン層を構成する材料の選択することを特徴とする吸収パターン層を構成する材料の選択方法。
0.12≦k/(1-n)≦0.6 ・・・式(1)
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、半導体集積回路などの製造工程において、EUV露光によって微細なパターンを形成するために好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0159】
11…基板
12…反射層(多層反射膜)
13…保護層(キャッピング層)
14…吸収層
14a…吸収パターン(吸収パターン層)
15…裏面導電膜
16…レジスト膜
16a…レジストパターン
100…反射型フォトマスクブランク
200…反射型フォトマスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10